【完結】 脚が好きだったのでケイト会長のパンストに堪らず自給自足してみる 作:hige2902
各話のタイトルに射精回数を記述するという、おばかなシステムを考案しました!
ストーリーだけの話があるんで、きょーみない人用の物です。最初はエロだけ書こうと思ったんですけど、やっぱやーめたで書いちゃったんで。
でももともと欲望のままに書こうという自給自足SSなんで許して。
「会長?」
リサの声でケイトは我に返った。授業合間の休憩時間中の教室で、女学生たちの束の間のおしゃべりのざわめきが耳にかしましい。
「大丈夫ですか、ぼうっとしているようでしたけど」
「え、ええ。それより何かしら」
「結局、彼についてはどうするおつもりですか」
彼という単語で、ケイトは固唾を飲んだ。ぎゅっとスカートの丈を握りしめる。動揺を隠すように言った。
「もうちょっと、彼の素行を見てから決めるわ」
「わかりました。では彼にはもう少し待つように伝えておきます」
通常の高等学校に準ずる教育機関で生徒会へ入ることに関して、生徒会員である学生の一存では決定されない。しかしここは天下の八光学園であり、学生の自立心を養うという目的の為、クラス委員やクラブ部長など一定数の集団を代表管理する長の権限は強力だった。
とはいえ教師陣の認証は必要なので、仮に彼が書類を提出しても正式に生徒会員となるには数日はかかる。つまり受理からその数日間は、彼が生徒会室に現れる事はないのだ。
というケイトの予想を裏切って、彼はレイプの翌日から普通に生徒会に顔を出して雑務の手伝いをするという無神経さを見せつけた。みつ子の隣で雑談しながらノートパソコンを叩き、資料を作成している。
「へえ、三国志が好きなんですか」
「う、うん」 と、どこか距離を測るようにみつ子。 「ひょっとしてなんだけど、詳しかったりする?」
「いえ全然。マンガを読んだくらいしか」
「あーそうなんだ、ちなみに好きな武将とかは……」
「うーん、馬謖」
「え?」
「馬謖ですかね。地力はあるけど不器用な所とか、自信たっぷりなところとか」
「ふ、ふうん……変わってるね」
そんな様子をぶすっと頬杖をついて横目で盗み見るケイトは、面白くない。なぜかはわからないが、よく顔を合わせられるなと、その厚顔無恥さに呆れもする。もしも二人きりになったら、きっと獣のように襲い掛かってくる。今度こそ絶対に膣内射精させてくれと懇願してくるに決まっている。どうせ彼の頭の中の妄想では、幾度もわたしに種付けセックスをしているに違いない。ゆ、許せない。
「あの、会長」
「むにゃむにゃ、もう……ぅうん、飲めな……っは!」
「もう下校時刻ですけど、」
「え、ぅええ!?」
がばりと前腕を枕にうたた寝していた姿勢から立ち上がり、あたりを見回す。みつ子と彼がいない。
「二人は!?」
「バショクとかやらについてあれこれと話しながら帰りましたけど」
「いつ!」
「少し前、ですけど」
予断のない剣幕に押されながらリサが答えると、ケイトは慌てて室を飛び出した。
なんということだ。このままではみつ子が、生徒会書記の貞操が危うい。もっと憂慮すべきだった。女性と二人きりになれば彼は、と理解していながらこの体たらく。下唇を強く噛む。
女子寮のもっとも端に位置する彼の部屋へと向かい、乱暴にドアを叩いた。
「はーいはいはい、なんですか」 とドタバタとした物音の後に、扉が開かれた。そこにはパンツ一丁で、身体に汗と思わしき液体を滴らせていた。
手遅れ、だった。
正直ちょっと生徒会の仕事に支障をきたす場合が多いくらいの超ウルトラ級のドジっ子で、何度かイラッとすることもあった。けれどもひたむきに頑張る彼女の姿は尊敬に値するのも事実だ。
ケイトは彼を睨みつけ、押し殺した怒りを滲ませて言った。
「最低ね。わたしだけならまだしも、みつ子まで毒牙にかけるなんて」
「いや何の事かわからないんですけど」
「とぼけないで」
彼を押しのけて、おそらく涙に暮れているであろうみつ子を慰めるべく室に入る。が、どこにもいない。
「あれ? あんたに連れ込まれて無残にも犯されたみつ子がいないのだけれど」
これは奇妙だ、世の道理に反していると眉間にしわを寄せた。
「ひどい、おれのことを誰かれ構わず襲うような性犯罪者扱いしないでください。みつ子さんは普通に自室へ向かいましたよ」
「どの口が言う」 と、ジト目で彼の頬を引っ張る。 「わたしにしたことを忘れたとは言わせないわよ」
「ひがいますよ」 一歩下がり、ケイトの手をやんわりと振りほどいた。 「あれは会長だから襲ったわけであって、いやレイプだったのは確かですけど。なんと言うか、みつ子さんには会長ほど欲情をかき立てられなかったというか……まあ言葉で正確に表現できないのだから本能的な問題なんですよ、とにかく」
「じゃあなんで半裸なのよ」
「シャワー浴びてたんです。すごい勢いでノックされたから何事かと急いで出たもので」
「あ、そう。言われてみれば髪とかも濡れてる」
すっかり毒気を抜かれたケイトは、顎に手をやり、神妙さを演出して取り繕った。
「まあ、取り越し苦労とはいえケダモノと同じ寮でうら若き乙女が寝食を共にするわけだから、心配し過ぎるくらいが丁度いいでしょうけれど」
「意外に生徒思いなんですね」
「どういう意味よ。でもいいわ。あんたに犯された生徒はいなかったわけだから」
「目の前にいますけれど」
言われてケイトは、ようやく状況を冷静に取れた。ここは彼の自室で、部屋の主は下着一枚だった。高揚の微熱が波状に身体を打つ。
「そうね、あんたはわたしに何をしたんだっけ?」
悪戯な笑みで彼を床に正座させ、自分は椅子に座って高圧的に脚と腕を組んだ。
「すみません、強姦しました」
「ふうん、そうやって当たり障りのない単語一つで自分のしたことを無機質化するんだ?」
「そういうつもりはないです」
「じゃあ、詳しく言って」
「会長の脚を舐めさせてもらい、興奮してレイプしてしまいました」
「犯すくらいの脚だったの?」
「勃起してました」
「それで、脚の次はどこを舐めたんだっけ」
彼の男性器が下着を膨らませるさまに、ケイトは目を細めた。
「会長の、その、女性器を」
「わたしの脚を舐めただけで勃起するような変態おサルさんが、そんな賢そうな言葉つかっちゃだめ」
「会長の、まんこを舐めまわして、我慢できずにちんこを挿入してしまいました」
「これ?」 と、つま先で下着越しに先端を弄ぶ。さらさらのスルータイプのパンストに包まれた繊細な足指で、くにくにと熱い亀頭を言葉の棘に反して優しく揉んだ。 「この節操のない愚息はわたしを犯してどうなったの? 上手に言えたら、ご褒美をあげるけど」
ま、まずい。何かに目覚めそう。取り返しのつかない領域に。と一筋の冷汗を流して二人が同じことを思ったところで、会長を探すリサの声が廊下に響いた。同時に生唾を飲み込む、互いの喉の動きを見た。期待していた。
「きょ、今日はこの辺にしといてあげる」 いそいそと椅子から立ち上がり、ケイト。 「あ、そうそう。これプレゼント、鞄の中に入れといて」
中が見えない処理がされた、灰色のビニール袋をポケットから取り出して手渡した。
「なんですかこれ」
触ってみると、なにか布のような柔らかいものが入っているようだ。
「中は見ちゃダメ。あなたの物だから、その事を絶対に忘れないでないで。そうね、裏生徒会を潰すための布石かしら」
「裏生徒会?」
「実はこの学園には二つの生徒会が存在するの。わたしたち一般の事務を行う表の生徒会と、かなり横暴な権力を行使して学園規律を無理やり維持する裏の生徒会が。でも裏生徒会のやり方は強引過ぎて、好ましく思っている生徒は少ないわ」
「へー知らなかった。誰もそんなこと言ってなかったけど」
「ま、まあ悪口でも言おうものならプリズンと呼ばれる懲罰棟送りにされるかもしれないから、めったなことは言えないの」
「懲罰棟なんて施設があるんですか」
「とにかく、表生徒会としては裏生徒会を解散させて、学生にもっと自由な学園生活を送らせてあげたいの。そんなわけだから、協力してくれるわよね」
「まかせてください!」
彼はケイトの手を取って、目を輝かせて言った。
「脚を舐めさせてくれた時から優しい人だと思っていましたが、誰かの為に巨悪に立ち向かう勇気もあるなんて、やっぱり会長は天使ですよ! お掃除イラマチオもしてくれたし!」
「ば、ばか! 声が大きい! とにかく、何があっても表の会長であるわたしの名前を出さないでね。ほら、何かとマークされたら動きにくいから」
「わかりました。とにかくこの小さな布っぽいナニかが入ったビニール袋を鞄に入れておけばいいんですね」
「そういうこと、それじゃあええと、手を離してくれる? リサが探してるみたいだし」
「え、ああ、すみませんつい」
奇妙な沈黙が数瞬続いたのち、思い出したように電話番号を交換した後にケイトは室を出た。後ろ手にドアを閉め、そのまま寄りかかり、握られていた手をしばらく眺めた後に歩き出した。
途中でリサと合流したので、鞄を取りに生徒会室へと二人で戻る。
「まあ、たしかに。彼がみつ子を襲う可能性は十分に考えられますね。裏生徒会も、彼が浴場を覗くのではないかと懸念しているようですし。さすがです」
「ま、まあね」
「ところで話は変わるんですが、生徒会室でどのような夢を見ていたのですか? 寝言でもう飲めないとかなんとか」
それを聞いて、ケイトは顔の紅潮を見られてはと足を速めて一歩前を歩いた。
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基本的には真面目な彼がいたって普通に授業を受けていると、ズボンの生地越しに携帯端末の着信を知らせるライトが点滅している事に気付いた。ちらと教師を確認してからメールを盗み見るとケイトからだ。
『次の授業時間中に一階の東側にあるお手洗いに集合すること。十分くらいしたら教室に帰ってよし』
了解の意を返信する。次の時間割はPCを使うので移動教室だった。予定通り、教師に腹痛を訴えて所定のトイレへと向かう。学内で数少ない男子トイレの個室に籠り時間の経過を待った。去り際に窓の外を見やると、すぐ近くの温室プールで水泳の授業があるようだ。
すごい、さすがはお嬢さま学校なだけあって室内プールも完備してあるとは。とてもではないが現実味がない。しかし噂に聞くところによると、クリスマスの約束を女性にすっぽかされたという悲しい過去を持つ男が通う輝日東高等学校にも室内温室プールはあるらしいし、なんと言ってもここは八光学園なのだった! 再考してみれば、懲罰棟があるんだから温室プールがあってもなんらおかしくはない。
ひょっとしたら会長がトイレでセックスさせてくれるのでは? と淡い期待を胸に抱いていた彼は、結局すごすごと教室に戻った。
ケイトはというと、彼が時間を潰していたトイレのすぐ近くで水泳の授業を受けていた。合同授業ゆえに、万里と、副生徒会長である芽衣子と同じプールで。
白く滑らかな肢体と背をさらす学校指定の競泳水着に身を包み、飛び込み台に立ってケイトはほくそ笑む。
「気味の悪いやつだ、何がおかしい」
隣の台に立つ芽衣子が、視線を向けずに言った。
「別にぃ。あいかわらず、おっぱい大きいんだ。そんなので泳げるの?」
「そんな安い挑発に乗ると思うなよ、会長には指一本たりとも触れさせん」
「ややこしいのよね、裏生徒会の万里も会長なんだもん。それより大丈夫? 学園唯一の男子が女の子に変なことしてない?」
「何が言いたい」
「ほら、思春期の男の子の性って、ついうっかりお風呂を覗かせたりするかもだし。そうなったら裏生徒会は、ちゃあんと彼を懲罰棟、プリズンに……その……入れる、のよね」
芽衣子はなぜケイトが、入れるという単語をどもらせたのか訝しんだが、まあいいと切り返す。
「当然だ。会長は容赦なく実行する」
「ふうん、それなら安心した。でも芽衣子ちゃん、気を付けてね。男の子って、おっきなおっぱいが好きなんだって」
「……きさま」
呪うような芽衣子の視線を、教師の笛の音が断ち切った。その飛び込みの合図に従って水中に身を潜らせたケイトは、心中で付け加える。もっとも、彼は胸よりも脚なのだろうけれど、と。
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放課後、彼は今日もまた表生徒会室に向かう途中に校内放送で職員室に呼び出された。かと思えばタライ回しに裏生徒会室へと教師に案内される。本当にあるんだと、うさんくさい表札を見上げる。ノックをして入室すると、内装は裏生徒会と大差ないようだ。正面のデスクには黒い長髪を几帳面に左右に分けた、いかにも生真面目そうな女性。左にはボブカットでスカートの下にジャージを履いた、スレンダーな体系をした子。右には灰色の髪をアップに纏めた、右には――
「うわぁ痴女だ!」 と彼は思わず近くにいたケイトへ動揺して言った。
「なんてこった! とんでもなく豊満な身体なのにブラウスのボタンをへその上あたりまでしか留めてないし、明らかにノーブラだし、スカート丈とか歩いたら見えるくらい短い! しかもメガネ! 間違いない、会長、痴女ですよ……あれ、なんで会長がここにいるんですか?」
それは、と生真面目そうな女性が答える。
「彼女にも同席してもらった方が何かと都合がいいと思って、わたしが呼んだのよ」
「はあ、それでおれに何の用が」
「実は今日、芽衣子の下着が盗まれるという事件があったの」
ちらと痴女へと視線をやる。
「てことはいま履いてないんですか!? ひええ、会長、いよいよを持って痴女です」
「既に新しいのを履いているに決まっているだろうが」
芽衣子と呼ばれた痴女は威嚇するように教鞭を弄んでいる。馬用の鞭の気もする。
「まあまあ、落ち着いて」 とケイト。なだめるように彼に言った。 「それでね、この芽衣子ちゃんが水泳の授業中に盗まれたらしいんだけど、ちょうどその時間にあんたがPC教室を抜け出したって話らしいじゃない?」
「なるほど、つまりおれが痴……芽衣子さんの下着を盗んだという、あらぬ疑いを掛けられている訳ですか」
「ケイトは余計な口を挟まないで。言葉から察するに、あなたは否定の立場を取るわけね」
「もちろんです、おれは芽衣子さんの下着なんて盗んでいません。授業の合間にトイレへ向かったのは事実ですけれど。ええと……」
「栗原万里よ。でも一応は裏生徒会として疑いを晴らしておきたいの。あなたの鞄の中身を確認させてもらってもいいかしら? 盗んだ後に別の場所へ保管している可能性もあるけれど。一応、ね」
彼は図図しく、裏生徒会長を名で呼んで鞄を芽衣子に手渡した。
「かまいませんよ、万里さん。それで潔白を証明できるなら。栗原……学園長と同じ苗字ですがひょっとして」
「そうよ、だからかしらね。裏生徒会の会長をやっていられるのも」 皮肉めいた口調で、ケイト。
「個人的には会長が二人いて実に呼びにくいです」
芽衣子があらかた彼の鞄を物色し、花と呼ばれたボブカットのスレンダー少女が、彼のブレザーなどのポケットをチェックした。
「衣類には隠し持ってないみたいですよ」 と花。
「鞄にも見当たりません」 と芽衣子。机の上に教科書やらを並べ、入念に調べている。 「……いや、なんだこの灰色のビニール袋は」
明らかに何か小さい布が入っている感触。手を入れ、中身を中ほどまで取り出した後に彼の足もとへと投げ捨てた。誰がどう見ても細い紐のような黒いTバックが袋から零れかけている。
あらあら、とわざとらしくケイトが口元に手をやってうろたえた。
「こんなえっちな下着を履くのって、新陳代謝がよくて汗っかきの芽衣子ちゃんくらいなものじゃない? かいた汗を拭きやすいから露出の多い格好をしてるらしいけど。ねえ、これ、盗んでどうするつもりだったの? 芽衣子ちゃんの汗と香りがたっぷり染みついた下着を自室に持って帰って、何をするつもりだったのかしら」
えそれまじ? それまじで言ってんすか? という視線をケイトに送ってみるが小悪魔な笑みで黙殺される。
代わりに花と芽衣子が幽鬼じみた表情で彼を見据えた。万里の一声があれば、すぐにでも彼に敵意を物理的にぶつけてきそうな気配。
「なにか反論は?」
万里は凍てついた瞳で彼を捉えて言った。
「いやおれは、でも」
救いを求めるようにケイトを見やる。つつ、と小さくて丸い踵を上履きから覗かせていた。彼はごくりと喉を動かし、その脚の挙動で覚悟を決めて言いつけを実行した。
「これは、おれの私物です。おれは、芽衣子さんの下着を盗んでいません。PC教室からは教師の許可を経てトイレへ向かっただけです」
「見苦しいわね」
「いえ、罰せられることには抵抗しません。意思を伝えただけです。おれが万里さんの立場でも、おれは怪しいし、見苦しいと思うでしょうから。ただ――」
「ただ?」
「芽衣子さんの常用している下着が、本当に紐のようにきわどいTバッグなのかどうかは確認させてください。おれは入学したばかりで学校の事情には詳しくありません。けれど表裏それぞれの会長であるケイトさんと万里さんは不仲であるというのは、この場の些細な会話からでも感じ取れました。また、おれが部活の勧誘を断って表生徒会のドアを叩いた事は他の生徒にとって周知の事実であるという事を加味すると、万里さんが表生徒会に近づいたおれを陥れる事で、その組織の長であるケイトさんにまで責任追及をするつもりなのかもしれない」
――ただ、せめてこのくらいの役得は欲しいと彼は論戦を仕掛ける。下半身に食い込むTバックを見るくらいしなければやってられない。プリズンに収容されるという事はエロ本も持ち込めないだろうから、目に焼き付けてオカズにさせて貰おう。
そんな下心を知らないケイトの瞳が、僅かに狼狽の色を見せた。この状況で、彼はこの身を案じているのか。陥れたこのわたしを。
「きさま……会長を侮辱するかっ!」
「待ちなさい、芽衣子」
今にも取って食わんとする芽衣子を、万里が諌めて冷静に答える。
「つまりあなたは、わたしたちがあなたを下着泥棒に仕立て上げる事で、近しいであろうケイトおよび表生徒会を窮地に立たせようとしている、と考えているのね」
「可能性の話です。そもそもあなたたちは、きわどい下着は芽衣子さんの下着であると固定観念から決めつけているけれど、おれはその事を知らない。だから納得できない。芽衣子さんの下着が盗まれたのが事実でも、問答無用でおれの持っていたTバックが芽衣子さんの下着であるということは受け入れられない。罰は受けます、客観的におれが犯人です。覆す論証も物証もない。けれどもせめて納得したい。もし本当に芽衣子さんが常用している下着が、きわどいTバックであるなら今も履いているはずです」
彼の言い分は極めて正論で、そのロジックを理解するには冷静な思考が必要だった。たしかに彼を除いた女生徒だけが、芽衣子がTバックであると知って罰するのは不公平だ。落ち着きを取り戻した芽衣子が、いいだろうとスカートを捲り、くるりと後ろを向いた。
僅かに恥部を隠すのみの下着が、腰肉に食い込んでいる。ぷるりと齧り付きたくなる尻肉が揺れた。
「わかりました、ありがとうございます。初対面の男に下着を晒すなんて耐え難い恥辱だったでしょうが、おかげで納得できました」
「下着ドロ風情が、お縄にかかると急に真摯に振る舞うな。それで同情を買うつもりか? 会長」
「そうね。この男をプリズンへ連れて行きなさい。言っておくけど抵抗は無駄よ、花は空手のインハイでベスト4の実力を持っているし、芽衣子の身体能力も並はずれているから」
その二人に付き添われ、彼は裏生徒会室を後にした。残ったケイトに万里が問いかける。
「弁護しないのね」
「なぜ? 彼とは何の関係も……ないわ。入会の書類すら提出されていないもの。表生徒会を糾弾しても無駄よ。それよりこれ、大事に保管しておいた方がいいんじゃないの? もう彼にたっぷりと悪戯、された後かもしれないけれど」
足元に転がるビニール袋に、はみ出ている下着に触れないように収めると万里に差し出した。
「これ、もちろん裏生徒会が保管するのよね? 大切な証拠品ですもの」
万里は嫌悪に歪んだ表情で、なるべく端を持つように受け取ると重要書類を収める鍵付きの引き出しへと収めた。あとで机ごと交換しなければ。
「じゃあわたし、今日はチア部の練習があるから」
――彼には部活が出来ないくらい生徒会は忙しいと言っていたのに――
それだけ言ってひらひらと手を振り、退室したケイトの背を見送って万里は思考を巡らせる。
案の定、彼はセクシャルな問題を起こした。てっきり風呂でも覗くかと思ったが窃盗に走るとは。やはり男というものは度し難い。
当初はケイトが嫌がらせ目的で芽衣子の下着を更衣室で盗んだのかと思った。授業前は芽衣子より後に更衣室を出て、授業後は先に更衣室へ戻ったのだから犯行のチャンスはあった。
しかし着替えの際にパンティが無くなったとすぐに気付くのは当然で、すぐさま更衣室内でケイトの水着袋や制服を検めたが見つからなかった。
そこで彼が授業中に抜け出したという情報を得て召集したに繋がる。表生徒会に入会したがっているようだったので、何かしら表との関与があるかと思ったが、ケイトはあっさりと彼を切り捨てた。
ケイトもわたしと同じく、男を排除してしまいたいという目的があり、利害が一致したにすぎないのだろか。
席を立ち、背後の窓から校舎に四方を囲まれた中庭のど真ん中というはた迷惑な場所にぽつんと建つプリズンへ、花と芽衣子に連行される彼を見下ろした。
校内に残っていた学生の一人が連行に気づき、ほんの少し騒ぎになると文化部などが何事かと廊下に顔を出し始める。
ざわめきと奇異の視線を受けて、彼は前を行く芽衣子の肉付きのよい太ももに食い込むニーハイを眺めながら入獄した。
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「やだー下着ドロ? きもくない?」
「ほんとほんと、昨日の放課後に花さんと芽衣子さんに連れていかれたんだって」
「きもいっていうか、気持ち悪い。やっぱり共学なんてしないほうがよかったんじゃ……」
適当に廊下を歩くだけで耳にできるほどに、男に対する嫌悪感は広まっているようだ。万里は教室に向かう道すがらに思った。やはり男をこの学園に招き入れたのは間違いだったのだ。しかしとどこかささくれ立った疑念が残らないでもない。
「ていうか、ばかじゃん。教室を一人抜け出したらバレるに決まってるし」
その浮かんで当然の主張に、女生徒たちはきゃらきゃらと彼を小ばかにしている。それが万里の喉に刺さった小骨でもあった。先日、芽衣子のパンティを見せてくれと要求した理路整然としたロジックがそれである。
機転が利くのと偏差値の因果関係はあると断定はできないが、無関係ではない。
周囲は敵ばかりの閉鎖空間と決定的な証拠品、後ろ盾はない。誰もが狼狽してしまいそうなあの状況で、冷静に事態を客観視し、正当な論を述べてみせた思考力は確かだ。それは実体験した。
にも関わらず、あまりにも犯行が稚拙すぎる。この矛盾はいったい? 指折りの進学校である八光学園に入学してみせた頭脳に似つかない短絡さが気になる。
もう一度会って、話をしてみる必要があるかもしれない。
万里は今日、彼が獄に服しているプリズンへと向かう事を決めた。
次回こそ タイツ。それも厚手で黒 (1)
明日か明後日くらい