進め!アシスタント道 作:ろくりん
冬コミという名の巨大な魔物が、その口を大きく開けて三人を完全に飲み込もうとしていた。
十二月も中旬に差し掛かり、タワーマンションの厚いガラス窓の向こう側には、どんよりとした鉛色の空と、凍てつくような東京のビル群が広がっている。しかし、秦谷ヒナの作業部屋の中は、相変わらず季節感を完全に無視した異様な熱気と、張り詰めた緊張感で満たされていた。
サークル史上最大となる総ページ数100ページ。その途方もない壁を乗り越えるため、三人は文字通り寝食を忘れて液晶タブレットに向かい続けている。
メインデスクに座るヒナは、現在完全に作画のトランス状態、いわゆるゾーンに入っていた。
カチャカチャカチャッ、シャシャシャシャシャッ。
キーボードのショートカットキーを叩く音と、画面の上をペンが滑る摩擦音だけが、オーケストラの狂おしい交響曲のように室内に響き渡っている。ヒナの黒曜石のような瞳は画面に釘付けになり、瞬きの回数すら極端に減っていた。彼女の周囲には、凡人が決して足を踏み入れてはならない、絶対的なクリエイターの結界が張られているかのようだった。
そのヒナのすぐ隣、L字型に配置されたサブデスクで、葛城ヨウもまた極限の集中力を発揮して背景のペン入れを行っていた。
画面に表示されているのは、ヒロインが拘束されることになる地下室の緻密なレンガ造りの壁と、複雑な鎖のディテールである。ヒナの要求するクオリティは日を追うごとに高くなっており、ヨウは息を詰めて一本一本の線に魂を込めていた。
「ふぅーっ。やっと私の担当分、終わったぁ」
静まり返った部屋の空気を破り、背後のマットレスに備え付けられたローテーブルで作業をしていた早坂ユイが、大きく伸びをしながら歓声を上げた。
彼女が勢いよく両腕を天井に向かって伸ばすと、ダボダボの部屋着の襟元が大きく広がり、規格外の巨大な双眸が重力から解放されてブルンッと豊かな波を打った。連日の徹夜作業で少し目が充血しているものの、彼女の持ち前の明るさと底なしの体力は健在である。
「終わったのなら、すぐに次のページのトーン指定の確認に入りなさい。休んでいる暇はありませんよ」
ヒナは画面から一切目を離すことなく、機械のように正確で冷徹な指示を飛ばした。
「えーっ。先生、いくらなんでも鬼畜すぎ。私、もう三時間もぶっ通しでペン握ってたんだよ。十分だけ、十分だけでいいから休憩させてぇ」
ユイが涙声で抗議するが、ヒナは完全に無視して猛烈なスピードで線を引き続けている。ヒナの集中力が最高潮に達している時、彼女の耳には作品に関わる情報以外は一切届かなくなるのだ。
「……もう、先生の仕事バカ」
ユイはぷくっと頬を膨らませて文句を言うと、ふいに何かを思いついたような悪戯っぽい笑みを浮かべた。
そして、わざとらしく手元の消しゴムを弾き飛ばし、コロコロと床に転がした。
「あーあ、消しゴム落としちゃった。拾わないと」
ユイは独り言のように呟きながら、マットレスから床へと這い降りた。そして、四つん這いの姿勢のまま、ヒナのメインデスクとヨウのサブデスクの下に広がる、薄暗い足元の空間へと潜り込んできたのだ。
パソコンの巨大なタワーケースが何台も並び、複雑な配線が這う机の下。そこは大型のデスクの天板によって完全に視界が遮られた、密室のような空間だった。
ヨウが背景のレンガの線を引き続けていると、ふいに足首に柔らかく温かいものが触れた。
「えっ」
ヨウが思わず視線を下に落とすと、机の下の薄暗がりの中で、ユイがヨウの太ももの間にすっぽりと入り込み、上目遣いでこちらを見上げていたのだ。
彼女の顔はヨウの股間のすぐ目の前にあり、その表情は肉食獣のように妖艶で、そしてたまらなく淫らだった。
「ユ、ユイちゃん。消しゴム拾うだけじゃ」
ヨウがヒナに聞こえないように極限まで声を潜めて尋ねると、ユイは人差し指を自分の唇に当てて、しーっというジェスチャーをした。
「休憩時間だから、気分転換しに来たの。先生は今、完全にゾーンに入ってるから、下で何をしてても絶対に気づかないよ」
ユイは音を立てないように囁くと、両手をヨウの太ももにそっと這わせた。
「気分転換って、こんなところで」
「だって、原稿ばっかり描いてたら、お股の奥がすっごくムラムラしてきちゃったんだもん。アッシーくんも、ずっと座りっぱなしで下半身に血が溜まってるでしょ」
ユイの言う通りだった。極度の集中と緊張を強いられる作画作業は、交感神経を異常なまでに刺激し、ヨウの男性ホルモンを常に暴走寸前の状態に保たせている。
ユイの柔らかい手が太ももを撫で上げただけで、ヨウの分身は条件反射のように熱を帯び、ズボンの生地を内側からテントのように突き上げ始めていた。
「ほら、やっぱり。もうこんなにカチカチになってる」
ユイは嬉しそうに目を細めると、ヨウのスウェットのズボンの紐に指をかけ、音を立てないようにゆっくりと、慎重に引き解いた。そして、ズボンとボクサーパンツをまとめて膝のあたりまで引きずり下ろし、ヨウの猛々しい分身を机の下の薄暗がりへと解放した。
パソコンの冷却ファンが吐き出す温かい風が、露出した急所に直接当たり、ヨウはビクッと腰を震わせた。
すぐ隣では、ヒナが凄まじいスピードでペンを走らせている。ヒナの足はヨウからわずか数十センチしか離れておらず、もし彼女が少しでも視線を下げれば、この狂った光景が完全に丸見えになってしまう。
その絶対的なスリルと、ヒナの真下で彼女を裏切るような行為をしているという強烈な背徳感が、ヨウの下半身に信じられないほどの熱を供給し始めた。
「じゃあ、先生にバレないように、いっぱいいじめてあげるね」
ユイは艶やかな唇を舌先でペロリと舐めると、ヨウの限界まで反り上がった先端に、自らの口をゆっくりと被せた。
「んっ……」
ヨウの口から、押し殺したような吐息が漏れた。
ユイの口の中は驚くほど熱く、そして濡れていた。彼女は音を立てないように細心の注意を払いながら、柔らかな舌先を使ってヨウの最も敏感な部分をチロチロと舐め上げ、そして深い喉の奥へとゆっくりと飲み込んでいく。
じゅぷっ、んちゅ、れろぉ。
微かな水音が机の下で響くたびに、ヨウの背筋を強烈な快感の電流が駆け上がる。
ヨウは必死に歯を食いしばり、顔の筋肉を硬直させて表情を保とうとした。さらに恐ろしいことに、彼はこの極上の快感を受けながら、液晶タブレットに向かってペンを動かし続けなければならないのだ。もし手の動きを止めれば、隣のヒナに必ず不審に思われてしまう。
「くっ……」
ヨウは画面上のレンガの直線にペン先を合わせ、息を止めて線を引いた。
ユイが下からヨウの分身を吸い上げるたびに、太ももから腹筋にかけての筋肉が勝手に痙攣しようとする。ヨウは体幹のすべての筋肉を総動員してその震えを抑え込み、手先だけを正確にコントロールするという、神業のようなマルチタスクを強いられていた。
「んむっ、じゅるるっ……」
ユイはヨウが必死に耐えているのを面白がるように、奉仕のテンポをわざと不規則に変えてきた。優しく舐め上げていたかと思えば、突然強い力で吸い込み、カリ首の裏側を歯の裏で軽くこするように刺激する。
そのたびに、ヨウの引く線がわずかに揺らぎそうになり、ヨウは慌てて「取り消し」のショートカットキーを叩いて線を引き直した。
まさに地獄と天国が同時に押し寄せる、究極の拷問だった。
「葛城さん。その地下室の背景ですが」
不意に、すぐ隣からヒナの冷徹な声が響いた。
ヨウの心臓が、ドクンと大きく跳ね上がった。机の下のユイもピタリと動きを止め、ヨウの分身を口に含んだまま息を殺している。
「は、はいっ。なんでしょうか、先生」
ヨウは上ずりそうになる声を必死に押し殺し、極めて冷静を装って画面から視線を外さずに答えた。
「画面左側の鉄格子のパース、少し歪んでいませんか。ヒロインの絶望感を煽るためには、この鉄格子の無機質で圧倒的な直線が不可欠です。もう一度、消失点を確認して引き直してください」
ヒナは全くこちらを見ることなく、自らの原稿にペンを走らせながら的確な指示を出してきた。どうやら、机の下の異常事態には全く気づいていないようだ。
「わかりました。すぐに修正します」
ヨウが安堵の息を吐いて答えた、まさにその瞬間だった。
「んちゅっ、じゅぼぼぼぼっ」
机の下のユイが、ヨウがヒナと会話しているという絶妙なタイミングを狙って、信じられないほどの強い吸引力でヨウの分身を激しく吸い上げ始めたのだ。
「うおっ」
ヨウの口から、危うく絶叫が漏れそうになった。
「どうかしましたか、葛城さん」
ヒナが怪訝そうな声を出して、こちらの様子を伺おうとする気配がした。
「い、いえっ。なんでもないです。鉄格子のパース、すぐに引き直しますので」
ヨウは画面に齧り付くようにして身体を前傾させ、机の下を完全に隠し込んだ。
机の下では、ユイがヨウの分身を口から離し、音を立てずにクスクスと悪魔のような笑みを浮かべていた。そして、今度は自らの部屋着の襟元を大きくはだけさせ、その暴力的なまでの質量を持つ巨大な双眸を完全に露わにした。
ユイはヨウの太ももに両手をついて身体を持ち上げると、ヨウの硬く反り上がった分身を、自らの豊かな胸の谷間へと深く挟み込んだのだ。
「っ……」
ヨウは声にならない悲鳴を上げ、椅子の肘掛けを指が白くなるほど強く握りしめた。
柔らかなマシュマロのような極上の肉の塊が、ヨウの急所を全方位から隙間なく締め上げる。ユイは下からヨウを見上げながら、両手で自分の胸を外側から強く圧迫し、ヨウの分身を擦るようにして上下に激しく動かし始めた。
ムニュッ、ムニュッという、肉と肉が密着して形を変える生々しい音が机の下で響く。
口での奉仕とはまた違う、圧倒的な物理的質量による摩擦と圧迫。ユイの体温が胸の肉を通してダイレクトに伝わり、ヨウの下半身は完全に沸点へと達しようとしていた。
しかも、ヨウの視界の端には、すぐ隣で真剣な表情で原稿に向かうヒナの横顔がはっきりと映っているのだ。
天才美少女作家が魂を削って作品を生み出しているまさにその真下で、その後輩の爆乳美少女に胸で扱き上げられている。この異常すぎるシチュエーションがもたらす背徳感は、ヨウの脳内麻薬の分泌量を限界まで引き上げていた。
「葛城さん、鉄格子の修正は終わりましたか。次は鎖のハイライト処理をお願いします」
ヒナが再び、冷徹な声で指示を飛ばしてくる。
「は、はい……今、終わりました。すぐ、次にかかります」
ヨウの返事は、もはや限界に近いほど掠れ、息も絶え絶えになっていた。
ユイはそのヨウの苦しむ姿を見てさらに興奮したのか、パイズリの速度を極限まで速めた。彼女の胸の肉が波打ち、先端の桜色の突起がヨウの下腹部に何度も擦れつける。
「ユイちゃん、もう、無理だ……出るっ」
ヨウは声を出さずに、口パクと表情だけでユイに限界のサインを送った。
ユイはそれを見ると、悪戯っぽい笑みを浮かべて頷き、ヨウの分身を胸から解放した。そして、大きく口を開け、再びヨウの先端を根元まで一気に飲み込んだのだ。
ヒナの真下で、絶対に声を出してはいけないという極限のプレッシャー。
それが逆に、ヨウの射精中枢を最も強力に刺激するスイッチとなった。
「うおぉぉぉぉっ」
ヨウは声なき絶叫を上げ、全身の筋肉を硬直させて椅子の上で大きくのけぞった。
机の下で、ヨウの最奥から絞り出された熱く濃密な白濁液が、ユイの口腔内へと凄まじい勢いで解き放たれていく。ドクン、ドクンと脈打つたびに、尋常ではない量の精力がユイの喉の奥へと注ぎ込まれる。
ユイは大きく目を見開き、喉をゴクンゴクンと鳴らしながら、ヨウのすべてを一滴残らず飲み込んでいった。
永遠にも感じられる無音の絶頂の時間が過ぎ去り、ヨウは完全に精魂尽き果てて、椅子の背もたれに崩れ落ちた。
「んぐっ、こくっ……ぷはっ」
ユイはヨウの分身をゆっくりと口から解放し、口の端についた白い液体を指先で艶かしく拭い取った。そして、ヨウに向かってウインクを一つ落とすと、ヨウのズボンと下着を丁寧に引き上げ、元通りに直してくれた。
「あー、消しゴムあったあった。こんな奥まで転がっちゃってたんだ」
ユイは何事もなかったかのように大きな声で独り言を言いながら、机の下から這い出してきた。
そして、服の埃を払いながら、すっきりと晴れ渡った満面の笑みで背伸びをした。
「ふぅー、十分休憩終わりっ。先生、お待たせしました。トーン指定の確認、入りますね」
ユイが自らのマットレスへと戻っていく。
ヨウは完全に脱力した状態で、その小悪魔のような後輩の背中を見送るしかなかった。下半身はまだ強烈な快感の余韻でジンジンと痺れており、脳内は真っ白に燃え尽きている。
「ユイ、遅いですよ。集中力を切らさずに、このまま一気に今日のノルマを終わらせます」
ヒナは画面から目を離さず、相変わらずの冷徹な声でユイを叱責した。
「はーい、わかりましたぁ。アッシーくんも、まだまだ頑張ってね♡」
ユイがヨウに向かって、ヒナに見えないように舌をペロリと出してみせる。
ヒナは全く気づいていない。自分の足元で、自らのサークルのアシスタント二人が、とんでもない秘密の交尾を繰り広げていたことなど。
「……はい、頑張ります」
ヨウは荒い息を整えながら、再び震える手で液晶タブレットのペンを握り直した。
ブラック企業では決して味わえない、極上のスリルと背徳感に満ちた秘密の共有。
過酷な冬の修羅場は、三人の理性とタガを次々と外し、終わりのない作画と快楽の狂乱へと、さらに深く沈み込んでいくのだった。