朝起きると、隣に寝ていたはずの女武闘家はいなかった。
ベッドのシーツが彼女の温もりをわずかに残し、竜騎士は少し寂しげに体を起こした。
代わりに、台所からは美味しそうな匂いが漂ってきた。
卵の焼ける香ばしい香り、野菜の新鮮な匂い、そして少し甘いパン生地の香り、それが彼の胃をくすぐり、眠気を吹き飛ばした。
彼は服を着ると、静かにベッドから降り、リビングへ向かった。
リビングの扉を開けると、そこに見えたのは台所で女武闘家がエプロン姿で料理をしている姿だった。
白いエプロンが彼女の体にフィットし、黒髪のポニーテールを揺らしながら、鍋をかき混ぜている。
朝陽が窓から差し込み、彼女の横顔を優しく照らしていた。彼女は竜騎士に気づくと、笑顔で振り向いた。
「おはよう」
その声は明るく、昨夜の余韻を残す甘さが混じっていた。
竜騎士も「おはよう」と返し、彼女の姿に少し見惚れた。
「もう少し寝てても良かったのに…」
彼女は鍋を火から下ろしながら、からかうように言った。竜騎士は台所のテーブルに近づき、「美味しそうな匂いがして起きちゃったよ」と苦笑した。
確かに、卵のオムレツ、焼きたてのパン、新鮮な野菜のサラダ、すべてが食欲をそそる。
竜騎士は女武闘家の方を向いて「何か手伝おうか?」尋ねた。
女武闘家はにっこり笑うと、「じゃあ一緒にやる?」と聞くと、彼は女武闘家の横に立った。
二人は自然と役割分担をし、竜騎士は食器を用意したり、料理を運んだりして、女武闘家はオムレツを返しながら、笑顔で彼の動きを見守った。
キッチンは狭かったが、互いの肩が触れ合う距離が心地よく、二人の息がぴったり合っていた。
朝食の準備はあっという間に終わり、テーブルに並んだ料理は、村の新鮮な食材が活きたシンプルで温かなものになった。
二人は向かい合って座り、互いの笑顔を交わしながら食べ始めた。この朝の時間は、二人の恋人としての日常を優しく彩っていた。
そして、二人は朝食の後片付けをしながら、台所で並んで皿を洗っていた。
泡の立つ水音と、互いの軽やかな笑い声が部屋に響く。
女武闘家はスポンジを置くと、ふと竜騎士の顔を見上げ、恥ずかしげに言った。
「ねぇ、良かったら…一緒に暮らさない?」
彼女の声は小さく、しかし真剣だった。
「なんか、一人でいると色々不安になるの…貴方と一緒だと寂しくないし、楽しいの。夜も貴方が隣にいると、悪夢も見ない…だから」
過去のトラウマ…ゴブリンの巣での絶望が彼女を苦しめていたが、竜騎士の存在がそれを和らげてくれていた。
彼女の目は期待と不安が混じり、頰が少し赤らんだ。
竜騎士は手を止め、彼女の目をまっすぐに見つめた。
胸の鼓動が速くなり、照れくさそうに頰を掻いた。
「嫌なわけないだろ。好きな君とずっと一緒にいたい…だから、僕で良ければお願いします」
彼の言葉はぎこちなく、しかし心からのものだった。
異世界の戦士として、孤独だった彼にとって、彼女との日常はかけがえのないものだった。二人は顔を近づけ、優しいキスを交わした。
女武闘家はじゃあ、今日から二人の家だね。
よろしくね、と恥ずかしそうにはにかみながら言った。
彼女の笑顔は部屋全体を明るくした。
竜騎士は彼女を抱き寄せ、「よろしく」と返した。
二人は後片付けを終え、手を繋いで村の道を歩き始めた。
二人は村周辺の見回りに出た。村の外れを巡り、麦畑の端や森の入り口を慎重にチェックした。
近くの森は比較的に穏やかで、木々が静かに揺れ、鳥のさえずりが聞こえるだけだった。
ゴブリンの巣穴らしき物は無く、足跡や臭いさえ感じられなかった。
女武闘家はスファライ・アルテマを手に嵌め、警戒を解かず歩きながら言った。
「この辺りは本当に平和ね…でも、油断は禁物できないね」
竜騎士はゲイボルグ・アルテマを担ぎ、頷いた。
「そうだな。村を守るためにも、村にいる時は定期的に回ろう」
二人の絆は深まり、巡回の時間さえ心地よいものになっていた。
森の奥を少し進んだところで、近くの川のせせらぎが聞こえてきた。女武闘家がふと立ち止まり、「ちょっと休んで行こうか?」と提案した。
竜騎士は笑顔で同意し、二人は座りやすそうな場所を見つけた。
川辺の大きな岩に寄りかかり、草の上に座った。
彼女が作ってくれたサンドイッチを取り出し、昼食にした。
新鮮なパンにハムとチーズ、村の野菜が挟まれ、新鮮な味が染み込んでいた。
「美味しい…君の手作り、最高だよ」
竜騎士は一口かじり、満足げに言った。
女武闘家は照れくさそうに笑い、「ふふ、朝早く起きて作ったんだからね」
二人は川の流れを眺めながら食べ、穏やかな時間を過ごした。村の平和が、二人の心を優しく満たしていた。
二人は見回りを終えて村に戻った。
村の入り口に着くと、麦畑の金色が広がり、子供たちの笑い声が聞こえてきた。
何気ない一日だったが、村の温かさが心地よく、ゴブリンや人の醜さを見てきた二人にとっては癒しの時だった。
女武闘家は竜騎士の腕に軽く寄りかかった。
「今日はこれで終わりね…」
彼女の声は疲れを帯びていたが、笑顔が優しかった。
二人は酒場で軽く食事をし、マスターの豪快な笑いに癒され、家に戻って休んだ。
そして次の日、竜騎士は手に槍を持ち、女武闘家も腰に武器をぶら下げた。
朝の陽光が村を照らす中、二人は馬に乗り、辺境の街に向かう準備を整えた。村長や村人たちが見送りに集まり、「気をつけてな!」と声をかけられた。
二人は誰かを救うために再び旅立つ。
それは魔王を倒すような壮大な旅ではない。
身近にいるか弱き人達を助ける、小さな旅。
でもかつて英雄と呼ばれた男も、人々を助ける為に冒険者になった女も、それが大事なことだと分かっていた。
ゴブリンの巣で見た残虐さ、そんな闇を払い、弱者を守ることで、自分たちの心も救われる。
女武闘家は馬上で竜騎士に微笑み、「一緒に、ね」と言った。竜騎士は頷き、「ああ、一緒にだ」と返す。
馬車が村を離れ、道は続いていく。
やがて二人は辺境の街に着くと、馬を降りてギルドに向かった。街の通りはいつも通り賑やかで、商人たちの呼び声や馬車の音が響いていた。
ギルドの建物に入ると、カウンター近くに女神官が一人で立っていた。
ゴブリンスレイヤーはいないみたいだった。
女武闘家は彼女に気づき、自然と声をかけた。
「こんにちは。今日は一人なの?」
女神官は女武闘家に気がつくと、目を輝かせて挨拶をした。
「あ、こんにちは! ええ、今日は…ゴブリンスレイヤーさんは応接室で他の冒険者と話し合いをしているみたいです」
彼女の声は優しく、少し照れくさそうだった。
あの寡黙な男の不在が、彼女を少し寂しげに見せていた。
女武闘家は頷き、少し感慨深げに言った。
「そうなんだ。でも、凄いよね。私達も何度かゴブリン退治したけど、救えた人もいれば救えなかった人もいる。あの人は今まで一人でこなしてきたんだもんね。きっと私なんかより、色々な物を見てきたんだろうな…」
彼女の言葉には、過去のトラウマと最近の村での経験が混じり、ゴブリンスレイヤーの強さを敬う気持ちが込められていた。
女武闘家自身、ゴブリンの残虐さを身をもって知り、救えなかった命の重さを痛感していた。
女神官は少し目を伏せ、静かに答えた。
「そうですよね…だからなのかもしれないですね。放っておけないっていうか…なんでしょうね」
彼女の声には、ゴブリンスレイヤーへの理解と優しさがにじんでいた。
あの男の過去の闇を、彼女は少し知っているのかもしれない…
二人の会話は穏やかで、ギルドの喧騒の中で小さな安らぎを生んだ。
その時、応接室の扉が開き、ゴブリンスレイヤーが出てきて受付の方へ向かった。
角の折れた兜と革鎧の異様な風貌が、ギルドの冒険者たちを一瞬静まらせた。
女神官は女武闘家に軽く挨拶すると、受付の方へ向かって行った。彼女の背中は、いつものように控えめで、しかし強い意志を感じさせた。
女武闘家は彼女を見送り、竜騎士に目を向けた。
二人は掲示板に目を戻し、次の依頼を探し始めた。
暫くギルドの掲示板で依頼書を眺めていると、女神官が再びやって来て、少し息を切らした様子で声をかけた。
「あの、もし良かったら…一緒に、行きませんか? ゴブリン退治なんですけど、ゴブリンが沢山いるらしくて…」
女武闘家は竜騎士の方を向いた。彼は一瞬考え、静かに頷いた。
「僕達で良ければ、行きますよ。ゴブリンは放っておけないですから」
その言葉は穏やかだが、ゲイボルグ・アルテマのエーテルの光が淡く輝き、決意を表していた。
女神官は目を輝かせ、「ありがとうございます!」と感謝を述べ、仲間のところへ案内してくれた。
そこにはゴブリンスレイヤー達が座っていた。
実際に話をするのは初めてだったので、竜騎士は緊張しながら近づき、「初めまして、よろしくお願いします」と言って手を差し出した。
ゴブリンスレイヤーは「ああ、こちらこそよろしく」と一言返し、無骨な手で握手をした。
その握りは強く、戦いの傷跡が刻まれた掌が、静かな強さを語っていた。
他には、妖精弓手、鉱人道士、蜥蜴僧侶もいた。どれも銀等級の冒険者だ。一番上の白金等級は勇者などの選ばれた者だし、二番目の金等級も英雄クラスの人達のみ。
事実上、銀等級が普通の冒険者の中では最高位なのだ。
彼らの目は鋭く、経験豊かな戦士の風格を漂わせていた。
竜騎士は少し緊張しながら、声をかけた。
「声をかけてくれたのは嬉しいですが、僕達はまだ駆け出しの白磁の冒険者ですよ。ジャイアントラットとゴブリンくらいしか倒していないし」
彼の言葉は謙遜を含み、異世界の英雄としてのプライドを抑えていた。
女神官は慌てて首を振り、「そんな事ないですよ! 結構二人有名ですよ。初の依頼でジャイアントラット倒すついでに数百のジャイアントローチを焼き払ったとか、ゴブリンの巣を二人で壊滅させたとか、あとは実は異世界の英雄なんじゃないかとか…」
その言葉に、竜騎士と女武闘家は目を丸くした。多少脚色されてはいるが、自分達がそんな目で見られているのは知らなかった。
ギルドの噂が広がっていたようだ。女武闘家は頰を赤らめ、「そんな…大袈裟よ」と呟いたが、竜騎士は苦笑しながら、「僕たちはただ、助けたいと思っただけですよ」と答えた。
ゴブリンスレイヤーは兜の下から静かに二人を見据え、短く言った「…助かる」
二人は新たな仲間たちと、ゴブリン退治の準備を始めた。
ギルドを出て、街の通りを移動しながら、二人は女神官や他のメンバーと並んで歩いた。
パーティーの面々は目的の詳細を話し始めた。
竜騎士はゴブリンスレイヤーの寡黙な背中を眺めながら、女神官に尋ねた。
「今回の依頼の目的は? ただのゴブリン退治じゃないみたいだけど」
女神官は杖を握りしめ、少し声を低くして答えた。
「魔神王の復活に伴い、森人の土地で小鬼が活発になっているんです。それで巣のある遺跡に向かうんです…」
彼女の言葉に、女武闘家は眉を寄せた。「魔神王…それでゴブリンが増えてるの?」
竜騎士はギルドで周りの連中が都の方でデーモンが、という話をしていたのを思い出した。
あの噂が本当なら、この世界の闇はさらに深まっているのかもしれない。
パーティーの面々は黙々と歩き、街の門を抜けて森の道へ入った。
その時、鉱人道士が二人の武器に目を留め、太い声で聞いてきた。
「おいおい、そんな凄い武器見た事も聞いた事もないぞ! なんだあれ、輝いてるじゃないか」
彼の目は好奇心で輝き、髭を撫でながらゲイボルグ・アルテマとスファライ・アルテマを交互に眺めた。
竜騎士は正直に答えた。「これは対蛮神兵器であるアルテマウェポンの力が宿っている武器なんですよ、絶アルテマウェポンを倒した時に手に入れた物です」
エーテルの青白い光が槍に宿り、パーティーの面々が一瞬息を呑んだ。
女武闘家は自分のスファライ・アルテマを嵌めた拳を軽く握り、「私は彼に貰ったので、詳しい事は分からないけど…凄い力があるのよ」と少し照れくさそうに答えた。
鉱人道士は頭を掻き、「アルテマウェポン? 蛮神? よく分からないが、なんか凄いというのは分かるぞい!」と豪快に笑った。
妖精弓手がそれに突っ込みを入れ、「それ、分かってないのと一緒じゃん! 私だって普通の武器じゃないのは分かるわよ。光ってるし、なんか…神聖な感じ?」
蜥蜴僧侶は静かに頷き、「どちらにせよ、我等にとっては強力な味方なのには変わらぬでござるよ。ありがたきかな」彼の僧侶らしい落ち着いた声がパーティーを和ませた。
女武闘家と女神官はくすくす笑いながら楽しそうに会話をしていた。
「あの武器、綺麗よね。まるで星の欠片みたい」
女神官が杖を握りながら言えば、女武闘家は「ええ、私も最初は驚いたわ。でも、彼がいてくれるから、心強いわよ」と返した。
二人の女性の軽やかな笑い声が、森の道に明るさを加えた。
一方、ゴブリンスレイヤーは無言だった。
彼の兜の下の目は前を向いたまま、ただ歩き続ける。
寡黙な背中が、パーティーの中心のように感じられた。
二人はそんな彼の存在に、静かな敬意を抱いた。魔神王の影が迫る中、このチームでゴブリンの脅威を払う戦いが、間近に迫っていた。
一行は途中で野営する事にした。
森の道は夕暮れに染まり、木々の影が長く伸びていた。
ゴブリンスレイヤーは無言で適した場所を選び、皆が協力して焚き火を起こした。
炎の揺らめきがパーティーの顔を照らし、疲れた体を温める。
妖精弓手が弓を下ろし、皆の輪に座りながら、好奇心から尋ねた。
「みんな、どうして冒険者になったの?」
鉱人道士がそりゃ世界中の旨いもの喰うために決まっておろうと、肉を齧りながら話した。
妖精弓手は鉱人道士に「耳長はどうじゃ?」と聞き返されたが、彼女は「私は外の世界に憧れてってところね」と答えた。
鉱人道士は肉を旨そうに食いながら「そうか…」と答えるが話を聞いていない様だった。
妖精弓手は「聞きなさいよ!!」とツッコミを入れる。
皆の笑いが焚き火の火花のように飛び、蜥蜴僧侶が今食べている肉は沼地の獣の肉だと言う。
竜騎士と女武闘家も食べてみると、意外に旨くて、二人は「美味しいね」と言いながら食べていた。
妖精弓手は「えぇ〜そんなの美味しいの」と言う。
どうやら森人と言うのは菜食主義者らしい。
女神官が乾燥豆のスープも用意してくれていて、妖精弓手は美味しそうにスープを飲んでいる。
竜騎士と女武闘家もスープを飲んでみた。優しい味がした。
女武闘家が身体に良さそうねと言いながら美味しそうに食べているのを、竜騎士は微笑ましく見ている。
冒険者になったきっかけの話に戻り、蜥蜴僧侶は拙僧は異端を殺して竜になる為と言った。
妖精弓手は竜騎士と女武闘家にも聞いて来た。
女武闘家は人を守るためにと父との約束を語った。
竜騎士は色々な世界を見て回りたくて冒険者になったと言うと、妖精弓手はそうだよね!分かると頷いた。
そしてゴブリンスレイヤーの方を振り向く。ゴブリンスレイヤーは「ゴブリンを…」と言うと、妖精弓手は「あんたのは何となく分かるからいいや」と言った。
焚き火の炎がパチパチと音を立て、皆の笑いが森に溶けていった。この一時が、二人の旅に新たな絆を加えるのだった。
そして、妖精弓手が森人の保存食を出して、皆に分けた。
最初の女神官が一口食べて「美味しい!木の実香りと甘みが香ばしい」
見た目はクッキーや乾パンみたいな感じに見える。
女武闘家も食べると「これこそ森の恵みね、栄養満点で、長旅にぴったりだね」
妖精弓手は自慢気にしていた。
鉱人道士はそれを受け取りながら、自分の袋から鉱人の火酒を取り出した。瓶の中身はかなり強い蒸留酒だ。
竜騎士も飲んだが「こ、これは凄い強い…でも酒好きにはたまらないでしょうね」
竜騎士と女武闘家は自分たちの村自慢の葡萄酒を出した。村の葡萄から作った軽やかな赤ワインで、果実の香りがふんわり広がる。
「うちの村の特産だよ。みんなで飲もう」
女武闘家が瓶を開け、皆の杯に注いだ。
鉱人道士は「これも中々いけるのぉ」と言いながら飲んでいた。
ゴブリンスレイヤーは無言で自分の袋からチーズを出した。硬めの白い塊で、独特の風味がある。
女武闘家は「ここのチーズ美味しいよね!私大好き!」目を輝かせていた。
みんなそれぞれ楽しんだ。焚き火の炎がパチパチと音を立て、酒と保存食が回る中、笑い声が森に響いた。
蜥蜴僧侶は特にチーズを気に入った様子だった。
話は自然とゴブリンの起源に移った。
焚き火の炎がパチパチと音を立て、皆の顔を赤く照らす中、蜥蜴僧侶が静かに口を開いた。
「拙僧は血の底からと父祖から教わったが」彼の声は低く、鱗の体が火光に輝いた。
女神官は頷きながら続けた。「誰かが何か失敗すると、1匹沸いて来るって聞いたわ。子供のしつけみたいなものですね」と言い、女武闘家はそれを聞き、焚き火を見つめながら言った。「私も、父さんから同じ話を聞いたわ。失敗や怠惰がゴブリンを呼ぶって…だから、いつも気を引き締めなさいって」
彼女の声には父との約束を思い出すようだった。
ゴブリンスレイヤーは兜の下から、ぶっきらぼうに言った。「…緑の月から。岩だけで何もない月から、羨ましくて、妬んで来る」と姉から聞いたと話した。
女神官は「お姉さんがいたんですね」と聞くとゴブリンスレイヤーは「ああ、いた」とだけ答えた。
女武闘家は「なんか、怖い話ね…」と呟き、竜騎士は皆の話を聞きながら、月を見上げていた。
ゴブリンの起源、異世界の彼にとって、馴染みのない話だが、竜騎士は女武闘家の横顔を見て、そっと手を握って「僕がついているよ」と彼女にだけ聞こえる様に囁いた。
焚き火の輪の中で、二人の絆が静かに深まっていった。
竜騎士はふと自分の世界のゴブリンを思い出した。
四方世界のゴブリンとは違い、人語を喋り機械に強い種族。
二つの世界のヒトや他の種族は多少の違いはあるが、そんなに変わらないのにゴブリンだけが異質の存在。
通常の進化を遂げているとは思えない奴等は何処から来たのだろうかと…