『秋の選抜』予選Aブロックの会場内。
場内には、誰もが思わず鼻を覆いたくなるような、異様で禍々しい強烈な臭気が立ち込めていた。
「ヒヒヒ……ッ! 見よ、これぞ我が愛と呪いの結晶……クサヤと熟成スパイスの漆黒煮込み……ッ!」
ボサボサの黒髪の隙間から妖しく瞳を輝かせ、不気味に高笑いするのは「漆黒の魔女」の異名を持つ貞塚ナオだ。
新戸緋沙子への執着と歪んだ情熱を燃やす彼女は、自身の得意ジャンルである「悪臭すれすれの強烈な匂いと煮込み」で会場を恐怖に陥れ、審査員たちをその強烈な旨味で無理やりねじ伏せて高得点を叩き出していた。
「ヒヒッ……どうだ、幸平創真……ッ! お前の作る下品な定食屋の料理など、我が呪いの煮込みの前に影も形もなく消え去るのだ……ッ!」
気味の悪い笑い声を上げながら創真を煽るナオ。だが、白いバンダナを頭にきゅっと締め直した幸平創真の表情には、微塵の動揺もなかった。
「へえ、面白ぇ香りの煮込みじゃねーか。だがな貞塚……『匂い』ってのは人を拒絶するためのもんじゃねぇ。食べる奴をワクワクさせるためのもんなんだぜ!」
創真が鍋の蓋を外した瞬間、会場に漂っていたどろどろとした悪臭を一瞬で吹き飛ばすかのような、驚くほど澄み切った爽やかなスパイスの香りが一気に広がった。
創真が提出したのは、特製ハーブと数種類のカルダモン、柑橘系のスパイスを巧みに組み合わせてじっくりと煮込んだ『爽快スパイスカレードリア』。
「な……なんですって……ッ!? 我が呪いの臭気を……爽やかな香りで打ち消した……!?」
動揺するナオに対し、創真は胸を張り、眩しいほどの不敵な笑みを浮かべて一皿を突き出した。
「おあがりよッッッ!」
威勢の良い決め台詞とともに差し出された一品。ナオは「こんなもの……ッ!」と叫びながらも、吸い寄せられるようにスプーンを取り、一口口へと運んだ。
その瞬間——ナオの脳裏に、まばゆいばかりの白い光が差し込んだ。
「っ……!? はぁぁぁぁぁぁっ……!? き……綺麗……ッ!? 爽やかで、澄み渡っていて……それなのに、お肉とスパイスの深い深淵のようなコクが……私の中に雪崩れ込んでくるぅぅぅっ!!」
口に入れた瞬間、爽快なハーブとスパイスの風がナオのドロドロとした執着や怨念をきれいに洗い流していく。
重厚なコクとスパイスの旨味が舌を包み込み、噛むたびに全身が温かな光に包まれていくような圧倒的な多幸感。
創真の「食べた人を笑顔にしたい」という爽やかで真っ直ぐな情熱が、ナオの闇を包み込み、解き放っていく(おはだけ)。
ドロドロとした黒髪がふわリと持ち上がり、その隙間から現れたのは、真っ赤に頬を染めた一人の可憐な少女の素顔だった。
「あぁ……っ! 私……今までずっと、暗い闇の中に閉じこもっていたのに……! この人の温かい光に……全身を包み込まれちゃう……ッ!」
暗く湿っていたナオの心が、創真の爽やかで圧倒的な男らしさと包容力によって完全に浄化された。ナオの中で、緋沙子への屈折した執着は一瞬で吹き飛び、目の前の「幸平創真」という太陽のような少年への激しい恋心へと書き換えられたのだ。
「創真様……ッ! 私の闇を祓い、光を与えてくださったお方……っ! 私……私、創真様のものになりたい……ッ!」
純白の乙女へと生まれ変わったナオは、潤んだ瞳で創真を見つめると、なりふり構わず創真の胸元へと飛び込み、しがみついたのだった。
ナオが創真の腕の中で蕩けきった笑みを浮かべている頃、試験終了のアナウンスが静かに響き渡った。
熱狂とどよめきに包まれていた会場の喧騒が徐々に落ち着いていく中、ナオは創真の服の袖を震える指先でキュッと引っ張り、上目遣いに震える声で囁いた。
「あ……あの……創真様……。もしよろしければ……お二人きりでお話しできませんか?」
彼女の願いを聞き入れ、人目のない暗がりへと続く細道を選んだ二人。静まり返った薄暗い倉庫エリアに差しかかると、突如としてナオの様子が一変した。
「ひ……っ! こ……ここなら……誰にも見られずに済む……ッ!」
突然の豹変に創真が眉をひそめた瞬間——黒い影が勢いよく襲いかかる。次の瞬間にはナオが創真を壁際に押し付け、以前のような不気味な笑みを浮かべて迫っていた。
「ヒヒ……ッ! 貴様……よくも我が領域に誘ってくれたな? このまま『煮込み』にしてやろうか……?」
狂気じみた表情で顔を近づけてくるナオ。だが、背中を冷たい壁に押し付けられた創真は全く動じず、むしろ穏やかで優しい声で問いかけた。
「おい……ナオ。お前、まだ自分の中の闇と戦ってるのか?」
「黙れッ! このまま貴様を喰らい尽くして……」
叫び散らそうとしたナオの言葉は、最後まで続くことはなかった。創真の温かい指先が、そっとナオの冷えた頬へと優しく触れたからだ。
そっとぉ……
「ひ……っ! あ……っ?」
創真の掌から伝わる確かな体温に、彼女を覆っていた冷たい鉄壁の闇が一気にひび割れていく。創真の手はそのまま、ナオの顔を覆い隠していたボサボサの前髪を、優しく丁寧に掻き上げていった。
さらさらぁ……
「わぁっ!? あ……あぁん……っ!」
前髪の隙間から露わになったのは、驚くほど可憐で愛くるしいナオの素顔だった。隠しきれない羞恥に染まる赤い頬。創真の手に撫でられるたび、ナオは狂気の面影を消し去り、再び一人の素直な乙女へと戻っていく。
「ナオ……お前の本当の声、聞かせてくれよ」
創真の掌が、彼女の可憐な耳元から滑らかな首筋へと向けて、優しく擦るように撫で下りていく。
くすぐるように……
「あひっ! そこ……ゾクゾクしますぅ……っ」
創真の手に触れられた箇所から全身へと快感が走り、ナオは腰の力を失っていった。完全に抵抗力を失った彼女を壁に押し付けたまま、創真は逃げ場を無くすように距離を詰め、さらに大胆に行動へ出る。
「お前の口から直接……俺の料理の味感じさせてあげるよ!」
「え……? く……口ですか?」
困惑し、朱に染まった唇を小さく震わせるナオ。その唇に己の親指をそっと重ねながら、創真は不敵に微笑んだ。
「そうだ……お前だけに与える、特別メニューだ」
囁くと同時に——
じゅぷぅっ!
創真の太い指が、ナオの小さく温かい口腔内へと一気に滑り込んだ。
「んんっ!? ほごぉ……っ!」
「ほら、お前のそのエロい舌使って、絡みつくみたいに舐めてみろよ」
「ふぁ……あん……っ」
突如として口内を侵食する異物感に最初は戸惑い、ためらいがちだったナオの舌先だったが、やがて指から伝わる創真の存在感に夢中になり、貪るように動き始めた。
ぺろ……じゅる……ちゅぱっ!
「んふぅ……創真様の味……っ! ほんのりとした塩味と……柑橘とハーブの爽やかな香りが……口いっぱいに広がりますぅ……っ!」
自分の指に舌を絡みつかせるナオの情艶な姿を眼前に捉えながら、創真はもう一方の大きな手を彼女の制服スカートの裾へと滑り込ませ、太腿の柔らかい肌に触れた。
すぅーっ……
「ひあぁっ! 下は……そこはダメぇ……っ!」
制服の布地越しからでもはっきりと伝わるほど、ナオの秘部はすでに熱を帯び、ぐっしょりと蜜で濡れ広がり湿り気を帯びていた。口内から指をゆっくり引き抜くと、創真の指先とナオの唇の間に透明な蜜の糸がとろりと引かれて垂れていく。
「すごいな……指を舐めてるだけで、もうこんな状態になってんのか」
「だ……だってぇ……創真様の手が……私を優しく触ってくるからぁ……っ!」
火照った顔を押し戴くナオを、創真は逃がさぬようゆっくりと床へ押し倒した。そして彼女の身体を反転させ、バックスタイルの姿勢で豊かなお尻を高く突き出させた。
「お前みたいな暗がりに引きこもるタイプは……こうやって後ろから強引に責め立てられるのが好きだろ?」
「そ……そんなぁ……私、そんな破廉恥じゃ……っ!」
口では否定の言葉を口にするナオだったが、その言葉とは裏腹に、露わになった秘裂からはとろりと愛液が滴り落ちて床を濡らしていた。創真は自身のズボンのベルトを外し、荒々しく脈打つ肉棒を露出させると、彼女の蜜に塗れた入り口へと宛がった。
「行くぞ……俺の熱いの、しっかり受け止めろ」
ずぶぶぶぶぅぅっ!
「ひぃぃぃんっ! 入ってきましたぁっ! 創真様の太くて固いのが……一気に私の中へ入ってきますぅぅっ!」
「うお……めちゃくちゃ狭いな……まるで俺を閉じ込めようとする呪いの檻みたいだぜ」
ぐりぐりぃ……ずちゅっ!
「ああぁんっ! 奥の奥まで届いてますぅ……っ! 快感が魔法陣みたいに身体中に広がっちゃうぅっ!」
ナオの肉体が激しい電流に撃たれたかのようにガクガクと震える。創真は彼女の細い片手首を後ろに回して力強く掴み取ると、容赦なく腰を前後させて強烈な律動を開始した。
ぱちゅ……ぱちゅっ……ずぶずぶっ!
「あひっ! 速いぃ……っ! 腰の奥が熱すぎて……身体がバラバラになっちゃいそうぅっ!」
「まだまだだ……こんなもんで満足するなよ? まだ序の口だぜ」
創真はさらに腰の引きを大きくし、ナオの秘部へ深く突き刺すように腰を叩きつけた。
どちゅんっ!
「ひぎぃっ! 奥の……子宮口まで直接刺さってるぅ……っ!」
「ナオ……お前は一体誰のもんだ? 言ってみろ」
「そ……創真様のですぅっ! 私の心も身体も……全部創真様のご自由ですぅ! 一生お傍に居させてくださぃぃっ!」
愛に満ちた叫びとともに、ナオは肉壁を狂ったように締め付け、激しい絶頂の波へと飲み込まれていった。しかし、創真は繋がったままのナオを抱え上げると、彼女の体をくるりと反転させて床へ仰向けに寝かせ、対面で抱き合う体勢へと体位を変えた。
「ナオ……次は前向きで、お前の可愛い顔をじっくり見ながら注ぎ込んでやる」
「あ……あっ! 創真様の顔がこんなに近くに……っ! はぁはぁ……っ!」
密着したまま正面から再び根元まで深々と突き直される。ナオの可憐で赤くなった素顔が目の前で蕩け、創真の首にしっかりと腕を回してきた。
ずちゅぅぅっ! ぱちんっ! ぱちんっ!
「ひやぁぁぁんっ! 正面から奥の奥をグリグリされたら……さっきよりずっと強く感じちゃいますぅぅっ!」
「ナオ、俺の顔しっかり見てろ……全部吐き出すぞ!」
「はいっ……創真様ぁっ! 私のぜんぶ、創真様の熱いので満たしてくださいぃぃっ!」
創真の猛烈な腰使いが限界の速度へと達し、ナオの胸の高鳴りと絶頂が最高潮を迎えたその瞬間、最奥で溜め込んだ情熱が一気に解き放たれた。
どぴゅるるぅっ! ぶしゃあぁぁっ!
「ああぁぁんっ! 出てますぅ……っ! 私の体内に……創真様の温かい光が溢れてきますぅぅっ!!」
ドクドクと胎内へ直接注ぎ込まれる熱い奔流の感触に、ナオは恍惚の表情を浮かべ、その全てを愛おしそうに受け入れ続けた。
激しい射精が終わった後も、二人の肉体は固く繋がったままだった。創真はナオの腰を優しく抱いたまま問いかけた。
「どうだナオ? まだお前の中に、暗い闇は残ってるか?」
「ぜ……全部……創真様の熱さで浄化されましたぁ……っ」
ナオはゆっくりと顔を上げ、涙と汗で濡れた濡れ色の瞳で創真を見つめ返した。
「創真様……愛しています……これからも私を照らし続けてください……」
「任せとけ……俺がずっと、お前の傍にいてやるよ」
創真がナオの額へ優しくキスを落とすと、彼女は溢れるほどの幸福感に包まれたような微笑みを浮かべた。
「ふふ……私……もう魔女じゃありません」
「ああ……お前は今から、俺だけの純白の乙女だ」
二人の間にあたたかく穏やかな時間が流れる。先ほどまで暗闇だった倉庫の中に、微かな温かい光が差し込んだ気がした。創真の手によって赤く染まったその表情は、かつての「魔女」の面影など微塵もない、愛らしさに溢れた一人の乙女そのものだった。
静まり返ったアリーナ裏の暗がり。
甘く濃厚な情熱の余韻と、かすかに爽やかなハーブの香りが漂う中、ナオは乱れた着衣を崩したまま創真の膝の上にチョコンと座り、彼の首元へすっぽりと抱きついていた。
ボサボサだった黒髪は綺麗に整えられ、カッと頬を赤く染めたその表情は、かつての「魔女」の面影など微塵もない、愛らしさに溢れた一人の乙女そのものだった。
「……ふあぁっ……創真様……っ。私……私、こんなに胸が熱くて……気持ちよくなったの、生まれて初めてです……っ」
ナオは甘く潤んだ瞳で上目遣いに創真を見つめると、愛おしそうに彼の胸元へ頬をスリスリと擦り寄せた。
「創真様の料理も……この温かいお腕も……私を闇から引き上げてくださった……。もう私、創真様なしじゃ生きていけません……っ」
「へへ、貞塚。お前、素顔はすげー可愛いんだな。俺の料理でスッキリしてくれて良かったぜ」
創真がぽんぽんと優しくナオの頭となで肩を撫で上げると、ナオは「んっ……あぁっ……っ」と甘い吐息を漏らし、創真の手を両手で包み込んで愛おしそうに頬を寄せた。
「創真様……ッ! これからはずっと……あなたの忠実な下僕として、そして一人の女の子として……ずっとお側で愛させてください……ッ!」
純粋な恋心と深い愛着を覗かせるナオの姿に、創真は胸を張り、力強い笑顔でその手をしっかりと握り返した。
「お粗末!」
その決め台詞とともに、純白の乙女となったナオはとびきり可憐で眩しい笑顔を浮かべ、創真の唇へとそっと甘く一途なキスを落としたのだった。
(第27話 おわり)