一応、『乱交』という肩書ではあるのだが、それに反し、桔梗を始めとする既に経験済みな面々が実際の行為に及ぶことはなかった。
理由は単純明快で、その大半は特定の男性以外と事に及ぶつもりなど更々ないからだ。
桔梗を例に出すと、彼女は天嶺以外とセックスをするつもりはない。天嶺が望むならレズ行為に及ぶのも吝かではないし、清隆や平田など、相手の実力次第では天嶺以外の男にも肌を晒すのは許容する。
その点で言えば、池たちは及第点にも達しておらず、然るにこの場で行為に及ぶつもりにはなれないのだ。如何に天嶺が望もうと、許容限度というものがある。だいぶ性的倫理感が削れてしまったのは事実だが、それでも消え去ったわけではないのだから。
女たちのそんな想いを、無論のこと天嶺は察している。だから、無理に彼女たちと行為に及ぼうとは思わなかった。性欲を発散するだけなら、他にも相手はいるのだから尚更だ。
「鬼道・浄ッ!」
天嶺は浄化の術式を篠原にかけ、その直後に忘れず避妊の呪をかけた。
なお、『浄』では契約までは解除されない。『浄』の浄化範囲は、限定的だからこそ強力なのだ。
雑菌は不衛生だし、避妊の術式はあくまでも『呪い』がベースになっている。だからこそ、『浄』はそれらを打ち消し、浄化し、正常な――綺麗な状態に戻してしまうのである。
その一方、契約はあくまでも本人の同意があって成立している。それは時としてリスクを負わせることになるが、だからこそリターンを生み出すことにも繋がる。
それを、第三者が一方的に打ち消してしまっては道理に合わないのだ。契約者と契約相手、いるなら仲介者も含めて、その全員が契約の解除を望むのであれば、『浄』によって契約を打ち消すことも出来るが、条件を満たさなければ打ち消しは出来ないのである。
もし、一方的に打ち消すことが出来るのであれば、それはもはや『浄化』ではなく『呪い』である。契約とは、リスクとリターンの比率はともかく、その双方が揃っていての『契約』なのだから。
故に、篠原の決意は――彼女が導き出した
「そら、これで篠原の尻穴から雑菌は消えたぞ。そのまま一物を挿し込んだところで病気になることはない」
「おお! 感謝するぜ、九角!」
天嶺の言葉に、池が感謝の声を上げた。
「その感謝はありがたく受け取るが、むしろお前たちは平田への感謝を強めた方がいい。
何せ、こうして篠原がお前たちの相手をしてくれるのも、今後も積極的に池と山内の願いに応えようとするのも、そうすることでお前たちを満足させ、引いてはそれが平田を助けることに繋がるからだ。少なくとも、篠原がそう思っているのは確かであり、だからこそお前たちとの性行為にも応じてくれるわけだ。
逆に言うと、平田がいなければ篠原がお前たちの相手をすることもないし、池と山内の願いに応えようともしないだろうな」
「おう。そういうことなら、平田には目一杯に感謝しないとな」
苦笑を浮かべ、自分よりも平田へと感謝するように促す天嶺に対し、池は素直に頷いた。
「そうよ。アンタたちは、そうやって平田くんに感謝しなさい。平田くんの助けになるんでなければ、私がアンタたちとセックスすることだってないんだから」
池の言葉に、間髪入れずに篠原が追随した。
「はい、減点いちーっ!」
瞬間、山内が言い放った。そのまま、ニヤついた表情を浮かべて言葉を続ける。
「篠原よぉ。今のお前のやるべきことは、俺と寛治を満足させることだろ? だったら、俺たちを不満にさせるようなことを言うのはよくねえなぁ。
俺たちを不満にさせるたびに『減点ポイント』は増えていくし、ペナルティを受けてもらうことになるぜ? オーケー?」
「ぐ……む……。分かったわよ」
言い返そうとした篠原だが、しかし理屈の上では山内の言い分に理があるのは否めなかった。そのため、言葉は言葉にならぬまま口の中で消えていき、ついには諦め顔で頷いた。
「肝心な部分が理解できたところで、だ。
俺たちはこれでもダチ思いなんだよ。なもんだから、お前が
だってそうだろ? 健は言うまでもなく、博士だって、九角だって、綾小路だって、平田のクラスメイトなことには違いねえんだ。
篠原の最優先は平田で、そのために最底辺に出来の悪い俺と寛治を満足させることを決意したんだとしても、どうせなら他のクラスメイトも満足させられれば、それに越したことはねえとお前も思わねえか?」
ニヤニヤとした笑みを浮かべたまま、山内は篠原へと問いかける。
とても山内が思い浮かべられそうな内容ではない。その傍らには外村が立っているため、まず間違いなく考えたのは外村だろう。単に、山内は代弁しただけだ。
「……否定はできないわね」
「だろ? だからよ、俺たちDクラスの男子の中で、従う相手の優先順位を付けてほしいんだよ。でないと、誰の言葉に従わなきゃならないのか、篠原だって困るだろ?」
遠回しながらも篠原が同意したのを見て、山内は更に言葉を紡ぐ。
その言い分も、決して間違っているものではなかった。
「間違ってはないわね」
「ただし! 当然だけど、平田の優先順位は最下位だからな?」
それにも篠原が同意した瞬間、山内は重要事項を口にした。
「ちょ、なんでよ!? 私は平田くんのためを思ってやってるのよ!」
「はぁ……」
当然ながら篠原は噛み付くが、山内はこれ見よがしに溜息を吐いた。
「あのなあ、篠原。よく考えてくれよ? あの、全方位に優しい平田だぜ? たとえ自発的な行動であったとしても、お前が自分のために苦しんでいると分かれば、まず間違いなく止めるだろうが。
むしろ、そんなお優しい平田だからこそ、お前は惚れ込んでいるわけだし、やりたくもないことをやってまで平田の助けになろうと思ったんじゃないのかよ? 違うか?」
「……違わない」
「だろ? なのに、平田に言われたからってすぐに行動を止めて、それで『本当に平田の役に立ってる』って、お前は自信を持って言えんのか?」
「……言えない」
「だろ? だったらよ。平田の言うことだからって単純に従うのは違えだろ? 逆に、平田の言うことを最下位に置くようじゃなきゃ意味はねえんじゃねえか? これはお前の『心意気』の問題だよ」
外村のアドバイスによるものだろうが、山内は適切に篠原を追い詰めていく。
表情や間の取り方などは、天嶺から見ても一目置けるレベルだった。
(うむ。やはり、山内の役どころは交渉だろうな。本人の学が足りないのが難点ではあるが、アドバイザー次第では十分に役に立つだろう)
天嶺は内心で山内の評価を上げた。
普段は明らかに虚言と分かることばかり口にしているからこそ、どこまで行っても山内は『お調子者』の枠を出ないのが現実だ。
しかし、そこを上手くフォローする相手がいれば、結果は御覧の通りである。
どれだけ言ってることに信憑性があっても、言葉だけでは人はそう簡単には信じない。抑揚や表情という『説得力を底上げする附随要素』があって、初めて人は信じるのだ。
淡々とした言葉遣いや無表情が底上げするのは、基本的には恐怖心の類である。逆説、恐怖を抱かれていなければ大した効果などないのが普通である。
「……分かった。平田くんの優先順位は最下位にする」
渋々と、篠原は山内の言い分に同意した。
その様子から、篠原の本心でないのは明らかだ。
しかし、だからこそ、山内のニヤついた笑みや、小馬鹿にした言動が刺さったのも否定はできないだろう。嫌悪感が強ければ強いほど、篠原にとっては『平田への献身』に繋がるのだから。
「で、悪いんだけど、優先順位はそっちで決めてちょうだい。
もちろん、キチンと理由はあるわ。今の私が自分で決めると、まず間違いなく自分に甘くしちゃうと思うのよ。それじゃあ意味がないでしょ」
そう言って、篠原は深々と溜息を吐いた。
その様子から、優先順位を池と山内に決めさせるのは、決して本意ではないことが分かる。人任せなようでいて、篠原なりに考えた結論なのは明らかだった。
その言葉に、池と山内はニヤついた笑みを浮かべて顔を見合わせる。
「ま、基本的には俺と寛治の意見を最優先にしてくれればいいさ。次点で博士だな。意見が分かれた時は、その都度に多数決かジャンケンで決めるからよ」
「で、九角と綾小路はアドバイザー枠だな。俺たちだけだと調子に乗っちまいそうだし、ブレーキ役は必須だろ。
健とかは、取り敢えず考えなくていいぜ。アレでアイツは硬派だし、他にもそういう一本気な奴はいるからよ。いちいちそういう奴の意見まで聞き入れてたら、献身行動にならねえだろ」
それは篠原にとって、ある意味では楽であり、ある意味では苦しいことこの上ない内容だった。
意見を聞く相手が少ないということは、それだけ逃げ道が減ることにもなるのだから。
実際、篠原が意見を投げたのも、そういうことを考えた――考えてしまったからだった。
ひとたび思いついてしまった以上、それを口にするのは『楽への逃避』になってしまう。だからこそ、池と山内が須藤や三宅、幸村などを候補に挙げるのをワンチャン期待したのだが、結局は無駄だったようである。
「はいはい、了解。最優先は池と山内、次いで外村、アドバイザーとして綾小路くんと九角くんね……」
諦め顔で篠原は頷いた。
「で、早速だけどさっきのペナルティな。篠原の方から動いて、俺と寛治、博士と九角の四人を満足させてくれよ。もちろん、一人ずつ順番に、とかじゃねえからな?」
そんな篠原に、山内はニヤケ顔でペナルティを下した。
「鬼ね、アンタ。……池も同意見?」
相応の時間が経ったこともあり、既に三人がかりで責められた際の昂りは消えている。――にも拘らず、この状況で一度に四人を相手にしろと言う。
篠原にとっては苦しいことこの上ない。鬼と評すのも無理はないだろう。
「まあ、そうだな。だって、その方がお前にとっても苦しいだろ? だからこそ、お前にとっても挑戦のし甲斐があると思うし、それを乗り越えられたなら、『平田への献身』にもなると俺は思うぜ。――もっとも、挑戦したところで乗り越えられなけりゃ、逆に俺たちの不満は溜まるし、減点することになるけどな」
「もちろん、挑戦しないなら挑戦しないで、やっぱりその時も不満に思うし減点するぜ」
「……逃げ道はないってことじゃない」
ペナルティ行為から逃げれば更に減点は増えるし、臨んだところでクリアできなければやはり減点される。微塵も救いがないように思えるが、クリア出来た際には『平田への献身』になると言われれば、篠原としては挑戦しない理由はない。
「素直にペナルティは受け入れるけど、私一人に対してそっちは四人よ。さっきアンタたちが言ってたように、三人までは前と後ろと口で対応するとして、残りの一人はどこで相手すればいいわけ?」
「それを考えんのもペナルティの内に決まってんだろ。もちろん、最初に誰をどこで相手するかもな」
篠原の問いかけに、山内は冷たく言い返す。
「ちょ……。それって、どう足掻いても減点される可能性があるじゃない!」
篠原が叫ぶのも当然だった。男衆四人の意見が一致していない以上、減点される可能性は大幅に膨れ上がる。
「あくまでも可能性だろ。お前の考えが正しくて、四人全員満足する可能性だってあるじゃねえか」
「それに、そうと分かっているのなら、その上で拙者ら全員が満足できるように頑張るべきでござろう。実行すればいい、というものではないのでござるよ」
それに対し、今度は池と外村が冷たく言い放つ。
確かに、池の言う通りではあるのだ。可能性だけなら確かに存在する。
しかし、それが成就する可能性は天文学的に低いのも事実である。だって、同一の事柄に対し、正反対の感情を覚えるのが人間という生き物なのだから。
たとえ『性行為』に満足感を覚えたとしても、『目当ての場所でない』とか、『想像ほどじゃなかった』とかで、不満を覚える可能性も無いではないのだ。
だからこそ、『その不満を凌駕するほどに相手を満足させるべく、篠原が努力する必要が求められる』という外村の言い分も、決して間違っているわけではない。
間違っているわけではないのだが、素直に納得できるかと言えば話は別だ。
この瞬間、篠原は心底から理解した。納得した。
少なくとも、篠原をまともに扱う気がないことを。
篠原がどう足掻いても、減点が積み重なるように目論んでいることを。
けれど、だからこそ、篠原が行うべきは、その思惑を真っ向から打ち砕くことなのだ。
「いいわよ! そっちがその気なら受けて立ってやろうじゃない!」
覚悟を決めた篠原は、挫けそうになる心を精一杯に叱咤して吠えた。
「おお! その意気だぜ、篠原!」
「頑張って俺たちを満足させてくれよ?」
池と山内の言葉は、徹底的に響かない。むしろ、その薄っぺらな言葉と表情が相俟って、嫌悪感の方が湧き上がる。
四人を比較した場合、池と山内に対する印象は最低値を記録している。
だからこそ、篠原は真っ先に池と山内をそれぞれ秘所とアナルに受け入れた。次いで、その太めの外見からどうしても嫌悪感を抱かずにはいられない外村を口に。厳しい部分もあるが、確かな優秀さを誇る天嶺は手で。
痛さと苦しさに涙を流しながら、それでも篠原は自分から身体を動かしていく。動かなければならない。
今の篠原を支えているのは、クリア報酬の『平田への献身』に他ならない。そんな僅かな
絶望極まりない状況に心を凍らせたくもなるが、『ほんの僅かな救い』が、篠原にそうすることを許さない。
「もうダメだ!」
「うおっ!? イクっ!」
「耐えられないでござる!」
流石に童貞ということもあってか、池、山内、外村の三人は長続きせずに絶頂した。秘所、尻、口のそれぞれに、容赦なく精液が吐き出される。
だが、流石に天嶺は違った。そも、経験値の時点で童貞三人衆とは比較にならない。たとえ篠原でなくとも、そんな相手を手だけで絶頂に導くのは至難の業だ。
「あ~、ちょっとスマンな」
既に三人衆が絶頂に達したのを幸いに、天嶺は自発的に動くことにした。
このまま篠原に任せていては、いつ絶頂に達せるか分かったものではないのも一因だ。である以上、自分から達するために動いた方が効率的なのは間違いない。
天嶺は、決して巨乳とは言えない篠原の胸を寄せ、そこに自慢の閻羅王を挟んだ。
巨乳とはまた違う感触が、天嶺の射精心を急速に高めていく。
「そら、射精すぞ」
量といい濃さといい、天嶺の精液は童貞三人衆とは比較にならない。
閻羅王から放たれた精液は、容赦なく篠原を頭から汚すのだった。
本作では、理屈を捏ね繰り回し、無理矢理に理由を構築して一抹の筋を通しているわけですが、一抹でも筋が通っているのなら、確かに説得力は生まれるのです。
それを適用している辺りに、本作の『ご都合主義』な部分が出ています。
タグに付けてあるように、本作ではノーマル・アブノーマル問わず、いろんなシチュ、いろんなプレイを書いていきたいと思っていますが、基本的には男性読者を対象に書いているわけですから、受け側はどうしても女性になるのが大半です。
その点で、本作は『よう実』という原作ありきの二次創作なわけですから、基本的には原作キャラでの描写になってしまうんですよね。
以上を鑑みて、シチュやプレイ内容次第で、お鉢が回ってくるキャラが異なるのは仕方のない部分です。
ただ、最優先されるのは、本作の筆者である自分の好みと解釈です。
一例として輪姦を出しますが、
『輪姦してもおかしくないキャラ』としては池や山内なんかは普通に考えられる一方で、平田とか幸村とかは考えにくいです。
一方の女性側ですが、『輪姦されてもおかしくないキャラ』と『輪姦されて映えるキャラ』は違うんですよね。
前者は人気の低いキャラ、後者は人気の高いキャラや魅力的なキャラになると思います。
そして作品の都合上、本作では前者に重きを置いています。
ぶっちゃけた話、人の好い仮面で周りを騙していた桔梗が、その反撃として輪姦されるのはおかしくないと思います。
けど、自分は桔梗が好きなので、そんなシーンはあり得たとしても書きたくありません。
いや、池や山内も等身大の『バカ少年』っぽくて嫌いじゃないんですけどね。ただ、如何せんバカすぎて、『桔梗を犯させるのは勿体ない』と感じてしまうわけです。
とはいえ、『輪姦対象が篠原だけで映えるか?』となると、首を傾げざるを得ないのも事実です。
篠原もビジュアルが悪いわけじゃないんですけど、他の一線級キャラに比べれば劣っていると言わざるを得ませんし……。
そんな中で、『ビジュアルが映えて、池や山内に輪姦されても許容できるキャラ』を考えた場合、真っ先に白羽の矢が立ったのが茶柱先生でした。
その境遇に同情は出来ますし、行いに理解は示せますが、『それはそれ』です。
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