進め!アシスタント道 作:ろくりん
タワーマンションの厚いガラス窓に、真冬の冷たい雨が叩きつけていた。
空調によって一定の温度が保たれているはずの秦谷ヒナの作業部屋は、今や酸素が極端に薄くなっているかのような、重く淀んだ空気に支配されていた。数台のパソコンが発する低い駆動音だけが、墓場のように静まり返った部屋の中で虚しく響き続けている。
総ページ数100ページという、冬コミに向けた前人未到の無茶ぶりから、さらに数日が経過していた。
葛城ヨウのデスク周りには、カフェインが大量に含まれたエナジードリンクの空き缶が、無残なジェンガのように積み上げられている。ヨウは血走って真っ赤に充血した目を見開き、液晶タブレットの画面を睨みつけていた。
手首はすでに腱鞘炎の一歩手前まで来ており、ペンを握る指先は微かに痙攣している。ブラック企業時代に三徹で資料を作らされた時でさえ、ここまで脳の芯が痺れるような疲労を感じたことはなかった。しかし、今のヨウを突き動かしているのは、会社への恐怖ではなく、自分が関わった作品を世に出したいというアシスタントとしての意地と、極上の美少女たちへの奉仕精神だけだった。
「……葛城さん、そこ、スクリーントーンの指定、間違っていませんか」
不意に、背後から幽鬼のような声が響いた。
ヨウがビクッと肩を揺らして振り返ると、メインデスクに向かっていたはずのヒナが、幽霊のようにふらふらと立ち上がっているところだった。
普段は隙一つなく完璧にセットされている彼女の艶やかな黒髪は、今は無造作に乱れ、寝癖がいくつも跳ねている。透き通るように白い肌は血の気を失い、目の下にははっきりと濃いクマが刻まれていた。着ている白い長袖のブラウスにはインクの染みが飛び、一番上のボタンが外れてだらしなく開いている。
クールでストイックな天才女子高生作家の、かつて見たことのないほどに乱れた姿。
「あ、すみません。すぐに直します」
ヨウが慌ててショートカットキーを叩き、指定されたトーンを貼り直す。しかし、ヒナはヨウの修正を確認することなく、その場にふらりとよろめき、ヨウの座っているオフィスチェアの背もたれに手をついた。
「先生、大丈夫ですか。顔色、真っ青ですよ」
ヨウが心配して声をかけると、ヒナはコクンと首を縦に振ろうとして、そのままガクンと顎を下方に落とした。まるで糸の切れた操り人形のように、一瞬だけ完全に意識が飛んだのだ。
「ヒナ先生っ」
「……大丈夫です。ただ、少し、瞼が……重くて」
ヒナはハッと目を見開き、自身の頬をペチペチと軽く叩いた。しかし、その動きには全く生気がなく、今にも床に崩れ落ちてしまいそうだった。
人間の体力と集中力には、どれだけ精神力でカバーしようとも、必ず物理的な限界が存在する。100ページという暴力的なまでの作業量は、ついにこのサークルの絶対的君主であるヒナの脳に、強制的なシャットダウンを要求し始めていたのだ。
「先生、さすがに限界です。数時間でもいいから、仮眠を取りましょう。今ならまだ間に合います」
ヨウが真剣な声で提案する。
隣のマットレスでは、後輩アシスタントの早坂ユイが、ペンを握りしめたまま完全に気絶するように眠りこけている。彼女の豊かな胸が、規則正しい呼吸に合わせてゆっくりと上下に動くのだけが、唯一の生命反応だった。
しかし、ヒナはヨウの仮眠の提案に対し、力なく、しかし絶対に譲らないという強い意志を込めて首を横に振った。
「ダメです。ここで仮眠を取れば、極限まで高めてきた作画のペースと、脳内のインスピレーションの流れが完全に途切れてしまいます。一度切れた集中力を再びトップギアに戻すには、さらに莫大なエネルギーが必要になる。今は、絶対に立ち止まれません」
ヒナのクリエイターとしての狂気が、肉体の悲鳴を無理やりにねじ伏せようとしている。
「でも、先生の手、さっきから全然動いてないじゃないですか。眠気を我慢して描いたって、線のクオリティが下がるだけですよ」
「わかっています。だからこそ……強引にでも脳を覚醒させ、作業効率を極限まで引き上げる必要があるのです」
ヒナは重い息を吐きながら、ゆっくりとヨウの横へと回り込んできた。
その黒曜石のような瞳の奥底に、消えかけていた狂気の炎が再び、より一層強く、そして淫らに灯るのを、ヨウははっきりと見た。
「限界突破のための、特殊なドーピングを行います」
「ド、ドーピングって……まさか、危ない薬とかじゃないですよね」
ヨウが後ずさろうとすると、ヒナはヨウの太ももの間に滑り込むようにして、床にスッと両膝をついた。
「市販のカフェインやエナジードリンクは、もう私の身体に耐性ができてしまって全く効きません。今、私の脳が必要としているのは、もっと直接的で、本能に訴えかける強烈な刺激です。例えば……高濃度のタンパク質と、テストステロン、そして何より、極上の快感がもたらす脳内麻薬の分泌」
ヒナはそう言うが早いか、震える白い指先をヨウのズボンのベルトへと伸ばした。
「えっ、ちょ、先生。今からですか。俺、もう体力も精力もすっからかんなんですけど」
連日の過酷な原稿作業と、その合間にご褒美という名目で繰り返されてきた激しいえっち。ヨウの下半身は、完全に弾薬を撃ち尽くした後の焼け野原のような状態だった。
「黙って、私にすべてを委ねてください。これは私の作品を完成させるための、絶対に必要な儀式なんです」
ヒナはヨウの制止を完全に無視し、手慣れた動作でベルトのバックルを外し、ファスナーを一気に引きずり下ろした。そして、ヨウのボクサーパンツのゴムを押し下げ、その中に眠る分身を外の空気へと晒した。
疲労困憊のヨウの分身は、普段の猛々しい姿からは想像もつかないほどに萎びて、情けなくうなだれていた。
「……見事なまでに疲弊していますね。ですが、心配はいりません。私が必ず、あなたの本能を呼び覚ましてみせます」
ヒナは薄く桜色の唇をゆっくりと開き、ヨウの萎びた分身に、自らの温かい口腔をそっと被せた。
「ひゃうっ」
ヨウの口から、情けない悲鳴が漏れた。
ヒナの口の中は信じられないほど熱く、そして、極限の疲労状態にある彼女の唾液は、いつも以上にねっとりとした粘度を持っていた。
ヒナは目を閉じ、まるで貴重な栄養素を味わうかのように、舌先を器用に使ってヨウの先端をゆっくりと、そして執拗に舐め回し始めた。
んちゅ、れろっ、じゅるるっ。
静まり返った作業部屋に、唾液が絡み合う卑猥な水音だけが、異常に大きく響き渡る。
「せ、先生……ダメです、俺、全然反応しない。疲労で感覚が麻痺してて」
ヨウが椅子の上でもがきながら言うが、ヒナは決して口を離そうとはしなかった。
むしろ、ヒナは自らの眠気と闘うように、両手でヨウの太ももをガッチリとホールドし、さらに深く、根元まで一気に分身を咥え込んだのだ。
「んぶっ……じゅぼっ……れろぉ」
ヒナの滑らかな舌が、裏筋の最も敏感なラインをなぞり、頬をこけさせて強烈な吸引力で吸い上げる。喉の奥の柔らかな粘膜が、ヨウの急所をギュッと優しく、しかし確かな意志を持って締め付けてくる。
疲労で眠っていたはずのヨウの神経細胞が、ヒナの神業のような舌技によって、強制的に叩き起こされていくのを感じた。
「うおっ……。先生、待って、それ、めちゃくちゃ効く」
どんなに疲労困憊であろうとも、健康な成人男性の肉体は、大好きな極上の美少女による献身的な奉仕を前にして、沈黙を保ち続けることなど不可能だった。
萎びていたヨウの分身に、ドクン、ドクンと血液が送り込まれ始める。それはゆっくりと、しかし確実に熱を帯び、自らの質量を取り戻して膨張を開始した。
「んちゅっ……じゅるる……素晴らしいです、葛城さん。あなたの熱が、私の口の中に直接伝わってきます。もっと……もっと大きく、硬くなって」
ヒナは口の端から銀色の糸を引きながら、くぐもった声で囁く。その瞳は完全に座っており、睡眠不足によるトランス状態と、性的な興奮が完全に混ざり合った、狂気的で妖艶な光を放っていた。
「ああっ……先生の舌、すごく熱い。吸い付きが、いつもより激しいです」
「私の限界を突破するためには、あなたのその中に溜まっている、濃密なエッセンスが必要です。全部……一滴残らず、私に飲ませてっ」
ヒナの顔の動きが、徐々に速度を増していく。
ズボッ、ズボッ、ジュルルルルッ。
激しいピストンに合わせて、ヒナの黒髪が揺れ、彼女の吐き出す熱い呼気がヨウの下腹部に直接吹き付けられる。
脳の芯にこびりついていた疲労感が、強烈な快感の波によって強制的に洗い流され、代わりに真っ白なドーパミンが視界を埋め尽くそうとしていた。
「んんっ……なんか、すっごいえっちな音、する……」
隣のマットレスで気絶していたユイが、ヒナの激しいフェラ音に反応して、薄く目を開けた。
彼女は寝ぼけ眼でヨウのデスクの下を覗き込み、そこで繰り広げられている光景に、小さく息を呑んだ。
「あはっ……先生、アッシーくんのおちんちん、すごい勢いでしゃぶってる。私のおっぱいより、そっちの方が効くのかな……」
ユイは身体を起こす気力すらないらしく、横になったまま、自らのキャミソールの胸元に手を入れ、豊かな胸を揉みしだきながら、うっとりとした表情で二人の行為を鑑賞し始めた。
ユイに見られているという羞恥心と、ヒナの常軌を逸した必死な奉仕。
ヨウの男性ホルモンは限界を突破し、全身の筋肉が快感を求めてピクピクと痙攣を開始した。
「先生、俺、もう無理です。これ以上吸われたら、本当におかしくなるっ」
「おかしくなってくださいっ。私に、あなたの限界をすべてぶつけてっ」
ヒナはヨウの制止を聞き入れるどころか、さらに深くヨウの分身を喉の奥まで突き入れ、窒息しそうな勢いで強く吸い付いた。
「うおぉぉぉぉっ」
ヨウは椅子から腰を浮かせ、渾身の力を込めて絶叫した。
もう一滴も残っていないと思っていたはずの身体の奥底から、最後のエネルギーが絞り出され、熱く濃密な白濁液となってヒナの口腔内へと怒涛の勢いで解き放たれた。
ドクン、ドクンと脈打つたびに、生命の熱がヒナの奥へと注ぎ込まれていく。
「んぐっ、こくっ、んごきゅっ」
ヒナはヨウの分身を深く咥え込んだまま、その熱い液体を一滴たりとも逃さぬよう、喉を大きく鳴らしてすべてを飲み込んでいった。
永遠にも感じられる放出の時間が過ぎ去り、ヨウは完全に精魂尽き果てて、椅子の背もたれに崩れ落ちた。全身から汗が噴き出し、肩で激しく息をするのがやっとだった。
「……はぁ、はぁ……」
ヒナはゆっくりとヨウの分身を口から解放し、床に膝をついたまま、深く、長い息を吐き出した。
彼女の口元からは、飲みきれなかった白い液体がツツーッと顎を伝って垂れ落ちている。彼女は手の甲でそれを無造作に拭い取り、ゆっくりと顔を上げた。
その瞬間、ヨウは自らの目を疑った。
先ほどまで死人のように虚ろだったヒナの瞳に、強烈な光が戻っていたのだ。充血は嘘のように引き、肌にはうっすらと赤みが差し、生命力に満ち溢れている。
「……素晴らしい。これは想像以上の効果です」
ヒナは自らの手を見つめ、指先を何度か開閉して感覚を確かめている。
「葛城さんの濃密なテストステロンと、極上の快感がもたらしたドーパミンの大量分泌。私の脳細胞が、かつてないほどのクリアさで覚醒していくのがわかります。眠気など、完全に吹き飛びました」
ヒナはそう言うと、立ち上がって自らのタイトスカートのシワを伸ばし、一直線にメインデスクへと向かった。
そして、椅子に座るなり、凄まじい勢いでペンタブレットを握りしめ、画面に向かって猛然と線を引き始めたのだ。
カチャカチャカチャッ、シャシャシャシャシャッ。
先ほどまで完全に止まっていたはずのペンの動きが、残像が見えるほどの速度で画面を走り回っている。迷いのないストローク、的確なトーンの配置。ヒナのクリエイターとしての能力が、強制的なドーピングによって限界を超え、覚醒状態に突入していた。
「すっご……。先生、さっきまで死にそうだったのに、サイボーグみたいに動いてる」
マットレスの上のユイも、その異常な復活劇に目を見張っている。
「これが、私の限界突破です。葛城さん、あなたの提供してくれたエネルギー、無駄にはしません。この勢いで、残りの下書きを一気に終わらせます」
ヒナは画面から一切目を離すことなく、狂気を孕んだ声で宣言した。
ヨウは、完全に虚脱状態の下半身をボクサーパンツに収めながら、ただただその光景を呆然と見つめるしかなかった。
美少女作家の底知れぬ執念と、原稿に対する狂気。そのエネルギー源として自分が消費されたという事実が、恐ろしくもあり、同時にたまらなく悦ばしくもあった。
「……俺も、少し休んだらすぐに作業に戻りますよ」
ヨウがかすれた声で言うと、ヒナはペンの動きを止めずに、短く答えた。
「ええ。ですが、このドーピング効果がいつまで続くかはわかりません。もし再び脳の処理速度が低下した場合は、容赦なく追加の投与を要求します。葛城さんは、常に精力を充填しておいてください」
「えっ」
ヨウの背筋に、冷たい汗が流れた。
「追加の投与って、先生、俺、もう本当の本当に空っぽですよ」
「人間の身体は、極限状態に置かれれば必ず新たなエネルギーを生み出します。あなたならできます。アシスタントとしての誇りにかけて、私の筆を止めさせないでください」
それは、悪魔の宣告だった。
冬コミまでの残された数日間、ヨウはヒナの作画ペースが落ちるたびに、机の下に引きずり込まれることになった。
「葛城さん、手が止まっています。私にエネルギーを」
「先生、無理、もう本当に出ない、血が出ますって」
「言い訳は不要です。出なければ、出るまで私が徹底的に吸い上げます。んちゅっ、れろぉっ」
事あるごとに、否応なしにズボンを下ろされ、ヒナの極上のフェラチオによって無理やり精力を絞り取られる日々。
快感と激痛が紙一重の境界線を行き来し、ヨウは文字通り痩せこけ、目の下にはヒナ以上のクマを作りながら、フラフラの状態で背景を描き続けることになった。
「あははっ、アッシーくん、ミイラみたい。でも、おちんちんだけはずっと元気だね」
復活したユイに笑われながら、ヨウはただひたすらに耐え忍んだ。
ブラック企業では決して味わえない、極上の快楽による搾取地獄。
冬コミに向けた100ページの壁は、三人の理性と体力を完全に狂わせ、限界のその先にある、未知の修羅場へと彼らを引きずり込んでいくのだった。