※この作品はR-18です。

ガンダムSEED Thunderbolt   作:ナラティブ

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2匹の獣

交錯する高出力のビーム光条が、黒濁した暗礁宙域を真っ白に焼き尽くす。

激突する濃紺の悪魔と朱色の異形。イオのフルアーマーガンダムが放つ強力なビームキャノンと、ダリルのサイコ・ザクが放つビーム砲の連射が、デブリの合間を激しく交差し、無数の装甲片を赤熱したゴミへと変えていく。

「ハハッ! ノってきやがったぜ、義足野郎!」

ジャズの乱打に合わせてイオが操縦桿を叩きつけるように動かし、巨大な戦艦の残骸をスレスレで回避する。対するダリルもまた、ラブソングの旋律に身を委ね、背部大型ユニットのスラスターを猛然と噴射させてデブリを軽やかに滑り抜けていた。

ダリルは思考と同速で背部の二本のサブアームを旋回させた。サブアームがぬかりなくラックからバズーカを掴み取り、イオの進行方向へ向けて撃ち抜く。

ドカンッ!

弾丸はイオの目前にある巨大な残骸に直撃して激しく爆発した。視界を遮る大量の煙と破片の嵐。その爆煙を突き破り、サイコ・ザクが死角から一気に肉薄する。

「落ちろ、ガンダム!」

至近距離から叩きつけられるサイコ・ザクのビームキャノン。だが、イオは一切動じない。

「甘ぇよ!」

サブアームに構えた右側の重シールドを瞬時に前面へ滑り込ませた。激しい閃光と共に重シールドが一瞬で溶解・砕散するが、その犠牲と引き換えにイオは右腕の2連装ビームキャノンをダリルの至近距離へ叩きつけた。

しかし、サイコ・ザクの機動性は常軌を逸していた。神経直結の超反応がイオの射撃を紙一重で回避する。

「チッ、すばしっこい奴だ!」

イオは即座に背部ユニットの誘導新型ミサイルを一斉に放った。白煙の尾を引いて追尾する無数のミサイル。それに対し、ダリルはサブアーム2つを同時に起動させ、握りしめた二丁のMS用マシンガンを掃射した。

ババババババババッ!

正確無比な連射が、迫り来るミサイル群を全弾空中撃破していく。炸裂する火花のただ中で、ダリルは全身を駆け巡る圧倒的な全能感に狂喜の声を上げた。

「すごい……! みんなが作ってくれたこの機体は……俺の失った手足よりも自由だッ!!」

迫り来るフルアーマーガンダムからのビームキャノンを身を捩ってかわしながら、ダリルはマシンガンを叩き込んだ。激しい着弾の衝撃がガンダムの左アームを襲う。2連装ビームキャノンが火花を散らして機能停止した。

「くそッ、左の火力が!」

イオは躊躇なく壊れた左腕のビームキャノンをパージ。同時に背部のミサイルポッドから追撃の弾頭を吐き出させた。

爆煙の合間から至近距離で放たれた数発のミサイルが、サイコ・ザクの胸部と肩を捉えて炸裂する。

「ぐはっ……!?」

衝撃で弾き飛んだサイコ・ザクは体制を崩し、背後の巨大なデブリへ激しく衝突した。ダリルはすかさずマシンガンを牽制でバラ撒くが、イオの容赦ない追撃が上回る。

イオが放った背部からのミサイルが直撃し、サイコ・ザクが構えていたマシンガン1個と、背部ラックのバズーカの予備マガジンが誘爆を起こした。

ドカンッ!

「くっ……!」

ダリルはすばやく損傷箇所のユニットをパージしていたため身体への壊滅的なダメージは免れたが、貴重な予備マガジンとマシンガンを一つ失うこととなった。

(弾薬を失った……なら、高機動戦闘で押し切る!)

ダリルは背部スラスターを全開にし、暗礁宙域を超スピードで旋回し始めた。だが、ジャズのリズムに乗り切ったイオの狂気的な直感が、サイコ・ザクの軌道を完全に読み切っていた。

「逃がすかよ……そこだッ!」

イオは背部の巨大プロペラントタンク2個を切り離して切り伸ばし、ダリルの移動先へと投棄。すかさず頭部バルカンを叩き込んだ。

チュチュチュンッ! どどおんっ!

パージされたプロペラントタンクがサイコ・ザクの目と鼻の先で大爆発を起こす。ダリルは咄嗟に旋回して回避を試みたが、爆煙を突き破ってきたイオのビームキャノンがサイコ・ザクの左腕を捉え、その肘から先を吹き飛ばした。

「ぐあぁッ!」

強烈な衝撃に吹き飛ばされながらも、ダリルの執念は衰えない。サブアームが滑らかに動き、予備ラックからバズーカを引き抜いてガンダムへ向けた。

「まだだぁッ!」

ド、ド、ド段ッ!とバズーカを3連射。

一発目はガンダムの腕部シールドを粉砕。そしてもう一発が、フルアーマーガンダムの頭部左側を正確に撃ち抜いた。

ドガアンッ!

「なっ……クソがッ!」

激しい衝撃と警報音がコックピットを満たす。メインカメラの左半分がブラックアウトし、機体の左側のレスポンスが著しく低下。さらに背部にふたつあるミサイルコンテナのうち、ひとつへの回線が遮断され、アクセス不能に陥った。

イオは驚愕に目を見張りながらも、悪態を吐いた。

「へっ……やりやがるぜ義足野郎! だが、こんなもん止まる理由にはならねぇんだよ!」

イオは猛スピードでコンソールを叩き、システムの回線配置を力任せに再構築。死んだミサイルコンテナのロックを解除すると、爆弾ごと切り捨てるように宇宙空間へパージした。

一方、ダリル側もモニターに映るガンダムのタフさに目を見張っていた。

(あのバズーカを頭部に受けて、まだ動くというのか……!)

手にしていたバズーカは3連射の過熱により砲身がドロドロに溶け落ち、弾切れの警告灯が点滅している。ダリルは使い古したバズーカを投げ捨てると、サブアームで背部ユニットから最後の新しいバズーカを掴み取り、すばやく構え直した。

壊れかけた二機の怪物が、激しく火花を散らしながら、再び互いの喉元を食いちぎらんと体勢を立て直すのだった。

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