月明かりが静かに差し込む、極星寮の涼子の自室。
ほのかな酒粕と麹の甘い香りが漂う静かな部屋の中で、吉野悠姫と榊涼子のふたりは、ベッドの上に並んで腰掛けていた。
部屋の空気はどこか重く、そして甘い熱気に満ちている。ふたりの頭から離れないのは、それぞれ得意分野であるジビエと発酵で挑み、幸平創真に完璧なまでに打ち負かされたあの衝撃と、その後に身体に刻まれた濃厚な快楽の余韻だった。
「……はぁぁっ……。ねぇ、涼子……。私、まだお腹の奥がカーッと熱くて……なんだか落ち着かないよぉ……」
悠姫は自身のパジャマの胸元を緩め、赤くなった頬を両手で包みながら、ベッドの上でゴロゴロと身をもだえさせた。ジビエの対決で創真が見せた圧倒的な高みと、その後に与えられた抱擁の熱気が、今もなお肌の表面をジリジリと痺れさせている。
涼子もまた、胸元を少しはだけさせた状態で、深くため息をついた。普段の落ち着いた大人の余裕は影を潜め、うっとりと潤んだ瞳で自分の指先を見つめている。
「ふふ……悠姫もそうなのね。私もよ……。発酵の旨味で満たされたみたいに、全身が熟して熱くて……創真くんの触れ方、すごく男らしかったもの……」
そう言って涼子が胸元を押さえると、ふくよかな胸がゆったりと揺れた。
ふたりは視線を交わし合う。創真というひとりの男に負け、その魅力に完全に屈服させられた者同士。同じ熱を帯びた身体を持つ者同士の視線が絡み合った瞬間、部屋の湿度が一段と跳ね上がった。
「悠姫……。創真くんに負けて、すごく悔しかったはずなのに……なんでかしら、すごく胸がときめいて……体が熱くてたまらないの……」
「うん……! 私もだよ、涼子! 自分のジビエで負けたのに、創真のカッコよさにキュンキュンしちゃって……どうしようもないの……っ!」
悠姫は居ても立ってもいられない様子で、涼子の膝の上に体を倒し込み、その豊かな太ももに顔を埋めた。
「あっ……悠姫……?」
「涼子ぉ……お願い、私を撫でて……っ! この熱さ、涼子と一緒じゃなきゃ……おかしくなっちゃいそう……!」
涼子は一瞬目を見張ったが、すぐに愛おしそうな笑みを浮かべると、膝の上の悠姫の柔らかな髪を優しく撫で上げた。そして、悠姫の火照った頬にそっと指先を滑らせる。
「……ふふ、甘えん坊さんね。でも……そうね。私ひとりじゃ、この熱を抱えきれそうにないわ……」
涼子の指先が悠姫の首すじから鎖骨へと滑り落ちると、悠姫は「んっ……ぁ」と甘い声を漏らして体を跳ねさせた。
「涼子の手……すごく冷たくて、気持ちいい……っ」
「悠姫の体も……すごく熱くて柔らかいわ……」
同じ男への熱い恋心と、身体に残る激しい火照り。ふたりはお互いの温もりを確かめ合い、抑えきれない快楽の余韻を共有するように、静かに唇を重ね合わせたのだった。
静かな室内に甘い吐息が混ざり合う。涼子は悠姫の柔らかな髪を撫でながら、もう片方の手で彼女の熱を持った肩をそっとさする。
「悠姫の体……本当に火照っているわね。創真くに触られたところがまだ疼いているみたい」
「ん……っ! そりゃあそうじゃん! だって……野うさぎのスパイス焼き食べた後からずっとお腹の奥が熱くて……っ」
涼子の掌が悠姫の鎖骨あたりを撫でると、悠姫はビクッと体を跳ねさせた。
「あっ……そこダメ……! 創真にキスマークつけられた辺りだからぁ……っ」
「ふふ……可愛い。でもここだけじゃなく、もっといろんなところが熱いでしょう?」
涼子は悠姫のパジャマの裾をそっとたくし上げると、火照ったお腹を優しくなぞり始めた。
すぅ…… なでなで……
「ひゃあんっ! 手つきが……っ! 大人の女性って感じがするぅ……っ!」
悠姫が身悶えするたびにシーツが大きく皺を作る。涼子の指先が脇腹から腰のくびれへと滑っていくと、悠姫は堪らず声を上げた。
「やぁ……っ! 涼子……っ! そこ触られたらまた……っ!」
その反応を見て涼子は満足そうに微笑むと、今度は悠姫の胸元に指を這わせた。
「こんなに小ぶりなのに……こんなにツンと尖ってしまっているわね」
涼子の指先が悠姫のピンと勃った乳首を軽く引っ掻く。
こりこりっ! ぴんっ!
「あぅっ! 触らないでよぉ……っ! そこすごく敏感になっちゃってるんだからぁ……っ!」
悠姫は抵抗するように涼子の腕を掴んだが、その力は弱々しく逆効果にしかならなかった。むしろ涼子の加虐心を煽ってしまう。
「抵抗するなんて生意気ね……。こういう時は大人しくされるがままになるものよ?」
涼子はそう言うと悠姫の胸を掴んで持ち上げるように揉み始めた。
むにゅむにゅっ! むぎゅぅ……!
「やぁぁっ! 荒い揉み方しないでぇ……っ! 創真みたいな男らしい揉み方だよぉ……っ!」
悠姫は必死に訴えるが涼子は聞く耳を持たない。むしろその反応を楽しみながらさらに激しく攻め立てていく。
「創真くんのことを思い出したの? だったらもっと思い出させてあげるわ」
涼子は悠姫の耳元に顔を近づけると低く囁いた。
「……『悠姫のここが一番感じるんだよな?』って言いながら激しく責められたでしょう?」
「ひゃうぅっ! 言わないでぇ……っ!」
創真の口調を真似た涼子の言葉が悠姫の脳裏に蘇る。同時に全身がゾワゾワと粟立つのを感じた。
「ああダメ……っ! 思い出したら余計にお腹が熱くなってきちゃうよぉ……っ!」
悠姫の下半身がモゾモゾと動き始める。そこには明らかに湿り気が集まってきているのが見て取れた。
「まあ……こんなにパンツまで濡らしてしまって。悪い子ね」
涼子は悠姫のズボンの中に手を差し込むと、指先で確認するように撫で上げた。
くちゅっ…… ぴちゃぴちゃ……
「やだぁ……っ! 触らないでってばぁ……っ!」
しかし涼子は全く躊躇せず、そのまま下着の中に指を滑り込ませた。
ぬるるっ! くちゅくちゅぅっ!
「ひぎゃあぁんっ! 指が直接触れてるぅ……っ! やめっ……あぁっ!♡」
涼子の細い指が悠姫の秘裂を行ったり来たりする。そのたびに蜜が溢れ出し水音が響き渡った。
「すごい量ね……。創真くんのこと考えているだけでこんなに感じるなんて」
「だって……だって創真がすごすぎたんだもん……っ! あんなので貫かれて……私壊れちゃったんだよぉ……っ!♡」
悠姫の目尻には涙が溜まり始めていた。それは嫌悪ではなく快楽による生理的な涙だ。
「うぅ……っ! もうダメぇ……涼子……許してぇ……っ!」
その言葉を聞いた涼子は一旦手を止めた。悠姫は安堵するような表情を見せるが、すぐさま別の焦燥感に襲われる。
「あれ……? 止めちゃうの……?」
「ええ止めたわ。悠姫が『許して』と言ったから」
涼子は悠姫を見下ろすように微笑んだ。しかし悠姫は顔を真っ赤にして抗議する。
「意地悪しないでよぉ……っ! ここまでされて我慢できるわけないじゃん……っ!」
「じゃあどうすればいいか分かるでしょう? 正直になりなさい」
涼子のその言葉に悠姫は観念したように俯いた。そして恥ずかしそうに口を開く。
「う……ん…。涼子……もっと激しくして欲しい……。涼子の指でいっぱい気持ち良くして……っ!♡」
その懇願を聞いて涼子は満足そうに頷いた。「よく言えたわね」そう呟くと、再び激しく愛撫を開始した。
ぐちゅぅっ! じゅぽじゅぽっ!
「ひゃああんっ! きたぁっ! それぇ……っ!♡」
悠姫の腰が大きく浮き上がる。涼子は絶妙なタイミングでクリトリスを摘まみ上げながら、膣内の敏感な部分を探り当ててきた。
くにくにっ! ぐりぐりぃっ!
「ああぁっ! 強すぎるよぉ……っ! 出ちゃうぅ……っ!♡」
その時だった。今まで一方的に責められていた悠姫の中に新たな欲求が芽生えた。自分も涼子を同じように喘がせてみたいという想いだ。
「待って涼子……っ! 次は……私がする番だよぉ……っ!」
突然体を起こした悠姫は涼子を押し倒すと、馬乗りになった。
「悠姫……何をするつもり……?」
戸惑う涼子に対して悠姫はニヤリと笑った。
「へへ〜♪ 今度は涼子が啼かされる番だよ!」
そう言うと悠姫は涼子のパジャマのボタンを外し始めた。
ぷつっ…… ぷちんっ……
次第に露わになる涼子の豊満な肉体。それに悠姫はゴクリと喉を鳴らす。
「すげぇ……大人の女って感じだよな……。創真もこの胸揉んでたんだろうなぁ……」
「ちょ……っ! そんな言い方しないで……恥ずかしいわ……っ」
いつも冷静な涼子が珍しく焦った様子を見せる。その反応に悠姫はますます調子に乗った。
「大丈夫だって涼子♪ さっきのお返しにいっぱい気持ちよくしてあげようと思ってさ!」
悠姫はそう言うと、涼子の大きな胸を両手で掴んだ。
むにゅぅっ! むぎゅむぎゅぅっ!
「ひゃうんっ! 乱暴にしないでぇ……っ!」
普段の優雅さとは打って変わって、涼子の口から甘い悲鳴が飛び出す。その反応に悠姫は益々興奮していく。
「へへっ♪ 涼子でもこんな声出すんだねぇ……っ! 創真みたいに荒っぽくされる方が好みなのかなぁ?」
悠姫は意地悪くそう言うと、胸を揉みつつ乳首を強く捻り上げた。
ぎゅうっ! ころころっ!
「いやぁんっ! 強すぎぃ……っ! でも……変に気持ちいいのぉ……っ!♡」
涼子の体が弓なりに反り返る。悠姫はそのまま指を下腹部へと滑らせていった。
「ここはどうかなぁ?」
すりすりっ…… なでなで……
「ああっ! そこはダメぇ……っ! もう濡れてしまっているのに……っ!」
悠姫の指先が下着越しに割れ目をなぞると、そこには既に濃厚な蜜が溢れ出していた。布地越しでも分かるくらい形が浮き上がっている。
「うわぁ……凄いことになってるじゃん涼子ぉ♪ もしかして私を責めながら興奮してたの?」
「それは……っ! だって悠姫があんなに可愛い反応するから……っ!」
顔を真っ赤にして弁明する涼子だが、その言葉は逆効果だった。
「そっかそっかぁ♪ なら責任取って気持ちよくしてあげないとね!」
悠姫はそう言うと涼子の下着の中に手を差し込んだ。
ぬるるっ! ぐちゅぐちゅぅっ!
「ひぎゃあぁんっ! 勝手に入れないでぇ……っ!♡」
涼子の体が大きく跳ね上がる。しかしそれは拒絶ではなく純粋な快感によるものだとすぐに分かった。悠姫の指が動く度に蜜壺からは大量の愛液が溢れ出てくる。
「あははっ♪ 音すごぉ〜い! 涼子って普段は大人しいけど本当はエッチだったんだねぇ」
悠姫は煽るように言葉を投げかけながら、奥の敏感な部分を重点的に責め立てる。
ぐりぐりぃっ! じゅぽじゅぽっ!
「やあぁっ! 言わないでぇ……っ! 私だって乙女なのよぉ……っ!♡」
いつも優雅な涼子がこんなにも乱れている姿を見て、悠姫の中で快感が弾け飛んだ。
「ああもう可愛いすぎるよ涼子ぉ……っ!」
悠姫は涼子に覆い被さるようにしてキスを求めた。最初は啄むような優しいキスだったが、すぐに激しいディープキスへと変わっていく。
れろぉっ! ぢゅるるっ! じゅぷぷぅっ!
互いの舌が絡み合い唾液が混ざり合う。その間も悠姫は指で涼子を攻め続けた。
ぐちゅぅっ! じゅぽじゅぽっ!
「ん゛ん゛っ! だめぇ……キスしながらされたら耐えられないぃ……っ!♡」
涼子の限界が近いことが伝わってくる。その熱に惹かれるように、悠姫も再び強い欲動を感じていた。
「ねぇ涼子……お互いにもっと触り合おうよ。創真に抱かれたときみたいに……ふたりで一緒に最高になろう?」
ふたりはお互いに向き合い、抱き合うようにして脚を絡め合わせた。そして互いに手を伸ばし、濡れそぼったお互いの秘所を同時に指で深く愛撫し始める。
ぬぷっ! ぐちゅぐちゅぅっ!
「あぁんっ! 涼子の指が入ってきたぁ……っ!♡」
「悠姫のところも……すごく温かくてトロトロよ……っ!♡」
指が動くたびに、お互いの愛液が混ざり合い、濃厚な水音が部屋の中に響き渡る。創真に与えられた熱と快楽を共有するように、ふたりは必死に腰を揺らして互いを求め合った。
ずちゅっ! じゅぽじゅぽっ!
「涼子ぉ……気持ちよすぎるよぉ……っ! 私もう……限界かもぉ……っ!♡」
「私もよ悠姫……っ! もうダメぇ……一緒にイこう……っ!♡」
波のように押し寄せる快感にふたりの昂ぶりは最高潮へと達し、互いを強く抱きしめ合いながら同時に身体を激しく痺れさせた。
「イくぅうっ!!♡」
ぷしゃああぁっ!! びくびくんっ!!
「私もしちゃうぅっ!!♡」
ぴゅるるぅっ!! びくびくんっ!!
ふたり同時に深いオーガズムを迎え、溢れ出た愛液が互いの肌を濡らしていく。全身の力を抜いてシーツに倒れ込みながら、激しい呼吸を重ね合わせた。
「はぁ……っ! 涼子……すごいよぉ……っ!」
「悠姫……本当に……全身の力が抜けちゃったわ……」
しばらくうっとりとした余韻に浸っていたふたりは、やがてゆっくりと顔を合わせた。そこには確かな親密さと信頼感が宿っている。
「創真くんの熱を感じながらも……こうして悠姫と一緒に高みへ行けたわね」
「うん♪ 涼子と一緒に溶け合えて良かったよ♪」
乱れたシーツの上。
静かな部屋の中に、甘く濃厚な余韻の息づかいだけが響いていた。
悠姫は涼子の豊かな胸に顔を埋め、背中に回した腕でしっかりと抱きついている。涼子もまた、悠姫の背中を愛おしそうに撫でさすりながら、頬を悠姫の髪にすり寄せていた。
「……ふぅ……っ。涼子……すごく気持ちよかった……っ」
「ふふ、悠姫……可愛かったわよ。あんなに声を漏らしちゃって……」
涼子に優しく囁かれ、悠姫は「もうっ、涼子だって創真のこと思い出しながら変な声出してたじゃん!」と頬を真っ赤にしてむくれてみせる。しかし、その顔には隠しきれない幸福感が満ちていた。
「でも……不思議だね。創真に負けたのは悔しいのに……涼子と一緒にこうして火照りを分かち合えたら、すごく心が満たされちゃった……」
「ええ……。創真くんが私たちを繋いでくれたのかもしれないわね。……ふたりで同じ人を好きになっちゃったけれど、私たち、もっと仲良くなれた気がするわ」
涼子は優しく微笑むと、悠姫の額にそっと唇を寄せた。
「ねぇ、悠姫。これからも……創真くに美味しい料理を作ってもらって、そのたびにこうしてふたりで熱を確かめ合いましょう?」
「うん……っ! もちろんだよ、涼子! 私たち、創真の最高のライバルで……一番の仲良しだもんね!」
極星寮の夜は深まり、同じ男に恋をしたふたりの少女は、お互いの温もりに包まれながら静かに眠りへと落ちていくのだった。
(第9話 おわり)