ラッキースケベ・トラップダンジョン ~外れスキル『ラッキースケベ』のせいで転生早々追放された俺が、踏破率0%の鬼畜迷宮をエロトラップ化したら、いつの間にか王女と剣聖に激重感情を向けられてました~ 作:マテリ-AL
「いいか!? あの時出た言葉は決して本心とかではなく、あの首輪のせいで――」
「あ、ああ……分かってるよ」
「もう、それ七回目ですよ。コウヤ様もダンジョン内での出来事は忘れると言ってくださっているのですから、いい加減落ち着いてください」
腕をがっしり掴み、ぐちぐちとコウヤへ文句を言い続けるリラを、フィニアが宥める。だが、その視線は優しく……なんだかんだ二人の距離が近づいているのを、喜んでいるように見えた。
「大体貴様、ダンジョンの罠を歪める力があるのなら、もっといいものに変更はできないのか!? わざわざこんな……こんな罠にしなくてもいいだろう!? 制御できないというなら進化させろ! 今、すぐに!!」
「それは無茶だろ! というか、進化させたとしてどういう罠ならいいんだ!?」
「そ、それは……――もふもふがいっぱい、とか?」
「……ダンジョンで?」
コウヤの冷静な指摘に、リラの顔がかぁあと赤くなった。
「……っ! とにかくだな! そんなスキルをひっさげて、フィニア様に近づくな! フィニアを守るのは、私なのだから!!」
掴んでいる手を振り払うようにコウヤから離れたリラが、逃げるようにつかつかと先へ歩いていく。
瞬間、カチッという音がして――リラの姿が瞬く間に消えた。
「……は?」
「えっ」
二人の身体が驚愕のあまり、石像のように硬直する。先に動き出したのは、フィニアだった。
「――簡易的な転移罠っ! 魔力量的に、そこまで遠くには行ってないはずです! どこですか、リラ!!」
「……! あそこだ!」
コウヤが指さした先は、遥か頭上。岩肌に埋め込まれるように、リラが磔にされていた。その目は閉ざされており、気を失っているようだ。
「あんな上に、どうやって降ろしましょう」
『――クイズが終わるまで、景品を外すことはできません』
まるで感情のない声。同時に、二人とリラを包み込むように結界が展開され、二人は狭い空間から出られなくなってしまった。
「――!?」
突然聞こえてきた声の方へ、二人の視線が向かう。そこにあったのは、巨大な魔法ビジョン。ビジョンには、『ハッピー☆クイズタイム』という見出しと共に、以下の説明が並んでいた。
『形式は全て三択問題です。制限時間は十秒。回答者はこちらが指定します』
『五問正解で景品を授与、三問不正解で景品を破棄します』
『未回答、言葉や番号で答えを教えようとする行為は不正解と扱います』
「え、なんだこれ……」
「景品って、もしかしてリラのことですか……? 破棄って、つまり……」
「……どんな問題でも答えないとだな、これ」
こぶしを握りしめ、奮起する二人の目に、『一問目』の文字列が映る――。
『回答者:フィニア』
『フィニアの自慰頻度は、最も多い時に週に何度?』
『①:10 ②:20 ③:30』
「……え?」
あまりの問題に虚を突かれ、コウヤの喉から間の抜けた息が漏れた。とっさにフィニアの顔へ目を向けたコウヤは……彼女の瞳がこれまでにないほど泳いでいるのを見てしまった。
「え、え、じいひんどを……こうやさんのまえで? でも、こたえないと、りらが……」
『残り三秒』
「……っ!? さ、3番です!」
ビジョンに急かされ、フィニアが叫ぶ。フィニアの回答を受け取ったビジョンは……盛大なファンファーレと共に、眩く発光した。
『正解!! 現在、正解数:1 不正解数:0』
『解説:フィニアは王宮の地下図書室に籠って研究をする際、上手くいかないイライラを発散させるために自慰をする癖があるぞ! 転生者の儀の研究をしていた時は、初めのうちはまったくうまくいかなかったのと、転生者と恋仲になる妄想で、週に30回、多い時は1日7回も致してしまったようだ!』
「――そんな解説いりません!!」
フィニアの悲痛な叫びがダンジョン中に響き渡る。そのままフィニアは、顔を湯気が出るほどに熱くしながら、コウヤへ詰め寄った。
「あ、あのっ! だ、ダンジョン内のことは、忘れてくださるんですよね……!?」
「は、はい! わ、忘れます! だからその、次の問題に集中しましょう!」
コウヤの言葉通り、ビジョンには既に『二問目』という文字列が浮かんでいる。フィニアは歯を食いしばりながらもビジョンへ顔を向けた。
『回答者:コウヤ』
『フィニアのおっぱいの大きさはどれ?』
『①:おわん型 ②:さら型 ③:円錐型』
「うんっ!? オレがどう答えればいいんだコレ!? ご丁寧に各選択肢の図解まで付けてるけど、そもそも分からん!」
目を剥いて叫ぶコウヤ。だがそうしている間にも容赦なくカウントダウンは進んでいる。コウヤは申し訳なさそうな顔でフィニアの胸へ目を向けたが……服の上からでは分かるわけもない。
「え、えぇと……」
目を向けられたフィニアも照れながら戸惑っていたが……『残り三秒』という文字列を目の当たりにすると、何かを思いついたかのようにはっとし……コウヤへ向かって三本指を立てた。その意図を察したコウヤが口を開く。
「……! さんば――」
ブッブーッ!
不正解を表すアラームが鳴り響く。同時に、ビジョンがかちかちと瞬いた。
『不正解、数字で答えを教える行為は禁止されております』
『現在、正解数:1 不正解数:1』
『解説:正解は①です。確かに③は選択肢の中で一番巨乳の画像ですが、嘘を教えるのはいけません』
「ち、違います! 私は本当に、自分の胸はああいう形をしていると思ってたんです――!!」
目をぐるぐるさせたフィニアがビジョンへ向かって腕を振るう。だが、宙を切るだけで、全くの無為に終わった。
ここで、ゴォンという音が……上空で磔にされているリラの方から鳴り響いた。見ると、リラの身体の一部を岩壁ががっちりと拘束してしまっている。
「まさかあれが……不正解ペナルティ、なのですか?」
「もし三回間違えたら、あの岩で、リラが潰されるってことか……」
「――絶対、そんなことはさせません。もう、一問も不正解になってたまるものですか!」
三回間違えた場合の末路を察したコウヤが背筋を震わせ、フィニアがその拳を強く握りしめる。そんな二人をよそに、ビジョンは『三問目』という文字列を無機質に浮かべていた。
「行きましょう! どんな問題でも私は――!!」
『回答者:フィニア』
『フィニアが憧れとしている交尾は?』
『①:恋人のように抱き合いながらの、愛を囁き合う正常位
②:お尻を鷲掴みにされての、獣のような後背位
③:相手の全てを支配するような、射精管理付き騎乗位』
「わたし……はぁ……っ!!」
先程までフィニアの身体に漲っていた力がぷしゅ……と抜け、へなへなと地面に倒れ込む。だが、そうしている間にもカウントダウンは容赦なく続いているため……フィニアは地面に倒れ伏しながらも口を開いた。
「……に」
『もっと大きい声で』
「――っ!! 二番です!! 私は、後ろからずこぱこされる妄想が好きなんです……!!」
「ふ、フィニア様、そこまで言わなくても……」
引き気味のコウヤをよそに、正解のファンファーレは容赦なく鳴り響く。
『正解!! 現在、正解数:2 不正解数:1』
『解説:フィニアは愛する人には支配して欲しいタイプで、ケツデカな彼女にとって尻を鷲掴みにされるのはその象徴のようだ! 獣のように無茶苦茶にされるのも彼女の願望の一部。普段は人を導く立場だからこそ、ベッドの上では無茶苦茶にされたいみたいだ!』
「……見ないでください、コウヤさまぁ……!」
「あ、あぁ……」
コウヤに縋りつき、涙目で上目遣いするフィニアの圧に勝てず、コウヤは顔を背け、目を指で隠す。だが、ビジョンに『四問目』の文字列が映ると改めてビジョンへ向き合った。
『回答者:コウヤ』
『フィニアの陰毛の濃さはどれ?』
『①:つるつる ②:さわさわ ③:もさもさ』
「――画像付きとはいえ、回答を擬音にするな! というか、これもどうやって答えればいいんだ!?」
頭を抱え叫ぶコウヤ。だが、今度はフィニアの方へは目を向けなかった。どうやら、自分の頭で正解を導き出そうとしているようだ。
「……フィニアは王女様だし、身の回りのことはちゃんと処理しているはずだよな」
「…………っ!?」
コウヤの呟きを聞いたフィニアは、びくっと一瞬身を竦ませた。だが、すぐに気を取り直し、覚悟を決めたような表情をすると……。
「答えは、いちば――」
「――コウヤ様! こっちを見てください!」
「……? ……っ!?」
叫びによってフィニアの方を向いたコウヤは、目が飛び出しそうなほど驚いた。フィニアは、スパッツをずり下げ、下半身を丸出しにし……薄く生えた恥毛をコウヤへ晒していたのだ。秘部だけは両手で覆い、見えないよう隠しているが……そのせいでむしろ、余計に男の欲望を煽っているような体勢となってしまう。
「えぇっと……?」
「コウヤ様、その……回答を!」
「あ、ああ……! に、二番だ!」
コウヤが回答した瞬間、最早聞き慣れてきたファンファーレが響いた。
『正解!! 現在、正解数:3 不正解数:1』
『解説:研究中のフィニアは案外だらしないぞ! リラに怒鳴られたこともあるくらいだ! ちなみに、稀に自分で剃毛する時は、ついでにシャワーで自慰をするのも習慣になっているようだ!』
「ちなまないでください!! 絶対必要ない情報ですよねそれ!?」
スパッツをずり上げながら、フィニアはビジョンに向かって叫ぶ。そんなフィニアへ、コウヤが質問を投げかけた。
「今、フィニア様、オレに答えを教えて……」
「……はい。その、『言葉や数字で答えを教えるのは禁止』とあったので、直接見せるのはいけるのかなと試してみました。……できちゃいましたね」
「……そう、ですか」
頬を掻き、照れくさそうに話すフィニアに、コウヤは何と答えていいか分からず目が泳いでしまう。そんな二人をよそに、ビジョンは『五問目』を映し出している。
『回答者:フィニア』
『フィニアが将来欲しいと思っている子供の数は?』
『①:0 ②:5人 ③:10人』
「一番、0人です」
『正解!! 現在、正解数:4 不正解数:1』
『解説:エッチな妄想はいっぱいするけど、子供が生まれた後のことはあんまり考えられないようだ!』
「……フィニア様?」
即答したフィニアの無感情さといつもとは何かが違う解説文に、コウヤは言いようのない違和感を覚え、ついたじろいでしまう。そんなコウヤに、フィニアは初めて出会った時に見せたような、眩い太陽のような笑みを向けた。
「さあ、コウヤ様。最後の問題にしましょう!」
「……あ、ああ」
(……いや、リラの命がかかってるんだ。まずは目の前の問題に集中しないと)
フィニアのことが気になりつつも、コウヤは思考を切り替え、『六問目』と表示されたビジョンに向き合った。
『回答者:コウヤ』
『フィニアのファーストキスの相手は? この中にいない場合は、無回答でも良し』
『①:コウヤ ②:リラ ③:イケメン騎士団長』
「……やっと問題がマシになった。2か、3か。……どっちだ?」
思考を巡らせるコウヤとは対照的に……フィニアは頬をぷくりと膨らませ、つかつかとコウヤへ歩み寄った。
「随分意地悪な問題ですね。……コウヤ様、こちらを向いてください」
「……うん?」
コウヤがフィニアの方を向いたその瞬間、フィニアは――コウヤの唇を奪った。
「……ちゅっ」
「……っ!?」
「ふふっ、これで……答えは分かりましたよね?」
「……い、一番!?」
意地悪そうに微笑むフィニアから顔を背けるように、ビジョンの方を向いたコウヤが回答を行う。
すると……これまでより数倍豪華なファンファーレが辺り一帯に響いた。
『五問正解! 景品獲得おめでとう!!』
その表示を最後にビジョンは豪快に爆散。二人を包んでいた結界も消え……いつの間にかリラも転移前の位置に横たわっていた。
「……リラ、大丈夫ですか!?」
「う、うぅん……? ……はっ!?」
意識を取り戻したリラは勢いよく跳ね起き、フィニアへ向かって頭を下げた。
「も、申し訳ございません! あれだけ言っておきながら、敵の罠にかかるなど……!!」
「いえ、もともとこのダンジョンの罠は理不尽なものですから、仕方ありません。むしろ、リラを救うためにコウヤ様も尽力してくださったのですから……ちゃんと、感謝するように」
「……っ、その、あ、ありがとう。私がいない間、フィニア様を守ってくれて。だ、だが……! こうして戻ってきた以上、フィニア様を守るのは私だからな!!」
対抗心を燃やしたリラの言葉を、コウヤは薄い笑みと共に受け止めた。
「ああ、フィニア様のため、頑張ってくれ」
「……っ! これじゃまるで、意識しているのが私だけみたいじゃないか……っ」
「……うん?」
「何でもない! そ、それよりだな――!!」
小声で呟いたことをかき消すようにぶんと首を振ったリラは、人差し指をぴんと立て、二人へ尋ねた。
「私が意識を失っている間、変な夢を見たんだ。捕らわれている私を助けるため、コウヤとフィニア様がクイズに挑むという夢を。だが、その内容は何故かフィニア様に関する、その、えっちな内容で……」
「…………っ!?」
二人は「それは夢じゃない!」と顔に書いたように、同時に身体を強張らせた。だが、わざわざそれが本当のことだと言いだすこともできず……冷や汗を流しながら、フィニアが一歩前に出た。
「リラ、それは……ただのユメデス。ユメ、デスヨ……」
「そうか、夢か。安心した。流石にフィニア様のあんな秘密をコウヤが知ってしまったら……どうしようかと思っていたからな」
(……えっ、オレ、殺されるところだった!?)
動揺するコウヤをよそに、ほっと息を吐いたリラが周囲を見渡すと……驚きの声をあげ、ある一点へ指を突きつけた。
「あ、あれ! 次の層への階段じゃないか!?」
見ると先程の結界が消える際に隠蔽魔法を巻き込んだのか、いつの間にか下へ続く階段が露わになっていた。
「罠ではないか、私が確かめに行ってきます!」
先程の失態を取り返さんと、リラが足早に階段へ向かったため、コウヤとフィニアの二人が取り残される。
「…………」
(今なら、さっきのこと、聞けるんじゃないか?)
ここでコウヤは……先程の一連のクイズで抱いた違和感を、フィニアへぶつけることにした。
「フィニア様、さっきの五問目ですが――」
「――フィニア様! コウヤ! 罠などは特にありませんでした! 次の階へ行きましょう!」
だが、寸前でリラの呼びかけにコウヤの質問はかき消されてしまった。リラの呼びかけを聞いたフィニアは……。
「では、行きましょうかコウヤ様」
「……ああ」
いつも通りの笑顔をコウヤへ向けると、リラの待つ階段へ向かって歩き出した。
*
「ふざけんなあああああっ!! ボクは『王家の血塗られた秘密』を暴けって言ったんだ! 誰が『王女の隠されたヒ・ミ・ツ♡』を暴けと言ったァ!!」
最深部にて、オルドレアはまるで糸をめちゃくちゃに操られた人形のように、オルドレアは無軌道に暴れ狂っていた。ソファーはボロボロになって使い物にならなくなり、ワインセラーは倒れて中の赤い液体は全て地面に流れ出してしまっている。
「しかも、しかもしかもしかもッ!! あの蛆虫、王女の唇を奪いやがった! 唇は希少部位なのに、蛆虫がたかったと思いながら食うなんて嫌だぁあああああっ!」
顔中を掻きむしたせいか、整っていた顔は、見る影もないほど傷だらけになっていた。だが、それでも収まらないようで、オルドレアは三枚あるビジョンのうち一枚を叩き割った。
「もういい! こうなったらあの蛆虫をこの手でぐちゃぐちゃに殺し、肉の価値がこれ以上下がる前に王女を活〆にしてやる!! この怒りを収めるには――もう、それしかない!!」
オルドレアが古代魔族文字で『二層』と書かれたレバーを下げる。すると、部屋の中心に魔法陣が出現した。
「待ってろよ蛆虫……このダンジョンに入ってきたことを、惨たらしく死んだ後も後悔させてやる……!!」
魔法陣を踏みつけたオルドレアの姿が消える。
こうして、本来最深部で行われるはずの決戦は……予定を変更し、二層で行われることになってしまった。
【罠解説】
『ハッピー☆クイズ罠』
対象の秘密や内心を暴露し、仲間割れを誘発させる罠。
囚われたパーティメンバーを見捨てれば簡単に突破できるため、仲間割れの末にその手段を選ぶパーティがほとんど。
性癖をバラす前例はない。