地下訓練場へと続く石造りの階段を下りるにつれ、地上階の喧噪と熱気が遠のいていった。
冷え切った湿った空気が肌を刺し、壁に飾られた魔導松明の揺らめく橙色の光が、無機質な影を足元に長く伸ばしていた。
辿り着いた地下訓練場は、重厚な石壁と巨岩を加工した柱で囲まれた広大な空間だった。
冒険者たちが技を磨き、時に私闘に近い手合わせを行うためのこの場所は、極めて強固な防音および防護魔法陣が施されている。
「……ふむ」
イサミは訓練場の重厚な鉄扉を閉めると、内側から重い閂をしっかりと下ろした。
それどころか、鞄から取り出した小型の魔導錠を取り付け、完全に外部からの侵入を遮断するように厳重に鍵をかける。
その入念すぎる手際に、中央で待機していたチルディが不審そうに細い眉をひそめた。
「ちょっと、イサミ? なぜ鍵までかけるのですの? 外部の者に観戦されるのが嫌なのですかしら?」
「ええ、その通りですよ」
イサミはくるりと振り返り、いつものチャラついた笑みを浮かべながら肩をすくめた。
「僕、こう見えてすっごく恥ずかしがり屋なんです。それに、僕の道具屋としての特製アイテムの仕掛けや戦い方は、文字通り『飯の種』ですからね。大勢に見られて手の内を晒すわけにはいかないんですよ。……ですから、この模擬戦は『二人きり』で行わせていただきます」
「ふん……まあ、隠密性を重んじる『道具屋』のこだわりなら理解できなくもありませんわ」
チルディは気品溢れる仕草でマントの端を払うと、胸を張り、美しい立ち姿を崩さぬまま、腰の細剣の柄にすっと手を添えた。
「ですが、二人きりだからといって手加減は期待しないでくださいませ。私、チルディ・シャープは常に完璧を求める者。いかなる手合いであろうと、全力でその浅はかな戦術を打ち破って見せますの!」
「ははは、お手柔らかにお願いしますよ〜。ほんと、怪我だけはさせないでくださいね?」
イサミはへラへラと笑いながら、訓練場の中央へと歩み出た。
チルディとの距離、およそ十メートル。
松明の光が二人の間に揺らめき、静寂が訓練場を包み込む。
「さあ、イサミ! あなたの都合の良いタイミングでいつでも構いなさい! 構えを取り、攻撃を仕掛けてくるのですわ!」
チルディは背筋をピンと伸ばし、余裕に満ちた笑みを浮かべて構えた。
その姿は、まさに絵本から抜け出してきたかのような完璧な女騎士であった。
細剣の先はわずかもブレず、イサミのいかなる奇襲にも対応できる絶対の自信が全身から漂っている。
「じゃあ……失礼して、行きますよ〜!」
イサミは鞄から一本の小振りの短剣を取り出すと、それを構えた。
――だが、その構えは誰が見ても「素人丸出し」であった。
肘は無駄に張り出し、腰は高すぎ、刃先は泳ぐように揺れている。
足のスタンスも極めて不安定で、剣術の基本を一日習っただけの見習いすら冒さないような無防備な構え。
(……な、何ですの、その構えは……!?)
チルディの翡翠色の瞳に、一瞬だけ深い呆れと怒りの色が混ざり合った。
(腰は引け、刃先はブレブレ……隙だらけではありませんか! 舐めているのですの!? それとも、本当にただの素人で、運だけで戦場を生き残ってきたとでも……!?)
チルディの心の中に、ほんのわずかな「油断」と「失望」が芽生えた。
自分はこの程度の男を確認するために、わざわざここへやって来たのかと。
「それっ!!」
「――っ!?」
イサミは素人丸出しの不格好な動作で、左手に隠し持っていた二つの黒い球体を地上へ叩きつけた!
ポンッ! パァン!!
甲高い破裂音とともに、濃密かつ不自然なまでに急速に広がる灰白色の「煙幕」が訓練場全体を瞬く間に呑み込んだ!
「きゃっ!? 煙幕……!? くっ、目眩ましなど……!」
チルディは即座にマントで口元を覆い、鋭い視線を煙の中へ走らせる。
しかし、イサミの煙幕はムラサキのアドバイスとイサミの調合によって作られた『高濃度視界遮断煙』だ。
松明の光を中々透過させず、その場は闇へと変貌した。
「甘いですわ! 視界を奪った程度で、この私を翻弄できると思ったら大間違いですのよ!」
チルディは視覚を捨て、即座に耳を澄ませた。
親衛隊の副隊長として鍛え上げられた鋭敏な聴覚が、煙の向こう側の空気の揺らぎを捉える。
――ヒュンッ!
「ーーーそこッ!」
頭上から迫る風切り音!
チルディは音の軌道を見切り、優雅な動作で細剣を閃かせた。
バシィッ!!
切り裂いた手応え。しかし、それは肉を断つ感触ではなかった。
パラパラと地面に落ちたのは、強靭な麻糸で編まれた『粘着捕獲ネット』であった。
(ネット……!? 投擲アイテムによる時間稼ぎ……っ!)
チルディは即座に察知した。
イサミの狙いは、アイテムを矢継ぎ早に投げつけることでこちらの間合いを乱し、混乱に乗じて距離を取る、あるいは逃げ回ることだと。
――ハァ……ハァ……ッ!
――ドスッ、ドスッ、ドスッ!
煙の奥から、荒い息遣いと、靴底が激しく石畳を叩く「重く不器用な足音」が響いてきた。
(聞こえますわ! 煙の中で私に向かって突進してきていますのね……)
チルディの口元に、確信の笑みが浮かぶ。
足音は一直線にこちらへと向かってきている。
焦り、酸素を求めて荒くなった息遣い。重く乱れた足取り。
アイテムを投げ、視界を奪い、半ばヤケクソになって短剣を振り下ろそうと飛び込んできているのだ。
(どこまでも哀れで無様ですわね、イサミ! これで終わりにして差し上げますわ!)
チルディは踏み込み、細剣の柄を握り直す。
足音が、煙を切り裂いて間合いへと侵入してくる。
五メートル……。
三メートル……。
二メートル――!!
チルディの眼前に、煙を押し分けてイサミの影が姿を現した!
イサミの顔は必死そのもの。両手で短剣を高く振りかぶり、無防備にチルディの胸元へと飛び込んでくる。
(いただきですわ! その無防備な刺突、軽く打ち払って首元に寸止めして……っ!)
チルディが完璧な勝利を確信し、細剣を最速の軌道で振るおうとした――その、コンマ一秒前。
イサミの身体が、不自然な形でグラリと前に傾いた。
(え……? 転んだ……の……?)
つまづいたのか、あるいは足がもつれたのか。
イサミの身体が、前傾姿勢のままガクリと崩れ落ちる。
チルディの脳が、一瞬だけ混乱を起こした。
相手が攻撃を仕掛けてくると思って合わせようとしたタイミングで、相手が自滅するように倒れ込んできたのだ。
攻撃の威力を逃し、細剣の軌道がほんのわずかに空を切る。
――だが。
チルディは知らなかった。
それが。――相手の認識と体感時間を完全に破壊する初見特化の秘技、脱力であることを。
つまづいたのではない。
イサミは、全身の筋肉の緊張を「ゼロ」にしたのだ。
人間が立っていられるのは、無意識に全身の骨格と筋肉を緊張させて重力に抗っているからだ。
イサミはそのすべての緊張を滑らかに一瞬で解除した。
ガクンッ!!
重力という名のエネルギーが、イサミの体重をダイレクトに地面へと叩き落とす。
そしてイサミは、落ちていくそのエネルギーと殺気ゼロの脱力状態を、寸分の狂いもなく「前方向への極小の滑空移動」へと変換した。
――消えた。
「――えっ!?」
チルディの瞳が、驚愕で限界まで見開かれた。
目の前にいたはずのイサミの姿が、視界から消え去ったのだ。
転んだ影を追おうと視線を落とした瞬間には、もうそこに彼の姿はなかった。
脳の視覚処理が追いつかない。
チルディにとって、イサミは文字通り「目の前で透明になって消えた」ようにしか見えなかった。
呼吸の音も、殺気も、足音すらも――完全に「無」。
次の瞬間。
――すっ……
チルディの白く細い首筋に、冷たい氷のような感触が滑らかに触れた。
「――あ」
思考が、凍りついた。
チルディの耳元で、甘く、冷ややかで、透き通った声がささやかれた。
「……終わりですよ、チルディ副隊長」
チルディのすぐ背後。
呼吸一つ乱さず、いつの間にか完璧な死角へと回り込んでいたイサミが、彼女の可憐な首筋に、寸分の狂いもなく短剣の刃を押し当てていた。
煙幕の残り香が、ゆらゆらと二人の間を漂う。
チルディの手から、細剣が力の抜けた音を立てて石畳の上に落ちた。
カラン……コロン……
訓練場に響き渡る金属音。
それが、勝負の決着を告げる唯一の音だった。
「な……っ……あ……っ」
チルディは声にならぬ声を漏らし、全身を震わせた。
何が起きたのか分からない。
目の前で倒れ込んだはずの男が、一瞬で自分の背後へ回り込み、命を握っていた。
もしこれが実戦であれば、自分の首はとうの昔に切り飛ばされ、床に転がっていた。
圧倒的な差。
完璧を目指し、親衛隊の副隊長として自負していた自分のすべてが、たった一本の短剣と、無茶苦茶な『脱力』によって、一瞬で踏みにじられたのだ。
「……ふぅ。いやぁ、焦りましたよ〜!」
イサミはすっと短剣を引くと、いつものチャラチャラした「弱小道具屋」の笑みに一瞬で戻り、大袈裟に額の汗を拭うジェスチャーをした。
「チルディ副隊長が強すぎて、僕、必死になっちゃいました! たまたま床の段差につまづいて前に倒れたら、運良く背後に滑り込めちゃったみたいです! いやぁ、運が良かった〜!」
いつもの白々しい嘘。
だが、今のチルディには、それが嘘などではないことを、身体中のすべての細胞が理解していた。
運などではない。
完璧に計算された視線誘導、呼吸と足音による偽装、そしてあの異常な移動技術。
「あ……あ……っ……」
チルディの顔が、一気に真っ赤に染まっていく。
羞恥、悔しさ、そして自分の未熟さに対する苛立ちが、彼女の小さな胸の中で爆発した。
「キ……キ、キーッ!! なんですのそれーっ!! 運なわけありませんでしょーっ!!」
チルディは地面をバタバタと激しく踏み鳴らし、握りしめた拳を振って激昂した!
「なによその無茶苦茶な立ち回りはーっ! 転んだと思ったら消えるなんて、卑怯ですわ! 破廉恥ですわ! 私の……私の完璧な演武を返しなさいーっ!」
「えぇ~!? 卑怯って言われても、僕、ただの道具屋ですから何でもアリって言いましたよね!?」
「キーッ! 悔しい! 悔しいですわーーっ!! !」
真っ赤な顔で涙目を浮かべ、ジタバタと地団駄を踏むチルディ・シャープ。
「世界一の女騎士」を目指す気高き副隊長のプライドは、ここに完全に崩れ去り、ただの「ツンツンと激怒する可愛らしいお嬢様」へと成り果てていたのだった。
♢
チルディは声にならぬ息を漏らし、数秒間の絶句の後、ゆっくりと深呼吸をした。
彼女はぎゅっと拳を握り締め、驚愕で乱れた心を必死に抑え込むと、すっと背筋を伸ばして「一度冷静に」思考を整理した。
(落ち着きなさい、チルディ・シャープ……! 焦ったら見苦しいですわ)
チルディは溢れ出そうになる動揺を抑え込み、冷ややかな翡翠色の瞳でイサミを振り返った。
「……見事ですわ、イサミ」
彼女は落ちた細剣を静かに拾い上げると、真摯な眼差しでイサミを見つめた。
「認めますわ。あなたの今の立ち回り……道具屋などという仮面の下に隠されたその技術、本物ですのね。ですが……一度見せてもらった以上、二度目は通じませんわ! あなたのその『奇策』のカラクリは理解しましたもの。もう一度……もう一度構えなさい! 今度こそ、私の本気の剣技で打ち破って見せますわ!」
チルディの評価は正当だった。そして騎士としての誇りゆえに、純粋な再戦(リベンジ)を求めていた。
――しかし。
「いやぁ〜、参りました! 僕の負けです!」
イサミは短剣をすっと鞄に仕舞うと、あまりにも爽やかな笑顔で両手を挙げた。
「二度目が通じないからこその『一発勝負』なんですよ〜。僕みたいな弱小道具屋の種明かしは一回こっきり! チルディ副隊長に本気を出されたら僕なんて一瞬で切り刻まれちゃいますから、これにて降参でーす!」
「な……ッ!? 降参だなんて許しませんわよ! 私に勝ち逃げをするつもりですの!?」
イサミのへらへらとした態度に、チルディの理性がプツンと音を立てて弾けた。
「納得がいきませんわ! なぜ再戦に応じないのですの!? あなたほどの腕があれば、私と真っ向からやり合うことだってできるはずでしょう!?」
チルディは詰寄るようにイサミへと一歩踏み込み、その胸元を指差して迫った。
「断るなら……断るというのなら、私にも考えがありますわ!」
「え、ちょっとチルディさん……? 近い、近いですって――」
イサミが後ずさろうとした、その時だった。
チルディの瞳に、妙な「大人っぽさ」と「余裕」の光が宿った。
彼女はフフンと鼻を鳴らし、何かを悟ったかのような笑みを浮かべた。
「……思い知りましたわ。あなたのような男は、言葉で言っても無駄なのですわね。男という生き物が何を望み、どう扱えば思い通りになるか……私だって、知っていますのよ!」
「はい……?」
「こうすれば……再戦に応じてくださるのですわよね!?」
次の瞬間、チルディはひざまずくように姿勢を低くすると、迷いのない素早い手つきで――イサミのズボンのベルトに手をかけ、一気に引き下ろした!
「えぇぇぇぇぇッ!?? ちょ、ちょっと何してるんですかチルディさん!!??」
イサミの悲鳴が地下訓練場に響き渡る!
しかし、チルディの動きは騎士らしい無駄のない素早さだった。
露出したイサミの熱を帯びた部位へ、彼女の白く細やかな手が躊躇いなく(しかし密かに震えながら)添えられる。
「くっ……! 不潔漢……破廉恥ですわ……ッ! ですが、世界一の女騎士となるための試練と思えば、これしき……ッ!」
チルディの顔は、耳の先端まで真っ赤に染まっていた。
普段は厳格で高貴な親衛隊副隊長。
その彼女が、溢れんばかりの恥じらいと照れを浮かべ、瞳を潤ませながら、手で滑らかにイサミのペニスを慰め始めたのだ。
「あ……く、う……っ!? チルディさん、これ、やばいって……っ!」
「お黙りなさい……! 」
チルディの絶妙な力加減と、繊細な手つきのギャップ。
イサミもまた年相応の男子であり、予期せぬ美少女騎士からの奉仕に、あっという間に快感の限界へと達してしまう。
「あ、出……出ます……っ!!」
「え……っ!? きゃ――ッ!?」
ビュクッ……ビュルルッ!!
イサミの精液が、チルディの白く綺麗な手と甲冑の端を白く汚した。
「はぁ……はぁ……っ! た、大量ですわ、イサミ……っ!」
チルディは真っ赤な顔で荒い息を吐きながらも、どこか勝利を確信したような歪んだ達成感の笑みを浮かべた。
そして、彼女は立ち上がると、自らの白と金の甲冑の留め具に手をかけた。
「これで……私の本気度が分かったでしょう? さあ、衣服を脱ぎ捨てて……いよいよ『本番』と参りましょうか……! これであなたも、私の思い通りに――」
チルディが肩の甲冑を外し、胸元の衣類を脱ぎかけ――可憐な肌が露わになろうとした、まさにその瞬間。
――ズキンッ!!!!
イサミの脳裏に、凄まじい衝撃とともに「警告」が駆け巡った。
幼少期、母から耳にタコができるほど叩き込まれた、あの絶対の教え。
『イサミ、いいですか?世の中には……関わっただけで世界ごと消し飛ぶような、理不尽の体現者みたいな男がいるんです。特に……やたらと女縁が良くて、茶髪をしていて、顔のついた剣を持った野蛮な男には、死んでも近づいちゃダメですよ〜……?』
そして――。
脱ぎかけのチルディの背後に、ぬっと浮き上がる巨大な「幻影」。
それは、茶色の髪を逆立て、邪悪かつ爛々と輝く目でイサミを睨みつける、**怒気全開のランス**の恐ろしいビキビキとした幻像であった。
『ガハハハハ! 俺様の女に手を出すなぞ、良い度胸じゃねえか小僧おおお!!お仕置きだああああッ!!』
そんな幻聴すら聞こえてくるような、圧倒的な不吉と死の予感!!
イサミの『道具屋としての直感(生存本能)』が、人生最大の警戒アラームをけたたましく鳴らし響かせた!
(((アッババババババ!!?? マズイです!!! こ、このお嬢様、あの「世界を滅ぼすレベルの理不尽災厄男」のフラグがバチバチに立ってる奴だあああああッ!!!!)))
「ひっ……ひええええええええっ!!!???」
イサミは全身から見たこともない量の冷や汗をブワッと吹き出させた!
「タ、タイム!! タイムですチルディさん!! 僕は命が惜しいです!!!」
「え……? ちょっと、イサミ……っ!?」
イサミは秒速の動作でズボンを引っ張り上げると、ベルトを爆速で締め直した!
その素早さは、先ほどの脱力すら上回る神速の着替えであった。
「すみません無理です死んじゃう!! 特別報奨金も要りません! 僕はシチューを食べて平和に暮らしたいんです!! それでは失礼しましたあーっ!!」
「なっ……!? ちょ、待ちちなさいイサミ――ッ!?」
鍵をかけていたはずの重厚な鉄扉を、イサミは予備の鍵で一瞬で解錠すると、脱ウサギのような超スピードで地下階段を駆け上がっていった!
ドタドタドタドタッ……!!
嵐のように去っていったイサミの足音が、遠ざかっていく。
静まり返った地下訓練場。
脱ぎかけた衣服を抑え、白く汚れた自分の手を見つめながら、チルディ・シャープは呆然と立ち尽くしていた。
「な……なんですの……あの男は……」
服を着直しながら、チルディは深々と溜息を吐いた。
命懸けで逃げ出していったイサミの無様な後ろ姿。
だが――そのあまりの異常な逃げ足の速さと、最後まで掴みきれなかった彼の「本気」の余韻。
「……ふふ」
チルディの口元に、呆れと、どこか名残惜しそうな可憐な笑みが浮かんだ。
「逃がしませんわよ、イサミ。……私をここまで乱しておいて、タダで済むと思わないことですの」
赤くなった頬を隠すように、チルディは優雅にマントを羽織り直したのだった。