少女二人パーティで挑む羞恥エロトラップダンジョン~でもこのダンジョン癖が強すぎる―!!~ 作:背骨ポキポキ
次の階段を下りた二人がたどり着いた地下九階。
そこは、これまでのダンジョンのイメージを完全に覆す、あまりにも予想外すぎる空間だった。
「……は? ここ、どこよ……?」
壁一面に貼られた妖艶なピンク色の壁紙、薄暗くオレンジ色に光るムーディーな間接照明、そして天井の魔水晶スピーカーから流れてくる、いかにもそれっぽい気だるげでロマンチックなBGM。
どう見ても、地上の人間が密会に使う「娼館(ラブホテル)」そのものの異様な空間だった。
フロアの入り口に掲げられた看板には、こう書かれている。
『地下九階へようこそ。ここまで本当にお疲れ様でした。
たまには二人で、ゆっくり愛を育んでみてはいかが……♡?
なお、このフロアは全三部屋の構成となっており、それぞれの部屋で「愛の試練」をクリアしなければ次のエリアへは進めません』
「な…… なんでこんなダンジョンの最深部に、こんないかがわしい部屋があるのよっ!」
アルメルは顔を真っ赤にして叫び、すぐ隣にいたミレイも「うそっ……!?」と両手で自分の真っ赤な頬を隠した。
「い、いやよこんなの! 私たちは別にそんな関係じゃないし、そもそも親友だし!」
「そ、そうだよ! あくまで一緒にダンジョンを攻略してるだけの……その、戦友なんだからねっ!」
お互いにブンブンと首を横に振り、必死に全否定する二人。
しかし、看板の予告通り、目の前には「第一の部屋」の重厚な扉が待ち構えており、その扉の横には電光掲示板でこう指示が示されていた。
『第一の試練:キングサイズのベッドにて、二人で朝まで仲良く同衾すべし』
「同衾って……一緒にベッドで寝るだけ!? 馬鹿馬鹿しいわね、こんなの簡単よ簡単!」
呆れ果てたアルメルは、部屋の片隅でムーディーな音楽を奏でていた蓄音機を見つけるやいなや、容赦なく杖でバキバキに叩き壊した。静寂が戻った部屋で、彼女は備え付けの簡易キッチンを見つけて、とりあえずの夕食を準備し始めた。
「ほら、ミレイ、突っ立ってないで食べるわよ。今日の献立は、携帯食料で作った『焦げ茶キノコのソテーと、よく分からない肉のスープ』よ。味は期待しないで」
「う、うん……お腹ペコペコだし、食べる……」
無言で質素な夕食をかっこみ、胃袋を満たした二人。
「はぁ……もう、今日一日で精神も肉体もボロボロよ。あんなアイス射的のせいでアタシの尊厳は地に落ちたし……もう寝るわよ、さっさと寝て朝になったら次の部屋よ!」
アルメルが投げやりな口調で宣言し、部屋の中央に鎮座するフカフカのキングサイズベッドへとダイブした。ミレイもその反対側に潜り込む。
その瞬間だった。
(プシューーーーーッ!!)
ベッドの周囲に隠されていた仕掛けから、ほのかに甘い香りを放つ「軽い催淫効果を持つピンク色の霧」が、部屋中に一気に噴き出した。
何も気づかないミレイがトロリとした目で潤んだ瞳を彷徨わせ、アルメルもまた、不自然な気だるさと疼きに身悶え始めた。
――しかし。
「……むにゃ……」
「……ふぅ……すぅ……」
霧が充満してわずか五秒後。
二人の口から漏れたのは、色気のない盛大な寝息だった。
人間、極限まで肉体的にも精神的にも追い詰められ、過酷な羞恥の試練でHPもMPも脳みそすらもすり減らしている時、いかなる発情の魔力も無力と化す。
そう、奴(性欲)は三大欲求の中でも最弱―……
あんなにエッチなトラップと絶頂の連続に晒された彼女たちであっても、今の身体が欲していたのは、甘い快楽などではなく「ただの泥のような睡眠」だったのだ。
催淫の霧が漂う中、二人は文字通り泥のように爆睡に落ちていった。
そして――翌朝。
「んん……っ……」
柔らかな朝日に包まれ、アルメルは心地よい目覚めを迎えた。
鳥のさえずり……の代わりにダンジョンの機械音が遠くで響いていたが、昨夜までの地獄のような疲労感は嘘のように消え去り、すっきりと軽い体調だった。
「ふぁあ……よく寝たぁ……」
伸びをしながら隣を見ると、そこにはまだスースーと可愛い寝息を立てて眠っているミレイの姿があった。
長い睫毛を揺らし、無防備に口をぽかんと開けて眠る親友の寝顔を見て、アルメルは思わずクスッと笑みをこぼした。
「まったく……昨日は散々だったけど、こうして見るとミレイも可愛いとこあるわよねぇ……」
温かい友情の感情が胸を満たし、アルメルはミレイの肩を優しく揺り起こそうと布団に手をかけた。
――その時だった。
「……ん? なんか、足元が……やけに温かくて、じめっとしているような……?」
嫌な予感に顔を引きつらせながら、アルメルは恐る恐る、二人の間にかけられていた分厚い羽毛布団をめくった。
そこにあったのは――。
「……は?」
寝ている間に制御が効かなくなったのか、ミレイの豊満な胸元から母乳が止めどなく溢れ出し、ベッドのシーツからアルメルのパジャマのズボンに至るまで、文字通り「ビチャビチャのグショグショ」に染め上げていた。
アルメルのお気に入りの寝巻きは、完全にミレイの母乳で水没していた。
「………………」
アルメルの頭の中で、何かがプツンと音を立ててブチ切れた。
「ミレイぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!!!」
耳をつんざくような絶叫が、ラブホテル風の部屋全体に響き渡る。
「ひゃうっ!? な、なに、朝ごはん……?」
「朝ごはんじゃないわよ!! なんなのこれ!! アンタ、寝てる間にどれだけ母乳を垂れ流してくれてるのよ!! アタシのパジャマが、ベッドが、全部アンタのミルクで水浸しになってるじゃないのよぉぉぉっ!!」
飛び起きて自分のびしょ濡れの姿を確認し、発狂寸前で青ざめるアルメル。
その横で、ミレイは自分の胸元からまだダラダラと垂れている母乳を見て、顔を真っ赤に染めながら「うそっ、私、寝てる間もずっとお乳出しちゃってたの……?」と両手で顔を覆った。
「やっぱり前言撤回よ!! こんなの愛の試練でも何でもない、ただのテロよ!! 朝から最悪だわよアタシの人生はぁぁぁーーっ!!」
ベッドの上で枕をボコボコに叩きながら号泣するアルメルと、平謝りしながら自分の胸を必死に押さえるミレイ。カオスすぎる地下九階の朝は、最悪のテンションで幕を開けたのだった。