※この作品はR-18です。

旅人を愛する孕神たちの純愛   作:ニコネーム、フラフラ

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ある日の旅人~色欲の日常編1(四人全員)

 

 甘雨が旅人の恋人に加わって数日が経過した。男一人と四人の美少女の暮らす(あと最高の相棒と管理者もいる)洞天の朝は、いつも静かな光で始まる。

 

 ガラスの窓越しの柔らかな陽の光が格子を一本ずつ撫でていくように差し込んでいた。人工の光でありながら、その温もりは本物と変わらない。マルが丹精込めて調整しているのだろう。

 

 旅人はしばらく天井を眺めていた。腕の中にはまだ眠っている甘雨がいる。昨夜、みんなで眠った大ベッドの上。寝相の良い彼女は、旅人の左腕を枕にしながら静かな寝息を立てている。旅人の右側にはモナがシーツにくるまって丸くなって寝ており、甘雨の隣にバーバラが静かに眠っている。

 

(……そういえば、夢を見ていたな)

 

 夢の中でも甘雨を抱いていた(もっとも最近は夢だけでなく現実でもずっと四人を毎日抱いている気がするが)

 腕の中で眠る彼女の角を撫でながら、ゆっくりと。それは現実とほとんど変わらない夢で、けれど目が覚めてみれば隣で眠る彼女の顔は、夢の中よりもずっと安らかで。

 

 旅人はそっと彼女の髪に触れた。スカイブルーの絹糸のような感触。角の根本は、触れると彼女が小さく反応する。今はまだ眠っているからか、微かに身じろぎしただけだった。

 

(起こさないようにしないと)

 

 そう思いながらも、旅人の指はやめられない。角の付け根を優しく円を描くように撫でる。すると、甘雨の口元がほんの少し綻んだ。夢の中でも旅人に触れられているのだろうか。

 

 と、その時。

 

「……ご主人様」

 

 背後から声がした。振り返るとノエルがすでに起きていた。白い寝間着のまま、銀の髪を一つにまとめている。その表情は朝の光の中でひどく静かで。

 

「おはよう、ノエル」

「おはようございます、ご主人様。……甘雨様、まだお眠りなのですね」

 

 ノエルはそう言って、旅人の腕の中の甘雨を見つめた。その目はどこか羨ましそうで。けれど、すぐにふわりと微笑んだ。

 

「朝のお茶を淹れましょうか?」

「ああ。でも、その前に」

 

 旅人は甘雨の頭をそっと枕に移すと、身体を起こした。そしてノエルの方へと手を伸ばす。彼女は一瞬だけ目を見開いたが、すぐにその手を取った。

 

「ご主人様?」

「おはようのキス」

 

 旅人はそう言って、彼女の唇にそっと口付けた。朝のまだ互いの体温が混ざり合っていないような淡いキス。けれどノエルは、その一瞬で頬を赤く染めた。

 

「……おはようございます、ご主人様」

 

 彼女はもう一度、今度は自分からそう言って旅人の首に腕を回した。そして、耳元で囁く。

 

「今日は……何をなさいますか?」

 

 その声は、いつもの清楚なメイドの声ではなく少しだけ掠れた、熱を帯びた声だった。旅人はそんな彼女の背中に手を回しながら、同じように耳元で答える。

 

「まずは、ノエルと朝の挨拶をしたいな」

「……はい」

 

 ノエルは小さく頷くと、自分から旅人を押し倒すように手を添え跨り膝立ちになって屈みこむ。白い寝間着の裾が捲れ、普段は騎士鎧に隠れている白い肌が露わになる。

 

「ご主人様、おはようの……続きを」

 

 その目はもう、完全に潤んでいる。こんなに色っぽいノエルは誰も起きてないこの早朝にしか見られないものだった。けれど旅人は、その積極性が愛おしかった。

 

「ああ。続きをしよう」

 

 旅人は彼女の腰に手を添えると、ゆっくりとその身体を引き寄せた。

 

 朝の光の中で、ノエルの白い肌が露わになっていく。寝間着の紐がするりと解け、形の良い胸がこぼれ出た。ピンク色の乳首は、もう固く尖っている。

 

「……ご主人様、見ないでください」

「ノエルの裸はいつでも見たいよ。特にこのおっぱいとか」

 

 旅人はそう言って、彼女の胸に手を伸ばす。掌に収まる柔らかな膨らみ。その先端を親指で転がすと、ノエルの身体がびくりと震えた。

 

「あっ……ご主人様」

「今日は、ノエルがしたいんだろ?」

「……はい。でも、その前に」

 

 ノエルはそう言って、旅人の身体をゆっくりと押し倒した。そして、そのまま下へと降りていく。

 

「ご主人様のお世話を、まずはさせてください」

 

 彼女の細い指が、旅人の寝間着の帯を解く。朝の空気に晒された旅人のものは、すでに硬く反り返っていた。ノエルはそれを見て、少しだけ頬を赤らめながらも迷わず口に含んだ。

 

「ん……ノエル」

 

 温かい口内が旅人のものを優しく包み込む。彼女の舌が、裏筋を丁寧に舐め上げていく。それはもう何度もしてきたからだろう。手慣れた、けれど心を込めた奉仕だった。

 

(朝から……本当に、いいのかな?こんな贅沢なご奉仕してもらって)

 

 そう思いながらも、旅人は彼女の頭を優しく撫でる。銀の髪が指の間をすり抜けていく。その感触が、また心地よい。

 

「ご主人様……気持ちいいですか?」

「ああ。すごくいい」

 

 その言葉に、ノエルは嬉しそうに目を細めると今度はより深く咥えた。喉の奥まで迎え入れながら、きゅっと締め付ける。旅人は思わず腰が浮きそうになるのを堪えた。

 

「……ノエル、そろそろ」

「はい。……ご主人様、私の中に」

 

 ノエルは口を離すと彼女の上に跨った。濡れた入り口が、旅人の先端に触れる。けれどすぐには入れない。彼女は、そのままゆっくりと腰を下ろしていく。

 

「あ……ああっ」

 

 亀頭が膣口を押し広げる。ノエルの内側は、いつもと同じように温かくけれど少しだけきつい。彼女が朝から興奮している証拠だ。

 

「ご主人様……入りました」

「うん。……動くよ」

 

 旅人は彼女の腰を支えながらゆっくりと突き上げる。ぱちゅん、ぱちゅんと朝の静けさの中に、二人の繋がる音が響いた。ノエルは必死に声を抑えようとしている。けれど、その口から漏れる甘い吐息は隠せない。

 

「あっ……ご主人様っ……んっ」

「声、我慢しなくていいよ。みんな、まだ寝てるかもしれないけど」

「で、でも……あっ!」

 

 旅人の動きが少し強くなると、ノエルの背中が弓なりに反った。彼女の内側が、きゅうきゅうと締め付けてくる。朝の営みは、夜のそれとは違う。もっと静かでもっと濃密な時間。

 

「ノエル……いいよ」

「はいっ……ご主人様っ、私もっ……」

 

 二人はほぼ同時に達した。旅人の熱いものが、ノエルの子宮に注ぎ込まれていく。彼女はその感覚に、全身を震わせながら小さく声を上げた。

 

「ああ……ご主人様の、いっぱい……」

 

 ノエルはそう言って旅人の胸に崩れ落ちる。その顔は、この上なく幸せそうだった。旅人も彼女の背中を優しく撫でながら、しばらくその余韻に浸っていた。

 

「……ご主人様」

「ん?」

「朝ごはんまで、お茶でも飲みますか?」

 

 ノエルはそう言って少しだけ照れくさそうに笑った。その笑顔が、旅人の胸を温かくする。

 

「ああ。でも、その前に」

 

 旅人は彼女の顔を上げさせると、もう一度キスをした。今度は朝の挨拶ではない。もっと深くて、もっと長いキス。ノエルはそれに応えながら、再び旅人の上に倒れ込んだ。

 

「ご主人様……まだ、足りませんか?」

「ああ。足りない」

 

 旅人は正直にそう言って、彼女の腰を再び掴んだ。

 

「朝ごはんよりたくさんノエルが食べたい」

「朝ご飯っ、あ、ご主人様……んっ」

 

 ノエルの抗議の声は、すぐに甘い吐息に変わった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 朝食の準備は、結局それから一時間ほど経ってからになってから始まった。

 

 ノエルがやっと身体を起こしたのは、旅人と三度目の営みを終えた後だった。その顔はまだ少し赤く、脚も少しだけ震えている。けれど彼女は「ご主人様のお世話に夢中になってしまいました」と真面目な顔で言って、急いで台所へと向かった。

 

「ノエル、無理しなくていいよ」

「いえ。メイドとして、これでは示しがつきません」

 

 その背中を見送りながら、旅人は苦笑した。本当に真面目な子だ。

 

「……空?」

 

 と、背後から声がした。振り返ると甘雨が目を擦りながら目を覚ましたところだった。その目はまだ半分眠っている。

 

「ああ、甘雨。おはよう」

「おはようございます……。あの、ノエルさんは?」

「朝ごはん、作ってくれてるよ」

「そうですか。……では、私も」

 

 甘雨はそう言ってふらふらと被ったシーツをたくし上げて胸を隠しながら起き上がった。けれど、すぐに旅人がその手を引き倒して抱きしめる。

 

「甘雨はまだ寝てていいよ。妊娠中なんだから」

「でも……」

「ノエルが作ってくれるって言ってるから。な?」

 

 旅人の言葉に、甘雨は少しだけ迷った後小さく頷いた。そして、またベッドに戻ってくる。旅人は彼女の頭を撫でながら、隣に座った。

 

「……空」

「ん?」

「昨日は、その……ありがとうございました」

「昨日って?」

「ぅ…その……たくさん、愛してくれて」

 

 甘雨はそう言って、少しだけ顔を赤らめた。その様子がなんだか初々しくて。旅人は、彼女の角の根本をそっと撫でる。

 

「こちらこそ。ありがとう」

「ん……空は、ずるいです。そうやってすぐ、ん、私の弱いところを」

「だって、ここは俺だけが好きにしていいって、言ってくれたのは甘雨だろ?」

「……そうでした」

 

 甘雨はそう言って旅人の肩に頭を預けた。その重みが、心地よい。

 

 その時、近くのシーツが盛り上がって落ちてクリーム色の髪の少女が起きてきた。ぐぐっと腕を伸ばし背伸びで背を逸らせる。すると旅人の目にはその色白な肌色の体が、生まれたままの彼女の全て見えてしまい、その可愛い姿に欲情してしまう。

 

「うーん……おはよう。ふぁ……、あっ」

 

 バーバラだった。彼女は旅人と甘雨の様子を見て、すぐに顔を赤らめる。

 

「あ、えっと……邪魔、しちゃった?」

「いや、大丈夫だよ。バーバラもおいで」

「うん」

 

 手招きする旅人にバーバラは答えて、もう片方の腕にしがみついてその腕に自分の胸を押し当てる。

 

「おはようございます、バーバラさん」

「ふふ。甘雨さん、なんかいい匂いがする。空の匂い?」

「え? あ、その……」

 

 甘雨が慌てて自分の身体を確認する様子が、なんだか可愛らしい。バーバラはそんな彼女を見て、無邪気に笑った。

 

「いいなぁ。私も、空の匂いつけてもらおうかな」

「バーバラ、それは……」

「えへへ。だって」

 

 バーバラはそう言って、旅人の腕にぎゅっとしがみつく。その弾力のある胸の感触が、旅人の腕に伝わってくる。朝からなんとも贅沢な状況だ。

 

「……バーバラ」

「だめ?」

「おはようのキス、してくれる?」

 

 旅人の言葉にバーバラは一瞬だけ目を丸くした。けれど、すぐにふわりと笑って旅人の顔に近づく。

 

「うん。おはよう、空」

 

 柔らかな唇が旅人のそれに重なる。ちゅっちゅっと舌を絡めて互いに唾液を交換する。バーバラのキスは、いつも甘い。彼女の髪からはモンドの花のような香りがした。

 

「……ふふ。空、朝から元気だね」

 

 バーバラはそう言って旅人の下腹部に手を伸ばす。そこは、先ほどの営みの名残でまだ少しだけ濡れていた。

「えっと……もうノエルと、したんだ?」

「ああ」

「そっか。じゃあ、私も朝のエッチしたいな」

 

 バーバラの下腹部に触れた旅人の指がまだ湿り気と彼女の熱を感じ取る。彼女はくすりと笑うと、その細い指で旅人の寝間着の前をはだけさせた。

 

「ん……もう、こんなになってる」

 

 朝の空気に晒された旅人の昂りは彼女の手の中で脈打つように熱い。バーバラはその感触を確かめるように、指の腹でゆっくりと上下に擦る。

 

「ノエルにしてもらったのに、まだ足りないの?」

「うん。足りない。バーバラも欲しい」

 

 旅人が正直に頷くと、バーバラは嬉しそうに目を細めた。クリーム色のツインテールが肩から滑り落ち、白い首筋が朝日に照らされる。

 

「じゃあ、私がもっと気持ちよくしてあげる」

 

 彼女は甘えるような声で囁くと、旅人の腰を跨いだ。秘所を旅人の昂りの先端に押し当てる。まだ完全に乾ききっていないそこは、ほんの少し触れただけでとろりと蜜を滲ませた。

 

「……入れるよ、バーバラ」

「うん、きて……空」

 

 旅人が腰を突き上げるとぬちゅりという音とともに彼女の内側が旅人を受け入れていく。バーバラの身体がびくりと震え、甘い吐息が漏れた。

 

「あっ……!空……私のおまんこ。朝から、いっぱいになってるよ……♡」

「ああ。君の中、温かくて気持ちいいよ」

 

 旅人は彼女の腰を両手で支え下からゆっくりと突き上げる。朝の静けさの中、肌と肌がぶつかる音だけが部屋に響いた。バーバラは声を殺すように唇を噛みながら、それでも零れる喘ぎを抑えきれない。

 

「んっ……あ、そこ……だめ……」

「ここか?」

 

 旅人が角度を変えて奥を突くと、バーバラの背中がしなった。彼女の指が旅人の胸板に縋りつく。

 

「あっ! そこ……っ、空ぁ……!」

 

 彼女の締め付けが強くなり、旅人の腰の動きも自然と速くなる。甘い水音がふたりの間から聞こえ始めた。

 

「バーバラ、イきそう?」

「うん……っ、イく、イっちゃう……!」

「いいよ。一緒に」

 

 旅人が彼女の腰を強く抱き寄せ最奥まで貫いた瞬間、バーバラの全身が大きく跳ねた。

 

「ああぁっ……!」

 

 彼女の内壁がきゅうきゅうと収縮し、旅人のものを搾り取るように締めつける。その圧迫

に耐えきれず、旅人もまた熱い奔流を彼女の奥深くへと放った。

 

「あっ……出てる……空の、いっぱい……♡」

 

 バーバラはうっとりとした表情で呟くと旅人の胸に倒れ込んだ。汗ばんだ肌と肌が重なり、互いの鼓動が伝わってくる。

 

「……はぁ、朝から、すごかったね」

 

 旅人が彼女の髪を撫でながら囁くと、バーバラはくすくすと笑った。

 

「だって、空が誘ったんでしょ?」

「そうだな。俺が悪い」

 

 ふたりの笑い声が、静かな部屋に溶けていく。それを見ていた甘雨が自分も我慢が出来なくなってバーバラに代わって旅人に跨り、旅人の手で淫らに腰を振り、バーバラが上下に揺れる甘雨の胸に吸い付いてそのピンク色の乳首を吸い立たせる。モナはまだ目を覚まさない。昨日はよほど疲れたらしい。

 

 

 

 その頃、厨房ではノエルが朝食の準備を進めていた。

 彼女の耳には、遠くから聞こえるかすかな嬌声が届いている。包丁を動かす手が一瞬止まり、頬がほんのりと赤らむ。

 

「……もうご主人様ったら、また」

 

 小さく呟いて、ノエルはエプロンの紐を結び直した。今日もまた、賑やかな朝が始まる。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 朝ごはんの準備が終わり、ノエルが旅人たちを呼びに行くとタイミングよく甘雨が旅人の射精を受けて絶頂する所だった。

 

モナが目を覚ましたのは、窓から差し込む柔らかな光が彼女の閉じた瞼を撫でた瞬間だった。

 

 まだ夢の残滓がまつろわぬ意識の中で彼女は最初に自分の身体の内側に感じる違和感に気づいた。昨夜の旅人の熱がまだ奥深くに残っているような、そんな名残。けれどそれは錯覚で実際には彼女の膣は今朝まだ誰も受け入れていない。ただ、夢の中で旅人に抱かれていた感覚が現実の身体にまで及んでいるだけだった。

 

(……夢、だったのですね)

 

 モナは小さく息を吐いた。シーツに包まった自分の身体は、少しだけ汗ばんでいる。夢の中の旅人はいつもよりも乱暴で、彼女の小さな身体を何度も何度も貫いてそのたびに絶頂を強請った。夢だというのに、腰が少しだけだるい。

 

 寝返りを打つと、隣に旅人の姿はなかった。すでに起きているらしい。代わりに、シーツの上に残る彼の体温と匂いがモナの胸をほんの少しだけ締め付ける。

 

「……おはよう、ございます」

 

 誰にともなく呟いてモナはゆっくりと身体を起こした。長い黒髪がシーツの上に流れ、朝の光を吸収して艶やかに輝く。寝間着代わりの薄いワンピースは、寝相のせいで裾が太もも近くまで捲れ上がっていた。下着はつけていない。洞天の中では、それが当然だった。いつでも旅人を受け入れられるように、というマルの配慮もあるし何よりモナ自身が、彼にいつでも抱かれたいと願っているから。

 

 ワンピースの裾を直そうとしてモナはふと手を止めた。このままでもいいか、と思った。旅人がいつ、どこから彼女を求めに来るかわからない。その時に、少しでも早く彼を感じたい。そんな自分にモナは小さく苦笑した。

 

(私は、本当にこの人のことが好きなのですね)

 

 改めてそう自覚して、モナはベッドから降りた。素足に触れる洞天の床は、いつも温かい。マルが調整してくれているのだろう。その温もりが、なんだか今は少しだけ旅人の体温のように感じられた。

 

 廊下に出ると遠くから微かに声が聞こえた。ノエルの、丁寧なけれど少しだけ慌てたような声。そしてバーバラの、楽しそうな笑い声。甘雨の柔らかな、けれど少しだけ困ったような声。

 

 どうやら、朝から賑やかなことになっているらしい。

 

 モナはその声のする方へ、ゆっくりと歩き始めた。まだ少しだけ夢の余韻が抜けきらない足取りで。

 

 大浴場の脱衣所に着くと、そこには予想通りの光景が広がっていた。

 

 ノエルが、バーバラと甘雨の背中を押すようにして浴室へと促している。バーバラは「もう、ノエルってば」と笑いながらそれでも素直に従っている。甘雨は少しだけ頬を赤らめて、「自分で歩けます」と言っているが、ノエルの手を振り切るほどではない。

 

「あら、モナさん。おはようございます」

 

 先に気づいたのはノエルだった。銀の髪を一つにまとめた彼女は、すでにメイド服に着替えている。朝の光を受けて、その姿はどこまでも清楚でけれどその瞳の奥には、昨夜の情交の名残のような熱がまだ微かに灯っていた。

 

「おはようございます、ノエルさん。バーバラさん甘雨さんも」

「モナさん、おはよう! ねえねえ聞いてよ。甘雨さんったら、朝からすごくて」

「バーバラさん、その、朝からすごいというのは」

 

 甘雨が困ったように眉を寄せる。その頬は、まだ少しだけ赤い。昨夜のというよりは、今朝の旅人との営みの名残だろうか。

 

「だって、甘雨さん、空に跨って自分から腰振ってたじゃない。あれ、すごくエッチだったよ」

「バーバラさんっ」

 

 甘雨の顔が、一気に真っ赤になる。モナはその様子を見て、小さく笑った。三千年を生きた仙人がこんなにもあどけない反応をする。それがなんだか、とても愛おしかった。

 

「ふふ。甘雨さんも、もうすっかりこの洞天に馴染んだのですね」

「モナさんまで……。私は、ただ、その……」

「いいのですよ。空と愛し合うことは、この洞天では一番幸せなことですから」

 

 モナの言葉に甘雨は少しだけ顔を上げた。その瞳には、まだ羞恥の色が濃いけれどそれ以上に、確かな幸福の光が宿っている。

 

「はい。……幸せ、です」

「それは何よりです」

 

 モナはそう言って、甘雨の頭をそっと撫でた。角の根本には触れず、あくまで髪を梳くように。それが今の甘雨にとって一番心地よい触れ方だと、モナは知っていた。

 

「さて、それでは皆さん。私は少し空のところへ行ってきます」

「え? モナさん、朝ごはんは?」

 

 バーバラが首を傾げる。モナは小さく笑って、答えた。

 

「先に、空をいただいてからにします」

 

 その言葉の意味をバーバラはすぐに理解した。クリーム色のツインテールが、わずかに揺れる。その頬がほんのりと赤く染まった。

 

「……モナさんって、たまにすごく大胆だよね」

「大胆ではありません。ただ、正直なだけです」

 

 モナはそう言って脱衣所を後にする。その足取りは、来た時よりも少しだけ軽かった。旅人のもとへ行く、というただそれだけのことが彼女の心をこんなにも浮き立たせる。

 

 キッチンへ続く廊下を歩きながらモナは自分の心臓の音が少しだけ速くなっているのに気づいた。別に、緊張しているわけではない。ただこれから旅人に会えるという事実が、彼女の身体の芯をじんわりと温めていく。

 

(私は、本当に単純なのですね)

 

 そんな自分をモナは嫌いではなかった。むしろ、これほどまでに誰かを好きになれる自分を誇らしいとさえ思う。

 

 キッチンの扉を開けると、そこには旅人がいた。

 

 テーブルの前に立ち何かを考え込むように腕を組んでいる。その横顔は、朝の光を受けてどこか遠くを見ているようで。けれどモナが足音を立てて近づくと、すぐにこちらを振り向いた。

 

「ああ、モナ。おはよう」

「おはようございます、空」

 

 その声は、思っていたよりもずっと自然に出た。けれど、そのあとに続く言葉は少しだけ喉の奥で詰まる。

 

「あの、空。私、あなたにその……」

「うん?」

 

 旅人が首を傾げる。その仕草がなんだか無防備で。モナは一瞬、言葉を失いかけた。けれどすぐに深呼吸をして、まっすぐに彼を見つめる。

 

「私を、抱いてください」

 

 その言葉は、朝の静かなキッチンに驚くほどはっきりと響いた。

 

 旅人は一瞬だけ目を見開いたがすぐにふわりと微笑んだ。その笑顔は、いつもの優しいもので。けれどその瞳の奥には、モナと同じ熱が確かに灯っていた。

 

「ああ。もちろん」

 

 旅人はそう言ってモナに歩み寄る。そして、その細い身体をそっと抱き寄せた。彼の腕の中は、いつもと同じ温もりで。モナはその胸に自分の顔を埋める。

 

「……空」

「ん?」

「私、あなたのことが好きです」

 

 その言葉はもう何度目かわからない。けれど、言うたびにその意味は深くなっていく。旅人もまた、モナの背中に腕を回して同じように囁く。

 

「俺も、モナのことが好きだよ」

 

 その声は、いつもと同じで。けれどその温もりは、今日は少しだけ違った。モナはその違いを肌で、心で、感じていた。

 

 旅人は、モナの身体を抱き上げると近くの椅子に自分が座り、その膝の上に彼女を乗せた。モナは抵抗しなかった。むしろ、自分から彼の首に腕を回してその身体を密着させる。

 

「空……」

 

 モナの唇が旅人のそれに重なる。朝の、まだ互いの体温が混ざり合っていないような淡いキス。けれど、すぐにそれは深くなる。旅人の舌がモナの口内を探り、彼女の舌と絡み合う。モナはその感覚に小さく息を呑んだ。

 

 キスをしながら旅人の手が、モナのワンピースの裾に触れる。そのままゆっくりとたくし上げていく。モナはそれを、身を捩って止めようとはしなかった。むしろ、自分から少しだけ腰を浮かせて彼の手が動きやすいようにする。

 

「モナ、今日も下着つけてないんだな」

 

 旅人の声が、少しだけ掠れている。モナはその言葉に小さく笑った。

 

「家の中でだけですよ。こうしたら、いつでも私を抱けるじゃないですか」

「……そういうこと、言われると、我慢できなくなるんだけど」

「我慢しなくていいのですよ。私は、あなたのものなのですから」

 

 その言葉が、旅人の最後の理性を溶かした。

 

 彼はモナの腰を掴むと、自分のものの先端を彼女の秘所に宛がう。そこはもう、十分に濡れていた。キスだけでもモナの身体は旅人を求めていたのだ。

 

「入れるよ、モナ」

「はい……きて、ください」

 

 ずぶり、という音とともに旅人のものがモナの中に沈んでいく。モナはその圧迫感に、背筋をしならせた。彼女の内側は旅人の形を思い出すように、きゅうきゅうと収縮する。それがたまらなく愛おしい。

 

「あ……空の、入って、きます……」

「うん。モナの中、あったかいよ」

 

 旅人はそう言ってゆっくりと腰を動かし始める。椅子の上という不安定な体勢でも、彼の動きは確かで。モナは彼の首にしがみつきながら、その律動に身を委ねた。

 

 朝のキッチンに、肌と肌がぶつかる音とモナの甘い吐息が響く。まだ誰も来ない、二人だけの時間。その静けさがかえって彼女の感覚を研ぎ澄ませていく。

 

「あっ……空、そこ、いいです……」

「ここか?」

 

 旅人が角度を変えてモナの弱いところを突く。彼女の身体が、びくんと跳ねた。膣壁が、より強く旅人を締め付ける。

 

「モナ、締め付けが、強くなってる」

「だって……気持ち、いいから……」

 

 モナは正直にそう言った。もう、隠す必要なんてない。この人には全部知ってもらいたい。そう思えることが、モナにとっては何よりも幸せだった。

 

 旅人の動きが、少しずつ速くなる。モナの喘ぎもそれに合わせて大きくなっていく。椅子が、二人の体重と動きに小さくきしんだ。

 

「モナ、そろそろ……」

「はい……私も、イきそうです……」

「一緒に、いこう」

 

 旅人の最後の一突きがモナの最も深い場所を貫く。その瞬間、モナの身体が大きく震えた。

 

「ああっ……空っ……!」

 

 彼女の絶頂と同時に、旅人もまた、熱いものを放つ。モナの子宮に注がれる熱。その感覚が、モナの全身を、さらに甘く痺れさせていく。

 

「……あっ……出て、ます……空の、いっぱい……」

 

 モナはそう呟いて旅人の胸に崩れ落ちた。まだ彼の中にいる感覚が、たまらなく愛おしい。旅人もまた彼女の背中を優しく撫でながら、その余韻に浸っていた。

 

「モナ」

「……はい」

「おはよう」

 

 その言葉に、モナは小さく笑った。そして旅人の胸に頬を擦り寄せる。

 

「おはようございます、空」

 

 朝の光が、二人の姿を柔らかく包んでいた。キッチンには、ノエルが作った朝食の匂いがすでに漂い始めている。けれど、モナはしばらくこの温もりから離れたくないと思った。

 

 やがて、廊下から足音が聞こえてきた。ノエルがバーバラと甘雨を連れて、朝食の準備をしに来たのだろう。その足音は、二人の営みが終わったことを悟ったように少しだけ遠慮がちで。

 

 モナは、名残惜しさを堪えて旅人の中から自分を引き抜こうとする。だがその動きを旅人が腰を掴んで制した。

 

「空、もう彼女たちが戻ってきますから」

 

 そう言うモナに、旅人はにっこりとほほ笑んで、「せー、の」という掛け声とともに対面していた彼女の体を自分と同じ方向に向く様にぐるりと回転させる。もちろん彼女の膣には旅人のものが入ったまま、膣壁全体が一気に擦れる感覚に小さく息を呑む。一瞬で味わった初めての快感。思わず腰が浮くモナの腰を旅人は掴んだまま自身に押しつけ、二人でテーブルに着席した状態になる。

 

「そ、空?まさかとは思うのですが……」

 

 このまま皆と一緒に食事しようという事なのかと顔だけ振り返った彼女の目にとてもいい笑顔の旅人が映った。

 

 ノエルがキッチンの扉を開けたのは、それから間もなくのことだった。

 

「ご主人様、朝食の準備が整いました」

 

 その声は、いつもと変わらぬ清楚な響き。けれど扉を開けた瞬間、ノエルの足はぴたりと止まった。銀の髪がわずかに揺れる。

 

「……ご主人様?」

 

 キッチンのテーブル。そこに座る旅人の膝の上に、モナがいた。向かい合うのではなく旅人と同じ方向を向いて腰掛けている。旅人は僅かに隙間の空いた男性らしい座り方、その膝の上で股を開かされて跨り、ワンピースの裾は無造作にたくし上げられて局部を僅かに隠すわかりで、彼女の白い太ももが露わになっている。そしてその足先はピンと床へ向かって伸びている。

 

 ノエルは一瞬で理解した。旅人のものが、モナの中にまだ収まっているのだと。

 

「モナ様、それは……」

「ノエルさん、おはようございます」

 

 モナは振り返らずに答えた。その声は驚くほど平静で。けれどその横顔は、ほんのりと赤く染まっている。声の奥に隠しきれない熱が滲んでいた。

 

「朝から、空をいただ、いておりました」

 

 その言葉に、ノエルの頬がほんのりと赤くなる。けれどすぐに、いつもの穏やかな微笑みを浮かべた。

 

「そうでございましたか。では、温かいお茶をお持ちいたしますね」

 

 ノエルはそれだけ言って、静かにキッチンの奥へと消えていった。その背中は、どこまでも落ち着いていて。けれど耳の先だけが、わずかに赤く染まっていた。

 

 つづいてバーバラと甘雨が入ってくる。

 

「おはよう、空! って……え?」

 

 バーバラはクリーム色のツインテールを揺らしながら入ってきて、すぐにその光景を目にした。旅人の膝の上に座るモナ。その腰に回された旅人の腕。二人の密着した身体の隙間から漂う、あの独特の熱。

 

「あ、えっと……おはよう、モナさん。それから空」

「バーバラさん、おはようございます」

 

 モナはやはり振り返らずに答える。その声は、先ほどよりも少しだけ掠れている。バーバラは一瞬だけ言葉に詰まったが、すぐにふわりと笑った。

 

「もう朝から、仲良しなんだね」

「ええ。空が、私を離して、くれないのです」

 

 

 モナの言葉に、バーバラはくすくすと笑った。その笑顔は決して無理をしたものではない。ただ純粋に、微笑ましいという色をしていた。

 

「ふふ。モナさん、幸せそう」

「……そう、見えますか」

「うん。すごく」

 

 そのやり取りを、甘雨は少し離れた場所から見ていた。スカイブルーの髪が、朝の光を受けて静かに揺れる。その瞳は旅人の腕の中にいるモナをじっと見つめていた。

 旅人は本当に自分たちを心から愛しているんのだ。寝ていたから仕方ないけれど、朝一人だけ子作りを行わずにいたモナにも分け隔てない愛を注いでいる。

 

 ノエルが温かいお茶を淹れ終えた頃バーバラと甘雨もそれぞれの椅子に腰掛けていた。パイモンはいつものようにテーブルの端っこにちょこんと座り、すでに目の前の料理に目を輝かせている。

 

「おいら腹減ったぞ! ノエル、今日の朝飯はなんだ?」

「はい、パイモンさん。今日はハーブ香るチキンのソテーと、甘雨様の為に苦みを活かした春菊のサラダそれからバーバラちゃんの好きなスパイシーなスクランブルエッグ、そしてモナ様には少し甘めのフレンチトーストをご用意しました」

「おおっ! さすがノエル、分かってるぜ!」

 

 パイモンが嬉しそうに宙返りする。その様子を見て、ノエルはふわりと微笑んだ。彼女は一人ひとりの好みを把握し、それぞれに合わせた料理を用意していた。その気配りに、旅人は胸が締め付けられる思いがした。彼女は、ただ料理を作ったのではない。この新しい家族の一員として、自分の役割を全うしようとしているのだ。

 

「ノエル、ありがとう。どれも美味しそうだ」

 

 旅人の言葉に、ノエルは少しだけ照れくさそうに俯いた。

 

「いえ、ご主人様。当然のことでございます」

 

 席に着いた四人は、それぞれに料理を口に運び始める。けれどその視線の先にはいつもモナがいた。旅人の膝の上に座り、向かい合うのではなく同じ方向を向いたまま、彼の腕に抱かれるようにして食事をとっているモナ。ワンピースの裾はたくし上げられ足は開脚させられたまま、白い太ももが露わになっている。

 

「モナさん、その体勢、疲れない?」

 

 バーバラが心配そうに声をかける。モナは少しだけ首を振って答えた。

 

「いいえ。空が支えて、くれていますから。それに、この体勢は、なかなか悪く、ないですよ?」

 

 その声は平静を装っているが、時折、旅人が腰をわずかに動かすたびにモナの言葉が途切れる。膣奥をぐりぐりと刺激されながらの食事は、彼女にとって決して楽なものではない。せっかくノエルが作ってくれた料理の味を堪能する余裕などなく、けれど、その表情には確かな幸福感が滲んでいた。

 

 旅人はというと、左手でモナの腰を支えながら右手で自分の料理を口に運んでいる。そして時折、口に含んだ料理をモナの口へと口移しで食べさせる。

 

「ん、ほぉ、らぁ……たぁ、んと、食べないとなモナ」

「ん、んも、ぅぐん。(ごくりっ)ありがとうございます、空」

 

 モナは素直に口を開けてそれを受け入れる。ワザと口に含んでから口移しで食べさせられる感覚に、彼女の頬はほんのりと赤く染まっていた。膣内に感じる旅人の熱と、口内に広がる料理の味。その二つの感覚が混ざり合い、モナの思考を少しずつ甘く溶かしていく。

 

 そんなモナの様子を見つめながら、ノエルは自分の皿の料理を静かに口に運んでいた。その表情は穏やかで、けれどその瞳の奥にはほんの少しだけ羨ましそうな色が浮かんでいる。バーバラもまた、モナの姿をちらちらと見ながら自分のスクランブルエッグを食べ進めていた。その頬は、少しだけ赤い。

 

((いいなぁ、私にもしてほしいかも))

 

 甘雨はというと、スカイブルーの髪を揺らしながら静かにサラダを口に運んでいた。苦みのある春菊の味が、彼女の舌の上で心地よく広がる。けれどその視線はやはりモナに向いていた。

 

(モナさんは、空に抱かれながら食事をしているのですね)

 

 その光景が甘雨の胸にほんの少しだけ羨望の念を湧かせる。自分も、ああして旅人に抱かれながら彼の温もりを感じながら食事ができたら。けれど、今日は朝から璃月で仕事が立て込んでいる。だから自分を律して、この場にいる全員と一緒に朝食を食べることを選んだのだ。

 

「甘雨、今日は仕事なんだよな」

 

 旅人がそう声をかける。甘雨は小さく頷いた。

 

「はい。夕方まで璃月で仕事があります。ですから、今日は夜にまた戻ってきますね」

「ああ。待ってるよ」

 

 旅人の言葉に甘雨は柔らかく微笑んだ。その笑顔は、三千年を生きた仙人のものとは思えないほど、あどけなくて。けれどその瞳には確かな覚悟の光が宿っていた。

 

「ノエルは今日、休みだったよな」

「はい。ですので、午後は洞天の掃除と皆様の部屋の整備をさせていただきます」

「ノエル、本当に真面目だな」

「ふふ。それが私の務めですから」

 

 ノエルはそう言って静かに笑った。その笑顔は、朝の光の中でひどく清楚で。けれどその瞳の奥には、昨夜の情交の名残のような熱がまだ微かに灯っていた。

 

「バーバラは?」

「私は教会に行くよ。今日はいつものお祈りと、それから孤児院の子供たちの世話があるの」

「そうか。忙しいな」

「うん。でも、それが私の役目だから」

 

 バーバラはそう言ってにこりと笑った。その笑顔は、モンドのアイドルとしてのものではなくただの一人の少女のものだった。

 

 パイモンはというとすでに自分の皿を空にして、おかわりを要求していた。

 

「ノエル、おかわり!」

「はい、パイモンさん。どうぞ」

 

 ノエルが差し出した皿を受け取りながら、パイモンは旅人の方をちらりと見る。そして、モナの腰に回された旅人の腕と二人の密着した身体の隙間から漂う熱を感じ取って、にやりと笑った。

 

「旅人、朝から元気だなぁ。おいらは羨ましいぜ」

「パイモン、食べながら話すなよ」

「だってよぉ。おいらも混ざりたいけど、おいらにはそんな機能がないからなぁ」

 

 パイモンの言葉に、モナは少しだけ顔を赤らめた。けれどすぐに小さく笑って返す。

 

「パイモンさんは、いつも私たちを、見守っていてくれているじゃないですか。それで十分ですよ」

「おおっ、モナは分かってるなぁ! そうだよなおいらは見守るのが役目だもんな!」

 

 パイモンはそう言ってまた料理にがっつき始める。その様子を見て、ノエルもバーバラもそして甘雨も、小さく笑った。

 

 食事は和やかに進んだ。バーバラがモンドでの出来事を話し、ノエルがそれに補足を入れモナが時折壮大な比喩を交えて笑いを取る。甘雨はそんな様子を少しだけ離れた場所から見ているような感覚で眺めていた。けれどその距離は少しずつ縮まっていく。旅人が時折モナの皿に料理を追加し、そのたびに「これも美味いぞ」と囁く。その声が、甘雨の胸を温かくした。

 

「モナさん、その体勢で食べるの大変じゃないですか?」

 

 甘雨がそう声をかけると、モナは少しだけ首を傾げて答えた。

 

「そうですね。でも、空が支えてくれていますから。それにこの体勢だと、空のものをより深く感じられるのです」

 

 その言葉に、甘雨は少しだけ目を見開いた。モナは続ける。

 

「甘雨さんも、今度試してみてはいかがですか? きっと新しい発見がありますよ」

「わ、私は……その、遠慮しておきます」

 

 甘雨はそう言って、少しだけ顔を赤らめた。その様子を見てモナはくすくすと笑う。

 

「ふふ。甘雨さんは、まだそういうことには慣れていないのですね。でも、すぐに慣れますよ。何しろ私たちの相手は、あの空なのですから」

 

 モナの言葉に、甘雨は何も言えなかった。ただ自分のサラダを口に運ぶ手が、少しだけ速くなった。

 

 やがて、食事が終わりに近づいた頃。旅人がモナの腰を支えながら、ゆっくりと立ち上がった。

 

「モナ、そろそろいいか?」

「はい、空。私も、もう、限界で」

 

 その言葉の意味を、その場にいた全員が理解した。モナの頬は、もうすっかり赤く染まっている。膣奥を刺激され続けた彼女の身体は、すでに絶頂の寸前だったのだ。

 

「じゃあ、最後に一緒にいこうか」

 

 旅人はそう言って、モナの腰を強く抱き寄せる。モナは旅人の首に腕を回し、その身体を密着させた。そして二人は同時に達した。

 

「あっ……空っ……!」

「モナっ……!」

 

 モナの身体が大きく震え旅人のものが彼女の最も深い場所で脈打つ。その熱を、モナは全身で感じていた。他の四人はそんな二人の姿を静かに見守っていた。ノエルは目を細めて、バーバラは少しだけ顔を赤らめて甘雨は静かに息を呑んで、パイモンは「おおっ」と小さく声を上げて。

 

 やがて、旅人がゆっくりとモナの中から自分を引き抜く。ずるり、という感触とともに白濁した液体がモナの秘所から滴り落ちた。

 

「モナ、大丈夫か?」

「はい……少し、脚が震えていますけれど……でも、大丈夫です」

 

 モナはそう言って、旅人の胸に顔を埋めた。その表情はこの上なく幸せそうで。

 

 ノエルがすっと立ち上がり、モナにタオルを差し出す。

 

「モナ様、どうぞ。それからお身体を拭いて差し上げますね」

「ありがとう、ノエルさん」

 

 ノエルは手際よくモナの身体を拭いていく。その手つきは、メイド騎士としての訓練が染みついた優しくて確かなものだった。バーバラも立ち上がり、自分の食器を片付け始める。甘雨はというと、まだ少しだけ席に座ったままぼんやりとモナを見つめていた。

 

「甘雨さん?」

 

 旅人が声をかけると、甘雨ははっと我に返った。

 

「あ、はい。何でしょう?」

「いや、なんかぼんやりしてたから。疲れてるんじゃないか?」

「いえ、そんなことは……。ただ、少しだけ考え事を」

「そうか。無理するなよ。今日は仕事があるんだろ?」

「はい。でも、大丈夫です。空こそ今日はどうするのですか?」

「俺は、スメールの方に用があるんだ。」

「スメールにですか?それはまたなぜ?」

 

 ノエルに下半身を拭かれながらモナが疑問を投げかける。すると旅人は首をひねりながら答えた。

 

「うーん、俺の勘違いかも知れないんだけど……みんなと同じように俺の事を慕ってくれてる人をまだ数人知ってるんだ。だから一人一人確かめようと思って」

 

 旅人にはこれまで自分がこんなに美少女もしくは美女と呼べる人たちにモテているなんて思いもしなかった。モナが、ノエルが、バーバラが特別なんだと思っていたけれど甘雨に確かめに行って、今や自分の子供を宿すほどに愛し合う関係になった。だからもしかしてという心当たりを手当たり次第に確認しに行こうと思っているのだ。

 

「だから、夜には戻ってくるよ」

「そうですか。では、夜にまた」

 

 甘雨はそう言って、静かに立ち上がった。その動作は三千年を生きた仙人のものとは思えないほど、儚げで。けれどその背筋はまっすぐに伸びていた。

 

 朝食の後片付けは結局ノエルとバーバラが二人で行うことになった。旅人はモナを抱き上げ、彼女の部屋へと運んでいく。甘雨はというと、自分の部屋へ戻り仕事の準備を始めていた。

 

「空。因みに各国でどれだけ心当たりがありそうですか?」

「ええと、そうだな。まずスメールに一人だろ?稲妻にも二人ぐらい……あとはフォンテーヌに一人。ナタで二人、いや三人?ナド・クライにたぶん一人かな。あ、まだ璃月にも二人いるかも?」

「ふふ、それはそれは。気が多いですね?」

「あくまでも俺が勝手に推測して、だよ。ほんとは一人もいないかもしれない」

「そうでしょうか?私の予想では少なくともそれ以上は増えそうですよ?」

 

 旅人にお姫様抱っこで運ばれるモナは上機嫌に笑う。今旅人が上げた人数以上が彼の恋人となり、この洞天のハーレムに加われば一人づつ愛し合う時間は減る。それは本来寂しく感じるはずだが、モナは旅人に惚れて己の全てを捧げる女性が増える事にある種の感動、いや優越感を感じていた。

 数多の女性に愛され、またそれ以上の愛情で愛し返す旅人。そんな彼を最初に選び、そうなるように仕向けたのは自分。自分が選んだ男こそ史上最高に魅力的な男性である事に、彼女は誇りにも近い感情を抱いていたのだ。

 やがて自身の寝室へ辿り着いた旅人は、モナをベッドに寝かせ彼女の額にそっとキスを落とした。

 

「ゆっくり休めよ」

「はい。空も、気をつけて」

「ああ」

 

 旅人はそう言ってモナの部屋を後にする。その足取りは、どこか軽やかで。今日もまた彼にとって新しい一日が始まるのだ。

 

 洞天の外ではモンドの風が優しく吹いている。

 甘雨は璃月へと向かう準備をしながら、ふと窓の外を見た。人工の空に浮かぶ雲はどこまでも白く。この外に、彼女の本来の故郷がある。けれど今はこの洞天こそが、彼女の帰る場所だった。

 甘雨が支度を整え終えた頃、部屋の扉が静かに開いた。

 

 振り返ると、そこには旅人が立っていた。朝の光を背に受けて、その金色の髪がほんのりと輝いている。彼は甘雨の名前を呼びながら、ゆっくりと近づいてきた。

 

「甘雨」

 

 その声は、いつもと変わらぬ柔らかな響き。けれどどこか名残惜しさを含んでいるようにも聞こえた。甘雨は首をかしげる。

 

「空? どうかされましたか?」

 

 旅人は答えなかった。ただ甘雨の腕をそっと掴むと、自分の方へと引き寄せる。そして密着したまま、深く深く口づけた。

 一瞬、甘雨の思考が止まる。朝の光の中で旅人の唇が彼女のそれに重なる。優しく、けれど確かな熱を帯びたキス。口内をゆっくりと舐められ、舌が絡み合う。その濃厚な口づけに、甘雨の身体が震えた。

 

「んっ……ふ……」

 

 思わず漏れる吐息。旅人の片手が甘雨の背中に回り、もう一方の手が彼女の後頭部を支える。逃げ場を与えぬように、けれど決して乱暴ではなく。ただ彼女のすべてを味わい尽くすかのように、旅人は甘雨の唾液と舌を堪能した。

 

 やがて、名残惜しそうに唇が離れる。銀の糸が二人の間に一瞬だけ架かり、朝の光の中で消えていった。

 

「……空?」

 

 甘雨は少しだけ潤んだ瞳で旅人を見上げる。その頬は、ほんのりと赤く染まっていた。

 

「今日はしばらく会えないから」

 

 旅人はそう言って、少しだけ照れくさそうに笑った。その笑顔は、いつもの頼れる旅人のものではなくどこか少年めいていて。甘雨はその表情に、胸の奥がきゅっと締め付けられるのを感じた。

 

「だから、甘雨のキスを味わいたかった」

 

 その言葉に、甘雨は一気に顔を赤らめた。

 

「あ、あの……そ、それは……つまり……」

 

 言葉にならない甘雨の反応を旅人は面白そうに眺めている。その瞳には、確かな愛情とほんの少しのいたずら心が混ざっている。甘雨はそんな彼の視線に、さらに顔を赤くしながらもどこか幸せな気持ちでいっぱいになっていく。

 

「空……ずるいです」

 

 ようやく絞り出した声は少しだけ掠れていた。旅人はそんな甘雨の頭にそっと手を置くと、その角の根本を優しく撫でる。

 

「ずるくなんかないよ。ただ、正直なだけだ」

 

 その手のひらの温もりが、甘雨の心をさらに溶かしていく。彼女はしばらく、その感触に身を委ねていた。三千年の時を生きてきた仙人にとって、誰かにこんなにも愛されるという感覚は未だに慣れない。けれど、この人の前ではそんな自分を隠す必要はないのだと、そう思える。

 

「……行ってきますね」

 

 甘雨はようやくそう言って、旅人の胸から身を離した。その顔にはもういつもの穏やかな微笑みが戻っている。けれど、その瞳の奥には確かな名残惜しさと、そして強い決意の光があった。

 

「ああ。気をつけて」

 

 旅人はそう言って、甘雨が机の上に置いていた通行証を手に取ると、彼女に手渡した。その指先がほんの一瞬だけ触れ合う。たったそれだけの接触なのに、甘雨の心臓はまた少しだけ跳ねた。

 

 通行証を受け取った甘雨は、洞天の外へと続く扉の前に立つ。そして一度だけ振り返って、旅人に微笑みかけた。

 

「夜に、また」

「うん。待ってる」

 

 旅人はそう言って、手を軽く振る。甘雨はその姿を目に焼き付けるように、しばらく見つめていた。そして静かに扉を開ける。

 

 外の空気が洞天の中とは違う冷たさで甘雨の頬を撫でた。璃月の港町の喧騒が、遠くから微かに聞こえてくる。現実の世界。彼女が三千年の間、生きてきた場所。けれど今はこの洞天こそが、彼女の帰る場所だった。

 

(さあ、今日も頑張りましょう)

 

 甘雨は小さく息を吐くと、璃月港へと続く道を歩き始めた。その足取りは、来た時よりも少しだけ軽く。そしてその胸の内には、夜にまた戻ってくる場所があるという確かな温もりが灯っていた。

 

 

 

 旅人は消えてゆく彼女の背中を見送りながら、ふと呟いた。

 

「……やっぱり、みんなと一緒にいると時間が足りないな」

 

 その声は、誰に聞かせるでもなく。けれどその言葉の端々には、愛しい人たちへの深い想いが滲んでいた。彼はしばらくその場に立ち尽くしていたが、やがて小さく笑うと洞天の奥へと戻っていった。

 

 そこには、まだ朝の支度を終えていない恋人たちの気配。モナはきっと、まだベッドの中で夢の続きを追いかけているだろう。ノエルはすでに、午後の掃除の段取りを考えているに違いない。バーバラは、教会へ向かう準備をしながら鼻歌を口ずさんでいるかもしれない。

 

 旅人は、そんな四人の姿を思い浮かべながら今日一日の予定を頭の中で組み立てていく。スメールへの道のり。そこで出会うかもしれない、新しい誰かの気配。そして夜にまた戻ってくる、この洞天の温もり。

 

(よし、行くか)

 

 彼はそう心の中で呟くと、パイモンの待つ広間へと歩き出した。その背中は、いつもと変わらぬ頼りがいのあるものだった。けれど、その足取りはどこか少しだけ浮き立っているようにも見えた。

 

 洞天の外ではモンドの風が優しく吹いている。甘雨が去った扉の向こうには、広いテイワットの世界が広がっている。彼女は今、その世界の中で自分の役割を果たそうとしている。そして夜には、またこの温もりのある場所へと帰ってくる。

 

 旅人はそんなことを考えながら広間への廊下を歩いていた。途中、すれ違ったノエルが彼に一礼する。

 

「ご主人様。甘雨様を、見送ってこられたのですね」

「ああ。行ってらっしゃいって」

「ふふ。甘雨様、嬉しそうでしたか?」

 

 ノエルの問いに旅人は少しだけ考えて、そして静かに笑った。

 

「ああ。たぶん、俺も同じくらい嬉しそうな顔をしてたと思う」

 

 その答えに、ノエルは一瞬だけ目を見開いた。けれどすぐに、その顔に温かい微笑みを浮かべる。

 

「それは、何よりでございます」

 

 ノエルはそう言って、静かに一礼した。その銀の髪が朝の光を反射してきらめく。旅人はそんな彼女の姿に、今日もまたこの洞天での一日が始まるのだという、確かな実感を覚えていた。

 

「ノエル」

「はい?」

「今日も、よろしく頼むよ」

「はい。ご主人様。ノエル・メイド騎士、精一杯お務めさせていただきます」

 

 その言葉は、いつものように清楚で。けれどその瞳の奥には、昨夜の情交の名残のような熱がまだ微かに灯っていた。旅人はそんな彼女の姿に、小さく笑みを返すと広間へと続く扉を開けた。

 

 そこには、すでにパイモンが待っていた。そしてこれから始まる一日の予定を、楽しそうに話し始めるのだった。

 

 

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