【R18】英梨々が処女卒業するまで終わらない話【画像付き】 作:きりぼー
相変わらずプロットなしで走り抜けるスタイルです
※ 画像に関しては現在制作中のものもあり、掲載されない場合があります
※ 挿絵があるとイメージと違うという意見を考慮し、後書きのところに掲載しております
春になると変態が増えるそうだが、季節を問わず人の部屋でアダルトサイトをみている女をなんと言えばいいだろうか。やっぱり腐女子か。
「なんかこう・・・カメラワークが悪いわね」
モニターを覗き込むように自分の観る角度を変えているのは昭和の人間か?
俺の名前は安芸倫也。豊ヶ崎学園で4月からは3年生になる17歳の受験生だ。受験生なので今までの遅れを取り戻そうと机に向かって勉強をしている。
幸い?アダルト動画の卑猥な音声は聴こえてこない。ワイヤレスイヤホンで本人だけに聴こえている。そのアダルト動画に没頭しているのが英梨々だ。父親がイギリス人でミドルネームをいれ『澤村・スペンサー・英梨々』と自分では名乗っている。これは中二病ではなく昔からだ。先日の3月20日で17歳になったばかりの同級生。
金髪碧眼のツインテールの幼馴染だ。こいつがいるだけでラブコメの主人公気分になれるのだが、残念ながら俺はそんな風にたいした理由もないのに複数の美少女にモテたりはしない。昨年度の2年生の時はゲーム作りをしていて、同級生の加藤恵や1つ上の霞ヶ丘詩羽先輩などとも交流があったのだが、今年のバレンタインにチョコをくれたのは英梨々だけだった。
現実なんてそんなもんだ。
大事なことを言い忘れていた。英梨々は美少女だ。うん。容姿に関しては非の打ちどころがない美少女で学校ではお嬢様モードで通しているせいもあって非常にモテる。告白されて振った人数が3桁の大台にのったららしいがあながち誇張ではないようだ。
何しろ英梨々と本気で付き合えると思っているバカ男子は皆無で、『英梨々に告白して振られると本命の彼女ができる』という謎めいた迷信のもと、多くの男子が勝率0%とわかっていても告白チャレンジをしている。今やその手続きは事務的で英梨々親衛隊が取り仕切っているが話しが長くなりそうなのでこの辺にしておく。
でもって、もっと大事な事はその英梨々が俺の『彼女』だということだ。付き合っているらしい。らしいというのもずいぶんと当事者にしてはいい加減だが実際にそうなのだからしょうがない。だから正確には『彼女』ではなく、『彼女(仮)』となる。
「ちょっと倫也~」
イヤホンをしているので声がでかい。英梨々が動画を止めて話しかけてきた。
「どうした?」
「固まった」
「ああ、非力な俺のノートPCじゃそうだろうな・・・」
俺はイスから立ち上がって、クッションの上に座っている英梨々の隣に座った。ノートPCを操作してまずはタスクマネージャーを開く。
「あのな・・・こんなにアプリ起動させたら固まるの当たり前だろ」
「だって作業しながらじゃないと効率悪いじゃないの」
「それはそうなんだが・・・英梨々の家のデスクトップとは性能がぜんぜん違うんだから・・・」
複数のエロサイトを並べて動画をみつつ、生成AIで学習させ、お絵描きアプリ、動画編集ソフト、おまけに某掲示板まで覗いている。
とりあえずブラウザは強制的にシャットダウンをして、作成中の画像や動画は保存をする。それから再起動をさせた。
「う~~ん」
英梨々が疲れたのか両腕をあげて背伸びをしている。小柄なせいか少し猫的だ。
「ふぁ~あぁ」
その後に大きなアクビをした。サファイアブルーの大きな瞳から少し涙がこぼれた。春休みを惰性で過ごすという点では最大限に楽しんでそうだ。
「倫也~飽きた~」
「そりゃ昼からずっとアダルト動画見てたらな・・・」
「おやつにしましょ」
英梨々が立ち上がった。今日は黄色いロングワンピースを着ている。黒いストッキングをはいているがそれがニーソなのかパンストなのかはわからない。
「家には特に何もねぇな・・・」
「なんか持ってくればよかったわね。いいわよ散歩がてら買いに行きましょ」
「そうするか」
「だいたい家の中にずっといるなんて不健全なのよ」
「受験生ってそんなもんだろ」
「今更倫也があたふたしてもしょうがないでしょ」
「受験は夏が大事だからこれからだぞ!?」
「ふん」
英梨々が俺の話もきかずに扉を開けた。俺は慌てて薄手のジャケットを羽織り、ケータイをポケットにねじ込んだ。
トントントンと跳ねるような軽快さで英梨々が階段を降りていく。うちから買物するとなると駅の方へ向かい商店街を目指すことになる。途中にコンビニも一件ある。
英梨々が黄色いスニーカーを履く。スポーツ用でなく靴底も厚くとてもオシャレな靴だ。靴ひもからしてカラフルで様相が違うのだ。英梨々の身に着けているものは嫌味のないブランド物だ。何しろお嬢様なのだからしょうがない。
玄関のドアを開ける。外は天気がいいが風が少し強い。そんなに寒くはないのでジャケットはいらないかもしれない。せっかく着たのでそのままにしておく。流石にTシャツ姿で英梨々の隣を歩くのはちょっと気が引ける。ジャケットを着ても無駄かもしれないがないよりはマシだろう。
英梨々の家はうちのすぐそばの坂道を上った先にある。赤い屋根の大きな洋館がそれだ。大きな黒い門、広い芝生の庭、執事だっている。子供の頃から近いのでよく遊んだ。だんだんと成長するにつれて貧富の差というか、身分の差というか、育ちの差を感じるようにはなったが当の本人は別にこだわりがないらしい。オタク友達ということで比較的壁のない状態で交流が進んだ。
「ほら、何ボォーッとしているのよ」
「すまん」
風が吹いて英梨々の長いツインテールが揺れてキラキラと輝いた。こうみると育ちのいいお嬢様にしかみえない。いったいさっきまでのエロ動画をみている腐女子は誰だったのか?と思わなくもない。ギャップがひどい。
玄関のドアを閉めて鍵をかける。ちなみにうちには両親がほとんど戻ってくることがなく、ほぼほぼ一人暮らし状態だ。以前は従姉妹の美智留が家事を手伝いがてら夕食をちょくちょく食べに来ていたのだが、いろいろあって今年はあまり来ていない。
英梨々が無表情のまま立ってこっちを見ている。
そういうわけで付き合う事になった俺は彼氏らしいことする必要性があり、第六感を働かせて英梨々の望みを叶えていくことになる。
「手でもつないでいくか・・・」
俺が手を差し伸べても、英梨々は立ったままだ。
「ふん。つないであげてもいいけど、もう少し言い方があるでしょ。言い方が」
何しろ根っこがツンデレなのだ。ツンデレを頑張らないとデレデレになって溶けてしまうのだからしょうがない。そこはわかってあげたい。
「それではお手を拝借」
「なんかちがくない?」
膝をついて手を差し出すと、英梨々がそれにこたえて手を添えた。お嬢様英梨々は夢見がちなので当然白馬の王子様が大好きなのだ。紳士ムーブに弱い。
俺が右手で英梨々が左手。手をつなぐときの暗黙のルール。
肌も白くて綺麗だし、手足も細くて長い英梨々には1つだけ歪なところがある。それは子供頃から絵を描き続けたことでペンダコや筆ダコがあるのだ。だから右手では手をつなぎたがらない。気にしているようだ。もちろん俺はそんなことはぜんぜん気にしない。
英梨々と手をつないでも指をからめたりはしない。そっと握る。指は細くて華奢だ。そして俺よりも少し手が冷たい。
春らしい柔らかい陽光と風が心地いい。散歩日和だ。
商店街へ向かう途中に三叉路がある。桜の綺麗な上り坂に分岐する。去年はここで加藤と出会った。出会うといってもその前の年も加藤とは同じクラスだったが交流はほとんどなかった。坂の上に立つ加藤と桜の舞う風がとても良い雰囲気だった。それでビビビッときてゲームを作ることになったのだ。加藤をメインヒロインにして・・・いい感じだったんだけど。
三叉路の角には幼稚園があって、俺と英梨々が出会った場所だ。自分が入園した時のことは覚えていないが、英梨々は最初からはいなかった。2ヵ月遅れて6月の梅雨時に転入してきたのだけははっきりと覚えている。
金髪の少女が天使に見えたからだ。
あの頃の英梨々はしゃべることできずに泣いてばかりいる子だった。気難しい子だったがどういうわけか俺には良く懐いていて、よくセットにされて行動した。
その保育園のある角にはお地蔵様が祀ってある。少し小さいお地蔵様は最近新しく建立された社の中にいて可愛いらしい。赤いのぼり旗には『縁結び地蔵』と書いてある。この場所が三叉路のため待ち合わせや逢引きで使われたのが成り立ちらしい。小学生の時に自由研究で調べた。
英梨々が立ち止まってお地蔵様に手を合わせた。習慣なのだろう。お賽銭はいちいち入れない。もっともこのお地蔵様の管理が澤村家関連らしく、社の建立にも大きな寄付をしているので、お地蔵様が英梨々に文句をいうことはないだろう。
俺も手を合わせて拝んでおく。
『英梨々の性癖がこれ以上歪みませんように・・・』
直りますようになどと無駄な願い事はしない。お地蔵様だって困ることがあるだろう。
参拝を終えて少し歩けば商店街だ。アーケードがありレトロな雰囲気が今も残っていて、地元に愛される商店街だ。最近は薬局が増えたのが多少気になるが、個人商店も多く、八百屋、魚屋、肉屋、文房具屋、洋菓子屋、和菓子屋と様々な店が軒を連ねている。
商店街の中ほどには今でも写真館が営業しているところもすごい。その写真館のウインドーには英梨々の写真がでかでかと飾られている。今は高校入学時の写真だ。もちろんそこらへんの芸能人よりも様になっている。そういうわけで丘の上の赤い屋敷に住む英梨々のことを知らない人は地元にはほぼいない。みんなには『お嬢さま』と声をかけられているので城下町の雰囲気すらある。
この写真館がなければ商店街はもう少し廃れて、大手スーパーに負けて徐々に閉店してしまったのではないかと思うが、それは考え過ぎだろうか。
「倫也、おやつ何にする?」
「駄菓子」
「あんたね・・・高校生にもなって・・・まぁいいわ」
商店街の途中を曲がった路地に駄菓子屋がある。外観も内装も昭和のまま時間を止めたような店だ。ただ陳列している商品は時代をしっかりと捉えて生き残ってきた。カード系、玩具付きお菓子が豊富。実は俺がアドバイスをして品揃えを助けている。というか俺の欲しいものを並べてもらっている。
そういうわけで俺と英梨々用にカスタマイズされた駄菓子屋の居心地が悪いはずもなく、アルバイトをせっせとこなして稼いだ金を落としていく。
さらに2階は知る人ぞ知るお好み焼きの老舗で、戦前から続いているらしい。焼きそばもあるので英梨々が一番のお気に入りの店だ。
店にはいった英梨々は駄菓子を大人買いしていく。駄菓子は英梨々に任せて、俺は玩具付きお菓子を品定めし綺麗に陳列を直す。あまり古い商品になると店の格が落ちてしまうので買い取って回収する。それをネットで横流しすることで需要を満たす。
人気商品の場合はボックス買いをさせてもらうのでギブアンドテイクの関係だ。
「倫也~、ラムネでも飲む?」
「頼む」
英梨々がラムネ2本を冷蔵庫から取り出してレジに持っていく。今は代替わりして息子さんが経営している。ときどきおばあちゃんが店先にいることもある。
会計は英梨々が行う。ちまちまと割り勘だとか、自分の分だけ払うとかはしない。英梨々のマンガの売り上げに貢献しているし、制作も手伝っているからだ。全部なぁなぁにするのはよくないが、全部を細かく分けるのも難しいのだ。というか財力に差がありすぎて、英梨々に合わせたら俺だけ破産する。
それにブレッシングソフトで作ったゲームが話題になってそこそこダウンロードされて売れている。その売り上げは全部俺の収入になっているので、ちょいとした小金持ちでサラリーマンの年収ぐらいを稼いでしまった。だから俺も完全にヒモというわけではなくて、英梨々に対して出す時は出している。
店先のペンキの剥げた錆びれたベンチに並んで座ってラムネを飲む。
「まだ夏じゃないけど」
「夏に飲むラムネが上手いが、春先のラムネもいいもんだ」
『キンッ』と少しだけ瓶をぶつけて乾杯をする。
カラコロとビー玉の転がる音が心地よい。
炭酸が染みわたって美味い。英梨々の小さな口元をつい眺めてしまう。駄菓子屋でラムネを飲んでも絵になるのは不思議なもんだ。違和感があまりないのはあまりにも馴染みすぎてしまったせいで、他人からみたら金髪美少女と駄菓子屋のマッチングは違和感があるのかもしれない。
昨年の冬のコミュケを最期にブレッシングソフトは事実上の解散となってしまった。
英梨々が別荘に引き籠って作画をしている時に風邪を引いてしまった。俺は加藤に黙って英梨々のところに向かって原画を回収したのだが、印刷所に送るのは間に合わなかった。
英梨々の看病をして過ごしてしまったためだ。
それで加藤はそのコミュケを最期に打ち上げにも参加せずに別れた。それ以来避けられるようになってしまった。メールもSNSも返信はこない。
俺も鈍いふりをして加藤との距離を再度近づけようとも考えたのだが、詩羽先輩に止められてしまった。
『そろそろ結論を出す頃なのよ』
俺としては結論を先延ばしにして、3年生でもゲームを加藤と作りたかった。ただ看病後から英梨々との距離も急激に縮まった気もする。
美智留に加藤のことを愚痴がてら相談したら英梨々のことを聞かれた。
『澤村ちゃんのことはどうするの?』
俺としてはとぼけることもできなくはないが、英梨々と仲良くしたまま加藤とも仲良くするのがだんだんと難しいことがわかってきていた。
それでも結論を先延ばしにしてバレンタインまで待ったみてが、チョコをくれたのは英梨々だけだった。
英梨々がちょくちょくうちにくるようになって、気を使った美智留の足も遠のいて・・・俺の外堀は埋められてしまった。
英梨々の事は好きだ。不釣り合いなのもわかっているが、それでも英梨々も俺の事が好きだろうということもわかっているし、俺がいつまでも加藤のことを想っていてもどうにもならないし、そんなひどい気持ちがグルグルしたままで英梨々と向き合う事もできずに悶々としていた。
『まぁ倫也だし。期待してもしょうがないこともあるわよ』
卒業式で詩羽先輩を見送った後に英梨々が勝ち誇ったように言った。
『どういう意味だ?』
『あんたが詩羽を好きなのは知ってるけど、どうにもならないでしょってことよ』
『・・・そうだな』
『あら、あっさり認めるのね』
『だってチョコくれなかったし』
『ほんと男子ってチョコに拘るわよねぇ・・・自分からどうこうしようとは思わないわけ?』
『思うよ?思うけどさ・・・選べないじゃん・・・』
『恵のことも、氷堂美智留のことも、波島出海のことも好きだし?』
『・・・そこに、お前も入れてくれよ』
『はぁ?あんたバカなの?そこでお前っていうのはどうなのよ!?そんなつまらない告白されるとは思ってみなかったわよ』
『だぁ~~~!!ちょっと待って、時間をくれ・・・』
『ふん!』
『誕生日までには整理するから・・・』
『できないでしょ』
『とにかくあと一週間くれ・・・』
『いいけど、その間にあたしに彼氏ができても知らないからね』
『それはないだろ・・・』
『まったく』
そうツンツンしながらも英梨々が体をくねらせたり、顔を赤く染めたりしたのでわかりやすい。
何しろチョコをくれたのだ。それだけが頼りだった。
『カランッ』とビー玉が転がってラムネの瓶が空になったのを知らせた。
「倫也~、倫也ってば」
「おう?」
「なに1人で物思いにふけっているのよ。ラムネじゃ格好つかないわよ」
「ふむ・・・俺の告白ってけっこうひどくなかった?」
「けっこうじゃなくてだいぶひどかったわよ?」
「だよな・・・」
「別に何度でもやり直していいわよ」
「・・・またなんか考えておく・・・」
「それでよくラブコメ作ろうって気になるわね」
「まったくだ」
そう。英梨々の誕生日の時だ。つい一週間前の話になるが俺は英梨々に告白したのだ。
プレゼントはいつも送っていた小さなガラス細工だ。英梨々が4歳の時から送っているので去年で干支シリーズが終わって、今年から星座シリーズになった。まずは英梨々の魚座からだ。
贈り物が決まっているのは悩まなくていいがサプライズ間はゼロだ。それでも英梨々の部屋にある小さなショーケースにはガラス細工が並べてあるし、スペースもあるのだから問題はないだろう。
『なぁ英梨々。こんな俺で良かったら付き合ってくれない?』
『だが、断る』
『だよな』
『って、あんたね。そんな自信なさげで付き合う女の子はいないと思うわよ』
『自信の問題なのか?』
『多少は自信とか成算は必要でしょうよ』
『わかった。友達からはじめてくれ』
『バカなの?』
『なんだよ。恋人がダメなら友達からだろ』
『はぁ・・・そうね・・・そうよね・・・恋人未満、友達以上っていうものね』
『そのあたりで妥協してくれ』
『嫌よ。まったく・・・どうしてこうヘタレ倫也なのかしらね?まぁいいわよ。彼氏かっこ仮で』
『じゃあ英梨々は彼女かっこ仮ってことだな?』
『想い人にそれは失礼でしょーが。もう少しなんか考えなさいよ』
『英梨々が言ったことだろ。とにかく正式に恋人になれるようにがんばればいいんだな?』
『そんなところね。どうせ受験生だし恋人ごっこもできないでしょ』
『なるほど・・・清い交際で図書館デートみたいな感じなんだな?』
『知らないわよっ!あと条件つけるわよ』
『おう・・・』
『浮気禁止ね。詩羽と連絡とったり、恵と連絡とったりしないこと』
『わかった』
『あと氷堂美智留も要注意ね。むやみに家にいれないこと。親族付き合い以外は禁止よ』
『意外と拘束きついんだな・・・』
『あんたが浮気性なだけでしょうーが。当然波島出海もよ』
『わかった』
『ふん!』
というやり取りがあって、付き合うことになったのだが、そもそも『付き合う』がなんなのかよくわからないので以前とあまり変わらない気もする。
いや変わったか?
あれ以来、お互いの家の往復頻度があがったし、一緒に歩く時は手もつなぐようになった。やってることはお互いにオタク活動と勉強くらいなのだが・・・
「わかった。英梨々」
「なによ突然。ポリポリ。倫也食べる?」
「うん」
「あーん」
「あーん・・・ポリポリ」
ココアシガレット。タバコみたいなケースに入っていて大人のマネができるので人気な商品だ。
「英梨々。好きだ!」
「何よ?頭おかしくなったわけ?」
「ちげーよ。恋人になれるまで俺は毎日告白するよ」
「そ・・・そう」
「そしたらいつか恋人になるかもしれないだろ」
「ところで倫也・・・ポリポリ」
「ん、なんだ?ポリッポリ」
「恋人になるってどうなるの?」
「・・・チューとかするんじゃねーかな・・・」
「あ~・・・チューね・・・ポリポリ」
英梨々がココアシガレットを口に咥えて手でポキッと折った。それを俺に差し出した。
「なんだ?」
「食べていいわよ」
「あーん」
「自分で食べなさいよ。まったく」
「さっきしてくれたよねぇ!?」
「さっきは長かったでしょ。変態倫也がどさくさに指まで舐めてくるかもしれないでしょ」
「どんな俺だよ」
折れたココアシガレットを口に放り込む。ポリポリと。
「どう間接キスの味は?」
「ココアシガレットの爽やかな味がするよ」
「まったく・・・」
カラコロッ・・・
英梨々がラムネを飲み干した。それからぼんやりと路地を見ている。コンクリートにはチョークで絵を描いた後が残っている。
「ラムネ・・・一本だけ買えばよかったかしらね・・・?」
英梨々が呟くように言った。
「そんなことねぇーよ。俺はこの国好きだし」
「はぁ?何いってんのよ」
「日本(2本)が好きです」
「・・・はぁ・・・先が思いやられるわね・・・」
そう、この物語は俺と英梨々が結ばれてエッチするまでの長い旅路の記録だ
(了)