※この作品はR-18です。

外法ってやつを見せてやろう   作:山上真

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リクエストを見る限り、櫛田桔梗と佐倉愛里は天嶺のヒロイン化、軽井沢恵は綾小路清隆のヒロイン化が望まれているみたいです。
まあ、未だリクエスト総数が少ないのが実情ですが、その中で複数人が希望している以上、『多い』と捉えて問題はないと思います。
実際にどうなるかはまだ分かりませんが、参考にさせて頂きます。
活動報告の方で返信はしていませんが、キチンと目は通していますので悪しからず。


第3話:無茶はしても無理はするな

 入学式を終え、簡単な施設説明を受けて解散となった後は、理事長との面談を済ませた。

 寮以外の拠点となる住居の鍵と説明を受け取る必要もあれば、諸々の落としどころを決める必要もあったので、理事長との早期会合は不可欠だった。

 全てが全て決まったわけではないが、ある程度の落としどころは定まったと言える。

 一つ。九角天戒と伊吹澪の両名は生徒会に入会する。そして、理事長が直々に推薦状を用意する。ただし、二人が生徒会の仕事を行う必要はない。

 端的に言えば勅命だ。生徒の中では最高の立場と言える生徒会長であろうと、生徒であることには違いないので、理事長――どころか、より上層である日本政府からの命令を断れるわけがない。

 あくまでも仕事を受けたのは鬼道衆の頭目である父親であり、天嶺と澪はその仕事を割り振られただけだ。天嶺らとしても依頼主が日本政府ということまでしか知らず、具体的に誰とまでは分からないが、日本政府からの依頼であるのは間違いのない事実なのだ。

 必然、この学校が日本政府の下部組織である以上、理事長も、その内部組織である生徒会の会長も、天嶺らが仕事を行うに当たっては可能な限りの協力をしなければならない。立場上、その義務がある。

 その一方、天嶺たちが生徒としてこの学校にやって来たのも事実であり、この学校のシステムに対しては可能な限り尊重する必要と義務がある。

 それぞれの立場が違う以上、優先事項も違って然り。落としどころの策定は必須事項であり、天嶺と澪の生徒会入会もその一環だ。

 一般的に見た場合、『退魔』なんて仕事が胡乱なのは議論するまでもない。現代社会はそのような常識の上で成り立っている。――しかしそれは、あくまでも危険回避を優先したが故であるのも否定できない事実である。

 常識がどうだろうと、世の中には実際に怪異も超常現象も存在しているのだ。個人的感情がどうであれ、一国の上の役職に就く者が、その事実を否定することなど出来ないし許されない。

 対処法が限られているからこそ、一般的には『無い』ことにして、国民が不必要に接近することを妨げているのだから尚更だ。

 そして、そのような事情があるからこそ、堂々と理由を語ることなど出来るわけがない。ある程度の事情が洩れるのは仕方ないにしても、それは制御できる範囲であるのが上層部としても望ましい。

 生徒会への入会はそれ故だ。詳しくはこれから調査してみないと分からないが、場合によっては堂々と授業をサボることだってあり得るのだ。怪異は人の都合なんぞ考えてはくれないので、昼日中でなければ対処できない場合だってある。

 一生徒がそれをやるのと、依頼を受けて家職を行いに来た生徒がそれをやるのでは、周りのウケも当然違う。

 あくまでも仕事で、そのために必要だから授業をサボっているわけであり、それは学校も認めていること。生徒会への入会は、その必然性を高めるための方便だ。これであれば、学校側も『公欠』認定を出しやすい。

 一つ。如何に応急処置と言えど、結界の常時展開は禁止。少なくとも通学時間は。

 なんでも、天嶺が結界を展開したことによって、教室内の監視カメラが機能しなくなったらしい。学校側としては、監視カメラの映像によって生徒の態度を調査し評価している面があるので、ノイズばかりだと困るようだ。

 そも、結界とは『内』と『外』を隔てるものだ。カメラ越しとはいえ、そう簡単に映像や音声が届くようでは結界の意味がない。それが穴となって呪詛が機能することだってあるのだから。

 そのため、天嶺の張る結界には基本的には穴がない。まあ、時には結界外部との連絡を取る必要があるのも確かなので、専用の機材を使えば映像や音声の送受信も可能だ。――逆に言えば、専用の機材を使わないことには不可能である。

 理事長の言い分は分かるが、天嶺にも仕事を行う上での言い分があるのも事実。

 その落としどころが、『毎日とは言わずとも、週に何度か、放課後の利用許可』だ。所定の曜日の放課後であれば結界の展開は認めるし、その間はカメラが機能しなくなっても文句は言わない。基本、放課後というのは部活に行ったり帰宅するのが一般的なのだし。

 一つ。仕事を行う上でのバックアップの確約。

 二人が仕事を行うのは日本政府の依頼あってのことだが、その内容はだいぶ曖昧であり、範疇が広すぎるのだ。

 情報も人手も足りなすぎるのが実情であり、支援がないことにはどうにもならない。しかし、仕事を行う上で二人しか来れなかったのは、こちらが依頼主の要望を呑んだからでもある。

 仕事に関する情報の収集・精査・提供係はもちろん、日常生活を送る上でも、料理当番だったり掃除役だったりといった支援役がいて困ることはない。だからこそ、二人としてはそこら辺を機能させるための人材登用権がほしいのが事実。

 既に日本政府や学校側は、住居を始めこちらの要望に可能な限り答えている。それを思えば無理は言えないが、支援用の人材を登用しない限りはまともに仕事に取り掛かることも出来ず、人材を登用するとなれば報酬を払う必要があるため、仕事を行う都度に報酬を頂くのは必須である。

 ここは独自のポイント制度で成り立っているため、現状、二人の手持ちは入学祝でもらった計20万しかないのだ。ただ日常生活を送るだけならまだしも、仕事が絡むと心許ないのが本音である。

 そんなわけで、双方の意見をすり合わせた結果、そこら辺が纏まった次第であった。

 

 ♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢

 

 理事長との摺り合わせを済ませた二人は、その足で生徒会室へと向かって推薦状を叩きつけた。

 生徒会長は余り表情を動かなかったが、書記は分かりやすいほどに渋面を浮かべていた。

 

「まあ、事情は分かった。坊主、神主、巫女……いわゆる『神職』に該当する者たちが世に必要とされているのは事実だ。その者たちとて、仕事の一部を見れば『祓い屋』や『拝み屋』なんかと大差はない。要は寄る辺の差であり、そこが齎す信用の差だな。

 理事長どころか、その上役である日本政府がお前たちの組織に仕事を出し、お前たちは『仕事を熟せる』と所属組織と依頼主から判断されてここにいる。それに対し、俺がどうこう言うのは筋違いだろう。

 だが、お前たちが当校の生徒であるのも間違いのない事実。故に生徒会長としてこれだけは言わせてもらう。

 無茶はしても無理はするな。お前たちは仕事に誇りを持っているのかもしれないが、仕事にかまけて学生生活を蔑ろにするのは許さん。両立を前提にしてこそ、お前たちは入学を認められてここにいるのだ」

 

 そんな感じで、生徒会長からの激励ともお説教とも取れる言葉を受けてその場を辞した二人は、今度は職員室へとやってきた。

 

「茶柱教諭、少しいいか?」

「九角に伊吹か、何だ?」

「少し訊きたいことがあってな。……クラスメイト個人別の校則違反回数をカウントし、それを来月のホームルームで発表してほしいのだが、どれだけのポイントを払えば可能だ?」

「……何故そんなことを訊く?」

「仕事の一環だよ。俺たちがここに入学したのは、日本政府からいわゆる『拝み屋』だの『祓い屋』だのに分類される仕事の依頼があってのことだ。

 取り敢えずは理事長との会合を済ませ、その足で生徒会への入会も済ませてきた。仕事を行う上で公欠を得るための土壌は作り上げた。……が、如何に下地を作ったところで、人手不足であることに違いはないからな。

 まあ、それが依頼主の要望であるのも事実だが、だからこそ、学校側からは相応の支援を頂けることにもなっている。実際に人材登用権も頂いてきた。

 そして、俺たちにとっては全くの新環境であるここにおいて人材を募るとなれば、真っ先に候補に挙がるのがクラスメイトだ。しかしながら、普段から素行不良な生徒を雇ったところで意味がないからな。こちらとしては、労働の対価としてキチンとポイントを払うに値する相手であることが望ましい」

 

 天嶺の言葉に、茶柱は暫し顔を伏せて考え込んだ。

 

「念のために確認するが、わざわざポイントを払うのは何故だ? お前の言葉を信じるのであれば、それがお前たちが仕事を熟す上で必要であるのなら、私たちは可能な限り支援する約束を結んでいるのだろう? 理由を聞けばそのデータが必要なことには頷けるし、無料での提供も可能だが?」

「……ああ、すまない。少々言葉足らずだったようだ。もちろんそのデータは無料で頂くつもりだが、俺が重視しているのは、その事実を学校側から公表してもらうことだ。それによって生徒個々人の危機感を高め、篩に掛けることを目的にしている。

 事実をありのままに突き付けることで、各々に奮起してもらう土壌を作り上げる。それに耐えられず潰れるようなら、それはそれだ。能力も向上心もない輩に対し、必要以上に掛ける情けなど俺は持ち合わせていないのでな。

 そも、この学校に入学した以上、その謳い文句に相応しい人物になれるよう自助努力を行うのは当然のことだろう」

 

 微笑を浮かべたまま、天嶺は理由を告げた。

 天嶺は自分に自信がある。自信に相応しい能力もあると自負している。それは澪も同様だ。

 単に、天嶺は次期村長にして次期頭目という立場柄、多方面に対して目を向ける必要があるから、その肩書に相応しい人物になれるよう行動することを厭わないだけである。

 一方、澪はそこまでする気がないし、その必要もない。澪は確かに天嶺の婚約者だが、だからこそ重視するのは『内向き』の事柄だ。天嶺が外に目を向けるなら、澪が内に目を向けるのは当然である。役割分担というのはそういうものだ。

 そして、『鬼哭村』も『鬼道衆』もほぼほぼ身内で固まっている。既に互いの良いも悪いも知り、その上で互いを受け入れることで成り立っているのだから、今更カッコつける必要などありはしないのだ。

 

「……なるほどな。悪いが、今すぐ判断はできん。些か特殊な事情が絡んでいるからな。改めて、『公表にいくらもらうべきか』を教師間で話し合う必要がある」

「尤もだな。決まったら教えてくれ」

「ああ」

「では、失礼する」

 

 こうして、担任である茶柱教諭に要求を突き付けた天嶺たちは、職員室も後にした。

 

 ♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢

 

「あ、やっと戻って来た。お帰り~」

 

 荷物を取りに教室に戻ってきた二人に声を掛けたのは千秋だった。彼女以外にも、男女問わず何人かの姿がある。

 軽井沢恵と櫛田桔梗は机を挟んで千秋と一塊になっておしゃべりに興じていた。千秋は、おしゃべりを中断して天嶺と澪に声を掛けたのである。片手も振っていた。

 堀北鈴音は自席で読書に耽っている。

 幸村輝彦も、一人なのは鈴音と大差がない。鈴音と違いがあるとすれば、彼の場合は自習に精を出していることだろう。

 綾小路清隆と平田洋介もまた、机を挟んでおしゃべりをしていた。平田が投げかけ、それに綾小路が返す形式のようだった。

 そして、千秋の言葉が呼び水になったようで、その全員が行為を中断して天嶺と澪の方へと顔を向ける。その振る舞いからして、全員が天嶺らを待っていたのは間違いないようだった。

 

「……ふむ。わざわざ俺たちを待っていたのか?」

「まぁね。そっちにとっては仕事の一環なのかもしれないけど、こんな物を受け取っちゃったからね。お気持ち程度には何かしら返さないと、人間的にどうよってもんでしょ」

「机の横に荷物が残ったままだったから、たぶん仕事に関しての話し合いにでも行ったんだろうなって思ってさ」

「だけど、いつ戻ってくるかまでは流石に分からなかったから、手軽に摘まめるおにぎりとかパンとか、待ち時間を潰すための自分用のお菓子とか買いに行ってね」  

「そしたらまあ、私と軽井沢さんと平田くんと、元々の知り合いだっていう松下さんの行動が見事に被っちゃったわけ」

 

 天嶺の質問に対して真っ先に答えたのは、軽井沢、平田、千秋、桔梗の四人だった。その言い分は十分に納得のいく内容だ。早い話、四人なりの礼儀である。

 

「オレはまあ、平田に誘われてな」

「綾小路くんの場合、純粋な意見交換とかは申し分ないんだけど、コミュニケーションって部分で見ると問題ありに感じられてね。ちょっとお節介を焼いてみたんだ」

 

 次いで綾小路が答え、それに平田が補足を入れた。

 天嶺が茶柱教諭に行った質問の効果だろう。それによって危機感を刺激された平田は、ヤバいと判断したわけだ。しかし、確証も無ければ平田一人しかいないため、可能な範囲からということで綾小路に白羽の矢を立てたのだろう。

 自己紹介を見ていた感じ、コミュニケーションに難のある生徒自体はクラス内に何人かいたが、程度のほどは様々だった。最初から切り捨てているような者もいれば、明らかに不慣れさを感じさせるものもいた。

 そして、綾小路は後者である。同性という理由も鑑みれば、平田が白羽の矢を立ててもおかしくはない。

 

「僕は、単純にお前と意見交換をしたかったからだ。仕事云々はさて置いて、担任とのやり取りを目にすれば、諸々疑問に思わない筈はない」

 

 そう言ったのは幸村。

 

「私も彼と似たようなものね」

 

 最後に堀北。

 

「なるほどな。仕事の用件を先に済ませたこともあって、飯を食っていないのも確かだ。腹も減っていることだし、ありがたく摘まませてもらいながら、意見交換に興じさせてもらうとしよう」

「はぁ……。めんどくさ。立場上同席はするけど、私はパスね」

「構わんさ。お前の人見知りはよく知っているからな。無理をさせるつもりはない。――が、曲がりなりにも三年という期間を同じくする相手だ。追々直していけ」

「ぐぬっ……。分かったわよ」

 

 天嶺は鷹揚に、澪は不承不承、席に着いたのだった。




早い話、『サボりに対する公的な理由付け』、『ヤリ部屋の確保』、『支援役という名のヒロイン確保の理由付け』が、今話の主目的です。
結界を張っている間は監視カメラが機能しませんし、氣を認識できない者は外から中を見ても実際の映像を確認できなくなります。
これにより、あくまでも天嶺が結界を張っている間は、堂々と教室で乱交が出来るようになります。
学校から結界を張る許可は取り付けましたし、悶々とした性欲を発散することで陰氣が発散される側面があるのも事実なので、仕事に繋がる面があるのは間違いありません。決して嘘ではないのです。

あとは、本文内で言及したように『クラスメイトに対する篩掛け』ですね。
早い内から個人ランキング付けてそれぞれの危機感を高めないと、Dクラスはどうにもならないでしょう。

感想・評価・リクエストお願いします。

学校生活で演じる清隆の性格路線について。クール系の天嶺と、温和系の平田とは別路線を歩みます。基本的には自身の社交性を鍛えるためですが、対象やその周辺人物との友好関係や実力、五月のCPに影響が出ます。

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