進め!アシスタント道 作:ろくりん
カチリ、と。
静まり返った作業部屋に、マウスの左ボタンをクリックする乾いた音が一つだけ響いた。
巨大な液晶モニターの中央に表示されたプログレスバーが、じりじりと右へ向かって伸びていく。九十八パーセント、九十九パーセント。そして、永遠にも等しく感じられた数秒の沈黙の後、画面の中央に「アップロードが完了しました」という無機質なシステムメッセージが浮かび上がった。
夏の祭典、コミックマーケットに向けた新刊の入稿データが、無事に印刷所のサーバーへと送信された瞬間だった。
「……終わった」
部屋の主である秦谷ヒナが、椅子に深く背中を預け、天井を仰ぎ見ながら掠れた声で呟いた。彼女の艶やかな黒髪は無造作に乱れ、いつもはピンと伸びている背筋も今は完全に重力に負けている。
「終わったぁぁぁっ。先生、アッシーくん、お疲れ様ぁっ」
床に敷かれたマットレスの上で、ペンタブレットを抱え込んだまま丸くなっていた早坂ユイが、歓喜の叫びを上げて跳ね起きた。彼女のウェーブのかかったストロベリーブロンドのシニヨンは崩れかけ、ダボダボのTシャツからはみ出した豊かな胸が激しく上下に揺れている。
そして、葛城ヨウもまた、自分のサブデスクに突っ伏したまま、全身の筋肉から急速に力が抜けていくのを感じていた。
ブラック企業での過酷な労働に耐え抜いてきたヨウにとっても、この数日間の修羅場は想像を絶するものだった。ただひたすらに背景を描き、トーンを削り、そして美少女二人の気付けや眠気覚ましという名目で、下半身の限界に挑み続ける日々。睡眠時間は極限まで削られ、脳内にはカフェインとアドレナリン、そして大量の快楽物質がドロドロに混ざり合って渦巻いていた。
しかし、そのすべてが報われた。液晶画面に映し出された完成原稿の数々は、ヨウの目から見ても信じられないほどの熱量と、圧倒的なエロティシズムを放っていた。自分がこの作品の一部を作り上げたのだという強烈な達成感が、疲労困憊の身体に心地よく染み渡っていく。
「先生、ユイちゃん。本当にお疲れ様でした。最高の原稿になりましたね」
ヨウが重い身体を引きずって立ち上がり、二人に労いの言葉をかけると、ヒナはゆっくりと首を巡らせてヨウを見た。その黒曜石のような瞳には、極度の疲労の中にも確かな充実感が宿っていた。
「葛城さん。あなたがいなければ、絶対に間に合いませんでした。私の無茶な要求にも文句一つ言わず、見事な作画スピードと……その、体力で応えてくれて、本当に感謝しています」
普段はクールで事務的なヒナからの、心からの感謝の言葉。ヨウは胸の奥が熱くなるのを感じ、照れ隠しに頭を掻いた。
「いや、俺はただ言われたことをやっただけですよ。それに、色々と役得もありましたしね」
ヨウが笑うと、マットレスから起き上がったユイが、大きく伸びをしながらヨウの背中に抱きついてきた。
「本当にアッシーくん様々だよぉ。アッシーくんのお膝と腰の動きがなかったら、私絶対に寝落ちしてモブ描き終わってなかったもん」
ユイの巨大な双眸が背中に押し付けられ、むにゅりとした極上の感触が伝わってくる。しかし、今のヨウにはそれに反応して振り返るだけの体力すら残されていなかった。
「さて、入稿も無事に終わりましたし。あとは泥のように眠るだけですね」
ヒナが椅子から立ち上がり、ふらつく足取りでリビングのソファへと向かおうとした。しかし、背中に張り付いていたユイが、ヒナの言葉に待ったをかけた。
「ちょっと待って先生。そのまま寝るのは絶対ダメ。私、汗とアッシーくんの色んな汁でベタベタだもん。お風呂に入ってからじゃないと、気持ち悪くて眠れないよ」
ユイの言葉に、ヨウも自分の身体の異変に気がついた。冷房が効いていたとはいえ、極度の緊張と作画の熱気、そして度重なる激しい行為によって、全身は汗でびっしょりと濡れている。下半身に至っては、シャワーを浴びる間もなく次から次へと作業に戻っていたため、自分と彼女たちの愛液が乾いて張り付いている状態だった。
「確かに、このまま布団に入るのは衛生的に問題がありますね」
ヒナは自分の制服のブラウスの襟元を引っ張り、不快そうに眉をひそめた。
「でも、一人ずつ順番にお風呂に入っていたら、最後の一人が寝るまでに一時間以上かかってしまいます。今の私たちには、一分一秒の睡眠時間が惜しいはずです」
ヒナの論理的な指摘に、ユイはうーんと唸って首を傾げた。しかし、数秒後にはポンッと手を叩き、満面の笑みを浮かべた。
「じゃあ、三人で一緒に入ればいいじゃん。それなら時間も三分の一で済むし、背中も洗いっこできるから超効率的でしょ」
その突拍子もない提案に、ヨウの思考が完全に停止した。
三人で一緒にお風呂。つまり、この極上の美少女二人と、全裸で、狭い密室空間に閉じこもるということだ。ブラック企業の狭く薄暗いシャワールームで、冷水を浴びて誤魔化していた過去の自分に教えてやりたい。お前は今日、タワーマンションの豪華な風呂で、現役女子高生と爆乳アシスタントとの混浴を経験することになるぞ、と。
「ちょ、ユイちゃん。いくらなんでも三人一緒は」
ヨウが常識的な抵抗を試みるより早く、ヒナがあっさりと頷いた。
「合理的ですね。採用します。葛城さん、早く服を脱いで浴室へ向かってください。一秒でも早く睡眠時間を確保しますよ」
ヒナは一切の羞恥心を見せることなく、その場でブラウスのボタンに手をかけた。彼女にとって、原稿が終わった今、最優先すべきは効率的な疲労回復と睡眠なのだ。そこには男女の恥じらいなど入る余地はなかった。
数分後。
ヨウは、高級ホテルと見紛うような大理石調の広々とした浴室の中で、ただただ圧倒されていた。
天井からの柔らかなダウンライトに照らされた空間には、濃厚な湯気と、フローラル系のボディソープの香りが充満している。そして何よりヨウの視覚を破壊しているのは、目の前で一切の隠し事なく全裸を晒している二人の美少女の姿だった。
ヒナの身体は、どこまでも白く、そして滑らかだった。無駄な肉が一切ない引き締まったウエストから、理想的なお椀型を描く胸の膨らみ、そして女性らしい丸みを帯びた骨盤のライン。水滴が彼女の鎖骨を伝い、桜色の突起へと滑り落ちていく様は、まさに芸術品のような美しさだ。
対照的に、ユイの身体は本能に直接訴えかけてくる暴力的な魅力に溢れていた。小柄な身長の半分を占めているのではないかと思えるほどの巨大な双眸は、彼女が少し動くだけでブルンブルンと重力に逆らって激しく揺れ動く。適度に肉のついた健康的な太ももと、くびれた腰のコントラストが、ヨウのスケベな脳髄を強烈に刺激していた。
「アッシーくん、突っ立ってないで早く洗お。私が背中流してあげる」
ユイが楽しげな声を上げ、浴室の中央にある洗い場用の椅子にヨウを座らせた。
「あ、ありがとう。でも自分で洗えるよ」
「いいからいいから。時短、時短。ほら、先生もアッシーくんの前洗ってあげて。三人で一気に洗えばすぐ終わるでしょ」
ユイの恐るべき合理主義により、ヨウは洗い場の椅子に座らされたまま、前後から二人の全裸の美少女に挟まれる形となった。
ユイはボディスポンジにたっぷりと石鹸の泡を作ると、自らの豊満な胸と身体にそれを塗りたくった。
「え、ユイちゃん。タオルじゃなくて」
「アッシーくんの背中、大きくて洗いがいがあるなぁ。ここ数日ずっと頑張ってくれたお礼も兼ねて、私の身体ごと使って洗ってあげる」
ユイは泡まみれになった巨大な胸をヨウの背中に押し当て、背後から抱きつくような体勢で上下に擦り始めた。
「うおっ、ちょ、それ反則」
極上のマシュマロが背中で潰れ、滑るような摩擦を生み出している。石鹸のヌルヌルとした感触と、ユイの柔らかな肌の弾力が直接伝わってきて、ヨウの脳内は瞬時に沸騰した。疲労困憊で使い物にならないと思っていたヨウの下半身が、この強烈な刺激を受けて、不死鳥のように再び熱を帯びて反り上がり始めた。
「ユイ、遊んでいないで早く洗ってください。葛城さん、前を向いて。私が前を洗いますから」
正面に立ったヒナが、同じように泡だらけになった両手でヨウの胸板に触れた。
彼女のクールな表情は、浴室の熱気と湯気のせいでほんのりとピンク色に染まっている。普段の隙のない姿とは違う、無防備で艶っぽい表情に、ヨウの心臓が大きく跳ねた。
ヒナの細く白い手が、ヨウの胸から腹筋にかけてを滑っていく。彼女の指先が時折肌に直接触れ、その滑らかな感触がヨウの神経を逆撫でするように刺激した。
「葛城さん。あなたの筋肉、意外としっかりしているんですね」
ヒナは真面目な顔でヨウの腹筋をなぞりながら、そのまま下腹部へと手を滑らせた。そして、ヒナ自身も身体を密着させ、自分の柔らかな太ももでヨウの脚を挟み込むようにして洗い始めた。
右からはユイの爆乳が背中を擦り、正面からはヒナの白い肌が胸や太ももに密着する。三人とも全身が石鹸の泡で包まれ、少し動くたびにヌルヌルと肌が滑り合う。
ヨウの分身は、前後からの極上の摩擦と体温によって完全に臨戦態勢に突入していた。泡まみれになって空を突くように反り上がったそれは、目の前で身をかがめてヨウの太ももを洗っているヒナの下腹部に、コツコツと当たってしまっていた。
「あっ、アッシーくん、こんなに硬くなってる。お風呂でリラックスするどころか、また元気になっちゃったね」
背後にいるユイが、ヨウの耳元で悪戯っぽく囁いた。
「い、いや、これは不可抗力っていうか。こんな美少女二人に前後から裸で擦り寄られたら、どんな男だってこうなりますって」
ヨウが必死に弁解するが、密着した皮膚同士が滑る独特の感触は、彼の理性を容赦なく削り取っていく。
その時、ヨウのスケベな脳内にとある悪魔的な閃きが舞い降りた。
全身が石鹸の泡で滑りやすくなっている。しかも、ヒナはヨウの正面で脚を開き気味にして太ももを洗っており、彼女の無防備な秘部がヨウの急所のすぐ目の前にあるのだ。
これは、いけるのではないか。
ヨウは、身体を洗ってもらうために姿勢を変えるふりをして、腰をわずかに前に突き出した。
石鹸の極上の潤滑作用が働き、ヨウの硬く熱い先端が、ヒナの柔らかな割れ目に吸い込まれるように滑り込んだ。
「あっ」
ヒナの口から、驚きと快感が混ざったような小さな声が漏れた。
ヨウはそのまま、どさくさに紛れるようにして、ヌルッという音すらない感触とともに、ヒナの最も深い場所まで一瞬にして滑り込んだのだ。
「あ、ご、ごめん先生。石鹸で滑っちゃって」
ヨウはわざとらしく驚いたふりをしながら、腰を引くどころか、しっかりと根元まで押し込んだ状態をキープした。完全に確信犯である。
「葛城さん……あなた、わざとですね」
ヒナは潤んだ瞳でヨウを睨みつけたが、その声には怒りよりも、呆れと微かな熱情が入り混じっていた。
「いや、本当に事故で。でも、せっかく入っちゃったし、このまま洗うついでに……ね?」
ヨウがニヤリと笑うと、背後にいたユイが楽しそうにヨウの肩を叩いた。
「あははっ、アッシーくんずるい。どさくさに紛れて先生と繋がっちゃうなんて。でも、石鹸でヌルヌルだと気持ちいいでしょ」
「うん、最高。先生の中、お湯と泡で温かくて、すっごく滑る」
ヨウは言い訳を放棄し、ヒナの華奢な腰を両手で掴むと、洗い場の椅子に座ったままゆっくりと腰を前後に動かし始めた。
「んっ……ああっ。葛城さん、こんなお風呂場で、しかも泡まみれで」
ヒナは文句を言いながらも、ヨウの首に腕を回して身体を密着させてきた。石鹸の泡が完璧な潤滑剤となり、摩擦という概念がこの世から消え去ったかのような、信じられないほど滑らかな侵入と後退が繰り返される。
突き上げるたびに、ヒナの柔らかな下腹部とヨウの太ももがぶつかり、泡がパチンと弾ける音が響く。
「先生、気持ちいいですか。俺は最高です」
「あっ、んああっ。滑って、奥まで、入りすぎて……でも、悪くない、かも」
ヒナのクールな仮面が完全に剥がれ落ち、艶やかな女の子の顔になっていく。ヨウはその極上の表情を独り占めしながら、腰の動きを徐々に加速させていった。
「あーっ、二人だけズルい。私も混ぜてよ」
背後にいたユイが、ヨウの背中に再び巨大な胸を押し付けながら、自らの手をヨウとヒナの結合部へと伸ばしてきた。ユイの泡まみれの指先が、二人の繋がっている部分をチロチロと弄り始める。
「ひゃんっ。ユイ、そこ、触らないでっ」
「いいじゃん、三人で洗いっこなんだから。アッシーくん、私のことも後でちゃんと洗ってよね」
ユイの悪戯な指の動きと、正面からのヒナの極上の締め付け。前後からの容赦ない刺激に、ヨウの男性ホルモンは限界を突破し、全身の血が下半身へと集中していくのを感じた。
「先生、俺、もう出そうです」
「出してくださいっ。ここで全部出し切って、早く寝るんですっ」
ヒナの叫び声に背中を押され、ヨウはヒナの最も深い場所に狙いを定め、渾身の力を込めて自らの欲望のすべてを解き放った。
「うおぉぉっ」
ドクン、ドクンと脈打つたびに、熱い液体がヒナの中に勢いよく注ぎ込まれていく。お湯の温かさとは違う、生命の熱が直接内側に流れ込む感覚に、ヒナは「ひぃんっ」と甘い声を上げてヨウの肩に顔を埋めた。
背後からは、ユイがヨウの背中を優しく撫でながら、楽しそうに笑い声を上げていた。
しばらくの間、浴室にはシャワーの音と、三人の荒い呼吸音だけが響いていた。
ヨウの全身からは、数日間の修羅場で蓄積された疲労とストレスが、汗と石鹸の泡とともに完全に洗い流されていた。頭の芯まで空っぽになり、残っているのは心地よい気怠さと、美少女二人の肌の温もりだけだ。
「……終わったぁ。今度こそ、本当に全部終わったぁ」
ユイがヨウの背中に顔を擦り付けながら、夢現の声で呟いた。
「ええ。これで心置きなく眠れます。葛城さん、ユイ。本当にお疲れ様でした」
ヒナもまた、ヨウから身体を離してシャワーのお湯を浴びながら、満足げな微笑みを浮かべていた。
原稿の完成という最大のミッションを乗り越え、さらにお風呂でのどさくさ紛れの役得まで享受した葛城ヨウ。ブラック企業を辞めて飛び込んだこのアシスタント道は、控えめに言って最高の人生の選択だった。
三人はその後、お互いの身体の泡をシャワーで流し合うと、フラフラとした足取りで寝室へと向かった。
大きなキングサイズのベッドに、ヒナ、ヨウ、ユイの順番で川の字になって倒れ込む。髪を乾かす気力すら残っていなかったが、エアコンの効いた部屋の冷たさと、両隣から伝わってくる美少女の温もりが最高に心地よかった。
「おやすみなさい……」
誰ともなく呟かれたその言葉を最後に、三人の意識は瞬時に暗闇へと落ちていった。
夏の祭典の本番は、もうすぐそこまで迫っていた。