『スタジエール(実地研修)』の舞台となる、四宮小次郎が手掛けるフレンチの名店『SHINO'S TOKYO』。
プレオープンを控え、極限の緊張感が漂う厨房とダイニングを仕切っていたのは、同店の本店サービス責任者である高 唯(コウ・ユイ)であった。
スタイリッシュな黒のソムリエエプロンとスーツを優雅に着こなし、アジアンビューティーな佇まいを見せる彼女は、ホールでの完璧な接客サービスだけでなく、自らも四宮に評価されるほどの確かなフレンチ料理技術と知識を併せ持つプロ中のプロだ。
「実地研修生として来たからには、一切の甘えは許さないわよ、幸平創真。四宮シェフが目指す『SHINO'S』のフレンチは、サービスも料理も完璧であることが絶対条件。大衆食堂上がりの貴方に、この洗練されたサービスと料理の連携が務まるかしら?」
冷涼で凛とした声。唯はシェフとサービスの両方の高い視点から、創真の技術と適性を試すように不敵に挑発した。
だが、創真は怯むどころか、白いバンダナをきゅっと結び直すと、不敵で眩しい笑みを浮かべた。
「へへ、四宮師匠の店で働けるなんて願ってもねぇチャンスだぜ! 唯さんのフレンチやサービスに対するプロとしての凄さは重々分かった。だからこそ……ホールのお客さんを一発で虜にする俺の『フレンチ×洋食の革新まかない料理』で、アンタを納得させてやるよ!」
創真が手際よく仕込みを開始すると、調理場にはフォンドボーの深みある香りと、香ばしいバターやハーブの芳香がふわりと立ち込め始めた。
創真が仕込んで提示したのは——『フレンチ仕立て・和牛ロースとフォアグラの革新ロッシーニ風パイ包み焼き』。
極上の和牛ロースとフォアグラを繊細なパイ生地で包み、表面を香ばしく焼き上げ、濃厚なペリグーソース(トリュフソース)を回しかけた至高の一皿だ。
「これは……伝統的なフレンチのロッシーニを、ホールでも手早く最高の状態で提供できるようにパイ包みへとアレンジしたの……!?」
プロのサービス責任者、そして料理人としての鋭い眼光で見つめる唯に対し、創真は胸を張り、力強い一言を叩きつけた。
「おあがりよッッッ!」
威勢の良い決め台詞とともに差し出された重厚な一皿。唯はナイフとフォークを優雅に使い、一口分を口へと運んだ。
その瞬間——唯の頭の中にあった厳格なプロの固定観念が、激しい衝撃とともに粉砕された。
「っ……!? な……なんてパイのサクサク感と、お肉とフォアグラの濃密な味わいなの……ッ!? トリュフソースの芳醇な香りが、お口の中で爆発するように広がっていく……っ!!」
四宮が求めるフレンチの精緻さと、創真の大衆食堂仕込みの「食べた人を一瞬で幸せにする」温かな情熱。
料理のクオリティだけでなく、ホールでのお客様への提供スピードまで完璧に計算された一皿に、唯のプロとしての誇りが完敗したのだ。
極上の旨味が唯のしなやかな肢体を内側からカッと熱く火照らせ、シックなドレスの胸元を弾き飛ばすかのように駆け巡る(おはだけ)。
「こんなにも……お客様とホールを想った、高次元なフレンチ……! 創真……貴方、ただの研修生なんかじゃないわ……ッ!」
唯の凛とした瞳から、うっとりと潤んだ涙がこぼれ落ちた。
「ねぇ創真……。一つ聞いてもいいかしら?」
「なんだ?」
「どうして貴方は……あんなに自信に満ち溢れているの? 大衆食堂出身なのに」
唯が真剣な眼差しを向ける。
「そりゃあ……俺の料理で幸せになってくれる人がいるからかな。それが励みになるんだよ」
「素敵な理由ね。私には少し羨ましいわ」
「唯さんは違うのか?」
「私は……仕事が生き甲斐だった。サービスや料理を追求することが喜びで……人を幸せにすることを考える余裕がなかったのかもしれない」
唯の瞳が僅かに曇る。
創真がテーブルに身を乗り出し—
「でも今日は違ったろ? 唯さんだって楽しそうに接客してたぜ?」
「……っ!? バカ……見てたのね」
唯が恥ずかしそうにグラスを手に取り、表情を隠すように顔を背ける。
「あの笑顔……俺は見たことねぇよ」
「うるさいわよ……っ。私だって……感情があるんだから」
唯の声が徐々に小さくなり、頬にはうっすらと赤みが差し込んでいく。
創真が静かに椅子から立ち上がると、彼女の警戒を解くように足音を殺して背後に回った。
「なぁ唯さん……俺さ、今日ずっと考えてたんだけど」
「な……何よ突然……っ」
振り向こうとする唯の肩を軽く押さえ、創真は視線を彼女の背筋から腰つきへと滑らせた。
「唯さんって……すっげぇスタイルいいよな」
むにゅぅっ!
「ひゃあぁんっ!? な……何してんのよっ! 私まだ仕事中……っ!」
言葉を挟む間もなく、創真の両手が唯の脇から背後を通して伸び、シックなドレスの上から彼女の豊かな胸をダイレクトに揉みしだく。吸い付くような柔らかい弾力が手に伝わってきた。
「もう閉店してるだろ? それに、今日は俺の勝ち……あんたの負けだぜ」
耳元に唇をすれ触れさせながら、創真が低く心地よい声で囁く。
さわさわ……こりゅんっ!
「ひゃあんっ! そこダメ……っ! 私、先端がすごく弱いのぉっ!」
指先でドレス越しに胸の突起を軽くつまみ上げると、唯の声が裏返り、背筋をビクッと跳ねさせた。完璧だったプロの仮面が音を立てて剥がれ落ちていく。
「へへ……唯さんも案外、可愛いやつだな」
「うるさい……っ。でも……創真に触られるの、全然嫌いじゃないわ……っ」
創真は身体を彼女の正面へと巡らせると、黒いドレスのバックホックへと手を伸ばした。
ぷつ……ぷつ……
「んんっ……脱がせちゃダメ……っ。私、まだ冷静になれていないわ……っ」
「じゃあ、もっと熱くさせて冷静さを奪わないとな」
すりすり……くりゅんっ!
「ひゃあぁんっ! 弄らないでぇっ! もう頭がおかしくなってるのぉっ!」
ホックが外れ、肩紐がすっと滑り落ちると、アジアンビューティーな彼女の美しく白い素肌が露わになった。
「唯さん……すっげぇ綺麗だよ」
「っ!? 面と向かって言わないで……っ。恥ずかしいわよ……っ」
さらに創真の手はドレスの裾へと伸び、滑らかな太腿に沿ってゆっくりと捲り上げていく。唯は恥じらいから反射的に脚を固く閉じようとするが—
「だめだぜ」
ぐいっ!
強引かつ力強い手つきで膝を開かされ、無防備な下半身が露わにされる。
「きゃあっ!? 見ないで……っ。こんな格好……格好悪すぎるわ……っ」
薄手の黒ストッキング越しに、彼女の美しく引き締まった股間が目の前に晒される。
創真はストッキングの股の部分に指をかけ、一気に力を込めた。
びりっ!
「ひゃっ!? 何するのよ……っ! 破れちゃうじゃない……っ!」
「こういう乱暴なの、本当は興奮するだろ?」
「バカ……っ。でも……否定できない自分が悔しいわ……っ」
破れ目から覗くショーツへと手が伸び、布地を横へと無理やりずらす。
「あんっ……直接触っちゃダメ……っ。変な気分になっちゃうわ……っ」
くちゅっ!
湿り気を帯びた秘裂へ、創真の指先が滑り込んだ。
「ひゃあぁんっ! もうこんなに濡れてるぅっ! なんでこんなに感じちゃってるのぉっ!」
指が一本挿入されるだけで、唯のしなやかな肢体が弓なりに弾けた。プロとしての冷静さはどこへやら、呼吸は荒くなり、瞳は蕩けた快楽の色に染まる。
「唯さんも案外淫乱だな」
「違う……っ! 創真だからぁっ! あなただからこんなに感じちゃうのぉっ!」
唯の本心が漏れ出し、自分から創真のたくましい背中に細い腕を回して引き寄せた。
「創真……っ。もっと私を乱して……っ。プロの立場なんてどうでもよくなるくらい……愛して……っ」
完全にスイッチが入った唯。創真は不敵に笑うと、彼女の腰を掴み上げた。
「任せな」
せずにゅぅっ!
「ひゃあぁぁんっ! 来たぁっ! 創真の硬くて熱いのが入ってきてるぅっ!」
VIP個室の重厚なソファに押し倒される唯。すでに彼女に抵抗する意思などなく、全身で創真の熱量を受け入れていた。
ぱんっ! ぱんっ!
「んんっ……創真……っ。激しいわ……っ。でもすごく気持ちいい……っ」
「唯さんの中……すっごく締め付けてくるぜ……っ」
ぐちゅぐちゅっ!
「あひぃんっ! 深く突かれるとおかしくなっちゃうわぁっ!」
理性が完全に崩壊した唯は、創真の背中に強い力で爪を立てた。
がりっ!
「痛ぇな……でも、これくらい強い方が気持ちいいぜ……っ」
「創真……っ! 私もうダメ……っ! イッちゃいそうだわぁっ!」
「まだ早いぜ? もっと俺を感じてくれよ……っ」
どすんっ! ぬちゃぁっ!
「ひゃあぁんっ! 突くのが強すぎぇっ! そんなに激しくしたらすぐイッちゃうじゃないのぉっ!」
唯の瞳から焦点が失われ、完全に創真が与える激しい快楽の波に呑み込まれていく。
びくんっ!
「ひゃあぁんっ! イクぅぅっ!」
彼女の内壁が激しく収縮し、絶頂を迎える。しかし創真は動きを止めず、追い打ちをかけるように腰を叩きつけた。
ぐりゅんっ!
「ひゃあぁんっ! イッてるのに突かないでぇっ! 止まらないからぁっ!」
「もう少し……我慢して付き合ってくれよ……っ」
どちゅどちゅっ!
「出して……っ! 私の中に創真の愛、全部ちょうだい……っ!」
「うっ……っ!」
びゅるるるぅっ! どくどくどくぅっ!
「あぁ……熱いのがいっぱい……っ。創真の愛が注がれてくるわ……っ」
ぬるぅぅっ……とろぉぉっ……
深い最奥にたっぷり注ぎ込んだ後、創真が肉茎を引き抜くと、満足そうな笑顔で身体を起こした。
「創真……っ。すごかったわ……っ。こんなに激しく愛されたの、初めてよ……っ」
唯が甘えるように身体をすり寄せてくる。そこに先ほどの冷徹なホール責任者の面影は一切なかった。
「私……貴方に完全に負けたわ……っ。これからはずっと……貴方の側に居させてね……っ」
「あぁ……当然だろ? 唯さんみたいな綺麗で頼もしい美女、離すわけねぇよ」
「バカ……っ。でもすごく嬉しいわ……っ」
二人の間に、甘く濃密な情熱の余韻がゆっくりと流れていった。
静まり返った閉店後の『SHINO'S TOKYO』VIP個室。
甘く濃厚な情熱の余韻と、ほのかなトリュフとワインの香りが漂う中、シックな調度品が並ぶソファの上で、唯は乱れたドレスの胸元を押さえたまま、創真の膝の上に優雅に腰掛け、彼の首元へ甘く腕を回していた。
かつての冷徹なホール責任者の面影は影を潜め、朱に染まった頬と蕩けた瞳で、うっとりと創真の胸元に顔をうずめている。
「……ふあぁっ……創真……っ。私としたことが……店舗の個室でこんなにも乱れて甘えてしまうなんて……っ」
唯は甘い吐息を漏らしながら、創真の首筋に何度も濃密なキスを重ね、愛おしそうに彼の胸元を撫で上げた。
「でも……すごく温かくて、全身が痺れるほど幸せ……。創真のあの逞しい腕と技術……私、もう一生離せなくなっちゃったわ……っ」
「へへ、唯さん。四宮師匠の店を支えるアンタに認めてもらえて嬉しかったぜ。これからもよろしく頼むな」
創真が優しく笑い、彼女のしなやかな背中となで肩を大きな手で抱き寄せると、唯は「ん……っ」と愛おしそうに身を擦り寄せ、上目遣いに創真を見つめた。
「ええ……っ。これからは創真の特別なパートナー……そして一人の女として、ずっと私を愛してね……っ」
プロの誇りと素直な甘えを爆発させる唯の姿に、創真は胸を張り、力強い笑顔で彼女の手を握りしめた。
「お粗末!」
その決め台詞とともに、唯はとびきり可憐で艶やかな笑顔を浮かべ、創真の唇へとそっと甘く濃厚なキスを落としたのだった。
(第41話 おわり)