※この作品はR-18です。

風のタクトのメドリにリンクが乱暴する話。   作:ジュウヨン

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メドリと、お別れしなきゃいけない

 

 

 

 

 

「リンクさん、おかえりなさい!!」

 

「今日は、一段と遅かったですね!!」

 

 

 

「怪我しちゃったんじゃないかって……

 あと少ししたら、探しに行っちゃうとこでしたよ!!」

 

 

 

明るく、無邪気な声でくたびれた俺を出迎えてくれるメドリ。

 

だが……その目元は微かに赤く腫れ、

痛々しく伏せられていた。

 

「とっても……心配、したんですからね……?」

 

「わたしには……

 リンクさんしか、いないから……。」

 

 

……ぽすっ。

 

 

メドリが、縋りつくように俺の胸元へ頭を預けてくる。

 

その体は驚くほど軽くて、

けれどじんわりと温かくて……

 

その体温が、鈍い刃となって俺の胸を容赦なく抉る。

 

重い痛みに、息が詰まる。

 

 

「………………」

 

 

メドリの小さな肩が、

吸気と共にわずかに跳ねた。

 

スゥ……と、俺の服に染みついた、

“何か”の匂いを確かめるように。

 

直後……彼女は何かを察したようにそっと頭を離すと、

顔に強ばった笑顔を貼り付け、俺の手を引っ張って食卓へ向かわせようとした。

 

「…………おなか、すきましたよね……?」

 

「申し訳ないんですけど……

 ご飯をあたため直すので、すこしだけ待っててくださいね……」

 

表情とは裏腹に、か細く力の抜けた声。

 

メドリは、

俺の視線から逃げるように台所へ駆けていく。

 

 

歪(いびつ)だった。

 

 

あべこべで、ギクシャクして、

決定的に噛み合わない歯車。

 

……メドリは、馬鹿じゃない。

 

テトラの匂いにも、俺の嘘にも、

本当は、全部——

 

きっと……。

 

……。

 

俺は、もう……

これ以上メドリを穢したくない。

 

こんな、血と罪に塗れた汚い手で……

彼女の純白に触れたくない。

 

メドリの暖かさに触れて緩みそうになる覚悟を、

もう一度キツく締め直そうとする。

 

……だが。

 

胸の奥がキュッと締め上げられ、

心が悲鳴をあげる。

 

 

 

……いやだ。

 

 

 

本当は、そんなの絶対に嫌だ。

 

 

 

俺は……メドリと、

ずっと一緒にいたい。

 

我儘でも、身勝手でも、

独り善がりでも。

 

たとえ——

それが永遠になど続かない偽りの平穏だとしても。

 

 

 

 

ただ……メドリと……離れたくない……。

 

 

 

 

——その時。

 

テトラの吐き捨てた言葉が、

呪いのように脳裏をよぎる。

 

 

 

『あんたはね……絶対に——

 これからも、幾度と無く同じように他人を傷つける』

 

 

 

……そうだ。

 

その通りだ。

 

絶対に、彼女の言った通りの怪物になる。

 

魔物を殺すことに、

何の躊躇も無くなったように。

 

いつか……

罪悪感すら抱かなくなるのだ。

 

 

 

『今だって……メドリに——

 “満たされたフリ”をしているだけさ』

 

 

 

……わからない。

 

でも……きっと、

そうなんだ。

 

俺は……メドリに触れようとして、

必死に手を伸ばして、無相応な奇跡を掴もうと……

 

ずっと、自分のためだけに生きてきた。

 

メドリの側にいることで、

まだ「人間」のままで居られると身勝手に思い込み、

憐れにも憧れを抱いていただけなのだ。

 

 

かつて——

 

魔王ガノンドルフが、

最後の闘いで口にしていた言葉が重なる。

 

 

 

『故郷の砂漠の風は……昼であれ夜であれ死を運ぶ……

 だが、ハイラルに吹く風は違うものを運ぶ』

 

『ワシは……この風がほしかったのかもしれぬ』

 

 

 

俺は……かつてこの手で葬った、

 

あの、憐れな男と——

 

 

 

 

同じだった。

 

 

 

 

……。

 

……もう、いいんだ。

 

台所で、せかせかと背中を向けて作業をするメドリが見える。

 

小さくて……

誰よりも、一生懸命な背中。

 

竜の島や大地の神殿で、

守ってやらなければいけないと思っていたあの頃と、何一つ変わらない。

 

……変わってしまったのは、俺の方だ。

 

俺は、速まる心臓を抑え込むように、

固く閉ざしていた口を静かに開いた。

 

 

 

「……メドリ……ちょっとだけ、いいかな…………」

 

 

「……大事な……話が……あるんだ……」

 

 

 

……反応がない。

 

何も聞こえなかったかのように、

彼女はカタカタと鍋を温め続けている。

 

俺はもう一度意を決し、

掠れた声を絞り出した。

 

「メドリ……話があるから、

 ちょっとだけ、こっちに来てくれないか?」

 

「すぐに……終わるからさ」

 

……それでも、彼女は手を止めない。

 

それどころか——

俺の声を遮るように、足早に言葉を重ねていく。

 

「えへへ……リンクさん、シチュー大好きですよね……」

 

「ふふっ……驚かないでくださいね?」

 

「実は……今朝、あの後ですねぇ……」

 

痛々しく……

必死に現実を打ち消そうとする声。

 

 

 

もう——

もう……やめてくれ。

 

 

 

これ以上、

耐えられない——

 

 

 

「———メドリ!!」

 

 

「お願いだ……!」

 

 

 

 

「話を……話を、聞いてくれ……!!」

 

 

 

感情を抑えきれず、声に怒気が混じる。

 

その瞬間——

彼女の背中がビクンと跳ね上がった。

 

それだけで……

自分の心が、裂けてしまいそうになる。

 

でも、それでも——

今、言わなきゃいけない。

 

乾き切った喉から、

言葉を吐き出そうとした——その時。

 

メドリが……鍋を静かに混ぜながら、

ぽつりと溢した。

 

 

 

「……わたしは、話したいことなんて、ありません…………」

 

 

「だから……聞きたく……ありません…………」

 

 

 

カチリ、とガスの栓を捻り、

大皿に料理を手際よくよそっていく。

 

「はやく……いっしょに、ご飯を食べましょう?」

 

「ふふっ……リンクさんを……ずっと待ってたから、

 わたし……とっても、お腹ぺこぺこなんです」

 

「実は、ですね……

 あの後、シチュー……作り直したんですよ……?」

 

「リンクさんに……もっと、喜んでほしくて……」

 

「えへへ……今朝のシチューは冷蔵庫に入れたので……

 わたしが、ちょっとずつ食べていきますね……」

 

「捨てるなんて……勿体無いこと、できませんから……」

 

「リンクさんは……美味しい方を、食べてください……」

 

「わたしは……焦げた方で、いいですから……っ」

 

「焦げてるシチューだって……わたし、は……っ

 わたしは……だいすき、なんですから……っ!」

 

メドリの声が、徐々に熱を帯びていく。

 

しゃくりあげる大きな嗚咽に、

溺れないように必死に抗いながら。

 

ゆっくりと……

メドリが、こちらへ振り返る。

 

 

……必死に、笑っていた。

 

 

真っ赤に腫らした目から……

とめどなく、大粒の涙を流しながら。

 

「……っ……だ、だから……、

 はやく……たべましょ……?」

 

「ごはんを食べた後は……、

 一緒にお風呂に入って…………」

 

「寝る前には……

 たくさん、えっちして…………」

 

「いっぱい、チュウして……

 いっしょに……いっぱい、気持ちくなって……」

 

「わたしの中に……リンクさんの…………」

 

「あ、あは……っ……それとも、

 先に、えっちしちゃいますか……?」

 

「あっ……お風呂になんて……

 入らなくて、いいんですよ……?」

 

「リンクさんが……

 嫌じゃなかったら、ですけど……」

 

「わたしは……かまいません」

 

「たとえ……リンクさんが、

 どれだけ……汚れてても……」

 

「わたしが……綺麗にして、あげますから」

 

「おくちも、からだも、アソコも……ぜんぶ使って、

 リンクさんのことを、愛しますから……っ」

 

「でも……できるなら……

 わたしだけは……そのまえ、に……

 シャワーを浴びさせて、もらいたいです……っ……」

 

 

 

「だ……だって、だってぇ…………っ!」

 

 

 

 

「せ、せめて……りぃ……リンクさんのっ、前では……っ!

 綺麗な、メドリのままで……いたい……からぁ……っ!!」

 

 

 

 

言い終えると同時に——

メドリはその場に膝から崩れ落ちた。

 

全てが、どろどろでグチャグチャで。

 

俺の手で……

彼女を歪ませてしまった。

 

初めて出会った頃——

 

綺麗で……

宝石のように輝いていた彼女。

 

 

『あっ、ホントに緑の服にとんがり帽子……

 アナタが、リンクさんですね?』

 

 

『わたしは、竜の山に住む精霊ヴァルー様の

 お付きのメドリといいます!』

 

 

『……といっても、まだ見習いの身なんですけどね』

 

 

照れくさそうに、

ふふっと微笑んでいた。

 

あの無垢な姿。

 

あまりの眩しさに、

俺は直視することすらできなかった。

 

そんな、

純粋で高潔な彼女を————

 

俺は。

 

 

 

「いやだ…………ぜったいに、絶対にいやだぁ……っ

 いやだよぅ…………いやだ……ぜったい、やだぁ!!」

 

 

「やだやだやだやだやだやだぁ!!!!

 やだあああああああああああ!!!!!!」

 

 

 

 

「ううっ……ひっぐ……うっ……ううっ…………、

 うわああああああああああああああああああん!!!!!!」

 

 

 

 

床に額を擦り付け……

子供のように泣き叫ぶメドリ。

 

俺は……本当に……。

 

取り返しの……

つかないことを……してしまった。

 

静まり返った小さな部屋に——

彼女の悲痛な叫びだけが、

 

どこまでも寂しく、響き渡っていた。

 

 

 

俺は、何もできず……

 

 

 

ただ——

ずっと、呆然と立ち尽くしていた。

 

 

 










読んでいただきありがとうございます。
ジュウヨンです。

この回、書くのに心が砕けそうになりました。

リンクの罪悪感と、それでも健気なメドリ……

頭おかしなりますよ、これ。

もう終盤で、このまま走り切る予定でしたが、別でオリジナル作品を今練ってて本作の執筆は止めてます。

流れでは、次回はメドリのどろどろぬちゃぬちゃの独占欲に塗れたエロ回で、そこらへんから一気にラストまで話を進めてく感じですかね〜
暇だったら書きます。
暇じゃなかったら多分書かないです。

なぜなら、鬱エンドなのでそんだけメンタルがけずられるからです。
わりともうエロを書いて満足はしております。

気になるって人いらっしゃったら、気まぐれで書くかもしれません。

それでは〜

ここまでのR18描写について、どちらのキャラの方が好きですか。

  • メドリ
  • テトラ
  • どっちも
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