とある日の夜
言葉を交わすよりも濃厚で、深く甘やかな時間をクロエと過ごしたのち、イサミは静かに部屋をあとにした。
乱れた息を整えながら階段を降り、一階のフロアへと戻る。
月明かりだけが静かに差し込むリビングで、ソファの脇に置いていた自分の道具袋を引き寄せ、散らばっていた荷物をひとつずつまとめ始めた。
(……ふぅ、明日の仕入れの準備もありますし、そろそろ自分の宿に戻らないとですね)
衣類を整え、道具袋のベルトを締め直していた、その時だった。
トントン、と控えめな木床の軋み音が階段の方から響いた。
振り返ると、そこには大きなサイズの寝間着をだぼりと羽織ったココが立っていた。
階段の途中で足を止め、こちらを見下ろしている。
「……あ、ココさん。起きてたんですか?」
声をかけたイサミだったが、彼女の顔を見て思わず言葉を詰まらせた。
月明かりの下でもはっきりと分かるほど、ココの顔は耳の先端まで真っ赤に染まっていたのだ。視線は泳ぎ、どこかそわそわと落ち着きがない。
「っ……! イ、イサミくん……!? ま、まだ帰ってなかったんだ……」
「ええ、いま荷物をまとめてたところですよ。起こしちゃいましたかね?」
「ううん! 違っ……たまたま、喉が渇いて……!」
ココは慌てたように両手を振る。その仕草があまりにもぎこちなく、イサミは思わず小さく首をかしげた。
「そっか。……あ、今日の夕飯にココさんが作ってくれたスープ、すごく美味しかったですよ。ありがとうございます」
「えっ? あ、うん……! 喜んでもらえたなら、よかった……。イサミくん、いつもたくさん食べてくれるから……」
指先を弄びながら、ココは消え入りそうな声でつぶやいた。
ほんの数十秒の、他愛もない世間話。けれど、ココは一度もイサミの目を真っ直ぐ見ようとせず、顔の赤みは増していく一方だった。
「……じゃ、じゃあココ、お水飲んだらもう寝るね! おやすみ、イサミくんっ!」
「あ、はい。おやすみなさ——」
イサミの挨拶が終わりきる前に、ココはパタパタと素早い足音を立てて、逃げるように二階の自室へと駆け上がっていってしまった。
「……? なんだったんでしょう。風邪でも引いて熱でもあるのかな……」
残されたイサミは首を傾げながら道具袋を担ぎ直し、夜の静けさに包まれたホームの拠点をあとにした。
♢
翌日
雲ひとつない秋晴れの下、四人はギルドで受注した魔物討伐クエストの帰路についていた。
参加メンバーはクロエ、ココ、ムラサキ、そしてゲスト兼サポートとして同行したイサミの四人だ。道中の連携は完璧で、目標の魔物をサクッと撃破し、怪我人もなく無事に帰還の途につくことができた。
「は、はい……っ! イサミさんの投擲アイテムの足止め、本当に絶妙でした……! 私のお団子……じゃなくて秘薬も使わずに済むくらい、無駄がなくて凄いです……っ!」
ムラサキが控えめに、でも目を輝かせながら褒めてくれる。
「ふふ、正面からあたしが派手に斬り込んで視線を引きつけて、イサミが後ろからしっかりアイテムでサポートする。このパターンが一番効率いいわね。お疲れさま、イサミ」
隣を歩くクロエが、勝ち気でサバサバとした笑みを浮かべてこちらを見る。昨夜のあでやかで甘い余韻を微塵も感じさせない完璧な素振りに、イサミは心の内で小さく舌を巻いた。
「 頼れる冒険者兼、皆さん専属の命の保険屋さんとして、バッチリお役に立てて光栄ですよ〜!」
イサミがちゃっかりとした笑顔で応じていると、ふと横から強い視線を感じた。
視線を向けると、少し離れた位置を歩いていたココとバッチリ目が合った。
「っ……!?」
ココは跳ね上がるように肩を揺らすと、一瞬で顔を林檎のように真っ赤にして、明後日の方向へと顔を背けた。
その手にはぎゅっと杖が握りしめられている。
(……あれ?)
そういえば、クエストの道中もそうだった。
移動中も、戦闘の合間も、ふとした瞬間にココからの視線を感じて振り返ると、彼女はいつも顔を真っ赤にして勢いよく視線を逸らしていたのだ。
昨夜の寝間着姿でのやり取りといい、今日の露骨なまでの照れ具合といい、どう考えても様子がおかしい。
(まさか……昨日の夜の音、聞こえて……いやいやいや! 部屋は二階の奥ですし、防音もちゃんとしてるはずですし……!)
焦りを隠すようにあごに手を当て、ひとり思考の渦に飲み込まれるイサミ。
「……たく、何考えてんのよイサミ。難しい顔しちゃって」
隣からクロエが、あきれたように覗き込んできた。
「あ、いや! なんでもないですよクロエさん! 今日の晩御飯は何にしようかな〜って考えていただけですって!」
「ふん、相変わらず能天気なんだから。今日もお仕置きが必要かしらね?」
クロエのニヤリとした笑みに冷や汗をかきつつ、イサミはチラリと再びココの方を見た。
相変わらず耳まで真っ赤にしたまま、あからさまにイサミを意識して早足になるココの背中を見送りながら、イサミは内心で(頼むから勘違いであってくれ……!)と切実に祈るばかりだった。
♢
その夜
ギルドからの報告や本日の売り上げの整理をあらかた終え、イサミは宿屋の自室で一息ついていた。
机の上に置いたランプの灯りが、静かな部屋をぼんやりと橙色に照らしている。昼間のココの不可解な態度が頭から離れず、思考を巡らせていたまさにその時だった。
トントン……。
控えめな、だがどこか遠慮がちなノックの音が扉を叩いた。
「はーい、どちら様ですか……?」
イサミが扉を開けると、そこにはフードを深く被ったココが立っていた。
「……イサミくん」
「ココさん!? こんな夜遅くに、一体どうしたんですか? ホームから一人で来ちゃって、何か緊急の用事でも……」
「……入って、いい……?」
消え入りそうな声で上目遣いに見つめられ、断れるはずもなかった。イサミは「あ、どうぞ」と扉を大きく開けてココを部屋へと招き入れた。
ココは室内に足を踏み入れると、そっと自分で扉を閉めた。
そして、部屋の中ほどまで歩くと、そのまま何も言わずにイサミのベッドの端へとちょこんと腰掛けた。
「あの……ココさん? 温かいお茶でも淹れましょうか……?」
イサミが尋ねても、ココは返事をしない。
小さく首を横に振り、ぎゅっと己の膝の上で両手を握りしめたまま、じっと床の一点を見つめて無言になった。
部屋の中に、重い静寂が降り積もる。
ランプの油が爆ぜるかすかな音だけが響く中、イサミはかける言葉に迷い、少し離れた椅子に座って静かにココの様子を見守った。
どれくらいの時間が流れただろうか。
ふぅ……と小さな吐息を漏らすと、ココがポツポツと、震える声で言葉を紡ぎ始めた。
「……昨日の夜ね」
「……え?」
「……ココ。一階で大きな音がした気がして……不審者とかじゃないか心配になって……」
ココの指先が、膝の上の生地を強く握りしめる。
「……クロエちゃんの部屋の前を通った時、聞こえちゃったの。……クロエちゃんと、イサミくんが……一緒にいた時の、声」
「っ……!?」
イサミの背中に、冷や汗が一気に吹き出した。
昨夜の予感が完璧に当たっていたことを突きつけられ、思考が瞬間的にフリーズする。
だが、ココの告白はそれだけでは終わらなかった。
「……それにね。ココ……前にも、見てたの」
「え……?」
「エリスさんと……イサミくんが……二人で、すごく甘い雰囲気で……抱き合ってるの……見ちゃってたんだ……」
ココの声が、次第に湿り気を帯びていく。
顔を伏せたままの彼女の目元から、ポロポロと大きな涙の粒が溢れ落ち、膝の上に小さなシミを作っていく。
「クロエちゃんだけじゃなくて……エリスさんとも……イサミくんは、そういうこと……してたんだね……」
「ココさん、それは……っ」
弁明しようとイサミが立ち上がろうとした、その時だった。
ココが勢いよく立ち上がり、顔を上げた。真っ赤に腫らした目から溢れる涙をぬぐいもせず、真っ直ぐにイサミの瞳を射抜く。
「……ずるいよ」
「……え?」
「ずるいよ……っ! クロエちゃんやエリスさんばっかり……っ! ココだって……ココだって、イサミくんのことが大好きなのに……っ!!」
感情を爆発させるように叫ぶと、ココはそのままイサミの胸へと飛び込んできた。
「わっ……!? コ、ココさん……!?」
ぎゅっと、小さな体が力任せにイサミの胴体に抱きついてくる。
その華奢な体からは信じられないほどの強い力でイサミにすがりつき、顔をイサミの胸元にうずめて、ココはボロボロと涙を流しながら小さく震えていた。
「ココだって……イサミくんの特別な存在になりたいよ……っ。ココのほうがお姉さんなんだよ……っ!子ども扱いしないで……嫌いにならないで……っ」
胸元に伝わる温かな体温と涙のぬくもり。
そして、ストレートにぶつけられたあまりにも一途な想いに、イサミは呼吸を忘れて固まることしかできなかった。
その華奢な体からは信じられないほどの強い力でイサミにすがりつき、顔をイサミの胸元にうずめて、ココはボロボロと涙を流しながら小さく震えていた。
「ココだって……イサミくんの特別な存在になりたいよ……っ。……ココのほうがお姉さんなんだよ……っ!子ども扱いしないで……嫌いにならないで……っ」
胸にしがみつくココの細い肩が嗚咽のたびに小さく震えている。
イサミは躊躇いながらも、そっとその背中に腕を回した。途端にココの指が背中の服をぎゅっと掴み顔をさらに強く押し付けてくる。
ランプの灯りだけが照らす静かな部屋に、くぐもった泣き声だけが響いていた。
「ココさん……」
イサミはゆっくりとココのフードを下ろした。露わになった亜麻色の髪が、灯りを受けて淡く輝いている。そのまま両手でココの濡れた頬を包み込むと涙に濡れた大きな瞳が怯えたように揺れた。
「俺は……ココさんのこと、ずっと大切な仲間だと思ってました。でも子供扱いしてたわけじゃないんです。ただ、ココさんがあまりにも純粋で……僕なんかが触れていい存在じゃないんじゃないかって、そう思ってて……」
「そんなの……っ」
ココが激しく首を振る。その拍子に、新しい涙が幾筋もこぼれ落ちた。
「そんなの、ココが決めることだもん……っ。イサミくんは、ココのこと……女の子として見てくれないの……?」
震える声で紡がれたその問いにイサミの胸の奥が熱く疼いた。
こんなにも一途に想われていることに、気づかなかった自分が恨めしい。
「見てます。見てますよ、ココさんのこと。綺麗で優しくて、時々すごく頑固だけど……でも、そういうところも全部含めて……」
言葉の途中で、ココの細い指がイサミの唇に触れた。
「……じゃあ、証明して」
涙に濡れた瞳が真っ直ぐにイサミを見上げる。そこには不安と期待が入り混じり、ほんの少しだけ挑戦的な光も宿っていた。
「クロエちゃんやエリスさんにしたみたいに……ココにも、して……」
イサミはゆっくりと息を吐き出した。腹を括る時だ。
この純粋な想いを、もうこれ以上拒絶するわけにはいかない。彼はココの肩に手を置きそっとベッドへと導いた。
「痛く……しないでね……」
先ほどまでの強気な態度が嘘のようにココが急に不安げな声を漏らす。
イサミは何も言わず、ただ優しく微笑んでその小さな体をベッドに横たえた。そしてまずは安心させるように、そっと前髪をかき上げ額に口づける。
「ん……っ」
ココの体が一瞬強張り次いでゆっくりと弛緩していく。
イサミはその反応を確かめながら、今度は閉じられた瞼の上に鼻先に、そして最後にほんの少しだけ開かれた唇に口づけた。
触れるだけの羽根のように軽い口づけ。それでもココの口からは「ふぁ……」と小さな吐息が漏れ、白い頬が一気に朱に染まった。
「ココさん……可愛いですよ」
イサミのその言葉に、ココは恥ずかしそうに顔を背ける。イサミはそんな彼女の耳元に唇を寄せ低く囁きかけた。
「これからすることは……もしかしたら、少しだけ痛いかもしれないです。……嫌になったら、いつでも言ってください」
コクン、とココが小さく頷く。その了承を確かめてからイサミは改めてココの唇に自分のそれを重ねた。今度は先ほどよりも深く、ゆっくりと角度を変えながら。
「んむ……っ、ふ……ぅ…」
鼻にかかったような甘い声が漏れる。
イサミは舌先でそっとココの唇を割り、閉じられた歯列をノックした。
最初は硬く閉ざされていたが「力を抜いて……」と優しく促すと、おずおずと開かれていく。その隙間から舌を差し入れるとココの肩がびくんと跳ねた。
「んんっ……! ん、ふぅ……っ」
戸惑いながらもココの小さな舌がおずおずと動き出す。
まだ拙いそれにイサミはそっと自分の舌を絡め、ゆっくりとリードしていく。
口内を優しく這い回り時折上顎をくすぐるように撫でると、ココの口から切なげな吐息が溢れ続ける。
「は……ぁ…っ、イサミ、くん……なんか、頭が……ぼーっとする……」
初めての深い口づけにココの思考は蕩け始めているようだった。
その潤んだ瞳を見つめながら、イサミはゆっくりとココの服の裾に手をかけた。ココが息を呑むのが分かる。
「……怖いですか?」
イサミの問いに、ココは小さく首を振った。
でもその手はシーツをぎゅっと握りしめている。
イサミはなるべく怖がらせないようゆっくりと、ひとつひとつ確認するように服を脱がせていった。
上着が取り払われスカートを脱がせる。
衣服を外されるたびに、ココの体が羞恥に震える。
「あ……っ、あかり……消して……?」
「……いや、つけたままがいい。ココさんの全部をちゃんと見たいから」
イサミの言葉にココは耳まで真っ赤にして顔を両手で覆った。
でも、それ以上は拒まない。
それが彼女の精一杯の了承なのだと理解してイサミは薄い下着の上から、そっとココの身体の曲線をなぞり始めた。
華奢な肩、細い腕、そして控えめながらも柔らかな胸の膨らみ。
下着越しに触れられただけでココは「ひゃ……っ」と小さな悲鳴を上げる。
「ココさんのここ……すごく柔らかい」
「や……っ、言わないで……恥ずかしい……」
耳元で囁かれた感想にココが身を捩る。
イサミはその反応を愛おしく感じながら、ついに下着の肩紐に指をかけた。するりと布が取り去られ白い肌が露わになる。
「……綺麗だ」
ランプの橙色の光に照らされたココの肢体はまるで精巧な美術品のように美しかった。
まだ幼さの残る身体の線、淡い桜色の小さな蕾すべてが神聖なもののようにイサミの目に映る。
「見ちゃ……やだぁ……」
ココが腕で胸を隠そうとするのをイサミは優しく制した。そして代わりに、自分の唇をその白い胸元に落とす。
「んんっ……!」
鎖骨に口づけ、ゆっくりと下りていく。胸の膨らみのふちを舌先でなぞり最後に頂点の蕾に唇を寄せた。
「あっ……! そこ、だめ……っ!」
ココの制止も聞かずイサミはそっとそれを口に含んだ。舌先で転がし、優しく吸い上げる。
「ひゃあ……っ! あ、あぁ……っ! や、なんか……変なの……っ」
初めての感覚にココの体が弓なりに反る。
イサミは片方の胸を愛撫しながら、もう片方の蕾は指の腹で優しく弄んだ。
時折かりかりと爪を立てるとそのたびにココの腰が小さく跳ねる。
「あっ、あっ……! イサミ、くん……っ、なんか……お腹の奥が……きゅんってする……」
自分でもよく分からない感覚に戸惑いながらそれでもココの口からは甘やかな吐息が零れ続ける。
イサミは胸への愛撫を続けながら、空いた方の手をゆっくりと下腹部へと滑らせた。
「ココさん……ここ、触ってもいい?」
最後の布地の上から、そっと秘所に手を当てて尋ねる。
ココは真っ赤な顔でしばらく躊躇っていたがやがて、こくんと小さく頷いた。
「……優しく、してね……」
その言葉を合図にイサミは下着を取り去った。
露わになった秘所は、灯りに照らされて淡く濡れ光っている。
恥ずかしさでぎゅっと閉じられた太腿をイサミは優しく開かせた。
「あ……っ、見られてる……恥ずかしい……」
「大丈夫ですよ、すごく綺麗です……」
イサミはそっと秘裂に指を這わせた。しっとりと濡れた花弁は熱く、触れただけでひくひくと震えている。
「あぁっ……!」
敏感な蕾に触れた瞬間ココの腰が大きく跳ねた。イサミは慎重に、その小さな突起の周りを円を描くように撫で始める。
「ひ……っ、ぁ……っ! そこ、そこだめ……っ、変になっちゃう……!」
「変じゃないですよ、気持ちいいんですよ、それ」
イサミは優しく言い聞かせながら徐々に動きを速めていく。
とろとろと溢れ出る蜜を指に絡め、敏感な蕾を執拗に攻め立てた。
「あっ、あっ、あっ……! や、やぁ……っ! なんか、くる……なんかきちゃ……っ!」
ココの呼吸が一気に荒くなる。イサミは追い打ちをかけるように、空いた手で胸の蕾も同時に弄り始めた。
「あああっ……!!」
ココの体が大きく跳ね背中が弓なりに反る。
そのまましばらく細かく痙攣した後、ココは全身の力を抜いてベッドに沈み込んだ。
「はぁ……はぁ……っ」
荒い息を繰り返すココの瞳は、快楽の涙で潤んでいる。
初めての絶頂の余韻に浸る彼女をイサミは優しく見守った。そして、まだ余韻の残る秘所にそっと中指を沈めていく。
「ひっ……! なに……?」
「大丈夫……力を抜いて。ゆっくり慣らしていくから」
イサミの指が狭い入り口を慎重に押し広げていく。
まだ誰も入ったことのないその場所は、信じられないほど狭く熱かった。
第一関節まで埋まったところで、ココが小さく息を詰める。
「いた……っ、ちょっと痛い……」
「ここで止めておく? それとも……」
「や……やだ……最後まで、して……ココ、頑張るから……」
涙を浮かべながらもココは強く首を振った。その健気さに胸を打たれながら、イサミは指をさらに奥へと進める。
「あっ……! ふ、ぅ……っ」
異物感に眉をひそめるココに、イサミは「大丈夫、上手だよ」と優しく声をかけ続けた。
指をゆっくりと出し入れし徐々に奥をほぐしていく。
やがて二本目の指も難なく受け入れられるようになった頃、ココの口から再び甘い吐息が漏れ始めた。
「ん……っ、ふぁ……なんか、ちょっと……気持ちいいかも……」
「そうですか?…… じゃあ……もっと気持ちよくしてあげます」
イサミは指を曲げ、内部のある一点を優しく押し上げた。
「ひゃうんっ!!」
突然の強い快感にココが裏返った声を上げる。イサミはそこを狙って、指で何度もその場所を刺激した。
「あっ! あっ! そこ、そこやだ……っ! また、変なのきちゃう……!」
「いいんですよ、そのまま感じてください」
「や、やだ……っ! あ、あぁ……っ! イサミくん、イサミくん……っ!」
ココがイサミの名を呼びながら二度目の絶頂に達する。
ぎゅうぎゅうと指を締め付ける内部の感触に、イサミの自身も痛いほどに張り詰めていた。
「ココさん……俺も、もう……いい?」
イサミの問いに、絶頂の余韻でぼんやりとしていたココがゆっくりと焦点を合わせる。
イサミの股間で硬く張り詰めたものを見て、一気に現実に引き戻されたように目を見開いた。
「あ……これが……これを、ココの中に……?」
「……はい」
ココはしばらく黙ってそれを見つめていたが、やがて小さく首を振った。
「……大丈夫。……でも……やっぱりちょっと、怖いかも」
矛盾した言葉に、イサミは苦笑する。そしてココの額に口づけ耳元でそっと囁いた。
「……絶対に優しくします。」
こくん、とココが頷くのを確認してからイサミは自分の物を彼女の入り口に当てがった。
まだ完全にほぐれきっていないそこは、先端をあてがっただけでひくひくと震えている。
「いきます……力を抜いてください」
「うん……っ」
イサミは腰をゆっくりと進めた。しかし、入り口は信じられないほど狭くなかなか奥へ進めない。
「……っ、く……」
「あ……っ、いた……っ」
先端が少し入ったところでココの顔が苦痛に歪む。処女膜の抵抗が、イサミのものの先を固く拒んでいた。
「痛い……イサミくん、痛いよ……っ」
「……やめますか?」
「や……やだ……やめないで……でも、痛い……っ」
ココの目から大粒の涙がこぼれ落ちる。その涙を指で拭いながら、イサミは決断した。
「一瞬だけ、すごく痛いかもしれない。でもその後はきっと楽になるから……我慢できる?」
「……うん、ココ、頑張る……」
ココは涙をぬぐいシーツをぎゅっと握りしめて覚悟を決めた。
イサミは彼女の目をじっと見つめ、無言で合図を送ると一気に腰を突き入れた。
ブチッ……という確かな感触と共に、障壁が破れる。
「───っっ!!!」
ココの口から声にならない悲鳴が上がる。
全身が硬直し背中が弓なりに反った。
破瓜の痛みは想像以上だったのだろう、その目からは滝のような涙が溢れ出している。
「う……っ、うぅ……っ、痛い……痛いよぉ……っ」
「ごめん……ごめんね、ココさん。もう動かないですから……」
イサミはココの中に自分を収めたまま動かずに彼女が痛みに慣れるのを待った。
破瓜の血がシーツを汚すが、そんなことは気にしていられない。今はただ震えるココの身体を優しく抱きしめ、その痛みが和らぐのをひたすら待つ。
「ひっく……うぅ……っ、ココ……ちゃんと、できた……?」
涙でぐしゃぐしゃになった顔で、ココが震える声で尋ねる。
「できましたよ。すごく……すごく上手です。痛かったのに、よく頑張りました」
イサミは何度もココの額や瞼涙で濡れた頬に口づけを落としながら、彼女の苦痛が少しでも紛れるように優しく抱きしめ続けた。
自分の欲望は限界まで張り詰めているが今はそれを押し殺してでも、彼女の痛みを取り除くことが先決だった。
「……ん…っ」
どれくらい時間が経っただろうか。ココの口から、苦痛ではない小さな吐息が漏れ始めた。
内部の痛みが少しずつ引き代わりに異物感と、そして微かな快楽が生まれ始めているようだ。
「……ココさん、少しだけ動いても大丈夫?」
「……うん、ちょっとだけなら……」
了承を得て、イサミはほんの少しだけ腰を動かした。
内部の肉壁がぎゅうぎゅうとイサミのものを締め付ける。
「あっ……!」
ココの口から、今度は苦痛ではなく驚きと快楽の入り混じった声が漏れた。
その反応を確かめてから、イサミはさらにゆっくりと抽送を始める。
「ん……っ、ふぁ……あ…っ」
「痛くない……?」
「……痛いけど……でも、なんか……変な感じ……」
イサミはココの反応を注意深く観察しながら、動きを最小限に抑え続けた。
時折彼女が痛みに眉をひそめると動きを止め快楽に身を捩ると少しだけ動きを速める。
そうやって、少しずつ彼女の身体を快楽へと導いていく。
「あっ……あっ……! そこ……さっきの、きもちいいとこ……」
内部のある一点に当たった瞬間、ココの声のトーンが変わった。
イサミはそこを狙って角度を変えながら腰を動かす。
「ああっ……! や、そこ……そこ、きもちいい……!」
「ここがいいですか……?」
「うん……っ、そこ、すごい……あっ、あっ……!」
痛みはもう感じていないようだ。
ココは快楽に身を委ねイサミの背中に腕を回してしがみついてくる。その耳元で、イサミは熱い吐息と共に囁いた。
「ココさんの中……すごく熱くて、気持ちいいです」
「や……っ、恥ずかしいこと言わないで……」
恥ずかしがりながらも、ココの内部はイサミの言葉に反応してきゅっと締まる。その締め付けにイサミも思わず低く呻いた。
「……っ、ココさん、そんなに締め付けると……俺、もう……」
「あっ、ごめ……ひゃうんっ!」
ココが謝ろうとした瞬間イサミが奥の一番気持ちいい場所を突き上げた。
突然の強い快感に、ココの思考が真っ白になる。
「あっ、あっ、あっ……! イサミくん、なんか……またきちゃ……!」
「一緒に……イきましょう」
イサミも自分の限界が近いことを悟り抽送の速度を速める。
狭い内部を何度も何度も擦り上げられ、ココはもう言葉にならない声を上げ続けた。
「あああっ……!!」
ココが三度目の絶頂を迎えると同時に、イサミも彼女の最奥に熱い迸りを放った。
ココの内部がぎゅうぎゅうと脈打ち最後の一滴まで搾り取ろうとするかのように蠢いている。
「はぁ……はぁ……っ」
荒い息を繰り返しながらイサミはそっとココの中から自身を引き抜いた。
白濁と血が混じったものが、ゆっくりと彼女の太腿を伝う。
「……大丈夫、ですか?」
「うん……ちょっと、まだ痛いけど……でも、すごく……幸せ」
涙の跡が残る顔でそれでもココは本当に幸せそうに微笑んだ。
イサミはそんな彼女をぎゅっと抱きしめ、何度もその髪に口づける。
「ココさん……可愛いです」
「……っ!」
突然の言葉に、ココの目が大きく見開かれる。そして新しい涙が溢れ出した。でもそれはもう、悲しみや痛みの涙ではなかった。
「ココ……ココ、イサミくんのこと……大好き……大好きだよぉ……っ!」
泣きじゃくるココを抱きしめながら、イサミは静かに目を閉じた。腕の中の温もりがこれまで感じたことのないほど愛おしい。
二人の新たな関係が、今まさに始まった瞬間だった。