※この作品はR-18です。

悪の秘密結社に転職しました。   作:みなぽん

15 / 18
女性戦闘員の日常と黒い魔人 ダーンオニーロック

朝六時三十分。

 

東京都心の地下深くに建設された、JAPASH第七地下作戦施設。その巨大な空間に、場違いなほど爽やかな音楽が流れていた。

 

『腕を前から上にあげて、大きく背伸びの運動から――』

 

ずらりと並んだ黒い戦闘服の男女が、一斉に腕を上げる。

 

「いち、に、さん、し!」

 

「ごー、ろく、しち、はち!」

 

天井には配管が走り、壁には「世界秩序再構築」「超人化技術の確立」「人類進化計画」といった物々しいスローガンが並んでいる。

 

その真下で、百人近い戦闘員がラジオ体操をしていた。

 

「……なんなんだろう、これ」

 

列の後ろで、新人戦闘員の女性が小さく呟いた。

 

名前は佐伯美咲。

 

二十三歳。

 

JAPASH入社三週間目。

 

昨日までは普通の会社員だった。

 

そして今は、悪の秘密結社の戦闘員である。

 

「佐伯さん、腕が下がってるよ」

 

隣から声をかけてきたのは、彼女のメンターを務める先輩戦闘員だった。

 

「す、すみません!」

 

「力抜いて。ラジオ体操で筋肉痛になったら午後の訓練きついから」

 

「……先輩」

 

「ん?」

 

「これ、本当に悪の秘密結社なんですか?」

 

先輩は少し考えた。

 

「うん。たぶん」

 

「たぶん?」

 

「世界征服とか政府転覆とか怪人開発とか、ちゃんとやってるから」

 

「ですよね……」

 

『胸を反らす運動――』

 

「でも朝はラジオ体操」

 

「朝はラジオ体操」

 

「……なんで?」

 

「健康経営」

 

「悪の秘密結社なのに?」

 

「悪の秘密結社だからって腰痛を放置していい理由にはならないでしょ」

 

美咲は黙った。

 

なんとなく納得してしまった。

 

「リアルでそれでいいんだ……」

 

「JAPASHは福利厚生いいよ」

 

「そこじゃないんですけど……」

 

ラジオ体操が終わると、戦闘員たちは一斉に持ち場へ散っていく。

 

美咲も更衣室へ戻り、黒い戦闘服に着替えた。

 

ロッカーを開ける。

 

ヘルメット。

 

通信機。

 

伸縮式警棒。

 

防護手袋。

 

予備バッテリー。

 

煙幕弾。

 

拘束用ワイヤー。

 

そして、胸元に取り付けるJAPASHのエンブレム。

 

一つひとつを確認していく。

 

「警棒、よし。通信機、よし。バッテリー……」

 

彼女はバッテリーを手に取った。

 

「残量、八十八パーセント」

 

「交換しといたほうがいい」

 

背後から先輩が覗き込んだ。

 

「え?」

 

「現場で八十八パーセントって微妙に不安だから」

 

「でも八十八ですよ?」

 

「ヒーローと戦ってる最中に八十七、八十六って減っていくと精神的に嫌でしょ」

 

「……それはそうですね」

 

予備バッテリーに交換する。

 

そこまでやって、美咲はふと思った。

 

自分は本当に、ここで働いているのだ。

 

入社当初は冗談のように感じていた。

 

JAPASH。

 

Japanese Association for the Pursuit of Absolute Super-Humanity。

 

超人化による世界秩序の再構築を掲げる秘密結社。

 

怪人を作り、兵器を開発し、政府機関へ工作員を送り込み、ヒーローと戦う。

 

履歴書には書けない。

 

親にも言えない。

 

友達には絶対言えない。

 

なのに給料は銀行口座に毎月振り込まれ、社会保険もあり、有給休暇まである。

 

先月など、健康診断の案内まで来た。

 

「……悪の組織って、もっとこう……」

 

「どうしたの?」

 

「いや。もっと非現実的なものだと思ってました」

 

先輩が笑った。

 

「実際働いてみると、意外と普通でしょ」

 

「普通……なんですかね」

 

「少なくとも、私はそう思ってる」

 

その時、館内放送が鳴った。

 

『作戦ブリーフィング開始十分前。第二会議室所属戦闘員は速やかに集合してください』

 

美咲の胸が跳ねた。

 

初めての実戦任務だった。

 

「……先輩」

 

「うん」

 

「私、今日出撃なんですよね」

 

「そうだね」

 

「怖いです」

 

先輩は笑わなかった。

 

「そりゃ怖いよ」

 

その一言が、妙に安心できた。

 

第二会議室。

 

巨大なスクリーンに、都市部の立体地図が映し出されている。

 

正面にはJAPASH戦術部の担当官。

 

そしてその横には、見慣れた人物がいた。

 

「阿久野快人……」

 

美咲は小さく声を漏らした。

 

黒い甲虫装甲。

 

額から伸びた一本角。

 

胸の中央で鈍く光る円形のグラビティコア。

 

怪人、アーク・カイバー。

 

JAPASH戦闘員たちの間では有名な存在だった。

 

元戦闘員。

 

現在は怪人。

 

そして何度もヒーローとの戦闘を生き延びている男。

 

快人はスクリーンを見ながら腕を組んでいた。

 

「今回の目的は、研究用コンテナの回収です」

 

戦術担当が説明する。

 

「戦闘員は施設への侵入、警備部隊の牽制、コンテナ搬出を担当します」

 

「ヒーローが来た場合は?」

 

誰かが質問した。

 

担当官は淡々と答えた。

 

「交戦を避けてください」

 

会議室が静かになった。

 

「……え?」

 

美咲が思わず声を出した。

 

担当官は続けた。

 

「皆さんの仕事はヒーローを倒すことではありません。任務を遂行し、生還することです」

 

快人がそこで口を開いた。

 

「ヒーローが来たら、とりあえず戦うポーズを取って、『イッーーーー!』と叫んで戦うと見せかけて、逃げろ」

 

低い声だった。

 

「戦闘員じゃ百パーセント勝てん。怪人が来るまで、絶対に無理するな」

 

美咲は思わず彼を見る。

 

「……でも、戦闘員って悪の組織の兵士ですよね?」

 

快人は少しだけ苦笑した。

 

「俺も最初はそう思ってた」

 

「でもな。敵側になってみると分かる」

 

会議室の空気が変わった。

 

「ヒーローって、ガチで怖いぞ」

 

出撃。

 

地下格納庫から大型輸送車が発進する。

 

美咲は窓の外を見ていた。

 

東京の夜景。

 

いつもと同じ街。

 

コンビニがあり、会社帰りの人間が歩き、タクシーが走っている。

 

その街の地下から、悪の秘密結社の戦闘員たちが出撃している。

 

「……私、本当に悪者なんだな」

 

隣の先輩が笑う。

 

「今さら?」

 

「今さらです」

 

現場に到着した。

 

作戦は順調だった。

 

警備システムを突破し、コンテナの搬出準備も整った。

 

ところが。

 

空から光が落ちた。

 

ドンッ!

 

道路が震えた。

 

美咲は振り返った。

 

六つの影が立っている。

 

赤。

 

青。

 

黄。

 

緑。

 

桃。

 

紫。

 

戦隊ヒーロー、ロクレンジャー。

 

テレビで見たことがある。

 

子供向け番組のような派手なスーツ。

 

決めポーズ。

 

必殺技。

 

笑顔。

 

美咲はそういうものだと思っていた。

 

だが。

 

実際に目の前にすると違った。

 

「……怖い」

 

赤いヒーローが一歩踏み出した。

 

その瞬間、空気が変わった。

 

「JAPASH戦闘員!」

 

声が響く。

 

「ここから先は通さない!」

 

次の瞬間だった。

 

仲間の一人が吹き飛んだ。

 

地面に転がった身体は、首が不自然な方向へ曲がっていた。

 

美咲には何が起きたのか分からなかった。

 

ただ、黒い影が地面を転がった。

 

「ロクレンジャーだ! あいつら、やばいぞ! 撤退!」

 

誰かが叫ぶ。

 

美咲は走った。

 

走って、走って、転んだ。

 

「いや……!」

 

背後から爆発音。

 

仲間たちが次々と逃げてくる。

 

さっきまで一緒にラジオ体操をしていた人たち。

 

装備を点検し、冗談を言い合っていた人たち。

 

その全員が今は必死だった。

 

ヒーローたちの攻撃は容赦がない。

 

まさにリアル鬼ごっこだった。

 

仲間たちが次々と後ろで倒れていく。

 

戦闘員の武装では歯が立たない。

 

テレビ画面の向こうでは分からなかった。

 

戦いというよりも、一方的な殺戮だった。

 

こちら側には、逃げるしかない人間の恐怖がある。

 

恐怖で足がもつれる。

 

ヒーローたちが迫る。

 

「美咲! 早く立ちなさい!」

 

「先輩!」

 

「お願い。この子はまだ新人なの。見逃してあげて!」

 

先輩が両手を広げた。

 

先輩は間違いなく殺される。

 

その後、自分も殺されるだろう。

 

赤いヒーローがこちらへ向かってくる。

 

返り血を浴び、まるで赤鬼のように見えた。

 

「ひっ……」

 

足が動かなかった。

 

その瞬間。

 

轟音。

 

巨大な黒い影が地面に着地した。

 

「そこまでだ」

 

アーク・カイバー。

 

その横に、白い翼が舞い降りる。

 

「スノウ・ホワイト、参上」

 

白鳥翼だった。

 

さらに巨大な影が道路を塞ぐ。

 

「新人さん、下がって!」

 

阿倍野遥香。

 

通天閣の怪人。

 

「ここからはウチらの仕事や!」

 

「子うさぎちゃんたち❤️もう心配いらないね」

巨大なバリアで、戦闘員たちを守る

ダーンオニーロック!2メートル以上の巨大の黒人だ。

 

美咲は呆然とした。

 

さっきまで怖かった。

 

逃げたかった。

 

自分なんて何もできないと思っていた。

 

だが。

 

怪人たちが前に立った瞬間、世界が変わった。

 

アーク・カイバーの拳がヒーローの必殺技を正面から受け止める。

 

スノウ・ホワイトが空を舞い、敵の攻撃を紙一重でかわす。

 

通天閣が地面を叩き、衝撃波が道路を走る。

 

ダーンオニーロックが剛腕でヒーローたちを殴り倒していく!

 

圧倒的だった。

 

「……すごい」

 

美咲の口から、自然と言葉が漏れた。

 

怪人たちは強かった。

 

怖いほどに。

 

そして、その背中が今は頼もしかった。

 

「新人!」

 

快人が叫ぶ。

 

「ぼーっとするな! 撤退するぞ!」

 

「は、はい!」

 

美咲は走った。

 

今度は一人ではなかった。

 

先輩が腕を引いてくれた。

 

撤退車両へ飛び込む。

 

ドアが閉まる。

 

走り出した車内で、誰もすぐには喋らなかった。

 

やがて美咲が小さく息を吐く。

 

「……生きてる」

 

先輩が笑った。

 

「それが一番大事」

 

「はい……」

 

「初陣どうだった?」

 

美咲はしばらく考えてから答えた。

 

「ヒーロー、怖かったです」

 

「だよね」

 

「でも……怪人、もっと怖かったです。でも強くて頼もしくて、守り神に見えました!」

 

「だよね。素敵だよね」

 

「もちろんです」

 

その夜。

 

任務を終えた戦闘員たちは、施設近くの居酒屋に集まっていた。

 

「かんぱーい!」

 

「お疲れさまでした!」

 

ジョッキがぶつかる。

 

美咲もビール……ではなく、今日はウーロン茶を頼んでいた。

 

「佐伯ちゃん、初陣お疲れ!」

 

遥香が肩を叩く。

 

「ありがとうございます!」

 

「いやー、今日は危なかったなぁ」

 

「本当に……」

 

「でも快人っちが来た瞬間、安心したやろ?」

 

「はい」

 

美咲は即答した。

 

「めちゃくちゃ安心しました」

 

その言葉を聞いていた快人が、少し照れたように笑う。

 

「別に俺一人で何とかしたわけじゃないよ」

 

「はいはい、謙遜せんでええって」

 

遥香が笑う。

 

その時、店の入口から低く落ち着いた声が聞こえた。

 

「ずいぶん楽しそうだな」

 

全員が振り返る。

 

そこに立っていたのは、黒いスーツを着た大男だった。

 

身長は二メートルを超えている。

 

肩幅は広く、分厚い胸板と太い腕は、スーツの上からでも隠しきれない。

 

黒い肌。

 

整えられた短髪。

 

口元には余裕のある笑み。

 

怪人、ダーンオニーロック。

 

巨体に似合わず、仕草は驚くほど優雅だった。

 

「ダーンさん?」

 

美咲が声を漏らす。

 

「やあ、佐伯さん。初陣、お疲れさま」

 

「どうしてここに?」

 

「みんなが打ち上げしてるってね。少し顔を出したくなった」

 

ダーンは店内を見回し、空いている席を見つけた。

 

「隣、いいかな?」

 

美咲が返事をする前に、先輩が軽く手を上げた。

 

「どうぞ」

 

ダーンは二人の間に座った。

 

その巨体が入ると、居酒屋の席が急に狭く感じられた。

 

「今日は大変だったそうだね」

 

「はい……」

 

「それでも逃げ切った。立派なものだ」

 

ダーンは美咲をまっすぐ見て自然に言った。

 

「君は自分が思っているより、ずっと魅力的だよ」

 

「えっ……」

 

先輩が吹き出しそうになる。

 

ダーンは今度は先輩へ視線を向けた。

 

「もちろん、先輩もだ。新人を守るために立ちはだかった。あれは簡単にできることじゃない」

 

「いや、あれは……」

 

「君も十分に魅力的だ」

 

先輩の顔が固まった。

 

美咲は思わず隣を見る。

 

先輩の耳が赤くなっていた。

 

「ダーンさんって、いつもそういうことを言うんですか?」

 

「本当に思ったことしか言わないよ」

 

ダーンは笑った。

 

「ただ、思ったことを伝えないのは、少しもったいないと思っている」

 

話し方が上手かった。

 

押しつけがましくない。

 

相手の反応を見ながら、自然に距離を縮めてくる。

 

「それに、今日は君たちを労いたいと思ってね」

 

ダーンはテーブルの上に置かれた空のグラスを見た。

 

「この店の酒も悪くないが、せっかくならもっといいものを飲まないか?」

 

「もっといいもの?」

 

「私の家に、ヴィンテージのワインがある」

 

先輩が眉を上げた。

 

「家って、マンションですか?」

 

「そう。近いよ」

 

ダーンはスマートフォンを取り出し、車の手配を確認した。

 

「送迎も用意してある」

 

店の外に出ると、路肩に黒いレクサスが停まっていた。

 

艶のある車体。

 

磨き上げられたホイール。

 

運転席から降りた運転手が、静かに後部座席のドアを開ける。

 

「……自家用車ですか?」

 

美咲が尋ねる。

 

「そうだよ。怪人にも移動手段は必要だからね」

 

ダーンは先輩と美咲を先に乗せた。

 

「どうぞ。お嬢さんたち」

 

車内は広く、革の匂いがした。

 

走り出してからも、ダーンは二人の話を聞いた。

 

「私はね、仕事では大きな声を出すことが多い。だから私生活では、相手の声を聞くようにしている」

 

「なるほど……」

 

「美咲さんは、聞き上手だね」

 

「そうですか?」

 

「うん。相手の話を遮らない。目を見て、きちんと反応する」

 

ダーンはバックミラー越しに美咲を見た。

 

「そういう人と話すと、こちらも自然に話したくなる」

 

先輩が口を挟む。

 

「ダーンさん、かなり口が上手いですね」

 

「褒め言葉として受け取っていいかな?」

 

「もちろんです」

 

「それなら、君もかなり素敵な褒め方をするね」

 

先輩はまた黙った。

 

美咲は窓の外を見ながら、口元を押さえた。

 

やがて車は、都心の高級マンションへ到着した。

 

エントランスには大理石が敷かれ、壁面には間接照明が灯っている。

 

コンシェルジュがダーンを見ると、丁寧に頭を下げた。

 

「お帰りなさいませ」

 

「ただいま。今日は友人を連れている」

 

「ようこそお越しくださいました」

 

エレベーターは最上階へ向かった。

 

扉が開く。

 

そこには、広々としたリビングが広がっていた。

 

天井は高く、窓一面に東京の夜景が見える。

 

重厚な家具。

 

落ち着いた色合いの絨毯。

 

壁には抽象画と、年代物らしいレコードプレーヤー。

 

「……すごい」

 

美咲が思わず呟いた。

 

「気に入った?」

 

「はい。こんな部屋、初めて見ました」

 

「それなら、招いた甲斐があった」

 

ダーンは二人をソファへ案内した。

 

「くつろいで。ここでは仕事の話は忘れていい」

 

「でも、私たち怪人の家にお邪魔してますよね」

 

「そうだね」

 

ダーンは笑った。

 

「だからこそ、今夜は怪人と戦闘員ではなく、三人の友人として過ごそう」

 

その言葉に、先輩が少しだけ肩の力を抜いた。

 

ダーンは棚から一本のワインを取り出した。

 

ラベルには、見慣れない年代と産地が記されている。

 

「これは?」

 

「フランスのヴィンテージだ。私が長く保管していたものだよ」

 

「高そう……」

 

「値段の話はしないほうが、味を楽しめる」

 

ダーンは手際よくボトルを開け、グラスに注いだ。

 

深い赤色の液体が、照明を受けて静かに揺れる。

 

「まずは香りを」

 

美咲はグラスを持ち上げた。

 

「……果物みたいな香りがします」

 

「赤い果実と、少し土の香り。先輩はどうかな?」

 

「私は……木の匂いがします」

 

「いい感想だ。二人とも、感じたことをそのまま言えばいい。正解を当てる必要はない」

 

ダーンは二人のグラスを見比べた。

 

「ワインも人も、評価されるために存在しているわけではないからね」

 

「それ、口説き文句ですか?」

 

美咲が尋ねると、ダーンは堂々と答えた。

 

「そう聞こえたなら、成功だね」

 

先輩が笑った。

 

「開き直るんですね」

 

「私は自分の気持ちを隠すのが苦手でね」

 

ダーンは先輩を見た。

 

「君と話していると、もっと知りたくなる」

 

そして美咲を見る。

 

「美咲さんと話していると、もっと笑わせたくなる」

 

二人とも、返事に困った。

 

ダーンは急かさなかった。

 

ワインを一口飲み、二人の反応を待つ。

 

その余裕が、かえって二人を意識させた。

 

「……ダーンさんは、私たち二人を口説いているんですか?」

 

先輩が尋ねた。

 

「そうだよ」

 

あまりにも自然に答えたので、美咲は思わず目を丸くした。

 

「隠す必要があるかな?」

 

「普通は、もう少し遠回しにするものじゃないですか?」

 

「遠回しにして、相手に余計な不安を与えるのは好きじゃない」

 

ダーンはグラスを置いた。

 

「私は君たちに興味がある。魅力的だと思っている。もっと一緒にいたい。だから、そう伝えている」

 

先輩は困ったように笑った。

 

「ずいぶん進め上手ですね」

 

「相手が嫌がっていないかは、常に見ているよ」

 

ダーンはすぐに続けた。

 

「もし不快なら、今すぐ車を出す。ここにいることを強制するつもりはない」

 

その言葉に、美咲は少し驚いた。

 

強引に見えて、実際にはこちらの反応を細かく確認している。

 

話題を変えるタイミングも、ワインを勧める速度も、すべてが自然だった。

 

「嫌ではないです」

 

美咲が答えた。

 

「むしろ、楽しいです」

 

「それは嬉しい」

 

ダーンは微笑んだ。

 

「先輩は?」

 

「私も……嫌ではありません」

 

「それなら、今夜はもう少し楽しもう」

 

ダーンは立ち上がり、キッチンへ向かった。

 

「軽い料理を用意してある。ワインだけでは寂しいからね」

 

テーブルには、チーズ、ハム、オリーブ、焼きたてのパンが並べられた。

 

「いつの間に……」

 

「君たちが来ると分かってから準備した」

 

「用意がいいですね」

 

「女性を招くなら、それくらいは当然だよ」

 

ダーンは二人の皿に料理を取り分けた。

 

「美咲さんはチーズが好きそうだ」

 

「どうして分かるんですか?」

 

「さっき、居酒屋でチーズ料理を見ていたから」

 

「見てたんですか?」

 

「見ていたよ。君のことを知りたいからね」

 

美咲はまた頬が熱くなった。

 

先輩が小声で囁く。

 

「本当に上手いね……」

 

「聞こえているよ」

 

ダーンが笑う。

 

「でも、先輩もさっきから私のことをよく見ている」

 

「えっ」

 

「私のことが気になるのかな?」

 

「それは……大きいから目立つだけです」

 

「なるほど。では、目立つだけでなく、気になる男になれるよう努力しよう」

 

ダーンは冗談めかして言ったが、視線は真剣だった。

 

美咲はそのやり取りを見て、思わず笑った。

 

「ダーンさん、先輩のことも本気で口説いてるんですね」

 

「もちろん」

 

「私もですか?」

 

「もちろん」

 

ダーンは迷いなく答えた。

 

「二人とも、それぞれ違う魅力がある。比べる必要はないよ」

 

「それって、ずるくないですか?」

 

「ずるいかな?」

 

「普通は、どちらか一人に決めるものじゃないですか?」

 

ダーンは少し考えた。

 

「私は、誰かを選ぶために別の誰かを下げる必要はないと思っている」

 

そして、穏やかに続けた。

 

「ただし、二人が望まないなら、私はすぐに身を引く。私の気持ちを押しつけるつもりはない」

 

先輩はグラスを見つめた。

 

「……本当に、嫌ならやめてくれるんですか?」

 

「約束する」

 

「じゃあ……もう少しだけ、口説かれてみてもいいです」

 

ダーンの目が柔らかくなった。

 

「ありがとう」

 

美咲も笑った。

 

「私も、もう少し聞いてみたいです」

 

「それは嬉しいね」

 

ダーンはグラスを掲げた。

 

「では、今夜の出会いに」

 

「乾杯」

 

三つのグラスが触れ合った。

 

窓の外では、東京の夜景が静かに輝いている。

 

戦闘員としての一日。

 

ヒーローに追われ、怪人に救われ、命からがら帰ってきた夜。

その終わりに待っていたのは、豪華なマンションとヴィンテージワイン、そして話上手な巨漢怪人による、極上の口説きだった。

 

ワイングラスの中で揺らぐ深紅の液体が、部屋の柔らかな照明を浴びて宝石のように煌めいていた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

三本目のボトルが空に近づく頃には、美咲の頬はほんのりと熱を帯び、視界の端々が心地よく滲んでいた。裕美先輩も同様で、普段の戦闘服の上からでは想像もつないような無防備な笑顔を浮かべている。

 

「……それでね、入社初日に装備の腰ベルトが緩くて、走ったらズボンが……」

 

「あはは! 先輩、それダメすぎますよ」

 

美咲が笑い転げると、裕美先輩も釣られて身をよじらせた。その肩を、ダーンの太い腕が滑らかに抱き寄せる。

 

「君たちの失敗談も可愛らしいが、あまり無防備に笑うと……食べたくなるよ」

 

ダーンの低いバリトンが耳元で響き、裕美先輩の動きがぴたりと止まった。ワインの酔いと男の香りに包まれて、彼女の瞳が潤んだように揺れる。

 

「ダーンさん……それ、また口説き文句ですか?」

 

「事実を言っているだけだよ」

 

ダーンは微笑むと、裕美先輩の顎を指先でそっと持ち上げた。巨体からは想像もつかない繊細な指先の動きに、裕美先輩は抵抗しようとするが、体の力が抜けてしまう。アルコールのせいか、それとも彼の甘い吐息のせいか。

 

「先輩……」

 

美咲が心配そうに声をかけようとした時だった。

 

「美咲さんも見ていてくれ。君の先輩がどれほど魅力的か」

 

そう言うと、ダーンは裕美先輩の腰に手を回し、軽々と自分の太い膝の上へと抱き上げた。

 

「きゃっ……!」

 

小さな悲鳴を上げる裕美先輩だったが、その身はダーンの広大な胸板にすっぽりと収まってしまう。彼女の華奢な体は、まるで猛獣に愛撫される小鳥のようだった。

 

「怖がらなくていい。……感じてごらん」

 

ダーンが顔を近づけると、裕美先輩は逃げ場を失い、彼の瞳に吸い込まれるように目を閉じた。

 

唇が重なる。

 

最初は触れるだけの優しいキスだったが、すぐに深く激しいものへと変わっていった。ダーンの太い舌が裕美先輩の唇を割り入り、彼女の口内を余すところなく味わうように蠢く。

 

「んっ……ふぅ……んんっ……」

 

裕美先輩の喉から甘い吐息が漏れる。戦闘員として鍛え上げられた体が、男の愛撫一つで溶かされていくようだった。彼女の腕がおずおずとダーンの首に回り、その広い背中にしがみつく。

 

ダーンの手は休むことなく動いていた。裕美先輩の背中を撫で下ろし、そのままシャツの裾からするりと中へと滑り込む。

 

大きな手のひらが柔らかな肌の上を這い上がり、ブラジャーのカップ越しにふくらみを下からすくい上げるように揉みしだいた。

 

「あっ……!」

 

唇を離した瞬間、裕美先輩が背中を反らせて甘美な声を上げた。服の上からではわからなかった豊かな乳房が、ダーンの手の中で形を変える。

 

「硬くしているね。……ここはもう少しほぐしてあげないと」

 

耳元で囁かれながら、器用な指先がブラウスのボタンを一つずつ外していく。白い肌が露わになるたびに、ダーンの目は愛おしそうに細められた。

 

前がはだけると、ダーンはブラのカップを横にずらし、露わになった淡い桜色の頂に指を這わせた。親指で円を描くように擦り上げられれば、裕美先輩は切なげに眉を寄せて腰をくねらせる。

 

「やっ……ダーンさ……ん……そこ……」

 

「感じやすいね。戦闘員として鍛えている部分とは違う、女性としての敏感さが溢れているよ」

 

ダーンの手は優しく、しかし容赦なく彼女の快楽のスイッチを見つけ出し押し続ける。豊かな乳房を揉みしだかれながら、太ももの付け根を擦られ、裕美先輩はすっかり理性を手放してしまっていた。

 

美咲は隣でその光景を呆然と眺めていた。

 

先輩が男に抱かれている。

しかも相手は怪人だ。

本来なら信じられない光景のはずなのに、目が離せなかった。

 

ダーンの逞しい腕に抱かれ、快楽に身を委ねる先輩の表情はこれ以上ないほど淫らで、それでいてどこか神々しいほど美しかった。男の手に形を変える白い乳房。赤く熟れた唇から漏れる甘い声。部屋に響く水音と荒い呼吸。

 

(私も……あんな風にされちゃうのかな……)

 

美咲の心臓は早鐘のように打っていた。恐怖ではない。背筋を駆け上がるような甘い疼き。ワインの酔いが回っているせいか、目の前の光景がひどく魅惑的に映る。

 

「美咲さん」

 

不意に名前を呼ばれ、ビクリと体が震えた。

 

ダーンが裕美先輩を抱いたまま、美咲を見つめていた。その瞳は熱く爛々と輝きながらも、底知れぬ優しさを湛えている。

 

「君も……寂しい顔をしているね」

 

ダーンは空いている方の手を美咲の方へと差し出した。

 

「おいで」

 

その言葉は絶対的な命令のように響きながらも、抗いがたい甘い誘いだった。美咲はまるで磁石に引き寄せられるように、おずおずとその手に自分の手を重ねた。

 

巨大な手が彼女の手を包み込み、優しく引き寄せる。美咲はよろめきながらダーンと裕美先輩の元へと近づいていった。

 

「先輩……」

 

美咲が覗き込むと、裕美先輩は潤んだ瞳でこちらを見上げた。

 

「美咲……ごめんね……私もう……ダメ……」

 

その言葉は拒絶ではなく、快楽に負けた敗北宣言のように聞こえた。その表情を見て、美咲の中で何かが弾けた。

 

「いいんだよ。……君たちは二人で一つだからね」

 

ダーンが低く囁きながら、美咲の腰も引き寄せた。二人の女性の体温がダーンの巨体に集まっていく。

 

美咲はゆっくりと目を閉じた。ダーンの顔が近づいてくる気配を感じながら、彼女は自ら唇を突き出した。

 

ダーンの唇が美咲のそれを優しく塞いだ。

 

「んっ…」

 

先輩とは違う、深く濃厚なキス。ワインの香りと男の力強い吐息が混じり合い、美咲の思考をたちまち白濁させていく。舌が絡められ、口腔内をじっくりと蹂躙されると、膝の力が抜けてダーンの胸にしなだれかかった。

 

「可愛いよ、美咲さん。君の素直な反応がたまらない」

 

唇を離すと、ダーンはそう囁きながら美咲の黒いタートルネックの裾に手をかけた。するりと衣服が引き上げられ、白く華奢な上半身が露わになる。ブラジャーに包まれていない小ぶりで形の良い乳房が揺れ、部屋の暖かな空気に晒された。

 

「…恥ずかしいです」

 

美咲が腕で胸元を隠そうとすると、ダーンはその手首を片手で軽々と掴み、頭上へと押し上げた。

 

「隠さないでくれ。君の体はとても美しい。黒い戦闘服の下にこんなに艶めかしい肌が隠されていたなんて、世界は不公平だね」

 

ダーンの空いた片手が美咲の鎖骨をなぞり、脇腹を撫で下りて、スカートのファスナーへと伸びた。衣擦れの音とともにスカートが床に落ち、美咲は下着一枚の姿になった。

 

「ああ…見て」

 

ダーンの指先がショーツの上から秘所を押し上げるように撫でた。布地の上からでも分かるほどの湿り気。美咲はビクンと腰を跳ねさせた。

 

「もう濡れているね。先輩と私のキスを見て興奮したのかな?」

 

「ち、違っ…」

 

否定しようとした言葉は、ショーツの横から滑り込んできた太い指によって遮られた。

 

「ひゃっ!」

 

濡れた秘裂に指が触れた瞬間、電流のような快感が背筋を駆け抜ける。ダーンは濡れそぼった秘所を優しく開き、溢れた愛液を指全体に塗りつけると、一番敏感な粒を探り当てて円を描くように擦り上げた。

 

「あっ…ああっ! そこ…ダメっ!」

 

「いい反応だ。素直で可愛い。もっと声を聞かせておくれ」

 

ダーンは中指をゆっくりと膣内へ沈めていく。きつく窄める内壁を愛おしむように掻き回し、親指で上の突起を転がす同時攻めに、美咲はダーンにしがみつくことしかできなかった。

 

一方その頃、裕美先輩はダーンの太い腿の間に滑り込んでいた。

 

「はぁ…すごい…」

 

ダーンのズボンの前を寛げ、下着の中から猛り狂った巨根を解放した先輩は、そのあまりの大きさと熱さにうっとりと目を細めている。太く長く筋張ったそれは、先端から透明な先走り液を滲ませていた。

 

「先輩も欲しいのかい?」

 

「はい…食べさせてください…」

 

先輩は両手でダーンの一物を抱え込み、赤い舌を出して裏筋を根元から先端へとねっとりと舐め上げた。

 

「んっ…うぅ…」

 

まるでアイスキャンディーを味わうように、先輩は恍惚とした表情で亀頭に舌を這わせる。そして大きく口を開けてその先端を含み込んだ。

 

「おおっ…いいよ裕美。その舌使い…最高だ」

 

ダーンは手マンで美咲を弄びながら、フェラチオをしてくれる裕美先輩の髪を優しく撫でた。

 

「君の口の中は温かくて心地いい。戦闘員として鍛え上げたその唇で奉仕してもらえるなんて、私はなんて幸せ者なんだろう」

 

先輩は喉の奥まで肉棒を咥え込みながら「んぐっ…んんっ…」と甘い吐息を漏らす。頬を窄めて吸い上げるたびに、ダーンの腰が微かに揺れた。

 

「美咲さん…君も見てごらん。先輩がこんなに可愛らしい顔で僕を咥えているよ」

 

美咲は快感で潤んだ目で足元の先輩を見下ろした。普段は頼りになる先輩が、男の性欲処理に身を捧げている背徳的な光景。それがさらに美咲の興奮を煽った。

 

「あっ…あっ…ダーンさんっ! 変になりますっ!」

 

美咲の膣壁が激しく収縮し、ダーンの指を締め付ける。ダーンはさらに指を一本増やし、二本で内壁を擦り上げながら親指でクリトリスを強く押し潰した。

 

「いいんだよ美咲さん。変になってもいい。君の可愛らしいおまんこが僕の指をこんなに絡め取って飲み込んでいるんだ。もっと気持ちよくなっていいんだよ」

 

「ひゃぁぁっ! いやぁっ! 逝きますっ! 逝っちゃいますぅぅっ!!」

 

美咲は白目を剥きながらダーンの腕の中で激しく痙攣した。溢れ出した愛液がダーンの手とソファを濡らす。それでもダーンは指を抜かず、余韻に浸る内壁をさらに優しく愛撫し続けた。

 

「よくできました。美咲さん…とても可愛かったよ」

 

ダーンは絶頂の余韻でぐったりしている美咲の額にキスを落とし、そして頭を撫でてくれる裕美先輩を見下ろして微笑んだ。

 

「裕美もよく頑張ったね。君たち二人は本当に最高だ。さあ…次はもっと深く愛し合おうか」

 

ダーンはゆっくりと美咲の体をソファの柔らかいクッションに横たえた。

 

「少しここで休んでいておくれ。先輩を愛しに行かないとね」

 

「はい…」

 

美咲は快楽の余韻に浸ったまま、夢見るような目で二人を見上げた。

 

ダーンは裕美先輩に向き合い、広い手を差し出した。

 

「裕美…こっちへ来てくれるかい」

 

名前で呼ばれたことが嬉しかったのか、先輩は無言で頷き、ダーンの手を取って立ち上がった。残っていたシャツが肩から滑り落ち、白い裸体が夜景を背に浮かび上がる。

 

ダーンは彼女をソファに座り自らは腰を下ろした。そして太い腿をポンと叩いた。

 

「乗っておくれ。君の好きなように」

 

裕美先輩は迷わなかった。

 

ふわりとダーンの膝の上に跨り、がっしりとした肩に両手を置いて見下ろした。潤んだ瞳がダーンの目を真っすぐに見つめている。

 

「ダーンさん…私…」

 

「ん?」

 

「もう我慢できないんです」

 

そう言うと彼女は自ら腰を浮かせ、ダーンの猛りきった一物を手で導き、濡れそぼった秘裂の入り口にあてがった。

 

「いい子だ」

 

ダーンが腰を支える両手に力を込めると、裕美先輩はゆっくりと腰を落とした。

 

「あぁぁぁっ…!」

 

太い先端が秘裂を割り開き膣内へと侵入していく。きつく窄めた内壁が飲み込んでいくにつれ、裕美先輩は天井を仰いで甘い悲鳴を上げた。

 

「おおっ…裕美…きついよ。締め付けがすごい」

 

「んっ…んくっ…全部入りました…」

 

根本まで飲み込むと、裕美先輩は切なげに息を吐きながらダーンの胸に額を預けた。熱く脈打つ肉棒が膣内を満たしている感触に、彼女は震えていた。

 

「大丈夫かい? 無理はしなくていいよ」

 

「大丈夫です…動いてもいいですか?」

 

「もちろん」

 

許可を得た瞬間、裕美先輩は自分から腰を振り始めた。

 

ゆっくりと上下に。肉壁が引き抜かれ、再び沈み込むたびに、ぢゅぷっと淫らな水音が部屋に響く。

 

「あっ…あっ…! すごい…ダーンさんのが…奥まで来てる…」

 

「そうかい? じゃあもっと深く届けてあげよう」

 

ダーンは裕美先輩の腰を両手で掴み、下から突き上げるようにピストンを開始した。

 

「ひゃあぁっ! あっあっあっ!」

 

裕美先輩の甘い喘ぎ声が部屋中に響き渡る。ダーンは余裕を持って彼女の耳元に唇を寄せた。

 

「裕美…君の中はとても温かい。まるで私を迎え入れてくれているみたいだ」

 

「あっ…そうです…欲しかったんです…ダーンさんが欲しかった…!」

 

「嬉しいことを言ってくれる。君は本当に素敵な女性だよ」

 

ダーンはゆっくりと深く突き上げながら、裕美先輩の背中を優しく撫でた。その大きな手の温もりが彼女の背骨を沿って腰へと滑り降りる。

 

「んっ…あっ…ダーンさん…もっと…もっと深く…!」

 

「いいよ。全部あげる。君がどれだけ感じているか、この指が全部教えてくれているよ」

 

ダーンは裕美先輩の乳房を片手で揉みしだきながら、親指で乳首を円を描くように擦った。もう片方の手は腰を掴んでピストンのリズムを保っている。

 

「あっ! あっ! そこ…そこいいっ! 奥当たってる…!」

 

裕美先輩はダーンの首にしがみつき、自らも腰を使って奥へと奥へと誘い込んだ。二人の体が密着し、汗ばんだ肌が擦れ合う。

 

「裕美…もう少しだ。君と一緒にいきたい」

 

ダーンの声が少し息荒くなった。ピストンの速度が上がり、肉と肉がぶつかる音が激しさを増していく。

 

「あっあっあっ! ダーンさんっ! 逝きそうですっ!」

 

「いいよ。一緒にいこう」

 

「あっ…あぁぁぁっ! 逝くっ! 逝きますっ!!」

 

裕美先輩の体が弓なりに反り、膣内がダーンの肉棒を激しく締め付けた。絶頂の波が全身を駆け抜け、彼女はダーンの肩に顔を埋めて甘い悲鳴を噛み殺した。

 

「おおっ…!」

 

ダーンも限界が近かった。彼はピストンを止め、裕美先輩の腰を押し上げて離れようとした。

 

「裕美…外に出すよ。少し腰を浮かせて…」

 

紳士的な配慮だった。しかし。

 

裕美先輩は逃がさないとばかりに、ダーンの腰に自分の足をぐっと絡めつかせた。

 

「えっ…裕美?」

 

「ダメです…まだ離れないで…!」

 

「でも…中に出すと…」

 

「いいんです…! お願いします…ダーンさんの中に出してください…私の中に全部ください…!」

 

ダーンは驚いたように目を見開いた。だが裕美先輩の真剣な瞳を見ると、彼の瞳も熱く揺れた。

 

「…本当にいいんだね?」

 

「はい…お願いします…!」

 

ダーンは裕美先輩の腰を再び強く掴み、深く一突きした。

 

「あっ!」

 

ズンッと子宮口まで届く深い一撃。ダーンの肉棒が膣内で大きく脈打ち、熱い液体が噴き出した。

 

「くっ…! 出すよ…! 裕美っ…!」

 

「あぁぁぁっ! 来てるっ! ダーンさんののが出てるっ! 熱いいっ!」

 

ドクッドクッと脈打つ肉棒から何度も何度も白濁液が注ぎ込まれる。裕美先輩の膣内はそれを全て受け入れ、きつく締め付けて一滴も漏らすまいと蠢いた。

 

「あっ…あっ…! まだ出てる…! すごい…! お腹の中が熱い…!」

 

ダーンの射精は長く、量が多かった。裕美先輩の体がビクビクと痙攣し、絶頂の波が何度も押し寄せる。

 

「あっ…あぁっ…! 逝っちゃうっ! また逝っちゃうぅぅっ!!」

 

裕美先輩はダーンの胸に顔を埋め、全身を震わせて二度目の絶頂を迎えた。ダーンは彼女の背中を優しく撫でながら、最後の一滴まで搾り取るように腰をゆっくりと動かした。

 

「…裕美。すごかったよ。君は本当に美しい」

 

ダーンは汗ばんだ額にキスを落とした。

 

裕美先輩は息を切らしながら、それでもダーンから離れようとはしなかった。

 

「ダーンさん…温かいです…」

 

「ん?」

 

「ダーンさんの中身が…お腹の中で温かいです…」

 

ダーンは微笑み、裕美先輩の髪を優しく撫でた。

 

「君の温かさも伝わっているよ。これほど心から求められたことは生まれて初めてだ」

 

「…本当ですか?」

 

「本当だよ。ありがとう裕美」

 

ダーンは裕美先輩の顎を持ち上げ、柔らかく唇を重ねた。

 

二人が抱き合うシルエットが窓に映り込み、その向こうには東京の夜景が静かに瞬いていた。

 

ソファで横になっていた美咲はその光景をずっと見ていた。先輩の幸せそうな顔も、ダーンの優しい表情も、二人が重なり合う音も、全てが夢のように目に焼きついていた。

 

(先輩…すごく綺麗だ…)

 

美咲の胸が高鳴り、足の間が再び熱くなるのを感じていた。

 

「お願いです……私も……」

 

掠れた声が美咲の口から漏れた。

 

ダーンと裕美先輩の情事を見つめていた美咲は、ソファから身を起こし、這うようにして二人に近づいた。潤んだ瞳でダーンを見上げ、震える声で懇願する。

 

「私も……抱いてください……!」

 

ダーンは裕美先輩を優しく横たえ、美咲の方へ向き直った。その瞳には、慈しみと同時に昏い情欲の炎が揺らめいていた。

 

「もちろんだよ、美咲さん。君がそう言ってくれるのを待っていた」

 

ダーンは大きな手で美咲の腰を掴み、軽々と引き寄せた。そして彼女の体を反転させ、四つん這いの姿勢をとらせる。

 

「可愛いお尻だ。戦闘服の上からでも気になっていたんだよ」

 

ダーンの手が背骨に沿って滑り降り、腰のくびれを愛おしむように撫でる。美咲は羞恥で身を縮めたが、逃げようとはしなかった。むしろ、その巨大な手のひらの熱さを求めるように腰を揺らめた。

 

「いくよ。覚悟はいいかい?」

 

「はい……! お願いしますっ!」

 

ダーンは濡れそぼった秘裂に、猛り狂った一物を押し当てた。先ほど裕美先輩の中に放った精液と愛液でぬめるそれは、抵抗なく秘口を割り開いていく。

 

「あぁぁっ……!」

 

圧倒的な質量が内側から押し広げる感覚に、美咲は息を呑んだ。指とは比べ物にならない太さと長さが、膣の奥深くへと侵入してくる。

 

「きっつい……! でも……すごい……!」

 

「美咲さん……すごく締め付けが強いよ。君の中もとても魅力的だ」

 

ダーンは一度最奥まで突き入れ、そしてゆっくりと引き抜いた。肉壁が名残惜しそうに吸い付く感触を楽しむように、再び深く腰を進める。

 

「あっ! あっ! 来てるっ! 奥まで来てるぅっ!」

 

ダーンのピストン運動が始まった。最初は優しく、しかし確実に深く。巨体から繰り出される律動は、荒々しいようでいて的確に彼女の性感帯を捉えていた。

 

「ひゃあぁっ! あっあっあっ! そこっ! そこすごいぃっ!」

 

美咲はただ喘ぐことしかできなかった。今まで感じたことのない快感の波が、容赦なく彼女を打ちのめす。自慰行為で味わったものとは次元が違う。自分の体の中に別の生き物が入り込んでくるような、圧倒的な「侵略」の快感。

 

「いいよ美咲さん。もっと声を出して。君がどれだけ気持ちよいか教えておくれ」

 

ダーンは腰を掴む手に力を込め、さらに激しく打ち付けた。ぢゅぷっぢゅぷっという卑猥な水音と肉がぶつかる音が部屋中に響き渡る。

 

「あぁっ! ダメっ! 変になるっ! おかしくなっちゃうぅっ!」

 

視界がチカチカと明滅し、目の前を星のような光が飛んでいく。頭の中が真っ白になり、思考能力が溶かされていくようだった。ただ目の前の快楽だけが全てだった。

 

「あっ! あっ! すごいっ! ダーンさんっ! もっとっ! もっと奥までっ!」

 

美咲は自ら腰を振り、ダーンの突き上げに合わせていた。本能が理性を凌駕し、ただより深い絶頂を求めて貪るように動く。

 

「美咲さん……もう限界かい?」

 

「わかんないっ! わかんないですっ! でもっ! でもぉっ!」

 

膣内が痙攣し始め、ダーンの一物を激しく締め付ける。体が溶けていくような感覚の中で、彼女はただ一つの願いを叫んだ。

 

「出してっ! お願いしますっ! 中に出してぇっ!」

 

ダーンは一瞬動きを止めたが、すぐに激しい笑みを浮かべた。

 

「いい子だ……望み通りにしてあげよう」

 

ダーンは最後の深い一突きを放った。

 

「いくよっ! 美咲さんっ!」

 

「あぁぁぁぁっ!!」

 

ドクンッ! ドクンッ!

 

熱い奔流が膣奥に注ぎ込まれる感覚に、美咲は背中を反らし全身を震わせた。

 

「きてるっ! 出てるぅっ! 熱ぃっ! お腹の中にぃっ!」

 

ビクビクと脈打つ肉棒から注がれる精液の熱さと量に、彼女の体は小刻みに痙攣した。意識が飛びかけるところを、ダーンの逞しい腕が支えてくれていた。

 

「あっ……あぁ……ダーンさんの……中に……」

 

美咲は恍惚とした表情でダーンを見上げた。その瞳には涙が浮かんでいたが、そこには確かな喜びが満ちていた。

 

「……ありがとう、美咲さん。君は最高だよ」

 

ダーンは美咲の耳元で優しく囁きながら、汗ばんだ背中を撫で下ろした。その広い胸に抱かれながら、彼女はいつまでも温かい余韻に浸っていた。

 

夜景が一望できる最上階のテラスには広々としたジャグジーが設置されていた。

 

水面には都市の灯りが反射して宝石のように煌めき温かい湯気が夜の冷気と混じり合い幻想的な雰囲気を醸し出している。

 

「わぁ…すごい…」

 

バスタオルを体に巻いただけの美咲が思わず声を上げた。

 

「気に入ってくれたかい?」

 

既に湯に浸かっているダーンが手招きした。その巨体が湯に浸かると溢れんばかりの水飛沫が上がるが不思議と優雅さを感じさせる。

 

「先輩もどうぞ」

 

ダーンの隣で裕美先輩が微笑んだ。彼女は湯の中で長い髪を束ね上体を少し浮かせて美咲を招き入れる。その肌は湯気で上気し艶めかしい光沢を放っていた。

 

美咲はおずおずとタオルを解き湯に足を入れた。

 

「あぁ…温かい…」

 

湯の温もりが冷えた体を包み込む。ジャグジーの水流が肌を優しく撫でる感触に彼女は目を細めた。

 

「こっちにおいで」

 

ダーンの呼びかけに美咲は彼の間に座った。左右から二人の体温が伝わってくる。

 

「美咲ちゃん初めてだったのにすごかったね」

 

裕美先輩が耳元で囁く。その声は優しく甘く美咲の心を解きほぐしていく。

 

「先輩こそ…」

 

「私も楽しかったよ。ダーンさんも優しいし…」

 

二人の女性の会話を聞きながらダーンは満足げに笑った。

 

「君たち二人は本当に素敵だ。私の人生で最も美しい夜だよ」

 

そう言うとダーンは美咲の肩を抱き裕美先輩の腰に手を回した。二人は抵抗せず自然に彼に身を委ねた。

 

「あっ…」

 

不意に裕美先輩の手が湯の中で美咲の太ももに触れた。優しく内側を撫で上げるその指先に美咲は小さく震えた。

 

「先輩…?」

 

「美咲ちゃん可愛い…」

 

裕美先輩は湯の中で美咲に口づけた。柔らかい唇が触れ合い互いの吐息が混ざり合う。女性同士のキスは男性のものとは違う繊細な感触だった。

 

「んっ…先輩…」

 

美咲も応えるように唇を重ねる。二人の舌が絡み合い湯の中で体を寄せ合った。

 

「美しいね…」

 

ダーンは二人のやり取りを見つめながら湯の中で二人の体を愛撫した。大きな手が背中を滑り腰から太ももへと流れるような動きで触れていく。

 

「あっ…ダーンさん…」

 

裕美先輩が唇を離し潤んだ瞳でダーンを見た。

 

「二人とも私を興奮させるのが上手だね」

 

ダーンは微笑みながら美咲を抱き寄せた。そして彼女の首筋に唇を寄せる。

 

「んっ…」

 

耳元で囁かれながら首筋を舐められ美咲は背筋が震えた。ダーンの大きな手が湯の中で秘所に触れる。

 

「あぁっ…!」

 

水流と指の動きが混ざり合い強烈な快感が走る。美咲はダーンの腕の中で身をよじった。

 

「美咲ちゃん気持ちいい?」

 

裕美先輩が美咲の胸に手を添えた。指先で乳首を転がすように愛撫する。

 

「はいっ…あっ…いいですっ…!」

 

二人から同時に愛撫され美咲は翻弄された。前方からは裕美先輩の優しい指先背後からはダーンの逞しい腕と唇。二つの異なる快楽が交互に押し寄せる。

 

「私も…」

 

裕美先輩がダーンの方へ向き直った。彼女は湯の中でダーンの一物を手で包み込んだ。

 

「んっ…」

 

ダーンが低く唸る。裕美先輩は手を上下に動かしながら唇でダーンの胸板を這った。

 

「裕美…いいよ…」

 

三人の体が湯の中で絡み合った。美咲は裕美先輩の背中を抱きしめながらダーンの手の動きに身を委ねる。裕美先輩はダーンに奉仕しながらも美咲の手を握り返してくれた。

 

「あぁっ…あっ…!」

 

ジャグジーの水流と三人の動きが混ざり合い水面が激しく揺れる。夜空には星が瞬き都市の灯りが三人を照らしていた。

 

「逝きそうっ…! また逝きそうですっ…!」

 

美咲が叫ぶとダーンは指の動きを速めた。同時に裕美先輩が美咲の耳元で囁いた。

 

「一緒にいこうね美咲ちゃん…」

 

「あぁぁっ!!」

 

三人の絶頂が同時に訪れた。湯の中で互いの体温と鼓動を感じながら彼らは長い余韻に浸った。

 

「素敵だ…」

 

ダーンが二人を両脇に抱き寄せた。彼の大きな腕の中で美咲と裕美先輩は寄り添い合った。

 

「ダーンさん…先輩…」

 

「ん?」

 

「私…幸せです」

 

美咲の言葉に二人は微笑み合った。

 

「私もだよ」

 

「私もだ」

 

夜は更けていったが三人の温もりはいつまでも消えることはなかった。ジャグジーの水面には夜景が反射し三人のシルエットが溶け込んでいた。それはまるで一枚の絵画のように美しかった。

 

翌朝地下作戦施設の更衣室。

 

美咲と裕美先輩は並んで戦闘服に着替えていた。

 

「おはよう佐伯さん」

 

「おはようございます先輩」

 

二人は目を合わせて少し照れくさそうに笑った。

 

昨夜の記憶はまだ熱く体に残っている。ダーンの腕の感触も裕美先輩の唇の柔らかさも鮮明に思い出せる。そして今夜もまた三人で過ごすのだろう。

 

「今日もラジオ体操だね」

「そうですね頑張りましょう」

更衣室を出ると他の戦闘員たちが整列していた。

『腕を前から上にあげて大きく背伸びの運動から――』

 

いつもの音楽が流れる。

しかし今朝の美咲にはその音楽が少しだけ違って聞こえた。

(世界征服も悪くないかも)

腕を上げながら彼女はふと思った。

JAPASH戦闘員佐伯美咲二十三歳。入社四週間目。

今日も彼女は世界秩序再構築のために戦う。

 

 

⭐️JAPASH第七地下作戦施設の最深部。

 

}

【挿絵表示】

【挿絵表示】

 

 

一般的な戦闘員でも立ち入りは許されない区域。そこにダーンオニーロックの秘密の部屋はあった。

 

重厚な鉄の扉を開けると、意外なほど穏やかな空間が広がっている。壁一面の本棚、重厚な革張りのデスク、間接照明が作り出す落ち着いた雰囲気。一見すれば英国の紳士クラブのようにも見える。

 

だが部屋の奥にはもう一つの扉がある。

 

その扉の向こいに、ダーンの「もう一つの顔」が待っていた。

 

防音壁に覆われた空間。天井からはいくつかの鎖が垂れ下がり、壁には種々の縄が整然と掛けられている。床には防水シートが敷かれ、その中央に木製の椅子が一脚。

 

そして今、その椅子に一人の女性が座らされていた。

 

神田紫音。

 

ロクレンジャーのパープル。

 

二十六歳。

 

スーツは既に脱がされ、黒いインナーだけの姿。両手は背もたれに回され手錠で固定されている。足首も椅子の脚に縛られ身動きが取れない状態だった。

 

「…いつまでこんなことを続けるつもり?」

 

紫音はダーンを睨みつけた。

 

その瞳には恐怖はなく、明確な意志と怒りが宿っていた。

 

ダーンは紫音の周囲をゆっくりと歩りながら、手にした縄を解いていた。

 

「続ける? 何のことかな、紫音さん」

 

「名前で呼ぶな」

 

「そう? では神田紫音さんと呼ぼうか。それとも…ロクレンジャーパープルと呼ぶべきかな」

 

「どちらでもいい。早く解放しろ」

 

「それはできない。君が知っている情報を話してもらわないとね」

 

「知らないね。J私が知るはずないだろ」

 

「嘘をついている。君は政府機関との連絡役だ。色々知っているはずだ」

 

「…!」

 

紫音の表情が一瞬だけ揺れた。だがすぐに持ち直した。

 

「知らないと言ってる」

 

ダーンは微笑んだ。

 

「いいね、その強さ。気に入ったよ」

 

ダーンは紫音の顎を指先で持ち上げた。

 

「だが残念ながら、その強さは長くは続かない」

 

「…やれるもんならやってみろ」

 

紫音は吐き捨てた。

 

ダーンは笑わなかった。

 

その目が細められ、紳士の仮面の下にある捕食者の本性がちらりと覗いた。

 

「では始めようか」

 

最初の縄はシンプルだった。

 

ダーンは紫音の手錠を一旦外し、代わりに赤い縄で両手首を縛り上げた。縄の素材は柔らかく肌を傷つけない。だが締め付けは確かで、少しでも動けば食い込む仕組みになっている。

 

「縄の素材は知っているかい? シルクだ。肌に優しいだろう」

 

「…優しい縄で縛るのが趣味か」

 

「痛みを与えるのは簡単だ。でも私は君の心を開きたい。体を縛るのはそのためだよ」

 

ダーンは紫音の両手首を背中で交差させ、胸の前まで縄を回した。一本の縄が鎖骨の下を通り、乳房の上下を挟み込むように形作られていく。

 

「何だこれは…」

 

紫音が自分の体を見下ろした。赤い縄が乳房を持ち上げるように絡みつき、その形を強調していた。

 

「縄化粧だ。日本の伝統的な緊縛の技法でね。君の体の美しさを引き立てる」

 

「…ふざけるな」

 

紫音は顔を背けた。だが首筋がほんのりと赤らんでいるのをダーンは見逃さなかった。

 

「恥ずかしいかい?」

 

「違う」

 

「ではなぜ顔を背けた?」

 

「お前の顔を見たくないだけだ」

 

「そうか。なら見なくていい。だが感じてほしい」

 

ダーンは縄をさらに追加した。腰に回した縄が股間を通り、前後から秘裂を挟み込む。縄の節がちょうど秘裂の上に位置し、少しでも動けば摩擦が生じる仕組みだった。

 

「…っ!」

 

紫音が息を呑んだ。

 

「どうかな? 縄の感触は」

 

「…何ともない」

 

「そう? では確認させて」

 

ダーンは縄の一部を指で引いた。縄の節が秘裂を擦り、直接クリトリスに圧力をかけた。

 

「んっ…!」

 

紫音の腰が無意識に跳ねた。

 

「何ともないと言ったね。でも体は反応している」

 

「…っ、ただの反射だ」

 

「反射。なるほど。ではこれも反射かな」

 

ダーンは再び縄を引いた。今度はゆっくりと、丁寧に。縄の節が秘裂の上を転がるように動き、布地越しでも分かるほど濡れ始めた秘所を刺激する。

 

「んくっ…やめ…っ」

 

「やめろと言うのに体は逃げていない。むしろ縄に押し付けているよ」

 

「…! 違う!」

 

紫音は必死に首を振った。だがダーンの指摘通り、彼女の腰は無意識に縄を求めて微かに動いていた。

 

「素直じゃないね。でもそこが可愛い」

 

「可愛くない…!」

 

「怒った? いいよ。怒りも感情だ。感情が出ているなら、まだ自分を守れている」

 

ダーンは縄を一つ引いた。

 

「んっ…!」

 

「だがね紫音さん。私の責めはそう簡単に耐えられるものではない」

 

三十分が経過した。

 

縄は追加され、紫音の体は複雑な幾何学模様に縛られていた。胸、腰、太もも、ふくらはぎ。赤い縄が白い肌に食い込み、そのコントラストが艶めかしい光景を作り出している。

 

紫音の額には汗が滲んでいた。息も荒い。

 

「…まだ何も話さないのかい?」

 

ダーンが耳元で囁いた。

 

「…話すことなどない」

 

紫音の声は震えていた。だがまだ強気だった。

 

「そう。では次の段階に進もう」

 

ダーンは小さな振動装置を取り出した。親指ほどの大きさのそれを縄の節に固定する。

 

「これは…」

 

「小さな玩具だ。君の嫌いなものじゃないといいが」

 

スイッチが入った瞬間、縄の節が微細に振動し始めた。

 

「ひっ…!」

 

紫音の体が大きく跳ねた。縄に固定された振動装置が、クリトリスと秘裂を直接刺激する。しかも縄で縛られているため逃げ場がない。

 

「やっ…! やめろ…! これだけは…!」

 

初めて紫音の声に動揺が混じった。

 

ダーンは満足げに見つめた。

 

「やめろと言う割に、腰が動いているよ」

 

「動いてない…!」

 

「動いている。縄の振動を逃がそうとしているのに、結果的に押し付けている。自分で感じているのが分からないかい?」

 

「…嘘だ…」

 

「嘘じゃない。見てごらん」

 

ダーンは紫音の足元を指した。縄の一部が濡れて色が変わっている。

 

「…っ!」

 

紫音は絶句した。自分でも気づかないうちに、秘所は濡れ始めていたのだ。

 

「体は正直だね。君の意思とは関係なく、快感を受け入れている」

 

「…それは…縄のせいだ…私のせいじゃない…」

 

「そう。縄のせいだ。君は悪くない。ただ縄が君の体を感じさせているだけだ」

 

ダーンは優しく囁いた。

 

「だから恥ずかしがる必要はない。君はただ縛られているだけだ。何も悪くない」

 

その言葉が紫音の心を蝕んでいく。否定すればするほど、体は反応し、その反応を「自分のせいではない」という言葉で正当化していく。

 

「んっ…んくっ…あっ…」

 

紫音の呼吸が乱れていった。振動は止まらない。むしろダーンは少しずつ強度を上げていた。

 

「やっ…! ダメだ…! これ以上は…!」

 

「何がダメなのかな?」

 

「…逝きそうになるのが…ダメだ…!」

 

「では逝けばいい」

 

「逝かない…! 絶対に逝かない…!」

 

紫音は歯を食いしばった。快感の波が押し寄せるたびに全身に力を入れ、必死に耐えていた。額の汗が顎から滴り落ちる。

 

「強いね。だが…」

 

ダーンは振動装置の位置を少し変えた。縄の節が直接クリトリスに当たるように。

 

「ひゃあぁっ!」

 

紫音の腰が跳ね上がった。今までとは比べ物にならない強烈な刺激が、一番敏感な場所を直撃した。

 

「やっ! やっやっ! そこだめぇっ! そこだけはぇっ!」

 

「そこだけは? そこが一番感じる場所だからかな?」

 

「ちが…! あっ! あぁっ!」

 

紫音の抵抗が崩れ始めた。声が甘くなり、否定の言葉が途切れ途切れになる。

 

「どうしたの? 『逝かない』と言ったのに、もう限界そうだ」

 

「…逝かない…! 逝ったりしない…!」

 

「では証明して。私の目を見て、逝かないと言ってみて」

 

紫音がダーンの目を見た。

 

その瞬間ダーンは振動を最大にした。

 

「…!! ひゃあぁぁぁっ!!」

 

紫音の瞳が見開かれた。ダーンの目を見つめたまま、快感の波が全身を駆け抜けた。逃げ場のない絶頂。縄の振動が彼女の全てを奪い去っていく。

 

「いやぁっ! いやいやいやっ! 逝くっ! 逝っちゃうぅぅっ!!」

 

紫音の体が弓なりに反り、縄の上で激しく痙攣した。抵抗も尊厳も何もかも振りほどき、ただ快感の波に飲み込まれていく。

 

「あぁぁっ! あっ! あっ! だめぇっ! 体がっ! 体が変になるぅっ!!」

 

長い絶頂の後、紫音は椅子にぐったりと崩れ落ちた。息は荒く、全身汗ばんでいる。目は虚ろで、焦点が合っていなかった。

 

「…お疲れ様。よく耐えた」

 

ダーンは優しく汗を拭ってやった。

 

「…まだ…話さない…」

 

紫音は虚ろな目でダーンを見た。

 

「まだ…何も…話さない…」

 

「まだ言うのか。いやらしい子だ」

 

ダーンは微笑んだ。

 

「まだ始まったばかりだよ紫音さん」

 

一時間後。

 

紫音の体にはさらに縄が追加されていた。今度は乳房の先端を縄で挟み込み、乳首に直接圧力をかける縛りだった。

 

振動装置は二つに増え、一つはクリトリス、もう一つは膣口に固定されている。しかも縄の動きで少しずつ中へと押し込まれる仕組みだ。

 

「んっ…んっ…あっ…」

 

紫音の喘ぎ声は既に甘く濡れていた。一時間前の強気な態度は影を潛め、今はただ快楽に耐えることだけに必死だった。

 

「どうかな紫音さん。少しは話したくなったかい?」

 

「…っ…な…ない…」

 

「ない? まだそう言うか」

 

ダーンは縄を一本引いた。乳首を挟む縄がきゅっと締まり、同時に下の振動装置が膣口を押し開いた。

 

「ひゃっ! ああぁぁっ!」

 

紫音の体が跳ねた。今までになく強い刺激に、彼女の理性が大きく揺らいだ。

 

「やっ! やめてっ! もうやめてぇっ!」

 

「やめる? 本当に?」

 

「本当だっ! お願いだ…もう…」

 

「では話して」

 

「…!」

 

紫音は唇を噛んだ。話せば終わる。だが話せば仲間を裏切ることになる。その葛藤が彼女の目を潤ませた。

 

「…話せない…」

 

「そう。では続けよう」

 

ダーンは振動を一段階上げた。

 

「ああぁっ! ダメっ! ダメぇっ! また逝っちゃうっ! また逝っちゃうぅぅっ!」

 

「いいよ。逝ってもいい。ただ…」

 

ダーンが耳元で囁いた。

 

「毎回逝くたびに君の抵抗は弱くなる。自分でも分かっているはずだ」

 

「…っ! そんなことない…!」

 

「ないかな? 最初は『逝かない』と言っていた。次は『逝きたくない』になった。今は『また逝っちゃう』と言っている」

 

紫音は息を呑んだ。ダーンの指摘通りだった。彼女の言葉は確実に変化していた。否定から諦念へ。抵抗から受容へ。

 

「…言葉が変わっている。それは心が変わっている証拠だ」

 

「…変わってない…! 私は…」

 

「まだ言うか。ではもう一つ教えよう」

 

ダーンは紫音の耳元で低く囁いた。

 

「君が逝った回数を数えていたよ。今まで七回。一回ごとに声が大きくなり、時間が長くなっている。最後の三回は『やめて』と言いながら腰を動かしていた」

 

「…!」

 

「君の体はもう私を受け入れている。あとは心だけだ」

 

紫音の目から涙がこぼれた。悔し涙だった。自分の体の裏切りが悔しかった。いくら否定しても体は正直に反応し、快楽を求めていた。

 

「…私は…ロクレンジャーだ…! 負けない…!」

 

「負けない。いい言葉だ。だが…」

 

ダーンは振動装置の位置を微調整した。直接クリトリスに当たるように。

 

「負けないと言う人ほど、崩れるときは激しいものだ」

 

「あっ! ああぁっ! そこだめぇっ! そこされたらぁっ!」

 

「されたら? どうなるの?」

 

「逝くっ! 逝っちゃうっ! また逝っちゃうぅぅっ!!」

 

八回目の絶頂。

 

紫音の体が激しく痙攣し、総ての力が抜けていった。

 

 

二時間が経過した。

 

紫音はもはや椅子に座っていることすら難しかった。ダーンの腕に抱かれ、ぐったりと寄りかかっている。

 

縄はまだ解かれていない。だが振動装置は外され、代わりにダーンの指が直接秘所を愛撫していた。

 

「…あっ…あ…」

 

紫音の声はもう抵抗の欠片も残していなかった。ただ甘く、弱々しい喘ぎだけが漏れる。

 

「紫音さん。もう少しで君は楽になる。」

 

「…んっ…?」

「敏感になった君の身体をハメ殺してやろう!」

 

ダーンは紫音の体を抱き上げ、部屋の中央に置かれたベッドへと運んだ。

縄で縛られたままの彼女を仰向けにさせ、自身のズボンの前を寛げる。

解放された巨根は、先ほどの責めで先走り液を滲ませて猛り狂っていた。

 

「最後の仕上げだ。君のその強気な口を、これで塞いであげよう」

 

ダーンは紫音の縛られた両足を大きく開かせ、赤く腫れ上がった秘裂の入り口に先端を押し当てた。

 

「あっ…まっ…待て…! そんな大きなもの…入らない…!」

 

「大丈夫。君の体はもう準備ができている」

 

ダーンは腰を一気に沈めた。

 

「あぁぁぁぁっ!!」

 

圧倒的な質量が秘裂を押し広げ、膣奥へと侵入してくる。指や振動装置とは比べ物にならない熱さと硬さが、紫音の身体を内側から侵略した。

 

「くっ…きつい…! だが…いいぞ…!」

 

ダーンは根元まで埋め込むと、少し間を置いてから激しいピストン運動を開始した。

 

「あっ! あっ! ああぁぁっ!!」

 

容赦ない突き上げ。子宮口を小突くような的確なピストンが、紫音の理性を粉々に砕いていく。

 

「どうだ紫音! これが私の愛だ! これが私の責めだ!」

 

「いやぁっ! あっ! あっ! 壊れるっ! 壊れちゃうぅぅっ!!」

 

紫音は首を振り抵抗しようとしたが、縄で縛られた体は逃げることもできず、ただダーンの動きに翻弄されるだけだった。

 

「あっ! あっ! そこっ! そこダメぇっ! またっ! また逝っちゃうぅぅっ!!」

 

「逝け! 逝って私を受け入れろ! 君の体はもう私のものだ!」

 

ダーンのピストンはさらに加速した。肉と肉がぶつかる音が部屋中に響き渡り、紫音の喘ぎ声は悲鳴へと変わっていく。

 

「ああぁっ! おちんぽぉっ! おちんぽいやぁっ! でもっ! でも気持ちいいぃぃっ!!」

 

ついに紫音の口から屈辱的な言葉が飛び出した。否定していた快感を認め、男に犯される快楽に溺れていく。

 

「いい子だ…素直になれ…! さあ言うんだ! 何でも話すとな!」

 

「ああっ! 言いますっ! なんでも言いますからぁっ! おちんぽいやぁっ! イグのはもういやぁーー! イキたくないのにイグぅぅっ!!」

 

紫音は涙と涎で顔をぐちゃぐちゃにしながら叫んだ。もう守るべきプライドも仲間への義理もなかった。ただこの激しい快感から解放されたかった。あるいは、この快楽に溺れて死んでしまいたかった。

 

「言うのか! 本当に言うんだな!」

 

「言いますっ! 言いますからぁっ! 早くっ! 早く出してぇっ! 中に出してぇぇっ!!」

 

「いいだろう! 受け取れぇぇっ!!」

 

ダーンは最奥まで突き入れ、ドクッドクッと熱い精液を噴き出した。

 

「あぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

同時に紫音も激しく痙攣し、白目を剥いて絶頂した。今までで一番強く長い絶頂波が彼女の脳髄まで焼き尽くす。

 

「あっ…あ…あぁ…」

 

全てを吐き出した紫音は、ダーンの下でぐったりと動かなくなった。虚ろな瞳から涙がこぼれ落ちる。

 

ダーンはゆっくりと身を引き、紫音の汗ばんだ額を優しく撫でた。

 

「よくできました。君はもう私の可愛い奴隷だ」

 

その言葉に紫音は微かに反応したがもう反論する気力は残っていなかった。

 

さあさあ全てを話しましょうか

 

ダーンは紳士的に微笑みながら耳元で囁いた。その声は甘くそして残酷だった。

 

ロクレンジャーパープル神田紫音。

彼女はここに完全に堕ちた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。