【R18】英梨々が処女卒業するまで終わらない話【画像付き】 作:きりぼー
すみませんでした・・・
とりあえず結婚式をするらしい。
結婚式をとりあえずしていいものなのかどうかはわからないが、プレウェディングというのはあるらしく、衣装を着て写真撮影などをあらかじめ済ませるものらしい。
そういうサービスをしている結婚式場もあり、実際に挙式や来客を呼ばなくても応じてくれる。費用もお手軽価格なので、それだけで済ませてしまう人もいるらしい。
「倫也、こっちのチャペルとこっちのチャペルどっちがいい?」
「こっちかなぁ・・・」
「ふ~ん・・・」
で、卒業旅行をなんとか無事に終えた俺と英梨々は、プレウェディングをすることに決め、今は結婚情報誌を読み漁っているところだ。
「これとこれなら?」
「こっちかな・・・」
「ふーん」
俺は英梨々に示された選択肢から、英梨々の好きそうな方を選ぶ。俺個人の趣味を反映させる気はしない。
「やっぱり自分で衣装作りたくなるわね」
「それは本番の時にでも頑張れよ」
「そうね」
で、なんでこんな急ピッチで進めているかというと、英梨々の誕生日まで1週間ほどしかないからだ。予約がとれるか心配だが平日や仏滅なら空いていることが多いらしい。
「やっぱりホテルが無難かしらねぇ」
「本番はその方がいいかもな」
「海外でやりたいのよねぇ」
「ふむ・・・」
「なんか実際いってみないとよくわからないわよね」
「見学申し込みもあるみたいだぞ」
「そんな時間ないでしょ」
「ふむ・・・」
自分の誕生日にエッチをしたい英梨々は、バージンでバージンロードを歩く夢をかなえるためにプレウィエディングをするらしい。まったく何にこだわりがあるのかよくわからないが、かくいう俺も誕生日までなんやかんやとギリギリで我慢しているので人のことはいえない。
「やっぱりコネ使うわ」
「潔いな」
英梨々がケータイを取り出して電話をかける。
「あっパパ?今ちょっといいかしら。・・・うん。この間の話なんだけど・・・うん。そう・・・
」
独断専行で進めているようで、両親とちゃんと相談しているのが英梨々である。俺の両親のように無関心ではない。
「わかった。そういうことでお願い。うん。バイバイ。愛してるパパ」
話がまとまって電話が終わった。会話が若干海外ドラマっぽいのはそういう文化圏が混じっているからだろう。
溺愛している愛娘が同棲始めたり、18歳で即結婚したりして大丈夫なのかと思うが、大丈夫らしい。相手が俺だからか、娘を信用しているからか、それとも最終的に自分達が出ればいいと思っているのかはわからない。
スペンサーおじさんにも、小百合さんにも、俺は気に入られていたので、まぁその全部なのだろう。遅かれ早かれというか、無事にくっついて良かったと思っているようだ。
「じゃあ、倫也行くわよ」
「どこへ?」
「ついてくればわかるわよ。用意も別にいらないわよ」
「都内?」
「んなわけないわよ」
しばらくして、インターフォンが鳴った。澤村家の執事さんで迎えに来たようだ。俺は状況を理解できないまま高級車に乗り込んだ。
※ ※ ※
現地は湖の畔にある結婚式場だった。まだ新しいというか、オープンしていない。建設中の箇所も散見する。
「倫也ここでいい?」
「俺はどこでもいいよ」
「そういう言い方はよくないわよ」
「ごめん。すごくいいと思う」
俺達が到着すると係の女性が迎えてくれた。とても綺麗な人だ。
その方が施設内を案内してくれた。チャペル、披露宴会場、ブーケトスをする庭園・・・
最初は場所と施設案内だけかと思ったが、そこで俺や英梨々がするべきことも説明してくれた。
最期に案内されたのが衣装部屋である。無数のドレスが用意されている。貸衣装だ。どれもまだ新品のようで、袋どころかダンボールにはいったままの物まである。男性用の燕尾服なども用意されているが、数は女性の半分にも満たない。
「では、ここからは別の係の物がご案内いたします」
そういって、館内を案内してくれた人がいなくなった。そして別の女性スタッフ2名が代わりに衣装選びを手伝ってくれた。
俺の服には選択肢などほとんどない。黒、白、グレーといった感じだ。多少刺繍や柄が入っているが、女性側の衣装に合わせることが多く後回しだ。
そういうわけで俺はサイズだけ計ったあとは、座って英梨々の衣装合わせを待つだけになった。適当に相槌をうつ。
実に3時間、ああでもない、こうでないと衣装を着ている。俺からはどの衣装も同じに見えてきた。黄色や水色のものもあるが圧倒的に純白が多いのだ。
そういうわけで、英梨々はシンプルなデザインのものと、華やかなで豪勢なデザインのものと、レトロなクラシックデザインのものを選んだ。
「3着?」
「さぁ?」
「さぁ・・・って」
「あとはこの人達に任せるわ。披露宴なんかだと衣装替えして色付きを着るのが慣例らしいし」
「それは施設側の商魂なんじゃ・・・」
「そういう狭い了見は口にしない方がいいわよ」
「ふむ・・・」
「じゃあ、撮影は明後日だからホテルにいきましょ」
「・・・おう」
3時間は長かったが、話は英梨々の方で進めてくれている。俺はもう隣に立つマネキンみたいなものなのだ。
外に出ると澤村家の執事さんはすでに帰っていて、代わりにタクシーが一台停まってまっていた。
車に乗り込むとすぐ近くのホテルへと案内された。歩いてもぜんぜん近い距離だった。
※ ※ ※
「そういうえばあの施設のパンフレットを貰えなかったな」
「はぁ?あんたバカなの?死ぬの?」
「なんでだよ・・・」
「明後日撮影するっていったでしょ」
「それは俺達のプレウィエディングのことだろ」
「あんた係の人の話を真面目に聞いてなかったでしょ?」
「ああ、すまん・・・」
「まったく・・・」
英梨々から何か説明があると思ったがなかった。
ホテルの部屋はスイートなのかかなり広くて豪華だ。湖が一望できて景観もいい。
レストランではフレンチのフルコースが出てきた。
「これが披露宴の時の食事なんですって」
「そうなのか・・・提携しているんだな」
「提携っていうか、ホテルも式場も同じ経営よ」
「なるほど・・・結婚式特化型なんだな」
「そんなところね。まったくこんなバブリーなもの作っても、需要なんてあるのかしらね」
「さぁ・・・」
自治体と連携した観光業の1つなのかもしれない。
料理は申し分なく美味しかった。ホテルの方は先行オープンしているのか、練習中なのかわからない。客らしき人はチラホラいるが、全室をオープンしているわけではなさそうだった。
部屋に戻ると台本が置いてあった。
「なんだこれ」
「明後日の撮影スケジュールでしょ」
英梨々が手にとってパラパラとめくって、それから興味なさそうにテーブルの上に置いた。
俺も手に取ってみてみたが、イメージ画やスタッフが撮影したらしい写真が載っていた。こういう感じで撮影が進むのだろう。
「わかった?」
「もしかしてだけど・・・俺らがモデルで撮影するのか?」
「そうよ」
「この施設の宣伝に?」
「そうよ。やっとわかった?」
「・・・英梨々はともかく、俺でいいのかよ・・・」
「別に他のモデルや俳優を用意してもいいわよ?」
「・・・くっ」
「別にアップで写るわけじゃないし、倫也でも問題ないわよ。あたしが小柄だから、あんまり背の高いモデルでも困るし」
「ふむ・・・」
「少しは自信持ちなさいよね」
この施設の宣伝用パンフレット撮影のモデルを英梨々が引き受けたらしい。スペンサーおじさんが手をあらかじめ回しておいてくれたのだろう。どこまでも千里眼の人である。俺が何を選ぼうが全部手の内だろう。余計なことはしないに限る。
その日の夜は、ひさびさに場所が変わってテンションが上がったが、英梨々がダメな日に入ってしまったのでお預けである。静かな夜を過ごした。
「あと少しなんだから、我慢しなさいよね」と笑っている。
※ ※ ※
ウェディングドレスの英梨々は綺麗だった(小並感)。俺もなれない衣装を着たがそこそこ様になっているな気がする。散髪からメイクまでぜんぶやってくれた。撮影スタッフはたくさんいた。
面白いのはスペンサーおじさんや小百合さんも駆けつけたことだ。澤村家の執事やメイドさんもいる。エキストラ役も兼ねているらしいことがわかった。
衣装チェンジをしながら、本番さながらに進行していくが順番はバラバラである。天気の都合もあり、屋外での撮影やブーケトスが先に行われた。
それから披露宴会場でのイベント撮影が行われた。フレンチのショートコースがみんなに振舞われる。女性の司会者がいて、いつのまにか俺と英梨々の子供時代の写真がスクリーンに流され紹介される。
これでは本番のようではないか。雰囲気作りも大事なのだろうけど妙に凝っている。数々のエピソードが紹介され、会場には笑顔が溢れる。英梨々の絵画などは錚々たる賞の連続なのだが、そこが割愛されているあたりが余裕を感じる。俺とのバランスを考えたのだろう。俺は有名大学へ進学する神童として扱われているた。
英梨々が隣で笑ってみている。どうも大仰な文からさっするに、脚本は詩羽先輩だろう。
「新婦の英梨々さんは新郎倫也さんの好きなところを、『優しいところ』また、『なんだかんだで頼れるところ』とお答えになっています」
なんて無難な解答だろう。というか撮影にここまで必要なのだろうか?確かにさっきから動画も含めてカメラマンも多いので普通ではないのがわかるが。
「新郎の倫也さんは新婦英梨々さんの好きなところは、『容姿』『絵が上手い』『声も可愛いところ』とほめちぎってます」
アンケートに答えたことないし、捏造されているんだが?しかし会場からはしっかりと笑いもとれている。
衣装替えが行われ、披露宴の山場ともいえる新婦からお父さんへ読む手紙の時間になった。
撮影だから、場慣れしているかわからないがスペンサーおじさんは余裕である。一方英梨々は不敵な笑みを浮かべていた。
手紙を取り出した。そして読み始める。
「パパへ」
英梨々が大きく息を吐き出した。撮影なのでアルコールが提供されていない。会場の誰もが素面だ。真剣に耳を傾ける。
「今日まで18年間、大切に育ててくれて本当にありがとうございました。小さいころから、あたしは絵を描くことが大好きでした。パパは、私が白い紙いっぱいに描いた絵を、いつも『上手だね、うちの子は天才だ!』と笑顔で大袈裟に褒めてくれました。あたしが『将来は絵の道に進みたい』と言ったときも、反対せずに私の夢を応援してくれました。春からは美術大学への進学が決まり、大好きな絵をさらに深く学べる環境をくれたこと、本当に感謝しています。そんなあたしが、18歳という若さで結婚を決めたとき、パパはとても驚いたと思います。まだ学生なのに、早すぎるのではないかと心配もたくさんかけました。でも、お相手が幼馴染の倫也さんだからこそ、あたしはこの決断をすることができました。倫也さんとは、小さなころからずっと一緒に育ってきました。私の良いところも、少しわがままなところも、ポンコツなところもすべて知っている幼馴染です。パパもよく知っている倫也さんだからこそ、私はこれからの大学生活も、新しい家庭も、ふたりで支え合って歩んでいけると信じています。お父さんが今まで私にたくさんの愛情を注いでくれたように、これからは倫也さんと温かい家庭を築いていきます。そして、美大でしっかりと学び、お父さんが誇れるような絵をこれからもたくさん描いていきます。お父さん、今まで本当にありがとうございました。そして、これからもずっと、私の見守り役でいてください。倫也さんとふたりで、幸せになります。英梨々より」
英梨々の手紙に、さすがのスペンサーおじさんもポーカーフェースを崩して涙ぐんでしまった。英梨々も感情が入りすぎたか涙ぐんでいる。四方からの撮影がなければ名場面なのだが、撮影があまりにも過度でいささか演技じみている気がしなくもない。
ここで披露宴の終了になった。余興とか、父親からの挨拶はなかった。食事もデザートが出てちょうどいい。
「娘にやられたよ・・・」とスペンサーおじさんは照れながら席について談笑にもどった。
しかし、これだけのイベントをこなすと本番でどうするのだろう?と思わなくもないが、その時はその時なのだろう。英梨々の手紙も定型的といえば定型的なのだ。
※ ※ ※
チャペルではクラシカルな結婚行進曲が生演奏のピアノで流れた。扉が開き、スペンサーおじさんに連れられて英梨々がバージンロードを歩いてくる。
さっきとまた違う純白の衣装を着ていた。
神父さんの前で、俺に受け渡される。
そして結婚の宣誓をする。指輪の交換もした。何もかも用意されたシナリオ通りだ。
「皆様、お待たせしました。それでは新郎新婦による誓いのキスを」
拍手が鳴る。
「おい・・・」
「台本に書いてあったでしょ」
「・・・」
いままでお飾りだった俺に注目が集まる。心臓がバクバクする。キスならもう数えきれないぐらいしている。
英梨々のウェディングベールを上にあげた。人前というのは恥ずかしい。
「愛している」
「あたしも愛しているわ」
このセリフは誰かが拾うのだろうか?物々しい撮影機材で撮っているから拾うのだろうな。これがこの施設の案内動画になるなら、なかなか恥ずかしいものがある。
覚悟をきめて、キスをする。エロさゼロ。緊張MAX。
歓声が沸きあがり、拍手が鳴り響く。俺は照れ臭い。
何がひどいって、英梨々が衣装替えをして、このチャペルの流れを3回もしたことだ。エキストラの皆様に申し訳ない。許可したスペンサーおじさんと小百合さんには頭が下がる。
バカ嫁でごめんと謝りたいが、バカ娘に育てたのだからしょうがないな。
(了)
【あとがき】
2020年12月頃から開始した英梨々の物語はここでいったん終わり
40話で初夜を書くのは野暮でしょう
2人のことはもう放っておいても良いのかなと思います
こういうのがハッピーエンドですよっていう押し付けよりは、学生時代を処女のままループしている方が英梨々っぽいかと
英梨々のイデアを育てるという当初の目的でいえば達成されている気がします
もう流石に恵に譲ることもないでしょう
長い間ありがとうございました