ラッキースケベ・トラップダンジョン ~外れスキル『ラッキースケベ』のせいで転生早々追放された俺が、踏破率0%の鬼畜迷宮をエロトラップ化したら、いつの間にか王女と剣聖に激重感情を向けられてました~ 作:マテリ-AL
コウヤたちが『黒牢宝窟』を踏破した数日後、深夜。コウヤはフィニアと共に、かつて自分を追放した王城を訪れていた。コウヤの足取りは明らかに重く、その額から吹き出す汗は止まることを知らない。
「……本当に大丈夫だよな? いきなり牢にぶち込まれたりしないよな?」
「もう、何度言わせるのですか。予め話は通しておりますし。そもそも『白王紋』を取り返してくださった英雄様にそんな無礼は働けません!」
「……そう、かなあ」
「そうですよ」
誰もいない廊下を二人並んで歩く。照明の光は煌びやかだが窓から見える外は真っ暗で、それが余計にこの空間にいるのが二人だけだということを強調しているようだ。
やがて、二人がたどり着いたのは紋様が彫られた荘厳な扉。見上げるほどの高さを持つそれは明らかな威圧感を放っており、扉の前に立ったコウヤは身を竦めてしまう。
「では、行きましょうか」
フィニアが扉に手をかざして魔力を流し込むと、扉が発光をし、ギギギという重々しい音と共に開く。中にあったのは、厳重な封がなされた宝箱と……その傍らに佇む、白いあごひげを長く伸ばした壮年の男性――服装こそ質素だが、紛れもなくホワイトグレイス王国の国王だった。
その姿を見た瞬間、コウヤがビクッと後ずさる。だが、フィニアに背中を押され、改めて王様へ向けて一歩踏み出した。
そうして、二人が向き合ったその時……王様はコウヤへ向けて深く頭を下げた。
「――転生者殿! 我が娘フィニアの護衛及び『白王紋』の奪還、さらに我が国を蝕んでいた呪いとも言える魔族の討伐、その全てに心から感謝しよう!!」
国王から深々と頭を下げられたコウヤは……今度こそ困惑しきり、数歩後ずさった。
「え、えぇ……!? 王様がそんな、頭を下げては……!?」
「いいんですよ。ここには私とコウヤ様以外、誰もいませんので」
「……そういう、ものなのか?」
改めて王様を見ると、両の拳が強く握られており、その身体はわずかに震え、何か感極まっているように見える。ここでコウヤは『黒牢宝窟』へ向かう前にフィニアが話していたことを思い出した。
『『白王紋』の紛失により、王位継承権が不安定になりました。結果、お父様は王座に就くまでに……王位継承権を持つ兄弟姉妹と血で血を洗う殺し合いをすることになり、そして恐らく、私たちも同じ運命を……』
(オレ自身はあんまりピンと来てないけど、多分この人たちにとっては……何よりも重要なことなのかもな)
そんなことをコウヤが考えていると、王様が頭を下げたまま……今度は懺悔を始めてしまった。
「しかも、愚かにもフィニアの助言を聞き入れずスキルを外れだと断定し、あまつさえ追放までしてしまった我らを、転生者殿は寛大な心で許してくれた。……まさか、ここまで人格的に優れた人物だとは……」
「いや、まあ、それは……オレはフィニア様に協力しただけなので……」
(いや、正直オレのスキルはなんか使える部分があっただけで外れもいいとこだし、追放の原因は姫様相手にやらかしたからだし……結構オレに非があるんだけどな)
コウヤが言葉を続けられず言い淀む。その内心で渦巻いていたのは……釈然としない気持ちだった。そんなコウヤをよそに、王様は話を続ける。
「その上で、申し訳のしようもない。このことは公に出来ない以上、今の我らでは転生者殿の名誉回復ができない。忸怩たる思いだ――」
「――大丈夫です、お父様!!」
ここでフィニアが大きな足音を立てて意気揚々と前に出る。二人の視線が声のした方へ向くと、フィニアは両手を広げて演説を始めた。
「私が――いえ、私とリラがコウヤ様のお傍につき、支え、必ずやその名誉を回復させてみせます!! ホワイトグレイス王国、第三王女として!!」
フィニアが地面を蹴り、ワルツでも踊ってるようにその身体を一回転させる。暗い部屋で虹色に煌めくドレスがふわりと揺れ、本当にオーロラでも出ているかのようだ。
そんなフィニアを見た王様は顔を上げ……ほぅと息を吐いた。その目の端にはわずかに涙が浮かんでいる。
「そうか。研究にしか興味を持たなかったフィニアもついに……政事に興味を示すようになったか……! では、転生者については全て、フィニアに任せたぞ」
「はい、王女として転生者を国に繋ぎとめるため、尽力します!」
「…………」
コウヤはその言葉に、どことなく建前めいたものを感じたが、それを言葉にできなかったので、大人しく黙っていた。
「では、お父様、そろそろ……『白王紋』をお納めください」
「うむ」
フィニアが王様に『白王紋』を渡す。印璽を受け取った王様は二人へ背を向けると、宝箱へ手を当てた。すると、宝箱の封がゆっくりとだが確実に解かれていく。どうやらあの宝箱は、王様しか開けられないようになっているようだ。
そうして封が完全に解け、宝箱が音を立てて開き始める、その瞬間。
――フィニアがコウヤの唇へ優しく口付けをした。
「……んむ」
「――っ!?」
コウヤは声が出そうなほど動揺したが、王様に気づかれてはならないようにとすんでのところで押し殺す。
「ん、ちゅぅ、んむ……」
宝箱が音をたてて開いている数秒間、フィニアはまるで味わうように口吻を楽しみ……宝箱が開ききった瞬間、ぱっと離れた。
「ぷはっ。えへへ。これでお父様公認、ですね」
コウヤにだけ聞こえるよう呟くフィニアの目は確かな熱を帯びて潤み、緊張か熱情か、その頬は真っ赤に染まっていた。
*
ラピスの家にある自室へ戻ってきても、コウヤの顔の熱は引くことはなかった。王様相手には体調不良ということで通したが、フィニアが何を考えているかが分からず、あれからどうにも顔が見られないでいた。
「……また明日、考えるか」
寝巻に着替えたコウヤが目を瞑りながらベッドに飛び込む。すると……ぼふんっと布団とはまた違う、柔らかい何かに包まれるような感覚に襲われる。
「……うん?」
不審に思ったコウヤが目を開くと、そこにいたのは……スケスケな黒のネグリジェを着たラピスだった。コウヤが容赦なくベッドに飛び込んだせいでその距離はほぼ0となっており……豊かで柔らかな胸がコウヤの身体でむにゅんと潰れている。
ほぼ至近距離でコウヤと目を合わせたラピスは……頬を朱に染めながら顔を背けた。
「……ヘンタイ」
「……えっ、どっちが?」
困惑しきったコウヤがつい突っ込みを入れてしまうと、ラピスの顔はさらなる恥辱に塗れたが……やがて、覚悟を決めたかのように口の端を締めた。
「………………私はずっと、あなたの帰りを待ってたのよ。こういうこと、するために! したく、なったから……!!」
その言葉と共にラピスはコウヤの両頬をその手で押さえ、元々至近距離だった二人の唇の距離をさらに近づけていく。
「――お待ちください!!」
二人の唇が触れる寸前――バンッ! と勢いよくドアが開いて、白色のキャミソール姿のフィニアがコウヤの寝室へ飛び込んできた。
「フィニア様!? 客間で休まれていたはずでは!?」
「昂ってしまったので、夜這いしにきました!」
「帰れ」
ラピスの心からの拒絶を無視してフィニアはベッドに飛び込み、ラピスの反対側でコウヤへ身体をくっつけた。豊満な胸を持つラピスの身体に対抗するように脚をコウヤに絡ませ、ごん太な腿肉の感触が伝わるような体勢にする。
「……邪魔よ。早く自分の部屋に戻って寝てなさい。家主命令よ」
「それは聞けませんね。王女の権力を使うのはあまり好きではないのですが……今だけは使いたい気分です」
バッチバチに火花を散らしあう二人の真ん中で、コウヤは酷く居心地を悪そうにしていたのだが……やがて、あることを思い出すと、躊躇いながらもその口を開いた。
「そういえば二人とも、ダンジョンの外でオレにキスをしてきたりしてるが……その、なんでだ? オレのスキルのせいってわけではなさそうだし……」
「…………!」
自信なさげなコウヤの言葉を受けた二人は、目を大きく見開いた。だが、そこからの二人の行動には、大きな差があった。
「その……だから、察しなさいよ……」
ラピスは顔を真っ赤にしてもごもごと誤魔化すように呟くことしかできなかったが……。
「それは……英雄にはお姫様のキスが付き物、だからです!」
フィニアは満面の笑顔を浮かべながら、コウヤへ身を寄せていた。だが、その独自の切り口で放たれた言葉にコウヤはつい首を傾げてしまう。そんな彼を見たフィニアは、さらに言葉を付け足した。
「私はですね、コウヤ様は英雄になれると思っております。多くのダンジョンを踏破し、さらに多くの人々に幸福を与えられる、そんな英雄に。そして私は、コウヤ様といっぱいキスをしたい――じゃなくて! コウヤ様に自分が英雄になれるという自覚を持ってもらうためにまずはお姫様の口づけをするんですよ」
「お、おう……オレが、英雄に……か」
よくよく聞くと欲望が漏れだしているが、コウヤには『英雄になれる』という言葉の方が響いたようで、深く考え込んでいる。だが、やがて……コウヤは顔をラピスへ向けていた。
「ラピスも、似たようなものか?」
「わ、私は……その逆よ。英雄になんてなっても心労が重なるだけでしょう。だから、もしコウヤが疲れた時は……この家に帰ってきてほしい。コウヤにとってこの家は、何をしてもいい空間であってほしい。だから、その、何をしてもいいってことを身体に伝えるために、キスしているのよ。言葉にしてもどうせ、遠慮するでしょ」
しどろもどろで何か大切な部分をぼやかしているようなラピスの答弁だったが、コウヤは心底納得がいったように頷いた。
「ああ、そうだったのか。ずっと考える暇がないほど頑張ってきたけど、こんな素晴らしい未来と居場所が、いつの間にかできていたのか。……嬉しいなあ」
天井を見上げたコウヤが、これまでにないほど晴れやかな笑顔を浮かべる。
「…………っぅ!」
「う、これは……破壊力、ですね」
薄明のような優しさを湛えたその笑顔を不意に受け止めてしまった二人は……明らかに『灼かれ』、身体を震わせてしまった。
「…………」
二人はアイコンタクトで軽く意思を疎通すると……衣服に手をかけ、胸元を露出させた。乳房の先端にある桃色の突起は四つともぴんと勃ち、コウヤの方を向いている。
「――!? 二人とも、何をして……!?」
「これは、その……あなたのスキルのせいよ」
「ええ。ここから行われること全て『ラッキースケベ』が『ラッキースケベ』して、『ラッキースケベ』しているだけです。だから、コウヤ様は何も悪くないんですよ」
「そ、そうなのか。じゃあ、仕方ないか……」
ここで、二人の美少女は確信した。
――スキルのせいという名目で押せば、コウヤは何をやっても許してくれる、と!
二人がいそいそと既に蜜で溢れている下着に手をかけた、その時。
扉が勢いよく開き、ルゥリィとリラが部屋になだれ込んできた。
「――っ!?」
「お二方、もしかして……覗いてましたか!?」
慄く剣聖と姫に対し、妹と従者は口々に不平を口にした。
「お、お姉ちゃんだけ、ずるいです……! 私だって、コウヤさんと一緒に……」
「フィニア様! 流石に嫁入り前なのに男性と同じ寝室で寝るのはまずいです! せめて、その……私のような見張り役が、一緒でなければ……!」
二人の抗議を受けたラピスとフィニアは互いに顔を見合わせると……露出させていた胸をしまい、二人へそれぞれ手を伸ばした。
「……まあ、仕方ないわね。ほら、ルゥリィ、来なさい」
「――今日は、四人で寝ましょう。リラはこちら側へ」
「はい! コウヤさん、失礼します……」
「こ、これはその……コウヤがフィニア様に変なことしないかを見張るためで、別に他意は――!!」
改めてベッドに潜り込んだ四人はまるで命綱を掴むようにしっかりと、コウヤの身体にその身を寄せる。
コウヤはここでやっと、心の底から実感した。
自分はこの四人の美少女に、必要とされていることを。
それはコウヤが当初思い描いていた、スキルを使って誰かの役に立ちたいという想いからは、少し軟派な方向へずれた形になったが……。
「まあ、これもいいか」
ベッドに身体を沈めるコウヤの口角は、確かに上がっていた。
……尚、翌朝には、寝ているコウヤの無意識な責めによって四人全員が尻を並べてどろどろのぐちょぐちょにされており。
「んぉお゛……っ! ふざけ、ないで……。なんでまえより、うまくなってるのよぉ……っ!」
「はひゅっ……コウヤさまのスキル、すごいです……! んはぁ……もっといっぱい、けんしょう、したいです……!!」
「えへへ……コウヤしゃん……。んぅ、もっとわたしのえっちなところを……みてくだしゃい……!」
「おほっ、お゛っ……。きしとしてずっとくんれんをしてきたのにしらなかった……。わたしはこんなに、かいらくによわかったのか……!」
「えぇ……」
起き抜けにそれを見たコウヤは、せめてスキルをON/OFFできないかと考えたが、叶わぬ夢だったのは、言うまでもないことだろう。
完
これにて、本作品完結です。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
ただひたすらに『ラッキースケベ』へ向き合い、術式の拡張を行った本作ですが、もし気に入っていただけたのであれば、幸いです。
次回作は……新人賞向けの青春ラブコメとか書きそうです。
(こちらにも、投稿自体はするかも……?)
改めて、ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。
また、どこかでお会いしましょう。
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