「アレは、いいのか……? 洗脳とか、その手の類では……?」
桔梗と篠原のやり取りを見ていた茶柱は、未だ理性を残していたこともあり、首を傾げざるを得なかった。
周りの面子に比べて大人であることも一因だが、天嶺から渡された装飾具の効果で精神力が向上しているのも一因だ。
「その意見を否定はしきれませんが、オレとしては特に問題はないと思いますよ。
だって櫛田は、これまでのDクラスの状況から想定できる事態の一端を語ったに過ぎませんから。あくまでも『そうなる可能性を否定できない推測』でしかありません。
そして篠原は、自身がDクラスだったことから共感を覚えると同時、Eクラスに落ちたことで特に平田に対して負い目を持っていたことから、これ以上平田を困らせることがないように、平田の助けになれるように、自分に出来ることとやれることで貢献していくことを決意しただけです。――大した美談じゃないですか」
茶柱の身体を弄りながら、清隆は
「そう言われると否定はできないが……」
「否定できないじゃなくて、そうなんですよ」
未だ惑う茶柱に対して、清隆は行動に出ることでその意思を封殺に掛かる。
どれだけ役に立つかは分からないが、教師が――大人が自分の手の内にあって困ることはない。
そのため、手加減することなく、清隆はこの機に茶柱を徹底的に堕とし、自分の手中に収めようとしていた。
大人であろうと、茶柱がこの齢まで処女を維持してきたのは事実であり、その点では清隆がこれまでに相手取った女子と大差はない。
たとえ装飾具の効果で精神力が向上していようと、その効果にも限度がある。高まった理性以上の快楽を与えて、それに沈めてしまえばいいだけのことだ。
キスを交わしながら、片手でギュウと乳首を抓る。と同時、もう片手で皮から顔を出したクリトリスを抓り上げた。
「イッ……❤」
瞬間、茶柱は絶頂を迎えた。
だが、それで清隆が加減をする道理はない。
(どうせなら、恵に麻耶、鈴音とは別系統に開発してみたいしな……)
清隆としては、いわゆる『SMプレイ』に代表される嗜虐行為にも興味があるし、自分の女を他人に抱かせることで性的快感を得る『寝取らせ』にも興味はある。
正味な話、どうすれば自分の感情が強く揺り動かされるかが分かっていないので、何でもかんでも試してみたいのが実情だ。
かといって、それらの興味を何でもかんでも特定個人にさせるわけにはいかないのも分かっている。どのような結果になるか試してみたいのも事実だが、結果が出る前に『高確率で壊れる』ことも理解できているからだ。
そもそもにして、感情面の発達が薄い清隆ではあるが、シッカリと『独占欲』じみたものも持ち合わせている。
だからこそ、手元から離れていくことがないように、自分に溺れさせるのは必然にして前提だ。
それと同時、己が興味を実現するために、この機会に茶柱の被虐願望を開花させる必要がある。
「ほら、先生。身体が止まってますよ。もっとオレを満足させてください。茶柱佐枝という一人の人間として、もっとオレに積極的にぶつかってきてください。
オレはキチンと受け止めて、お返しに満足させてあげますから。――優柔不断で、先生と向き合うことから眼を背け、ついには破局に至ったかつての恋人とは違います。
オレは佐枝の綺麗なところも醜いところも受け止めますし、佐枝にも醜さを含めてオレという人間を受け止めてほしい。……そう思ってます」
言いながらも、清隆が茶柱の身体を弄るのは止めない。絶頂に次ぐ絶頂を与えて、清隆の言葉に対する刷り込みを図る。
断続的に絶頂を与えることで、『自分はこれほどまでに佐枝を想っているのだ』と、行動で表している。――ように、茶柱に思わせるのが狙いである。
その一方で、佐枝の被虐願望を開花させるために、敢えて痛みを伴う行動も混ぜ合わせる。『絶頂』と『苦痛』を混ぜ合わせることで、誤認効果により『苦痛』で快感を覚えさせようという寸法だ。
最初は『身体の苦痛』を誤認させ、やがては『心の苦痛』も誤認させるのが理想である。
(後者まで進めば、たとえ佐枝を他の男に抱かせたところで、佐枝がオレから離れることはなくなるだろう)
言葉とは裏腹、冷徹な計算の下に、清隆は佐枝へと絶頂を与え続ける。
そして清隆の眼は、パーティーのために用意された
(星之宮先生の私物とのことだが、随分と量があるな……。まあ、オレとしては好都合だ)
呆れとも感心とも付かない感想を胸に、清隆はまずローターを手に取った。佐枝の両乳首へと固定し、振動は一気に強へ。
当然、佐枝が耐えられる道理はない。絶頂を迎えたその隙に、これまたオモチャに紛れていた手錠で後ろ手に拘束する。手を自由にさせて反抗されては手間だ。
クリトリスにもオモチャを設置し、尻穴には一気にアナルバイブを突き入れた。その上で、どちらも忘れずに起動させる。ただし、こちらの振動は弱めに設定する。
そして、秘所にはTレックスを勢いよく挿入した。前戯を十分に施していたこともあって佐枝の秘所は十分に潤っており、初物にも拘らず易々と受け入れてくれた。
幸か不幸か、決して本人が望んだわけではないにも拘らず、これまでに身を置いていた環境での生活から、『人間の壊し方』というものを心得ているのが綾小路清隆という人間である。
それは多分に知識・理屈に依ったものであるのは否めないが、それに則った上で清隆本人がトドメを刺したことがあるのも事実なら、実際にそれで壊れた人間がいるのも事実だ。
ならば話は簡単である。それに応用を加えればいいだけなのだから。
徹底的に苦痛を与えて茶柱佐枝の人間としての尊厳を破壊する。と同時に快感を与えることで、綾小路清隆が自分の支配者だと、飼い主だと、心身の両面に植え付ける狙いである。
恋愛感情などという
だがその一方、
(しかし、これはこれでクるものがあるな……)
佐枝を貶めながら、清隆は不思議な感情を覚えていた。或いは、最初に鈴音を抱いた時に抱いたものと似ているかもしれない。
(或いは、オレ自身が自覚していないだけで、オレも相応に嗜虐願望や加虐願望を持ち合わせているのかもしれないな……)
鈴音と佐枝の共通点を挙げる場合、真っ先に浮かぶのは『クール』という点だろう。
だが、そんな『クール』である筈の佐枝の表情は、絶え間なく与えられる苦痛と快感によって酷い有様となっている。涙を流し、表情を歪め、普段の凛とした様子など見る影もない。端的に言って『無様』なことこの上なく、その表情も実に『不細工』だ。
だが、それでも、清隆はそこに美しさを見出していたし、満足感も見出していた。
である以上、清隆の感想もある意味では当然なのかもしれない。
「どうだ、佐枝。気持ちいいか? 気持ちいいんだろう?」
スパン! スパン!
各所に取り付けたオモチャは起動させたまま、そしてTレックスの抽送は止めないまま、清隆は佐枝の尻を平手打ちした。――その上で、囁くように佐枝へと問いかける。
その質問に主語はない。
そして主語がないからこそ、佐枝は質問の対象について断定することが出来ない。
オモチャが気持ちいいのか、男性器のピストンが気持ちいいのか、尻を叩かれることが気持ちいいのか。……清隆がどれについて訊いているのかを、佐枝は決めきれないのだ。
推測し、佐枝の独断で返答することは出来る。出来るが、対象と違っていたら目も当てられない。
ヘタに肯定した瞬間、『お前は尻を叩かれることで快感を覚える被虐願望の持ち主――すなわちマゾヒストだ』……となるのは眼に見えている。
人間なんてのは『矛盾の塊』であり、それ故に同一人物が様々な面を併せ持っている。人によって傾向の強い面があるのは間違いないが、決して正反対の面を持ち合わせていないわけでもない。同一人物が、サディストとマゾヒストを両立させることだって無くはないのだ。
重要なのは種が発芽し芽吹くかどうかであり、やり方次第では本人の望みとは関係なく、他人によって特定の種を成長促進させられることだってあり得るのだ。
伊達に年を取っているわけではなく、清隆のやっていることが、そういう人間の心理を利用した
だがしかし、それが理解できているからこそ、もはや逃げ道がないのも理解できていた。
現在の佐枝は後ろ手に縛られている。この時点で手は使えず、足こそ自由だが立ち上がるのも一苦労だ。
かてて加えて、両胸、クリトリス、アナルをオモチャで責められている真っ最中だ。
挙句の果て、秘所には教え子の男性器を挿入・ピストンされながら、尻を打たれている。
正直、さっきから断続的にイきっ放しであり、辛うじてでも理性を保てているのが自分でも不思議であった。
そして、『理性が残っている』ということは、『それだけ余裕がある』ということだ。この状況で敗北を認めれば、自分から『清隆には勝てない』と認めたことになる。それは『自分の弱さ』の証明になる。
自分ではどうしようもない以上、この状況で佐枝が助かるには、必然として『第三者に助けられる』しかないのだが、『乱交』というパーティーの主旨を踏まえれば、その可能性は極々低い。
仮に誰かが止めに入ったとしても、『先生ってば合意したくせに乗り気じゃねえんだもん。それじゃあどっちもつまんねえし、こうなると無理矢理にでも快感与え続けて理性を壊すしかねえだろ(意訳)』……とでも清隆が言えばそこまでだ。
佐枝にとっては残酷な内容ではあっても、『乱交』というパーティーの主旨を鑑みれば、そして佐枝が合意して参加したことを踏まえれば、決して間違っているわけではないのだから。
むしろこの場合、空気を読んでいないとして佐枝が非難される可能性だってある。
つまり、佐枝に助かる道はない。
であるからこそ、耐えに耐え抜いたところで、いずれは理性が先に限界を迎えるのが道理だ。その果ての敗北宣言であれば、それは『清隆の強さ』の証明になると同時、確かな『自分の敗北』までもが刻み込まれることになる。
僅かな逆転の可能性に賭けるなら、さっさと自分から敗北を認めてチャンスを伺った方が賢いのだが、その分だけその先の扱いが悪くなってもおかしくはないのだ。
それに対して口答えをしようものなら、『痛いのが気持ちいいと認めたのは自分だろう? それを今更翻すのか?』……となっても不思議はなく、その分だけ清隆の機嫌を損ねることにもなりかねない。
それが嫌なら唯々諾々と従うしかなく、やはりいずれは心が折れる。
結局のところ、心が折れるのが早いか遅いかの違いでしかないのである。
「……答えないか。じゃあ、もっと激しくするしかないな」
結論が出せずに佐枝が沈黙を続けていると、清隆はそれを『黙秘』と受け取ったらしい。
「ん゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛っ❤」
瞬間、クリトリスとアナルを責めるオモチャの振動が一気に跳ね上がった。
必然の結末として、佐枝は耳汚い悲鳴を上げて絶頂する。
だが、清隆の行動はオモチャの振動を上げるだけでは終わらなかった。
スパンキングの威力と速度が増し、アナルバイブも抜き差しされるようになったのだ。
秘所の抽送速度こそ緩やかになったが、佐枝にとっては些かの救いにもならない。
与えられる苦痛が増し、それと同時に快感も増した。
「もう一度訊くぞ、佐枝。――気持ちいいか?」
「はいいいぃぃ……っ! 気持ちいいですうううぅぅ……っ!」
もはや、佐枝に理性など残ってはいなかった。素直に、単純に、与えられる質問へと答えを返す。
「そうか。なら良かった」
言葉ではそういう清隆だが、その行動に変化はない。
オモチャは変わらずに振動最大で各所を責め立てているし、尻にはスパンキングをしているし、尻穴に挿したバイブは抜き差ししているし、Tレックスも緩やかな抽送を続けている。
「櫛田! 少しいいか!?」
その上で、清隆は桔梗を呼んだ。
「はいは~い! ――って、凄い状況だね、佐枝ちゃん先生……」
清隆に呼ばれてやって来た桔梗は、佐枝の状況にドン引いた表情を浮かべる。
「実は、お前のチカラで佐枝用に新しい契約書を用意してほしいんだが、出来るか?」
「出来なくはないけど、その目的は? 協力するもしないもそれ次第だね」
清隆の質問に、冷たい目を浮かべて清隆を見返しながら桔梗は答えた。
桔梗自身、篠原に対して行った行為がドン引きものであるのは自覚しているが、それだって危うい均衡の上に成り立っているのが事実なのだ。
人も無げな行いであることは否めず、桔梗自身もそれを認識している。場合によってはそれを鍵として桔梗が変生してしまう可能性も否めない。
詳しくは明かしていないにしろ、それだけのリスクを負っているのが本当のところなのだから、気安く頼まれても困るのだ。
「道理だな。……これを機に、オレは佐枝を自分のモノにすることを決めた。そのために、徹底的に堕としている最中だ。
その一方で、佐枝に対する扱いは恵に麻耶、鈴音とは別ベクトルにしてみようと思っていてな。言ってみれば、『屈辱的行為』を主眼に置こうと思っているわけだ」
「ふ~ん? 続きをお願い」
軽く説明した清隆に対し、桔梗は続きを促した。
(少なくとも、琴線に引っ掛けることは出来たか……)
その事実に、清隆は内心で僅かに安堵する。
いざともなれば独力でも行うつもりだが、桔梗の助けを得られるなら、その方が遥かに楽なのも事実なのだ。
「オレ自身の興味本位であるのは否定しきれないが、クラスに貢献してもらおうと思っているのも間違いない。
普通に考えて、担任教師が受け持ち生徒のために身体を張るのは何もおかしなことではないだろう?
だがその内容次第では、たとえオレに反抗できなくしたとしても、佐枝が拒否する可能性がある。如何にオレのため、クラスのためであったとしても、相手がオレじゃないなら尚のことだ。
ハッキリ言って、それを度々矯正するのは手間だからな。なら、最初から拒否できないようにしてしまうのが理に適っている。
普通に考えれば無理難題に等しいが、お前のチカラを以てすれば可能なんじゃないかと思ってな」
言うだけ言って清隆は口を閉ざした。
あとは桔梗の判断次第である。
「
「ああ。オレたちのクラス。現1-Dに貢献させるつもりだ。
特別試験の内容次第では、他クラスの生徒にもイイ目を見せることがあるかもしれないが、それは現時点じゃ定かじゃないな……」
「オッケー。いいよ。協力してあげる」
「ああ、ありがとう。……この状態の佐枝にサインを淹れさせるのは難しいと思うが、その辺の融通は利かせられるか?」
「モーマンタイ」
そして、桔梗はその手に一枚の契約書を生み出した。
その書面にはズラズラと文面が並んでいる。清隆も内容を確認し、問題ないと判断した。
「さあ、佐枝。文面を読んで、契約書に判を捺すんだ」
佐枝への責めを続行しながら、清隆は佐枝に言い聞かせるように口を開く。
今の佐枝は理性が崩壊しきっており、一時的なモノであるにせよ、清隆の言葉に従うのが至上命題となっている。
だから、佐枝は素直に従った。契約書の文面を読んで拇印を捺す。無論のこと、文面の内容を理解できるほどの理性も残ってはいない。
「契約成立。……言うまでもないことだけど、キチンと佐枝ちゃん先生には『
「ああ、分かっている」
言葉を交わし、桔梗は天嶺の元へと戻り、清隆は佐枝への責めを続行するのだった。
茶柱先生はこんな感じになりました。
最初は平田との『傷の舐め合い』ルートも考えてたんですけどね。
こう、『クールキャラ』を悲惨な目に遭わせたい衝動が沸々と……。
結果、篠原とは別のパターンで、クラスのために身体を張ってもらう路線になりました。
清隆の指示でクラスのために身体を張らなければならなくなったわけですが、その指示に従わない場合、ペナルティを受けるのは清隆になります。
茶柱先生にデメリットがないように思えますが、『自クラスをAクラスで卒業させる』ことも、確かに彼女の目標なわけです。
そして、高い実力を誇る天嶺は仕事を優先することを表明し、高円寺は真面目に取り組むつもりがありません。
だからこそ、余計に清隆に懸ける期待が大きくなり、清隆の機嫌を損ねるのは得策ではなくなります。
平田に幸村、桔梗に鈴音と、クラスには他にも優秀な生徒はいますが、総合的に見た場合、清隆に及ばないのは間違いありませんからね。
結果、茶柱先生が『自クラスをAクラスで卒業させる』ことを望む以上、彼女は清隆の指示に従って身体を張らなければならないのです。
その一方、茶柱先生が今度こそ『本当の恋人』を求めているのも事実であり、その点では『優れたスペックを持ち、結果を出せる』清隆が条件に合致するのも確かなのです。
そのため、根幹理由は異なれど、清隆と茶柱先生の双方に、『相手を捕まえて離すまい』とする理由が存在することになります。
その上で、契約によって縛られたため、良くも悪くも双方が逃げられなくなりました。
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