「女子をくすぐりてぇーーー!!!」
放課後の予備校舎、誰もいない空き教室にジュリアンの絶叫がこだました。
頭を抱えて机に突伏す彼の背後に、パタパタと静かな足音が近づいてくる。
「くすぐり……? 手伝おうか?」
振り返ると、そこには猫フードのパーカーをかぶった少女、超高校級のゲーマー・七海千秋が立っていた。手には使い込まれた携帯ゲーム機が握られている。
「な、七海!? なんでここに……ってか『手伝う』って何を!?」
「ん……ジュリアンくんが女子とくすぐりしたいなら、攻略ルートを考えないとだよね。ゲーマーとして、そのクエストを見過ごすわけにはいかないよ」
七海は当然のような顔でジュリアンのお向かいの席に座ると、ノートとペンを取り出した。
「まずは、ターゲットの分析から。誰とどんなくすぐりを遊ぶか、しっかり計画(ルート)を立てよう」
こうして、ジュリアンと七海による「ジュリアンの才能のくすぐりと七海千秋の才能のゲームを利用して女子をくすぐりまくる作戦会議」が幕を開けた。
大まかな作戦は女子たちをゲームに誘い、隙があればくすぐりを仕掛けるというものであった。
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### 1. 赤松楓:テンポ重視の『リズム&音ゲー』ルート
「赤松さんなら、やっぱり音楽系かな。『太鼓の達人』とか『シアトリズム』みたいな音ゲーが良さそう」
「いいね! 超高校級のピアニストだし、音ゲーならノリノリでやってくれそう!」
「うん。でも、赤松さんは完璧主義なところがあるから、いきなり難易度『鬼』とか選ぶと熱中しすぎてジュリアンくんの存在を忘れるかも。最初は協力プレイモードで、ダブルスでスコアを稼ぐ作戦がいいよ」
「なるほど……『一緒にクリアしよう!』って一体感を出すわけだな」
「そう…!!そしてその一体感を利用して赤松さんをくすぐるっ!!」
「ええ…」
「うまい具合に挑発してさ…赤松さんがジュリアン君を忘れているところにいきなり赤松さんの脇腹や太ももを一気にくすぐりっ!!完璧主義な赤松さんはくすぐられてもゲームを途中でやめることは出来ずにジュリアン君の思うがままに…!!!!」
「おおっ!!!」
「まさに『こちょこちょ鬼モード』だね…!!!」
「くくく…今から楽しみだな…」
### 2. 舞園さやか:盛り上がり重視の『対戦型パーティゲーム』ルート
「舞園さんなら『桃太郎電鉄』とか『マリオパーティ』かな。アイドルだし、みんなでワイワイやるゲームが得意そう」
「うっ……でも桃鉄って、友情破壊ゲームって言われてないか? 貧乏神のなすりつけ合いで嫌われたらどうしよう」
「大丈夫。ジュリアンくんがわざと貧乏神を引き受けて『俺が舞園さんを守る!』ってやれば、イベント回収できるよ」
「それただのイケメンムーブじゃん! 採用!」
「そして…!!貧乏神を引き受けた見返りとして舞園さんをくすぐる!!」
「やっぱりそこ行くんだwww」
「当り前でしょ!!だってそのためのゲームなんだから…(鼻息が荒い)舞園さん…貧乏神を引き受けたお礼としてくすぐらせてくださいっ!!と言って脇腹や太もも…脇の下などをくすぐりまくるっ!!!人の好い舞園さんならジュリアン君のくすぐりを受け入れてしまう可能性もあるよっ!!」
「おお…!!それは楽しみだ…!!」
### 3. 罪木蜜柑:安心感重視の『スローライフ&協力Co-op』ルート
「罪木さんは、急かされたり対戦で負けたりすると『ご、ごめんなさいぃ!』ってパニックになっちゃうから……『あつまれ どうぶつの森』とか『Minecraft』みたいな平和な世界がおすすめ」
「あー、確かに! 一緒に島を耕したり、家を建てたりするやつか。癒やされそうだな……」
「ジュリアンくんが素材を集めて、罪木さんに家具を作ってもらうの。『罪木さんのおかげで助かったよ』って言えば、好感度大幅アップ間違いなし、だよ」
「なるほど…で、どうやってくすぐりに持っていくんだ?」
「ふふふ、ジュリアン君も好きだねぇ」
「七海さんもねっ!!」
「そうだね…まず、ジュリアン君、罪木さん、私のアバターを作り…二人で罪木さんのアバターをギュっと取り囲む…!!」
「ほうほう?」
「そして、ゲームでこうなったら実際に3人でくっつこうっ!!と言って現実でもくっつくっ!!」
「ほうほう?」
「そして二人で罪木さんを挟んでくすぐりまくるっ!!!」
「無理やりだなーwww」
「両サイドからくすぐられた罪木さんは大パニックになりつつも受けれてしまう…!!私たちのこちょこちょで悶絶する罪木さん…!!そのうち私たちの手は彼女のスカートの中にも侵入し…太ももや鼠径部…それ以外の部分も…!!」
「おおおおおおおっ!!!」
「最後に『罪木さんをくすぐれて楽しかったよ』この一言で彼女の好感度もアップだよっ!!」
「おおおおっ!!完璧な計画だ…!!」
### 4. 七海千秋:なんでもござれの『対戦格闘&レトロゲーム』ルート
「ちなみに……七海とは何やる?」
「私? 私はなんでもいいよ。……あ、でも『スマブラ』とか『ストリートファイター』とかやる?」
「七海相手に格ゲーなんてやったら、俺が1コマも動けずにハメ殺されて終わる未来しか見えないんだけど!?」
「ふふ、手加減はしないよ? ゲームは本気でやるから面白いんだし」
「…で?」
「・・・・」
「くすぐりはどーするの?」
「言ったでしょ?手加減なしでやるから面白いって」
「ふーん?」
手をわきわきさせるジュリアン。
「つまり…?格ゲーに集中してる七海をくすぐってもいいと…?」
「うん、もちろんいいよ。けど…その分、ジュリアンはゲームをプレイする手は止まるわけだから…その分私が有利だよね?」
「そうかな?くすぐられて悶絶してゲームどころじゃないかもしれないよ?」
「そこは超高校級のゲーマーである私の精神力、集中力も試されるね」
「ふふふ、楽しみだね」
二人は見つめ合った。
「くすぐりVSゲーマー」
プライドを賭けた戦いであるw
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ノートを書き終えた七海は、満足そうにそれをパタンと閉じた。
「よし、作戦立案完了。ジュリアンくん、まずは誰から誘ってみる?」
「よーし! 計画もバッチリだし、さっそく赤松さんに連絡してみるよ! ありがとう七海!」
ジュリアンが意気揚々とスマホを取り出したその時、七海がスッと自分のゲーム機の画面をこちらに向けてきた。
「あ、でもその前に……まずは私と『対戦』のウォーミングアップ、していかない?」
「えっ」
「はい、コントローラー。負けた方が今日のジュース奢りね」
「計画立ててくれたお礼に断れないヤツだこれーーー!!!」
「じゃあ…やってみよっか?一応ウォーミングアップって感じだから軽くね」
「軽く…か」
そして始まる格闘ゲーム。
言うまでもなく七海に勝てるわけなく追い詰められていくジュリアン。
「くっ…」
「どうする?このままじゃ負けちゃうよ?そろそろジュリアン得意の技を使ってみては?」
「・・・・・」
言うまでもない。
七海の言っているわざとは格闘ゲームの技ではない。
俺自身の技「くすぐり」だ。
俺は七海の脇腹めがけてつんつんとつついた!
びくっ!とする七海。
意外と弱い?w
つんつんっ!!
つんつんっ!!
平静を装っているが、姿勢は傾いているw
よし…!!次は…!!
耳に息を吹きかける
「ふーっ…」
ぞくっ!!としたのか七海はぶるっと震える。
コントローラーを止まる。
よし!このまま追い込むぞっ!!
七海のミニスカから出ているむき出しの太ももをこちょこちょ!!
「くふっ!?」
声出た!?
このまま行こう!!
こちょこちょ…こちょこちょ…!!
「~~~~~~~~!?」
よし!効いてる!!七海はゲームを操作できていないっ!!
太ももナデナデ…ナデナデ…
「あっ…!?」
び・く・ん♡
「よし!!」
「ジュリアン君…」
「ん!?」
「ゲーム終わったよ…」
息遣いが荒い七海。
顔はほんのり赤い。
「なんと!?」
「ふふふ、私の実力…舐めてもらっちゃ困るよ?」
七海はふんっ!と鼻息荒く自慢した。
「負けたか…」
「ふふふ、まあ、これはウォーミングアップだからね?」
「ふふ、まあ、じゃあ、本番は…明日…だな?」
「うん!!楽しみにしてるからね」
帰ろうとする七海。
俺はすっと後ろに立つ。
「?」と思う七海。
「七海…お前の弱点…俺は見つけてしまったぜ…?」
「弱点?」
「ここだっ!!」
俺は七海のスカートをめくる。
「・・・・・」
「ふっ…そう、超高校級のゲーマー…七海千秋!!お前の弱点は…太ももだっ!!」
「・・・・・」
「うんうん、やっぱりね…他の部分をくすぐった時とじゃ反応が違うのよ…!!明らかに弱点なのよね~」
「ジュリアン君…(拳をバキバキ鳴らす)」
「はっ!?」
夕暮れの教室に、ジュリアンの悲鳴と、七海の拳がジュリアンの顔に撃ちつける音が響き渡ったのだった。