村の復興がある程度進んでいた。
壊れた家屋は新しい木材で修復され、畑には新しい種が蒔かれ、子供たちの笑い声が再び響くようになった。
村人たちの顔にも笑顔が戻って来ていた。
竜騎士は診療所での手伝いや、村の警備を続けながら、穏やかな日々を過ごしていた。
ある日、酒場でマスターと話をしていると、彼が豪快に笑いながら言った。
「ここもそろそろ復興してきたし、お前さんの記憶の手がかりを探すためにも、街に行ってみたらどうだい? 村じゃ限界があるぜ」
竜騎士はハッとした。
暫く村にいて、記憶喪失ということにしているのをすっかり忘れていたのだ。
ゴブリンとの戦いを除けば、この村は居心地がよく、女武闘家、酒場のマスター、女医、青年剣士の兄など、交流関係も深くなっていった。
皆が彼を村の一員のように扱ってくれるのが心地よかった。
最初はエオルゼアに帰る方法を模索して、転移魔法のテレポなども試したが、まるで行き先がないような感じで発動すらしなかった。
かつて第一世界と呼ばれる異世界に行った時ですら使えた魔法が使えない。
ここは竜騎士のいた原初世界や、そこから別れたという13の鏡像世界を含む14の世界とは全く別の世界なのかもしれない。
時折、元の世界の仲間たちのことを考えることもあったが、竜騎士はここでの暮らしが好きになっていた。
村人たちの素朴な暮らし、女武闘家の優しさ、すべてが彼の心を癒していた。
竜騎士はマスターに頼んで村人を集めてもらった。
酒場に集まった皆の前で、彼は自分のことを話した。
「この世界の人間ではなく、エオルゼアという異世界から来たこと」を全てを話した。
回数制限のない魔法の力、ゴブリン襲撃の時に見せた鬼神のような強さの事を隠さずに話した。
皆は最初、信じられないという表情を浮かべたが、この世界の魔法とは違う証拠に納得していった。
女医が「それで、あの魔法の力が…」と呟き、青年剣士の兄が「妻と娘を救ってくれた恩人だ。信じるよ」と頷いた。村人たちは驚きながらも、彼を受け入れてくれた。
竜騎士は街に行く決意を固めた。女武闘家も彼の元に駆け寄り、「私も連れて行ってください」と頼んだ。
彼女の目は過去のトラウマを乗り越えようとする光に満ちていた。竜騎士は快く受け入れ、「一緒に行こう」と微笑んだ。
女武闘家は街に行く前に立ち寄りたいところがあると言い、村はずれにある墓地に行った。
静かな風が吹く中、まずは青年剣士の墓に行き、彼女は膝をついて呟いた。
「私、もう一度頑張るからね」
幼馴染の墓標に手を触れ、彼女の目には光る物があった…
次に向かったのが父親の墓だった。彼女は花を供え、静かに言った。
「父さん、今度こそ人を救えるようになるよ」
父親の教え、村を守るための強さ、すべてが彼女の決意を支えていた。
竜騎士は少し離れて見守り、彼女の背中が少し強くなったように感じた。
二人は村人たちに見送られ、街へと旅立った。
二人は馬車の揺れに身を任せ、辺境の街へたどり着いた。
辺境とはいえ、二人のいた村に比べれば、人の往来があり、馬車が石畳の道をガタガタと走り、商人たちの呼び声が響いていた。
竜騎士は周囲を見渡し、商店街や露店が並び、果物、布地、武器、薬草など様々な物が売られ、異世界の活気が彼の心を刺激した。
「ここは賑やかだな。村とは大違いだ」
彼は呟き、ゲイボルグ・アルテマを背に担ぎ直した。
女武闘家は目を輝かせ、街の空気を吸い込んだ。「本当に…街に来るの、久しぶりです」
彼女の声には、明るさが混じっていた。
村での日々が彼女を少しずつ変え、今は再び、冒険の世界に足を踏み入れる勇気を持っていた。
竜騎士が匂いに釣られて露店に近づいた。香ばしい肉の焼ける匂いが漂い、串刺しの肉が鉄板でジュージューと音を立てている。
「なんかお腹空いてきちゃったね。食べる?」
彼は女武闘家に笑顔で聞き、彼女は頰を赤らめて頷いた。
「私もお腹空いちゃって…」
竜騎士は露店の親父に銅貨を渡し、串刺しの肉を二本と、果実の汁を絞った飲み物を買った。
肉はジューシーで、香辛料が効いた味わいが異世界の風味を思わせた。
露店の前には粗末なテーブルと椅子があったので、二人は座りながら食べた。
女武闘家が肉を頰張り、「美味しいね!」と笑顔で言った。
彼女の表情は無邪気で、村での緊張した顔とは違っていた。
竜騎士もうん!と頷き、「これはイケるな!」と食べ進めた。
二人は飲み物を分け合い、ここまでに来る、旅の途中の出来事を軽く話した。
女武闘家は時折過去を振り返り、「あの時、もっと強くなれていたら…」と呟いたが、竜騎士の励ましで笑顔に戻った。
暫くして食事が終わると、女武闘家が立ち上がり、提案した。
「冒険者登録まだなら、この街にギルドがあるんです。一緒に行ってみましょう」
彼女の目は決意に満ち、過去のトラウマを乗り越え、再び冒険者として歩む覚悟が見えた。
竜騎士は頷き、「そうだな。何をやるにせよ登録だけでもしておいた方が良さそうだね」二人はギルドを目指して歩き始めた。
街の通りは人で賑わい、鍛冶屋の槌音や子供たちの遊び声が響く中、二人の影は自然と寄り添うように進んだ。
ギルドの建物は街の中心にあり、立派な扉が待っていた。ここから、新たな物語が始まる予感がした。
竜騎士と女武闘家が中に入ると、周囲が一瞬静まり返り、すぐにざわめきが広がった。
竜騎士の背に担がれたゲイボルグ・アルテマが、青白くエーテルの光を放ち、ギルド内の照明を反射して輝いている。
冒険者たちがテーブルから顔を上げ、好奇の視線を向けた。
「凄い槍だな…あれ、いくらするんだ?」
「伝説の武器なんじゃないのか? 見たことない光り方だぜ」
憶測が飛び交い、羨望の眼差しが二人の背中を刺す。
女武闘家は少し緊張した様子で周囲を窺ったが、竜騎士は平然と受付カウンターへ歩を進めた。
受付カウンターでは、青い鎧を着た槍使いの青年が、受付嬢に武勇伝を、自慢げに話しかけていた。
彼の声は自信たっぷりで、槍をカウンターに立てかけて身を乗り出していたが、受付嬢は軽くあしらっていた。
竜騎士が近づくと、受付嬢の目が輝いた。
「はいはい! お仕事だからどいてね」
彼女は槍使いの青年を軽く押しやり、カウンターを空けた。
青年は不満げに肩をすくめ、後ろに下がった。
竜騎士と女武闘家がカウンターの前に立つと、竜騎士は静かに言った。
「冒険者登録をお願いします」
女武闘家は彼の隣で様子を見ていた。
だが、その言葉を聞いた周囲の冒険者たちの態度が一変した。
先程の羨望が嘲笑に変わり、ひそひそ声が聞こえてきた。
「なんだよ、貴族様のお遊びかよ。あの槍、ただの飾りだろ?」
「見た目から入る奴いるよな。実力あんのかよ?」
粗野な笑い声がギルドに響き、女武闘家は拳を握りしめて睨み返した。
しかし、竜騎士は全く動じず、受付嬢から渡された書類に淡々と記入した。
異世界の文字なのに、何故かスラスラと書けた。
受付嬢は書類を確認し、認識票を渡した。
「はい、最初は白磁等級からになります。頑張って依頼こなしてね」
この世界のギルドのランクは10段階あり白磁は初心者の証で、ギルドの階級では底辺だった。
冒険者たちはさらに笑い声を上げたが、竜騎士は気にせず認識票を受け取ると、首につけた。
受付嬢に対して「助かった、ありがとう」と礼を言った。
彼の声は穏やかで、嘲笑など耳に入っていないようだった。
竜騎士の手続きが終わると、受付嬢の視線が隣の女武闘家に移った。
彼女は優しく微笑みながら言った。
「あなた、冒険者を続ける事にしたんだね…でも無理は駄目よ」
受付嬢の声は温かく、ギルドの喧騒の中で小さな安堵の空間を作った。
女武闘家は少し照れくさそうに頷き、「はい。この人と一緒に、頑張ろうと思います」と答えた。
彼女の目は竜騎士を一瞥し、過去のトラウマを乗り越えようとする決意が宿っていた。あのゴブリンの巣での絶望から立ち直るために、再びこの道を選んだのだ。
竜騎士はそれを聞き、冗談ぽく肩をすくめて言った。
「いやいや、冒険者としては君の方が先輩なんだから、よろしく頼むよ、先輩」
彼の声は軽やかで、ギルドの嘲笑など気にも留めていない様子だった。
女武闘家は顔を赤らめ、恥ずかしそうに手を振った。
「やめてくださいよ…!」
彼女の笑顔は照れくさく、ちょっとだけ楽しそうだった。
その時、ふと気配を感じ、女武闘家が振り向いた。
カウンターの少し後ろに、女神官が立っていた。白と青の神官服を纏い、驚いた表情で見ていた。
女武闘家は目を丸くした。
あの最初の冒険での忌まわしい出来事、あの時、唯一彼女だけが無事で生き残ったのが、せめてもの救いだった。女神官の存在は、失われた仲間の最後の絆のように感じられた。
女神官は女武闘家の姿を見つけると、涙を浮かべて駆け寄り、彼女に抱きついた。「ごめんなさい…ごめんなさい…!」彼女の声は震え、何度も繰り返された。
ギルドの喧騒が一瞬静まり、周囲の冒険者たちが好奇の目を向けた。女武闘家は驚きながらも、女神官の背中を抱き返し、優しく頭を撫でた。
「貴女だけでも無事で良かった…。本当に」
彼女の声は穏やかで、過去の痛みを乗り越えた強さが込められていた。
女神官は涙を拭いながら、女武闘家を見つめた。
「あなたと再び会えてよかった」
女武闘家は彼女の顔を見つめ、優しく尋ねた。
「今はどうしているの?」
女神官は少し照れくさそうに答えた。
「今は、あの方と一緒に組んでいるんですよ」
彼女の視線がギルドの奥の方へ移る。そこにいたのは、角の折れた兜に革鎧を纏い、中途半端な長さの剣を腰に下げた、ギルドの中でも異様な風貌の男だった。
彼の姿は周囲の冒険者たちとは一線を画し、汚れた鎧と兜の隙間から覗く目は、冷徹な光を放っていた。
ギルドの喧騒の中で、彼はまるで影のように佇んでいた。
男はゆっくりと近づいてきて、女武闘家をじっと見つめた。
「大丈夫なのか?」
彼の声はぶっきらぼうで、感情を排したような響きだった。
女武闘家は一瞬息を呑んだ。だが、女神官が慌てて割って入り「あの時に助けてくれたの、この人なんですよ!」と説明した。
彼女の声は明るく、男の寡黙さを補うようだった。
女武闘家はようやく思い出した。
あの絶望の洞窟で、彼女が心を壊され、助け出された時の朧げな記憶。ゴブリンの群れを一掃し、彼女を救った影のような存在。
「あ、あの時はありがとうございました」
彼女は頭を下げ、感謝の言葉を絞り出した。
男は一瞬、彼女を見つめ、無事ならいいと一言だけ返すと、受付の方へ歩いて行った。
彼の背中は、戦いの傷跡を物語るように重く、ギルドの冒険者たちが道を空けた。
女神官は女武闘家に優しく微笑み、「また今度、ゆっくり話しましょう」と言った。
彼女は男の後を追いかけ、小走りで去っていった。
「ゴブリンスレイヤーさん!」と呼びかける声が、ギルドの喧騒に溶け込んだ。
女武闘家はその背中を見送り、胸に温かなものが広がった。あの時の救いが、今の自分を支えている。
竜騎士は彼女の肩に手を置き、「いい仲間だな」と静かに言った。
ギルドの掲示板に目を向け、二人は新たな依頼を探し始めた。
掲示板には、様々な依頼書で埋め尽くされていた。
紙に書かれたクエスト、魔物の討伐、素材の収集、行方不明者の捜索が風に揺れ、冒険者たちのざわめきが背景に響く。
竜騎士は依頼書を一つ一つ眺めながら、「うーん…」と腕を組み、悩んでいた。
何か良いものがないか分からず、異世界の基準で選ぶのが難しかった。エオルゼアのクエストとは勝手が違い、どれが新人向きかもわからない。
「新米だから、簡単なのからかな…」彼は呟き、女武闘家に視線を向けた。
女武闘家は掲示板を覗き込みながら提案した。
「下水道のジャイアント・ラットが、新米冒険者がよく受けるらしいですよ。報酬はいまいちだけど、街の安全にもつながるし」
彼女の声は明るく、楽しそうに説明していた。
竜騎士は微笑みながら頷き、「先輩が言うなら、それにするかな」と依頼書に手を伸ばした。
二人の間には、村での絆が自然に流れ、軽やかな空気が漂っていた。
二人はギルドの掲示板からジャイアントラットの討伐依頼を選び、受付嬢に提出した。
依頼書には、街の下水道に潜む巨大ネズミを掃討せよ、と簡潔に書かれていた。
報酬は一日金貨一枚。新米冒険者向きの簡単なクエストだった。
受付嬢は書類を一瞥し、「頑張ってね。気を付けて行ってらっしゃい」と軽く言って、地下水路の入り口の地図を渡した。
女武闘家は拳を握り直し、「これなら私たちで大丈夫ね」と微笑んだ。
竜騎士はゲイボルグ・アルテマを担ぎ、「行こうか」と頷いた。
二人は街の外れへ向かった。辺境の街の地下水路は、街の裏側に隠された古い入り口から入った。
階段を下りると、辺りは薄暗く、ジメジメした湿気が肌にまとわりつく。
壁からは水滴が滴り、足元はぬかるんだ水溜まりで滑りやすかった。
竜騎士は松明を宿し、周囲を照らした。
「湿気が強いな…虫とか出そう」
女武闘家は警戒しながら進んだ。
「村のドブ掃除よりマシかも…でも、臭いがきついわ。」
二人は慎重に奥へ進み、かすかなゴソゴソという音に耳を澄ませた。
やがて、暗闇の先に巨大な影が動くのが見えた。竜騎士は低く言った。
「あれか?」
ジャイアントラットだった。赤い目が光り、通常のネズミの数倍の大きさで、鋭い牙を剥き出しにしていた。
ラットは二人の気配に気づき、甲高い鳴き声を上げて襲いかかってきた。
竜騎士は軽く槍を突き刺し、エーテルの一閃でラットを貫いた。
巨体は一瞬で動きを止め、地面に崩れ落ちた。
女武闘家は息を吐き、「やりましたね! これで依頼完了ですね」と笑顔で言った。
竜騎士は槍を拭い、「確かに新人向きの依頼だ…歯応えがなさすぎる…」と少し肩をすくめた。
しかし、その時、ジャイアントラットとは違う気配を感じた。空気がさらに重く、背筋が冷たくなるような不気味さ。
竜騎士は即座に警戒し、「何かがいる。気をつけろ!」と女武闘家に警告した。
女武闘家も身構え、拳を握り直した。
「え、ゴブリン? それとも他の何か?」
二人は周囲を睨んだ。次の瞬間、カサカサという無数の音が響き、暗闇から現れたのはジャイアントローチだった。
巨大なゴキブリの群れ――1匹や2匹ではなく、多数の黒い影が壁や天井を這い回っていた。光沢のある甲殻と素早い動きが、吐き気を催すほど不気味だった。
竜騎士と女武闘家の顔が引きつった。
「これは…」女武闘家は構えを取ったが、凄く体術を使うのが嫌そうにしている…当たり前だ。
竜騎士は彼女を庇うように前に出た。
あんな物を触らせることなどできない…しかし、自分の槍でアレを刺すのもなんかイヤだ…。彼は瞬時に判断し、黒魔道士のファイラの魔法を放った。
エーテルの炎が爆発的に広がり、群れを一掃した。炎の熱波が地下水路を照らし、ジャイアントローチの甲殻が焦げ、悲鳴のような音を立てて崩れ落ちた。
戦いが終わると、女武闘家が突然竜騎士に抱きついてきた。
「ほ、本当は怖かった…こ、こんなのいるなんて…!」
彼女の声は震え、恐怖が一気に噴き出したようだった。
竜騎士は優しく彼女の背を撫で、「これで今度こそ依頼完了だ。」と穏やかに言った。
女武闘家は自分の行動に気づき、顔を赤らめて慌てて離れた。
「ご、ごめんなさい。でも怖かった〜…」
彼女の頰は真っ赤で、照れ隠しに手を振った。
竜騎士は苦笑し、「うん、これは強い弱いの話じゃない…危険だ…」と同意した。
二人は互いの視線を交わし、軽く笑った。
地下水路の空気が少し軽くなり、帰路についた。
二人はギルドに戻り、地下水路での討伐を報告した。ジャイアントローチもついでに倒した報告をすると、受付嬢は少し顔をしかめながらも、「よくやったわね。報酬はこれよ。」と金貨を渡した。
ギルド内で軽く食事を済ませ、パンとスープを分け合いながら今日の出来事を振り返った。
「あのゴキブリ、絶対忘れられないわ…」
女武闘家は顔をしかめ、竜騎士は苦笑して「僕も同意だ」と頷いた。
疲れが溜まっていたが、二人の会話は自然と笑いに変わった。
街は夕暮れに染まり、近くの宿屋に向かった。ただ、今日は冒険者たちの往来が多く、宿は混んでおり、別々の部屋を取ることができなかった。
宿の主人は申し訳なさそうに、「今日はこの一部屋だけ空いてるんですよ。ベッドは一つですが、広めだから…」と言い、二人は仕方なく了承した。
部屋は粗末だが清潔で、木の床と小さなテーブル、窓から街の灯りが差し込んでいた。
女武闘家が先にお風呂に入り、今日の疲れを癒した。地下水路の湿気と戦いの汗を洗い流し、湯船に浸かりながら、竜騎士の顔を思い浮かべて少し頰を赤らめた。
お風呂から出てきて、寝巻きに着替えて部屋に戻ると、彼女の濡れた髪が肩に落ち、石鹸の優しい香りが部屋に広がった。
竜騎士は一瞬ドキッとして、視線を逸らした。「お疲れ様。ゆっくり休んで」彼の声は少し掠れていた。
竜騎士もその後にお風呂に入り、熱い湯で体を温め、異世界の記憶を少し思い浮かべた。エオルゼアの風呂とは違うが、この世界のシンプルさが心地よかった。
寝巻きに着替えて部屋に戻ると、二人はベッドの横の椅子に座って今日の出来事や雑談を始めた。
「あの魔法、すごかったわ。ファイラって言うの?」
「ああ、エオルゼアの黒魔道士の技だよ。便利でしょ」
夜も更け、窓の外は静かになっていた。
竜騎士は立ち上がり、「僕は床の上でも寝るから、ベッドは君が使いな」と提案した。
女武闘家は少し考えて、顔を赤くしながら言った。
「なら、い、一緒に寝ませんか?」
彼女の声は小さく、恥ずかしさがにじんでいた。
竜騎士は驚いて、「いやいや、流石にそれは…」と慌てて断ろうとしたが、女武闘家は目を伏せて呟いた。「私とじゃ…嫌ですか…?」
その言葉に、竜騎士は「わかった。でも、何も変なことはしないよ」と約束した。
二人は一緒にベッドに入った。狭い空間で、後ろから彼女の温もりと息遣いが伝わり、竜騎士は胸が張り裂けそうにドキドキしていた。
少し振り向くと、彼女は静かに寝息を立てて穏やかに寝ていた。
月光が窓から差し込み、彼女の顔を優しく照らす。竜騎士はそっと彼女の髪を撫で、「おやすみ」と呟いた。彼女の存在が、この異世界での彼の支えになっていた。
夜は静かに過ぎ、二人の旅はさらに深まっていくのだった。