新たな棟梁に選ばれた主人公の命を奪いに来た女アサシン達を返り討ちにして犯し奪い娶る現代ファンタジー 作:三流木青二斎
「漆篠夕……ゃね?」
玄関前。
暗闇から顔を出す女性の姿。
その姿を認識したと共に、漆篠夕は皐めゐの髪を掴んだ状態で振り向いた。
「あ?誰だよ」
苛立ちを覚えながら、漆篠夕は女性の姿を視認する。
見た事の無い顔立ちをした彼女に対して漆篠夕は舌打ちをしながら首を鳴らした。
「またかよ、今日で二人目だ」
「なんゃね、ウチ以外にも来訪者がいたんゃね」
軽く会話を進める鬼月愛露に対して、勘違いも甚だしいと言った様子で漆篠夕は皐めゐから手を離した。
「違ェよ」
呟くと共に、漆篠夕は腕を構えて指先で印を組む。
「これで死ぬ奴が二人目って言ってんだ」
「ならウチはこれで一人目ゃね」
それが戦闘の合図となり、鬼月愛露も同様に指先を相手に向けた。
(
(
死之技とは、暗殺師が使役する闇の力の総称である。
暗殺師によって力に対する差別化が施されており、同じ血筋を持つ兄妹であろうとも、能力に差異が見られた。
瞬間、漆篠夕の肉体が廊下の突き当たりまで吹き飛ばされる。
肉体を強く叩き付けられた漆篠夕は、壁に身体を減り込ませながら筋肉を膨張させて衝撃を吸収し、ダメージを最小限に抑えた。
(急に後ろへと吹き飛んだな、突風か?いや違うな、この感覚は風圧じゃない、ベクトルの向きを変えた、加えて推進力を付加させたのか)
即座に、漆篠夕は相手の死之技を看破して見せる。
身体に突き刺さる木の枝を引き抜きながら立ち上がろうとすると。
「坊ちゃまに手を出したな……」
同じ暗殺師である皐めゐが怒りを抱きながら相手を見据える。
彼女も同様に死之技を使役すると共に、真っ白で綿毛の様な彼女の髪、そのこめかみ部分から細長い角質ばった山羊の様な角が生え出した。
「『
死之技、雷を耐電する羊を模した異能。
雷羊は自身の摩擦力から電力を生成し、発射口となる角の間から雷の一撃を放つ技である。
雷を相手に向けて射出するが、鬼月愛露は平然とした様子で手を開くと共に、更に死之技を使役すると、雷の向きが斜め右へと逸れて最終的に地面へと流れると爆発した。
そして、鬼月愛露は地面を一歩前に歩き出すと共に、彼女の肉体は高速で疾走すると共に、皐めゐの腹部に膝蹴りを見舞う。
「うっ、ぉえッ」
口元から大量の体液を吐き出しながら嗚咽を漏らす皐めゐ。
そのまま、彼女の髪の毛を掴んで無理矢理、顔を挙げると共にせせら笑う。
「汚い子ゃね、ゲロまみれゃねぇ~、もぉっと、ウチが汚くしてゃるゃよ」
嗜虐性を見せつけながら興奮した様子で舌なめずりをする鬼月愛露に対して、静かに漆篠夕は立ち上がると共に殺意を眼光に乗せて迸らせる。
「俺の肉傀儡に、勝手に触ってんじゃねぇよ」
その様に怒りを見せながら、漆篠夕は自らの異能を行使した。
(破れるわけないゃん、ウチの死之技は)
鬼月愛露の死之技〈
彼女が予め〈橋姫〉を設定する事で、全ての攻撃は彼女を避けていき、彼女が瞬間的に設定すれば相手は〈橋姫〉に接触すると同時に吹き飛ばされた様な感覚に陥る。
そして、既に鬼月愛露の周囲には合わせて二十四以上の〈橋姫〉が設定されていて、どの様な攻撃でも彼女の決めた軌跡の通りに攻撃が捻じ曲がる様になっている。
(鬼月家はウチが一番強いんゃ、ウチ以外は全部クズ、全部カスッ、お前なんかが鬼月家の棟梁になれる筈がないゃろッ!!)
彼女の脳内には徹底的に漆篠夕を痛めつける構想が出来上がっていた。
漆篠夕さえ殺し、首を持ち帰れば、鬼月愛露こそが鬼月家棟梁として認められる、その様に夢想している、のだが。
「軌道を予め設定して、その軌跡に触れた対象物を高速で吹き飛ばす……大体、そんな能力だろ?」
漆篠夕は、早々に鬼月愛露の死之技を看破して告げた。
驚きを隠せない鬼月愛露だったが、能力が露見したからと言ってどうした、と言った様子でむしろ開き直っていた。
「ウチの能力を理解出来たところでゃろ、アンタはウチの能力を攻略する術はないんゃからッ」
「お前の能力の弱点は空間のみ展開されるベクトルの操作、次に自分自身が触れる事で能力が発動してしまう点、特に後者は、能力に巻き込まれない様に少し離して使ってるだろ?安全圏があるんだよ、お前のは」
がしり、と。
足元を強く握り締められたかと思えば。
彼女の足元から、複数の腕が出現して、脚部を強く握り締めた後に、背後から別の黒い人型の黒い化物が現れる。
「な、ぉごッ?!」
思い切り首元をアームロックされた状態で藻掻き苦しむ表情を浮かべる鬼月愛露は、段々と表情が赤く変わっていて、身体を動かして振り放そうとしても動く事が出来ない。
「既に、俺の能力によって地中から攻撃させて貰った……で、お前は組み合わされると抜け出す事が出来ない、軌跡に触れた瞬間、相手諸共、軌跡に沿って高速で射出されるから、だろ」
地面から現れる無数の人型の化物。
これこそが、漆篠夕の異能であった。
異能、『
最大で七体の人型の化物を操作する能力。
一体一体、能力が違い、地中にワープトンネルを構築する『土竜』の異能を持つ化物を使い、腕力自慢の『臥伏』の化物で彼女の肉体を拘束したのだ。
段々と赤くなる鬼月愛露の脳裏。
(な、ァ、う、ウチが、こんな、カス、にぃ、?!敗け、敗ける、なんて、い、ゃ……)
そうして、鬼月愛露は気絶した。
「おい」
玄関前で倒れる皐めゐに声を掛ける漆篠夕。
彼女の体を抱き上げると、彼女の体液で衣服を汚した皐めゐは申し訳無さそうな表情をしていた。
「ぼ、坊ちゃま……」
彼女はこれ以上ない失態を犯した事に詫びの言葉を口にしようとした。
だが、それでも漆篠夕は彼女の言葉を汲んで発言を行う。
「喋るな、休んでろ」
そう言い終えると、漆篠夕は彼女を抱き上げたまま、安全な場所へと連れて行く事にした。
能力を解除した漆篠夕は、一人、無様に地面に倒れたまま気絶している鬼月愛露をそのままにした。
数分後、意識が戻り始めた鬼月愛露は、殺される恐怖を抱いた為か足腰が砕けてあまりうまく歩く事が出来ず、地面を擦りながら、敷地内から逃げ出そうとしていた。
(こ、殺され、ウチは、まだ、死ぬわけ、には)
涙を流しながらその場から逃走しようとするが。
皐めゐを安全な場所に移動した漆篠夕は、再び彼女の元に戻ると、仰向けになって青虫の様に蠢く彼女の後頭部を靴底で強く踏み付ける。
「うぐッ」
鼻に強い衝撃を受けて、血を流し出す鬼月愛露。
そのまま、漆篠夕は彼女の後頭部を火の点いた煙草を擦り消す様に踏み躙る。
「お前が俺を襲って来なけりゃ、今頃は肉傀儡を余す事無く使い潰す事が出来たのによォ」
死之技を使用して逃げる事は容易だ。
だが、逃げた所で、きっと漆篠夕は彼女を徹底的に追い込むだろう。
「う、うるさゃい、ざこオス、ウチを足蹴にした事、後悔させてゃ」
最後まで言い切る事無く、後頭部を強く踏み潰される鬼月愛露。
「お前程度じゃあ、この火照りは収まらねぇわ、まだ、夕方に来た鋼とか言う化物の方が強かったぜ」
そして、そのまま彼女を踏み付けながら漆篠夕は彼女の背中を見据える。
押し潰された肉体は、ぐにゅりと胸元が変形して肉体の曲線からはみ出ている。
其処から豊満な肉体である事が予見されると、一気に肉体の猛りが騒ぎ出した。
「……襲うって事は、襲われる覚悟があるって事だよな?」
足を離すと、今度は彼女の髪の毛を掴むと、そのまま自宅へと引き摺っていく。
「な、ぁ、ゃめ、ッ、ナニ、する気、ゃん?!」
彼女の言葉に漆篠夕は静かに答える。
「散々、ムカつかされたんだ、その代償は体で払って貰うからな?」
その言葉と共に、彼女の脳裏には拷問よりもキツい乱暴が待ち受けていると思った。
そのまま、彼女は抵抗しようとしたが、漆篠夕は一度手を止めると、その場で彼女の衣服を破き捨てた末に髪の毛を掴んで顔を向けさせる。
「このまま、電柱に裸のまま縛りつけてやっても良いんだぞ、ここら辺の治安は最低民度だからよ、こぞってお前を使って愉しむぜ」
その脅し文句が効いたのか、鬼月愛露は表情を蒼褪めていた。
最早、逆らう事等出来なかった。