※この作品はR-18です。

東京の甘い毒   作:GorocatArchive

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第3話 中毒の沼

その日以来、桜の人生は完全に制御不能となり、奈落の底へと転がり落ちていった。

 

 

 

カズキは彼女に、ほぼ毎週四〜五回のパーティーへの参加を強要した。

 

 

 

最初の頃は「今回だけ」と自分に言い聞かせていた。

 

 

 

だが、今となってはそんな言い訳さえ意味を失っていた。

 

 

 

パーティーに参加するたび、借金は少しずつ減っているように思えた。

 

 

 

しかし実際には、むしろ増え続けていた。

 

 

 

パーティーの後に溜まったストレスを、ブランド品を買うことで発散する。

 

 

 

その金もまたカズキから借りる。

 

 

 

そんなことを繰り返しているのだから、借金が減るはずもなかった。

 

 

 

カズキは桜が金を貸してほしいと頼むたび、恩を着せるような態度で金を渡した。

 

 

 

だが彼が桜の身体を利用して稼いでいる金は、その何倍にもなっていた。

 

 

 

桜はすでに、薬物なしでは一日さえまともに過ごせない身体になっていた。

 

 

 

朝、目を覚ますと手が激しく震え、全身から冷や汗が流れた。

 

 

 

胸が締めつけられるように苦しくなり、不安が極限まで高まると、まともに呼吸することさえできなかった。

 

 

 

そんなとき、桜はカズキから送られてきた白い袋を取り出し、急いで中身を鼻から吸い込んだ。

 

 

 

薬物とコカインを混ぜたその粉は、彼女の頭の中を真っ白にすると同時に、身体を熱く火照らせた。

 

 

 

今ではカズキが、桜に薬を無料で渡すことなどなかった。

 

 

 

当然のように高額な値段をつけ、パーティーで使わせる薬まで桜の借金として計上していた。

 

 

 

だから桜がどれだけパーティーへ通ったところで、カズキへの借金を完済することなど最初から不可能だった。

 

 

 

桜は自己嫌悪に陥りながら、自分の身体を抱きしめた。

 

 

 

「なんで私……こんなになっちゃったんだろう……」

 

 

 

シャワーを浴び、身体をこするたびに涙が流れた。

 

 

 

だが、その涙さえ次第に少なくなっていった。

 

 

 

代わりに薬が効き始めると、昨夜の屈辱的な光景が脳裏に蘇り、奇妙な熱が下腹部から込み上げてきた。

 

 

 

桜はその感覚を必死に押し殺そうとした。

 

 

 

しかし、身体はすでに彼女の意思を裏切るようになっていた。

 

 

 

土曜日の夜。

 

 

 

カズキが桜を連れて行ったのは、池袋にある超高級ペントハウスだった。

 

 

 

そこには十二人を超える年配の男たちが集まっていた。

 

 

 

ほとんどが五十代後半から六十代前半の実業家、医師、高級官僚だった。

 

 

 

皆、高価なスーツに身を包んでいた。

 

 

 

だが桜を見る彼らの目は、明らかに獣のそれだった。

 

 

 

カズキが桜の耳元で低く囁いた。

 

 

 

「今日は特別な日だ。客が多いから、しっかりやれ。うまくやれば、今日だけで百万円分は引いてやる」

 

 

 

桜は到着する前から、すでに強い薬を使わされていた。

 

 

 

彼女はソファに座っていた男の膝の上に座らされた。

 

 

 

男の分厚い手がすぐにブラウスの中へ入り込み、胸を強く揉みしだいた。

 

 

 

すぐに他の男たちも集まり、桜の服を脱がせ始めた。

 

 

 

スカートがまくり上げられ、下着も乱暴に脱がされた。

 

 

 

「おお……本当にいい身体だな」

 

 

 

一人の男が、彼女の胸に噛みつくように口をつけながら言った。

 

 

 

桜は堪えきれず、声を漏らした。

 

 

 

男たちは代わる代わる、時には同時に彼女を抱いた。

 

 

 

一人は彼女の口を使い、別の男は後ろから身体を押しつけ、さらに別の男が胸や首筋を貪った。

 

 

 

荒い息遣い。

 

 

 

汗の匂い。

 

 

 

皺の刻まれた肌。

 

 

 

それらが桜を押し潰すように覆いかぶさった。

 

 

 

苦痛が限界に近づくたび、薬の作用がその感覚を奇妙な快感へと歪めていった。

 

 

 

「だめ……」

 

 

 

桜は小さく呟いた。

 

 

 

しかし、その声はやがて喘ぎ声に変わっていった。

 

 

 

男たちは何度も彼女の体勢を変えながら、好きなように身体を扱った。

 

 

 

ある男は髪を強く引きながら罵声を浴びせ、別の男は彼女の身体を強く叩きながら興奮していた。

 

 

 

カズキはペントハウスの隅に設置されたモニターで、その一部始終を見ていた。

 

 

 

満足げな笑みを浮かべながら、冷静に桜の商品価値を計算していた。

 

 

 

――この女は本当に使える。

 

 

 

容姿もいい。

 

 

 

身体の反応もいい。

 

 

 

泣きながらも逆らえなくなっている姿は、金を惜しまない客たちにとって格好の商品になる。

 

 

 

午前四時を過ぎて、ようやく桜は解放された。

 

 

 

タクシーの中で身体を丸めたまま、彼女はずっと震えていた。

 

 

 

家に着くとシャワーを浴び、全身に残った痣や痕を確認した。

 

 

 

鏡に映った自分の姿を見た瞬間、桜は力なくその場に座り込んだ。

 

 

 

それでも身体の奥には、薬物によって残された熱が消えずに残っていた。

 

 

 

翌日、カズキは桜を自分のオフィスへ呼び出した。

 

 

 

彼は桜の顎を持ち上げ、冷たい笑みを浮かべた。

 

 

 

「桜。お前、最近かなりうまくやってるな」

 

 

 

桜は黙ったまま彼を見た。

 

 

 

「だが、まだ足りない。次からはもっと積極的にやれ。客が望むことは全部やってやるんだ」

 

 

 

カズキは鼻で笑った。

 

 

 

「自分が今いくら借金してるか分かってるか? まだ全然足りないんだよ。そんなやり方じゃ、俺が大損することになる」

 

 

 

彼は桜のスマートフォンを取り上げ、画面を見せた。

 

 

 

そこには、これまでのパーティーで撮影された大量の映像が保存されていた。

 

 

 

「もし俺の言うことを聞かずに逃げたら、これをお前の両親にも、大学の友達にも、お前をフォローしてる連中にも全部ばら撒く」

 

 

 

桜の身体が震えた。

 

 

 

その瞬間、ようやく理解した。

 

 

 

自分はもう、完全にカズキの掌の中にいる。

 

 

 

逃げることもできない。

 

 

 

抵抗することもできない。

 

 

 

桜はただ俯いたまま、何も答えなかった。

 

 

 

それから彼女の日常は完全に崩壊した。

 

 

 

大学にはほとんど行かなくなった。

 

 

 

友人との連絡も途絶えた。

 

 

 

昼間は薬に酔ったまま、ぼんやりと天井を見つめる。

 

 

 

夜になれば、カズキに命じられた場所へ向かい、客を相手にする。

 

 

 

桜の身体は今や、年配の客たちの欲望に合わせて徹底的に利用されていた。

 

 

 

ある深夜。

 

 

 

特に酷いパーティーが終わった後、桜は家へ戻り、鏡の前に立った。

 

 

 

映っている目からは、もうほとんど生気が消えていた。

 

 

 

かつての明るく、野心に満ちた桜はどこにもいない。

 

 

 

そこにいるのは、空っぽの人形のような女だった。

 

 

 

桜は静かに呟いた。

 

 

 

「……これが、私が選んだ道なの……?」

 

 

 

だが、もう遅かった。

 

 

 

甘い毒は彼女の身体の奥深くまで染み込み、心までも蝕んでいた。

 

 

 

カズキに逆らう力はほとんど残っていなかった。

 

 

 

ただ彼に命じられるまま動いている自分を、どこか他人事のように眺めるだけだった。

 

 

 

また一つのパーティーが終わった夜。

 

 

 

カズキは桜だけを別室へ呼び出した。

 

 

 

彼はソファに深く腰掛け、桜を見上げながら静かに言った。

 

 

 

「桜。お前も、もうだいぶ慣れたみたいだな」

 

 

 

少し間を置き、口元を歪める。

 

 

 

「だから、一つ提案がある」

 

 

 

桜は黙ったまま彼を見た。

 

 

 

カズキは二つの道を提示した。

 

 

 

「一つ目だ。これからお前を『特別管理』にする」

 

 

 

「……特別管理?」

 

 

 

「客の相手をする回数を少し減らす。その代わり、新しい女子大生を連れてくる役をやってもらう」

 

 

 

桜の表情が強張った。

 

 

 

カズキは構わず続けた。

 

 

 

「そうすれば借金も今より早く減らしてやるし、薬もいいものを用意してやる。それから今後は俺と一緒に住め」

 

 

 

「……」

 

 

 

「俺と暮らしながら若い女を連れてこい。そして俺の愛人としての役目も果たせ」

 

 

 

カズキは笑った。

 

 

 

「お前の借金はもう簡単に返せる額じゃない。身体で利息を返していくと思えばいい。どうだ? できるだろ?」

 

 

 

桜は何も答えなかった。

 

 

 

「二つ目は、今までどおりだ」

 

 

 

カズキは指を二本立てた。

 

 

 

「毎日のようにパーティーへ出て、客を取る。それだけだ。ただし、こっちを選ぶなら特別扱いはない」

 

 

 

彼の声が低くなる。

 

 

 

「借金を返すために、今まで以上に身体を使ってもらう。分かってるだろ? 今のままじゃ借金は増える一方だ。毎日パーティーに出たところで、お前が簡単に返せる額じゃないんだよ」

 

 

 

カズキは桜の目をじっと見つめた。

 

 

 

その眼差しは、獲物を前にした獣のようだった。

 

 

 

桜は、初めてカズキに会った日のことを思い出した。

 

 

 

背が低く、小太りで、髪の薄い年配の男。

 

 

 

それが当時の第一印象だった。

 

 

 

――こんな老人が、私に何をできるというのだろう。

 

 

 

あの日の自分は、本気でそう思っていた。

 

 

 

だが今、その男が自分を人生の底まで追い込んでいる。

 

 

 

そして今度は、自分の愛人として暮らしながら、友人や後輩の女子大生をこの地獄へ連れてこいと要求している。

 

 

 

初めて会った日、カズキは散々、自分の身の上話をしていた。

 

 

 

桜を「末娘のようで放っておけない」と言った。

 

 

 

家族写真を見せながら、自分の娘について自慢もしていた。

 

 

 

桜はその娘を偶然見かけたことがあった。

 

 

 

父親によく似た、地味な女の子だった。

 

 

 

――あの子は、自分の父親がこんな怪物だと知っているのだろうか。

 

 

 

カズキは昔、自分は大して稼いでいないと言っていた。

 

 

 

闇金をしながらも多くの人を助け、ろくに金を受け取っていないのだとも話した。

 

 

 

最初の妻に離婚された話から始まり、数え切れないほどの話を桜に聞かせた。

 

 

 

当時の桜は、それをただ退屈な老人の自慢話程度にしか思っていなかった。

 

 

 

だが今なら分かる。

 

 

 

ほとんどが嘘だった。

 

 

 

確かなことが一つだけあった。

 

 

 

カズキが本格的に大金を稼ぎ始めたのは、数年前から女子大生を狙った闇金を始めてからだった。

 

 

 

返済能力のない若い女に金を貸し、借金を膨らませる。

 

 

 

逃げられなくなったところで男たちの接待へ送り込み、そこで得た金を使って、また次の女を罠にかける。

 

 

 

同じことを繰り返していた。

 

 

 

だが、そんなことを理解したところで、もう何の意味もなかった。

 

 

 

桜が置かれた状況は、あまりにも深刻だったからだ。

 

 

 

――でも、こんな男の愛人として生きるなんて……。

 

 

 

桜は唇を噛んだ。

 

 

 

――これは選択なんかじゃない。ただの強要と同じじゃない……。

 

 

 

新しい女を連れてこいということは、自分が落ちたのと同じ地獄へ、別の誰かを引きずり込めということだ。

 

 

 

だが拒否すれば、今以上の苦痛が待っているかもしれない。

 

 

 

桜は長い時間、答えを出せずにいた。

 

 

 

そして今、彼女は一つの重大な選択を迫られていた。

 

 

 

あなたの選択は?(第1分岐点)

 

 

 

カズキに二つの道を強要された桜。

 

彼女は、どちらを選ぶのか。

 

 

 

【選択1】新しい女子大生たちを誘い込む役割を受け入れる。

 

【選択2】新しい女子大生たちを誘い込むことを拒否する。

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