進め!アシスタント道 作:ろくりん
東京の空はどんよりとした冬の雲に覆われ、時折冷たい隙間風がタワーマンションの窓ガラスを震わせていた。
しかし、秦谷ヒナの作業部屋の中は、相変わらず空調が完璧に効き、複数台のパソコンが放つ熱気で心地よい暖かさに満ちていた。正月ボケも早々に吹き飛ばされ、三人は春のイベントに向けた新刊の制作という、終わりのない原稿地獄のレールの上を再び猛スピードで走り始めている。
葛城ヨウは自らのサブデスクで、液晶タブレットに向かって背景のペン入れを進めていた。
静かな室内に、ペンの走る摩擦音と、ヒナと早坂ユイがキーボードを叩く音だけが響いている。誰もが集中し、黙々と作業を進める健全なアシスタント風景。
だが、このサークルにおいて、そんな平穏な時間が長く続くはずがなかった。
「葛城さん、ユイ。ペンを置いてください。春の新刊のメインテーマとなる、重要な実地検証を行います」
メインデスクから響いたヒナの凛とした声に、ヨウとユイは同時に手を止めた。
ヒナはスッと立ち上がると、自らのスマートフォンをBluetoothスピーカーに接続し、画面を数回タップした。
チクタク、チクタク、チクタク……。
部屋の高性能スピーカーから、一定のリズムを刻む振り子のような音と、どこか不安を煽るような低い環境音が流れ始めた。それに重なるように、低く落ち着いた男性の合成音声が響き渡る。
『あなたは今、深いリラックスの中にいます。私の声だけを聞いてください。意識が遠のき、身体の力が抜けていきます……』
「先生、これって……催眠術の音声ですか」
ヨウが不思議そうに尋ねると、ヒナは満足げに頷いた。
「その通りです。春の新刊のメインテーマは『催眠術』。気高く理性的なヒロインが、怪しげな音声暗示によって徐々に常識を書き換えられ、淫乱なメスとしての本性を剥き出しにしていく。その精神の変容と、肉体が快楽に屈服していくプロセスをリアルに描くために、このシチュエーションの検証が不可欠なのです」
ヒナのクリエイターとしての業火が、またしても常軌を逸した方向へと燃え広がっていた。
「なるほど。つまり、俺がこの音声を聞いて、催眠術にかかった演技をすればいいんですね」
ヨウがアシスタントとしての模範解答を口にして立ち上がろうとすると、ヒナは手でそれを制した。
「いいえ、葛城さん。今回の検証で暗示にかかるのは、私です。あなたは、私に催眠をかけて意のままに操る、主人の役を演じてください」
「えっ。先生が、俺の奴隷になるってことですか」
「奴隷という表現は品がありませんが、概ねその通りです。普段は絶対に屈しない私が、催眠によってどのように崩れていくのか。そのギャップを、あなたの目と身体でしっかりと観察し、私の作画のためのインスピレーションを与えてください」
ヒナはそう宣言すると、スピーカーの音量を少し上げ、部屋の中央に敷かれたマットレスの上へと歩み寄った。
今日のヒナは、濃紺のカーディガンにチェックのミニスカートという、どこか清楚で知的な女子大生を思わせる服装だった。彼女はマットレスの上に端座し、目を閉じてゆっくりと深呼吸を繰り返した。
『あなたの心は、今、真っ白なキャンバスです。私の声が、あなたの新しい常識になります。あなたは今から、快楽に逆らうことができなくなります……』
スピーカーから流れる怪しげな音声が、部屋の空気をじわじわと異質なものへと変えていく。
「わぁ、なんか本格的。アッシーくん、ご主人様なんだから、しっかり先生に命令しないとダメだよ。私、バッチリ録画しとくから」
ユイが嬉しそうに一眼レフカメラを構え、ローアングルからヒナの姿を狙い始めた。
「め、命令って言っても、何を言えばいいのか」
ヨウが戸惑っていると、目を閉じていたヒナが、ゆっくりと目を開けた。
その瞬間、ヨウは背筋にゾクッと冷たいものが走るのを感じた。
普段のヒナの瞳に宿っている、クリエイターとしての冷徹な光や、絶対的な自信に満ちた知性が、完全に消え失せていたのだ。代わりにそこにあるのは、焦点が定まらないトロンとした潤みと、圧倒的な無防備さだった。
彼女の口元はだらしなく半開きになり、呼吸は浅く、そして熱を帯びているように見える。
「……ご主人、様……」
ヒナの口から紡がれた声は、普段の凛とした声色からは想像もつかないほど甘く、そして淫らにとろけていた。
「先生……? いや、これ、本当に演技なのか」
ヨウはヒナのあまりにも完璧な豹変ぶりに、圧倒されていた。天才美少女作家は、クリエイターとしての探求心ゆえに、女優としても一級品の才能を持ち合わせているらしい。
「私……身体の奥が、すごく、熱くて……おかしくなりそうです。ご主人様、私に、命令を……」
ヒナはカーディガンのボタンに震える手をかけ、ゆっくりと、しかし確実に自らの服を脱ぎ始めた。
カーディガンが肩から滑り落ち、その下に着ていた純白のキャミソールが露わになる。彼女の理想的なお椀型の胸が、荒い呼吸に合わせて激しく上下に波打っているのがはっきりと見て取れた。
「アッシーくん、先生が待ってるよ。ご主人様なら、もっとドSに攻めないと」
カメラを構えたユイが、ヨウの背中を小突いて煽ってくる。
ヨウの男性ホルモンは、すでに限界を突破して暴走を開始していた。普段はクールで自分を振り回してばかりのヒナが、自分の足元で服を脱ぎ、命令を乞うているのだ。男として、そして絶倫アシスタントとして、この極上のロールプレイに乗らない手はない。
「……ヒナ。お前は今、完全に俺の言葉に従うおもちゃだ。そうだろ」
ヨウは意を決し、普段は絶対に口にしないような尊大な口調で、ヒナを見下ろした。
「はい……私は、ご主人様のおもちゃです。ご主人様を、気持ちよくさせるためだけに、生きています……」
ヒナは焦点の合わない瞳でヨウを見上げ、キャミソールを頭からすっぽりと脱ぎ捨てた。そして、ミニスカートのジッパーを下ろし、下着もすべて外して、完璧なプロポーションを誇る全裸の姿となった。
空調の効いた室内の光が、彼女の雪のように白い肌を妖しく照らし出す。
「いい子だ。なら、まずは俺のものを、お前のその口で綺麗にしろ」
ヨウは自らのスウェットのズボンとボクサーパンツを一気に引きずり下ろし、極限まで熱を帯びて反り上がった猛々しい分身を、ヒナの目の前に突き出した。
「はい……喜んで、ご主人様……」
ヒナはマットレスの上を四つん這いで這い進み、ヨウの足元へと顔を寄せた。
『あなたは、ご主人様への奉仕に無上の喜びを感じます。ご主人様の熱が、あなたの唯一の栄養になります……』
スピーカーから流れる催眠音声が、ヒナの演技をさらに過激なものへと昇華させていく。
ヒナはヨウの分身の先端に頬を擦り付け、恍惚とした表情を浮かべた後、ゆっくりと口を開いて、熱く硬い先端をパクリと咥え込んだ。
「うおっ」
ヨウの口から、抑えきれない歓喜の悲鳴が漏れた。
普段のヒナのフェラチオは、テクニックを駆使して効率的に快感を与えようとする計算高いものだ。しかし、今の彼女の口の動きは全く違った。本能のままに、ただひたすらに雄の熱を求めるメス犬のように、貪欲で、そして卑猥だった。
じゅぼっ、んちゅ、じゅるるるるっ。
ヒナの滑らかな舌が裏筋に絡みつき、喉の奥深くでヨウの急所を強く締め上げる。彼女の口の端からは大量の唾液が溢れ出し、それが銀色の糸となって顎を伝い落ちていた。
「ああっ……ヒナ、お前の口、最高に熱いぞ。もっと奥まで咥え込め」
「んぐっ……んぶぶっ、じゅるるっ……」
ヨウのSっ気を帯びた命令に、ヒナは嬉しそうに喉を鳴らし、涙目になりながらさらに深くヨウの分身を飲み込んでいく。
「すっごーい。先生、完全にメスの顔になってる。アッシーくんのご主人様っぷりも堂に入ってるね」
ユイがシャッターを切りながら、興奮した声で実況する。
ヒナの乱れた黒髪、トロンとした瞳、そして卑猥な水音を立てながら奉仕する姿。そのすべての要素が、ヨウの脳内に未知のドーパミンを大量に分泌させていた。
「ヒナ。口だけじゃ足りない。俺の上に乗って、お前のその熱い中を使わせろ」
ヨウはヒナの肩を掴んで口から分身を解放し、自らがマットレスの上に仰向けに寝転がった。
「はい……ご主人様。私の中、ご主人様のもので、いっぱいにかき回してください……」
ヒナは立ち上がり、ヨウの腰を跨ぐようにして上に乗った。
彼女の秘部は、催眠の暗示と自らの奉仕による興奮で、すでに愛液がとめどなく溢れ出し、太ももを伝って滴り落ちるほどに濡れそぼっていた。
ヒナは自らの手でヨウの反り上がった分身を握り、ゆっくりと腰を沈み込ませて、自らの入り口へと当てがった。
「入れます……ご主人様、奥まで、突き破ってくださいっ」
ヒナが一気に腰を落とした瞬間、ヨウの分身が彼女の狭く熱い内部の最奥まで、何の抵抗もなく一息に滑り込んだ。
「んあぁぁぁっ」
ヒナの口から、狂気に満ちた歓喜の絶叫が漏れた。
「すっごい、ヒナの中、めちゃくちゃ締まってる。お前、催眠術にかかってるフリして、本当は俺のちんこが欲しくてたまらなかったんじゃないのか」
ヨウは下からヒナの華奢な腰を両手でガッチリとホールドし、自らの腰を激しく突き上げて応戦した。
「ああっ、はぁっ、違っ、これは……暗示でっ……でも、ご主人様の、すっごく奥まで入ってきて、お腹の中、熱くてっ」
ヒナはヨウの胸板に手をつき、騎乗位の体勢で狂ったように腰を上下させ始めた。
パンッ、パンッと、肉と肉がぶつかり合う派手な音が、催眠音声のリズムを完全に掻き消して室内に響き渡る。
普段のクールなヒナからは想像もつかないほど、彼女の腰の動きは淫らで、そして本能的だった。理想的なお椀型の胸が激しく上下に揺れ、先端の桜色の突起がヨウの視覚を強烈に刺激する。
「いいぞヒナ、もっと腰を振れ。俺を気持ちよくするためのおもちゃなんだろ」
「はいっ、はいっ、私、ご主人様のおもちゃですっ。もっと、もっと下からガンガン突いてっ。私のお肉の奥、ぐちゃぐちゃにしてくださいっ」
ヒナは涙目になりながら首を激しく横に振り、ヨウの要求に応えるように腰の回転速度をさらに上げていく。
『あなたは、快楽の波に完全に飲み込まれます。考えることをやめ、ただ絶頂だけを求めなさい……』
スピーカーからの暗示が、ヒナの理性を完全に吹き飛ばしたかのように、彼女の内部の肉ひだが凄まじい力でヨウの分身を締め上げてきた。
「先生、顔、エロすぎっ。アッシーくん、そのまま先生を押し倒しちゃえっ」
ユイの煽りを受け、ヨウはヒナの腰を抱え上げたまま身体を反転させ、自分がヒナの上に覆い被さる正常位の体勢へと持ち込んだ。
「ひゃああっ」
ヨウはヒナの両脚を自らの肩に担ぎ上げ、完全に無防備となった彼女の最奥に向けて、渾身の力で腰を打ち込み始めた。
ドスンッ、ドスンッと、先ほどの騎乗位とは比べ物にならない重く深いピストンがヒナを責め立てる。
「ヒナ、お前の奥、最高だぞ。このまま全部出し切ってやる」
「ああっ、ダメっ、ご主人様、そんなに奥まで突かれたら、私、私、頭がおかしくなっちゃうぅっ」
ヒナはマットレスのシーツを両手で強く握りしめ、全身を弓のように反らせて甲高い喘ぎ声を上げた。彼女の内部は、ヨウの侵入を狂喜して受け入れるように、強く、激しく収縮を繰り返している。
ヨウはヒナの乱れた姿と、下半身から突き上げてくる圧倒的な摩擦に、完全に理性のストッパーを破壊された。
「ヒナ、いくぞっ。俺の全部、お前の中にぶちまけてやるっ」
「出してっ、ご主人様の熱いの、私のお腹の中に、いっぱいいっぱい中出ししてぇっ」
ヨウはヒナの最も深い場所を的確に突き上げ、自らの魂そのものを絞り出すようにして、熱く濃密な白濁液を怒涛の勢いで解き放った。
ドクン、ドクンと脈打つたびに、生命の熱がヒナの奥底へと勢いよく注ぎ込まれていく。ヒナは「ひぃんっ」と甘い悲鳴を上げて全身を痙攣させ、強烈な絶頂の波に飲み込まれた。
永遠にも感じられる絶頂の時間が過ぎ去り、ヨウは完全に脱力してヒナの胸の上に重なるようにして崩れ落ちた。
部屋の中に、二人の荒い呼吸音と、スピーカーから流れる振り子の音だけが静かに響いている。
「……はぁ、はぁ。ヒナ、お前、最高の奴隷だったよ。俺、めちゃくちゃ気持ちよかった」
ヨウがヒナの耳元で満足げに囁いた。
すると、ヒナの身体の力がスッと抜け、彼女の呼吸が急速に落ち着きを取り戻していくのを感じた。
「……素晴らしい検証でした。催眠状態における瞳孔の開き具合、筋肉の弛緩、そして精神が屈服していく過程の言語化。すべて完璧に脳内に記録しました」
先ほどまで淫乱な声を上げていたはずのヒナが、全くブレのない、いつものクールで冷徹なクリエイターの声で告げたのだ。
「えっ」
ヨウが驚いて顔を上げると、ヒナは焦点の定まった黒曜石のような瞳でヨウを見返し、自らの足に絡みついていたヨウの分身をすんなりと引き抜いた。
「え、先生。完全に演技だったんですか。あんなにトロトロになってたのに」
「当然です。私は秦谷ヒナですよ。あんな胡散臭いフリー素材の音声で、本物の催眠術にかかるわけがないでしょう」
ヒナは床に落ちていたティッシュを手に取り、自らの太ももを伝うヨウの精液を冷静に拭き取り始めた。
「あははっ、アッシーくん、完全に騙されてたねー。先生の女優魂、半端ないでしょ」
カメラを下ろしたユイが、ヨウの呆然とした顔を見てお腹を抱えて笑っている。
「いや、でも、中めちゃくちゃ締まってたし、あんな声出されたら、誰だって本物かと思うだろ」
ヨウが言い訳をすると、ヒナは立ち上がり、新しい服を取り出しながら妖艶な笑みを浮かべた。
「葛城さんが本気で私を支配しようとしてくれたおかげで、私も限界までリアルな演技を引き出すことができました。このデータがあれば、春の原稿は間違いなく読者の性癖を破壊する名作になります」
ヒナは素早く服を着替えると、そのままメインデスクへと向かい、椅子に座って猛然とキーボードを叩き始めた。
「さて、プロットの修正とネームの作成に入ります。葛城さん、ユイ、休憩終わりです。すぐに自分のデスクに戻りなさい」
わずか数分前までヨウの下で淫らな喘ぎ声を上げていた美少女は、あっという間に絶対的な権力を持つ同人作家へと戻ってしまった。
「……はいはい。ご主人様の時間は終わりってことですね」
ヨウは自らのスウェットのズボンを引き上げながら、深いため息をついた。
しかし、その口元には自然と笑みが浮かんでいた。
天才美少女作家の底知れぬ探求心と、完璧な演技力。そして、それに振り回されながらも極上の快楽を得られるこのアシスタント生活。
春のイベントに向けた終わりのない原稿地獄は、こうしてさらなる性癖の探求とともに、ドタバタと騒がしく続いていくのだった。