創真の実家がある「すみれ通り商店街」。駅前にできた大手唐揚げチェーン店に客を奪われ、かつての活気が嘘のように静まり返っていた。
「うーん……冷めてもサクサクで、歩きながら手軽に食べられるメニューか……」
『食事処ゆきひら』の厨房で、腕を組んで頭を抱える幸平創真。そのすぐ隣には、幼稚園からの幼馴染である倉瀬真由美がぴったりと寄り添っていた。
真由美は昔から創真に想いを寄せていたが、自分に自信がなく、ずっとその気持ちを伝えられずにいた。しかし遠月学園から久しぶりに帰省した創真が、寂れた商店街のために立ち上がった姿を見て、
「創真くんの力になりたい」と一心で試食の準備や片付け、商店街の人々への聞き取りを健気に手伝っていたのだ。
「創真くん、お茶淹れたよ。あんまり根詰めすぎないでね?」
「おう、サンキュ真由美。……なあ真由美、普通の唐揚げじゃ駅前のに勝てねぇ。商店街の肉屋、漬物屋、パン屋……みんなの強みを一つにまとめた『名物』が欲しいんだよな」
真由美はふっと優しく目を細め、お盆から取り出した自家製の漬物と温かいお茶を丁寧に差し出した。
「創真くんのそういうところ、昔から変わらないね。自分のためじゃなくて、商店街の仲間やみんなのために一生懸命になるところ……。……あのね、創真くん。手軽に食べるなら、皮がもちもちした生地で包むのはどうかな? 唐揚げだけじゃなくて、お漬物の酸味やシャキシャキした食感をアクセントにして和風のソースでまとめれば、お買い物の途中でも食べやすいと思うの」
「っ!? それだ……それだ真由美ッ! もちもちの生地に、唐揚げとさっぱりした具材を巻く『ロール』かッ!」
真由美の繊細で優しい気づかいと柔軟なアイデアに、創真の目から鱗が落ちた。二人は顔を見合わせると、さっそく厨房で生地と具材の試作に取りかかる。
そこへ、ドカドカと激しい足音とともに厨房の扉が勢いよく開いた。
「ちょっと創真! 商店街の助っ人に来てあげたわよ……って、誰よその女はッ!?」
入ってきたのは、肌を褐色の健康美に輝かせた水戸郁魅(肉魅)だった。郁魅は創真のすぐ隣で親しげに作業する真由美を見るやいなや、カッと顔を真っ赤にして叫んだ。
「あ、肉魅! 肉の調達助かるぜ。こっちは俺の幼馴染の真由美だ」
「よ、幼馴染ぃ……!? あんた、創真の何なのよ! 創真の隣はアタシが……っ!」
郁魅が猛烈な対抗心を燃やして創真の右腕をぎゅっと抱きかかえると、普段はおとなしい真由美も、創真の反対側の袖をギュッと強く掴み返した。
「私……創真くんの幼馴染の倉瀬真由美です。創真くんのことは……私の方がずっと昔から知っています!」
「なっ……! 昔から知ってるとか関係ないわよ! アタシなんて創真に食戟で……身も心も全部奪われたんだからッ!」
「えっ……身も心も……!?」
火花を散らしてバチバチとお互いやきもちを焼き合う二人。創真は「おいおい、喧嘩すんなって!」と苦笑いしつつも、真由美の提案した試作品を素早く仕上げていった。
「よし、出来たぞ! 真由美のアイデアと肉魅の肉が融合した『すみれ印の唐揚げロール』だ!」
創真は白いバンダナをきゅっと締め直すと、包みたての熱々の一品を真由美と郁魅の目の前へ堂々と突き出した。
「おあがりよッッッ!」
威勢の良い叫びとともに手渡された唐揚げロール。真由美と郁魅は口を大きく開けて同時にパクリと頬張った。
「っ……!? ふわぁぁぁっ……! 外はモチモチ、中の唐揚げはジュワッと肉汁があふれて……お漬物のシャキシャキ感と特製ソースが完璧に合わさってる……っ!」
「な、何よこれ……めちゃくちゃ美味しいじゃないッ! 肉のジューシーさとお漬物の酸味が完璧に調和してて、食べ歩きにもピッタリ……! これなら絶対に駅前の店に勝てるわよッ!」
郁魅も目の色を変えて大絶賛の声を上げた。口いっぱいに広がる絶品の味。だがそれ以上に、ずっと遠い存在になりかけていた創真が、自分の小さな言葉を拾って最高の形にしてくれたという圧倒的な愛しさが、真由美の胸を強く締め付けた。
「創真くん……私、創真くんが遠くに行っちゃうみたいで本当は怖かったの……。粉骨砕身で頑張る創真くんの邪魔になりたくなくて……。でも、創真くんは昔と変わらず、私の声を聞いてくれた……っ」
真由美の目から大粒の涙がボロボロとこぼれ落ちる。
「真由美……お前のおかげだぜ。サンキュな」
創真が優しく微笑み、真由美の涙を指先でそっと拭う。その男らしく温かな手触りに、真由美の中でずっと温めていた「幼馴染への想い」が、一気に「特別な恋人への激しい恋心」へと花開いた。
試作品の完成度と二人の強い絆を目の当たりにした郁魅は、どこかすがすがしい表情を浮かべると、ニッと笑って腕を組んだ。
「よしッ、方向性は決まったわね! 創真、このレシピに合わせた最高のお肉を大量に仕入れてこなきゃダメでしょ! 近くの精肉店に掛け合って、すぐ手配してきてあげるわ! 準備ができるまで、そこの幼馴染ちゃんとゆっくりしてなさい!」
「おう、肉魅! 頼んだぜ!」
郁魅は二人を温かく見守るように気を利かせ、勢いよく厨房を後に出ていった。
店内には二人きりになり、真由美は意を決すると、赤くなった顔を創真の胸元へ強く押し当て、彼に全力で抱きついたのだった。
「創真くん……私、もう『幼馴染』じゃ嫌……。創真くんの特別な女の子になりたい……ッ!」
静まり返った『ゆきひら』の奥の和室。襖一枚隔てた店内の喧騒とは別世界のように、畳の上には淡いランプの灯りと二人の熱い呼吸音だけが静かに響いていた。
「ん……っ」
互いに抱きしめ合ったまま固まってしまったような状態。真由美は創真の胸元へ顔をうずめ、耳まで真っ赤にしながらも決して離れようとはしない。
「創真くん……私、本当はすごく臆病で……自分に自信がなくて……昔からずっと……創真くんのこと好きだったのに、言えなかったんだよ……っ」
「真由美……」
創真が少し驚いたように名前を呼ぶと、真由美は恥ずかしさのあまり涙を滲ませながらも顔を上げた。その瞳は潤みきり、まっすぐに創真だけを見つめている。
「今日は……勇気を出します。私、創真くんの恋人になりたい……だから……創真くんに私の全部を捧げます……っ」
覚悟を決めた真由美が小さく手先を震わせながら、普段着のボタンを解こうとする。しかし緊張のあまり指先がうまく動かず、もどかしそうに俯いてしまった。見かねた創真が、そっと優しく真由美の手を包み込む。
「俺にも手伝わせてくれよ。俺だって緊張してるけど……真由美の気持ち、絶対に大切にするから」
「創真くん……っ」
その男らしい温かさに真由美の緊張がすっと解けていく。二人は顔を見合わせながら、そっと服のボタンを外し、柔らかい生地を肩から滑り落としていった。
しゅるるっ……
白い肌が露わになると、真由美は堪らず「恥ずかしい……っ!」と顔を覆おうとしたが、創真が指先でそっとそれを遮った。
「昔から一緒に風呂に行ったこともあったろ? 今のほうが何倍も可愛いぞ」
「そ、それは子どもの頃の話だし……っ! 今は違うよ……っ!」
幼馴染時代の無邪気な記憶と、今この瞬間に重なり合う熱い情念が交錯し、真由美の胸は張り裂けんばかりだ。創真は優しく微笑むと、彼女の乱れた黒髪をそっと撫で上げた。
「大丈夫。俺だって真由美が初めてなんだ。だから焦らず……でもお互い本気で感じ合おうぜ」
創真の柔らかな唇が真由美の滑らかな首筋へとそっと触れる。
ちゅ……
「ひゃぅ……っ!」
普段の無邪気な態度とは違う創真の男らしく優しい唇の感触に、真由美の華奢な身体がピクンと大きく跳ね上がった。
れろれろっ……
「んん……っ! 創真くんの舌が熱いよぉ……っ」
創真は真由美の耳たぶを優しく甘噛みし、そのまま熱い吐息を吹きかけながら首筋から鎖骨へとじっくり舌を滑らせていく。
じゅぷ…… じゅるりぃっ……
「あぅ……っ! 耳の後ろ……そんな風に舐められたら……体に力が入らなくなっちゃう……っ!」
ゆっくりと鎖骨へ、そして普段着の下に隠されていた豊かな胸元へと下りてくるキス。初めて味わう恋人同士の濃厚な愛撫に、真由美の息は激しく乱れていった。
「あっあっ……っ! 初めてなのに……こんなに気持ち良くなっちゃってごめんなさい……っ!」
「謝ることねえよ。俺だって真由美が愛おしくてたまらないんだからな」
創真の手が真由美の細い腰をしっかりと抱き寄せ、指先が真由美の胸の先端に触れた。
くりくりっ……
「ふわぁぁ……っ! そこは……弱いのぉ……っ」
「知ってるさ。小さい頃に一緒に入浴した時から真由美は胸が敏感だったもんな」
「そ、そんな昔から知ってたなんて言わないでよぉ……っ! 余計に恥ずかしいよぉ……っ!」
創真は真由美のぷっくりと膨らんだ先端を指先で優しく挟み込み、ころころと転がしながら丹念に刺激を加えていく。
こりこりっ…… ぐりぐりぃっ!
「ひゃうんっ! 創真くんの指先……すっごく温かくて……胸の奥がジンジンしてくるのぉ……っ!」
「真由美のここ、すごく小さくて可愛いよ。ほら、こんなに硬くなって……」
「やだぁ……っ! 実況しないでぇ……っ! でも……創真くんに触られてると、体が熱くて溶けちゃいそうだよぉ……っ!」
恥ずかしさと嬉しさでグチャグチャになりながらも真由美は必死で創真にしがみつく。さらに創真は下半身へと手を伸ばし、下着の上から真由美の湿った秘部へ優しく手のひらを押し当てた。
すり…… こすこすぅっ……
「ああんっ! そこ……っ! 下着越しなのに……創真くんの手の大きさが分かって……胸がキュンってなっちゃうの……っ!」
「真由美……下着、脱がせるぞ?」
「うん……っ。創真くんに……私の全部を見てほしいの……っ」
創真がゆっくりと下着を滑り落とすと、そこからは甘い蜜がとろりと垂れていた。創真は躊躇なく指先を真由美の秘唇にあてがい、小さな突起を優しく撫で回す。
くちゅっ…… くりくりっ……
「ひゃあんっ! そこダメぇ……っ! 直接触られると……頭が真っ白になっちゃうよぉ……っ!」
「すごく濡れてるぞ真由美。俺のこと、そんなに想ってくれてたんだな」
「当たり前じゃない……っ! ずっと……ずっと創真くんのことだけ見てたんだからぁ……っ!」
創真の指先が滑らかな蜜を絡め取りながら、秘部の入り口をじっくりと押し広げていく。
ぬるりっ…… くちゅくちゅっ!
「んあぁぁ……っ! 指が入ってくるぉ……っ! 創真くんの優しい指が……私の中で動いてるのぉ……っ!」
「創真くん……私…もう我慢できないよぉ……っ。もっと……あなたのその大きな手だけじゃなくて……本物で触れたいの……っ」
「真由美……っ!」
一途な想いを全身で訴える真由美に創真の理性がグラリと揺れる。そっと肉棒を彼女の入り口にあてがう。
くちゅ……
「あぁぁ……っ! 創真くんのが当たってる……っ」
「もうこんなに濡れてるぞ。俺のためにこんなになってくれてたんだな」
「うぅ……っ! 言われると恥ずかしいよぉ……っ! でも……創真くんだから全部許すんだからぁ……っ!」
愛しさが溢れて涙が頬を伝う。幼馴染として長年積み重ねてきた想いが、今この瞬間一気に花開いていく。
「創真くん……私、肉魅ちゃんにも絶対に負けないからね……。私を選んでくれたこの気持ち……一生大切にするからぁ……っ」
ゆっくりと体重をかけ、創真の硬く太い肉棒が真由美の処女膜を押し広げて最奥へと進み出る。
ぐぷぷ……っ
「はぅぅんっ! 来るぅ……っ! 創真くんのが入ってくるぅ……っ!」
「真由美……痛かったら言えよ」
「だいじょうぶ……っ! 少し苦しいけど……創真くんのものになれた証だから嬉しいのぉ……っ!」
幼馴染時代では考えられない圧倒的な充足感と痛みを伴いながらも、真由美はしっかりと創真の腰に足を絡めてしがみつく。
ぱん…… ぱん……
「んぁぁ……っ! 動いたらもっと感じちゃうよぉ……っ!」
「俺もだ。真由美の中……すごく温かくて気持ちいいぞ」
「うれしい……っ! じゃあもっと私で気持ち良くなってほしいのぉ……っ!」
徐々にピストンのリズムを速めていく。
ぱんっぱんっ! どちゅどちゅっ!
「あっあっあっ……っ! こんなの初めてぇ……っ! 幼馴染の創真くんとこんなことするなんて夢みたいなのに……っ! 実際にされると思わず身体が飛び跳ねちゃうよぉ……っ!」
「俺もだ。真由美がこんなに可愛いなんて知らなかったぜ」
「ずるいよぉ……っ! そんなこと言われたら……創真くん以外もう見えなくなっちゃうよぉ……っ!」
快感の波に飲まれながらも真由美は一途に創真だけを求め続けた。創真もまた恋人としての真由美に虜になっている。
ぐりぐりぃっ! こりこりっ!
「ひぃぃんっ! そこダメぇ……っ! 一番弱いところを攻められたら……もうおかしくなっちゃうよぉ……っ!」
「真由美……そろそろ限界か? 俺ももうイキそうだ」
「うん……っ! 私ももうダメぇ……っ! だから……一緒に行こうね……っ! 初めてを全て創真くんと分かち合いたいのぉ……っ!」
二人の身体が強く重なり合い、最奥で激しく肉体が衝突する。
ぷしゅっ! びゅるるぅっ!! どぴゅるるぅっ!
「ああぁぁ……っ!!」
二人は同時に大きな歓声を上げて絶頂を迎えた。真由美は最後の力を振り絞り、身体を震わせながら創真に強く抱きついた。
「ありがとう……創真くん。私の全てを受け入れてくれて……」
「こちらこそ。これからはずっと俺の隣にいろよ」
「うん……っ!」
しゅるるっ…… ぎゅむむっ
真由美は創真の温かい胸板に頬をすり寄せると、深く息を吸い込んだ。
「はぁぁ……っ。創真くんの汗と優しさの匂い……最高に幸せだよぉ……」
「おいおい……変なこと言うなよ」
「だって本当のことだもん。創真くんと一緒にいると……ずっと昔から知ってるのに新しい発見がたくさんあって……毎日が恋してるみたいでドキドキしちゃうんだもん」
「そのセリフ……ずるいな。俺だって同じだよ」
二人は微笑み合うと、唇をゆっくりと重ね合わせた。
ちゅ……
「ふふ……唐揚げロールよりもずっと幸せな味がするよ」
「そいつは何よりだ。これからはずっと一緒に美味しいものを食べような」
「うん……創真くんと一緒なら何でも絶対に美味しいから……っ!」
静まり返った『ゆきひら』の奥の和室。
甘く切ない情熱の余韻が漂う中、真由美は創真の胸の中にすっぽりと収まり、彼の首元へ細い腕を回していた。
乱れた黒髪とカッと赤くなった耳を覗かせながら、真由美は創真の肌の温もりにうっとりと頬をすり寄せている。
「……ふふ、夢みたい。私……本当に創真くんの特別な人になれたんだね……」
真由美は嬉しそうに涙ぐみながらも、創真の胸元を離そうとはせず、彼にしがみついた。
「唐揚げロールもすごーく美味しかったけど……創真くんに抱きしめてもらったこの温もり……一生忘れないよ……っ」
「へへ、真由美。お前がいてくれたから出来た味だ。これからはずっと、俺の隣にいてくれよな」
創真がぽんぽんと優しく真由美の華奢な背中を撫で上げると、真由美は「うん……っ!」と愛おしそうに返事をし、上目遣いで一途に彼を見つめた。
「もう……肉魅ちゃんにも絶対に譲らないからね……。これからは創真くんの『一番の彼女』として……ずっと側にいさせてね……っ」
健気で甘い幼馴染の決意に、創真は胸を張り、力強い笑顔で彼女の手をとった。
「お粗末!」
その決め台詞とともに、真由美はとびきり眩しい笑顔を浮かべ、創真の唇へとそっと甘いキスを落としたのだった。
(第20話 おわり)