取り敢えずは四人が射精に至ったことで、一度ポジションチェンジを行う。
先ほどはペナルティとして篠原に動いてもらったわけだが、今度は男共の方から責める。
いけ好かない女子に自分から動くように仕向け、嫌な筈のことで快感を覚えさせる。それはそれで味があったのはつい先ほどまで童貞だった面々も認めるところであるが、『女体を味わう』という点では物足りないのも確かであった。
だからこそ、余裕のある天嶺とは違い、池、山内、外村の三人は積極的に篠原を責めた。そこに篠原の感情など関係がない。今の三人にとって、篠原は自分たちを絶頂に導くための『生きたオモチャ』に他ならないのだから。
「おら、もっとマンコ締めろ!」
「アナルがキツ過ぎでござる! もっと緩めてほしいでござる!」
「もっと積極的に手を動かすんだよ!」
こんな感じだ。
性的快感を覚えているのは間違いないにも拘らず、『それでは足りない』と口々に不満を言う。
メチャクチャで無理難題この上ない言い分に、それでも篠原は必死に対応するが、不満を覚えさせた次点でペナルティは溜まっているのが現実である。
そして、どうにか三人をイかせることは出来たわけだが、まだ天嶺という
そも、篠原が三人に対応できたのは、天嶺が様子見に徹していたことが大きい。その巨根を篠原の口に挿れただけで、自分から動くことがなければ、篠原に動くのを強要することもなかった。
文字通りの四面楚歌を迎えていた篠原にとって、一面を後回しに出来るのは救いである。
だから、疲労の溜まる身体に鞭を打って、篠原は篠原なりで精一杯の感謝を込めて、天嶺を射精に導こうとする。
天嶺は物足りなさを感じていたが、それでも今度は篠原のするがままに任せていた。
それは紛れもなく天嶺の余裕であり、その『余裕』は地獄の道行きを進む篠原にとって紛れもなく『救い』となる。
正味な話、人間という生き物は、ある意味ではとても強く、ある意味ではとても弱い生き物だ。
上手いこと契約を結ばせ、篠原の根底に『平田への献身』という意識を強く根付かせたのはいい。篠原を使えば池たちが性欲処理に困ることもなくなろう。
まあ、便利な『性奴隷』を得たにも等しいわけだから、池たちが性欲に溺れる可能性も無いではない。むしろ、その可能性の方が高い。
しかし、そこはアドバイス次第でどうとでもなるだろう。
池たちが篠原の身体を堪能できるのも、池たちが
その点をシッカリと言い聞かせれば、さしもの池たちでもバランスは取れる筈だ。
一方の篠原だが、如何に契約が強力であり、如何に根底に『平田への献身』を結び付けたところで、やはり『希望』だけでは耐えられるかも分からないのが事実である。即物的な
その点で、他の三人ほどがっつかず、他の三人ほど欲求を露わにしない天嶺は、篠原にとって楽な相手なのは間違いない。
客観的に見た場合、天嶺を含めた四人が一度に篠原を責めているのは否定できない事実であり、その点で言えば決して天嶺も褒められたものではないのだが、それを篠原がどう受け取るのかは別ということだ。
ほんの僅かな違い、ほんの僅かな扱い方の差が、篠原の天嶺に対する信頼を急速に高めていく。元より天嶺の優秀さは知っていたので、既に信用は十分。ただ、その厳しさに耐えられなかったが故に、信頼はそこまで抱くことが出来ずにいたのだ。
だからこそ、この
天嶺が見張っている限り、自分は大丈夫だ。自分が壊れることはない。だから、自分は精一杯に行動で感謝を示すべきだ。――そんな心境を篠原に根付かせる。
率直な話、経験不足が最大の理由ではあるが、池たち三人が酷すぎるからこその過大評価に他ならなかった。言い換えれば『逃避』である。
平田という『長期的な希望』と、天嶺という『即物的な希望』。この二つによって、篠原は心を壊すことなく人間性を保っていた。
そもそもが契約によってそう簡単には壊れないように補強されているわけではあるが、絶対ではないのも事実である。
故に、篠原の心情変化は天嶺にとって助かることこの上ない。ほんの些細な手間で
そう。既に見切りを付けた天嶺にとって、篠原は『道具』でしかない。あくまでも天嶺の優しさは、道具に対するメンテナンスでしかないのである。
無論のこと篠原がそれを知ることはなく、それは篠原にとって間違いなく最大級の救いであった。知っていれば、心が壊れることはなくとも、地獄の様相は更に深まっただろうから。
「ああ、篠原よ。少し止めてもらえるか?」
「……?」
天嶺の言葉に篠原は怪訝そうな眼差しを向けながら、それでも口と舌を動かすのを止めた。
それを確認してから、天嶺は篠原の口から閻羅王を抜き取った。
自分の口から天嶺が巨根を抜いたことに対し、篠原は瞬間的に表情を変えた。それはさながら、捨てられようとしている愛玩動物の如く。
『自分は何かしてしまったか……?』、『自分の感謝は足りなかったか……?』。そんな、言い知れぬ不安が篠原の胸に広がり、それが表情に出たのだ。
「……ああ。篠原が頑張ってくれている最中にスマンとは思うが、尿意を齎してしまったのでな。厠に行きたいだけだよ。――まさか、其の方の口の中に排尿するわけにもいかんだろう?」
篠原が傷付いた様子を察したのか、天嶺は苦笑をして理由を教えてくれた。
(なるほど、トイレか。なら、外すのも当然か……)
そう、篠原が安易に理解と納得をしようとした瞬間、最後に付け加えられた一言が、彼女の中に強く響いた。
他人の尿を浴びる。飲ませられる。それは何と惨めだろうか。間違いなく人間の扱いではない。人間の身体を持っているだけの便器――『肉便器』に他ならないだろう。
けど、だからこそ、そんな
だって、献身とは『自分を犠牲にして力を尽くすこと』なのだから。よもや、自分を人間扱いすることを止めてまで尽くすような人物もそうはいないだろう。
逆に言えば、その分だけ献身が映えるのは間違いない。そうだ! きっとそうに違いない!
元々の知性の低さ。篠原を縛る契約と、『自分で考えるのが大切』という桔梗の言葉。池たちに対する印象の低さと、天嶺に対する感謝の念。
そういった諸々が合わさって、篠原は自分から更なる地獄へと沈んでいく。
そしてそれは、篠原本人にその自覚があるかは定かでないが、『優れた実力者』である天嶺に対する『精一杯の媚び』に他ならなかった。
「……いいよ。私の口の中に排泄して」
そして篠原は、決定的な一言を口にした。
「そうか? ならば遠慮なく」
その言葉通り、天嶺は何ら迷うことなく再び篠原の口へと肉棒を差し込み、一切の遠慮斟酌をすることなく排尿を行った。
これは天嶺が篠原を人間扱いしていないのも一因だが、ある程度慣れているのも一因だった。
根本的には閉鎖体質の鬼哭村ではあるが、それでも一定数の移住者は確保できているのだ。
最優先対象はチカラを扱える者に他ならないが、それ以外だと『世の中に疲れ切った者』が大半だ。『打ちのめされた者』と言ってもいいかもしれない。
常識的に考えれば、残酷かつ冷酷極まりない篠原に対する仕打ちではあるが、天嶺に言わせれば『まだマシな方』ではある。
だって、篠原には確かに希望が残されているし、拘りさえしなければ衣食住に費用を持っていかれることもないからだ。
世の中、最底辺の最底辺ともなれば、篠原よりも悲惨な目に遭っている者は普通に存在するのである。単に、それに気付く者が限定されているだけだ。
借金の形に風俗へ、なんてのはドラマなんかでも目にする機会があるが、現実にも起こっているのだ。すなわち、社会に対する一種の
ともあれ。
鬼哭村への移住者にはそういう人も少なからずいるわけで、彼ら彼女らは『普通の生活』を望む一方で、『心身を異常に染められてしまっている』パターンも少なくはない。『異常な性癖』なんかもその一例だ。逃れられない状況に身を置き続けた結果、強制的に性癖を変えられてしまったのである。
それを表に出すことなく隠せていれば、『まだ使い道がある』と判断されて留め置かれる。
逆に言うと、隠しきれなくなって、彼ら彼女らは初めて解放されるのだ。『捨てられる』と言った方が正しいだろう。
一般社会に受け入れられないから『異常』なのである。そして、だからこそ、自らは安全な部分に立ちながら相手に『異常』を望む・押し付ける層は常に一定多数存在する。
けれど、その『異常』を隠しきれなくなれば、『異常』を押し付けた側には害の方が大きいのだ。
だからこそ、問題が表沙汰にならない内に、問題が『問題』になる前に切り捨てるのである。『トカゲの尻尾切り』にも至らない。そうなる前のただの『ごみ捨て』だ。
そして、『ごみ』として扱われるまでに落ちてしまった人間が、一般社会でまともに生きていけるわけがないのである。
結果、自殺する者もいれば、変生する者もいる。率直に言って『現代社会の闇』だ。
そんな内の一部が、偶さかにか、或いは手を引かれてか、鬼哭村に辿り着くのである。
都会に比べて利便性は少ない。けれど、鬼哭村でならば、社会で『ごみ』として扱われた者たちも『人間』として扱ってもらうことが出来る。『異常な性癖』すらも含めて『人間』として扱ってもらうことが出来る。
無理難題に等しいノルマを押し付けられることもない。何なら、農作業に代表される『村共通の仕事』に従事するだけで日々を穏やかに暮らすことが出来る。
その平穏が、幸福が、やがては彼ら彼女らを『人間』へと戻し、彼ら彼女らはその恩義を返すべく、一層のこと村の仕事に精を出す。
そんな感じで鬼哭村は回っているのだ。――反面、ある種の『開き直り』と言うべきか、自分から『異常性癖』を満たすように行動する住人も出てくるのだが。
そして天嶺は次期村長にして次期頭領であるわけだから、無縁でいられるわけがないのである。むしろ、その立場故に、『人間以下の扱い』を望む者に対しては、率先してそのように接しなければならない面があるのだ。
「ンク……ンク……」
篠原の喉がしきりに動く。口内に排泄された尿を飲み込んでいるのだ。
当然ながら、その光景はこの場にいる他の者たちの眼にも映る。
「うわぁ……。ああはなりたくないわ……」
「それには同感。――なんだけど、相手次第では扱われてみたいかも……」
「ああ、それは分かるかも……」
「一種の特別感、みたいな?」
「そう、それ」
気絶から目覚めた森と真鍋グループの面々もその光景を目撃し、或いはドン引きした表情を浮かべ、或いは恍惚とした表情を浮かべ、或いはそれ以外の表情も浮かべながら、そんな会話を行っていた。
「天嶺くんと綾小路くんなら、望めばヤってくれると思うよ?」
『うわあっ!?』
ひょっこりと会話に混ざって来たのは桔梗だった。
会話に夢中になっていたこともあり、桔梗の接近に気付かなかった面々は驚きの声を上げる。
「わぁ~、いいリアクション!」
それを見て、桔梗はニッコリ笑顔でそんなことを宣った。
直後、『おいでおいで』とジェスチャーして、一同を部屋の隅へと引っ張っていく。
「どうしたの? 櫛田さん。こんな隅っこまで引っ張ってきて……」
元からクラスメイトということもあり、代表して森が問いかけた。
「ま、念のために忠告と言うか警告をしておこうと思ってね」
まず、桔梗はそう前置きした。
「当然ではあるけど、それぞれで『クラスへの貢献の仕方』とか『貢献の度合い』って違うわけじゃない?」
「まあ、そうだね」
「このうち、度合いの方については、過剰に足を引っ張らない限りは私も天嶺くんもどうこう言うつもりはないわ。たとえ実力不足で結果が出せなくても、それが『十分な努力を行った末の結果』と判断できれば、笑って受け流せる度量はあるつもりだし、進んで切り捨てるつもりもない。
反面、『十分な努力を行った』と判断できなかったパターンが篠原さんの状況だね。
彼女の場合、パーティーへの参加条件を満たしていなかったにも拘らず、私に参加できるように協力を持ちかけてきたからね。心優しい私は、彼女の望み通りに招待してあげたわけ。まあ、ちょっとばかり言葉巧みに誘導した部分があるのは認めるけど、篠原さんが自分で契約に同意したのも間違いじゃないよ。
今の篠原さんを支えているのは『平田くんへの献身』なの。平田くんを曇らせることがないように、平田くんの助けとなれるように、『Dクラスのお荷物』な面がある池くんと山内くんのことを、文字通りに身体を張って満足させようとしているわけだね。
今日を境に、篠原さんは可能な限り池くんと山内くんの願いに応えられるように頑張っていくことになるわ。その一端がアレってこと。――ここまではオーケーかな?」
笑顔で告げる桔梗に恐怖を抱きつつ、四人は頷いた。
「皆には篠原さんのことを蔑むな、とは言わないけど、表立っては応援してほしいの。だって、篠原さんが身体を張っていてくれる限り、私たちは安泰なわけだしね。
池くん、山内くん、外村くんにもいい部分はあるけど、本音を言えば身体を許せるほどでもないからね。――それはそっちだって同じじゃない?」
桔梗の問いかけに対する返答は分かれた。
「まあ、そうだね」
「私は外村くんなら構わないけど……」
真鍋グループが同意する一方で、森は外村に対しては許容した。
「あ、森さんはそうなんだ……」
意外、と言わんばかりの表情を浮かべて桔梗は頷いた。
「ま、そこはいいや。私がどうこう言うことじゃないし……。
重要なのは、篠原さんのようになりたくなければEクラスには落ちないでね、ってこと。
Eクラスの生徒たちは、確かに同じ学校の生徒ではあるけど、その一方で『退学者予備軍』であるのも間違いはない。その時点で、私も天嶺くんも扱いは悪くする。
Eクラスの篠原さんが身体を張ることで池くんと山内くんの態度が改善されるなら、クラスとしてもそれに越したことはないもの。なら、私は自分のクラスを優先してEクラスを食い物にする。
見ての通り、池くんと山内くんの男子二人に対して、女子は篠原さんが一人だからね。その内に宛がう人数を増やすことになるのは間違いない。――その候補に、挙がりたくはないでしょ?」
「まあ、そうだね。私自身、外村くんとはヤっても構わないとは思っているけど、常日頃からってなると首を傾げざるを得ないし……」
桔梗の確認に、真鍋グループは無言で首を何度も縦に振り、森は言葉を紡いだ。
「池くんたちのことを鑑みると、その『常日頃から』を宛がわなくちゃならないから厄介なんだよね。
でも、そうすることでクラスの環境が安定するのであれば、やらない理由がないのも確か。
必然、クラスでも実力が底辺の池くんたちは、それこそクラスに残留するために
都合のいいセックス相手が減るのを厭うなら、そっちにも気を配らなきゃならないし……。
どう足掻いたって、池くんたちが我儘を言ってられる状況は減るでしょ?」
それは道理だった。
確かに理に適ってはいた。
誰かが得をするのなら、損をする誰かがいる。それは世の真理だ。
だがそれを、こうも明け透けに言い放つとは……。
『皆の人気者』である櫛田桔梗の知られざる一面を、四人が認識した瞬間だった。
最近は特に天嶺と桔梗ちゃんの『人でなし感』の描写が多い気がします。
基本的には、二人とも良識を持つ善人なんですけどね。
ただ、何事にも優先順位というものはありますし、何かを優先するなら何かを切り捨てなければいけないのも道理なわけで……。
その点で言えば、特に自クラスから『退学者予備軍』のEクラスに落ちた面々は、二人にとっては『既に切り捨てた』モノなんです。
そんな不用品を使うことでクラスメイトの役に立つのなら、使わない理由はありませんし、『メンテナンス』にも協力します。
二人にとっては『不用品』でも、それでクラスメイトが満足できるなら、多少の『メンテナンス』で長続きするようになるなら、コスト的にも安上がりですからね。
見方によっては残酷で冷酷極まりない行為ですが、『自分たちのクラスに多大な迷惑を掛けた上で退学者予備軍のEクラスに落ちていった』事実がある以上、篠原を始めとする『元クラスメイト』の自業自得な面があるのも確かなのです。
もっとも、二人とも『使い倒す』つもりは満々ですが、『使い潰す』つもりはありません。
二人からの見方がどうあれ、篠原が人間であるのは紛れもない事実なので、使い潰して壊れてしまっては面倒なのです。
なので、実際の扱いはともかく、人間性は維持し続けさせますし、『社会的な生活』も可能な状態を維持し続けさせます。
それは実際に篠原を『使う側』である池たちに対しても同様です。
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