サイバーパンク:エッジランナーズIF 月は堕ちゆく 作:オクタッシュ
『ターゲットが店を出るよ。……今、車に乗った。ゴールドのミズタニシオン。発車したタイミングで仕掛ける』
『了解』「じゃあ……レベッカ?」
「わーってるよ」
ジャパンタウンの片隅。コロンブスの運転席にいたルーシーはホロコールに返事をして、助手席に座る青白い肌の少女に話しかける。毒々しい色をした桜のホログラムを見上げつつ毒々しい色をしたエナジードリンクを一気飲みしたレベッカは、ペットボトルを後ろに放り投げ、薄緑色のツインテールを揺らし、黄色と赤でカラーリングされた視覚インプラントでルーシーを見返した。
「日本じゃサクラを見物する花見ってのが大人気で、どのコーポも毎年すっげー屋外パーティをやるって聞いたんだけどよ。ホントかな?」
「あれは樹とか花びらを眺めるのが目的じゃない。それより準備して」
「出来てるっつの」
レベッカが口を尖らせて言った直後、バーの駐車場から猛スピードで飛び出した金色塗装のスポーツカーがルーシーの視界に入った。間髪入れずに彼女の視覚インプラントが発光して、車両にクイックハックを仕掛ける。数秒間蛇行したミズタニシオンが細い急カーブの地下道に入り込み、内壁に激突してガラス片と塗料が飛散した。そこへルーシーとレベッカが乗るコロンブスが近付き、事故現場に偶然出くわしたかのようにわざとらしく急ブレーキをかける。
「監視カメラを……今、停めた! レベッカ、頼んだわ。30秒以内で」
「おっしゃ!」
『デイビッドも。現場からのドロップボックスまでのルートは送ってあるわね?』
『大丈夫だ』
レベッカが車を降り、地下道の壁に突っ込んで停止したミズタニシオンへと駆け寄る。そしてオーバーサイズのコートの袖から突き出た赤と青に塗装された大型アームで、ロックされたドアをこじ開けた。
「おーい、だいじょぶかー?」
「あ゛っ……が……おえ゛っ」
事故車の中でうずくまり、えずいていたのは、バイザーを着けライトグリーンのビジネススーツを着たモヒカンヘッドの男。タイガークロウズの構成員だ。クイックハックの化学汚染を食らって目と鼻と口からインプラントの循環液を逆流させるぐったりとした男を、レベッカは軽々と車外へ放り投げる。そしてダッシュボードを開け、掌に収まるサイズのパッケージを回収した。
「飲酒運転のヤバさ分かったか? オッサン。飲んだら乗るなってやつだ」
「てめえ、何処のモン……がっ」
モヒカン頭をサッカーボールキックで黙らせた後、レベッカはヘッドライトとけたたましいエンジン音を立てて急接近するクサナギを振り返った。バイクに跨るのは、まだ幼さを感じさせる面立ちとインプラントによって巨漢の身体を持った少年、デイビッド・マルティネス。
「あ゛―っ! おいテメェ! 返せよクソ野郎!」
わざと手を差し出し、ミズタニシオンの車内から取り出したパッケージをデイビッドにひったくらせたレベッカは、集まり始めた野次馬に聞こえるようクサナギで走り去る少年の背に罵声を浴びせ、ついでにオマハを数発撃った後、舌打ちしてコロンブスへ乗り込む。助手席で満足げに笑うレベッカを横目で見つつルーシーは車を発進させ、ホロコールを掛けた。
『キーウィ、状況は?』
『ハッキングの痕跡は消し終えた。で……入金も確認、と。依頼は完了だね』
「ええ。それで、どう?」
ルーシーの言葉に、熟練のネットランナーはしばらく黙り込む。
『……昔みたいなデカいヤマじゃないにせよ、この手間でこの報酬なら悪くない。こんな仕事を幾つも持ってくるフィクサーがいるなんて、正直信じられないくらい』
『しかも、よりによってあのルーシーが繋ぎをつけるなんてな!』
『私のこと何だと思ってんの?』
ホロコールに割り込むニヤつくレベッカを軽く睨んだ後、ルーシーも小さく笑った。
『デイビッド、そっちは?』
『問題ないよ、ルーシー。追跡もなさそうだ』
『良かった。しばらくはこういう仕事が続くと思うから。だから……インプラントの負荷のこと、考え直してくれない?』
一拍置いた後、ルーシーは言葉を続ける。話題を切り出した彼女を見て、助手席のレベッカが無言で大きな親指を立てた。
『撃ち合わない楽な仕事が2、3件来たくらいじゃ、クロームをダウングレードする気にはなれない』
『けど、このままじゃ』
『俺はサイバーサイコになんかならない』
『そんなのっ』
『俺の身体のことだ。俺がリスクを負ってる。これは俺だけの問題だ。ルーシーには関係ない』
「うおっと」
コロンブスの車体が揺れて、レベッカが新しいエナジードリンクのボトルをお手玉する。ハンドルを握り締めて眉間に皺を寄せたルーシーが深呼吸した。
『関係ないって言った? 抑制剤の量と強度をどんどん増やしてくあんたをサポートするのは私たちなんだけど?』
『今まで大丈夫だったろ』
『原因不明の何かで持ち堪えてるだけでしょ? それとも何? 身体が大きくなって脳が縮んだの? 俺はタフなエッジランナーだぜ、ストリートの生ける伝説とはまさに俺、防弾仕様の無敵男だぜ、アダム・スマッシャーもメじゃないぜって?』
『……いや、その、ルーシー』
「ぶふぉっ」
ネットランナーとしての技能まで使って2倍速でまくしたてるルーシーにデイビッドの語気が弱まり、レベッカが飲み物を吹き出した。
『重要なのは強力な兵器じゃない。適切な道具よ。そうでしょう?』
『……当たり前だろ』
『じゃあ、あんたのことが心配だっていう気持ちがチームに広がることが、パフォーマンス低下に繋がるってことも分かるよね。私間違ったこと言ってる?』
『俺は……』
『そーだそーだ! デイビッドお前、こないだランチャーであーしのツインテール吹っ飛ばしそうになったろ! 焦げた髪の毛3㎝ぶん、どう落とし前付けんだ?』
レベッカの援護射撃だか野次だかの後、ルーシーは言葉を続ける。
『デイビッド、あんたは私たちのリーダーよ。今までもこれからも。私たちは、あんたに付いてく』
『え? 今私もフォロワーにされた?』
『キーウィ、お願い。……だから、デイビッド』
声を掠れさせたルーシーが目を閉じ、もう一度深呼吸した。
『時々で良い。皆のこと、振り返って』
たっぷり30秒以上の沈黙の後、ホロコールに表示されたデイビッドの名前が点滅した。
『関係ないって言ったのは間違いだった。謝るよ』
『……ありがと』
今度は左右の大型アームでサムズアップしたレベッカに、ルーシーはほんの僅かな間笑顔を浮かべる。
『んじゃ打ち上げいくか!エル・コヨーテ・コホで良いよな?』
『パスで。今日はファラデーと話がある』
その言葉とともに、キーウィがログアウトした。
『そっか。またなオバサン……んじゃ3人だな!』
『私も用事があるの。レベッカを店の前で下ろすから、先に2人でやってて』
『はぁ!? ……おいデイビッド、逃げんなよ?』
『な、何だよ逃げるって。もう向かってるから』
『よぉし!』
勢い良くホロコールを切ったレベッカが、ルーシーを見遣る。
「てか用事って何?」
「フィクサーに報告しに行くの。今回の依頼のこと」
「……報告しに、行くってのは?」
「言った通りよ。オフラインで顔を合わせる」
「古くね?」
「古いわ、すっごく。最初紙のメールを送ってきたの。封筒よ。信じられる?」
鼻を鳴らすルーシーに、レベッカは大型アームを駆動させ肩を竦めてみせる。
「まぁちょっと変わった日本人だけど、程よく付き合うつもりだから」
そう言った後、ルーシーはヘイウッド地区のエル・コヨーテ・コホを目指してハンドルを切った。
―――――
「お待たせ、ルーシー」
「っんん……ふぅっ……はっ、ぁ、ああっ」
キングサイズのベッドの上で仰向けになり、両手を縛られ、脚をポールで開かされたルーシーの前に突如現れたキンゴは、覇気のない緩んだ笑みを浮かべてベッド際に腰を下ろした。
「父上とつい話し込んでしまったんです。気分はどうですか?」
「はっ! 気分はどう、ですって? 知りたいんなら、くっ……替わってあげるわ」
股布に穴を開けられたレオタードを着せられ、左右の乳首と膣口の前端、クリトリスにローターを貼り付けられたまま放置されていたルーシーは、頬を染め腰をくねらせながらキンゴを睨みつける。コーポ・プラザのアパートにやってきて早々BDヘッドセットを装着させられ、VRラブホテルに連れ込まれた彼女を、丸顔の肥満男は笑顔で見下ろした。
「最初の日と比べて随分素直になりましたね。ここが気に入りましたか?」
「別に、うっ……仕事だから。現実世界で何かされてるわけじゃないし、単なるギブアンドテイクでしょ。……ひあぁっ」
乳首とクリトリスを責められて湿り始めていた花弁に震動するバイブを押し当てられたルーシーは、思わず腰を浮かせて刺激から逃げようとする。
「ジョン・マラコック卿というらしいですよ、この商品」
「くっ! 変態野郎が……うぅっ!」
「変態? 僕が?」
足の指を握りこみ、シーツに皴を作って身をよじるルーシーの膣口にバイブを当て続けながら、キンゴは笑う。
「ナイトシティに出回っている人気BDのジャンルを調べました。その中で言えば、僕が開発しているこれはかなり道徳的でモラルが高い作品ですよ」
「ちょっと、何処触って……んんん゛っ!」
幾度も腰を浮かせて刺激を減らそうとするルーシー。そんな彼女の割れ目にバイブの先端が沈み込み、直ぐ後ろで窄まっている肛門にキンゴの太い指が伸びた。
「止めてよ! 汚いからっ……」
「大丈夫ですよ。現実じゃないんですから」
「関係ない! ひぅっ……気持ち悪いって言ってんの!」
「くふふっ、失礼しました。まだ早かったようで」
小穴に集まった肉の皴をなぞって薄笑いを浮かべたキンゴは、ルーシーに怒鳴られて大人しく指とバイブを引っ込めた。
「そうだ。これからチームの皆さんと打ち上げでしたね。早く済ませなければ」
「何を今更……っ」
脚をM字に開かされ、膣口に黒ずんだ長い男根を押し付けられたルーシーは息を呑む。つい先日自分の処女を奪い、強引に快楽を与えたその肉棒は、変わらず雄々しく反り返って先走りを滲ませていた。
「ルーシーさん、挿れる前に言ってほしいセリフがあるんですが」
「……何、セリフって」
キンゴの目が光り、仰向けで責めを受けるルーシーのARモニターにテキストメッセージが表示されると、彼女は汗ばんだ顔に露骨な軽蔑の表情を浮かべてみせた。
「キンゴ。あんた自分がどれだけ惨めな存在か分かってる?」
「そうでしょうか?」
「アラサカの幹部の息子ってだけで生まれながらに成功が約束されたようなものなのに、やってることは次世代BDでお人形遊び、ごっこ遊び。その上抵抗できない女にこんなこと言わせて喜ぶの?」
まくし立てて一時的に快楽を押し留めたルーシーは、見下ろしてくるキンゴを逆に鼻で笑った。
「良いわ。言ってあげる。ついでにお友達にもシェアしたら?どうせやるんでしょ?」
「それについては丁度悩んでいた所です」
「こいつっ……」
のほほんと応えたキンゴに歯噛みしたルーシーは、彼を睨みつけながら深呼吸する。
「っ……ルーシーの……ルーシーのおまんこに、キンゴ様のおちんぽを突っ込んで、イかせて下さい」
「良いよ」
「くっ……うっ! んう゛ぅっ!」
ずぶり、と濡れそぼった割れ目にあてがわれた長い男根が襞付きの柔肉を押し広げ、一気に子宮口まで突き上げる。恐れていた、そして僅かに期待していた痛みはまるでなく、快楽のみが押し寄せる感覚に、歯を食い縛ったルーシーは思わず顔を背けた。
「はあぁ……最高だよぉ、ルーシーのおまんこ。きつくて、ヌルヌルで……ルーシーも良いでしょ? こんなに濡れてるんだから」
「ふっ……う、くっ……はっ! はっ……別、にっ……はあっ」
細い目を心地よさげに更に細めたキンゴがルーシーに圧し掛かり、馴れ馴れしい口調で話しかけながら腰を振り始める。肌がぶつかり合う音、ベッドが軋む音に混じって貫かれた場所から水音が上がり、撹拌された膣内から蜜が溢れ出て肛門まで垂れる。
「っは、あっ!? そこ……ヤだって!」
「けど締まりが良くなったよ? 本当はお尻も好きなんじゃない?」
ひとりでに動く馬鹿げた名前のバイブが濡れた窄まりに押し付けられ、目を見開くルーシー。だが逃げることなど許されるはずもなく、異物感と汚辱感、そしてそれ以上の快感に意識を押し流され、熱い吐息を零して力なく頭を振る。
「違っ……寝言は寝て言え! キモいのよ、デブ!」
「へへっ、良いよルーシー。僕は君みたいな強い子が大好きなんだ。好きな人の為なら何でも出来る、どんなことでも耐えられる。そんな子が」
本性を剥き出しにしたキンゴが、銀髪で半分隠れたルーシーを食い入るように見つめながら腰を振りたくる。男の仄めかしを理解したルーシーは罵るのを止め、唇を引き結んで喘ぎ声を堪え、自分を犯す男を真っすぐに睨みつける。
「ふひっ! そう、その目だ。最高だよぉ……デイビッドの為にも、他の仲間たちの為にも頑張ろうねっ!」
「っ!……ぅっ! ぁ……くっ……ふうぅっ!」
「おぉっ精液上がってきたよっ……これっ! これも言ってっ!」
快楽の声を押し殺しながら、太ったキンゴの腹の下でスレンダーな身体を揺さぶられるルーシー。その虚ろな紫色の瞳が、流れてきたメッセージをそのまま読み上げる。
「あぁっ……ルーシーのいやらしいおまんこに……キンゴ様のザーメンを、くあっ……な、流し込んで下さいっ」
「おほぉっ! 出すよっ! これからデイビッドに会うルーシーに無責任中出しするよっ……うぅっ!」
「くう゛っ! あっ……んんう゛うぅっ!!」
ベッドに押し付けられ、全身を震わせたルーシーの膣奥でキンゴの欲望が爆ぜた。子宮口目掛けて放たれ膣内全体に広がっていく白濁液は、主の陰湿さを表すかのように熱く、粘り気を持っていた。
「ふーっ!ふーっ!……良かったよルーシー。君は最高だぁ」
「あぁ……デイビッド……」
貫かれたまま太った汗だくの身体に抱き締められたルーシーは、急激に重たくなっていく瞼を震わせ、救い主であるかのように此処にいない男の名前を呼んだ。