ヤキン・ドゥーエの地下格納庫、その最深部に位置する厳重に封印された特設区画。
補給部隊によって担ぎ込まれたのは、ザフト最高評議会議長パトリック・ザラから直々に送られてきた極秘の試作型モビルスーツだった。
『ヤキン・ドゥーエは我がプラントの生命線である。この機体をもって、群がるナチュラルの野蛮な軍勢を粉砕し、要塞を死守せよ』
ホログラム通信越しに告げられた最高権力者からの絶対命令。そしてダリルの目の前に現れたのは、朱色に染まった狂気の異形機——サイコ・ザクであった。
だが、この機体を駆るにはあまりにも苛烈な代償と「選択」が突きつけられた。
機体の核心たるシステムは、パイロットの四肢の神経信号をモビルスーツへ直接接続し、脳の思考と同速度で巨躯を駆動させるという狂気のインターフェース。四肢を失っているダリルだからこそ、既存の義足や義手を超えた「完全な直接接続」を行わなければ、その真価を発揮することはできない。
「……乗らせてください。俺に、そのサイコ・ザクを」
ダリルに迷いはなかった。あのアナクロで傲慢なジャズの男——イオ・フレミングを打ち倒し、仲間たちの仇を討つためならば、この身がどうなろうと構わない。
すぐさま手術室と化したハンガーで接続調整が開始された。
「神経接続(リンク)、開始! パルスシグナル、正常値! メインシステム起動!」
ダリルの端子と機体のコネクターが直結された瞬間、頭体へ刺すような電流と衝撃が走る。
次の瞬間、閉ざされていたダリルの感覚が一気に開放された。ドクン、ドクンと胸打つ音とともに、サイコ・ザクのジェネレーター出力が急上昇を始める。
「ジェネレーター出力、限界値まで上昇! 各部シグナル、オールグリーン!」
ダリルは息を呑みながら、己の『手足』となったサイコ・ザクの武装をチェックしていく。
背部に聳え立つのは、凄まじい爆発力を秘めた規格外の大型推進ユニット。そこから伸びる2本の強力なサブアームが、自在に折れ曲がる。そしてユニットに敷き詰められた圧巻の兵装群——MS用マシンガン2基、バズーカ2基、腰部に差し込まれた小型実体剣1基、各兵装の予備マガジンがそれぞれ3つずつ、そして圧倒的な威力を誇るビームキャノン。
「ダリル少尉、出撃準備完了です!」
「……行くぞ」
部下2人の機体を従え、ダリルはサイコ・ザクのメインスラスターを点火させた。
「ダリル・ローレンツ、サイコ・ザク——出撃する!」
カタパルトから解き放たれた瞬間、凄さまじいGがダリルを襲った。しかし、それ以上にダリルの脳髄を駆け巡ったのは、今まで味わったことのない「全能感」と「快楽」だった。
四肢がないはずの自分の身体。だが、右足を蹴り出そうと思えば機体のスラスターが正確に吹き荒れ、左手を伸ばそうと思えばサブアームが思い通りにしなやかに動く。脳で『動け』と念じたコンマ一秒未満で、鋼鉄の巨躯が思考のままに宇宙を翔けるのだ。
「あ……ああ……ッ! これが……これが……!」
失われた四肢が、今この瞬間、巨大な鋼鉄の肉体として完璧に蘇っていた。
「……足があるというのは、自由に手が動くというのは……こういうことなのか……!」
溢れ出す圧倒的な全能感と快楽に、ダリルの瞳が歓喜で濡れる。背部の大型ユニットが噴き出す暴れ馬のような大推進力を完璧に制御し、サイコ・ザクは常軌を逸した超高速で宇宙空間を切り裂いていく。
迫り来る巨大な戦艦の残骸、漂う膨大なデブリの群れ。それらを、ダリルはまるでダンスでも踊るかのように、滑らかに、そして恐ろしいまでのハイスピードでスレスレにすり抜けていく。
圧倒的な機動力で死の暗礁宙域を瞬く間に踏破したサイコ・ザクは、宿敵と決戦の地——ジェネシスを巡る戦場へと、一筋の朱い閃光となって突入していった。爆音で鼓膜を揺らすジャズのフリーテンポに乗せて、紺碧の悪魔が暗黒の宙域へと躍り出た。
フルアーマーガンダム。その巨躯には、殺戮のために研ぎ澄まされた圧巻の兵装群が蠢いていた。左右の腕部に装備された2連装ビームキャノンが赤熱化し、全身を覆う重厚な追加装甲の下から、肩部、胸部、脚部に仕込まれた6連装ミサイルハッチが一斉に開放される。背部の巨大なユニットからは3本のプロペラントタンクが膨大な推進力を供給し、2本のサブアームが保持する2枚の大型シールドが隙のない絶対防御を築いていた。
「ヒハッ! 踊ろうぜ、ザフトの野郎ども!」
イオ・フレミングがトリガーを引く。
ストライクダガーを次々と叩き潰していたゲイツの小隊とジンの群れに対し、全身のミサイルポッドから無数の弾頭が噴出された。さらに背部大型ユニットのビーム砲が火を噴き、高出力の光条がゲイツの胴体を一瞬で蒸発させる。襲い掛かるジンの実体弾はサブアームの重シールドがことごとく弾き返し、すれ違いざまに左右の2連装ビームキャノンが敵機を細切れに焼き払った。
背部ユニットから噴出される誘導新型ミサイルが尾を引いてデブリ帯を駆け抜け、次々と炸裂する。圧倒的な火力と装甲。命を刈り取る悪魔の行進だった。
「……ッ!?」
その時、敵を薙ぎ払いながら進んでいたイオの脳裏を、ビリビリとした**ニュータイプのような直感(閃き)**が貫いた。
意識をデブリ帯の奥へ向けた直後——宇宙の彼方から、すべてを呑み込む白銀の巨光が炸裂した。
「ジェネシス」の発射。
ガンマ線レーザーの圧倒的なエネルギー波が宙域を払い、連合軍の本隊艦隊やモビルスーツ群が一瞬にして光の塵となって消滅していく。恐ろしいまでの破壊の渦。通信網からは断末魔すら残さず消えていく無数の味方の反応が溢れ返った。
「くそっ、これがジェネシスか……! ポンポン人を焼き殺しやがって!」
冷汗を流しながらイオは急ぎ味方識別(IFF)を確認する。幸いにも、別ルートを進んでいた自分たちの母艦は射線を外れており、無事だった。
「母艦が無事なら、まだ終わっちゃいねぇ! 狙いはあの巨大な殺戮兵器だ!」
イオは背部大型ユニットのビーム砲のマガジン残量を確認し、プロペラントタンクの推進力を全開にした。フルアーマーガンダムは凄まじい加速度でデブリ帯を高速飛行し、悪魔の兵器ジェネシスへ向かって急接近していく。
要塞の半分ほどの距離にまで差し掛かった、デブリの群れが最も濃密な暗礁宙域。
その瞬間、イオの脳髄を再び猛烈なプレッシャーが駆け抜けた。超感覚の渦の中、デブリの影から接近してくる「異質な存在」の反応がはっきりと見えた。
(……見つけたぜ)
同じ頃、朱色の異形機——サイコ・ザクのコックピットで、ダリル・ローレンツもまた、全身の神経が逆立つような電波的直感に目を見開いていた。
(この感覚……静寂の宇宙の中に、恐ろしいほどの強烈なジャズの旋律が響いている……!)
脳と機体が直結した超感覚が、死角から迫る最凶の敵の姿をハッキリと捉えていた。
デブリの隙間から、滑り出るように姿を現すフルアーマーガンダム。
そして、それに応えるように漆黒の闇から飛び出すサイコ・ザク。
イオはコックピットの中で狂気じみた笑みを浮かべ、通信回線を開いて叫んだ。
「来たか、義足野郎!!」
過熱するラブソングの旋律の中で、ダリルもまた冷たい殺気を解き放ち、静かに言葉を返した。
「イオ・フレミングめ……来たな!」
言い終わるよりも早く、イオのフルアーマーガンダムが腕部の2連装ビームキャノンと背部ビーム砲を全開で放ち、ダリルのサイコ・ザクもまた背部大型ユニットから繰り出した強力なビームキャノンでそれを迎え撃った。
暗黒のデブリ帯の中央で、交錯する高出力のビーム光条が宇宙を真っ白に染め上げていく——!
CE版サイコザク、
どこかのザラと、クルーゼが最終局面にて完成させた、ナチュラルへの、復讐をするための装置であり通常であれば、完成しなかったものの、ザラが、戦果を挙げているダリルはその他の為に試作型を作るように指示、クルーセが、義足接続型のOSのデータを持っていた為に制作が更に加速した、、、
そして作られたのがジンの五倍の性能のモビルスーツであり、顔は、変更され整備士達がザクと呼んでいたことからサイコザクと命名される、
武装はバズーカ×2マシンガン×2、ビームキャノン、予備マガジンが×3入っていて、サブアームも2本付いている、高機動戦闘が、可能な為、フリーダムや、ジャスティスとも張り合える速度火力を所有、、敗戦後ヤキン・ドゥーエには組み立て前のザクが2機あるため、その後回収されたとの報告もあり
ソレ以外にはタコジンや、プロヴィデンス型量産試作モビルスーツジオングというのもあったと噂もある