「続きって」
「続きよ。私の10年分を補って」
「10年分を俺が補うのか」
「あなたがいるでしょ。今ここに」
ベアトリスは立ち上がった。そして何気ない動作でドレスの裾に手をかけた。
「あのちょっと待って」
「何?」
「何をしてるんですか」
「脱ぐのよ」
「脱ぐ!?」
「暑いから」
「暑いからって全裸になる必要ないですよね!?」
「全裸じゃないわよ。下着くらいは——」
「下着もダメです!」
「なんで?」
「なんでって」
「私ね10年間誰にも見せてないのよ。たまには見てもいいでしょ」
「見る側の意思は無視ですか!」
ベアトリスは聞く耳を持たなかった。ドレスがするりと滑り落ちる。白い肌が露わになる。
俺は見た。
見てしまった。
そして——
(アルファだ)
心の中で呟いていた。
身体のラインが似ている。腰の曲線、背中の筋肉の付き方、鎖骨の稜線。10年の時を超えて、同じ血が作り出した肉体がそこにある。
アルファとは違う部分もある。胸は少し大きいか。腰は少し細いか。だが根本的な美しさの質が同じだ。同じ彫刻家が別の素材で作った作品みたいだ。
(ああくそ。見てる自分がよくない)
「エロゲ?」
「何でもないです」
「見てるでしょ」
「見てない」
「体線が目で追ってる」
「追ってない」
「嘘」
ベアトリスはブラウスのボタンを外した。一つずつ。ゆっくりと。
「ねえ」
「何」
「私の身体見て何か感じた?」
「暑いなと」
「嘘。他に感じたことがあるでしょ」
「ないです」
「あるわよ。私のこと見て誰か思い出した顔してる」
ぐっ。
こいつ観察眼が鋭い。アルファと同じ血だ。
「ベアトリスさん。一つ聞いていいですか」
「何?」
「これ真的に天然ですか」
「何が」
「この流れ」
「流れ?」
「こういうの。全部」
「何言ってるのかわからないわ。脱いでるだけよ」
脱いでるだけ。脱いでるだけか。この状況で脱いでるだけか。いや脱いでるだけだろう。だが結果的に俺の心拍数が上がっている事実は変わりない。
ベアトリスは下着姿になった。白い。シンプルな。だがそれが逆にエルフの身体の美しさを強調している。
「さあ来て」
「どこへ」
「ベッド」
「待って待って待って」
「なんで待つの」
「いきなりベッドは無理です」
「私10年待ったのよ。あなたの10分が無理?」
「10分とか言わないでください」
「じゃあ何分ならいい?」
「そういう問題じゃない!」
「じゃあ何の問題なの」
ベアトリスはベッドに座り、俺の手を引いた。エルフの力。弱くはない。いや普通に強い。俺は抵抗する間もなくベッドに引きずり込まれた。
「あのなぁ」
「静かにして」
「静かにするのか俺!」
「私ね。10年間誰にも触れられなかったの。だから今日は触れたいの。あなたに」
「なんで俺なんですか」
「だって私の質問に答えてくれないから。だから体で聞くの」
「体で聞くって何!」
「こういうことよ」
ベアトリスは俺のズボンのベルトに手をかけた。
「ちょっ」
「静かに」
「静かにするけど触るな!」
「触るわよ」
「なんで!」
「私の体があなたに触れたいの。我慢できないの」
「我慢してよ!」
「10年分我慢した。もう無理」
ずり。
ズボンが下ろされた。下着ごと。俺の男根がむき出しになる。半勃ちだ。いやもう完全に勃っていた。見られてるせいだ。
「あら。元気ね」
「元気じゃないです!」
「嘘。元気よ。立ってる」
「立ってない!」
「立ってるわよ。見えてる」
「見るな!」
「ふふ。可愛い」
ベアトリスは自分の下着を脱いだ。何気ない動作で。本当に何気ない。脱ぐことへの羞恥がない。10年間誰にも見せてない身体を、今初めて俺に見せる。だがそこに躊躇がない。
白い肌が全て露わになる。乳房がこぼれそうになり、腰のくびれが曲線を描き、その奥に秘裂が覗いている。
(あああああああ)
俺は天井を見た。
「見なさいよ」
「見ないです」
「見て。私の体」
「なんで」
「見てくれないと始まらない」
「始めたくない!」
ベアトリスは俺の上に跨った。膝でベッドを挟み、俺の腰の上に座る。
「重いわね」
「体重くらい言うな!」
「あなたのことよ。腰が重い。力入ってる」
「入ってますよ! こんな状況で力抜けとか無理だろ!」
「力抜いて。ね。お願い」
ベアトリスは俺の肉棒を掴んだ。直接。冷たい指先が熱を帯びた竿に触れる。
「ひっ!」
「冷たい?」
「冷たい!」
「ごめんなさい。すぐ温まるわ」
ベアトリスは俺の肉棒を自分の秘裂にあてがった。
ぬるり。
濡れている。凄く濡れている。さっきからずっと濡れていたのだ。10年分の渇望が蜜となって溢れている。
「入れるわよ」
「待って」
「待たない」
ずぶり。
先端が飲み込まれた。
「あっ……!」
ベアトリスの声が漏れた。俺の声じゃない。彼女の声だ。
驚きの声だった。
「なに」
「い、入ってきた……」
「入ってるのは知ってる!」
「違う。私が驚いてるの。あなたが。私の中に。入ってる」
「入ってるけど」
「久しぶりなのよ。10年ぶりなの」
「10年ぶりって何を」
「人と繋がるのが。10年ぶりなの」
俺は何も言えなかった。
ベアトリスは腰を沈め続けた。ずぶずぶずぶ。根元まで。奥まで。俺の肉棒が彼女の膣内を押し広げながら沈んでいく。
「んっ……! あぁ……! 大きい……!」
「くっ……!」
締め付けがすごい。10年間使っていなかった膣内は狭い。だが濡れている。蜜が溢れている。そのアンバランスが凄い。狭いのに滑る。締まっているのに包み込む。
「はぁ……! 入った……! 全部入った……!」
ベアトリスは腰を沈め切った。根元まで完全に飲み込んでいる。結合部が密着している。
彼女は少し驚いた顔をしていた。
「あら。すごい……! あなたの中で動くの……!」
「動くな! 動くなよ!」
「まだ動いてないわよ。入っただけ」
「入っただけでもヤバいって!」
「何がヤバいの」
「締め付けが!」
「ふふ。年頃の体ね」
「年頃って何だよ!」
ベアトリスは俺の胸に手をついた。そしてゆっくりと腰を動かし始めた。
ずぶ、ずぶ。
ゆっくりとしたストローク。まだ慣れていないのか試すような動きだ。
「んっ……! あぁ……! エロゲ……!」
「くっ……!」
(やばい。マジでやばい。アルファと似てる)
俺は思った。
膣内の感触が似ている。襞の質が。締め付けの角度が。同じ血が作った膣内なのだ。構造が似ている。だがアルファよりも狭い。10年分の未使用が狭さを作っている。
(アルファと似てる。でも違う。アルファより狭い。アルファより熱い)
「んっ……! はぁ……! エロゲ……あなたの……中で動いてる……!」
「くっ……! お前なぁ!」
「何?」
「その言い方。何か。変な気持ちにさせる」
「変な気持ち?」
「変な気持ちです」
「ふふ。いいわね。変な気持ち」
ベアトリスは腰の動きを速めた。
ぱんっ、ぱんっ!
肉のぶつかる音が響き始める。
「あっ! あぁっ! いい……! これ……! 久しぶり……!」
「くっ、うぅ……!」
「あなたの……! すごい……! 私の中に……! いっぱい……!」
「いっぱいって何が!」
「あなたが! 私の中にいっぱいなの!」
俺の魔力が流れている。結合部から。エロゲの魔力がベアトリスに流れ込んでいる。
「あっ……! 何これ……!」
ベアトリスの動きが止まった。
「何か……来てる……! あなたの……中から……! 何か……!」
「魔力です。俺の」
「魔力……!? これが……!?」
ベアトリスの碧眼が見開かれた。
無表情だった。さっきまでの楽しそうな顔が消えている。驚いている。純粋に驚いている。
「すごい……! これが……! あなたの魔力……!?」
「くっ……! 止めてくれ……! 制御できてない……!」
「制御? これを制御してるの? 普段から?」
「してるけど。今は——」
「今は?」
「今は無理だ!」
「なんで!?」
「お前に触られてるからだ!」
「触ってるけど。だって気持ちいいもの」
「気持ちいいとかそういう問題じゃない!」
ベアトリスの碧眼が揺れた。
魔力が流れ込んでいる。俺の魔力が。制限なしで。装置なしで。結合部から直接。膣内の粘膜を通じて。彼女の魔力核に直接流れ込んでいる。
「あっ……! これ……! 私の体……! 震えてる……!」
「くっ……!」
「あなたの魔力……! 私の中に……! 入ってくる……! すごい……!」
ベアトリスの腰が再び動き始めた。
さっきより速い。
さっきより深い。
ぱんっ! ぱんっ! ぱんぱんぱんっ!
「あぁっ! あぁぁっ! いい……! すごい……! 魔力が……! 私の中を……! 満たしていく……!」
「くそっ! 止まらない……! お前の腰!」
「止まらないわよ……! 止まらないの……! 身体が動くの……! 自分でも止められない……!」
ぱんぱんぱんぱんぱんっ!
「あっ! あっ! あぁぁっ! エロゲ……! エロゲ……!」
「くっ! うぅ……!」
(アルファだ。この締め付け。アルファと同じだ。同じ質の膣内だ。同じ血だ。同じ作りだ。でも——)
(アルファより熱い。アルファより狭い。アルファより——必死だ)
「あっ! あっ! あぁぁぁっ!! エロゲ……! あなたの……! 魔力……! すごい……! 私の体が……! 燃えてくる……!」
「くっ! もう限界だ……!」
「いいわよ……! 出して……! 私の中に……! 全部……! 注いで……!」
「くそっ……! 出るっ……! 出ちゃう……!」
「いいの……! 来て……! あなたの全部……! 私の全部に……! 注いで……!」
ドピュルルルッ!!
爆発した。
俺の肉棒がベアトリスの子宮の奥に向かって白濁液を叩き込む。ドクドクと脈打ちながら。注がれる。注がれる。
「あぁぁぁっ!!」
ベアトリスが絶頂した。
彼女の身体が弓なりに反った。背中が反り、豊満な胸が天井に向かって突き出される。長い金髪が揺れる。碧眼が上を向く。
全身が痙攣している。俺の上に座ったまま、腰がガクガクと震え、膣内が俺の肉棒を限界まで締め付ける。
「あっ……! あぁ……! これ……! 何……! 魔力が……! 私の中に……! 溢れてる……!」
彼女の碧眼が完全に見開かれた。
俺の魔力だ。射精と共に。俺の魔力が流れ込んでいる。制限なしで。ベアトリスの体の中に。彼女の魔力核に。直接。
「すごい……! これ……! すごい……! あなたの……! 魔力……! 私の中に……! 溢れて……! あぁぁっ……!」
興奮を隠せない。無表情だが。碧眼が爛々と輝いている。頬が赤い。唇が震えている。
「あっ……! あぁ……! エロゲ……! あなた……! すごい……! すごいの……!」
彼女は俺の上に崩れ落ちた。胸が俺の胸に押し付けられる。汗ばんだ肌と肌が密着する。
「はぁ……! はぁ……! すごい……! すごい……!」
「くっ……! はぁ……!」
俺は力なく天井を見上げた。
ベアトリスの重みが胸にある。彼女の髪が俺の顔にかかっている。甘い匂いが鼻腔を満たしている。
「ねえエロゲ……!」
ベアトリスの声が震えていた。
「何……!」
「あなたの魔力……! 私の体に……! 残ってる……! まだ……! 溢れてる……!」
「くっ……!」
「これ……! すごい……! すごいわ……! あなたの魔力……! 私の中に……! まだ入ってくる……!」
彼女は俺の胸に顔を埋めたまま、碧眼を輝かせていた。
「もっと……!」
「もって?」
「もっと欲しい……! あなたの……! 魔力……! もっと……!」
「お前なぁ……!」
「お願い……! まだ終わらないで……!」
ベアトリスは俺の上で動き始めた。
まだ硬い。俺の男根はまだ萎えていない。この身体どうなってるんだ。
「あっ……! あぁっ……! いい……! まだ入ってる……! まだ硬い……!」
「くっ……!」
「もう一回……! もう一回出して……! 私の中に……! 全部……!」
俺は諦めた。
抵抗する意思が消えた。
この魔女は天然で最凶だ。アルファと同じ血が。アルファとは違う方向性で。俺を搾り取ろうとしている。
(ああくそ。アルファに殺される)
心の中で呟いた。
(でも気持ちいい)
それも呟いた。
俺はベアトリスの腰を掴んだ。
「やるのか」
「やるの」
「何回やればいいんだ」
「足りるまで」
「足りるって何回だ」
「わからない。試してみるしかない」
俺は腰を突き上げた。
ぱんっ!
「あぁっ!!」
ベアトリスが嬌声を上げた。
俺は天井を見上げながら、心の中で静かに叫んだ。
(アルファ。ごめん。お前の親戚に食われた)