雄英高校1年A組の教室。
難関校の狭き門を潜り抜けた猛者たちが既に何人か顔を揃えており、各々が始業の時間が来るまで自由に時間を過ごしていた。
【切島】
「よっ! 俺、切島鋭児郎!宜しくな!」
【上鳴】
「おす!俺は上鳴電気!なぁなぁ、このクラス可愛いくてレベル高い子多くね!?ねぇねぇ君!名前なんての? 彼氏とかっている?」
【耳郎】
「……ウチは耳郎響香。あと彼氏は居ないよ」
【上鳴】
「マジ!?可愛い……いや綺麗系なのにマジかー!どーよ!学校終わったら早速お茶でもしn」
【耳郎】
「鏡でも見てから出直しな」
【上鳴】
「ヒデェ!!? 挨拶代わりにフるにしては厳しすぎねぇ!?」
【瀬呂】
「なははは……本当いろんな奴居るなー。あっ、俺は瀬呂範太!宜しくな!お前等は?」
【常闇】
「………常闇踏陰だ。宜しく頼む」
【口田】
「…………え、えと……こ、口田甲司、です……宜しく、お願いします……」
【砂藤】
「砂藤力道だ!こっちこそ宜しくなお前等!」
【瀬呂】
「口田!お前、見た目厳ついのに声メチャクチャ可愛いくてギャップ凄ぇなおい! ちびっ子に超好かれそうだな〜! 良い奴感が滲み溢れまくってんだよなぁ!」
【口田】
「!?そ、そうかな……あ、ありがとう……!」
【常闇】
「……フフッ、心地よい和みだな」
【砂藤】
「周りイケメンや爽やか系ばっかで肩身狭ぇな〜……なんか凹むぞおい……」
【瀬呂】
「おいおい!お前も十分男らしくてカッコいいシブメンじゃねーかよ!」
早速打ち解け……たのかは微妙だが、和気あいあいと楽しげに会話を交わす者達。
【飯田】
「君!机の上に足を乗せるとは何事だ!先輩方や、この素晴らしい机を作って下さった職人の方々に失礼だと思わないのか! ヒーローを志す者としての自覚を致命的に欠いているぞ!」
【爆豪】
「んだよメガネうるせぇな!てめぇ何処中だあぁ!?雑魚はすっこんでろ!」
【飯田】
「俺は聡明中学出身だ!出身中学は今全く関係ないだろう!」
【爆豪】
「へっ、エリート中か!ぶっ殺し甲斐があるじゃねーかクソメガネが!」
【飯田】
「ぶっ殺す!?君、本当にヒーロー志望か!?なんという野蛮極まりない発言だ!」
激しい押し問答を繰り広げる者達。
【峰田】
「ゔわー……ヒーロー目指してるとは思えねぇ超絶凶悪ツラだな。えーと爆豪……だっけ?アイツ本当にお前の幼馴染かよ?」
【緑谷】
「……うん。かっちゃんは昔からずっとあんな感じで……何かごめんね……あははは……」
【峰田】
「お前も苦労しそうだなぁ。まぁ何かあったらオイラにいつでも愚痴れよ? 助けになるかは全然分かんねえけどな」
【緑谷】
「だ、大丈夫だよ!?でも、気を使ってくれてありがとう。へへっ」
……世知辛い会話を交わす者も居た。
葡萄のような頭をした小柄な少年、峰田実が、すぐ後ろの席に座る少女に向かって話しかける。
【峰田】
「えーとはっぴゃくまん? お前だけ席がぽつんと開いてはみ出してんの、なんか違和感有るよな。寂しくならねえか?」
【八百万】
「ふふっ!大丈夫ですわ。クラスメイトは全員で21人ですもの。構造上、自然とこういう形にはなっても不思議ではございませんわ。……それと、私の名前は八百万(やおよろず)、ですわよ?」
【峰田】
「あっ! そっち読みか!ごめんな八百万!!……しかしそうなるとさ、班決めとかどうなるんだろな?」
【緑谷】
「確かに……でもその辺りも、きっと先生方が臨機応変に対応してくれるんじゃないかな……?」
緑谷もある程度リラックスとまでは行かずとも、周囲と自然に話せるようになった、まさにその時。
ガラガラガラガラ!!!!
教室の扉が乱暴に開かれた。
反射的にクラス全員が一斉に振り返る。
【緑谷】
「えっ」
【麗日】
「ひぃっ…………!?」
【飯田】
「いい加減足を降ろ……む?」
【爆豪】
「グチグチうるせ……あぁ!?」
ドスドスと地鳴りのような足音を響かせ、ストーンが入ってきた。
瞬間、その場にいた全員が息を呑み、完全に固まる。
ネクタイは結んでもおらず、体格に服が合っていないのか制服の上着は前開きの全開、カッターシャツのボタンも胸元まで外し、裾もインしていない。ズボンは極端な腰履き──いわゆる腰パンだ。
爆豪以上に着崩し、荒々しいオーラを隠そうともしていない。
ストーンは周囲を気にも留めず、ズカズカと教卓へ歩み寄ると座席表を確認した。
【尾白】
(す、凄まじい体格の人だな……威圧感が半端じゃない……)
【上鳴】
(おいおい……なんか超絶おっかなそーなのが来たぞ……同じクラスってマジかよ……)
【蛙吹】
(ケロ……何だか大きなワニみたいな子ね。髪は長いのに横だけ剃り上げてお侍さんみたいだわ)
【ストーン】
「えーと、俺様の席は……あそこか!!」
ストーンが鋭い視線を向けた場所は、空いている耳郎の後ろ、瀬呂の前。
両隣は切島と爆豪だ。
耳郎と瀬呂の二人はビクッと体を震わせ、その席とストーンの巨体を交互に何度も見返す。
耳郎は恐怖を隠せないまま、ヒソヒソと上鳴へ話しかけた。
【耳郎】
「でっか……顔イカツ……何あいつ、あいつが本当にヒーロー科?嘘でしょ?」
【上鳴】
「ま、まぁここに来たって事は間違い無くヒーロー科だろ……間違いであって欲しいけど……」
【瀬呂】
(おいおいおい、まさか本当にここに座るんじゃないよな!?いやでもここしか空いてる席ねーし……頼むから幻であってくれ……)
ストーンはドスドスと二人の横を通り過ぎ、教室後ろのロッカーにカバンを放り込むと、戻って来て目的の席へ腰を下ろした。
【ストーン】
「ふぅー!!!どっこいしょ!!!!」
ドスン!!!! ギシギシギシ……!!
どっかりと体重をかけると、特注の頑丈な椅子が悲鳴のような音を立てて大きく軋む。
縦にもデカければ横にもデカい、圧巻の存在感。
【ストーン】
「ちっ、狭ぇ机と椅子だなぁ……地元の学校と何一つ変わらねえじゃねえか」
【瀬呂】
(椅子がミシミシ言ってんぞ……どんだけ重てぇんだよこいつ……)
【ストーン】
「クソッ……足元が窮屈で仕方ねぇ……よっこいしょ……ふぅ、これならだいぶマシだな!!」
ストーンは少し椅子を後ろに引き、巨躯を押し込むように足を外側へ大きく投げ出した。
姿勢を整えて満足し、ようやく周囲の視線に気づくと──。
【ストーン】
「……あぁ? 何睨んでんだよテメェ」
【耳郎】
「!!?べ、別に睨んでなんか……無いよ」
【ストーン】
「テメェもだ金髪。俺様の顔になんか付いてんのか? 何ニヤニヤしてやがる」
【上鳴】
「へ!?いや別に!?あーその、ほら、あまりにデッカイからつい見ちまってよ!!ヒーロー科に来たのが嘘みてーな顔も怪獣みてーで迫力あって……」
【ストーン】
「あぁ!!?テメェ今何つったこの野郎!!!!!」
上鳴は「怪獣みたいで迫力があって凄ぇな」と彼なりに褒めようとしただけである。
褒め言葉として成立しているかは非常に怪しいところではあるが。
しかし短気なストーンは即座に自分を馬鹿にし、喧嘩を売ってきたのだと判断。
凄まじい速度で上鳴の胸倉を掴むと、ヒョイと片手で持ち上げた。
【上鳴】
「ちょちょちょ!!?待て待て待て待て待ってくれえええ!!?ごめんごめんごめん!!!褒めたんだって!! 悪気は無ぇんだ!!!」
【ストーン】
「いーや今のは確実に俺様を馬鹿にしやがったな!!! 嘘みてぇだと!?今すぐその間抜け面を面白いパズルみてーにバラバラにしてやろうか金髪野郎が!!!」
【瀬呂】
「ど、どうどう落ち着けよデカいの!それに金髪はお前も同じ……」
ストーンは間髪入れず、空いたもう片方の手で瀬呂の胸倉をも掴み上げ、二人同時に宙へ吊るした。
【ストーン】
「何だと!!?テメェも俺様に喧嘩売ってんのか!!? 二人まとめて相手してやる!!!」
【瀬呂】
「おいおいおい待て待て!!!待てよ!!?別に喧嘩売ってねぇって!!!離せ!!初日から暴力は良くねぇって!!!」
【峰田】
(ヒイイイイイイイ!!?ヤバすぎるだろ!!?なんだコイツ!?ヒーロー科に紛れ込んだ本物のヴィランか!!?)
【耳郎】
「や、やめなって!!入学早々いきなりそんな……」
【ストーン】
「お前もか!!!!!? 三人だろうと四人だろうと変わらねえ!!!! テメェさっきこの金髪野郎とヒソヒソ悪口言ってたの聞こえてねぇとでも思ったかチビ女!!!!」
【耳郎】
「(嘘!!? 聞こえてた!!?)い、いやあれは悪口とかじゃ……」
ガチイイイイイイイイン!!!!!
【耳郎】
「わぁ!!!!?」
耳郎が言葉を言い切るより早く、金属がぶつかり合うような凄まじい咬合音が室内に響き渡った。
ストーンが耳郎の鼻先にギリギリ触れない距離を、本気の力で噛み付いたのだ。
あと数cm寄っていれば、間違いなく耳郎の鼻は噛み切られていただろう。
【ストーン】
「両手が塞がってるから安全だと思ってねぇか!!!?このままお前の顔面を噛み千切っても良いんだぞ!!!!この豆粒女が!!!!!」
【耳郎】
「ま、待ってよ……!!!!」
流石にシャレにならないと判断し、飯田、切島、砂藤、障子、尾白、八百万が一斉に飛び出し、ストーンを抑え込もうと必死に説得にあたる。
だが────。
【飯田】
「止めないか君!!!入学早々このような過剰な暴力行為は見過ごせない!!!今すぐ2人を降ろさないと、俺が先生方へ即座に報告するぞ!!退学処分になっても良いというのか!!?」
【ストーン】
「やってみろ!!!その前にテメェを真っ先に叩き潰す!!!退学如きが怖くて最強の男を目指せるか!!!」
【飯田】
「正気か君は!!?本当に報告すr」
ブオン!!!!!
飯田が言葉を言い終える前に、ストーンは掴んでいた上鳴と瀬呂を豪快に投げ飛ばした。
【上鳴】
「どわぁっ!!? いでぇ!!」
【瀬呂】
「うおおっ!!?マジかよあいつ……いででで……」
【切島】
「上鳴!? 大丈夫か!!?」
【口田】
「せ、瀬呂君!?大丈夫……!!?」
【ストーン】
「ヴオオオオオオオ!!!!」
ガシャーン!!!!と音を立てて、後ろのロッカーへ叩きつけるように飯田の首を鷲掴みにするストーン。
そのまま空いた太い拳をバキバキと鳴らし、今にも顔面を砕かんばかりに振り上げた。
尋常ではない危険を感じた障子や砂藤、武術の有段者である尾白、合気道経験者の八百万が、すぐさまその太い腕を総出で羽交い締めにする。
しかし──ビクともしない。
力の強い4人が総出で縋り付いているにもかかわらず、そのまま全員の体がギリギリ浮き上がりそうな怪力に、4人も、首を絞められている飯田も心底ゾッとした。
【障子】
「おい止めろ!!!流石に冗談や喧嘩では済まないぞ!!」
【八百万】
「あまりにも野蛮過ぎますわ!!今すぐおやめになって!!」
【砂藤】
「なんだコイツ……!!!バカみてぇに力がありやがる……!」
【飯田】
「ぐぅっ!!?や、止めたまえ!!問題行為の範疇を完全に超えているぞ!!!離すんだ!!」
【ストーン】
「問題行為だぁ!!?テメェらが最強を目指す俺様に喧嘩を売ってきた事が問題行為だろうが!!!今すぐその眼鏡ごと顔面に拳叩き込んでやる!!!」
【尾白】
(無茶苦茶だ…!!もうこればかりは……正当防衛として身体を張るしか……!!)
教室中は完全にパニックに陥り、女子生徒達は恐怖で固まっている。
しかし。
この崩壊寸前の1年A組にも、ストーンと同じく圧倒的に好戦的で、誰にも物怖じしない「正直者」が居た。
【爆豪】
「おいデカブツ!!!」
【ストーン】
「あぁ!?なんだトゲトゲ頭!!ブチ殺されてえか!!?」
【爆豪】
「入ってくるなりギャーギャーうるせえんだよ!!テメェこそぶっ殺すぞワニ野郎が!!!」
ストーンは飯田の手放すと、威嚇するように爆豪へ向かってズンズンと迫る。
両者の間には明らかな体格差があったが、それを一切感じさせない火花をバチバチと散らし、互いに眼光を激しくぶつけ合った。
【爆豪】
(このワニ野郎……中学のしょーもねえイキってたモブや、他校の喧嘩売ってきた馬鹿共とは根本から違え……本物のイカれた怪物だ……!!!)
一触即発。
誰もが最悪の展開を覚悟した。
しかし、爆豪の瞳に宿っていたのは苛立ちではない。
心底楽しめそうな「本物の強敵」が現れた事への興奮だった。
性格の歪みなどどうでもいい。
その身体から溢れ出る圧倒的な強者の異彩に、爆豪は強烈な興味を惹かれていた。
【爆豪】
「さっき最強を目指すとかどうとか言ってたな……寝言は寝て死ね!!!その最強のヒーローになるのは俺なんだからよ!!だったらそんなモブの雑魚共相手にして遊んでねぇで……俺を殺ってみろや!!!」
【ストーン】
「……ほほう……!!!」
殺気立った空間の中、緑谷だけはその変化に気づいていた。
【緑谷】
(!? かっちゃんが笑ってる!!?不味い、あれはムカついた時の顔じゃない!! シンプルに心から楽しんでる顔だ!!!)
ストーンはより一層鋭く爆豪を睨みつけ───次の瞬間。
【ストーン】
「……トゲトゲ頭。テメェ名前は?」
【爆豪】
「あぁ?爆豪勝己だ!ボケワニ!!!」
【ストーン】
「……ンフフフ……ガハハハハハハハ!!お前良いなぁ!!俺様に正面から真っ向勝負を挑んできやがった!!向こうの金髪雑魚やモヤシ女と違って、コソコソ陰口も言わねえ!!嘘をつかねえ本当の男の目だ!!そんで、強ぇ奴の匂いがプンプンしてやがる!!!」
【爆豪】
「そりゃどうも!!分かったらとっとと席に着……」
【ストーン】
「お前気に入った!!やろうぜ!!さぁ、今からここで喧嘩しよう!!!どっちが最強か、俺様と今すぐ勝負しようぜ!!?なぁ!!!」
【一同】(!!!?)
あまりの支離滅裂かつ凶暴ぶりに、クラス全員が絶句した。
狂っている。
この男は頭のネジが元から吹き飛んでいるのだ。
爆豪自身も血が沸き立ったが、ここへ至って冷静さを取り戻し、吐き捨てるように返した。
【爆豪】
「あ!?お前馬鹿か?」
【ストーン】
「んだよ!!ほら喧嘩しようぜ!!?なぁ!!?ほら、どっからでも掛かってこい!!!」
【爆豪】
「テメェは目先のちょっとの楽しみの為に、これから先のデカい楽しみを自ら無駄にすんのか!!?お!?」
【ストーン】
「あ!?これから先の楽しみ……!?」
【爆豪】
「雄英に通ってたら喧嘩……いや、ガチガチに殺り合う場面なんか嫌ってほどあんだろが!!!ヒーロー基礎学の対人訓練やらイベントやら……せっかくの最高の楽しみを自分からぶち壊しにする気かテメェは!?今ここで大暴れして退学になったら、俺もお前もその最高の喧嘩の機会が永遠に無くなるんだぞ!?」
【ストーン】
「ヒーロー基礎学!……確かに言われてみりゃあそうか……!?」
【爆豪】
「ちったあそのデカい頭使えやワニ公!!!!テメェみてぇなぶっ殺し甲斐のある奴、みすみす逃す訳ねぇだろ!!!分かったら先公が来るまで大人しく座れ!!!」
【ストーン】
「じゃああれだな!?ヒーロー基礎学になったらお前は、俺様と全力で喧嘩してくれるんだな!!?」
【爆豪】
「授業どころか場所借りて組手って形でいつでも相手してやるわ!!!」
【ストーン】
「その言葉に、絶対に嘘は無いな!!!?」
【爆豪】
「俺が嘘つくタマに見えるかゴルァ!!!」
そして────。
【ストーン】
「……………よし分かった!!!約束だぞ!!?絶対に俺様と本気で喧嘩しろよ!!?……あぁー!!!楽しみだなぁ!!ドハハハハハ!!!!」
ストーンはあっさりと納得し、自分の席へドカッと座り直した。
非常にご機嫌な様子で、鼻歌交じりに背もたれへ寄りかかる。
一同はあまりに意外な説得者と結末に驚きつつも、胸を撫で下ろした。
だが──。
爆豪は周囲をギロリと殺気で睨みつけ、言い放つ。
【爆豪】
「おいモブ共。この騒ぎを先公にチクった奴は速攻でブチ殺すからな」
【飯田】
「な!?何を言い出すんだ!?彼は度を超えた問題行為を……」
【爆豪】
「俺のお楽しみを奪うなって言ってんだ。それとデク……」
【緑谷】
「!!!!」
【爆豪】
「テメェに関しては楽しみとかじゃねえ。本気でぶっ潰す!!!」
【緑谷】
「か、かっちゃん……」
【八百万】
「爆豪さん!!クラスメイトになんて言葉を……」
【ストーン】
「おい待てやトゲトゲ頭!!!テメェそれじゃあ俺様の時は本気出さねえって事か!!?ふざけn」
【爆豪】
「だーーー!!!もう!!!出すわ!!!テメェも本気で潰すって言ってんだろが!!!」
【ストーン】
「なら良いか!!」
【口田】
(あわわわわわ……め、メチャクチャな人達と同じクラスになっちゃった……)
【麗日】
(はひいいいい……!!!あの爆豪君って人もやけど……あの緑色のワニみたいな人、桁違いに怖すぎる……!! さっきも女の子相手に平気で噛みつこうとしてたし……)
【耳郎】
(最悪最悪最悪!!!こんなやばい奴中学にも居なかったって……ど、どうしよう……ウチ本気で殴られたりしたら……冗談じゃないよ……怖い……!!)
【上鳴】
(嘘だろ……ヤバすぎる不良と同じクラスになっちまった……無事に生きて卒業出来る気がしねえ!)
【緑谷】
(かっちゃん以上にまともに対話が出来る人じゃない……この人、ヴィランよりも凶暴ないじめっ子なんじゃないか……!?)
【芦戸】
(うわわわ……あたしでも仲良くなるの相当ムズそう……超狂暴な怒りん坊の怪獣じゃん!!?)
【爆豪】
(ハッ!! ツラ構えとデカさだけは合格だ。そこらの有象無象の雑魚共よりは骨がある。周りがビビってやがるが、俺に言わせりゃそんなの関係ねぇ。純粋な『好敵手』としてぶちのめし甲斐があるってだけだ……戦闘訓練が楽しみだぜ……バカワニ!!!)
一方、同刻の職員室にて。
【相澤】
「……オールマイトさん。生徒名簿を見ましたけど……コイツ、本当に大丈夫なんでしょうね?貴方のお墨付きが無ければ速攻で除籍にしてますよ、こんな問題児。雄英高校史上初ですよ、警察の保護観察や少年院まで行った奴なんて。ヒーロー科に合格したのも、ぶっちゃけ何かの間違いかと思ってます」
【オールマイト】
「大丈夫さ!そこにも書いてある通り、『その言葉』を使えば彼はびっくりする程言う事を聞いてくれるからね!口の上手い……いや失礼、説得力のある相澤君なら尚更、ね!」
【相澤】
「……何かあった時は全部責任を取って下さいよ……ハァ……」
【オールマイト】
「任せなさい!(……ヒーローとしての非常に高い潜在能力を持つ逸材、そして…新たなワン・フォー・オールの継承者も見つけられた……私は本当にツイている!未来を創る逸材が2人も見つけられたなんてね!)」
相澤が抱くこの深い不安が、後にびっくりするほど解消される事になるのは──もう少しだけ先の話である。
[今回のステータス]
●ストーン:
爆豪との「本気の勝負」の約束を取り付け、最高にご機嫌。
今の所クラスメイトへの認識は、爆豪以外は全員自分にコソコソ陰口を叩く雑魚かチビ扱い。
オールマイトのアドバイスで猛勉強して雄英を突破したとはいえ、退学や教師の存在など全く恐れていない辺り、根本的な部分は変わっていない。
●爆豪:
ストーンという「ぶちのめし甲斐のある本物の怪物」を見つけ、戦闘訓練を心待ちにしている。
周りのクラスメイトや緑谷の存在に対する平常運転のイライラは変わらず。
●緑谷:
ストーンの規格外の凶暴さに怯え、爆豪との危険な関係性に戦慄している。
●耳郎、上鳴、瀬呂:
初日にいきなり命の危険を感じ、ストーンを心の底から恐れている。
●飯田、八百万
ストーンと爆豪の無法者ぶりに頭を抱えている。
●相澤:
前代未聞の問題児の受け入れに頭を抱え、いつでも除籍出来る準備。
●オールマイト
ストーンの素直さとヒーローとしての可能性を信じ切っており、未来を楽しみにしている。
現実ならこんなイカレポンチ居たら保健所か警察を素直に呼びましょう。