※この作品はR-18です。

ガンダムSEED Thunderbolt   作:ナラティブ

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アーモリーワン襲撃

2年後、プラントの最新鋭軍事工廠衛星アーモリーワン。

静寂と重厚な空気が漂う最高評議会議長室にて、イオ・フレミングはプラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルと向かい合っていた。

激動の停戦期を経て、連合内部には依然としてプラントとの開戦を望む強硬派が存在する一方で、対話と共存を模索する「プラント賛成派」の陣営も確実に勢力を伸ばしていた。イオはその賛成派勢力からの出向という形式をとり、正式な技術協力および警備要員としてプラントへと足を踏み入れていた。

「議長、頼まれていた書類だ。新造戦艦『ミネルバ』へ、我が方から持ち込んだ新型ガンダムの搬入作業はすべて完了したぜ」

イオが差し出したホログラム端末のデータを、デュランダルは細い指先で優雅に操作しながら目を通した。書類に記された機体構成、過剰なまでの火力仕様、そして出向手続きの細部に、デュランダルの鋭い瞳が一瞬だけ胡散臭そうな光を宿す。

(地球連合の賛成派……フフ、裏でどのような糸が引かれているのやら)

腹の底でわずかな疑念を抱きながらも、デュランダルはすぐにいつもの穏やかで不敵な笑みを浮かべ、端末を閉じた。

「……なるほど。連合内部にも、我々との未来を真剣に考えてくれる理知的な方々がいるというのは心強い限りだ。……分かった、この提出書類は受諾しよう。ミネルバでの活躍を期待しているよ、イオ・フレミング大尉」

「へっ、理解が早くて助かるぜ、議長さん」

イオはニッと不敵に笑うと、軽く手向けに敬礼してみせた。

今回のプラントへの出向にあたり、イオが連れてきたのは自分一人だけではなかった。アーモリーワンの巨大な工廠区画には、共に修羅場を潜り抜けてきた信頼できる仲間たちが待機している。整備員として優秀な腕を振るうコーネリア、そしてメカニック兼技術整備士として現場の技術陣を力強く束ねるクローディアの二人もまた、連合からプラント側へと派遣され、すでにミネルバのハンガーで精力的に動いていた。

「さて……お堅いご挨拶はこれで終わりだ。そろそろ俺の新しい『相棒』の顔でも拝みに行くとしますかね」

デュランダルの執務室を後にしたイオは、口笛で軽いジャズの旋律を奏でながら、アーモリーワンの第3ドックへと足を向けた。

重厚なハッチが開き、照明に照らし出されたハンガーの奥深く。そこに佇む、まだ誰も見たことのない圧倒的な異彩を放つ新型ガンダムの巨躯を見上げながら、イオは瞳に狂気的な煌めきを宿してニヤリと口角を上げるのだった。

ウゥゥゥゥン——ウゥゥゥゥン——!!

アーモリーワンの工廠区画に、耳を裂くような緊急警報が鳴り響いた。

『緊急事態! 緊急事態! 工廠区画よりセカンドステージ・ガンダム3機が強奪された! 破脱した敵機が暴れている! 総員警戒せよ!』

アナウンスが叫び終えるより早く、爆煙を突いて飛び出してきたカオスガンダムとアビスガンダムの二機が、圧倒的な火力で港湾施設を破壊し始めた。頭上から天井の巨大な鉄骨やコンクリートの瓦礫が雨あられと降り注ぐ。

「ちッ、どこの馬鹿野郎だ! 人の新品のお披露目式を台無しにしやがって!」

イオ・フレミングは頭を庇いながら、降ってくる瓦礫を紙一重でかわし、新型機の受領場所である第3格納コンテナへ向けて猛ダッシュしていた。

ふと視界の端で、赤く塗装された一機のザク——ザクウォーリアが、強奪されたガンダム相手に決死の応戦をしているのが見えた。

「ハッ、元気な新兵じゃねぇか! 礼は後で言ってやる!」

ザクが敵の注意を引きつけている隙を突き、イオは開いたハッチから第3コンテナの内部へ滑り込んだ。コックピットへ飛び乗り、速攻で操縦桿を握り締める。コンソールに刻まれた文字は「RX-78AL ATLAS GUNDAM」。

「いくぜ、俺の新しい足……OS起動!」

イオが認証キーを叩き込むと、球体コックピットの全周モニターに火が灯った。外部のコンテナ固定ロックが爆破ボルトによって弾け飛び、重厚な金属装甲が外側へパージされる。

現れたのは、球体関節を持つ異形のフレームに、重厚な増加装甲を全身に纏ったモンスター——アトラスガンダム チョバムアーマーカスタム!

その時、通信ウィンドウに少年らしい引き締まった顔を浮べたコーネリアの姿が割り込んできた。

『イオ! 起動できたんだね!? でも気をつけて、ここはコロニー内部だよ! ボクたちが丹精込めて整備した機体だけど、高出力のレールガンと大型ビームライフルは絶対に使用厳禁だからね!!』

「……はぁ!? マジかよコーネリア! 一番でかいオモチャをお預けかい!」

イオは盛大にため息をついた。

(ちっ、じゃあ使えるのは頭部バルカンと、ビームサーベル、それに脚部アタッチメントのショートマシンガンだけってことか……! まぁいい、暴れるには十分だ!)

「アトラスガンダム、出るぜッ!」

ズシン……ズシン……!

コンテナの爆煙を押し分けて、重装甲を纏った白い悪魔が歩み出てきた。その重厚極まりない姿に、上空で暴れていたカオスとアビスのパイロット——スティングとアウルが息を呑む。

「な……なんだあいつは!? 見慣れないガンダムタイプか!?」

「へへッ、新型かい? だけどそんな装甲で僕らに勝てると思ってんの!?」

「うるせぇよ、泥棒猫ども! 人の持ち物に手ぇ出してんじゃねぇ!」

イオは頭部バルカンを掃射! 激しい実体弾の雨がカオスとアビスの牽制に散る。だが次の瞬間、イオの死角——背後の爆風の中から、四足歩行形態に変形したブラック&レッドの凶獣、ガイアガンダムが猛然と襲いかかってきた!

「シネッ!!」

「甘ぇよッ!」

イオは瞬時に右腕の大型シールドを背面へ滑り込ませ、ガイアのビームサーベルを受け止めた!

ガチィィィンッ!!

強烈な衝撃がアトラスの機体を揺らす。だが、追加された重厚なチョバムアーマーの重量が災いし、機体のレスポンスが極めて鈍い。素早い追撃に移れず、イオは歯かみした。

(クソっ……このチョバムアーマー、重すぎて思うように動けねぇ……!)

ガイアを押し返したものの、アトラスの鈍重な動きを見たカオス(スティング)とアビス(アウル)が、嘲笑うかのように通信回路を割り込ませてきた。

「ハハッ! なんだそのノロマなモビルスーツは! カメみたいな動きじゃねぇか!」

「そんなデカくて鈍い装甲、僕らの攻撃を全部受け止める的にしか見えないよッ!」

上空からのビームとミサイルの集中砲火、そして地上を素早く駆け回るガイアの刃。チョバムアーマーの重さに足をとられるアトラスガンダムへ向け、三機のセカンドステージ機が一斉に襲いかかった!「死んじまいな、ノロマッ!」

カオスのビーム砲、アビスの誘導ミサイル、そしてガイアのビームサーベルが一斉にアトラスガンダムへと集中した。凄まじい衝撃波と炎がアトラスの重装甲を包み込み、激しい大爆発が巻き起こる。

「ハハハッ! 案外大したことなかったな!」

「次行こうぜ、次! まだ暴れ足りないや!」

手応えを感じたスティングとアウルは高笑いを残し、強奪した3機のガンダムを駆ってアーモリーワンの各地を荒らし回りながら侵攻を開始した。

だが——炎と硝煙が渦巻く爆心地の中で、異変が起きていた。

敵の同時攻撃によって重厚なチョバムアーマーが粉々に粉砕・全パージされたことで、内部に眠っていた真の姿——アトラスガンダムの素体が剥き出しとなったのだ。

球体関節が鋭く駆動し、背部アタッチメントから巨大な推力ユニット「サブレッグ」が展開される。重装甲の呪縛から解き放たれたジェネレーターが跳ね上がり、機体全体から凄まじいエネルギーが溢れ出した。

「ふぅ……ッ! やっとすっきりしたぜ! あの重い鎧のおかげで死ぬところだった!」

イオは操縦桿を握り直し、サブアームとサブレッグを同時に吹かせて空中へ浮上した。重力を無視した独特のアクロバティックな飛行感覚に、イオは一瞬ヒヤリとしながらも不敵に笑う。

「っとと……まだこの空中ブランコみたいな挙動には慣れねぇな。だが、速さはさっきの比じゃねぇ!」

◇

その頃、コロニー内の別区画では、ザフトの新議長デュランダルとの極秘会談に臨んでいたオーブ代表首長カガリ・ユラ・アスハが、暗殺の危機とコロニーの崩壊に巻き込まれていた。

「カガリ、離れるな!」

カガリを守るため、緊急避難的に近くにあった赤いザクウォーリアへ乗り込んだアスラン・ザラだったが、相手はブラントが極秘開発した最新鋭ガンダム3機。慣れない機体と圧倒的な数・兵装の差により、アスランは次第に追い詰められ、ついに膝をついて打つ手なしの窮地に陥ってしまう。

「ハハッ、これで終わりだ!」

ガイアのビームサーベルがザクのコックピットへ振り下ろされかけた——その瞬間!

上空から滑り込んできたインパルスガンダムが、一閃のビームサーベルでガイアの攻撃を弾き飛ばした。

「そこまでだッ! これ以上好き勝手させない!!」

見事なパーツ合体(チェストフライヤー・レッグフライヤー)を果たし、あわやの場面に割って入ったのは、ミネルバのパイロット——シン・アスカだった。

「助かった……!」と息を呑むアスラン。

さらに次の瞬間、上空の爆煙を切り裂き、見たこともない異形の白い機体が、豪快なスラスター音とともに二機の頭上へ舞い降りてきた。両脚に巨大なサブレッグを従え、全身の球体関節を滑らかに蠢かせる悪魔のようなガンダム——イオのアトラスガンダムだ。

「な……なんだあいつは!? ザフトの新型……いや、連合のガンダムか!?」

見慣れぬ威圧的な姿にシンが瞬時に警戒し、ビームライフルを向けかける。だが、直後にミネルバおよびアーモリーワンの管制から緊急通信が入った。

『シン、撃つな! その機体は連合からの出向機・アトラスガンダムだ! 敵じゃない、味方だ!!』

「味方……!? あんな気味の悪いガンダムが!?」

シンは戸惑いながらも通信を了解し、一応の警戒を保ちつつ照準を逸らした。

コックピットの中で、イオは通信回線越しにシンのインパルスを見据え、ニッと口角を上げる。

「ヘイ、そこの威勢のいいボウズ! 泥棒猫どもを追い詰めるなら、手伝ってやるぜ!」

「……よく分かんないけど、邪魔だけはしないでくださいよ!」

シンは叫ぶと、インパルスのスラスターを全開にして踏み込んだ。イオもまた、不慣れな飛行性能を強引に操縦でねじ伏せ、アトラスガンダムのサブレッグを唸らせて追従する。

「行くぞッ!!」

怒りに燃えるシンのインパルスガンダム、そして狂気のドラマー・イオが駆るアトラスガンダム。

重なる二機の光条が、牙を剥くカオス、アビス、ガイアの3機へ向けて、真っ向から激突を開始した!

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