言わずもがなですが、
タイトル通り微エロ注意です。
「はーい、リンクさーーーん!」
「ご飯が、出来ましたよ〜〜」
台所からメドリの弾んだ声が響く。
漂ってきたのは、どこかエキゾチックで香ばしい匂い。
今まで嗅いだこともない、食欲をそそる独特な香辛料の香りだ。
台所に足を踏み入れると、メドリが満面の笑みを浮かべ、
大きな料理皿を大切そうに抱えていた。
「ふふふ……リンクさん、
この料理見たことないんじゃないですか?」
キョトンと立ち尽くす俺を見て、
メドリがニヤニヤと悪戯っぽく胸を張る。
「うん……見たことないな」
「ふっふっふ……そうでしょうねぇ……
実は、これはリト族に伝わる秘伝の料理なんですよー!!」
パァッと花が咲くように表情を輝かせるメドリ。
その無邪気な笑顔を見せられたら、
素直に驚いて見せる以外の選択肢なんてなかった。
「へぇ、すごいね……
待ちきれないから、一口だけつまんじゃダメ?」
俺が料理へ手を伸ばした瞬間——
グサリと、手のひらを鋭い痛みが襲う。
……く、クチバシで突かれたんだけど。
「こら!リンクさん!!お行儀が悪いですよ!!
「めっ、ですよ!めっ!!」
「う、うう……め、めちゃくちゃ痛えぇ……!!」
突かれた手が、じんと痺れる。
こういう時のメドリは……
とにかく容赦ない。
てか、本当に痛い。
「もう!どうせなら、一緒に座って食べましょうよ!
私だってお腹空いてるんですから!!」
プンスカと頬を膨らませながら、
楽しそうに、ダイニングテーブルへ料理を運ぶメドリ。
……彼女は以前よりも俺に心を開いてくれた。
いや、そう思いたい。
……ただの俺の願望なのかもしれないが。
⸻
テトラとの情事と……
ほぼ同タイミングで、メドリと付き合い始めてからというもの。
メドリは、毎日のように俺の家へ通うようになっていた。
魔物討伐から疲弊して帰宅すると、
いつもメドリの作った温かい料理が待っている。
「竜の島での仕事は大丈夫なの?」と尋ねたとき——
ほんの一瞬だけ、メドリの瞳から光が消えた。
だが、彼女はすぐにそれを塗りつぶすように、
無理やり弾けたような笑顔を作った。
「と、特別休暇をいただいているので……
まったく問題ありません!!」
「だから、私のことは気にしないで、
お仕事頑張ってください!」
「私……こう見えても、
お料理や洗濯は得意なんですから!」
えっへん、と胸を張る彼女。
……言葉通りに、受け取っていいのだろうか。
一瞬だけ陰った、あの表情。
俺は、コモリに……
リト族に、恨まれているのではないか。
メドリの一件で、
竜の島には、未だに出禁状態で……。
だが、その渦中のメドリと、
俺は関係を深めている。
まあ、あれだ……。
背後には、なるべく気をつけよう。
そんな——嫌な予感ばかりが、
胸の奥で渦巻く。
「そ、そうなんだ……じゃあ、
お言葉に甘えさせてもらおうかな」
考えを巡らせつつも——俺がそう呟くと、
メドリは心底嬉しそうに目元を緩めた。
「え、えへへ……任せてください!
大好きな、リンクさんのためですから!!」
元気よく言った直後……
自分の言葉の重さに気づいたのか、ボンッと顔を真っ赤にするメドリ。
二人で顔を見合わせ、
照れくさそうに笑いを漏らした。
幸せだった。
間違いなく、心は満たされていた。
…………心“だけ”は。
⸻
綺麗に空になった皿を前に、
メドリは満足そうにお腹を摩っていた。
「ふぅ……たっくさん、
食べちゃいましたぁ…………ふわぁぁ……」
椅子に腰かけたまま大きなあくびをして、
ウトウトと眠たそうに瞼をパチパチさせている。
……最近、彼女の目の下の隈がますます大きくなってきている。
明るく笑っていたかと思えば急に黙り込み、
怒ったかと思えば不意に笑い出す。
深く関わるほどにわかる、彼女の不安定な情緒。
眠気と必死に戦うメドリに——
俺は意を決して提案してみる。
「メドリ、あのさ……
今日は泊まっていったら?」
「あ、いや——変なことは絶対にしないからさ。
すごい顔色悪いし、ちゃんと寝れてるのかな……って」
「…………おーい、メドリ?」
彼女の虚ろな瞳は、どこか遠くを見つめていて——
俺の言葉など一切届いていないようだった。
心配になって、そっと顔を覗き込む。
「…………へ?」
「……へ、はわわ!!
り、リンクさん——どどど、どうしました!?」
「ち、近いですよ!もう、突然過ぎます!!」
「まだ……そういうことは、しちゃいけません!!」
弾かれたように椅子から立ち上がり、
身を震わせながら、激しく距離を取るメドリ。
……あの日以来、ずっとこうだ。
何の気なしに、俺から近づこうとするだけで……
彼女は露骨に身を遠ざける。
ハグすらも……
付き合ったあの日以来、一度もしていない。
メドリは朝に現れ、夜になると必ず帰る。
俺の家に泊まったことなんて……
一度たりともない。
警戒されている。
当然の報いだ。
だが、分かってはいても——
胸の奥が鋭い刃物で削られるように痛んだ。
「あ……いや、なんでもない。
困ったことがあったら、気にせず言ってね」
俺もまた、張り付いたような歪な笑顔を作る。
……この部屋は、二つの偽物で満ちている。
穏やかで綺麗な時間という偽物と、
互いの本当の傷から目を背ける偽りの空間。
「あ——リンクさん!
それでは……私はこれで失礼しますね!」
ボンヤリと時計が目に入ったメドリが、
慌ただしく机の上のポシェットを手に取った。
「じゃあ……明日もまた来ます!」
「あ、食べたい物があったら言ってくださいね!
わたし頑張って作りますから!」
「それじゃぁ……
明日も楽しみにしてますから、ね?」
いつもの眩しい笑顔を残し、
彼女は玄関から夜空へと飛び出していった。
暗闇の中、
小さくなって消えていくメドリの背中を見つめる。
……。
……やっとか。
やっと、帰ってくれた。
一緒にご飯を食べ、
たわいもない話をして、家事をしてもらう……
付き合うとは、こういうことなのだろうか。
穏やかな日常の真ん中に、
決して越えられない見えない壁が立ちはだかっている。
……絶対的に、欠損しているのだ。
何か、が。
だが——何が足りないのか、
俺には痛いほど分かっていた。
そして……。
それは——
まもなく味わえる。
……。
プロロ島を出て直ぐ——
“彼女に”持たされた、石を取り出して。
「会いたい」そう溢すと、
『じゃあ、直ぐに向かうね?』と返ってくる。
光が消えたその石を、
そのまま、机の上にヒョイと放り投げる。
……。
……はぁ、待ち遠しいな。
ベッドに倒れ込み、
天井を見つめる。
……意識が、少し朦朧とする。
このままじゃ、寝てしまいそうだ。
……
…………
やがて——
玄関をトントンと叩く音が聞こえた。
俺は弾かれたように跳び起き、
吸い寄せられるようにドアの方へと駆け出した。
……
「ふふっ……リンク、
アンタは相変わらずお迎えが早いねぇ」
「あたしがノックしてから、
2秒も経ってないと思うんだけど……」
靴を脱ぎ捨てながら、
ニヤリと意地悪な笑みを深める。
「……だって、お前が来るのがずっと待ち遠しくて——」
「…………テトラ、ずっと会いたかった」
耐えきれず、
俺は彼女の細い体を力任せに抱きしめた。
「ふふっ、アンタねぇ……どんだけせっかちなのさ」
「昨日も会ってたじゃないか。
一昨日だって、その前だって……」
「はぁ……ったく、
毎日こうやって会ってるのに、あんたも飽きないもんだねぇ……」
意地悪っぽく、
小さくため息を吐くテトラ。
……グサリ、と。
胸に、彼女の言葉が突き刺さる。
……だが、これは虚栄だ。
テトラは——
こういう時、絶対に本音を隠す。
「……じゃあ、テトラは俺と会いたくなかったの?」
「俺に……飽きた?」
ぽつりと漏らした問いに、テトラは一瞬固まり、
一気に耳まで真っ赤にして、ぷいっと顔を背けた。
「それは……言わせたいのかい?」
「……早く、言ってよ」
観念したように、テトラが腕の中から俺を見上げて、
覗き込んでくる。
「あ、あたしも……アンタと……
リンクと、ずっと会いたかった……」
「……飽きるわけなんて、ないじゃないか」
「……こんなこと、言わせないでおくれよ」
「もう……もう、がまんできないから……さ」
「早く……シよ?」
その言葉を皮切りに、
俺は彼女の衣服を強引にひっぺがした。
露わになった形の良い美しい乳房を、
形が変わるほど強く揉みしだき、熱を持った先端へ貪るように食らいつく。
「……あ、ああァん……っ、り、リンクぅ……っ!」
「もっと……!もっと、激しくして……ぇ……!!」
「あたしを……アンタのモノに…………っ」
「ううん、なんでもない……もう、なんでもいいからぁ……っ!もっと……もっと、めちゃくちゃにシて……ぇ!!」
そうやって……
また、甘美な毒を貪る。
何かを確かめるように、確認し合うように……
足りないナニかを、補うために。
濃厚な甘い蜜を口いっぱいに含み、
互いの体温と背徳感をドロドロに混ぜ合わせ、濁った劣情を交換し合う。
……。
……。
……俺は、本当にどうしようもない奴だ。
あれから、俺は——
テトラとの関係を一度たりとも絶やすことなく、毎日のように続けていた。
——ガタッ
玄関の方から——
不自然に聞こえた物音にすら……
心底、興味を持てないほどに。
俺は、テトラに——
溺れ切ってしまっていた。
ジュウヨンです。
ここまで読んでいただき、
ありがとうございます。
幸せそうなタイトルから……
メドリとの穏やかな日常。
しかし、どこか歪で。
リンクには……物足りなくて。
最後には、
裏でテトラへ逃避していたという事実が語られます。
メドリのことを思うと、
書いてて、吐瀉しそうになります。
リンク、クズすぎでしょ。
テトラの官能パートは、ぶっちゃけノリノリで書いてますが……
リンク、死なないかな……と、
思いながら黙々と書いてます。
……こっからは、メドリの逆転劇が始動します。
メンヘラになり、どん底にまで堕ちますが……
それでも、巻き返します。
……一旦は、その予定です。
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