※この作品はR-18です。

風のタクトのメドリにリンクが乱暴する話。   作:ジュウヨン

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テトラと、再会した

 

 

 

 

 

「……はっ、リンクじゃないか」

 

「久しぶり、だねぇ……」

 

 

 

背後から聞こえた、聞き慣れたその声。

 

俺は、それが誰なのかを振り向く前に理解していた。

 

「うん、久しぶり……テトラ」

 

視線を彼女へ移し、ぶっきらぼうに言葉を返す。

 

それにしても……

テトラが、どうしてこんなところにいるのだろう。

 

気になった俺は、ふと素朴な疑問を口にする。

 

「珍しいね、こんな島に来るなんて……」

 

「どうしたの?」

 

するとテトラは、少し不機嫌そうにそっぽを向き、

掠れた小さな声で答えた。

 

「……別に、なんだっていいじゃないか。そんなことはさ……」

 

事情を悟られたくないのか、

彼女は追及を逃れるように足早に言葉を重ねていく。

 

「ふっ、四ヶ月ぐらいかねぇ……」

 

「アンタが……あたしを、求めなくなってからさ」

 

肩をすくめ、自嘲気味にふっと薄い笑みを浮かべるテトラ。

 

だが、直後に——

彼女の碧い瞳に、じわりと仄暗い影が落ちた。

 

 

「連絡の一つも無いなんて……寂しいじゃないか……」

 

 

「せめて……ちょっとぐらい……

 あたしにだって、構ってくれてもいいじゃないのさ……」

 

 

足取り重くゆっくりと近づき、

俺の胸元へ寄り掛かるように、小さな頭を預けてくる。

 

薄い衣服越しに、

テトラの熱がじんわりと伝わってくる。

 

その瞬間——不意に、

彼女と貪り合った淫らな日々の記憶が脳裏をよぎった。

 

欲望のままに彼女の体を食らい、

行き場のない己の劣情をぶつけ続けたあの日々。

 

テトラは、そのすべてを受け止め、

俺の壊れかけた穴を埋めてくれた。

 

……満たして、くれたのだ。

 

その——あまりにも華奢で綺麗な体で。

 

壊れた俺を救おうと、

必死に満たそうとしてくれていた。

 

……だが。

 

そんな彼女を、俺は——

 

メドリが居なくなり、

失う本当の恐怖を知った途端……

 

無かったもののように、切り捨てた。

 

我ながら……本当に、

どうしようもない。

 

テトラの気持ちなんて何一つ考えなかった。

 

考えることすら意図的に避けていた。

 

ただ、メドリとの平穏な幸せを謳歌するために——

『テトラなら大丈夫だ』と、都合よく決めつけて。

 

……だが、現実は違っていた。

 

中途半端に弄んだ美しい薔薇には——

すでに引き返せないほど鋭利な毒棘が、潜んでいたのだ。

 

「ねえ……リンク」

 

「メドリと……上手く、やれているのかい?」

 

胸元に顔を埋めたまま、

テトラが掠れた声で尋ねてくる。

 

俺は、一瞬だけ言葉に詰まり——

やがて、素直に答えた。

 

 

「……うん、上手くいってるよ」

 

 

俺の言葉を受け、

テトラはしばらく身動き一つしなかった。

 

 

「…………」

 

 

潮風の音だけが響く、

重く曖昧な時間が流れる。

 

やがて——諦めたように、

重い息を吐きだし、口を開いた。

 

「そっかぁ……

 それは、よかったよ…………」

 

「アンタが……リンクが幸せそうなら、

 あたしはそれで……」

 

ゆっくりと俺の胸から身を離し、

寂しげに微笑むテトラ。

 

ほんの少しだけ吊り上げられた口角が、

行き場を探すように微かに震えている。

 

……無理をしているのは、一目で分かった。

 

だけど、俺はもう——

帰らなければいけないのだ。

 

メドリが待つ、あの暖かな家に。

 

「テトラ……今まで、本当にありがとう」

 

「でも、やっぱり……俺は、メドリが大事だ」

 

「メドリを傷つけて……

 テトラにも、悪いことをした」

 

「自分の罪と向き合うのが、怖かったんだ……」

 

「だから……連絡もしなかった」

 

「……ごめん」

 

隠していた醜い本音を、

そのまま吐露した。

 

俺が深く小さく頭を下げると——テトラが、

突然、甲高い大きな笑い声をあげた。

 

「……ふふ、ふふふ……」

 

「あは……あはははははははは!!!!」

 

まるで、腹の底から可笑しいものを見たかのように笑い飛ばすテトラに、俺はただ立ち尽くすことしかできない。

 

彼女の空虚で乾いた笑い声が、

誰もいない小さな島に惨めにも響き渡る。

 

「ふふ……リンク……あんたはさぁ…………」

 

「なにか……勘違いをしてるんじゃないかい?」

 

テトラは、愛おしさと絶望が混ざり合った狂気じみた表情を浮かべ、俺の目をじっと見つめ返す。

 

「悪いことをした、ってさ……」

 

「まあ、メドリを裏切って傷つけたのはその通りかもねぇ……」

 

テトラは頷き、

自虐混じりに少し茶化したように言葉を吐き捨てる。

 

……だが、直後にその瞳から笑みが完全に消えた。

 

「でもね……決定的に間違ってることが、一つだけある」

 

 

 

「あたしに……悪いことをしたって、

 いったいどういう意味だい?」

 

 

 

「あたしが、一度でも——

 アンタとのこの関係を『嫌だ』なんて言ったかい?」

 

「メドリを捨てて、

 あたしだけを選んで……なんて言った?」

 

「メドリみたいに……

 触らないで、乱暴にしないで……なんて」

 

「一度でも……言ったかい?」

 

言葉を放つごとに彼女の声は激しく震え、

透き通るような碧い瞳に、うっすらと涙の膜が張っていく。

 

「あたしは……言ってない……」

 

「あたしは……嫌だ、なんて……っ……」

 

「言って、ない…………!!」

 

 

 

「一度も……一度も、

 言ってないじゃないのさぁ!!!!」

 

 

 

彼女の悲痛な叫びが、

鼓膜を突き破って脳の奥深くに、キンと突き刺さる。

 

大粒の涙が頬を伝ってポロポロとこぼれ落ち、

乱れた呼吸で肩を激しく上下させるテトラ。

 

感情の爆発を抑えきれないその姿は——

傷つけられた被害者などではなく、男に狂わされ、

置き去りにされた一人の哀しい女そのものだった。

 

「せっかくだから、教えてあげるよ……」

 

「リンク……あんたはね、あたし達に『悪い』なんて、

 これっっっぽっちも、思っちゃいないんだよ」

 

「悪いと思ったフリをして……悦に浸ってる、だけ」

 

「ずっと……頭の中で考えているのは、自分のことだけさ」

 

「自分が良ければ、それで良い」

 

「自分が気持ち良ければ……それで良いんだ」

 

「今、この瞬間の快楽だけを……ただ、貪り食う獣……」

 

「それが……今のアンタ、さ」

 

荒い呼吸を必死に整えながら、

冷酷なまでの事実を淡々と突きつけてくるテトラ。

 

その言葉は、刃のように鋭く、

それでいて恐ろしいほどすんなりと俺の胸の奥深くに刺ささった。

 

……テトラは、俺を理解している。

 

俺自身ですら目を背けていた底知れない醜悪さを、

恐ろしいほど透き通った解像度で見抜いている。

 

俺は言葉を失い……

ただ、彼女の言葉に立ち尽くすことしかできなかった。

 

 

「……でもね、リンク」

 

「あたしは……それで、良いんだよ」

 

「海賊は……欲しがりな、生き物だからね……」

 

「その……壊れきったままの、アンタが欲しいんだ」

 

「世界のために戦わされて、ガノンを倒して——

 生きる道標を失って……今もずっと暗闇で迷い、

 苦しんでるアンタが……」

 

「クズで、どうしようもなくたって……

 それでも良いじゃないか……」

 

「あんたはね……絶対に、

 これからも、幾度と無く同じように他人を傷つける」

 

「今だって……メドリに、

 “満たされたフリ”をしているだけさ」

 

「それに、メドリだって……いつか、

 アンタのところを離れようとするはず、さ……」

 

「でも……それでも、良いじゃないか…………」

 

「一人になりたく無いからって……っ、

 無理して綺麗になろうとしなくて、いいんだよ……っ」

 

「……だって、だってさ……!」

 

 

 

「アンタの側には……あたしが、

 ずっといるじゃないか……っ!!」

 

 

 

「あ……あたしは……っ!

 ぜったいに……傷つかない、から……っ!!」

 

「あんたの側を…………

 離れたりなんて、絶対にしない……!!!!」

 

……叫び終えたテトラの、涙と鼻水に濡れた凄絶な表情。

 

溢れ出る情念を抑えきれず、しゃくりあげる肩。

 

こんな風に……

どこまでも脆く泣きじゃくるテトラを見るのは。

 

出会ってからの長い月日の中でも、

生まれて初めてのことだった。

 

 

 

 

「だからぁ……っ……だ、だから…………」

 

 

 

 

 

「…………おねがい…………

 ぁたしを……すて、ないで…………」

 

 

 

 

喉を絞り出すように吐き出された、

小さくてかぼそい、悲痛な乞い。

 

 

 

——次の瞬間。

 

 

 

俺の中で何かがプツリと切れ、

思考が完全に停止した。

 

 

 

彼女が次の呼吸を整えるよりも疾く、

俺は強引にその華奢な身体を腕の中へ引き寄せ——

 

骨が軋むほどの力任せで抱きしめ、

奪い去るように荒々しく唇を重ねていた。

 

 

 

 







ここまで読んでいただきありがとうございます 
ジュウヨンです。

今回は、久々の非エロ回になります。

メドリとの幸せな生活を送ろうとしていたリンクですが、
いやー見事にテトラにぶっ潰されましたね。

……ですが、私も彼女の言うことはある程度正しいと思います。

もちろん。
全てが正しいとは、思っていませんが。

結局、テトラも寂しいんですよね。

リンクを繋ぎ止めようと必死です。

だから、自分は傷つかないからずっとそばに居させてと縋り付いています。

虚しいですね。

前話の幸せな日々から一変、
再び泥沼に入っていこうとしている関係ですが……

この先、一体どうなっていくのか。
乞うご期待ください。

ちなみに次回は……
このままの流れで、テトラとのがっつりエロ回です。

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今後ともよろしくお願いします。

ここまでのR18描写について、どちらのキャラの方が好きですか。

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