二人はギルドに到着すると、中で軽く食事をした。
木のテーブルに座り、サンドイッチを分け合い、熱いコーヒーを飲んだ。
サンドイッチは新鮮なパンにハムとチーズ、野菜が挟まれ、シンプルだが様々な味が染み込んでいた。
竜騎士もコーヒーの香りを楽しみながら、二人は村での出来事を少し振り返ったが、すぐに話題を変えた。
互いの存在が、心の重荷を軽くしてくれるようだった。
食事が進む中、竜騎士はふと思いついたように言った。
「素手で戦うのもいいけど、何か武器を使った方がいいんじゃないかな? 君の強さをさらに活かせると思うよ」
彼の目は真剣で、女武闘家の安全を思っての提案だった。女武闘家は少し困惑した表情を浮かべ、コーヒーカップを置いて答えた。
「剣とか、あなたみたいに槍とかはちょっと…。私、素手が一番動きやすいのよね」
竜騎士は微笑み、「じゃあ、僕がモンクの特訓をしていた時の格闘武器が幾つかあるから、選んでみる?」と提案した。
彼はアーマリチェストを開き、格闘武器を取り出した。手甲、短剣、トンファー――そして、意外なものとしてヤカンが出てきた。女武闘家は目を丸くし、「このヤカンは?」と指差した。
竜騎士はくすっと笑い、「それもモンクの武器だよ。お湯も沸かせられるし、結構レアなんだよ。意外と打撃力があるんだ」
女武闘家はふーんと言いながらヤカンを手に取った途端に金色に光り出した、びっくりしながらも興味深げに眺めた。金属の質感が冷たく、しかし不思議な魅力があった。
竜騎士は「あっ!」と思い出したように、もう一つ取り出した。
それはスファライ・アルテマだった。青白く輝く格闘武器で、竜騎士のゲイボルグ・アルテマと同じく、エーテルの光を宿した美しい一品。
拳に嵌める形の武器で、光が脈打つように輝いていた。
女武闘家は目を輝かせ、「これがいい!」と即座に言った。
彼女の瞳に映る光が、過去の影を払うようだった。
竜騎士はそれを渡し、「大事に使ってあげてね」と笑顔で言った。
女武闘家はスファライ・アルテマを手に嵌め、眺めながら呟いた。
「綺麗…」
その輝きが、彼女の心を照らすようだった。
竜騎士はそんな彼女を見て、微笑んでいた。異世界の武器が、この世界で新たな絆を生む――二人の冒険は、さらに輝きを増していくのだった。
二人は食事を終え、女武闘家の武器選別も済ませた。
スファライ・アルテマを手に嵌めた彼女は、青白く輝く格闘武器を満足げに眺めながら、コーヒーの最後のひと口を飲んだ。
竜騎士もサンドイッチを食べ終え、二人は掲示板へ向かった。
依頼書を一つ一つ眺めていると、隣のカウンターで、他の村から来たと思われる村長らしき人物が、受付嬢にゴブリン退治の依頼をしているのが見えた。
村長は年配の男で、粗末な服を着て、必死の表情で地図を広げて説明していた。
前回の村の事が頭をよぎり、竜騎士は迷いを感じた。あの村長の冷徹さ、鍛冶屋の非情な言葉、娘の心が壊された姿と恋人の青年の死体。
ゴブリンの残虐さと人間の醜さが混じり合った記憶が、心を重くした。
ゴブリン退治の依頼は、トラウマを刺激するかもしれない。
だが、女武闘家の方を向くと、彼女は静かに頷いた。
「助けたいんでしょ。いいよ。あくまでも、私たちは捕らえられている女性たちを助けたいんだから。だから、嫌な思いをする事があっても、助ける事を辞めたらダメだと思う」
彼女の言葉は力強く、過去の屈辱を乗り越えようとする決意が込められていた。彼女自身、ゴブリンの巣で失ったものを思い、被害者を増やしたくないという想いが強かった。
竜騎士は彼女の目を見て、頷いた。
「そうだな、君の言う通りだ」
二人は受付に声をかけた。受付嬢は依頼書を確認し、村長に紹介した。
村長は小さな農村の長で、最近ゴブリンが農作物を荒らし、村人を脅かしているとの事だった。
「お願いします…畑がめちゃくちゃで、食い扶持が…」
村長の声は震え、必死の様子だった。前回の村とは違い、ここには純粋な被害者の切実さがあった。
二人は村長の案内で農村に行く事にした。村長の馬車に乗せて貰い、街を離れ、森の道を進む。
女武闘家はスファライ・アルテマを握り、竜騎士はゲイボルグ・アルテマを構え、二人の視線は森の奥を見据えていた。新たなゴブリンの影が、二人の前に立ちはだかろうとしていた。
二人は村長の案内で馬車に乗り、数時間の道のりを進み、穏やかな農村に到着した。広大な麦畑が広がり、金色の穂が風に揺れる景色は、まるで絵画のように美しかった。
空は青く、遠くの山々が村を守るようにそびえ立ち、鶏の鳴き声や子供たちの遊び声が聞こえてくる。
だが、その平和な風景に影が差していた。所々にゴブリンが荒らした跡があり、麦の茎が踏み折られ、土が掘り返され、収穫前の実が散乱していた。
村の空気は重く、住民たちの顔には不安が色濃く浮かんでいた。
村長は馬車を降り、麦畑の端で二人の冒険者を迎えた。
「ようこそ、冒険者様たち。ゴブリンに荒らされたところは売り物にならねぇんですよ…」
村長はため息をつき、荒れた畑を指差した。
「うちの村にはこれしか無いから、麦畑がダメになるとどうにもならなくなっちまう。それに、ゴブリンは娘っ子を拐ってしまうと言うし…冒険者様、頼みます」
彼の声は震え、必死の懇願が込められていた。
村長の目は、家族のような村人たちへの心配で曇っていた。
前回の村とは違い、ここには純粋な被害者の切実さがあり、利益のための冷徹さは感じられなかった。
女武闘家は麦畑の荒れ具合を見て、胸が痛んだ。
被害者を増やしたくないという想いが強まった。
「巣の場所はどこですか?」
彼女はスファライ・アルテマを握りしめ、静かに尋ねた。竜騎士もゲイボルグ・アルテマを構え、エーテルの光が淡く輝く。
「僕たちが解決します。詳しく教えてください」
村長は地図を広げ、森の奥の洞窟を指差した。二人は準備を整え、村人の見送りを受け、森へ向かった。
麦畑の黄金色が背後に広がる中、二人は森の奥深く、村長の示した場所に到着した。
ゴブリンの巣穴は、岩壁に隠された洞窟の入り口で、蔦と落ち葉で巧妙に偽装されていた。
入り口近くに立っていた見張りのゴブリンが二匹、粗末な棍棒を手に暇そうにうとうとしている。
竜騎士は木陰から合図を送り、ゲイボルグ・アルテマを閃かせて飛び出した。青白いエーテルの光が一瞬輝き、最初のゴブリンの胸を貫いた。
女武闘家も遅れず動き、スファライ・アルテマを嵌めた拳で二匹目の頭を砕いた。
ゴブリンの断末魔が森に響く前に、二人は洞窟へ滑り込んだ。
中は薄暗く、何度入っても慣れない匂いが鼻を突いた。
腐敗と血の臭い、ゴブリンの体臭が混じり合い、吐き気を催すほどだった。
竜騎士は松明に火をつけて、周囲を照らしながら慎重に進んだ。
少し進んだところで、女武闘家が小声で言った。
「村には女性の被害いなかったみたいだし、囚われている女性はいないのかな?」
彼女の声には安堵と疑問が混じっていた。
村長の話では、麦畑の荒らしが主で、拐われの被害は報告されていなかった。竜騎士は前を向いたまま、低く答えた。
「いや、旅人や女冒険者が囚われている可能性もあるから、辺りの警戒は怠らないように」
彼の目は鋭く、ゴブリンの習性を思い浮かべていた。
奴らは機会を狙い、弱者を狙う。村人だけが標的とは限らない。二人はさらに奥へ進み、洞窟の闇が深まる中、緊張が高まっていった。
洞窟の向こう側から、気配を感じた。竜騎士と女武闘家は即座に武器を構えた。
ゲイボルグ・アルテマが青白く輝き、同じスファライ・アルテマも青白く輝き、女武闘家の拳が固く握られる。
湿った空気が重く、腐敗の臭いが強くなる中、二人は息を潜めた。
「来る…!」
竜騎士の低いつぶやきが響いた。
しかし、その向こうから来たのは、予想外の光景だった。
裸の女性を盾代わりにしたゴブリンたちの群れ。女性はボロボロの体で、ゴブリンの汚れた手によって前へ押し出され、虚ろな目で立っていた。
彼女の肌は傷だらけで、腹部は不自然に歪んでおり、何度もゴブリンの子を宿した痕跡が残っていた。
ゴブリンは女性の後ろに隠れ、下卑た笑みを浮かべながら、棍棒や短剣を構えていた。
奥の方には、呪術師みたいなゴブリン…たしかシャーマンとか言うやつだろう、粗末な骨の飾りを身に付け、動物の頭蓋骨を模った杖を握り、濁った目で二人を睨む。
ゴブリンたちは女性を盾に使い、卑怯に距離を取っていた。女武闘家の顔が引きつった。
あの過去の記憶がよぎり、拳が震えた。
「こんな…ひどい…」
彼女の声は掠れ、怒りと悲しみが混じっていた。
シャーマンは甲高い呪文を唱え、火球 (ファイアボール)を放った。炎の玉が二人を襲い、洞窟を赤く照らす。
竜騎士は即座に女武闘家を庇い、ゲイボルグ・アルテマを盾のように構えた。爆発の衝撃が洞窟を震わせ、砂埃が舞い上がる。
シャーマンは男が黒焦げになったと思い、よろこんだ。
下卑た笑いが響き、ゴブリンたちは興奮した。
奴等の頭の中は(あとは女だけだ。囲んで集団で取り押さえて犯す)
シャーマンの目は欲望に濁っていた。
盾にした女には飽きていたところだ。
これまでの凌辱と何度も子を宿した事により、彼女はボロボロになっていた。
新しい新鮮な女である、女武闘家の事を早く犯したくてたまらなかった、小鬼の汚らしいペニスは既に勃起していた。
ゴブリンたちは涎を垂らし、女性の後ろからゆっくりと前進した。
しかし、砂埃が収まって、目の前には竜騎士がゲイボルグ・アルテマを握りしめて怒りの形相で立っていた。
エーテルの光が槍に宿り、炎のダメージを全く受けていない体が、洞窟を照らす。
シャーマンの目が見開かれ、ゴブリンたちの笑いが凍りついた。
竜騎士の目は静かな怒りに燃え、一歩踏み出した。
「貴様らは許さない…」
彼の声は低く、戦いが再開した。
ゴブリンは盾の女を前面に向け、卑怯な壁を作り上げた。
ボロボロの女性を盾代わりにし、後ろのシャーマンが甲高い声で騒ぎ立てる。
これで奴は攻撃できないだろう!と言わんばかりに、シャーマンははしゃぎ、杖を振り回しながら下卑た笑いを浮かべた。
ゴブリンたちは女性の体を突き出し、彼女の虚ろな目を前に、竜騎士の動きを封じ込めようとした。
女性の体は傷だらけで、過去の凌辱の痕跡が痛々しく残っていた。シャーマンの目は欲望に濁り、新しい獲物である女武闘家を狙っていた。
しかし、一匹のゴブリンが前方に異変を感じた。
前方には竜騎士しかいないことに気づいたのだ。
砂埃が舞う中、女武闘家が後ろに回り込んでいた。
彼女の動きは素早く、スファライ・アルテマの青白い光が一閃。
盾を持ったゴブリンの背中を突き刺し、汚れた体が崩れ落ちた。ゴブリンの断末魔が洞窟に響き、群れが一瞬混乱した。
盾の女はよろめき、地面に崩れ落ちる。
竜騎士は即座に彼女を抱え込み、ケアルでは足りないと判断して上位のケアルラを唱えた。
淡い緑色の光が彼女を包み、傷が急速に癒えていく。
彼女の体は震え、息は弱かったが、命は繋がった。
「もう、大丈夫…」
竜騎士の声は低く、怒りを抑えながら彼女を壁際に寄せた。
女武闘家は怒りに任せて、周りのゴブリンたちを一掃した。スファライ・アルテマの拳が風を切り、ゴブリンの頭を砕き、体を吹き飛ばす。
過去のトラウマが燃えるような怒りに変わり、彼女の動きは容赦なかった。
「許さない…!」
彼女の叫びが洞窟に響き、ゴブリンの血が飛び散る。
最後にシャーマンの股に強烈な一撃を喰らわせた。
シャーマンは甲高い悲鳴を上げ、股間を押さえて地面に転がった。汚らしい体が震え、杖を落とし、苦しみながら死んで行った。
女武闘家の目は冷たく、過去の屈辱を払うように拳を握りしめた。
洞窟に静寂が訪れ、二人は息を荒げて互いを見た。女性を救い、ゴブリンの群れを殲滅した――だが、戦いの余韻は重く、二人の心に影を落としていた。
彼女はボロボロの体で震え、虚ろな目で立ち上がった。
竜騎士のケアルラが彼女の傷を癒し、女武闘家が優しく抱き支えた。
女性は冒険者だった。粗末な革鎧の残骸が体にまとわりつき、剣はどこかで失われていた。
彼女の目は過去の恐怖を映し、声は掠れていた。
女性は二人の腕の中で、泣きながら語り始めた。
ある日のこと、街道を歩いていると、ゴブリンに女性が襲われているのが見えた。
彼女は剣を抜き、軽く追っ払った。
しかし、女性だと思われたものは、それっぽい木に拐ったであろう別の女性の服を着せた物だった。
罠だと気づいた時には、十数匹のゴブリンに囲まれていて、剣を持った手を棍棒で叩き落とされて、あとは手足を抑えられて、何度も犯された。
その場にいた十数匹のゴブリンに全てに。
痛みと屈辱が彼女を襲い、ゴブリンの汚らしい体が彼女を覆い、欲望のままに蹂躙した。
そして、巣穴に連れ込まれて、昼も夜も何度も犯され、何度もゴブリンの子を孕ませられて生まされた。
体はボロボロになり、心は粉々に砕け、毎日のように絶望の淵で喘いだ。
女性の声は震え、涙が止まらなかった。
女武闘家はギュッと彼女を抱きしめ、一緒に泣いた。
過去の自分が重なり、胸が張り裂けそうだった。
「もう…大丈夫よ…」
女武闘家の声は優しく、しかし彼女自身も涙を堪えきれなかった。
彼女以外に女性はいるかと聞くと、女性は首を振り、「他にはいなかった…」と言った。
念のため、竜騎士が一人で奥まで見に行った。
洞窟の最深部は血と骨の散乱した地獄で、人間の骨らしきものがいくつか転がっていたが、生きている人間はいなかった。
ゴブリンの残虐さが、すべてを物語っていた。
竜騎士は静かに戻り、二人は女性を支えて巣穴から出た。外へ出ると、竜騎士は魔法を唱え、巣穴を破壊した。
エーテルの炎が洞窟を飲み込み、岩が崩れ落ち、ゴブリンの巣は永遠に封じられた。
二人は女性を連れて、依頼主の村へと帰るのであった。
女性の体は癒え始めていたが、心の傷は深く、二人は彼女を優しく守りながら、馬車を進めた。
二人は捕らえられていた冒険者の女性を支え、森の道を抜けて村に戻った。
広大な麦畑が広がる村の入り口で、村長が待ち構えていた。
彼の顔は不安と期待に歪み、二人の姿を見つけると駆け寄ってきた。
「冒険者様たち…! 無事か!?」
村長の声は震え、娘のような女性の姿を見ると、目を見開いた。
竜騎士は女性を優しく下ろし、村長に報告した。
「ゴブリンの巣は壊滅させました。この女性を助け出しましたが…他に囚われ人はいませんでした」
村長は女性のボロボロの体を見て、涙を浮かべながら何度も頭を下げた。
「ありがとう…本当にありがとうございます! 麦畑の荒らしもこれで止むはずだ…」
彼の感謝は本物で、前回の村のような冷徹さはなく、純粋な村人の優しさが感じられた。
女性は冒険者で、街道で罠にかかった旅人だった。
彼女の体は竜騎士の回復魔法で傷は癒えていたが、精神的な疲弊は深刻だと説明した。
村の唯一の医者が女性を診察した。
粗末な診療所で、医者は彼女の体を調べ、「肉体については問題ないが、心が…」とため息をついた。
女性はベッドに横たわり、虚ろな目で天井を見つめていた。何度も犯され、子を孕ませられた屈辱が、彼女の魂を蝕んでいた。
村長は可哀想にと同情し、二人の前で語った。
「こういう事は珍しくないんですよ…特に辺鄙な村じゃ、ここより酷いところもある。ゴブリンの奴ら、村を荒らし、娘たちを拐って…わしらの所みたいな村は、冒険者様に頼るしかねぇんです」
彼の言葉には諦めと無力感が混じり、二人は胸が痛んだ。
女武闘家の過去がよぎり、彼女は女性の手を握りしめた。
「もう、大丈夫よ…」
夜が更けてきたので、二人は村長の家に泊まることになった。
家は木造の素朴なもので、村長と息子夫婦が住んでいた。
小さな子供がいて、息子の娘で、5歳くらいの少女が好奇心旺盛に二人の周りを飛び回った。
「冒険者さん! 冒険の話聞かせて!」
彼女は目を輝かせてねだり、二人は顔を見合わせた。
ゴブリンの事が頭をよぎったが、子供の夢を壊さないよう、旅で楽しかった事を中心に話した。
竜騎士はエオルゼアの美しい風景を思い浮かべ、「遠い国では、竜が空を飛ぶんだよ。僕はその竜と一緒に戦ったことがあるんだ」と語り、女武闘家は村の楽しいエピソードを加えた。
「森で出会った可愛い動物たちや、美味しい果実の話よ」子供はわくわくしながら聞き、息子夫婦も微笑んで見守った。
村長は料理を振る舞い、穏やかな夜が過ぎた。
二人は別室のベッドで休み、村の静けさが心を癒した。
二人は村長の家で穏やかな朝を迎えた。
窓から差し込む柔らかな朝陽が部屋を照らし、鳥のさえずりが聞こえてくる。
女武闘家が目を覚ますと、隣で竜騎士がまだ眠っていたが、彼女は静かに起き上がり、昨夜の余韻を胸に深呼吸した。
廊下から良い匂いが漂い、二人が準備をしてリビングへ向かうと、村長の息子夫婦の奥さんが朝食を用意してくれていた。
素朴な木のテーブルに、パンと野菜たっぷりのシチューが並び、湯気が立ち上っていた。
「おはようございます。ゆっくり休めましたか?」
奥さんは優しい笑顔で迎え、二人は感謝しながら席に着いた。
パンは外側がカリッと焼け、中はふんわり。
シチューは村の新鮮な野菜と肉の風味が染み込み、疲れた体に優しく染みた。
「ごちそうさま。本当にありがとう」
竜騎士が礼を言うと、奥さんは「冒険者様たちのおかげで村が助かりましたから」と頭を下げた。
帰りの準備を整え、外に出ると、昨日助け出された女性がいた。
彼女はまだ体に傷跡を残し、虚ろな目で立っていたが、昨日より少し血色が良くなっていた。
「私も…辺境の街まで連れて行って欲しいんです」
彼女の声は弱々しかったが、決意が込められていた。
竜騎士は心配げに尋ねた。
「大丈夫なのか? まだ体が…」
女性は首を振り、静かに答えた。
「冒険者になると決めた時から、覚悟はしていました。辛くないといえば嘘になりますが…今は、生きて前に進みたいんです」
彼女の言葉には、ゴブリンの巣での凌辱と絶望を乗り越えようとする強さがにじんでいた。
女武闘家は彼女の手を握り、声を震わせて言った。
「私はゴブリンに犯されて、何も出来なかった…でも、貴女は本当に強い…」
過去のトラウマがよぎり、彼女の目には涙が浮かんだ。
あの時、幼馴染の死と自身の屈辱が心を壊したが、今、目の前の女性の姿が彼女に勇気を与えていた。女性は優しく微笑み、女武闘家の肩を抱いた。
「それでも、貴女は立ち直って私を助けてくれた。私にとっては、どんな勇者や英雄よりも貴方達の方が本当の英雄です。だから、自信を持ってください」
その言葉は温かく、女武闘家の胸を熱くした。
彼女の本当の心の強さを見習っていかないとと思った。
女性の覚悟が、彼女自身のトラウマを少しずつ癒す鏡のようだった。
「そんな…ありがとう」
女武闘家は涙を拭き、強く頷いた。
村長は二人のやり取りを見て、感心したように言った。
「では、わしが馬車で町まで送っていきます」
彼は馬車を用意し、4人――竜騎士、女武闘家、女性、そして村長自身で辺境の街へ向かった。馬車は麦畑の道をガタガタと進み、村人たちが手を振って見送った。
女性は馬車の隅で静かに座り、女武闘家が彼女の肩を優しく触った。
竜騎士はゲイボルグ・アルテマを膝に置き、森の景色を眺めながら、二人の女性の強さを思い、自身の決意を新たにした。街への道は長かったが、希望の光が差し込んでいた。