※この作品はR-18です。

女武闘家と竜騎士   作:蒼月あお

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大罪喰いと雪山の温泉

二人は剣の乙女の依頼を受け、水の街から雪山の近くにある遺跡へ向かった。

馬車を乗り、道中は防寒着を羽織って寒さに備える。

街の賑わいを離れ、道は次第に白い雪に覆われ、息が白く凍るようになった。

女武闘家は馬車から雪景色を眺め、「綺麗だけど、寒いわね……罪喰いって、本当にいるのかしら?」と不安げに言った。

 

竜騎士は槍を膝に置き、法の神殿での事を思い浮かべた。

 

「剣の乙女様の話だと、間違いないだろう。僕の世界で倒した者達が復活しているのかも知れない……この世界の緑の月の管理者と呼ばれている者が、関わっているのなら」

 

罪喰いと言っても、通常の罪喰い以外にも種類はある。

 

周囲を光のエーテルで覆い、一見すると夜も雨も無い世界を作り上げる、大罪喰いと呼ばれる存在。

そして光の氾濫を起こした最初の罪喰いエデン。

どのクラスの罪喰いが呼び出されたのか、不安であった。

 

竜騎士はゲイボルグ・アルテマを構え、「大罪喰いなら、周囲のエーテルが光に偏ってる為、夜は無く、禍々しい光が大地を照らす、エデンなら、最悪の世界の終わりの始まりの可能性もある」

 

女武闘家は拳を握り、「大丈夫よ!どんな敵でも、倒すわよ!貴方と一緒なら」

 

幸い道中は穏やかで、女武闘家は座席に体を預け、外の雪景色を眺めていた。

竜騎士は地図を広げ、遺跡の位置を確認しながら「遺跡の近くに村があるから、立ち寄ろうか。情報集めにもいいかも知れない」と提案した。

馬車の揺れが心地よく、女武闘家は馬車の中でいつの間にか寝てしまった。

旅の疲れと昨夜の甘い余韻が、体を優しく眠りに誘った。

竜騎士は彼女の寝顔を優しく見守り、馬車があまり揺れない様に御者に声をかけながら、地図を折り畳んだ。

 

女武闘家はどれだけ眠ってしまったのだろうが、目が覚めて竜騎士に「ごめん、寝ちゃったみたい……」と言った。

しかし辺りはまだ昼間なのか明るい。馬車の窓から差し込む光と雪の白さが目に眩しい。

 

「結構寝た気がしたんだけど、まだ昼間か……」

 

彼女は体を起こし、伸びをしながら外を眺めた。

竜騎士は彼女の肩に手を置き、静かに言った。

 

「いや、恐らくは今は夜だよ。後ろを見てごらん」

 

女武闘家は後ろの方を向くと、遠くの方の空が真っ暗で星空になっていた。

馬車の進行方向は明るいが、後方は夜の闇が広がり、星が瞬いている。

 

「え? これってまさか……」

 

竜騎士は表情を硬くし、槍を膝に置いた。「恐らくは大罪喰いがいると思う。この先の村も心配だ……急ごう」

 

大罪喰いが周囲を光のエーテルで覆い、永遠の昼間を作り出している。

馬車を急がせ、二人は緊張を強めた。

そして、村に近づくと、冒険者風の若者と数人と村人と思われる数人が走って来た。

 

慌てた様子で馬車を避け、反対方向へ逃げていく。

冒険者風の魔法使いの若者はローブを翻し、杖を握りしめながら叫んだ。

 

「おい、アンタらこの先の村に行くのはダメだ! 早く逃げろ!」

 

村人も息を切らしながら、「よく分からない白い魔物達が村を襲撃して来たんだ! 奴等は村人達を襲うと、村人が同じ魔物にされちまったんだよ!」

 

神官風の女性が、「傷ついた人に奇跡を与えたのですが、突然傷口から光が溢れて繭になってしまったの……何でなのか分からない。だから逃げるしかない、貴方達も早く! 」

 

彼女の声は震え、純粋な目が恐怖に満ちていた。

彼女も冒険者仲間の一人で、傷ついた村人を癒そうとしたらしい。

その奇跡により光属性が強くなり罪喰い化したのだろう。

だが竜騎士はその事は彼女には言わなかった。

 

戦士風の男性は斧を地面に突き刺し、苛立った声で言った。

 

「俺たちゴブリン退治に来たのに、何なんだよ……」

 

他の逃げ延びた、村人達も似たような事を言っている。

人々が家畜が異変化していると…動物たちが白い光に包まれ、奇妙な繭になり、同じ白い魔物に変わってしまうという。

村の入り口で逃げてくる人々が、息を切らして叫ぶ。

 

「早く逃げろ! あの白い奴らに傷つけられたら繭にされるぞ……!」

 

竜騎士は槍を構え、女武闘家は拳を握りしめた。

 

竜騎士と女武闘家は荷物をまとめて馬車を降りると、馬車の御者に金を渡し、「安全な場所に!急いで!」村人たちが馬車に乗り込み、女性や子供たちが涙を流しながら去っていく。

馬車が遠ざかるのを見送り、二人は互いに視線を交わした。

 

「行こう……村の様子を見ないと」

 

竜騎士の声は決意に満ち、女武闘家は頷いた。

 

「うん……罪喰いを止めるわ」

 

二人は村を目指した。

雪の道を急ぎ、村の入り口に近づくと、白い糸のようなものが広がっていた。

 

村の中は家々が崩れ、畑が白い繭に覆われて、異変の気配が濃い。

罪喰いが村人を襲う光景が広がっていた。

繭が地面に転がり、中から新たな白い怪物が生まれる。

その光景を見た女武闘家は一言

 

「これが……罪喰い……」

 

二人は武器を構えて村に入って行った。

光の粒子を纏った白い怪物たちが、襲った人達を白い繭に変え、新たな罪喰いを生み出していく。

 

村の家々が崩れ、悲鳴が響く中、竜騎士はゲイボルグ・アルテマを構え、ジャンプして罪喰いの集団の中に飛び込んでいった。

女武闘家もスファライ・アルテマを輝かせ、続いて追う。

 

罪喰いの中心に槍を突き立て着地する衝撃で、罪喰い達は吹き飛んだ。

青白いエーテルの爆発が周囲を震わせ、白い体が四散する。

女武闘家も罪喰いを倒しながら追いつき、拳の連撃で怪物たちを砕く。「強さは普通の魔物とあまり変わらないのね……」

 

彼女は罪喰いの動きを冷静に分析していた。

竜騎士は女武闘家に忠告する

 

「罪喰いに傷つけられると体内の光のエーテルが増加し、限界を超えると罪喰い化をするから気を付けて!」

 

更に竜騎士は槍を振り回し、群れを薙ぎ払いながら言う。

 

「ただ奴等は無差別に仲間を増やす。ある意味ゴブリンよりたちが悪いかも知れない。出来るだけ村人を助けよう」

 

彼の目は村の惨状を捉え、光の氾濫の兆しに警戒を強めた。

罪喰いが村人を感染させ、白い繭から新たな怪物が生まれる、この連鎖を止めなければ、村は全滅する。

 

村人達は罪喰いから逃げ惑っていた。家畜の牛や羊は罪喰い化し、凶暴になり村人を襲う。

 

白い光に覆われた家畜たちが、角や蹄を振り回し、村人を追い詰める。

罪喰いに襲われた人達は苦しみながら、目や耳、口や鼻、全身の穴から白い汁を吹き出して崩れ落ち、繭となる。

そこから新しい罪喰いが生まれ、人を襲う。村の道は白い繭で埋まり、光の粒子が空を覆い、永遠の昼間のように明るい。

 

竜騎士と女武闘家は元家畜や人だった者の罪喰いを倒しながら村の中心部に向かった。

 

そして村の中心部に行くと、一際大きい罪喰いがいた。

 

かつて第一世界でホルミンスターと言う村で今回同様に襲撃に来ていた時に倒した大罪喰フィリアだ。

 

巨大な体躯に手とは別の巨大な足の様な手で叩きつけてくる攻撃が、地面を砕く。

 

 

【挿絵表示】

 

 

二人は連携して避け、竜騎士はジャンプで大罪喰いの頭上へ跳び、槍を振り下ろす。

女武闘家も素早く回避し「こいつ……大きいわね!」

 

彼女の声は戦意に満ち、攻撃を続ける。

 

大罪喰いの手が地面を叩き、衝撃波が広がる。

二人は体を翻し、槍と拳で巨体を削る。

 

光の粒子が飛び散り、周囲の村人を感染させるのを防ぎながら戦う。

 

「これを倒せば、連鎖が止まるはずだ!」

 

竜騎士の槍が大罪喰いの胸を貫き、女武闘家の拳が頭を砕く。

 

攻撃自体は強力だが竜騎士が一度倒した相手だ、攻撃パターンも同じ故に女武闘家に的確に回避と攻撃のタイミングを指示する。

 

その後、時間はかかったが巨体が崩れ落ち、白い光が爆発的に広がる。

これを放置すれは膨大な光のエーテルが倒した者に流れ込み、倒した者が新たな罪喰いとなる。

 

だが竜騎士はその強大な光のエーテルを受け止める。

光の戦士として多少他の者よりは光の加護がある。大罪喰いとは言え一体くらいなら耐えられる。

竜騎士が天に手を突き上げると光のエーテルが切り裂かれ、漆黒の闇が現れる。

 

そして漆黒の空に星々が輝き、緑と紅い月が村を照らしていた。

村の異変が少しずつ収まり、生存者たちが集まる中、二人は息を荒げて互いの無事を確認した。

 

女武闘家は息を荒げ、拳を緩めた。

 

「これで……終わったのね」

 

だが、竜騎士は少しよろめいた。槍を地面に突き刺し、体を支える。膨大な光のエーテルが彼の体内に流れ込み、熱く脈打つ感覚が体を襲う。

 

実際のところ彼は、ただ膨大な光のエーテルを体内に封じ込めただけなのだ。

暫くすれば自浄作用により何とかなるが、身体の負担は大きい。

 

しかし、女武闘家や他の人には心配かけない為にも伝えなかった。

彼女が近づき、「大丈夫?」と心配げに肩を支える。

 

竜騎士は笑顔を浮かべ、「ああ、ちょっと疲れただけさ。村が助かって良かったよ」

 

二人は大罪喰いを倒した後、村を見て回り、他に罪喰いがいない事を確認した。

 

村の空気が正常に戻り始める。

崩れた家々や畑の跡を歩き、生存者たちに声をかけながら、村の中心へ集まった。

村人たちは二人の姿を見て安堵の息を吐き、感謝の言葉を述べる。

女武闘家は拳を緩め、「これで終わったわね……」と息を吐いた。

 

竜騎士は槍を収め、周囲を警戒しながら頷いた。

 

「まだ油断はできないけど……話を聞こう」

 

村人たちから話を聞いたが、罪喰いが突如襲撃した事以外はほとんど情報は無かった。

突然白い魔物達が現れて村人を襲い始めて、動物や人々が次々と変わっていったという。

 

村長は「あんな怪物、見たことないよ……突然現れて、村を飲み込んじまった……」と震える声で語った。

 

ただ、村の猟師によると、最近真っ白な動物をたまに見る事があったらしい。

 

「森の奥で、鹿や兎が白く光ってるのを見たよ。最初は気のせいかと思ったが……今思うと、あれが予兆だったのかもな」

 

猟師の目は遠くを眺め、森の方向を指差した。

 

女武闘家は村人たちに声をかけ、「私達、遺跡に罪喰い……いや、白い魔物がいると聞いて調査に来たんです。他にも何か分かる人いますか?」と聞いた。

 

彼女の武闘着が風に揺れ、村人たちの視線を集める。

 

猟師は首を振り、「あそこはあまり村人近づかないから、分からないな、古い遺跡で、昔から近づくなと言われてきた場所さ。緑の月を祀っているって話だ」

 

村長は不安そうに手を擦り合わせ、「まだ遺跡にあんな巨大なのがいるのですか?」と聞いた。

村人たちの目が二人に注がれ、恐怖の余波が残る。

 

竜騎士はこの一体が夜になっているのを見ると、周囲の空を見上げて答えた。

 

「恐らく巨大なのはいないと思いますが、残党や罪喰い化した魔物や動物はいると思いますので、注意して下さい」

 

彼の声は冷静で、村人たちに安心を与えるものだった。

 

 

二人は遺跡へ向かった。雪山の麓、冷たい風が吹きすさぶ道を進む。

雪を踏みしめて遺跡の入り口に着いた。

石造りの遺構は雪に埋もれ、静かに口を開けていた。

 

竜騎士は槍を構え、周囲を警戒した。

 

「恐らくは大罪喰いが村を襲撃した以上いないと思うが……雑魚の罪喰いに注意だな……」

 

彼の声は低く、光の氾濫の兆しが収まった空気を肌で感じていた。

 

女武闘家は拳を握り、「そうだね。気をつけるわ」

 

遺跡には無数の繭こそあったが、誰もいない廃墟だった。

 

薄暗い廊下に白い繭が転がり、雪の粒子が入り込んで光を反射する。

繭の中から微かな光が漏れ、静かな異様さが漂う。

二人は繭を避けながら奥へ進み、息を潜めて周囲を探った。

 

「これ……全部、人や動物の……?」

 

女武闘家が繭に触れそうになり、手を引っ込めた。

 

竜騎士は槍で繭を軽く突き、「中は空っぽだ。罪喰いが移動した、村を襲撃した中にいたのかも…」

 

 

その時、竜騎士は目眩がして倒れた。

視界が揺れ、膝から力が抜ける。

過去視の能力が発生して、フードの男が遺跡に魔力を注いで、大罪喰いフィリアを呼び出す映像が頭に流れた。

フードの男の影が装置に手を置き、光の渦が渦巻き、白い巨体が現れ、フィリアの咆哮が脳裏に響く。

 

 

暫くすると、女武闘家が「大丈夫?」と声をかけていた。

彼女の心配そうな顔がすぐ近くにあり、手が彼の肩を支える。

先程よろめいた事もあり、彼女の目は不安に満ちていた。

 

竜騎士は体を起こし、息を整えながら答えた。

 

「過去視により、過去にここであった事を……フードの男が遺跡に魔力を注いで、大罪喰いフィリアを呼び出したんだ」

 

彼の声は震え、緑の月の管理者の影が再び浮かぶ。

エオルゼアの罪喰いが、この世界で蘇った理由が明らかになった。

 

女武闘家はやっぱり月の管理者が……と呟き、拳を握りしめた。

 

「またあの男が……貴方が倒した敵を呼び寄せてるのね」

 

彼女の目は怒りに燃え、遺跡の装置を睨む。

 

竜騎士は遺跡の装置を破壊すると、ゲイボルグ・アルテマを振り上げ、石のコンソールを砕いた。

青白いエーテルの爆発が起き、装置が粉々になる。

 

「これで、呼び出しは防げるはずだ」

 

ひとまず村に戻った。二人は雪の道を急ぎ、村の生存者たちに報告する。

 

村に戻ると、村の前で逃げ出していた冒険者や村人達も戻って来ていた。

雪の道を馬車が引き返し、皆の顔に安堵の色が浮かぶ。

 

御者が禍々しい光が消えた為、様子を見に戻って来たとの事だった。

光の領域が収まり、夜の闇が戻った村は、静かに息を吹き返し始めていた。

 

村人たちは互いに声をかけ合い、崩れた家々の前で立ち止まる。

深夜で寒さも酷くなって来たので、村人達は比較的被害のない家や建物に分散した。

 

竜騎士と女武闘家は村長の家に泊まった。

粗末な木造の家だが、暖炉の火が優しく部屋を照らし、村長の妻が温かなスープを振る舞ってくれた。

女武闘家は体を震わせ、「身体動かしている時は平気だったけど、寒い……」と呟いた。

 

雪山の冷気が体に染み込み、湯気の立つスープを啜る手が少し震える。

竜騎士は彼女の隣に寄り添い、肩を抱いた。

 

「流石にこの状態だ、家に泊めて貰えるだけありがたいよ」

 

彼の温もりが彼女を優しく包み、村長の家で一夜を過ごす事になった。

村長は暖炉の前に座り、皆で今日の惨劇を振り返る。

 

「あの白い怪物……本当に恐ろしかったよ。お前さんたちのおかげで助かった」

 

村長が寒がっている女武闘家を見ながら喋った。

 

「そういえば、実は山を登らないと行けないのですが、秘湯のある知る人ぞ知る村があるのですが……と言う。隠れた名湯で、雪山に位置するらしい。

 

女武闘家は目を輝かせ、「温泉か……入ったら気持ちいいだろうな……」と想像した。

冷えた体に、温かな湯が恋しい。

 

竜騎士は「そんなに遠くないし、大罪喰いもひとまずは倒したし、行ってみるかい?」と提案した。

 

村長はその言葉を待っていたかのように、「実は……行くならついでに頼みが……」と言う。

 

どうやらその村に食料品などを持って行って欲しいとの事だった。

雪山の孤立した村で、冬の備蓄が少ないらしい。

村長の妻も頷き、「最近雪で行き来出来なかったから、あそこは食料が不足してるはずだよ。届けてやってくれないか?勿論報酬は出す」

 

つまり温泉の話をしつつ食料を届ける依頼をしたかったらしい。

 

竜騎士は「しかし、この村は大丈夫なのですか?」と心配そうに聞いた。村の被害が大きく、食料を分ける余裕があるのか。

 

村長は頷き、「確かに被害は大きいが、冬を超えられるくらいの備蓄はある。ただ、その村は食料が少なっているはずだから、届けてやって欲しい」村人たちの温かな視線が二人に注がれ、竜騎士はエオルゼアから持ってきたチョコボかばんを思い浮かべた。

あの魔道具のようなかばんは、見た目以上の物が入る。

 

「大丈夫ですよ。」と許諾した。

二人は村長の家で休み、翌朝の出発を決めた。

 

翌日、竜騎士は村長の家で荷物をまとめ、食料品などの物資をチョコボかばんに詰め込んだ。

村人たちが集めたパンや野菜、干し肉、毛布などの備蓄を、次々とバッグへ入れる。

 

バッグはエオルゼアの不思議な魔道具で、見た目以上の容量があり、どれだけ詰めても軽いままだ。

逆に、バッグの中にストックしてあるポーションなどを出した。

ポーションや回復薬が山のように積まれ、村長の目に映る。

 

村長はそんなに……と驚き、目を丸くした。

 

「こ、こんなにたくさん……本当にいいのかい? 」

 

竜騎士は笑顔で頷き、「前に作りすぎちゃって、999個入っているのですが、全然減らないので大丈夫ですし、また作れますから」

 

エオルゼアの錬金術師ギルドで鍛える時に大量に作った物が入っていた。

 

女武闘家は横で頷き、「本当にたくさんあるわね… スタミナポーションは買ったやつだけどね、ふふ」と悪戯ぽく笑った。

 

村長はでは、よろしくお願いします。と言うと、二人は「行って来ます」と返事をした。

 

村人たちが集まり、見送る中、二人は雪山を登り、温泉のある村を目指した。

道は雪に覆われ、冷たい風が吹きすさぶ。防寒着を羽織り、足元を確かめながら進む。

 

女武闘家は雪を踏みしめ、「寒いわね……でも、温泉が待ってると思うと頑張れるわ」

 

竜騎士は彼女の手を握り、「そうだな。秘湯の村、楽しみだよ。」雪山の白い景色が広がった。

 

 

ようやく村に着くと、村長が出て来て、二人を見るなりため息をつかれた。

 

「また冒険者か……」

 

村長の声は疲れに満ち、頭を振りながら、粗末な家の前で腕を組んだ。

雪山のこの秘湯の村は、辺境の小さな集落で、温泉の湯気があちこちから立ち上っていた。

村人たちが遠くから二人の姿を見て、好奇心と警戒の視線を向ける。

 

竜騎士は槍を肩に担ぎ、村長の態度に少し戸惑いながら尋ねた。

 

「何かあったんですか?」

 

女武闘家も隣で拳を軽く握り、村の雰囲気を察した。

 

どうやら自分達の前に二組の冒険者が来ており、最初の冒険者はゴブリン退治、次の冒険者は最初の冒険者を探しに来たらしい。村長はため息を繰り返し、「最初の連中はゴブリンの巣へ行ったきり戻らず、次の奴らは探しに行っているよ、ただ食料だけが減っていく」と愚痴をこぼした。

 

竜騎士はチョコボかばんから荷物を出し、「実は麓の村から食料品や日用品を持って来たんです。村長さんにお届けするよう頼まれました」と説明した。

 

袋からパンや干し肉、毛布などが次々と出てくる。

 

村長の顔色が急に変わって歓迎ムードになった。

 

「おお! これはありがたい! 雪山の冬は厳しいからな……よく来てくれたよ!」

 

彼の態度は一変し、笑顔で二人の肩を叩いた。村人たちも集まり、荷物を運び始める。

 

女武闘家は竜騎士に小声で「ちょっとこの村長さん、調子いい人ね」と囁いた。

彼女の目は少し呆れ気味で、村長の変わり身の早さに苦笑する。

竜騎士も「まぁ、村の生活は大変そうだしね」と小声で返した。

 

荷物の引き渡しが終わると、竜騎士は村長に尋ねた。

 

「実はこの村には温泉があるって聞いたのですが……」

 

村長は目を輝かせ、「おお、よく知ってるな! うちの秘湯は知る人ぞ知る名湯だよ。体が芯から温まって、どんな疲れも吹き飛ぶんだ!」と暫く温泉の自慢話をされた。

 

源泉の温度、効能、村の歴史など、村長の話は止まらず、二人はちょっとだけ引きつった笑顔で聞き続けた。

秘湯が村の誇りらしく、雪山の寒さを忘れさせるほどの湯だと熱弁された。

 

暫く自慢話を聞かされたあと、二人はようやく温泉に入る事になった。

 

村長は「特別に、貸切で二人仲良く入りな!」と気前よく許可し、村の奥の湯小屋へ案内した。

 

竜騎士は女武闘家に「ようやく温泉入れるよ。一緒に入ろう」と手を引っ張る。

女武闘家はうん!と喜び、一緒に着いてきた。

 

湯小屋の中は木の香りが漂い、湯船が二人を待っていた。

 

二人は温泉小屋の脱衣所で服を脱ぎ、体を洗い合った。

雪山の冷たい風が外から吹き込む中、湯気の立ち上る浴場は温かく、二人の体を優しく迎え入れる。

 

竜騎士は石鹸を泡立て、女武闘家の背中を丁寧に洗う。

彼女の引き締まった肌が滑らかで、指先が優しく滑る。

 

「ここ、気持ちいい?」

 

彼の声は低く、彼女の肩を優しくマッサージするように。

 

女武闘家は笑いながら、「うん、ありがとう。」洗い終わると、二人は湯船へ向かった。

 

竜騎士は湯に足を入れ、声を出しながら浸かる。

熱い湯が体を包み、雪山の寒さを一気に溶かす心地よさに、自然と声が出た。

 

女武闘家は湯に浸かりながら、くすくすと笑った。

 

「なんか、父さんみたい」

 

 

【挿絵表示】

 

 

彼女の目が悪戯っぽく輝き、ポニーテールの髪が湯に濡れる。

 

「小さい頃に一緒に入る時に、よく声を出して入っていたわ」

 

彼女の父の思い出を言う。

 

竜騎士は湯の中で体を伸ばし、照れくさく答えた。

 

「だって気持ちいいんだもん、仕方ないじゃん」

 

彼の声は少し拗ねたように、湯の熱さが頰を赤く染める。エオルゼアの温泉を思い浮かべ、この世界の秘湯の温かさに満足げだった。

 

女武闘家は外は雪降っている中、こうやってあなたと温泉入るの最高と喜んでいる。

彼女の体が湯に沈み、雪の白い景色が窓から見える。

 

「寒い外と、温かい湯……貴方と一緒で、夢みたい」

 

彼女の笑顔が湯気に映え、竜騎士の心を溶かす。

 

竜騎士は確かに、法の神殿の大浴場もいいけど、こういう温泉も最高だねと笑顔で答えた。

 

「二人きりで、ゆっくり浸かれるのがいいよ」

 

二人は湯の中で手を繋ぎ、雪山の静けさを味わった。

温泉の湯気が二人の体を優しく包み、旅の疲れを癒す。

 

そして暫くして、二人は温泉から出ると、村長が暖かいスープと肉料理を出してくれた。

村長の家は質素だが、清潔で、暖炉の火が部屋を優しく照らしていた。

湯上がりの体に、熱いスープの湯気が心地よく、二人はテーブルに座って食べ始めた。

スープは村の野菜と肉の煮込みで、温かな味が体に染み渡る。肉料理は香ばしく焼かれたものと、煮込んだ柔らかな一品で、雪山の寒さを忘れさせる美味しさだった。

 

食べながら、竜騎士は村長に伺った。

 

「この辺で白い魔物見ませんでしたか?」

 

彼の声は穏やかだが、雪山の遺跡の調査を念頭に置いていた。白い罪喰いの影が、心に残る。

 

村長はスープを啜りながら、首を振った。

 

「こないだ村にゴブリンの襲撃があったが、白い魔物は見てないな。あの時は本当に怖かったよ……」

 

彼の目は遠くを眺め、村の被害を思い浮かべるようだった。

竜騎士はフォークを置き、「ところで、ゴブリンの方は大丈夫なのですか?」と聞いた。

ゴブリンの巣が近くにあるなら、村の安全が心配だった。

 

村長は頷き、「二回目に来た冒険者はゴブリン専門の有名な冒険者らしいから、大丈夫でしょう。あの連中、ゴブリンを見つけると容赦なく狩るって評判だしな」

 

女武闘家はスプーンを止め、「ゴブリンスレイヤーさん達かな?」と呟いた。

あのゴブリン狩りの専門家なら、村のゴブリン問題を解決してくれるはずだ。彼女の目は少し輝き、好奇心が湧いているようだった。

 

竜騎士は彼女の表情を見て、笑顔で言った。「気になるなら、向かってみるか? 調査のついでに」

女武闘家はすぐに頷き、「うん!」と答えた。

 

二人は一晩村長の部屋に泊まり、翌朝、ゴブリンスレイヤーを追う事にした。

村長の家は暖かく、毛布を分けてもらい、二人は寄り添って眠った。

朝の光が差し込む中、荷物をまとめ、村長に別れを告げた。

 

「また来ます!秘湯、最高でしたよ!」

 

女武闘家が笑うと、村長は「いつでも来なさいよ!」と手を振った。

 

二人はゴブリンスレイヤーたちの足跡を追う。

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