連隊食戟の特設会場。
厳格な空気が漂う審査員席の中央に座るのは、WGO(世界美食機構)が誇る一等執行官・アンであった。
青い髪を美しくなびかせ、その洗練された瞳から知的な光を放つ彼女は、WGOの権威と絶対的な誇りを胸に、白手袋をはめた手で青いランタンを掲げて凛とした声を響かせる。
「私どもWGOは、常に公平かつ厳格。どれほど素晴らしい料理であっても、妥妥も情も一切挟みません。幸平創真……貴方の料理がWGOの審査基準に満たなければ、即座に不合格の烙印を捺しますわ」
基本的には穏やかで冷静なアンであったが、機関の尊厳を背負うあまり、どこか高圧的で尊大な威圧感を会場全体へ放っていた。
だが、創真は焦るどころか、いつものように白いバンダナをきゅっと結び直すと、ニッと不敵で眩しい笑みを浮かべた。
「へへ、WGOの一等執行官ねぇ。確かにアンさんの審査は厳しそうだ。だけどな……料理ってのは、気難しく身構えて食べるもんじゃねぇんだよ! 口に入れた瞬間に全身の力が抜けて、極上の幸福感に包まれる……そんな至高のデザートを見せてやる! 俺の『ゆきひら流・特製チーズと柑橘の超軽やかスフレ・レジェ』だッ!」
創真が取り出したのは、厳選されたカマンベールチーズとフレッシュな柑橘の果汁、そして隠し味としてフランベに用いたごくわずかな柑橘系リキュール、さらに究極まで泡立てられたメレンゲ。
オーブンから取り出された瞬間、ふわふわと軽やかに膨らんだスフレからは、芳醇なチーズのコクと香ばしいアルコールの微かな芳香、爽やかな柑橘の香りが一気に立ち上り、会場のピンと張り詰めた空気を優しく包み込んでいった。
創真が仕上げて提示したのは——『ゆきひら流・チーズと柑橘の至高スフレ・レジェ』。
「な……なんですの……!? この空気のように軽やかでありながら、濃厚で優しく鼻腔をくくすぐる香りは……ッ!?」
厳格な表情を一変させるアン。創真は胸を張り、力強い一言を叩きつけた。
「おあがりよッッッ!」
威勢の良い決め台詞とともに差し出された一皿。アンは白手袋をはめた手でスプーンを取り、そっとスフレの表面をすくって口へと運んだ。
その瞬間——アンの脳内に、あまりにも儚く甘美な快感の奔流が吹き荒れた。
「っ……!? な……なにこれぇぇぇッ!? 口に入れた瞬間にスッと消えてなくなるほど軽やかなのに、濃厚なチーズのコクと爽やかな酸味が……お口いっぱいに弾けていく……ッ!!」
WGO執行官としての重圧、厳格に振る舞わねばならないというプロとしての緊張が、儚くほどけるスフレの食感とともに綺麗さっぱり消し飛んでいく。さらにスフレの隠し味に含まれていたほんのわずかなアルコール分が、極めてお酒に弱いアンの体内に瞬時に回り始めた。
だが、酒に酔うことで彼女の味覚と神経はかえって極限まで鋭敏化し、料理の奥底に潜む真価をどこまでも深く見極めていく。
「あはっ……! 芳醇なリキュールの香りが……私の神経を研ぎ澄ませていく……っ! 完璧な熱計算……そしてこの甘美な快感……っ! 審査員として、認めざるを得ませんわ……ッ!!」
酒気による急速な快感と多幸感に、アンの厳格な理性が崩壊した。
極上の旨味が全身の神経を駆け巡り、アンの青いランタンが手から滑り落ちると同時に、着用していた黒い執務服が音を立てて弾け飛んだ(おはだけ・授与(おさずけ))。
「あぁぁっ……あはぁっ……! 身体が……身体がフワフワして、溶けてしまいそう……ッ! こんな……こんな甘美な快感、食べたことありませんわ……ッ!!」
普段の澄ました態度が嘘のように崩れ、顔を真っ赤に染めて蕩けた恍惚の表情を浮かべるアン。お酒の酔いと圧倒的な美味しさによって身も心も完璧に撃ち抜かれた彼女は、すっかり創真の料理と存在に夢中になり、熱い吐息を漏らしながら創真の服の裾をぎゅっと掴んだのだった。
試合終了を告げる重厚な鐘の音が館内に響き渡る中、連隊食戟会場の最奥に位置するVIP控室へ通された創真が扉を開けると——
そこには、豪華なレザーソファに浅く腰かけた青髪の美女が俯いていた。
WGOの一等執行官・アンである。
しかし、今の彼女は格式高い白いハイヒールも脱ぎ捨てて足元に転がし、乱れた黒い執務服の隙間からは豊満な胸元と白い肌が露わになっていた。WGOの象徴である青いランタンは床に静かに転がっている。
スフレに含まれていたわずかな酒気と、食戟で味わった絶頂の余韻が冷めやらぬ彼女は、お酒の力も手伝って完全にタガが外れていた。
「幸平……創真……っ」
か細く、どこか熱を帯びた甘い声で呼びかけるアン。彼女の白い頬は朱色に染まり、その美しい瞳はとろりと潤んでいた。日頃の冷徹で尊大な雰囲気は完全に姿を消し、隙だらけで可憐なその姿があまりにも扇情的で、創真も思わず息を呑む。
「アンさん……どうしたんですか? こんなところで横になって」
創真がゆっくりと歩み寄ると、アンは潤んだ瞳で彼を見上げ、震える細い指先で創真の制服の袖口をぎゅっと強く掴み寄せてきた。
「私……WGOの厳格な執行官として……こんな破廉恥なこと、許されるはずがありませんのに……っ。貴方のスフレの余韻と……あのお酒のせいで、身体の奥がカッと熱くなって……疼いてたまらないのですわ……っ!」
ふだんの誇り高い態度が崩れ、素直すぎる本音を吐露するアンに対し、創真は困ったように苦笑しつつも、彼女の目の前に優しく片膝をついた。
「なら、俺が責任取りましょうか。アンさんをここまで熱くさせたのは俺ですからね」
「せ……責任……? 一体何を……んっ……!?」
アンが問い返す暇すら与えず、創真は彼女の華奢な顎に手を添えると、顔を近づけてその滑らかな首筋へとそっと口唇を重ねた。
ちゅっ……ちゅぷっ……
小さな啄むような口づけが、白くしなやかな鎖骨に沿って丁寧に走っていく。さらに創真の手は、彼女の首筋から滑らかなうなじ、そして開いた胸元へと優しく移動し、指先で肌の熱を確かめるように撫で上げていった。
「ひゃあっ!? こ……こんな不適切な行為……執務官に対する非礼ですわっ……! あ……そんなに指で……撫で回さないで……っ!」
微かな理性で反射的に制止しようと手を伸ばすアン。しかし、創真は意に介さず、彼女の耳朶を軽く食み、甘い吐息を吹きかけながら身体の感度をじっくりと高めていく。
「ふあぁっ……耳は……耳は駄目ですわっ……! 音が……熱い息が直接届いて……頭がどうにかなってしまいそう……っ!」
甘い悲鳴をあげるアンを愛おしそうに見つめながら、創真の手は彼女の腰元へと滑らかに伸ばされた。
パチンッ……!
クリスマスケーキの美しいリボンを解くかのような容易さで、彼女の脚を包んでいた黒タイツが破かれ、破片が弾け飛んだ。
「あっ……!? タイツが……っ!」
突然の衝撃と破裂音に、息を詰まらせて目を見開くアン。創真はその破れた穴から温かい掌をゆっくりと滑り込ませ、まずは露わになった太ももの内側を優しく撫でさすった。体温の上昇とともに肌はしっとりと汗ばみ、創真の指先が触れるたびにアンの脚がびくびくと小さく跳ねる。
「んうっ……! ふともも……そんなに優しく擦られたら……ゾクゾクして息が……っ!」
太ももの柔らかい肉を存分に揉みほぐしながら、創真の指先は少しずつ上へと上り詰め、レースの下着越しに彼女の最も秘められた中心部へと到達した。そこを指の腹でゆっくりと円を描くように優しく弄り始める。
すりっ……くちゅっ……ぬぷ……
「んっ……! そ……そこは駄目……っ! 私は機構の組織をまとめる立場の人間なのですから……っ!」
必死の抗議を口にするアンであったが、創真の指先が生地越しに探れば探るほど、彼女の体温はぐんぐんと上昇し、溢れ出す愛液の潤いが増していく。下着をすり抜けてダイレクトに可憐な突起へ触れ、コリコリと刺激を加えると、アンの背中がキュッと緊張した。
「ひゃうんっ!? そこっ……ピンポイントで触られたら……あはぁっ!」
お酒で感度が鋭敏になった秘部へ指先が滑り込み、浅く深く優しく出し入れを繰り返す。とうとう第二関節まで深く飲み込まされると——
ぷしゅっ……!
「やぁああんっ! 駄目なのに……身体が……勝手に弾けてしまいますわぁっ!」
薄い潮が可愛らしく噴き出し、彼女の乱れた執務服の裾を濡らした。本能的な快感に逆らえず、アンはソファの上で身体を小さく跳ねさせる。
その時だった。創真が彼女の耳元へと顔を近づけ、低く甘い声で囁いた。
「知っています? 実はあのスフレと同じように、アンさんはすごく軽やかで柔らかいんですよ」
「え……? スフレと同じ……?」
意味深な言葉にアンが困惑して首を傾げる隙に、創真は彼女の体をそのままソファの上へと押し倒し、湿り切ったTバックのショーツをいとも簡単に剥ぎ取った。
眼前にさらけ出された、男らしく熱く昂った創真の象徴を目にした瞬間、アンはゴクリと息を呑んだ。
ぐにゅり……
——恐ろしく太く、力強い質感。けれど独特の滑らかさを帯びたそのフォルムを見つめるだけで、アンはお酒の酔いも相まって、自分の口角が甘く緩んでいくのをはっきりと感じていた。
「今度は、俺がアンさんを美味しく食べさせてもらいますね」
力強い宣言と同時——
ずにゅるううぅっ!!
「ひぎいぃっ!? きっつ……っ! 入って……入ってきますわぁっ!」
窄まりを一気に破られ、最奥まで太い塊が穿たれたことでアンの視界が大きく揺れた。
WGOの執務官としての矜持や羞恥心は、破滅的な快楽の波によって一瞬で吹き飛ばされていく。痛みを上回る強烈な歓喜が脳を直撃し、彼女の理性は心地よく麻痺していった。
バチュッ! バチュンッ! じゅぽじゅぽっ!
「ふわぁあっ!? 重さは段違いですのに……動きの軽やかさが……あのスフレみたいですわ……っ!」
激しく高速で出入りする感覚は、まさに創真が作った至高のスフレ。
けれど、儚く消えるスフレとは異なり、男の確かな重量と硬度を持っているため、内部の繊細な襞を擦り上げるたびに脳内で甘い火花が弾け飛ぶ。
「アンさんの素直な反応……すごく可愛いですよ」
創真の手が滑らかに伸び、彼女の華奢な両手首を捕らえると、そのまま頭上へと押し留めた。無防備になった体を下から激しく突き上げられる。
どちゅんっ! どちゅんっ! ごりごりっ!
「んあぁっ! 身体が逃げられなくて……気持ちよすぎる感触ばかりが押し寄せてきますわぁ……っ!」
次いで、創真の空いた左手が彼女の執務服を押し開き、豊満な両胸を鷲掴みにした。親指の腹で尖った乳首をコリコリと優しく弾くと、アンの口から切ない甘い悲鳴が漏れ出す。
「ひぃんっ! そこ……そこは特に敏感なんですぅっ!」
過敏になった胸を弄られながらも、創真は容赦なく彼女の内部にあるGスポットを的確に狙い続け、下から角度をつけて突き上げた。
ゴリュッ! ゴリッ! どすんっ!
「ひああぁぁっ!? そこばかり狙われたら……いけないところに手が届いてしまいますわぁっ!」
アンの身体は綺麗な弧を描いて弓なりになり、絶頂の波へ呑み込まれそうになる。同時にお酒の熱気と混ざり合い、彼女の胎内には灼熱のマグマのような熱量が急速に溜まり始めていた。
ドクンッ! ドクンッ!
「だして……っ! 幸平の熱いの……私の中に注いでくださいませぇっ!」
本能のままに叫ぶアンの懇願に応えるように、創真も最後の激しい抽送で限界を迎える。
ドクッドクッ……ビュルルルーーッ!!
「あ゛ぁあっ! つ、強い……! この熱さはスフレみたいにすぐ消えたりしませんわぁぁっ!!」
子宮口を直接叩く灼熱の噴射に、アンは獣のように甘い咆哮をあげた。
全身を激しく痙攣させながら、彼女は創真から放たれる濃密な白濁を残らず子宮で受け止め切る。
創真が全ての精液を注ぎ終える頃には、彼女の黒い執務服は汗と体液、そして潮でドロドロに汚れ切っていた。
創真がゆっくりと身体を引き抜くと、糸を引いた分泌液がソファの革を叩いて滴り落ちる。
「申し訳ないですね。WGOの大切な仕事着、汚しちゃって」
悪びれる様子のない謝罪に、アンはお酒の余韻と絶頂の放心状態でぐったりとしながらも、愛おしそうに首を振った。
「い……いいのですわ……今日だけは……WGOの規則違反も見逃して差し上げます……」
潤んだ瞳で愛おしそうに見上げてくる彼女の可憐さに、創真は微笑みを深めた。
「じゃあ……まだまだ時間もありますし、続きをしてもいいですか?」
「……」
甘く蕩けた視線の中、アンは顔を真っ赤に染めながら、小さくこくりと肯いたのだった。
静まり返った連隊食戟会場のVIP控え室。
甘く濃厚な愛の余韻と、ほのかなチーズと柑橘の爽やかな香気が漂う空間で、大きなレザーソファの上で乱れた執務服の胸元を押さえたままのアンは、創真の膝の上にチョコンと座り、彼の首元へうっとりと身を預けていた。
かつてのWGO一等執行官としての厳格で冷徹な面影、そして高圧的な尊大さは微塵もなく、朱に染まった頬と蕩けた瞳で、創真の胸元へ甘えるように顔を擦り付けている。
「……ふあぁっ……幸平……っ。私……WGOの厳格な執行官として貴方を審査するはずでしたのに……お酒の勢いも手伝って、こんなにも身も心も貴方に夢中にされてしまうなんて……っ」
アンは甘い吐息を漏らしながら、創真の首筋に何度も濃密なキスを重ね、彼の手を愛おしそうに自身の細い腰へと導いた。
「でも……身体の奥がフワフワと浮き立つように熱くて、胸がいっぱいですわ……。貴方のあのスフレのように……私の身体も心も、貴方の情熱で溶かされてしまいましたの……っ」
「へへ、アンさん。そんな気難しい顔してWGOの威厳を張ってるより、そうやって俺に甘えてる方がずっと可愛いぜ。これからも俺の料理、たっぷり食わせてやるからな」
創真が優しく笑い、彼女の豊かな腰を引き寄せると、アンは「ん……っ」と甘い悲鳴をあげ、創真の頬へと愛おしそうに手を押し当てた。
「ええ……っ。これからは貴方だけに審査される特別な女として……私をずっとずっと甘く愛してくださいませ……っ」
執行官としての仮面を脱ぎ捨て、創真への愛を爆発させるアンの姿に、創真は胸を張り、力強い笑顔で彼女の手を握りしめた。
「お粗末!」
その決め台詞とともに、アンはとびきり艶やかで可憐な笑顔を浮かべ、創真の唇へとそっと背伸びをして甘く濃厚なキスを落としたのだった。
(第58話 おわり)