※この作品はR-18です。

外法ってやつを見せてやろう   作:山上真

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第15話:素直でいいことよな

「よお、待たせたな。先に訊くが、抱かれ方に何か希望はあるか? 桔梗」

 

 快感の余りに気を失った千秋をマットに横たえた天嶺は、桔梗の方を向き直ってそう言った。

 その姿には疲労の程は然程見受けられない。少なくとも、桔梗の知る限り――これは聞いただけで実際に自分で見たわけではない部分も含むが――澪に一回、真澄に一回、千秋に二回の計四回は出している筈なのだ。或いは、もっと出している可能性だってある。

 桔梗は女性であるが故に男性のそういう部分には疎い面があるのは事実だが、短時間にこんなにも出せるものなのだろうか……?

 そこまで考えて、澪が言っていたことを思い出す。

 

「九角くんは精力絶倫だって伊吹さんが言ってたけど、本当なんだね……」

 

 だから、今からでも抱いてもらうことが出来るという喜び。

 そんな精力絶倫を相手にして、自分が耐えられるのかという不安。

 相反する感情が桔梗を襲う。

 

「フッ、そんなに緊張するな。先にも言っただろう? 性行為とはな、互いが互いに対する配慮が重要なのだ。互いが愉しみ合う。互いが喜び合う。その心がなくば、長続きなどせんよ」

 

 そんな、桔梗の緊張を見透かしたのだろう。天嶺は微笑を浮かべ、安心させるように言い放つ。

 

「さっきも言ったが、俺は真澄に対しては一方的に責め立てた。だがそれは、そうすることで、たとえ一時のことであろうと『自分は必要とされている』という認識を真澄に与え、それによる安心感を齎すためだ。

 一度実際に安心感を与え、次回以降も確約し、その上で実際に二度目の安心感を与えれば、もはや万引きに手を染めることもあるまい。

 そしてそれは、真澄が帯びる陰氣の減少にも繋がり、俺としても得がある」

 

 まずは真澄を見て。

 

「千秋に対しては、彼女の『スリルを求める気質』を満たすことを優先した。彼女の興味の赴くまま、したいことをさせることを優先させた。

 その上で、不用意に踏み込みすぎればどうなるかを、極度の快感を与えることで教え込んだ。直接的な危険性には結び付かんが、だからこそ、ある意味では安全性も高まる。

 何せ、別の選択肢を取れば、本当の意味で生命の危機に繋がる可能性だって捨てきれんのだ。それはそれで怖いもの見たさというか、本当の意味でそういうスリルを求める部分がなくなることはないだろうが、須らく人間は楽を求める性質を持っているものだからな。

 同じ怖いもの見たさならば、快感に繋がる選択肢を選ぶのが道理だろうよ。極論、今回千秋が味わったのなんざ性行為の一部分でしかない。世の中にはSMプレイだのコスプレプレイだのシチュエーションプレイだの、実に様々とあるのだ。

 ある程度の折り合いを付けさえすれば、『新たな方向性の開拓』という名のスリルに結び付き、それはそれで満足感を覚えるには十分だろう。

 俺とて、未開拓分野の開拓には興味がある。相手が本当に嫌ならばする気はないが、相手が乗り気ならば内容次第では開拓にも協力するとも」

 

 次に千秋を見やって。

 そう言われたならば、ある意味で天嶺の行動には一貫性があることを桔梗も認めざるを得なかった。

 同時、このままではいけないとも思った。

 桔梗は自分を認めてくれる存在として天嶺を選んだ。有象無象からの称賛よりも、天嶺ただ一人からの称賛をこそ尊ぶ。そのことに間違いはない。

 だが、それだけではいけない。それで満足してしまっては、自分は天嶺に依存しているだけだ。天嶺の懐の広さに甘えているだけだ。

 そも、櫛田桔梗という人物は、何事も自分が一番でなければ我慢できないタチなのだ。ならば、逆に天嶺を甘えさせるほどになることこそ、自分が真にするべきことだ。自分が真にやりたいことだ。

 

「じゃあ、まずは天嶺くんの主導で思う存分に私を甘やかしてほしいかな。その上で、私を導いてほしい。その果てに、やがては私の方が天嶺くんを甘やかしてあげるよ」

 

 だから、桔梗は笑顔で宣うのだった。

 

「ハッハッハッハッハッハッ……!」

 

 それを聞いた天嶺は目を丸くし、堪えきれないといった様子で笑った。しかし、桔梗をバカにした風ではない。それよりは感心・感嘆の方が強い。

 

「そうか! そうかそうかそうかそうかそうか! 俺を甘やかしてくれるほどになってくれると、お前はそう言ってくれるのか! 愉快だ! 実に愉快だとも! ハハハハハハ……!」

 

 呵々大笑。その様子を表すのなら、その言葉が相応しいだろう。

 

「いやいや、我ながら精進が足りないな。次期頭領・次期村長。いつの間にか、俺は必要以上にその肩書に、やがては『次期』の文字が外れて至る立場に囚われていたようだ。

 感謝するぞ、桔梗。お前の言葉で、俺は大切なことを思い出せた」

 

 そう言って、天嶺は桔梗に対して軽く頭を下げた。

 澪は確かに天嶺の婚約者だ。しかしそれは、天嶺と同様に生まれからくる立場や肩書に縛られた部分が無くはない。

 将来的に、天嶺は両組織の長として外向きの事柄に重視して当たることになるだろう。結果、どうしても目と手が行き渡らなくなる内向きの部分に関しては、妻となる澪が当たる。これはもはや確定路線だ。――仮にどちらかが、或いは双方が急死したとて、その立場に就く人を入れ替えて、結局は同じことが行われる。それは『長』とその『妻』の確定事項なのだ。

 しかしだからこそ、その()()は生半なものではない。

 もっとも、本当の意味でのトップは長であり、妻は補佐役だ。だから、妻となった後でも、澪が長となった天嶺に甘えることはできる。

 だが、天嶺は? 本当の意味でトップになった際、()()()甘えられる相手はいるのか?

 澪に、親に、家族に、村民に甘えればいい。言葉ではそう言えるし、頭ではそう考えている。

 しかし、実際にその立場に就いた時、同じことを言っていられる保証は、同じことを考えていられる保証はない。そしてそうなれば、天嶺とて潰れてしまうかもしれない。

 桔梗の言葉は、天嶺にそれを自覚させるには十分で、同時にそれに対する一つの返答でもあった。 

 

「ああ、是非ともお願いするぞ、桔梗。今はまだいい。だが、やがては俺を甘やかしてくれるほどに器の大きい女になってくれ」

「うん、任せてよ!」

 

 天嶺の頼みに、桔梗は満面の笑みで頷いた。

 

(ああ、天嶺くんに頼まれた! 何これ!? たったそれだけなのに、今までにないほどに凄い快感!

 頼まれただけでこれなのに、実際に叶えて感謝されたら、どれだけの快感を得られるんだろう……!?)

 

 その心を、歓喜と、まだ見ぬ期待に昂らせながら。

 

 ♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢

 

「ん、んう……」

 

 多大な満足感に包まれながら神室真澄は目を覚まし、直前の出来事を思い出して赤面した。

 ブンブンと顔を横に振り、天嶺が櫛田桔梗の胸に吸い付いている場面を目撃した。

 だがそれは、自分に対して行ったような激しさを伴ってはいなかった。――むしろその逆。まるで幼子が母親に甘えるかのような、そんな柔らかさを伴っていた。

 実際、天嶺を胸に抱いた桔梗は、まるであやすかのように片手で天嶺の頭を撫で、もう片手でその背をポンポンと叩いている。

 

(え……? 何これ……? 本当に同一人物……?)

 

 真澄は自分に対する行為とのギャップの激しさに困惑せずにはいられない。

 

「ふふ、おっかしいの。こっちは『甘やかして』って言ったのに、逆に天嶺くんが甘えているんだもん。これじゃあ矛盾してるよ」

 

 困惑する真澄の耳に、桔梗のそんな声が届く。行為はそのままに、柔らかく優し気な響きを伴って。

 桔梗の言葉を聞いた天嶺は、音を立てて胸から口を離した。

 

「別におかしくはあるまいよ。基本、男というのは女に対して恰好を付けるものだからな。――それがこうして甘えているのだ。むしろ、これ以上ないほどに甘やかしている証拠だろうよ」

 

 甘やかすのというのは、相手のやりたいことをさせるということだ。

 そういう風に考えるのであれば、確かに桔梗にとってはこれ以上ないほどの甘やかしであった。

   

「うんうん、そうだね~」

 

 言いながら、桔梗は天嶺をグイと引き寄せる。先ほどまでとは反対の胸に吸い付かせた。

 そんなやり取りを見て、真澄は何となくではあるが理解と納得を果たした。

 天嶺のスタンスは、基本的に『相手に合わせる』ことにあるのだろう。その上で、相手と自身の双方が快楽を得るスタンス。

 自分への行いを見ればがっついている様にも思えるが、それは『誰かに必要とされたい』という、真澄が抱える心の空虚さを埋めるためでもあった。

 実際、散々にイかされて苦しかったのは否定しないが、これまでとは打って変わって充足感に満ち溢れている。あの激しさが、真澄の空虚を埋めるに当たって十分な役割を果たしたのだ。

 これで、ただ優しいだけのセックスをされたのであれば、確かにある程度は空虚さが埋まったかもしれないが、ここまでの満足感を得てはいなかったとも思える。

 

(もしかしたら、あの櫛田って女も私と同じだったのかな……?)

 

 不意に、真澄はそう思った。

 入学して僅か数日。――にも拘らず、桔梗の積極性と交友関係の広さはクラスの違う真澄の元にも届いていた。

 正確には、真澄自身、桔梗と連絡先を交換している。Aクラスを訪れた桔梗が、そのとき教室内にいた面々へと連絡先の交換を求めたからだ。

 真澄自身はどうでもよかったのが本音だが、だからこそ断るのも面倒臭く、流れのままに交換した経緯がある。

 何でそんなことをするのか、何でそこまでするのか、真澄にはサッパリと分からなかった。

 だが、眼前の光景を見ることで、何となくだが分かった気がする。

 真澄は()()()()()()()()()ことを願いつつ、諦観に支配されてそのための行動を起こせなかった。

 或いは、わざとイケナイコトをして、それを叱ってくれる人物こそを()()()()()として求めていたのかもしれない。自分自身にその自覚はなかったが、そういう解釈は十分に可能だろう。

 一方の桔梗は、積極的に交友関係を広めることで、自分を必要としてくれる、満たしてくれる特定個人を探そうとしたのだろう。

 或いは、特定個人が見付からなくても、数で充足感を埋めようとしたか。

 どちらだとしても、一定の筋は通るように思える。

 そして、奇しくも同じ人物に辿り着いた。――九角天嶺という人物に。

 

(ただ、求めるモノに大差はなくても、私と櫛田のスタンスが違ったから、天嶺もまた異なるスタンスで応えた)

 

 そう考えれば、やはり一抹の筋は通るのだ。

 

「じゃあ、次は胸でしてあげるね。たしか、パイズリって言うんだっけ? 流石に佐倉さんや長谷部さんには及ばないけど、私も胸の大きさにはそこそこの自信があるんだよ!」

 

 そんなことを考える真澄の前で、桔梗は天嶺の男性器――閻羅王をその胸に挟み込んだ。……真澄は佐倉や長谷部という人物を知らないが、おそらくはDクラスの生徒だろうと見当を付けた。

 そのまま、桔梗は不慣れな手付きで胸を動かす。

 

「たしか、潤滑性を上げるために唾液を活用するんだっけ……?」

 

 次いで、自信なさげに呟いてその口から唾液を垂らす。

 

「けど、本当に天嶺くんのっておっきいね。胸の間から顔を出しちゃってるよ。……舐めてほしい? 咥えてほしい?」

 

 感心したように呟いた桔梗は、揶揄うような笑みを浮かべて天嶺を見上げた。そして、問いかける。

 

「ああ、そうだな。そうしてくれるとありがたい。お前みたいな美少女にパイズリフェラをされるとあっては、こちらも興奮するというものよ」

「正直でよろしい!」

 

 天嶺の言葉に気をよくした桔梗は、両手で胸を動かしながらも舌を出して閻羅王を舐め上げ、口に含んだ。胸も口も、積極的に動かしている。

 同じ性行為。しかして異なる性行為。

 自分とはまた違う関係性が、真澄の前で紡がれている。

 

(ああいう関係性もあるんだな……)

 

 と、真澄は素直な感想を覚えた。

 きっと、今は充足感に満たされているからだろう。それだけの精神的な余裕があるのだ。そして、余裕があるから素直に認められる。

 

「ああ、いいぞ。そろそろ、イきそうだ。……フフ、桔梗のその整った顔を汚すのも、飲んでもらうのも一興ではあるが――さて、桔梗はどちらがいい?」

 

 これまでは桔梗に甘えていた天嶺だったが、ここにきて選択を突き付けた。そう簡単にイニシアチブは渡さないということだろう。

 

「プハッ……。むぅ~、天嶺くんが意地悪だ。そこは、天嶺君の方からどっちがいいかを頼むべきじゃない?」

「いやいや、最初からそこまで甘やかしては、お前の成長に繋がるまいよ。今はまだ、お前は俺に甘えている立場だということを自覚せよ」

 

 閻羅王から口を離して、ムスッとした顔で不満を言う桔梗に対し、天嶺は笑ってダメ出しをした。

 

「じゃあ、どっちも! 飲ませてほしいし汚してほしい! 私を天嶺くんに染めてほしい! ――そして、いずれは天嶺くんを私に染めたい

 

 出来るよね? と言わんばかりの上目遣いで桔梗は言った。その後も何事かを呟いたようだったが、生憎と真澄には聞こえなかった。

 

「素直でいいことよな。……いいだろう。飲ませてやるし、汚してやるとも。存分に俺という男に染まるがいい」

 

 そんなやり取りをしたのち、再びパイズリフェラが実行された。

 そして、宣言通りに天嶺は口内射精をして桔梗に精飲をさせたし、口外射精をして桔梗の端正な顔を己が白濁液で染め上げた。

 流石にそれで終わりかと思いきや、二人はその後も性行為を続行する。

 

(いやいや、ちょっと待って!? アイツ、この短時間でいったい何回出してるのよ!?

 少なくとも、伊吹とかいう奴に一回でしょ。私に一回でしょ。で、そこに倒れている松下とかいう女に、一回か二回。更には櫛田に二回出して、まだ大丈夫だっての!?

 いや、確かに絶倫とは言われてたし、ここで止めたら櫛田の不満も大きいだろうけど……)

 

 真澄とてそこまでの性知識があるわけではない。殊に異性のこととなると尚更だ。それでも、それが異常であることは流石に分かる。

 故に、天嶺のその絶倫ぶりに驚愕せざるを得ず、同時に、天嶺の性的倫理感の低さに安堵した。

 この絶倫ぶりで、多数に愛を広める気質ならば、再び自分を抱いてもらうことも容易だろう……と。

 これが異常な行いであり、異常な思考である認識は真澄にもあるが、それ以上に己が利益を選ぶことにしたのだ。一度得た充足を、そう簡単に手放せる筈もないのだから。

 独占出来ないのが残念と言えば残念ではあるが、独占した場合、まず間違いなく自分の身体が保たないだろうことは既に分かっている。である以上、共有は現実的な選択だ。

 

「ああ❤ いい❤ これイイ❤ ダメダメダメダメダメ……❤ 耐えられない❤ イっちゃう❤ もうイっちゃう❤ イク~~~~~ッ❤」

 

 そして、与えられる快楽に悲鳴と嬌声を上げ、天嶺に容赦なく中出しをされて絶頂を迎える桔梗の姿が、真澄の目に映ったのだった。




今回は天嶺と桔梗です。
一連の性行為回は、一先ずこれで締めです。

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学校生活で演じる清隆の性格路線について。クール系の天嶺と、温和系の平田とは別路線を歩みます。基本的には自身の社交性を鍛えるためですが、対象やその周辺人物との友好関係や実力、五月のCPに影響が出ます。

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