「まあ、なんだ。こちらもこちらでヤるとしようか。お前たちも、相応に昂っているだろう?」
天嶺のその言葉に、神室真澄は身を固くせざるを得なかった。
否定はできないし、天嶺のその瞳が、自分を捉えて離さない。まるで、蛇に睨まれた蛙のよう。もはや、自分に逃れる術はない。何度目かの諦観が神室を襲う。
「さて、これからお前の心の空白を埋めるために抱くわけだが、前以て言っている通り、俺は仕事を兼ねてこの学校に入学している。
今は入学直後ということもあり、情報が揃っておらず、それでいて現場を確認する必要もあって敷地内の各所を練り歩いているのが実情だ。
早い話、時間が経つにつれ、情報が集まるにつれ、時間の確保は難しくなっていくだろう。仕事を優先して授業をサボることだってあるかもしれない。
そういう事情故にだ。お前は徹底的に堕とす。暫く抱かなくても大丈夫なように、俺に溺れさせる。それによって、お前の手癖の悪さを封印する。万引きよりも、俺に抱かれることを求めるようにな」
腕を組み、閻羅王を雄々しく反り立たせ、人の悪い笑みを浮かべながら天嶺は告げた。
「それって……」
「俺に目を着けられた時点で、最初からお前に逃げ道はなかったということだ。……ああ、安心しろ。キチンと快楽は与えてやる。決して、俺だけが一方的に愉しむわけでないことは約束する」
ちっとも安心できない! 神室がそう言う前に、その唇は天嶺の唇で物理的に封じられた。
男と女の違いもあるのだろう。身体を抱き込む力が強く、神室は逃れられない。抵抗も空しく終わる。――神室に出来るのは、ただ天嶺から与えられる快楽を、一方的に享受することだけだった。
性経験どころか、ファーストキスもまだなのが神室真澄という少女だ。そんな初心な
唇を割り開かれ、舌を突き入れられ、口内を蹂躙される。唾液を送り込まれる。
その初めての経験は、神室を瞬く間に昂らせる。事前に天嶺の性行為を見学したことにより、性欲が刺激されていたのも一因だ。
そして――
「ん゛んんーーーっ!?」
立ったまま、神室はその身体を痙攣させた。口付けだけで絶頂させられたのだ。
「まずは、一手」
「うわっ!? ヤッバぁ……。神室さん、キスだけでイカセられちゃったよ……。九角くん、どんだけのテクを持ってるのさ……」
それは、一人この場に残って見学している千秋にも分かった。
感想を呟いた彼女は、指でそっと自分の唇を撫でる。自分がされた際のことを想像してしまったのだ。
高校生の場合、キスだけでも不純異性交遊に当たる可能性がある。千秋の知る限り、不純異性交遊は基準と範囲が非常に曖昧だ。『18歳未満の少年少女の健全な育成上、支障が生じるおそれのある性的行為』を指すが、その一方で、『当事者が真摯な恋愛感情に基づいて性行為等をした場合であれば、不純異性交遊にはあたらない』ともされている。それでいて、『お互いの年齢によっては処罰の対象になるケースもある』とのことだ。
そも、『健全な育成』自体が曖昧なものである。この齢になってまで『おてて繋いで』で済ませられるわけもない。
千秋どころか大半の学生にとっては『一体どうしろと……?』となるのは無理のない話と言えるだろう。
初めて交際してキスまでやって、その後に破局。別の相手と付き合ってキスをするのは、果たして真摯なのか? という話にもなってくる。
まあそんな事情もあって、一般的な高校一年生にとっては、セックスどころかキスすら未経験であることも珍しくはない。千秋だって経験はない。
だからこそ、性行為に惹かれる部分があるのは事実だ。自身の優秀さを自負する千秋であればこそ
そして、高育という新環境に移ったことにより人間関係が限られている千秋にとって、最有力候補は天嶺以外にあり得なかった。
綾小路、平田、幸村も一廉の優秀さを誇っており、そういう意味では彼らも候補に挙がるが、平田と幸村は天嶺と綾小路に比べたら格が落ちる。
綾小路であれば、ともすれば天嶺に並び立てるかもしれないが、この二人、揃いも揃ってハーレム許容派である。まあ、どちらにも理解を及ぼすだけの事情はあるわけだが、だからこそ、元々の関係性も踏まえれば、千秋としては天嶺に軍配を上げざるを得ないのが正直なところだった。
性行為という非日常に、天嶺とそれを行うというスリルに、千秋はこの上ないほどに惹かれていた。
「ん゛んんーーーっ!?」
千秋の見ている前で、再び神室はイッた。
「二手目だ」
今度はキスではなく、胸を弄るだけでイカセてしまったのだ。
これ以上ないほどに天嶺の性的技量を表しており、静かに呟く彼の声に千秋は恐怖を感じた。――その一方で、自分が実際にされた場面を想像して興奮せずにはいられない。
「三手目は、全身の愛撫といこうか」
神室をそっとマットに横にならせた天嶺は、宣言通りに神室の全身を弄り始めた。
よもや、天嶺は女性の性感帯という性感帯を余すところなく熟知しているとでも言うのだろうか? 身体を弄られる都度、神室は断続的に身体を痙攣させている。
「四手目だ」
そう言って、天嶺が手を伸ばしたのは、神室の秘所だった。
もはやほとんど役には立っていないが、神室は未だに湯着を纏っているため、千秋から肝心の部分は見えない。それでも、位置を鑑みれば推測は十分に可能だった。
天嶺の手が小刻みに動く。
「んんっ❤ んぁっ❤ ああっ❤ ひゃん❤」
それに合わせ、神室の口からは断続的に嬌声が零れる。
千秋の元まで性臭が漂ってきているように感じられた。広い風呂場なので実際には定かじゃないが、少なくとも千秋がそう思ったのは事実だ。
二人の行為をオカズに、神室の嬌声をBGMに、千秋もまた自慰行為に耽っている。昂った情欲を発散せずにはいられない。
「あんっ❤ んおっ❤ ひぃあっ❤ んふぅ❤」
いつしか、場には千秋の嬌声もBGMとして混じり始めた。
「なんだ? 千秋も我慢できなくなったのか? いい子だからもう少し待っていろ。神室の次はお前の番だ。――お前にも、十分な快楽を味わわせてやる」
千秋の方を振り向いて、天嶺がそう言った。
天嶺はすぐに神室の方に顔を戻したけれど、それはもはや絶対命令に等しかった。今の千秋は、その瞬間を心待ちにせずにはいられない。
同時、その宣言があったからか、途端に快感が遠くなった。天嶺に可愛がられるのを期待するが余りに、自慰行為が味気なくなってしまったのだ。
千秋の優秀な頭脳を以てすれば、そうと察するのは容易かった。だがそれは、千秋にとっては生き地獄に等しい。情欲は昂るくせに、自分で慰めてもオーガズムに至らないのだから。
これを解消するには実際に天嶺に弄られるしかなく、その天嶺は未だ神室の相手をしている最中だ。しかも、まだ挿入すらしていない。
その事実は、千秋をこれ以上ないほどに苦しめる。だが、我慢できずに自分から天嶺を求めれば、彼は相手をしてくれないかもしれない。だって彼は言ったのだ。『いい子だから』……と。
逆説、いい子でなければ相手をされない可能性は否定できない。その恐怖がある故に、千秋はこの狂おしいほどに昂った情欲を必死に耐えるしかない。
「ん゛あ゛ああああっっ❤」
そんな千秋の耳に、再度神室の甲高い声が響いた。間違いなく絶頂を迎えたのだ。
「さて、これだけやっておけば十分だろう。さあ、いよいよ本番だ。一気に貫くぞ」
「んえ……?」
短時間で絶頂に次ぐ絶頂を味わった神室は、もはや意識が曖昧だ。天嶺が何を言っているのかも理解していないだろう。
だが、それでいい。それほどに昂っているからこそ、破瓜の痛みを必要以上に感じることもないだろう。
「んはぁぁぁっ❤」
挿入と同時に神室は絶頂した。
「神室――いや、真澄。処女卒業おめでとう」
もはや胡乱な真澄に対し、天嶺は微笑を向けてそう言った。
「さあ、手加減はここまでだ。ここからは、俺の情欲をお前にぶつけよう。俺がお前を必要としている事実を、お前の心身に叩き込んでやる」
真澄はどうか分からないが、かろうじて理性を残している千秋には分かった。
今までの真澄の連続絶頂は、天嶺にとっては下準備に過ぎなかった。真澄が必要以上に破瓜の痛みを感じなくてすむようにするための配慮に他ならなかったのだ。しかし、真澄が処女を喪失したことで、もはやその必要もなくなった。……言外に、天嶺はそう言ったのだ。
それは真澄にとって、
その、千秋の予想は正しかった。
ドチュン! ドチュン! ドチュン! ドチュン!
天嶺の閻羅王が、一撃一撃を確実に繰り出していく。先端近くまで抜いては根元まで挿し込み、再び先端近くまで抜いては根元まで挿し込む。その繰り返しだ。
「やっ❤ あっ❤ ふぁぁっ❤ あんっ❤」
そして、その都度に真澄は嬌声を零していく。ともすれば、一撃ごとに軽度の絶頂を迎えているのかもしれない。
(あれはもう、離れられないでしょ……)
心の一角。未だに残っている冷静な部分が、千秋にそう告げる。
そしてそれは、自分にも同じことが起こるという事実を予感させるには十分だった。
千秋がある程度九角天嶺という人物を知っているように、天嶺もまた松下千秋という人物を知っている。たまに、退屈さに耐えかねてスリルを求める気質があることも。
彼の仕事を鑑みれば、自分のこんな気質は厄介でしかない。そうである以上、対処するのは当然のことだ。そのために一番簡単なのは――実際の難易度じゃなくて、彼の受け入れやすさで考えた場合は――スリルの向かう先をコントロールすることにある。
千秋のスリルを求める気質を不純異性交遊という事柄に向かわせ、その上で対象を自分にする。……きっと、ここまでが天嶺の計算内なのだろう。
幸か不幸か、千秋の優秀な頭脳はそうと悟るに十分な機能を有していた。
(あ~あ、国連で働くのは諦めるしかないか……。ま、いいけどね)
高度育成高等学校に入学するに当たって抱いた夢。海外の一流大学に進学し、大使館勤務を経て国連で働くという夢。――だけどそれは、九角天嶺と再会しなかった時分に抱いた夢だ。
相手のスペックや家柄、内面の成熟度で決め、妥協は一切しないタイプ。理想の恋愛対象は自身より成熟した男性。……それが千秋の恋愛観だ。
そして九角天嶺という男は、自分と同年齢でこそあるものの、その条件を見事なまでに果たしている。であるならば、今日、この日、この場で、彼に堕とされてしまったとしても悔いはない。――自らもシビアに見れる一面を持つからこそ、千秋はそっと覚悟を決めた。
「ひあああぁぁっ❤ ふあああぁぁっ❤ んあああぁぁっ❤」
真澄の嬌声は、もはや留まるところを知らないレベルで大きくなっている。
天嶺が肉棒を出し入れするたびに、甲高い悲鳴を上げている。
初体験でこんな快楽を味わえば、別の意味で頭がバカになるんではなかろうか?
そんな危惧を抱いた千秋ではあったが、所詮、真澄は出会ったばかりの相手だ。友人でも何でもない。そんな相手がバカになったところで、千秋としては知ったことじゃない。
冷たいと言えば冷たいし、それを自分でも認めているが、この世の中、シビアに見なきゃやっていけない部分があるのも確かである。人間関係だってその例に洩れない。
(まあ、場合によっては私にも同じことが言えるんだろうけど……)
そうと思いつつ、それでも最後の部分では千秋は安心感を抱いていた。
千秋と真澄では、決定的な違いがあるからだ。それはお互いの所属クラスである。
天嶺の予想だと、この学校はクラス評価制を敷いている可能性があり、その結果が翌月の支給ポイントに反映されるとのことだ。千秋としても、その推測には同意する部分が大きい。
である以上、よもや同じクラスの生徒である自分を、よもや頭がバカになるまで快楽漬けにはしないだろう。……そういう、ごくごく自然な判断が千秋には働いているが故であった。
(けどまあ、そうなったらその時はその時かな……)
ただ、それでもいいかと思ってしまう辺り、千秋も完全には冷静さを保ててはいなかった。当然である、今の千秋は、果てしないほどに高まった情欲に襲われ続けているのだから。
自分で自分を慰めても解消できない以上、取れる手段は現実逃避ぐらいしかない。
そういう冷静な判断が、現実逃避として千秋を理性の固持に努めさせたのである。
「さて、そろそろ、射精すぞ……!」
どうやら天嶺も限界が近いようで、そんな声が零れる。
「ひあああぁぁっ❤ んあああぁぁっ❤ 射精す……? 射精すって何を……? ――って、精液!? 精液を出すの!?」
そして、天嶺の言葉を聞いたことにより、快楽に支配されていた真澄も束の間だろうが理性を取り戻したようだ。
「ああ! もちろん! 中にくれてやる! 心配するな! 最初に言った通り! 妊娠の心配は! ないからな!」
言った通り限界が近いのだろう。ピストンを繰り返しながら、途切れ途切れに天嶺は中出しを宣言する。
「いいっ❤ 中でも何でもいいからっ❤」
理性を取り戻したとはいえ、やはり大部分は快楽に支配されているのだろう。真澄は中出しを厭わない。
初体験、かつ関係性の薄さを考慮すれば、普通は中出しを厭うべきだ。――にも拘らずの、この現状である。
「さあ、射精すぞ!」
「イクッ❤ イっちゃう❤ ん゛おおおぉぉっ❤」
最後に天嶺が一際強く肉棒を突き込めば、真澄は獣のような絶叫を上げて、自身もまた何度目になるかも分からない絶頂を迎えた。
それを見て、程なく自分の番が訪れることを理解して、千秋の理性は音を立てて砕け散り、抑え込んでいた情欲に支配されるのだった。
そんなわけで真澄回です。
ただ、前話の後書きで言ったように千秋の描写が多めです。書いてたらそうなっちゃいました。
次回は恵にすることにしました。
人数的に、天嶺(真澄)→清隆(恵)→天嶺(千秋)→清隆(鈴音)→天嶺(桔梗)にするのがバランスがいいかなと思った次第です。
ただ、やはり実用性は薄いと思います。
『手軽なエロ』を書いてみたくて手を出し始めた本作ですが、どうにも『エロを通した救済』方面に向いちゃいます。
自分の技量もありますが、最初のうちはそれぞれが抱えているものもありますので、それをどうにかしないかぎり、本当の意味で『手軽なエロ』にはならないんじゃないかと思ってしまう自分がいます。
好きな作品、好きなキャラを使った二次創作の弊害ですね。
感想・評価・リクエストお願いします。
学校生活で演じる清隆の性格路線について。クール系の天嶺と、温和系の平田とは別路線を歩みます。基本的には自身の社交性を鍛えるためですが、対象やその周辺人物との友好関係や実力、五月のCPに影響が出ます。
-
チャラ男ルート。対象は池。CP上昇大。
-
オレ様ルート。対象は佐藤。CP上昇小。
-
その他。具体的にはリクエストを。