【R18】英梨々が処女卒業するまで終わらない話【画像付き】 作:きりぼー
ツンデレは遠回りにギャピギャピ言っているのが魅力なので
こういうラブラブモードは持ち味を失いますね
原作を知っていて、自分の作品は今作が初めてという方には違和感がすごそうです
屋上のおでこチュー以来、キスが解禁されてお互いにキスをするようになった。英梨々も俺のおでこにチューをするし、ほっぺたとか、耳への甘噛みとか、首元とか、お互いになんやかんやとチューをしている。
そう、ラブラブ期に突入してきているのだ。
そんな風に毎日チューをして5月がそろそろが終わろうとしていた。ゴールデンウイーク中の俺と英梨々の登校が目撃されて、付き合っている説が噂になったようだが今は沈静化している。
俺と英梨々が幼馴染なのは隠していないし、家が近いのも少しは知られているからだ。学校が再開してから再び別行動をすれば噂がなくなるのも当然だろう。
英梨々としても新しい関係を学校内に知れ渡るよりは、今まで通りの方が楽だと気が付いたようだ。周りに俺を自慢するという承認欲求もないし、自己完結する性格なので家の中でイチャイチャできればそれで充分のようだ。
俺はもう少し事情が込み入っている。英梨々を彼女として自慢できれば気分はいいかもしれないが、いらぬ嫉妬を受けるのは明かだ。思い返せば小学生の時に英梨々と仲良くしすぎた反動でいじめられた気もする。
平穏が一番。
学校での人間関係で苦労した俺と英梨々の共通の認識かもしれない。
※ ※ ※
いつものように学校帰りにうちに寄った英梨々が妙に機嫌が良い。
「ねぇねぇ倫也~、秘密にしなくてもよくない?」
さて、早々と俺と英梨々の認識のずれを謝罪しよう。英梨々が手のひらをクルクル回転させたのには理由がある。中間考査が終わったのだ。
進学校にとって成績というのはとても大事だ。部活で表彰を受ければ一過性的に話題になるが、学校の成績は次の発表まで意識される。
俺の成績が総合ベスト10に入って、少しだけでかい文字で玄関先に貼り出されていれば嫌でも目立つ。下にある個別の成績発表でも当然チラホラと上位にランクインした。
俺を特進クラスにねじ込んでくれた先生も顔が立って喜んでくれた。クラスメイトも今までノーマークだった俺がいきなりランクインしてきて驚いている。これからは先生方からも一目置かれるようになるだろう。
英梨々が朝から成績発表を見上げてニヤニヤしていたわけだから、さぞかし気分がいいのだろう。自分の成績をもう少し頑張れと言いたいが、大学の進学先がほぼ決まっている英梨々には関係に乏しいのでしょうがない。
「ねぇねぇ、どう思う?」
「もう少し様子をみてもいいんじゃないか・・・なんかメリットがあるわけでもないだろ」
「そうでもないわよ。釣り合いとしてもいいんじゃないかしら?勉強ができるとモテるんだっていい励みにもなるだろうし」
「周りに励まれたら困るんだが」
「ケチくさいわね」
それにしても人というのはいろんな尺度で優劣を決めるものだが、美少女というのはそれだけで絶対的な価値をもっているのだと改めて思わされる。英梨々は勉強に力をいれていないが、創作活動には手を抜かないし、才能に努力を積み重ねている。その点では特技のない美少女候とは大きく違うのはわかっている。しかし、それらの才能は普通の人からみると美少女の付属品みたいな価値しかないらしい。
英梨々から釣り合いがとれると言われると不思議な気分にもなる。進学校の成績上位者は将来のエリート候補生でもある。要するにモテる要素になる。
だからといって自分の方が価値があるかといえば、そんな気はさらさらしないわけで・・・
そんなつまらないことをぐるぐると頭の中で考える。何か釈然としないのだ。
「うーん・・・」
「なに難しい顔しているのよ」
「いやさ、成績上位者だからどうこうじゃなくってだな・・・」
「別にいいわよ。言ってみただけだから」
「すまん」
考えをもう少し整理させてから英梨々に説明しようと思った。
「それはそれとして、せっかく頑張ったんだし彼女としてご褒美を何かあげるわよ」
「ふむふむ、それは楽しみだな」
「何がいいかしら?」
「何か考えておくよ」
英梨々がベッドの上でペタンと女の子座りをしていると可憐で可愛い。じゃあ押し倒したくなるかというと、そんな気はあまり起きない。昔から一緒にいるせいだろう。男女の関係に発展するのはまだまだ時間がかかりそうだなと思う。
「やっぱりチューかしら?」
さて、いつもチューするようになってもなぜか唇でのチューをしていない。だいたい場所が悪いのか、時間が悪いのか、節度をもっているからなのか、それら全部なのか。
例えばこうして俺の部屋でのんびりしている時はチューをしない。だいたい玄関から出る時が多い。けじめがつくからだと思う。多いのは英梨々の家へ送っていくときの小さな公園でだ。
「うーん。その場合はやっぱり場所と時間を決めてしまうのがいいんだろうか?」
「でもデートはしないんでしょ」
「しないのではなくて、できない。図書館デートだってキスとはなんか違うだろ」
「それは倫也がヘタレなのが問題なんじゃないかしら?」
「どういうことだ?」
「あんたがあたしを押し倒すつもりがないからよ。例えば今ここでキスしてもいいのにキスしないわけでしょ」
「それは暗黙の了解的なものじゃないのかよ・・・」
「そうよ。分かってるわよ。倫也がそういうことをしないのも、そういう信頼関係を大事にしていることも、それが微妙な理性の上に成り立っていることも」
「ふむ・・・」
恋人同士がいずれ結ばれるなら、その距離は徐々に近づけていくべきだと思う。
すでにどこかが複雑に絡み合ってしまっている俺と英梨々は、その距離感がわからなくなっているのかもしれない。
もっと露骨に俺の性欲でいうなら、詩羽先輩や加藤には邪な感情が芽生えたものだ。まぁあの二人は胸が大きいし、プロポーションがいいからかもしれないが。同じくスタイル抜群の美智留になると従姉妹なだけにやはり性的な対象としては遠い気がする。
出海ちゃんはどうだろうか?彼女が小学生の時から知っているが引っ越しで一度離れて、再開した時に雰囲気が変わったことも大きいと思う。やっぱりスタイルもいい。欲情するわけではないが二人でいる時間にはドキドキしてしまう。
その点で英梨々はやっぱり特殊なのだ。幼馴染のカップルがなかなか成立しないのも分かる気がする。幼稚園の時の印象がそのまま残っている。
「わかった英梨々。キスしよう」
「だが、断る」
「待て。今すぐにではない。節度をもってキス出来る時にキスをしよう」
「変なのぉ」
「変かもしれないけど、俺の部屋はやっぱりまずいと思う」
「キスしたら押し倒してくるとも思えないけど」
「それはそうかもしれないがな・・・こっちだっていろんな事情が発生するだろ」
「悶々とするのかしら?」
「あのなぁ・・・もう少し女としての自覚をもてよ・・・」
「もってるから色気を出したり、挑発したりはしてないでしょ」
「ふむ・・・ごもっともだな」
「ちゃんとストイックにプラトニックな恋愛をしているわよね」
「そうだな・・・」
エロ同人を一緒に作ったり、エロ動画を観て研究しているのをストイックとかプラトニックといっていいのかは審議が必要かもしれない。
「あたしとしてはね、もうそんなにファーストキスにはこだわりもないのよ。場所が違うだけじゃないの」
「それって一大事だろ」
「そりゃ倫也がいきなりクンニしたいって性器を舐めてくるなら話しは別よ?でも唇でしょ?」
「だからそういうセリフをだな・・・突然言われると混乱するんだぞ」
「いつも漫画描いている時に出てくるようなセリフでしょ」
「漫画と俺らの関係は違うだろ」
「わかったわよ。そういうところがめんどくさいのよね・・・」
「・・・」
「ふん」
来た時は機嫌のよかった英梨々の機嫌が少し斜めになった。
「今日の夕方。日が沈んだら散歩しようぜ。そこでキスしてもらう」
「ふーん・・・」
「ロマンティックな雰囲気を作れなくて悪いな」
「別に・・・」
話しが一段落ついたので俺は勉強にとりかかり、英梨々は不満そうにベッドの上でゴロゴロしながらラノベを読み始めた。
俺が勉強机に向かう。背中側にはラックが置いてありフィギュアやプラモが飾ってある。ベッドはその向こう側にあるので、英梨々からラック越しに俺を見る事ができる。俺が振り返れば英梨々の寝ころんでいる後ろ姿見えるはずだ。
時々振り返るのだが、スカートからは綺麗な長い脚が伸びているものの、スカートの中身は確認できない。この絶妙な角度。
そういえば英梨々のパンチラなんて小学生以来見ていない気がする。だとすると相当ガードが固いともいえるだろう。これだけ一緒にいるのだから。
※ ※ ※
5時のチャイムが鳴っても外はまだ明るかった。日が長くなってきている。
英梨々の屋敷まで坂道を手をつないで歩く。途中に小さな公園がある。今日はそこへは立ち寄らずに歩く。この坂道は私道であって車両通行止めになっている。坂の入り口付近にはポールが立っていてチェーンもかけてある。
英梨々の屋敷でパーティーがある時には、この私道が駐車場代わりになって高級車が何台も連なって停まることがある。
赤い屋根の洋館が一番上というわけではなく、さらに上り坂は続いている。商店街を抜けてから見上げるとこの赤い屋根の屋敷が目に入る。目立っているので街の象徴的な存在ではあるが、実際は中腹あたりに位置していて上にはさらなる名家が存在する。
今日は英梨々と一緒にさらに上へと向かった。
ここからは道路が一車線分の幅になる。電線などのインフラは地中に埋まっているし、道路は石畳に舗装されているのでかなり趣がある。道の両脇は緑も多い。家が何件も連ねているわけではなく、塀のある大きな屋敷がいくつかあるだけで、どの家も庭がやたらと広い。
ここだけ江戸時代のような情緒が残っている。衛星写真でみると小高い緑色の丘が映っているようにしか見えない。拡大してかろうじて屋敷の屋根がいくつか見える。一番目立つのはやはり赤い屋根の洋館だ。
これだけのものが現在も残っているのは不思議な感じがするが、住んでいる人もやはりそれなりの人で元総理大臣の屋敷も存在する。このような聖域は東京だけでなく日本の各地に存在するらしい。
緑色が濃くなってきて初夏の様相を呈してきている。
「ふぁぁ~」
英梨々がぼんやりとアクビをした。だいぶリラックスしているのだろう。散歩するには温度も湿度もちょうどいい。静かでのんびりとした夕方だ。
やがて頂上付近に着く。ここには屋敷は存在しないで『緑地』と呼ばれる場所がある。公園のようなものだが公園のような整備はされていない。道路をそのまま歩くと下り坂になる。こちら側は車道が整備されておらず歩道だけになり、レトロな石の階段もある。
居住区としては超高級で価格のつくようなものではないらしいが、当事者としては不便な場所らしい。もっともどの家も運転手付きの車やタクシーを利用する生活水準なので庶民の感覚で考えるのはおかしいだろう。
この頂上の緑地へ行くには脇道に入る必要がある。あまり入口は目立たないので初見ではわからないだろう。もちろん案内標識などもない。
一人がやっと通ことのできる狭い石の階段があり、そこを少し上る。すると飛び石の歩道になる。特に何があるというわけではない。ぽっかりと空いた広場につながっている。そんなに広いわけではなく、下の小さな公園と同じぐらいだろうか。芝生のように管理されてもいない。雑草と誰かが植えた花と外来種の花が適当に咲いている。木々に囲まれていて、放置された空地のようにも見える。家が建つ束の間の間こんな感じになっているのときどき見かける。
「ここは一体何なのかしらね・・・」
「昔からこうらしいぞ・・・私有地だけど有効活用よりも環境保全みたいな感じなのだろう」
「これが環境保全なのかしら・・・」
「時々は草刈りがされているから、雑木林みたいにはなっていないだろ」
「しかも丘の上なのに街を見下ろせないのよね・・・木に囲まれているし、柵もあるし」
「だからこそ、そのまま残っているんだろうな。でもな、虫にとっては中々の楽園だと思うぞ。鳥もいるし」
「屋敷の中だと日本庭園なんかもあるけど、ここはそういうのとは違うわけよね」
「人工的な美しさとは違うよな・・・」
「やっぱりよくわからないわね」
「年を取ったら良さがわかるようになるかもしれん」
「そんなもんかしら」
東屋でも建っててくれたら休憩ができるのだが、ベンチ1つすらない。小学生の時の自由研究はここですませた。蟻の観察でも、カタツムリでも、カマキリでも、けっこういろいろ生きているのだ。もちろん夏本番になれば蝉でうるさくなる。カブト虫もいると思うのだが、それはなかなか見つけられない。
そう思い返してみると、子供頃からダンゴムシの好きだった俺には良い遊び場所だった。人があまりこないのもポイントが高い。
「そういうわけで英梨々・・・」
「ここでするわけ?」
「いまいち日が沈んでないが」
「あんたと違ってあたしはここにはあまり思い入れがないんだけど」
「だったら尚の事いいじゃないか」
「・・・」
「不服そうだな」
「倫也の中で、蟻とか、でんでん虫とか、蝉とか、カブトムシ虫と同列になるんだなぁと思って」
「そんなことないぞ!?」
「でも、ほんと場所なんて探していたらいつまでたってもキスできなそうだもん。しょうがないんでしょうね」
「本末転倒みたいになっているしな」
「まったく・・・」
とにかく俺も英梨々もチューをしたいのだ。
場所なんてどこでもいい。ただその後に発展してはまだダメだと勝手に思っているからややこしいだけで。
「じぃぃ・・・」
「目をつぶれよ」
「いやよ。倫也がどんな風にキスしてくるか見ているの」
「無理だろ!?」
「無理ならそのまま暗くなるまで立ってなさいよ。虫に刺されても知らないわよ」
では英梨々の期待に応えようと思う。日が思ったよりも陰っていて金色の髪はそんなに輝いていない。少しオレンジ色に見えるから空の青さ以上に赤い光が射しているのだろう。
「じゃあ、俺も目を開けたままだからな」
「勝手にどうぞ」
英梨々の両肩の上に手をのせる。それから少し横にずらして腕をもってみる。やっぱり後ろ側に手を回すか?
「早くしなさいよ」
「口ではそういっているが、だいぶ顔が真っ赤だぞ」
「あんたほどじゃないと思うわよ・・・
心臓の鼓動が激しくなってきた。
キスをするだけでもこんなに大変なのに、いつかエッチとかできるんだろうか?
「まずは・・・」
『チュッ』
おでこにキスをする。それからおでことおでこをコツンとくっつける。離れてから鼻の頭にキスをする。
英梨々の口元がニヤニヤしている。こっちは結構真剣なんだけど。
濃いサファイヤブルーの瞳には俺が映っている。鼻の下が伸びてないだろうか。そんなにイケメンってわけでもないので気にしてもしょうがないな。
英梨々はじっと黙っている。
上唇の当たりにそっと触れるようにキスをした。キスに音なんてしない。風で揺れる木々の音がする。草の匂いが妙に強い。
そっと離れて、英梨々を見つめる。
「どう?」
「えっ?・・・うん」
英梨々が固まっていた。
「もう一回」
「・・・うん」
今度はちゃんと顔を斜めにして、唇に唇が重なるようにキスをした。英梨々の方が口が小さいし、唇も薄い。透明リップでも塗っているのかくっつくような感触があった。
呼吸を止める。何かを頭のなかでグルグル考えているようだけど、意識にのぼっているのは数字だけで、バカみたいに10まで数えた。
「ぷはっ・・・」
「はははっ」
英梨々も息を止めていた。
「ふん。まぁまぁね」
「悪くないなら良かった」
「じゃあ次ね」
英梨々が一歩前に近づいた。俺を見上げるようにして、腕を首の後ろに回してきた。
「もう少し膝曲げなさいよ」
俺が膝を曲げる。英梨々は背伸びを少しする。ぎこちなく英梨々からキスをしてきた。
風の流れなのか英梨々の髪の香りが鼻をくすぐった。英梨々の唇が柔らかい。
『チュッ』
と、英梨々が離れる時に俺の下唇を甘噛みするようにして音を出した。
「くはっ・・・」
「ふふん」
何をそんなに得意げなドヤ顔をしているのかわからんが、頭がいい加減のぼせてきてクラクラする。
「ふぅ・・・」
「ふぅ・・・」
お互いに深く息を吐いた。
『ぷぅ~~ン』
小さな虫が飛んできて、そろそろやめておけと教えてくれる。
「そろそろ戻るか」
英梨々は返事をしないで、小さくうなずくだけだった。
(了)