あれとアレのサイズは合わなかったけど、それ以外は相性バッチリな2人 作:レモン大佐
「じゃあ……その、イチャイチャしてみる?」
ユウが抱きしめた腕に収まるほど小柄ななーちゃんに問いかけると、
「は、はい……イチャイチャ、してみたいです……っ」
なーちゃんは照れつつも、ハッキリとそう答えた。
一糸纏わぬ姿で、初々しくベッドの上で顔を見合わせながら照れ合うこの2人は、付き合い始めて3ヶ月を迎えた高校生カップルだ。
高校3年生の「ユウ」。3年間打ち込んだ吹奏楽部を引退し、早々に進学先を確定させ、空いた放課後の時間を後輩の指導へと当てた、穏やかな性格の少年。
高校1年生の「なーちゃん」。吹奏楽初心者で、右も左も分からぬまま同じ楽器を担当していた先輩のユウが引退し、日々の練習、楽器や吹奏楽への知識不足に悩めていた。早々に指導しに来てくれたユウに惹かれ、恋心を自覚し、健気に好きだと猛アピール。そして念願の告白をしてもらい、幸せいっぱいな少女。
そんな2人は、付き合って3ヶ月という節目の日に意を決して、それでいて若い欲望に素直になり、彼女の部屋で身体を重ね合わせる行為へと及んだ。
が、結論としては、2人の記念すべき初セックスは失敗に終わっていた。
ユウが持つ、全長20センチに及ぼうかという大砲は、150センチにも満たない小柄な体躯のなーちゃんには、いささか大きすぎたのだ。
初行為で先走りしたユウによって、彼女は痛みを伴う、怖い思いを味わった。
なーちゃんもまた、彼氏に自分を傷つけさせてしまったという罪悪感を背負わせてしまった。
落ち着きの足りなさと、コミュニケーション不足によって互いに傷つけ合ってしまった。
しかし、3ヶ月掛けて誠実さを積み上げてきた2人は、今回の一件で相手を嫌うような事にはならなかった。
真摯に言葉を交わし、心から謝罪し、それを互いに受け入れた。
相手の至らなさを認めて、それでいてそれを責めることはせず、至らなさの前にあった互いを思う気持ちを大切にした。
そして反省し、安心し合った2人の心は、再び若い欲望が灯る。
(初体験は上手くいかなかったけど……)
(でも、せっかくここまで来たんだから……)
((エッチなこと、色々してみたい!))
言葉にはしていないものの、2人のこの思いは完全に一致していた。
早い話が、似た者ドスケベカップルだったのだ。
イチャイチャしてみたい、と同意したはいいものの、初セックス失敗した者同士。エッチの初心者マークをつけた2人は、何からすればいいものかと、頭の上にクエスチョンマークを浮かべて、思考と言葉と行動が止まった。
互いに止まったものだから、
((ああ、きっとお互いに同じなんだなぁ……))
と安堵し合い、どちらともなくクスっと笑った。
「先輩、私ね……イチャイチャしてみたいなっては思うんですけど……何からすればいいのかなぁ……って、悩んじゃってます」
「あはは、そうなんだ。実は、俺も」
「ふふ。同じですね、私たち」
お互いに分からないことを楽しむようにしながら、2人は言葉と心を重ねていく。
「じゃあ……まずは、お互いが考えてるエッチな事を、1つずつ確認してみよっか」
ユウの提案に、なーちゃんは「え〜」と照れながらも、満更でもなさそうな表情を見せた。
「いいですよ。なら、まずは……ユウ先輩は、夜にムラムラ〜ってなっちゃった時、どうなるのか教えてください♪」
可愛らしい笑みから繰り出されるピンク色な質問に、ユウは戸惑いながらも真摯に答える。
「ムラムラしたら……まあ、大っきくなるよね、アレが」
アレ、と言葉を濁したが、なーちゃんはそこを隙アリと言わんばかりに突き詰める。
「アレ……って、誤魔化しちゃだめですよ。ちゃんと、何がおっきくなっちゃうのか、教えてくーださい」
小悪魔ってこういうことを言うのかなぁ……と思いつつ、ユウは濁したモノを答える。
「そりゃ、おちんちんだね」
「おちんちんですか〜」
ユウの答えに対して、なーちゃんは嬉しそうに笑った。
「答えはこれで良かった?」
「はい……///。なんか、おちんちんって、かわいい言い方するんだな〜って思いました」
「あー……でも、逆におちんちんの丁度良い言い方ってなんだろうって思うんだよね」
「丁度いい言い方、ですか?」
なーちゃんは興味津々、と言った様子の瞳をユウへと向けながら尋ねた。
「うん。なんかさ……チンポ、だとなんかちょっと……品がない感じしない? んで、ペニスとか言うと、気取った感じになるじゃん? となると、おちんちんが可愛い寄りの言い方ではあるけど、1番良いんじゃないかな、って思うよ」
問われたことなので真面目に回答したユウだが、この回答がなーちゃんのツボに入った。これの言い方1つで、ここまで真面目に考えちゃう先輩が面白い、とのことだった。
そこまで面白いかは甚だ疑問であったユウだが、さっきまで痛みで泣きそうな顔をしていたなーちゃんが今こうして笑えているなら、それに越したことはないと思った。ありがとう、おちんちんという言い回しを生み出した人。
「じゃあ、なーちゃんはおちんちんのことなんて呼ぶの?」
「うーんと、はっきりコレ! っては決めてなかったですけど……ユウ先輩がおちんちん派みたいなので、私も今日からは呼び方はおちんちんにしますね♪」
2人の中で、エッチに関する共通認識が1つ生まれた瞬間である。
呼び方をおちんちんに統一した2人だが、ここでユウが質問を重ねた。
「なーちゃんは、夜のオカズって言われて、何のことかピンとくる?」
「え? ……お夜食に食べるおかずのこと……じゃないんですか?」
きょとんとして、とぼけている雰囲気を欠片ほども見せないなーちゃんを見て、初々しいなぁ……と、側からみたらお前も十分初々しいわと突っ込まれるであろうユウが思っていた。
「夜のオカズっていうのは……その、えっちな気持ちになるためとか、ムラムラしてスッキリしたい時に思い浮かべる妄想とか、見たりする、動画とか絵とかのことだよ」
「あ、あー……///」
喜怒哀楽が顔によく出るなーちゃんの顔には、
『はいはい、あれのことですね』
と書かれているようだった。
意味が通じたのを察したユウは、なーちゃんにそっと耳打ちをした。
「心当たり、あるみたいだね?」
「……」
なーちゃんは言葉では答えないものの、顔を真っ赤にしながらコクリと頷いて肯定した。
そんななーちゃんの姿を見たユウは、攻守交代と言わんばかりに言葉を重ねる。
「じゃあ……なーちゃんの最近の夜のオカズは、何かな? 教えて?」
問いかけに対して、なーちゃんはたっぷりの沈黙を挟んでから、答えた。
「……せんぱい、です」
と。
「……俺?」
完全に予想外、では無かったが違う答えの方が圧倒的に来るだろうと予想していたユウは、少し驚いた。だがすぐに、この答えは嬉しいなと感じ始めたところで、なーちゃんが再び頷き、ポツポツと言葉を繋ぎ始めた。
「はい……。その、私……最近の夜は、先輩とえっちなことしたいなぁ……って考えちゃって……。なんか、その……ごめんなさい」
「いやいや、謝らなくていいよ」
「ほ、本当……? エッチで、いやらしい子だって、思わないですか……?」
悪いことをして叱られ反省している子犬を思わせる表情を見せるなーちゃんを見て、ユウは穏やかに口を開く。
「そんなこと思わないよ。そりゃ……なーちゃんの妄想の中の俺が、それこそありえないくらいの絶倫で、なーちゃんを一晩中ヤリまくって精液まみれにしちゃうとか、そういう妄想されてたら思うかもしれないけど……そうではないでしょ?」
ユウとしては例え話の一環で出した性欲魔人ユウの姿であったが、なーちゃんには刺激が強かったのか、
「そ、そこまでえっちなことは考えつかないよぉ……せんぱい、そんなのさらっと思いつくなんて……もう、へんたい……」
と、可愛らしく罵倒されてしまった。
罵倒と言ってもいいのか微妙だなとユウは思いつつも、なーちゃんとの会話を続ける。
「まあ、それはものの例えなんだけど……じゃあさ、なーちゃんの妄想の中の俺は、普段なーちゃんにどんなことしてるの? それ、教えて?」
「あうぅ……その、妄想の中の先輩は……」
なーちゃんは顔を真っ赤にして、心臓をバクバクと鳴らしながら、見えない言葉の糸に操られるように、正直に答えた。
「私の身体の、気持ちいいところ……その、む、胸とか……ももの内側とか、お股の中、とか……気持ち良すぎて、いっぱい触ったらだめってところを、いっぱい……いっぱい触って、気持ち良くしてくれます……」
「へえ……気持ちいいところ、いっぱい触ってくれるんだ?」
こんなに恥ずかしがりながらもオカズを教えてくれる彼女可愛すぎる、とユウは思いながら続きを促す。
「うん……気持ちいいとこ、触りすぎちゃうと身体がビクッてなるんだけど……あ、そうなったらね、自分で触ってるとそこで一回止めちゃうんですけど……でも……」
話しながら、なーちゃんはその光景を頭に思い浮かべて、身体はそれに反応する。
「でも、先輩は、ビクッてなっても止めてくれないの。私が、待ってって……一回止めてって……休ませてって言っても、止めてくれなくて……っ」
思い浮かべるだけで、お腹の奥が熱を持ち、疼いた。脚を開かれないようにしっかりと閉じ、腰がもぞもぞと勝手に動いていた。
「そうやって、何回も、何回も……私の中の先輩は、私にエッチなこと、いっぱいしてくれます……」
俯きながら答えるなーちゃんは、まるで顔や頭から湯気が出ているのではないかと思うほど真っ赤になっていた。そんな彼女から最近の夜のオカズを聞いたユウは、率直な感想を口にした。
「なーちゃんの中の俺は、だいぶSな感じなんだね」
「あうぅ……」
「あと、さっきなーちゃん俺のこと、そんなの思いつくなんてエッチって言ってたけど、なーちゃんも十分エッチだよ?」
「うぁ……あぅ……」
顔どころか、全身真っ赤になるくらい恥ずかしがるなーちゃんは、恥ずかしさのあまりに言語が一時的にショートしていた。
そんななーちゃんのエロさに触れたところで、ユウは1つ、思いついた。
「じゃあ、それやろっか」
「……ふぇ?」
混乱冷めやらぬ、と言った様子のなーちゃんに対して、ユウは自分の考えを言葉にした。
「今日はこれから、なーちゃんの普段の妄想を実際にやってみるのはどうかな? なーちゃんのこと、たくさんビクッてさせてあげたいんだけど……駄目かな?」
なーちゃんとしては、そんなの恥ずかしすぎて無理だと頭では考えていた。
だがそれと同じくらいに、いつも夜な夜な興奮しているアレが実際に起こるとなると、体験してみたいというピンク色の欲望が頭の中では半々だった。
おそらくこういう場合、大抵の人なら頭の中に天使と悪魔が現れて、どちらの選択をするのかせめぎ合うのだが……
「……だめじゃ、ないです。その……私の中のユウ先輩みたいに、私のこと……たくさん、気持ち良くしてください……///」
中身はおませさんななーちゃん、脳内で天使と悪魔がせめぎ合うことなく、若い欲望に流された。
そしてユウは……全身真っ赤になるくらいに照れながらドスケベな懇願をしてくる可愛い彼女を前にしたユウは、
「うん、わかった。上手くできるかは分かんないけど、頑張るね」
こちらも躊躇うことなく、若い欲望に素直になった。
なーちゃんを背後から優しく抱きしめるようにしていたユウの手が、なーちゃんの胸元へと動き、触れる。
「ん……っ……」
触れただけで溢れた、吐息にも似た声に、ユウは少しだけドキッとした。
「なんだが、緊張するね」
「あはは……はい。ちょっと、ドキドキしちゃいます」
振り返ったなーちゃんは緊張と恥ずかしさが混ざり合ったような表情で言うと、小動物を思わせる瞳をユウへと向けた。
「先輩、あの……」
「ん?」
「その……キス、したいな〜っても、思うんですけど……だめ、ですか?」
そのおねだりはあまりにも可愛らしく、ユウにとっては断りようがないお願いであった。
「駄目なわけ、ないよ」
そう言ってユウは、彼女の口元に優しく口付けをした。
「ん……んぅ……」
あまりにもスムーズにキスをされたため、なーちゃんは一瞬驚く。すぐに受け入れて瞼を閉じ、唇と舌が触れ合う感触へと意識を向けた。
互いの唇を啄み、柔らかさを確かめるようなキスは思いやりに満ちていて、心地よい温かさが2人の胸を満たす。
満たされた温かさは、次第に貪欲に相手を求める熱へと変わり、どちらともなく舌を絡め合うキスへと変わる。
「んぁ……んん……」
「んちゅ……ん……」
どちらのものとも分からないくぐもった声の中で、熱を帯びた舌が同じような熱を求めてまぐわう。
くちゅ……くちゅ……と、粘質な音が部屋に響く。
飲み込み忘れた唾液が2人の口の間から溢れたところで、名残惜しそうにキスが終わる。
「……3回目、ですね」
つぅ……と、唇同士を繋いでいたか細い涎の糸が切れたところで、なーちゃんがそんなことを呟いた。
「……ああ、キスした回数……だよね?」
ユウが確かめるように言うと、なーちゃんはニコッと笑って「当たりです」と返した。
「この前した、初めてのキスと……さっき、私の部屋に入ってすぐにしたキスと、今ので……3回、です」
「ふふ、ちゃんと数えてるの、なんか可愛いね」
言われてなーちゃんは、そうかなと小首を傾げた。
「できれば……これから先もずっと、たくさんキスして……その、キスした回数は数えていけたらいいなって思ってるんですけど……先輩は、どうですか?」
なーちゃんの愛情多めの問いかけに対してユウは、
「うーん……俺は、あんまり数えていこうとは考えてなかった……かな」
と、彼女と真逆の答えを返した。
「え、あ……そう、でしたか……」
てっきり、彼も同じ考えでいてくれると思っていたなーちゃんは、思いがけない答えを聞いて少し落ち込んだ。
しかしそんな彼女に対して、ユウは意地悪そうな笑みを浮かべて、
「俺は……なーちゃんが数えていられないくらい、いっぱい、いーっぱいキスして、ドキドキさせたいなって思ってたよ」
なーちゃんと同じか、それ以上に愛情多めな想いを伝えた。
落ち込んでいたところにまさかの答えを返されたなーちゃんは、「その答えはえっちです」「もぉ……ばか」くらい言い返そうと思っていた。
が、実際はそれを言うより早く、みるみると赤面していき、
「……う、うぅぅ〜〜っ……」
なんとも言えない悶え声を返すのがいっぱいいっぱいであった。
彼女のそんな可愛らしい一面を見たユウは満足げに笑ったあと、抱きしめていた両手を胸元へと伸ばし、そっと触れた。
なーちゃんは小柄故に、ユウが触れる柔らかな双丘の標高は控えめである。
「ぁ……っ、んっ……」
ユウは手にすっぽり収まる可愛らしい膨らみを堪能するように触り、愛おしそうに揉む。
「……ぅん……っん……///」
もにゅん、と揉む度に胸元から聞こえてくる押し殺された喘ぎ声を聞くたびに、ユウの中の嗜虐心がくすぐられる。
「なーちゃんの声、えっちすぎ」
「だって……せ、んぱい……の……っ、さわり、かた……っ!」
甘く、雄の情欲を煽るような彼女の声は、ユウにとって媚薬にも等しかった。
「触り方、どうしたの? 気持ち良くなかった?」
「きもちい……っ、ぃに……んぁ……きまって……る、よぉ……っ、……んぁん///」
触り方や触れる箇所を色々試していたユウは、なーちゃんが一際反応が良い箇所と触り方を見つけた。
「なーちゃんはさ、多分……」
ユウは楽しそうに言いながら、その触り方を実践していく。
「こんな風に、胸全体を手で優しく覆うみたいに触られた後……」
「は……ん……っ」
なーちゃんの控えめな双丘を覆っていた手の指先が、なだらかな肌を伝い上がり始めると、なーちゃんは身体をキュッと強張らせる。
「こんな風に、乳首に向かって指でなぞって……最後に、乳首を指全体で優しく摘まれるのが……」
言いながら指先で同じ動きをさせて、
「好きだよね?」
最後に、優しく、それでいて摘まれたと感じられる程度にはしっかりと乳首を摘んだ。
「ひゃい……っ///」
肯定とも嬌声とも取れる声と共に、なーちゃんは身体をビクンっと震わせた。
「イっ……ては、無いよね?」
「は……はい……」
恥ずかしさと敏感なところを好みの触り方で愛撫されたなーちゃんは、頬を紅潮させながら辿々しい声を返す。
「イ……っては、ない、かな……でも、すっ……ごく、きもちいい……おなか、キュンってして……からだの……しん? が、じょわって……するの……。今のさわり方、ずっとしたら……だめかも……」
熱に浮かされるような言葉遣いがたまらなく可愛く、愛おしく思えたユウは優しく微笑んで、
「そっか、この触り方、駄目なんだ? じゃあ、これ続けちゃうね」
容赦なく続けることにした。
「な……にゃ、なゃんでぇ……///」
同じやり方で繰り返し触られ、なーちゃんは可愛らしくピンと立った乳首を摘まれる度に、身体をビクビクと小さく震わせた。
そういうおもちゃみたいだな、とユウは思いつつなーちゃんの言葉に答える。
「んー? なんでって言われても……、なーちゃんが妄想してる俺は、こんな感じ……なんでしょ?」
言葉で区切る度に、なぞるように触り乳首を摘むと、それに合わせてなーちゃんはやはり身体を震わせ、甘ったるく可愛いらしい声を漏らした。
「せ、せんぱいっ……っ! ま、まって……っ、と、とめて……まってぇ……っ」
言われて、これは本当に待ってほしそうだなと思い、ユウは触れる手をパッと離した。
丁寧に念入りに、敏感なところを自分好みの触り方で弄ばれたなーちゃんは息も絶え絶えになりながらも、ユウに伝えた。
「せんぱい、あの……今の、ほんとに待っては……その……止めても良かったけど、本当はもっとして欲しかった、って思ってて……」
「あー……そういうやつだったんだ」
嫌よ嫌よもなんとやら、ってのはコレかとユウは密かに思った。
「は、はい……。ごめんなさい……」
シュン、と申し訳なさそうに目を伏せるなーちゃんの頭を、ユウは大丈夫だよと言いながら優しく撫でる。
なーちゃんの言い分はわかるものの、それだと困る。ユウはなーちゃんを大事に抱きしめながら、コミュニケーションの難しさを実感して、内心困り果てた。
「なーちゃんの言いたいこと、分かるよ。でも今のだと、本当に駄目で止めてほしい時があってもわかりにくいなー……っても、思うんだ」
「で、ですよね……」
なーちゃんもまた、ユウの言い分を理解していた。
いわゆる『セーフワード』……行為の最中に、プレイの一環ではない、本当に止めるための特定の単語、を設けようという話ではあるが、あいにくここまでの人生で異性と付き合ったこともなく、そういう経験に遭遇することなくここまで来た2人であったので、セーフワードという概念自体を知らなかった。
しかし、念願の初彼女とのイチャイチャという状況での困りごとに遭遇したユウの頭は、かつてどんな難関な試験に挑んだ時よりも懸命に活動し、状況を打破するための案を導き出した。
「じゃあさ、コレを言ったら一旦ストップの合図……、になる言葉を最初から決めておこっか」
なんとドンピシャである。エロのために頑張る男子高校生の凄まじさを垣間見た。
「なるほど……」
ユウの提案に納得し、感心したようにコクコクと頷いたなーちゃんは、「どんな言葉をその合図にするのか」と問いかけた。
「うーん……難しいね。ダメとか、止めて、だとわかりやすいけど、それだとさっきのなーちゃんみたいになっちゃうよね」
「ですよね……。となると……咄嗟に言っちゃうことはないけど、咄嗟に言えるくらい思い浮かべやすい言葉……って、ことですかね?」
「難しいねぇ……」
真面目に話しているが、先ほどまで乳を弄られて骨抜きにされていた少女と、それで興奮していた少年である。
しばし悩んで、なーちゃんが1つ案を出した。
(ユウもいくつか案は浮かんでいたが、使うことになるのはなーちゃんなので本人が希望を出すのを一旦待っていた)
「あの……私たちの、楽器の名前は……どうかなって、思ったんですけど……///」
「あー、バリ之助?」
バリ之助、というのはユウが吹奏楽部を引退するまで使っていた楽器で、今はなーちゃんが引き継いで使っている楽器、の、あだ名である。
それなら確かに、咄嗟の場面でも意識に出やすくて言葉にしやすいとユウは思ったが、
「いいけど……。でもなんか、ちょっと申し訳ないというか……」
「うぅ……わかります、それ……」
セーフワードに、愛用している楽器を設定するということは、吹奏楽が青春な2人にとって、何とも言えない不誠実さや不義理のような感情に襲われるものであったらしい。
とは言え、日々の生活に関わる言葉なら咄嗟に言いやすいというのは2人とも認識したようで、最終的に、『何でもいいから楽器の名前を言う』ということが、ひとまずのセーフワードになった。
「言えるかなぁ……」
「言いにくかったら、また別の考えてみよっか」
そう言ってユウは、再びなーちゃんへの胸責め……というよりも乳首責めを再開した。
「ん……っ」
触れられた瞬間、なーちゃんの脳裏と身体は先ほどの甘く心地良い感触と快感を思い出し、艶のある吐息が口から溢れでた。
また優しくいじわるされる、と思ったなーちゃんは、ユウに一つ要望を出してみた。
「せんぱい……っ、あの……っ//」
「うん? なに?」
ユウの細く長い指先で優しく胸を弄られながら、なーちゃんは頑張って要望を伝える。
「その……っ、おねがい、が……っ、あっ……てぇ……んぅ……///」
責められながらは話しにくそう、と思ったユウは一旦愛撫する手を止めて、なーちゃんの息も絶え絶えな様子での要望に耳を傾けた。
「あの、その……触り方、なんですけど……」
「うん、違うのやってほしいのかな?」
「は、はい……。いい、ですか……?」
「もちろん。どんな風に触られたら気持ち良いのか、教えて?」
言葉こそ穏やかで気持ちに余裕があるように見えるユウだが、内心では目一杯いじめられて恥ずかしそうに、気持ち良さそうに悶えるなーちゃんの姿を見たくて仕方がなかった。
これまでの彼に無かった嗜虐心がメラメラと燃え上がっている中、なーちゃんは無自覚にそこへ燃料を投下する。
「んっ……と、私、先輩に乳首触って貰うのが、その……好き、みたいなんですけど……」
「うん。それは、何となく分かるよ」
何となくではないのだが、という言葉を喉の奥に飲み込み、その代わりに、
「ここをいじめられてるなーちゃん、すっごく気持ち良さそうにしてるからね」
と、優しい声で耳打ちした。
「〜〜〜っ!!」
吐息が耳にかかるくすぐったさと、告げられた事実があまりにも恥ずかしく、なーちゃんは声にならない声を出しながら悶える。
そんな姿もまた可愛いなと思いながら、ユウが楽しげな視線を向けていると、
「……せんぱい、いじわるですよ……」
目も合わせられないくらい恥ずかしくて、やや俯き気味でなーちゃんはそう呟いた。
「いじわるしたくなるくらい、なーちゃんが可愛いからね」
「あぅぅ……」
今はちょっと先輩には敵わないなぁ……、と、なーちゃんが思っているところに、ユウは言葉を重ねる。
「それで、乳首触られるのが好きななーちゃんは、どんな風に触ってほしいって思ってるの?」
教えて? と再び優しく耳打ちされて、なーちゃんは身体の奥が少し悶えた。
「ん……っ、その、触り方、なんですけど……」
「うんうん」
ユウは穏やかな声で相槌をして、焦らなくていいよと態度で伝え、なーちゃんもなんとなくでそれを察し、落ち着いて言葉を紡ぐ。
「その……優しく、キュってつまんで……つまんだまま、指先でくすぐられるみたいにして……触ってもらいたいなって……思ってるんですけど……」
なーちゃんはそこで言葉を一度止めて、ゆっくりと振り返り、ユウと視線を合わせて、
「そんな風に、触ってくれますか……?」
どこか縋るように、そう言った。
「もちろん、いいよ」
やっと掴んだ一本の糸を離すまいとするような、健気さと一生懸命さが混ざり合ったようななーちゃんの瞳に当てられて、断る理由などユウにはなかった。
「じゃあ……そんな風に、触ってみるね」
言うや否や、ユウは抱きしめていた手を、待ってましたと言わんばかりに乳首に添える。
「ひゃ……っ」
「こう、だよね?」
そしてなーちゃんが伝えた要望のように触れ始めた。
触ってくださいと言わんばかりに、ピン、っと立っている乳首を、壊れ物を扱うように親指と中指で大切に摘む。
「ん……んん……っ」
摘まれただけで、なーちゃんの心臓は早鐘を打ち、これから自分の身に起こることを想像して呼吸が少しずつ早く、荒くなり始める。
「こうして摘んで……それから、こう、だよね?」
ユウは言葉に合わせて、摘んだ胸先に人差し指をそっと当て、ゆっくりと撫でるように動かし始めた。
「はぃ……っ、それ……そ、れ……れしゅ……っ」
指先で一撫でされる度に、呂律が怪しくなり、なーちゃんは全身に駆け巡る快楽に抗うように身体を悶えさる。
付き合って初めて見る彼女の艶やかとも言える姿と動きを前にして、ユウの心には何とも言えない満足感が広がり、それをもっともっとと欲した。
「これがいいんだね……。指先で、なで、なで……ってされたりとか、カリカリ〜ってされるのとかも、好き?」
言葉に合わせて、摘まれた膨らみが優しく愛撫され、弄ぶように刺激されると、
「んにぁっ……んぁ……っ、んやぁん……っ///」
なーちゃんの身体に、とてもではないが耐えられないと思えるだけの、暴力的な快感が絶え間なく襲いかかった。
「せんぱ……っ、ぃ……しょぇ、らめ……っ! ……む……むぃ……ぃ!」
呂律が回らなくなった口が、半ば無意識に言葉を発して快楽に喘ぐ。
「こぇ……りゃめ……っ! こん、にゃぉ……あた、ま……おか、ひく……にゃゅ……っ///」
快感に耐えようと、なーちゃんの小さな手は無意識に泳ぎ、指先に当たったベッドのシーツを掴む。力が入らない手で力いっぱいシーツを握りしめるが、そんなことをしても身体に降りかかる快感には何の抵抗もできなかった。
「む、むりぃ……りゃ……っ、りゃめ、れふ……! とめて……っ、しぇんぱい、とめ……てぇ……っ!」
熱を帯びた甘い声で静止を求められたユウの手は、一瞬だけ止まった。しかしすぐに、愛撫する動きが再開される。
悶え続けるなーちゃんの耳元にそっと口元を寄せ、息を吹きかけて囁くように言葉を発する。
「……楽器の名前、じゃ、ないから……止めないよ?」
「……っ」
一応の確認ではあったが、それに対してなーちゃんは無言の頷きで肯定する。
それを見たユウは安堵して、
「……じゃあ、遠慮なく続けるね」
安心して、彼女を快感に溺れさせることにした。
「〜〜〜っ///」
両方の突起への刺激が再開され、なーちゃんは声にならない嬌声を上げた。
細くて掴みやすそうな太ももを重ね合わせたり、足の指先を閉じたり開いたりを、ほぼ無自覚に行った。
快楽へと、せめてもの抵抗をした。
容赦ない、と言っても差し支えない刺激に溺れながら、なーちゃんは頭の中で、まるで魔法だと思った。
なーちゃんは特別、乳首が性感帯というわけでは無かった。
自分で触ってみても、
(うーん……ちょっと、くすぐったい……?)
と感じる程度であり、ここを触れるくらいなら他のところの方が気持ち良いかも、と思っていた。
しかし、今はどうだ。
特別気持ち良いと思ってなかった部分を撫でられただけで、身動きを我慢していられないほどの快感が身体中を駆け回っている。
まともに言葉も発せなくなった口で喘ぐという、情けなく恥ずかしい姿を恋人に晒している。
指先一つでこんなことになるなんて、魔法としか、なーちゃんには思えなかった。
「はっ……ぁ……っ、んぁ……は……っ、ぁぁ……っ……」
興奮に犯された脳は酸素を求めるが、大きな呼吸もできないほど浴びせられる絶え間ない快楽のせいで、息継ぎすらもままならない。
口元から、一筋の雫が伝い落ちる。
両脚の間にある割れ目からは本人が気づかぬうちに透明な液が艶かしく溢れ出ていた。
なんとか快楽に耐えていたなーちゃんではあったが、大雨の中で決壊しないダムが存在しないに、なーちゃんの我慢にも限界が訪れた。
「……っ! しぇ、せんぱ……ぃ! ま、まっ……って、まっ……ってぇ……///」
終わる事なく、永遠に続くかのように思われるほど刺激を浴び続けた身体の奥がこれまで以上に疼き、小刻みに痙攣にも似た揺れがなーちゃんの身体に走る。
「な……っ、にゃんか……っ、なん、か、きま……しゅ……っ! なんか……くゅ……っ///」
声も絶え絶えに必死に伝えようとするなーちゃんを見て、ユウは変わらない穏やかな声で答える。
「イキそう?」
問いかけに対して、なーちゃんは必死に何度も頷く。
「い……いひ、ひょう……れす……っ! も……っ、むぃ……が、まん……れき……っ、なぃ、ぃ……っ! む……ぃ……っ、む、りぃ……っ!」
チカチカと明滅しているのではないかと思う視界の中、なーちゃんは朧げになった目でユウの方を見て、なんとか言葉を紡いだ。
「……そっか」
ユウは快感を与える手を止めないまま、言葉で最後のダメ押しをした。
「……いいよ。イクの、我慢しなくていいよ」
優しい声色で告げられたそれは、快楽になんとか理性で耐え抜いていたなーちゃんへの、決定的な一押しで、
「〜〜〜っ!!! んあっっ!!!」
ユウの腕に抱かれた中で、なーちゃんは激しく身体を震わせ、崩れ落ちた。
「あ……っ、あぁ……っっ」
目を力いっぱい閉じて、身体全体が何度もビク、ビクと震え、腹部がへこみ、膨らむを数回繰り返す。
「っ……は……っ、は……あぁ……はぁ……ぁ……」
荒く、短くしか吸えていなかった呼吸も少しづつ整い、壊れてしまうんじゃないかと思うくらい脈動していた心臓も段々と落ち着きを取り戻していく。
息と身体の痙攣が十分に落ち着きを取り戻してきたところで、ユウはなーちゃんの手を握り、息をするリズムを合わせていく。
「はぁ……はぁ……」
シーツを握っていた手を丁寧に解かれ、一回りは大きさが違う2人の手が、お互いを求めてゆっくりと絡み合う。
「なーちゃん、大丈夫?」
初めて女の子をイかせたユウは、なーちゃんの激しい身体の震えを見て心配になったのだが、
「はい……大丈夫、です」
そんなユウに対してなーちゃんは弱々しく、それでいながら見てる人を癒すような、そんな笑顔を見せた。
「そう……なら良かった」
初めてが手痛い失敗だったが故に心に不安が巣くっていたユウであったが、なーちゃんの笑顔と言葉で心から安堵した。
「その、こういうことするの、なーちゃんが初めてだから……」
「ふふ、私も……おんなじですよ、先輩。あんなに……恥ずかしい姿見せたの、先輩が……初めて、です」
なーちゃんはどことなく無邪気さを思わせる顔で、握り合っているユウの手を握っては力を緩め、握っては力を緩めを繰り返した。
「ほら……にぎにぎ〜」
儚さがこもった声で言いながら行われるそれに、特別何か意味があるとは思えなかった。
それでも、どこか無邪気にそれをするなーちゃんにつられて、ユウも同じ動作を返した。
「なーちゃん、その……」
「はい……?」
こんなことを聞くのは野暮でスマートではないのだろうが、と思いながらも、ユウは聞かずにはいられなかったことを、聞いた。
「その……ちゃんと、気持ち良かった……かな?」
質問を受けたなーちゃんは、一瞬だけムッとしたような表情を見せたあと、すぐにコロっと別な顔を見せた。
「もちろん、とっても……気持ち良かった、です」
嬉しさと照れ臭さが混ぜまいになったような表情で、なーちゃんはそう答えた。
ちゃんと気持ち良くさせることが出来ていた、とユウはホッと胸を撫で下ろしたが、なーちゃんはそこへすかさず、
「……というか、気持ち良くなかったら……あんな風に、ならないです、から……」
小さな声で、それでいてユウにちゃんと聞こえるような声で、そう付け加えた。
「……ふふ、そっか」
「そ、そうですよ……って、先輩、なんですかその顔は〜!」
今のユウは、自身がどんな表情を見せいてるのかは分からない。それでも、なーちゃんがそんな風に言うのだから、今まで彼女の前では見せた事のない顔を見せているのだろうと思った。
「ううん、なんにも。ただ、気持ち良くなってるなーちゃんは可愛いなって思ってる顔だよ」
「あうぅぅ……」
さっきまでの、恋人に気持ち良く弄ばれていた自分の様子を思い浮かべて、なーちゃんは堪えようのない羞恥に襲われて、再び顔を真っ赤にする。
そうやって色々な表情を見せてくれるのが、
快楽に溺れながらも自分に身を任せてくれるのが、
何度でも健気な声で先輩と呼んでくれるのが、
ユウにとっては、全部がたまらなく愛おしかった。
(大切に……大切に、しよう)
何も着飾っていない身体でじゃれ合いながら、ユウは心の中ではっきりと、そう思った。
これは、初めて異性と付き合い、幸せな気持ちで触れ合う2人の日常を覗き見る、そんな、物語。
ここから後書きです。
まずは、ここまで読んで頂きありがとうございます!
このお話は、地元に帰省して昔馴染みの友人との酒飲みの席での雑談がきっかけで生まれた話です。
ざっくり言うと、
「こんなエロ漫画、もしくはエロ小説が読みたい!」
と酒に酔った友人が言い放ち、そこから怒涛の性癖の開示が始まったのです。
その場にいた私は、相変わらず阿呆やなコイツ〜、ぐらいに思ってました。
しかし帰宅して、ふと、
(……いやでも、アイツが言ってた感じの小説読みたい!)
と思い立ち、そこから、
(そういう話探すよりも、書いた方が早くないか!?)
となって書いてみた話が今作になります。
そのような経緯であるので、この話は私の友人の性癖に、私の癖が混ざったものになります。なお、ここに投稿することは友人には伝えてません。
……許せ友よ、これで最後だ(おでこトーン)
とりあえず、ここからあと3話くらいは投稿するつもりなので、もしこのお話を楽しんでもらえた方は、私の筆が折れずに3話書いてくれることを願っていただけたら幸いです。
最後に、今一度ここまで読んでいただけたことへの感謝を記して、第1話を閉じたいと思います。
本当にありがとうございました!