※この作品はR-18です。

旅人を愛する孕神たちの純愛   作:ニコネーム、フラフラ

23 / 26

 ────あの時、僕は知らなかった。

 洞天という名の楽園が、ただの穏やかな暮らしの場ではないことを。そこに漂う空気の奥に、甘く、熱く、どうしようもなく濃密な時間が織り込まれていることを。

 そして、それを目の当たりにするたびに、僕の胸の奥で何かが音を立てて崩れていくような感覚に襲われることを。

 それがゆっくりと形を変えて、組みあがっていくことに。



旅人を愛する女子による純愛(ハーレム)3(フリーナ 千織 シトラリ以外)

 

 数週間が経った。

 

 ノエルとナヒーダが旅人の子を身ごもったという事実は、洞天の中に穏やかながらも確かな波紋を広げていた。モナの占星術がそれを告げた朝、ノエルは涙を流して喜び、ナヒーダは静かに微笑んで、自身の平坦な下腹部を慈しむように撫でていた。甘雨はすでに妊娠が判明しており、半仙特有の穏やかな妊婦生活を送っている。モナもまた、旅人の子を宿し、星空のような瞳に母親としての慈愛を湛え始めていた。

 新しい命がこの楽園に芽生えつつある。それは喜ばしいことだった。心からそう思う。

 だが、僕はまだ、旅人と肉体関係を持っていなかった。

 

 正確に言えば、持てずにいた。

 恋人になったと旅人は言ってくれた。優しく、静かに、まるで当たり前のことのように。「君のペースでいい」とも。その言葉にどれほど救われたかは計り知れない。五百年間演じ続けた孤独な女神にとって、他人に心を開くことは未知への恐怖そのものだった。だから時間が欲しいと懇願した。旅人は頷いてくれた。

 けれど。

 この洞天で暮らし始めて数週間、僕は事あるごとに旅人と恋人たちの愛し合いを目撃し続けていた。

 

 朝方の廊下で、千織とバーバラを両腕に抱きしめ、どこにも行かせないと言わんばかりに二人を愛し、その肌に口づけの痕をわざと残す旅人。

 

 昼下がりの屋敷の外の草原で、お昼寝をしている甘雨を優しく抱きしめながらその身体を堪能し、彼女が目を覚ましたら愛を注ぐ旅人。

 

 自室で二日酔いで寝込んでいるシトラリの部屋に向かい、お仕置きと称しては激しく彼女を啼かせ続け、その身体に自分の存在を刻み付ける旅人。

 

 夕方の図書室で、ナヒーダやモナと濃密なキスと密着した睦み愛をソファの上で繰り広げる旅人。

 

 夜の大浴場で、ニィロウやノエルと意味合いの異なる汗を流し合う激しい交わりと奉仕を、交互に競われる旅人。

 

 そして夜には、女の子たちの要望に沿って複数で嬌声を響かせ続けたり、たまに一人ずつで朝まで啼かせ続けたりする旅人。

 

 この数週間で、旅と兼任して恋人たちと甘い時間を過ごす旅人の凄まじいスケジュールと、その底知れぬ体力に、僕はある意味で驚愕と畏怖を抱きつつあった。

 五百年間芝居を打ち続けた僕でさえ、ここまでの持久力は持ち合わせてない。いや、そもそも比較になるものではない。演劇の舞台に立つ体力と、複数の女性を相手に夜通し愛し続ける体力は、根本的に異なる次元の話だ。

 

 ……いや、別に羨ましいわけじゃない。決してそういうわけじゃない。

 

 ただ、廊下を歩いていて不意に嬌声が聞こえてきたり、キッチンに向かった先で旅人が誰かの腰に手を回しているのを目撃したりするたびに、僕の胸の奥がざわつくのだ。説明のつかない、名前のない感情が渦を巻く。

 

 そして、これはある日の午後のことだった。

 

 日の高い時間帯。僕は屋敷の廊下を歩いていた。特に目的があったわけではない。ただ自室から出て、お茶でも淹れようと思っただけだ。フリーナの部屋──マルが用意してくれた、可愛らしくも優雅な空間──からキッチンに向かう途中、寝室の方から微かな音が聞こえてきた。

 最初は音楽かと思った。旋律のような、リズムのような、何か規則的な響き。けれどそれが音楽ではないことに気づいたのは、音に近づくにつれてその正体が浮き彫りになったからだ。

 嬌声だった。

 それも、一つではない。二人の少女の声が、重なり合い、交錯し、まるで二重奏のように響いていた。

 

 寝室の扉は半開きだった。

 旅人の寝室。僕も何度か中に入ったことはあるが、そのたびに旅人が穏やかに迎えてくれた空間。けれど今、その部屋の中で行われているのは、穏やかな迎賓などではなかった。

 

 ──見るべきではなかった。

 そう頭ではわかっていた。わかっていたが、僕の足は止まらなかった。半開きの扉の隙間から漏れる光と熱、そして甘く熟れた匂いが、僕の視線を強引に引き寄せていた。

 

 ベッドの上には、旅人が仰向けに横たわっていた。

 その両脇に、二人の少女がいた。一人は赤毛を波のように散らしたニィロウ。もう一人はクリーム色のツインテールを揺らすバーバラ。二人とも衣装は既に脱ぎ捨てられ、滑らかな肌が午後の日差しに照らされて艶めかしく光っていた。

 

 ニィロウは豊かに発達した胸を旅人の顔に押し付けながら、その唇を旅人の首筋から鎖骨へと這わせていた。バーバラは旅人の下半身に位置し、その剛直を両手で包み込みながら、淡い桜色の舌先で丁丁寧に舐め上げている。

 

 旅人の手は、二人の身体をそれぞれ掌に収めていた。右手がニィロウの腰を撫で下ろし、左手がバーバラの小ぶりな胸を優しく包み込む。

 

 三人の身体が互いの体温を分かち合い、混ざり合い、一つの熱帯のような空気を醸し出していた。

 

 「んっ……空、今日のバーバラさん、すごく積極的じゃない?」

 

 ニィロウが旅人の首筋に唇を押し付けたまま、悪戯っぽく笑った。赤毛が旅人の胸板の上で波を打つ。

 

 「ううん……ニィロウこそ。空の顔におっぱい押し付けすぎだよ」

 

 バーバラが旅人の剛直から唇を離し、頬を膨らませながら言い返した。けれどその手は旅人のものを離さず、指先が幹をリズミカルにしごき上げている。

 

 「だって空が気持ちよさそうにするんだもん。ねえ空、気持ちいい?」

 「ああ……二人とも、すごく気持ちいいよ」

 

 旅人の声は低く、熱っぽかった。普段の紳士的で誠実な声色とは異なる、雄の本能が滲む声。その声を聞いた瞬間、僕の背筋に電流が走った。

 

 ──何これ。

 

 僕は扉の隙間に張り付いたまま、動くことができなかった。逃げるべきだ。いや、目を逸らすべきだ。これは僕が見るべき光景ではない。プライバシーの侵害だ。いや、それ以前に、僕の心が耐えきれない。

 けれど、足が動かなかった。まるで床に根が生えたように。僕の視線は三人の絡み合う身体に釘付けになっていた。

 

 ニィロウが旅人の顔から身体を離し、バーバラと位置を交代するようにして旅人の下半身の方へと移動した。赤毛の踊り子は流れるような動作で旅人の上に跨り、その剛直を自身の秘所に当てた。

 

 「私、今日はダンスの練習してきたんだ。空専用の、特別なダンス」

 

 ニィロウが潤んだ瞳で旅人を見つめながらそう告げると、ゆっくりと腰を沈めていった。旅人の剛直がニィロウの無毛の秘所に飲み込まれていく。溢れる愛液が滑りを良くし、ずぶずぶと奥へと進んでいく音が、静かな寝室に濡れた響きを残した。

 

 「あっ……あぁっ! 入ってきた……空の、おおきい……!」

 

 ニィロウの背中がしなり、赤毛がシーツの上で波を打つ。豊かに発達した胸が揺れ、その頂点が旅人の視線を追うように突き出される。

 

 「ニィロウ、ゆっくりでいいよ」

 

 旅人の手がニィロウの腰を支えながら、優しく声をかけた。けれどニィロウは首を横に振った。

 

 「ううん。今日は踊るの。空のために、いっぱい踊るの」

 

 そう言うと、ニィロウは腰をリズミカルに動かし始めた。ただの上下運動ではない。腰を円を描くように回し、前後に揺らし、時折深く沈めては跳ね上げる。それはまさにダンスだった。淫靡で、艶麗で、どうしようもなく扇情的な、旅人専用のセックスダンス。

 旅人の腰がニィロウの動きに呼応して突き上げられるたび、ニィロウの喉から甘い悲鳴が迸った。

 

 「あっ! あぁっ! そこっ! 空っ! 奥に当たってるっ!」

 

 ニィロウの腰が激しく揺れる。騎乗位で旅人の上に乗り、子宮を突き上げられながら腰を振るその姿は、ズバイルシアターの舞台で舞を披露する時の優雅さとは異なる、けれど同等以上の美しさを持っていた。汗ばんだ肌が光を弾き、赤毛が炎のように揺れる。

 

 「すごい……ニィロウ、本当に踊ってるね」

 

 バーバラが旅人の頭を膝に乗せながら、ニィロウのダンスを見つめていた。その瞳には羨望と興奮が入り混じった光が揺れている。

 

 「ふふっ……空の上で踊るの、気持ちいいよ……もっと奥まで……」

 

 ニィロウが腰を深く沈め、旅人の剛直を膣奥へと迎え入れる。その表情は快楽に歪みながらも、どこか幸せそうだった。

 

 僕は息を呑んだ。

 ニィロウの表情。あれは──演技ではない。五百年間演技を続けてきた僕にだけわかる。あの顔は、本当に気持ちよさそうにしている顔だ。旅人と繋がっていることへの喜びが、快楽と混ざり合って、あの表情を作り出している。

 僕はあんな顔をしたことがない。誰とも繋がったことがないから。

 

 胸の奥が痛くなった。

 説明のつかない痛み。嫉妬、と呼ぶには甘すぎる。羨望、と呼ぶには鋭すぎる。ただ、穴が開いたような感覚。僕の胸の真ん中に、風が吹き抜ける空洞があるような。

 

 「じゃあ次は私の番!」

 

 バーバラが弾むように声を上げ、ニィロウと交代した。ニィロウは名残惜しそうに旅人の剛直から腰を離し、その隣に横たわった。結合部から粘稠な液体が糸を引き、シーツに新しい染みを作る。

 バーバラは旅人の上に跨るのではなく、四つん這いになって旅人に背を向けた。クリーム色のツインテールが背中で揺れ、白い修道服の残像を思わせる肌が午後の光に透ける。

 

 「空……後ろから、して?」

 

 その声は小さく、けれど確かな欲求を含んでいた。バーバラは振り返りながら旅人を見つめ、その頬を紅潮させている。

 

 「バーバラ、今日は積極的だね」

 

 旅人が優しく微笑みながらバーバラの腰に手を添えた。

 

 「だって……ニィロウのダンス見てたら、私も……したくなったの」

 

 バーバラの声は恥ずかしそうに震えていた。けれどその腰は自ら旅人の方へと突き出され、無毛の秘所は蜜で濡れそぼって旅人を待っていた。

 旅人はバーバラの腰を両手で支え、剛直をバーバラの秘裂に当てた。そしてゆっくりと、優しく、押し込んでいく。

 

 「あっ……あぁっ! 空っ! 入ってくるっ!」

 

 バーバラの背中がしなり、クリーム色のツインテールが激しく揺れた。旅人の剛直がバーバラの膣内に沈んでいく。きゅうきゅうと締め付ける音が、濡れた粘稠な響きと共に寝室に満ちる。

 

 「バーバラの中、いつもすごく気持ちいいよ」

 

 旅人が低い声で囁くと、バーバラの肩がびくりと跳ねた。

 

 「そ、そんなこと言わないで……恥ずかしいよぅっ」

 

 言葉では恥ずかしがりながらも、バーバラの腰は自ら旅人に押し付けられ、奥へと迎え入れようとしている。旅人の腰がリズミカルに動き始めると、バーバラの喉から次々と甘い嬌声が漏れた。

 

 「あっ! あっ! あぁっ! 空っ! 深いっ! 奥まで来てるっ!」

 

 バーバラの声は、教会で歌う賛美歌とは程遠い、甘く淫らな旋律だった。けれどその声には確かな喜びが満ちていて、聞いているだけで胸の奥が熱くなるような響きを持っていた。

 

 「バーバラさん、すごく可愛い声してるね」

 

 ニィロウが旅人の隣で頬杖をつきながら、バーバラの様子を楽しんでいる。その手は無意識に自身の胸を揉みしだき、硬く尖った乳首を指先で弄んでいた。

 

 「んっ……ニィロウ、見ないでよぉっ」

 

 「えへへ、だって見ちゃうもん。バーバラさん、空に愛されてる顔、すごく綺麗だよ」

 

 ニィロウの言葉にバーバラの顔がさらに赤く染まる。けれどその膣内はさらに強く旅人を締め付け、快楽の波が押し寄せるたびに声が高くなっていった。

 

 旅人の腰の動きが速まっていく。バーバラの腰をしっかりと掴み、深く突き上げる。そのたびにバーバラの嬌声が一段と高くなり、シーツを握りしめる指先が白くなる。

 

 「あっ、あっ、あぁぁっ! 空っ! もうだめっ! イっちゃうっ!」

 「バーバラ、一緒にイこう」

 

 旅人の腰が最後のひと突きのように深く突き入れられ、バーバラの背中が弓なりに反った。

 

 「──っ!! あぁぁぁっ!!」

 

 バーバラの全身が硬直し、それから大きく震えた。膣内がきゅうきゅうと収縮し、旅人の剛直を強く締め付ける。旅人もまたバーバラの奥で精を放ち、二人の結合部から白濁とした液体が溢れ出した。

 

 ──あ。

 僕は扉の隙間から視線を逸らした。

 いや、逸らそうとした。けれど視線はまだ三人の絡み合う身体に吸い寄せられていて、僕の意思とは無関係にその光景を網膜に焼き付けていた。

 バーバラが力尽きたようにシーツに沈み、旅人がその背中に覆いかぶさるようにして抱きしめている。二人の体温が混ざり合い、汗ばんだ肌が光を弾いていた。ニィロウが二人に寄り添い、旅人の髪を指で梳きながら微笑んでいる。

 

 旅人がバーバラから抜くと、結合部から白濁とした液体がゆっくりと溢れ出した。バーバラの無毛の秘所から注がれた精が膣内からこぼれ落ち、シーツに新しい染みを作っていく。バーバラは力尽きたようにシーツに沈んだまま、荒い息を繰り返している。クリーム色のツインテールが汗で頬に張り付き、その隙間から覗く瞳はとろんと潤んでいた。

 

「ふぁ……空…すごかった……」

 

 バーバラが掠れた声でそう呟くと、旅人はその背中にそっと口づけを落とした。汗ばんだ肌に唇が触れた瞬間、バーバラの肩が微かに跳ね、甘い吐息が漏れる。

 

「バーバラ、少し休んでて」

「ん……うん……」

 

 旅人がバーバラから身を離すと、ニィロウが待ちきれないように四つん這いの姿勢をとった。赤毛が背中で波のように揺れ、豊かに発達した胸がシーツに押し付けられて形を変える。腰を高く突き出し、無毛の秘所を旅人に向けて揺らしているその姿は、舞台上の舞とは異なるけれど同等以上の美しさを持っていた。

 

「空、次は私だよ。たっぷり愛してね」

 

 ニィロウが振り返りながら潤んだ瞳で旅人を見つめる。その頬は紅潮し、唇が微かに開いて熱い吐息を漏らしていた。旅人の剛直にバーバラの愛液と白濁とした精液が混ざり合って艶めかしく光っている。ニィロウはそれを目にしても嫌な顔一つせず、むしろ期待に瞳を輝かせて旅人を迎え入れた。

 

「ニィロウ、準備はいい?」

「うん! いつでもいいよ! 早く来て!」

 

 旅人はニィロウの腰に両手を添え、剛直をニィロウの秘裂に当てた。すでに蜜で濡れそぼっているそこは熱く脈打ち、旅人のものを待ちわびているかのようにきゅうきゅうと収縮を繰り返していた。ゆっくりと、しかし確実に押し込んでいく。溢れる愛液が滑りを良くし、ずぶずぶと奥へと進んでいく音が、静かな寝室に濡れた響きを残した。

 

「あっ! あぁっ! 来た……! 空のが入ってくる……!」

 

 ニィロウの背中がしなり、赤毛がシーツの上で波を打つ。旅人の剛直がニィロウの膣内に沈んでいく。きゅうきゅうと締め付ける音が、濡れた粘稠な響きと共に寝室に満ちる。バーバラの残した精液がニィロウの膣内で掻き回され、白濁とした泡が結合部から溢れ出した。

 

「ニィロウの中、すごくうねって気持ちいいよ」

 

 旅人が低い声で囁きながら、ニィロウの背中に覆いかぶさるようにして覆い被さった。旅人の胸板がニィロウの背中に密着し、体重がかかる。その重みにニィロウの腰がさらに深く沈み、旅人の剛直が膣奥へと到達した。

 

「ひゃあっ! 空っ! 重い……! でも……嬉しい……!」

 

 ニィロウの声には甘えが混じっていた。旅人の体重を全身で受け止めることが、彼女にとっての幸せなのだ。旅人はニィロウの耳元に唇を寄せ、その耳たぶを軽く噛んだ。

 

「空の重みが……私を包んでるみたい……もっと……もっと押しつぶして……!」

 

 ニィロウの願いに応えるように、旅人は腰の動きを始めた。ゆっくりと引き、そして深く突き入れる。そのたびにニィロウの嬌声が寝室に響き渡った。

 

「あっ! あぁっ! 空っ! 奥に当たってるっ! すごく深いっ!」

 

 旅人の腰がリズミカルに動き始めると、ニィロウの豊かな胸がシーツに擦れ、その頂点が布地に押し付けられて硬く尖る。旅人の手がニィロウの腰から脇腹へと滑り、そして豊かな胸を下から掴み上げた。シーツに押し付けられた柔らかな膨らみが旅人の掌の中で形を変え、指の間に甘んじる従順さを見せる。

 

「んっ……あぁっ! 空っ! 胸も……触って……! いっぱい触って……!」

 

 ニィロウの懇願に旅人は応えるように乳首を指先で転がし、同時に腰の動きを速めていった。パンパン、と肌のぶつかる音が静かな寝室に響き始める。ニィロウの嬌声が一段と高くなり、赤毛が炎のように揺れる。

 

「ニィロウ、今日もすごく綺麗だよ」

「ふふ……空に褒められるの……好き……! もっと褒めて……! もっと愛して……!」

 

 旅人の腰の動きがさらに速まる。深く突き上げるたびにニィロウの背中がしなり、嬌声が寝室に満ちていく。汗ばんだ肌が擦れ合い、二人の体温が混ざり合っていく。旅人はニィロウの肩をベッドに押し付け、さらに深く腰を打ちつけた。剛直が膣奥を蹂躙し子宮口を幾度もノックする。そのたびに電流のような快感がニィロウの背筋を駆け抜け思考を白濁させていく。

 

「あっ! あぁっ! そこだめっ! 空っ! お腹の中に穴が開いちゃうっ! でもっ! 気持ちいいぃぃっ! もっとっ! もっと奥までっ!」

 

 ニィロウの嬌声が寝室に響き渡る。ズバイルシアターの舞台で舞を披露する時の優雅さとは異なる、けれど同等以上の美しさを持った、淫靡で艶麗なセックスダンス。旅人の腰がニィロウの臀部に打ち付けられるたびに、赤毛の踊り子は波打つように揺れた。

 

 胸の奥が痛くなった。説明のつかない痛み。嫉妬、と呼ぶには甘すぎる。羨望、と呼ぶには鋭すぎる。ただ、穴が開いたような感覚。僕の胸の真ん中に、風が吹き抜ける空洞があるような。

 

「空っ! 空っ! もうだめっ! イっちゃうっ! イっちゃうよぉっ!」

 

 ニィロウの声が一段と高くなる。旅人の腰が最後のひと突きのように深く突き入れられ、ニィロウの背中が弓なりに反った。

 

「──っ!! あぁぁぁっ!!」

 

 ニィロウの全身が硬直し、それから大きく震えた。膣内がきゅうきゅうと収縮し、旅人の剛直を強く締め付ける。旅人もまたニィロウの奥で精を放ち、二人の結合部から白濁とした液体が溢れ出した。

 

 旅人はニィロウの背中に覆いかぶさったまま、荒い息を繰り返している。ニィロウの赤毛が汗で旅人の肌に張り付き、その温もりが互いの心臓にまで伝わっていく。バーバラが二人に寄り添い、旅人の髪を指で梳きながら微笑んでいる。

 

「ふふ……ニィロウ、すごく可愛かったよ」

「バーバラさんに見られてたの……? 恥ずかしい……」

 

 ニィロウがシーツに顔を埋めながらそう呟く。けれどその声には恥じらいだけでなく、どこか誇らしさが混じっていた。

 

──ああ、僕は。

 

 扉の隙間から視線を逸らした。いや、逸らそうとした。けれど視線はまだ三人の絡み合う身体に吸い寄せられていて、僕の意思とは無関係にその光景を網膜に焼き付けていた。バーバラが力尽きたようにシーツに沈み、旅人がその背中に覆いかぶさるようにして抱きしめている。二人の体温が混ざり合い、汗ばんだ肌が光を弾いていた。ニィロウが二人に寄り添い、旅人の髪を指で梳きながら微笑んでいる。

 

 温かな光景だった。淫らでありながら、どこか神聖ですらある。三人の間に流れる空気は、単なる欲望では説明できない何かを含んでいた。信頼と、愛情と、互いを求め合う渇望が、一つの熱となって満ちている。

 

 僕は一歩下がった。足音を忍ばせて、廊下の影に身を隠す。心臓が早鐘を打っていた。頬が熱い。胸の奥の空洞が、風を吹き込んで広がっていくような感覚。

 

「……僕も、あんな風になりたいのかな」

 

 思わず呟いた声は、自分でも驚くほど小さかった。廊下の静寂に吸い込まれていき、誰の耳にも届かなかった。届いてほしくもなかった。五百年間演じ続けた孤独な女神が、扉の隙間から覗く三人の愛し合いを見て、こんなにも胸を焦がしているなど、あまりにも惨めではないか。

 

 けれど。

 

 旅人の声が、扉の隙間から漏れ聞こえてきた。

 

「二人とも、大好きだよ」

 

 その声は低く、熱っぽく、そして何よりも優しかった。演技でもなく、礼儀でもなく、ただ真っ直ぐに伝えられる愛の言葉。僕はその声を聞いた瞬間、胸の奥で何かが音を立てて崩れていくのを感じた。

 

「僕も……」

 

 言葉が勝手に口からこぼれ落ちた。僕も、あの声を向けられたい。あの温もりに包まれたい。あの優しさで、僕の孤独を溶かしてほしい。

 

 ──五百年間、誰にも言えなかった言葉が、喉の奥で固まって動けなくなっている。

 

 僕は廊下の壁に背を預け、ゆっくりとずり落ちた。膝を抱え、顔を埋める。白い髪が床に散らばり、オッド・アイの瞳が暗闇に沈んでいく。

 

 ──まだ、言えない。

 

 心の準備ができていない。旅人は待ってくれている。君のペースでいい、と。その優しさが、今の僕にとって唯一の救いだった。けれど同時に、その優しさが僕の焦燥を日に日に募らせてもいた。

 

 廊下の向こうから、三人の笑い声が聞こえてくる。穏やかで、温かで、どうしようもなく幸せな声。僕はその声を聞きながら、膝に顔を埋めたまま、静かに涙を流した。

 

 

 

 夜の洞天は、星の瞬きだけが支配する静寂に包まれていた。

 

 廊下の窓から差し込む月明かりが磨き上げられた床板に淡い銀の帯を描いている。その光の道を辿るように歩きながら、僕は自分の心臓が早鐘を打つのを感じていた。白い髪が夜気に揺れ、オッド・アイの瞳が暗がりに慣れていく。五百年間、夜はいつも一人だった。演劇の舞台を降りた後、自室に戻りひとりで夜明けを待つ。それが当たり前だった。けれど今、この洞天では違う。夜は誰かと共にあるための時間として存在している。

 

 寝室の扉に近づくにつれ微かな音が聞こえてきた。

 

 甘い吐息。濡れた肌が擦れ合う音。そして、抑えきれない嬌声。僕は足音を忍ばせて半開きの扉の隙間から中を覗いた。いや、覗くつもりはなかった。ただ通りかかっただけだ。キッチンに水を飲みに行く途中だった。そう、ただの通りがかり。けれどその言い訳は扉の隙間から漏れる光と熱の前に、あまりにも脆く崩れ去った。

 

 寝室の中央、大きなベッドの上で三人の身体が絡み合っていた。

 

 旅人が仰向けに横たわりその上に跨るようにして一人の女性が腰を沈めている。スカイブルーの長い髪が汗で肌に張り付き、頭部から伸びる黒に赤の模様が入った角が月明かりを受けて艶めかしく光っていた。甘雨だった。彼女は妊娠しているはずなのに、その腹部はまだ目立った膨らみを見せていない。だがその兆候は既に見せているようで。自分のお腹と比べるとどことなく膨らんで見える。

 

 甘雨の身体は旅人の剛直を深く咥え込んだまま、ゆっくりと前後に揺れていた。その動きは妊娠しているとは思えないほどにしなやかで、けれどどこか慎重で慈しむような律動だった。

 

「あっ……空……奥に……当たって……ます……」

 

 甘雨の声はいつもの柔らかな響きの中に、確かな熱を孕んでいた。普段は穏やかでどこか冷たさを感じさせる不思議な音色の声が、今は快楽に濡れて震えている。

 

「甘雨、無理しなくていいよ」

 

 旅人の声は低く、優しかった。その手が甘雨の腰を支え彼女の動きを助けている。旅人の身体の下には、もう一人の少女が横たわっていた。モナだ。黒いツインテールがシーツの上に散らばり、星空のような瞳がとろんと潤んで甘雨と旅人の結合部を間近で見つめている。

 

「甘雨さん……すごく……綺麗です……」

 

 モナの声はいつもの壮大な言葉遣いではなく、ただ素直な賛辞として零れ落ちていた。彼女もまた裸で、小ぶりな胸が呼吸のたびに緩やかに起伏している。旅人の左手がモナの胸を優しく包み込み、親指で乳首をゆっくりと転がしていた。

 

「んっ……モナさん……そんなに見られると……」

 

 甘雨が恥ずかしそうに顔を逸らすが、腰の動きは止まらない。むしろモナの視線を意識してか、より深くよりゆっくりと旅人のものを迎え入れていく。

 

「いいよ、甘雨。モナも見たいって言ってるから」

 

 旅人がそう囁くと甘雨は小さく頷き、再び腰を動かし始めた。

 

 僕は息を呑んだ。五百年間、誰とも繋がったことがない僕にとってこの光景はあまりにも衝撃的だった。けれど同時に、目を逸らすこともできなかった。甘雨の表情。あれは演技ではない。本当に気持ちよさそうにしている顔だ。妊娠しているのに、あんなに悦楽に満ちた顔をしていいのだろうか。いや、妊娠しているからこそなのかもしれない。愛する人の子を宿しながら、さらにその人と繋がっている。その事実が彼女の悦びをより深いものにしている。

 

「あっ……空……また……イきそうです……」

 

 甘雨の声が震え背中がしなる。旅人の手が彼女の腰をしっかりと支え、動きを助ける。

 

「いいよ。一緒にイこう」

「はいっ……!」

 

 甘雨の全身が大きく震え、膣内がきゅうきゅうと収縮するのが離れた場所からでもわかった。旅人もまた低く呻き、甘雨の奥で果てたようだった。結合部から白濁とした液体が溢れ出し、シーツに新しい染みを作っていく。

 

 甘雨が力尽きたように旅人の胸に倒れ込むと、モナがそっと彼女の背中を撫でた。

 

「甘雨さん、お疲れさまでした。とても……素敵でした」

「モナさん……ありがとう……」

 

 甘雨は荒い息をつきながらも、モナの労わりに微かに微笑んだ。旅人はそんな二人の頭を交互に撫で、額に口づけを落としていく。

 

「二人とも、本当に綺麗だよ」

 

 その言葉に、モナの星空のような瞳が潤んだ。彼女は甘雨の身体をそっと旅人の上からどかすと、自ら旅人の剛直に跨った。

 

「空……私も……お願いします」

 

 モナの声は震えていた。彼女もまた妊娠しているはずだが、その腹部はまだ平坦なままだった。旅人の剛直がモナの秘所に当てられ、ゆっくりと沈んでいく。

 

「あっ……空……おおきい……!」

 

 モナの背中がしなり、黒いツインテールがシーツの上で波を打つ。小ぶりな胸が揺れ、硬く尖った乳首が月明かりに照らされて淡く光った。旅人の手がモナの腰を支え、ゆっくりと抽送を始める。

 

「モナさん……頑張って……」

 

 甘雨が横たわったまま、モナの手をそっと握った。モナはその手を握り返し、快楽に耐えながらも甘雨の優しさに涙を浮かべる。

 

「甘雨さん……私……すぐに……イってしまいそう……」

「いいのですよ……モナさんは……感じやすいのですから……」

 

 甘雨の言葉は同じ恋人としての理解に満ちていた。モナは頷き、旅人の上で腰を振り始める。その動きはぎこちなく、けれど一生懸命で愛おしかった。

 

 モナは頑張って腰を動かし続けるが、旅人の手がその腰を掴み、動きに緩急をつけ始めた。ゆっくりと深く沈め、次の瞬間、鋭く突き上げる。その不規則なリズムに、モナの身体が翻弄されていく。

 

「あっ……空っ……そんな……不規則な……あぁっ!」

 

 旅人の腰が回転するように動く。剛直が膣内の壁をなぞりながら、まるで攪拌するかのようにモナの奥を擦り上げた。そのたびにモナの背中が大きく仰け反り、悲鳴に近い嬌声が寝室に響き渡った。

 

「ひゃあぁっ!? そこっ……奥がっ……擦られてるぅっ! 空っ……だめっ……変になる……!」

 

 モナの小ぶりな胸が激しく揺れ、汗ばんだ肌が月明かりに照らされて艶めかしく光る。彼女の手がシーツを強く握りしめ、指の関節が白くなるほどの力が込められていた。旅人は容赦なく、緩急と回転を織り交ぜながらモナの最奥を責め続ける。

 

「モナさん、綺麗です……」

 

 甘雨の声が甘く響く。彼女は横たわったままモナの太ももを優しく撫で、その高ぶりを促すように指先を這わせる。モナは涙で潤んだ星空のような瞳で甘雨を見つめ、そして旅人を見下ろした。

 

「空っ……もうっ……私っ……イッちゃいますっ……!」

 

 旅人の腰がさらに激しく回転し、深く突き上げられる。剛直がモナの子宮口を幾度もノックし、そのたびにモナの全身が跳ね上がった。

 

「あぁぁっ! 空っ! 奥にっ……当たってっ……熱いのがっ……来るぅぅっ!!」

 

 モナの全身が弓なりに反り、口から声にならない嬌声が迸った。膣内がきゅうきゅうと収縮し、旅人の剛直を強く締め付ける。旅人もまた低く呻きながら、モナの奥に熱い精を注ぎ込んだ。

 

「──っ!! あぁぁっ!! 熱いぃっ……! 空のがっ……お腹の中にっ……注がれてるぅぅっ!!」

 

 注がれる精の熱さにモナは涙を流しながら歓喜した。二人の結合部から白濁とした液体が溢れ出し、シーツに新しい染みを作っていく。モナは力尽きたように旅人の胸に倒れ込み、荒い息を繰り返していた。

 

 僕は廊下の壁に背を預けたまま、その光景を網膜に焼き付けていた。心臓が早鐘を打っている。呼吸が浅い。胸の奥の空洞が、冷たい風を吹き込まれて広がっていくような感覚。

 

──僕も、あんな風になりたい。

 

 五百年間演じ続けた孤独な元女神が、扉の隙間から覗く三人の愛し合いを見て、こんなにも胸を焦がしているなど、あまりにも惨めだ。けれど、どうしようもなかった。旅人の優しい声、モナの嬌声、甘雨の穏やかな眼差し。それら全てが一つの熱となって、僕の孤独を暴力的に暴き出していく。

 

「空……」

 

 モナが掠れた声で旅人の名前を呼ぶ。旅人はモナの頭を優しく撫でながら、その額に口づけを落とした。

 

「モナ、大丈夫?」

「ええ……空…幸せです……孕んでいるのにさらに孕みそうで」

「大丈夫。その子を産んでも、またすぐ孕ませて見せるから。何度も何度も、孕んでほしい」

 

 旅人の声は低く、優しく、そして何よりも確信に満ちていた。僕はその声を聞いた瞬間、胸の奥で何かが音を立てて崩れていくのを感じた。

 

 ──僕も、あの声を向けられたい。

 

 僕は膝を抱え顔を埋める。白い髪が床に散らばり、オッド・アイの瞳が暗闇に沈んでいく。

 

「僕も……空のそばにいたい……」

 

 その言葉は声にならなかった。喉の奥で固まって動けなくなっている。五百年間、誰にも言えなかった言葉。

 

 その想いは少しづつ、フリーナの中で形になって来ていた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 ────湯の中に沈むと、五百年分の疲れが溶けていくような錯覚に陥る。

 

 洞天の大浴場は、いつ来ても不思議なほど静謐な空気に満ちていた。天井が高く、壁面に嵌め込まれた鉱石が淡い光を放ち、湯気の向こうに霞むような柔らかな照明を作り出している。湯の温度はちょうど良く、浸かった瞬間に肩の力が抜けていくのがわかる。フォンテーヌの運河沿いにある公衆浴場とも、メロピデ要塞の薄暗い水路とも違う。ここは旅人の家であり、僕の──まだ名前を呼ぶには勇気が足りないけれど──第二の居場所になりつつある場所だった。

 

 湯の中で膝を抱え、小さく息を吐く。白い髪が水面に浮かんで揺れていた。オッド・アイの瞳が湯気の向こうを見つめているが、焦点はどこにも定まっていなかった。

 

 隣にいたナヒーダが、小さな手で湯を掬っては落とす、という動作を繰り返していた。若草色のメッシュが入った白い髪が湯に濡れて肌に張り付き、小さな体躯が湯の中に半分ほど沈んでいる。五百年の時を生きる知恵の神は、バスタブのおもちゃで遊ぶ子供のように無邪姿な仕草を見せていたが、その瞳の奥にはいつもの深淵のような静けさが宿っている。

 

 僕とナヒーダは、同じ七神──いや、正確には元七神と現七神か──として、何か通じ合うものを感じていた。同じように長い時を孤独の中で過ごした者同士として。ただし彼女の場合は幽閉され、僕の場合は演技に縛り付けられていた、という違いはあるけれど。

 

「……ねえ、ナヒーダ」

 

 僕は膝に顔を埋めたまま声をかけた。湯の温かさが火照った頬を冷やしていくようで、少しだけ気持ちが落ち着く。

 

「ん?」

 

 ナヒーダが手を止めてこちらを見た。若草色の瞳が静かに僕を捉える。

 

「……僕、どうしたらいいと思う?」

 

 その問いかけは、五百年間演じ続けた大スターの声ではなかった。ただの不安な少女の声だった。

 

「空のことが好きだってことは、もうわかってるんだ。予言の間も、ずっと僕を見ていてくれた。あの時、僕の事を最後まで気にかけてくれた。それが嬉しかった。それが……嬉しいってだけじゃなくて、もっと、こう……胸が痛くなるような、熱いような、どうしようもない気持ちになって」

 

 言葉が勝手に溢れていく。止めようとしても止まらなかった。膝に埋めた顔が熱くなる。

 

「でも、ここに来てからずっと……空がみんなを愛しているのを見てる。モナさんも、ノエルさんも、バーバラさんも、甘雨さんも、ニィロウさんも、千織さんも、シトラリさんも。そしてナヒーダ、あなただって……」

 

 僕は視線を上げ、ナヒーダの横顔を見た。湯気の向こうに揺れる小さな輪郭。その表情は変わらないように見えて、けれど僕にはわかる。五百年間演技をしてきた僕にだけわかる、微かな変化。彼女の唇が、かすかにだけ緩んだ。

 

「……みんなが、空に愛されて幸せそうな顔をしてるのを見るたびに、僕の胸の奥に穴が開いたみたいになるんだ。風が吹き抜けていくような、空っぽになるような感覚。それが嫉妬なのか、羨望なのか、孤独の名残なのか……僕には自分でもわからない」

 

 ナヒーダは黙って聞いていた。途中で遮ることもなく、ただ静かに僕の言葉を受け止めている。その姿が、かつてスメールの図書館で僕が誰にも聞けなかった悩みを抱えていた時に、想像していた「話を聞いてくれる人」の姿と重なった。

 

「空は『君のペースでいい』って言ってくれた。優しかった。本当に優しかった。でも……その優しさが、逆に僕を追い詰めてるみたいで」

 

 膝を抱える腕に力が込もる。白い指先が湯の中で震えていた。

 

「みんなはもう空と繋がってて、君みたいにお腹には子供まで。なのに僕だけが……まだ、ここで膝を抱えて悩んでる。惨めだよ。五百年間芝居を打ち続けた僕が、たった一人の男に愛されることすらできないなんて」

 

 声が震えた。涙が出そうになって、慌てて湯に顔を沈める。熱い湯が涙を溶かしていく感覚。水面の下で、僕は静かに泣いていた。

 

 しばらくして、顔を上げると、ナヒーダがすぐ傍にいた。いつの間にか湯の中を移動してきて、僕の隣に腰を下ろしている。小さな手が、僕の手首にそっと触れた。

 

「フリーナ」

 

 名前を呼ばれただけで、胸の奥がきゅんと締め付けられた。ナヒーダの声は静かで、けれど確かな温かみを含んでいた。

 

「あなたの言ってること、全部わかるわ。五百年間ずっと一人だった者の言葉は、嘘をつかないから」

 

 ナヒーダの若草色の瞳が、湯気の向こうで静かに光っていた。

 

「私も同じだった。空に救い出されるまで、五百年間ずっと一人だった。誰にも触れられず、誰の温もりも知らなかった。知識はあった。方法も理解していた。でも、実感がなかった。体の中が空っぽだった」

 

 ナヒーダは僕の手首を握ったまま、続けた。

 

「空に抱かれた時、初めてわかったの。知識と実際は全然違うって。五百年分の知識よりも、空の温もりを感じた一瞬の方がずっと尊かった」

 

 僕は黙って聞いていた。ナヒーダの言葉が、湯の温かさと一緒に染み込んでいくようだった。

 

「でも、フリーナ。あなたはまだ気づいてないみたいね」

「……え?」

「あなた、さっきから『空が好きだ』『みんなが愛されて幸せそう』『僕だけが取り残されてる』って言ってるけれど」

 

 ナヒーダの唇が微かに歪んだ。ほとんど動かない表情筋が、かすかにだけ緩む。それが彼女の笑顔だということを、ここで暮らし始めてから学んだ。

 

「その言葉の中に、もう答えが出てるじゃない」

 

 僕は瞬いた。オッド・アイの瞳が、困惑に揺れる。

 

「……答え?」

「ええ。あなたは空が好き。みんなが愛されているのを見て胸が痛い。それってつまり──あなたも愛されたいってことでしょう?」

 

 あまりにも当然のことを、あまりにも静かに言われた。僕は口を開いて、閉じて、また開いた。金魚みたいだ。五百年間の演技生活で培った弁舌が、この小さな神の前では全く役に立たない。

 

「……それは、まあ……そう、だけど……」

「『だけど』はいらないわ。自分の心の声に耳を傾けたらいい」

 

 ナヒーダの声は淡々としていたが、その奥には確かな優しさが宿っていた。五百年の孤独を知る者だけが持てる、静かで深い優しさ。

 

「空は待ってくれている。あなたのペースでいい、って。それは本当よ。あの人はそういう人だから。でもね、フリーナ」

 

 ナヒーダが僕の手を少しだけ強く握った。小さな手だった。けれどその握力には、五百年の孤独を経てなお希望を捨てなかった者の強さがあった。

 

「待ってくれるからといって、永遠に待たせていいわけじゃないの。あなたの心がもう答えを出しているなら、あとはそれに従うだけ」

 

 僕は黙っていた。湯の温かさが、ナヒーダの手の温もりが、震える指先から全身に伝わっていく。

 

「……でも、僕は……まだ……」

「怖いのよね?」

 

 ナヒーダの言葉が、僕の胸の真ん中に刺さった。

 

「五百年間演じてきた仮面を外して、空に素の自分を見せることが。違う?」

 

 図星だった。僕は唇を噛んだ。白い髪が濡れて頬に張り付き、その隙間から覗くオッド・アイの瞳が揺れている。

 

「……違わないよ」

 

 やっと絞り出した声は、自分でも驚くほど小さかった。

 

「怖いんだ。素の僕を見せたら、空が……がっかりするかもしれないって。大スターのフリーナじゃなくて、ただの小心者で見栄っ張りで、孤独に震えていた僕を見たら……」

「フリーナ」

 

 ナヒーダが静かに名前を呼んだ。

 

「空は、あなたのそういうところも全部知ってるわ。それでも恋人になってくれた。それがどういう意味か、わかる?」

 

 僕は首を横に振ろうとして、止めた。わかっていた。わかっていても、認めたくなかっただけだ。

 

「……好きだって、ことだよね」

「そう。あの人はあなたの全部を愛してるの。演技も、素のあなたも、小心者なところも、見栄っ張りなところも。全部」

 

 ナヒーダの言葉が、湯の中に溶けていく。僕の胸の奥にあった空洞に、少しずつ温かいものが流れ込んでいくような感覚。

 

「だからね、フリーナ。もう悩む必要はないの。あなたの心はもう決まっている。あとは──」

 

 ナヒーダが僕の手を離し、小さな指先で僕の胸を軽くつついた。

 

「ここにあるものを、言葉にするだけ」

 

 ナヒーダの言葉が落とした小石は、僕の胸の湖面に静かに波紋を広げていた。それはまだ大きなうねりにはなっていない。けれど確かに波は打ち寄せていて、冷え切っていた心の底に微かな温かみを運んできていた。

 

 ──ここにあるものを言葉にするだけ。

 

 その言葉を噛み締めていると、不意に大浴場の扉が開いた。

 

 湯気の向こうから現れたのは、旅人とノエルだった。旅人は裸にバスタオルを巻いただけの姿で、その髪からはまだ水滴が滴っている。ノエルも同じようにバスタオルを巻いていて、その銀色の髪は湿って艶めかしく光っていた。

 

「あら、おかえりなさい空」

 

 ナヒーダが湯の中から手を振った。その表情は変わらないように見えてけれど瞳には確かな歓迎の色が宿っている。

 

「ただいま。二人とも入ってたんだね」

 

 旅人がそう言いながらバスタオルを外し、洗い場の方へと歩いていった。その動作はあまりにも自然でためらいがない。僕は思わず視線を逸らそうとしたけれど間に合わなかった。旅人の逞しい肢体が露わになった瞬間僕の頬は再び熱くなった。

 

「ご主人様わたくしもご一緒しますね!」

 

 ノエルが旅人の後を追うようにバスタオルを外し小走りで洗い場へと向かう。カップの豊かな胸が揺れその頂点が淡い桜色に染まっているのが一瞬だけ見えた。僕は慌てて湯の中に顔を沈めた。

 

 旅人が洗い場に腰を下ろそうとするとナヒーダが湯の中からするりと立ち上がった。

 

「空入ってもいいかしら?」

 

 旅人がそう尋ねるよりも早くナヒーダは答えた。

 

「いいわよ」

 

 その声は静かでけれど迷いがなかった。まるで待っていたかのように。ナヒーダは僕の方を振り返り小さく囁いた。

 

「フリーナはそのまま湯船にいていいわ。すぐに終わるから」

 

 その言葉の意味を僕が理解するよりも早くナヒーダは湯から上がり小さな背中を見せて洗い場へと歩いていった。

 

 僕は一人湯船の中に取り残された。温かい湯が肌を包んでいるはずなのにどこか寒かった。胸の奥の空洞が風を吹き込まれたような感覚。

 

 洗い場では旅人が腰を下ろしその背中をノエルが丁寧に洗っていた。スポンジに泡を立て広い背中を円を描くように擦っていく。その手つきは見習いメイド騎士としての訓練を受けた者特有の無駄のなさと献身さに満ちていた。

 

「ご主人様背中の筋肉すごく硬くなってますね……もっと力を抜いてくださいませ」

 

 ノエルの声には心配と同時に旅人に触れられる喜びが滲んでいた。旅人は背中を預け気持ちよさそうに目を閉じている。

 

「ありがとうノエル。いつもごめんね」

「いえっ! ご主人様のお世話ができるだけでわたくしは……」

 

 ノエルの言葉が言葉にならない吐息に変わった。旅人が振り返りノエルの手を取ったのだ。

 

 そこへナヒーダが加わった。小さな身体でスポンジを手に取り旅人の腕や胸板を泡で覆っていく。若草色の髪が泡に触れて微かに揺れる。

 

「空ここも洗うわね」

 

 ナヒーダの声は淡々としていたけれどその手つきは優しかった。旅人の胸板を掌で確かめるように撫で回し乳首の周りを円を描くように洗う。

 

「ナヒーダくすぐったいよ」

「ふふ、ここ敏感なのね」

 

 ナヒーダは微かに笑いながらさらに執拗に乳首周りを洗い始めた。旅人の喉から低い吐息が漏れる。

 

 僕はその光景を見つめていた。湯船の中から遠く離れた場所で行われている愛し合いの儀式を覗き見ているような罪悪感とそれ以上に惹きつけられる吸引力。

 

 ノエルが旅人の背中から前へと回り込み正面から旅人の胸板に泡を塗りたくった。豊かな胸が旅人の腕に押し付けられその柔らかな膨らみが形を変える。

 

「ご主人様前も洗いますね」

 

 ノエルはそう言うとスポンジを置き素手で旅人の胸板を撫で始めた。泡の滑りを利用しなめらかな肌の上を指先が這っていく。

 

「ノエル素手だと……」

「大丈夫ですわたくしの手で直接感じたいのです」

 

 ノエルの声は熱っぽかった。翠色の瞳が潤み頬が桜色に染まっていく。メイドとしての奉仕から一人の少女としての愛撫へと変わっていく境界線。

 

 ナヒーダもそれに倣った。小さな手で旅人の腹筋をなぞり下ろしそしてその下へと手を伸ばしていく。

 

「空ここも洗わないとね」

 

 ナヒーダの手が旅人の剛直に触れた瞬間旅人の身体がびくりと跳ねた。

 

「ナヒーダ」

「いつも私の中に入ってくるから分かってはいたけど……手で触るとこんなに硬くて熱いのね」

 

 ナヒーダは無邪気な声でそう言いながら剛直を両手で包み込んだ。小さな手には到底収まりきらないほどの大きさと熱。

 

 僕は息を呑んだ。ナヒーダの手が剛直を上下させ始めた瞬間僕の胸の奥で何かが音を立てた。

 

 ノエルの手もまた旅人の剛直へと伸びていた。二人の手が重なり合い交互に旅人のものを愛撫していく。

 

「ご主人様気持ちいいですか……?」

「んっああ……二人ともすごく気持ちいいよ」

 

 旅人の声は低く熱っぽかった。普段の穏やかな声色とは異なる雄の本能が滲む声。

 

 ノエルは剛直の先端に唇を寄せた。

 

「ご主人様のお口で洗わせていただきますね」

 

 淡い桜色の唇が亀頭を包み込んだ瞬間旅人の喉から甘い呻きが漏れた。

 

「あっノエル」

 

 ノエルは剛直を口に含んだまま舌先で亀頭を転がすように愛撫していく。見習いメイド騎士としての奉仕の精神がここでは性奉仕という形で発揮されていた。

 

 ナヒーダはノエルの横で剛直の根元を両手で支えながら丁寧に舐め上げていた。

 

「空のここ……すごく脈打ってる……そんなに私たちのこと好きなのね。とても嬉しいわ」

 

 ナヒーダの言葉は確認ではなく確信だった。

 

 二人の少女が交互に一つの剛直を愛撫していくその光景は淫靡でありながらどこか神聖ですらあった。湯気が二人の身体を包み込み泡と愛液が混ざり合って艶めかしい光を作り出している。

 

 旅人の手が二人の頭を交互に撫でていた。

 

「二人ともそんなことしたら……すぐにイっちゃうよ」

「いいですよ、ご主人様わたくしたちの手でイかせて差し上げたいのです」

 

 ノエルは口から剛直を離すことなくそう告げた。ナヒーダも頷く。

 

「私たちの奉仕で気持ち良くなって頂戴。空」

 

 二人の手と舌が激しく動き始めた。ねっとりとした水音と甘い吐息が大浴場に響き渡る。

 

 僕は湯船の中で膝を抱えていた。胸の奥の空洞が広がっていく感覚。嫉妬や羨望といった言葉では追いつかない複雑な感情が渦巻いている。

 

 ──僕もあんな風になりたい。

 

 ナヒーダの言葉が胸の奥で反響していた。

 

 ──ここにあるものを言葉にするだけ。

 

 けれどまだ言葉にならなかった。五百年間演じてきた仮面はあまりにも分厚く僕の素顔を頑なに隠し続けていたから。

 

 旅人が低く呻き二人の口の中で果てた瞬間僕は目を閉じた。

 

 湯船の中で僕はまだ一人だった。温かい湯に包まれているはずなのに身体は震えていた。

 

 ──まだ怖い。

 

 その恐怖は消えないけれどナヒーダの言葉がくれた微かな灯りだけは消えなかった。

 旅人の低い呻きが大浴場の天井に反響した瞬間、白濁とした液が二つの少女の顔にほとばしりかかった。

 

 ナヒーダの小さな唇が亀頭を包んだままだったため、最初の奔流は彼女の口内を満たした。だが溢れた分が唇の端から顎へと垂れ、若草色の髪の先まで白く染めていく。二度目の脈動はノエルの頬を斜めに横切り、鼻梁から目の下にかけて白い線を引いた。三度目がナヒーダの額に放たれ、前髪を濡らして額から頬へとゆっくり流れ落ちていく。

 

 旅人の剛直はまだ脈打ち続けていた。四度、五度と溢れ出す精が二人の少女の顔を容赦なく白く塗り替えていく。もはや化粧と言ってもいいほどの量だった。

 

 ナヒーダの顔は額から顎まで真っ白に染まり、若草色の瞳の周囲だけがかろうじて残っている。ナヒーダは目を閉じ、口を微かに開いたまま、注がれる精を唇で受け止めようとしていた。淡い桜色の舌が白濁とした液を丁寧に啜り取っていく。

 

「んっ……空の……温かい……」

 

 ナヒーダの声はとろんとしていた。口の端から白濁とした液が溢れ、顎を伝って首筋へと垂れていく。

 

 ノエルの顔もまた、頬から鼻先、唇に至るまで白く濡れていた。銀色の髪の前髪にまで精液が飛び、光を弾いて艶めかしく煌めいている。ノエルは目を細め、旅人の剛直から溢れる最後の液を唇で追いかけた。

 

「ご主人様の……赤ちゃんの素……勿体ないです……」

 

 ノエルの声は震えていて、けれど深い敬愛に満ちていた。白濁に塗れた唇が微かに笑みを形作る。

 

 二人の少女の顔は、もはや見分けがつかないほど白く染まっていた。湯気の向こうで、二つの白濁にまみれた顔が互いに向け合う。

 

 ナヒーダが先に動いた。

 

 小さな舌がノエルの頬に這った。白濁とした液をゆっくりと、丁寧に舐め取っていく。若草色の瞳がとろんと潤んだまま、ノエルの顔にへばりついた精を一口一口啜り取るように味わう。

 

「ん……ちゅ……ノエル……貴女にもいっぱいついてる……」

 

 ナヒーダの声は甘く濡れていた。舌先がノエルの頬から鼻梁へと移動し、白濁の線を一本ずつ消していく。

 

 ノエルもまた、ナヒーダの顔に舌を這わせ始めた。銀色の髪が白濁に濡れて顔に張り付き、その隙間から潤んだ翠色の瞳が覗いている。ノエルの淡い桜色の舌がナヒーダの額にへばりついた精を丁寧に舐め取り、唇で啜り取る。

 

「ナヒーダ様のお顔も……すごく……いっぱい……」

 

 ノエルの声は熱っぽく、けれどどこか慈しむような響きがあった。舌先がナヒーダの眉間からこめかみへと移動し、白濁を一行ずつ消し去っていく。

 

 二人の舌が互いの顔の上で交錯する。頬を舐め合い、額を舐め合い、唇の端に溜まった精を吸い合う。時折、二人の舌が触れ合い、ねっとりとした水音が大浴場の静寂に響いた。

 

 ナヒーダの小さな手がノエルの頬に添えられ、親指で目の下に残る白濁を拭い取る。そしてその指を自身の口に含み、啜り取った。

 

「空の味……ノエルのお顔からだと……もっと温かく感じるわ」

 

 ナヒーダは無邪気な声でそう告げた。けれどその瞳の奥には、五百年の孤独を知る神だけが持ち得る深い満足が宿っていた。

 

 ノエルはナヒーダの唇に残る白濁に舌を這わせながら、小さく頷いた。

 

「はい……ナヒーダ様のお顔からも……ご主人様の温もりが……ちゃんと感じられます……」

 

 二人の少女は互いの顔を舐め合いながら、旅人の精を一滴も残さず啜り取っていく。その光景は淫靡でありながら、どこか神聖ですらあった。二人の間に流れる空気は、単なる欲望ではない。同じ人を愛する者同士の、確かな連帯と慈愛がそこにあった。

 

 旅人は洗い場に腰を下ろしたまま、二人の少女が互いの顔を舐め合う様子を見つめていた。その表情に性欲の色はなく、ただ静かな愛おしさが浮かんでいる。

 

「二人とも……すごく綺麗だよ」

 

 旅人の声は低く、熱っぽく、そして何よりも優しかった。

 

 その言葉にナヒーダとノエルは互いの顔を見合わせ、白濁に塗れたまま微かに微笑み合った。

 

 ──僕は湯船の中で、膝を抱えていた。

 

 目の前で行われている愛し合いの全てを、僕は網膜に焼き付けていた。胸の奥の空洞が冷たい風を吹き込まれて広がっていく感覚。嫉妬や羨望といった言葉では追いつかない複雑な感情が渦巻いている。

 

 ナヒーダの言葉が胸の奥で反響していた。

 

──ここにあるものを言葉にするだけ。

 

 けれどまだ言葉にならなかった。五百年間演じてきた仮面はあまりにも分厚く、僕の素顔を頑なに隠し続けていたから。

 

 旅人が二人の頭を交互に撫でながら、そっと二人の額に口づけを落とした。ナヒーダは目を細め、ノエルは翠色の瞳を潤ませる。三人の間に流れる空気は温かで、どうしようもなく幸せそうだった。

 

 ──僕も、あんな風になりたい。

 

 その想いは胸の奥で少しずつ形を変えていた。まだ言葉にはなっていない。けれど確かに形を持ち始めている。

 

 湯船の中で僕はまだ一人だった。温かい湯に包まれているはずなのに、身体は微かに震えていた。

 

──まだ怖い。

 

 その恐怖は消えない。けれどナヒーダの言葉がくれた微かな灯りだけは、消えなかった。

 

 旅人はシャワーの蛇口を捻った。温かい湯が蛇口から溢れ、細やかな水音が大浴場の静寂に溶けていく。

 

 「二人とも、顔上げて」

 

 旅人が静かに告げると、ナヒーダとノエルは素直に顔を向けた。白濁に塗れた二つの顔が湯気の向こうに並ぶ。ナヒーダの若草色の瞳がとろんと潤んだまま旅人を見つめ、ノエルの翠色の瞳が伏せられる。

 

 旅人は掌に湯を掬い、ナヒーダの額にかけた。白濁とした液が湯に溶けて透明な流れに変わり、若草色の髪を伝って肩へと落ちていく。指先で眉間の窪みをなぞるように残った精を洗い流すと、ナヒーダの白い肌が本来の滑らかな質感を取り戻していった。

 

 「空の指……温かい」

 

 ナヒーダが小さく呟き、目を閉じて旅人の手に頬を預けた。その表情には五百年の孤独を知る神だけが浮かべられる、微かで深い安らぎが宿っている。

 

 旅人は次にノエルの顔に湯をかけた。銀色の前髪にへばりついた精が洗い流され、白磁のように滑らかな肌が露わになっていく。指先でノエルの頬をなぞり、鼻梁を辿り、唇の端に残った白濁を親指で拭い取る。

 

 「ご主人様……ありがとうございます」

 

 ノエルの声は震えていた。翠色の瞳が潤み、豊かな胸が激しく起伏している。ご主人様の手で洗われているという事実が、見習いメイド騎士としての奉仕の精神とは異なる場所で彼女の心を震わせていた。

 

 旅人は二人の顔が綺麗になったことを確認すると、今度は二人の身体に湯をかけた。ナヒーダの小さな肩から華奢な背中へ。ノエルの豊かな胸から腰の曲線へ。湯が白濁の跡を洗い流し、二人の肌が湯気の中で艶めかしく発光していく。

 

 ナヒーダが旅人の手を取った。小さな指が旅人の指に絡み、きゅっと握る。もう片方の手でノエルの手を取り、三人は連なったまま浴槽の方へと歩き始めた。

 

 ──僕は湯船の中で膝を抱えたまま、その光景を見つめていた。

 

 三人が近づいてくる。ナヒーダの若草色の瞳が真っ直ぐに僕を捉えていた。その瞳の奥には、先ほど僕に向けた静かな優しさとは異なる光が宿っていた。確信のような、あるいは悪戯のような。

 

 ナヒーダは僕のすぐ傍まで来ると、何も言わずにノエルの手を引いて浴槽の縁に置かれたマットの上へと導いた。防水性のマットが湯に浮かぶように敷かれ、その表面が湯気を浴びて艶めかしく光っている。

 

 「ノエル、横になって」

 

 ナヒーダの声は淡々としていたが、そこには旅人の恋人としての確かな意思があった。ノエルは一瞬だけ戸惑いの色を浮かべたが、すぐに頷きマットの上に仰向けに横たわった。銀色の髪が湯に濡れたマットの上に波のように広がり、豊かな胸が重力に従って緩やかに横たわる。湯の中に浮かぶような体勢で、ノエルの身体が湯気の中で白く発光していた。

 

 ナヒーダはノエルの上に覆いかぶさるようにして身体を重ねた。小さな身体がノエルの豊かな曲線の上に沈み込み、若草色の髪が銀色の髪の上に重なる。二人の肌が密着し、体温が混ざり合って一つの熱帯のような空気が生まれる。

 

 ナヒーダは片手で自身の秘所を開いた。小さな指が無毛の割れ目を押し広げ、まだ熱を帯びて淡く脈打つそこを旅人に向ける。もう片方の手はノエルの太ももを開かせ、同じように秘所を露わにしていた。二つの産毛すらもない卑猥で美しい秘所が縦に並んで旅人を待っている。

 

 「空」

 

 ナヒーダが潤んだ若草色の瞳で旅人を見つめた。その声は静かだったが、確固たる熱を帯びていた。

 

 「二人同時に愛して」

 

 その懇願は、五百年の孤独を知る神が初めて口にする、ありったけの渇望だった。

 

 ──僕は息を呑んだ。

 

 ナヒーダの瞳。ノエルの瞳。二人の少女が旅人に向ける眼差しは、演技でもなく礼儀でもなく、ただ真っ直ぐに渇望を伝えていた。

 

 旅人は二人の背後に立った。ナヒーダの小さな手が旅人の剛直に触れ、その熱と脈動を確かめるように指を這わせる。もう片方の手でノエルの太ももを撫で上げ、その滑らかな肌の質感を掌に収めた。

 

 「二人とも、準備はいい?」

 

 旅人が静かに問うと、ナヒーダは頷き、ノエルは潤んだ瞳で旅人を見つめ返した。

 

 「はい……ご主人様……わたくしも……ナヒーダ様も……お好きなように」

 

 ノエルの声は震えていたが、その響きには献身と愛情が満ちていた。ナヒーダはノエルの耳元に唇を寄せ、小さく囁いた。

 

 「一緒に気持ち良くなりましょう、ノエル」

 

 その言葉にノエルの頬が紅潮し、翠色の瞳がさらに潤んだ。ナヒーダの小さな掌がノエルの豊かな胸を優しく包み込み、親指で乳首を転がす。ノエルの背中が微かにしなり、甘い吐息が漏れた。

 

 旅人はナヒーダの開かれた秘所に剛直を当てた。まだ先ほどの情事の余韻で熱く脈打ち濡れそぼっているそこは、旅人を優しく受け入れようとしていた。ゆっくりと、しかし確実に押し込んでいく。

 

 「あっ……空……来てる……」

 

 ナヒーダの背中がしなり、若草色の髪がノエルの胸の上で波を打つ。旅人の剛直がナヒーダの狭い膣内に沈んでいく。きゅうきゅうと締め付ける音が、濡れた粘稠な響きと共に大浴場に満ちる。

 

 旅人はナヒーダの腰を掴んだまま、腰を深く沈めた。ナヒーダの膣奥に到達し、亀頭の先端が子宮口に触れる。ナヒーダの全身がびくんと跳ね、小さな手がノエルの胸を強く掴んだ。

 

 「ひゃっ……ナヒーダ様……?」

 

 ノエルが驚きの声を上げたが、ナヒーダは構わず旅人のものを奥へと迎え入れようとした。子宮口が旅人の亀頭を求めて微かに収縮を繰り返す。

 

 「空……もっと奥まで……」

 

 ナヒーダの懇願に旅人は腰をさらに前へと進めた。亀頭が子宮口を押し、狭い輪が僅かに広がる。ナヒーダの呼吸が激しくなり、小さな身体が大きく震えた。

 

 旅人は一度腰を引き、ナヒーダの膣内で剛直を動かした。狭く熱い膣内をゆっくりと抽送し、亀頭の返しで膣壁を擦り上げる。そのたびにナヒーダの嬌声がノエルの胸に押し付けられた唇の隙間から漏れ、ノエルの身体にも振動として伝わっていく。

 

 「あっ……あぁっ……空……動いてる……奥が……擦られてる……」

 

 ナヒーダの声は甘く濡れていた。ノエルの豊かな胸に顔を埋めたまま、旅人の律動に身を任せている。その姿は五百年の知恵の神とは思えないほど無防備で、一人の少女としての渇望が剥き出しになっていた。

 

 旅人はナヒーダの腰を支えながら、空いた片手でノエルの秘所に指を這わせた。すでに蜜で濡れそぼっているそこが、ねっとりと指に絡みつく。指先でクリトリスを優しく弾くと、ノエルの背中が弓なりに反った。

 

 「ひゃあっ……ご主人様……そこ……」

 

 ノエルの嬌声が大浴場に響く。ナヒーダの身体がノエルの上で揺れ、その振動がノエルの豊かな胸を揺らす。ナヒーダの小さな手がノエルの乳首を弄み続け、旅人の指がノエルの秘所を愛撫する。三方からの刺激にノエルの身体が翻弄されていく。

 

 「ご主人様……ナヒーダ様……わたくし……もう……」

 

 ノエルの声が切迫したものに変わっていく。旅人はナヒーダの膣内での抽送を速めながら、ノエルの膣内に指を二本挿入した。前壁を優しく撫で上げると、ノエルの全身が大きくしなり、銀色の髪がマットの上で波を打つ。

 

 ナヒーダはノエルの首筋に唇を押し付け、その熱を感じながら旅人の律動に身を委ねていた。子宮口が幾度もノックされ、そのたびに電流のような快感が背筋を駆け抜ける。小さな女神の身体が、旅人の愛情で内側から満たされていく。

 

 「空……ノエルも……一緒に……イかせてあげて……」

 

 ナヒーダが掠れた声で囁いた。その言葉に応えるように旅人はノエルの前壁を強く擦り上げ、同時にナヒーダの子宮口を深く突き上げた。

 

「「──っ!!」」

 

 二人の少女が同時に声を上げた。ナヒーダの膣内がきゅうきゅうと収縮し旅人の剛直を強く締め付ける。ノエルの膣内も指を痙攣するように締め付け、大量の愛液が指の間から溢れ出した。二人の絶頂が重なり合い、大浴場の湯気がその熱でさらに濃くなっていく。

 

 ──僕は湯船の中で、その光景を見つめていた。

 三人の絡み合う身体。互いの体温を分かち合い、一つの熱となって震える三人。その間に流れる空気は、単なる欲望ではない。信頼と、愛情と、互いを求め合う渇望が、一つの熱となって満ちている。

 

 二人の嬌声が止まない内に旅人は腰の動きを更に激しくナヒーダに打ち付けた。

 

 湯気を裂くような音が大浴場の静寂を暴力的に引き裂いていく。旅人の腰がナヒーダの小さな臀部に打ち付けられるたびに、マットの上で三人の身体が波打つように揺れた。ナヒーダの若草色の髪がノエルの銀色の髪の上で乱れ飛び、汗と愛液が混ざり合って湯気の中で微細な虹を作り出している。

 

 「あっあぁっ空ぁ激しいっ奥がっ壊れちゃうぅっ!」

 

 ナヒーダの嬌声はもはや悲鳴と呼べるほどに高く鋭かった。五百年の孤独を知る神がただ一人の男に溺れていくその姿はあまりにも無防備で壊れやすく見えた。けれどその華奢な腰は旅人の激しい律動にしっかりとついていき自らも奥へと迎え入れようと揺られている。子宮口が幾度もノックされそのたびに電流のような快感が全身を駆け抜けるのが湯船の中からでもわかった。

 

 旅人はナヒーダの腰を片手でしっかりと掴み逃がさないとばかりに固定しながらもう片方の手をノエルの秘所のさらに奥へと伸ばした。先ほどまで二本だった指を三本四本と増やし膣内を掻き回す。

 

 「ひゃあぁっ!? ご主人様っそんなっいっぱい入ってっお腹の中っ掻き回さないでぇっ!」

 

 ノエルの背中が弓なりに反り銀色の髪がマットの上で波のように広がる。騎士の訓練で培われた体力をもってしても旅人の指の激しい動きには抗えないようだった。豊かな胸が激しく揺れその頂点が旅人の視線を追うように突き出される。ノエルはシーツを掴む指先を白くさせながら嬌声を撒き散らした。

 

 旅人の指がノエルの前壁を執拗に擦り上げ同時に剛直でナヒーダの子宮口を幾度も突き上げる。三方からの刺激に二人の少女が翻弄されていくその光景は淫靡でありながらどこか神聖ですらあった。

 

 「ナヒーダ。ノエル。二人ともエロくて、良いよ…もっと欲しがって」

 

 旅人の声は低く熱っぽかった。普段の紳士的で誠実な声色とは異なる雄の本能が滲む声。その声を聞いた瞬間僕の背筋に電流が走った。

 

 「空っ! 空っ! もっとっ! もっと奥までっ! 私の子宮にっ! 空の愛をっ! いっぱい注いでぇぇっ!」

 

 ナヒーダの懇願が大浴場に響き渡る。五百年の孤独を知る神がただ一人の男に全てを委ねようとするその声は切実でどうしようもなく淫らだった。

 

 「ご主人様っ! わたくしもっ! わたくしもっ! イッちゃいますっ! ご主人様の手でっ! イかせてくださいぃぃっ!」

 

 ノエルの声もまた切迫したものに変わっていく。見習いメイド騎士としての誇りも少女としての羞恥心も旅人の愛撫の前では意味を成さない。ただ純粋な快楽と渇望だけがそこにあった。

 

 旅人は二人の懇願に応えるようにさらに激しく腰と指を動かした。ナヒーダの子宮口を深く突き上げノエルの膣内を掻き回す。そのたびに二人の嬌声が重なり合い二重奏のように大浴場に満ちていく。

 

 「「────っ!!」」

 

 二人の少女が同時に声を上げた。ナヒーダの全身が弓なりに反り口から声にならない嬌声が迸る。膣内がきゅうきゅうと収縮し旅人の剛直を強く締め付ける。ノエルもまた全身を痙攣させシーツを握りしめる指先を白くさせながら絶頂の波に飲み込まれていった。大量の愛液が旅人の指の間から溢れ出しマットに染みを作っていく。

 

 その瞬間旅人の限界も訪れた。

 

 「ナヒーダノエルっ出すよっ」

 

 旅人の深く繋がったままの剛直がナヒーダの最奥で激しく脈打ち、どぷっ、どぷっとした熱い飛沫が子宮内膜を直接刺激する。ナヒーダは背中を極限まで反らせ、若草色の瞳から涙を溢れさせながら声にならない歓喜の悲鳴を上げた。

 

 「あぁぁっっ!! 熱いぃぃっ! お腹の中にっ! 空のがっ! いっぱい入ってくるぅぅっっ!!」

 

 注がれる精の熱さが子宮を満たしていく感覚にナヒーダは涙を流しながら震えた。彼女の最も重要で神聖な最も深い場所が旅人の熱で満たされていく。旅人の剛直はナヒーダの子宮内で激しく脈打ち何度も何度も精を吐き出し続けた。やがて脈動が弱まり最後の一滴まで注ぎ込まれると旅人は深く息を吐いた。

 

 旅人はゆっくりと腰を引きナヒーダの膣内から剛直を引き抜き始めた。子宮口を擦りながら戻っていく亀頭の感触にナヒーダの全身がびくりと跳ねる。

 

 「あっ……空…出ていく……名残惜しいわ……」

 

 ナヒーダは潤んだ瞳で旅人を見上げ小さな手を伸ばして名残惜しそうに旅人の腰に触れた。ずぶりと重たい音が響き旅人の剛直がナヒーダの秘所から完全に抜け落ちた。白濁とした精液がナヒーダの無毛の秘所からゆっくりと溢れ出しマットに染みを作っていく。ナヒーダはまだ余韻で震える身体をマットに預け荒い息を繰り返していた。

 

 同時に旅人はノエルの膣内に入れていた指を引き抜いた。ぬぷりとした音と共に指が離れるとノエルの秘所から透明な愛液が糸を引いて溢れ出した。ノエルはシーツを握りしめたまま翠色の瞳を潤ませて旅人を見上げている。絶頂の余韻で身体がまだ微かに痙攣していた。

 

 「ご主人様……わたくしも……お願いいたします……」

 

 ノエルの懇願に旅人は微かに頷きナヒーダから抜いたばかりの剛直をノエルの秘所へとあてがった。まだナヒーダの愛液と精液で濡れそぼっているそれは熱い熱を帯びて脈打っていた。ノエルは自ら旅人を迎え入れるように腰を浮かせた。

 

 「ご主人様の中に……どうか……」

 

 旅人はノエルの腰を掴み一気に腰を沈めた。ずぶりと重たい音が響き旅人の剛直がノエルの膣内を押し広げて奥へと侵入していく。先ほどまで指で愛撫されていた膣内は熱く熟れきっていて旅人を易々と受け入れた。

 

 「あぁぁ…ご主人様のっ!…おおきいのがっ! 入って、きましたっ!」

 

 ノエルの背中が弓なりに反り銀色の髪がマットの上で波を打つ。ナヒーダの頭を乗せたままの豊かな胸が激しく揺れその頂点が淡い桜色に染まって硬く尖っていた。旅人はノエルの最奥まで一気に貫きその感触を確かめるように一旦動きを止めた。

 

 そして旅人は空いた片手をナヒーダの秘所へと伸ばした。三本の指を合わせてナヒーダの無毛の割れ目へと押し込む。まだ精液が溢れている狭い膣内を掻き回すように指を激しく動かした。

 

 「ひゃあぁっ!? 空っ! 指がっ! そんなに、激しくっ! 掻き回さないでぇっ!」

 

 ナヒーダの小さな身体がびくんびくんと跳ね若草色の髪が乱れる。旅人の指が膣壁を擦り上げ前壁を刺激するたびに電流のような快感が背筋を駆け抜けていく。子宮に注がれたばかりの精液が指の動きによって掻き回され、彼女の秘所から卑猥な水音が響き渡った。

 

 旅人はナヒーダの膣内を指で激しく掻き回しながらノエルの膣内で腰の律動を始めた。ゆっくりと引きそして深く突き入れる。そのたびにノエルの嬌声が大浴場に満ちていく。

 

 「あぁっ! ご主人様っ! 動いてますっ! すごく深いっ!」

 

 ノエルはシーツを掴む指先に力を込め旅人の律動に身を委ねた。見習いメイド騎士としての誇りも少女としての羞恥心も旅人の愛撫の前では意味を成さない。ただ純粋な快楽と渇望だけがそこにあった。

 

 「ナヒーダも気持ちいい?」

 

 旅人が低い声で問うとナヒーダは涙で潤んだ瞳で頷いた。

 

 「んっ!あぁっ……!え、ええっ…んっ…気持ちいいわ……奥が…!掻き回されてっ…視界がしろくぅっ!」

 

 ナヒーダは自ら腰を揺らし旅人の指をさらに奥へと迎え入れようとした。五百年の孤独を知る神がただ一人の男に溺れていくその姿はあまりにも無防備で壊れやすく見えた。けれどその華奢な腰は旅人の激しい指の動きにしっかりとついていき自らも奥へと迎え入れようと揺られている。

 

 旅人の腰の動きが次第に激しさを増していった。ノエルの膣内を深く突き上げるたびに、マットの上で三人の身体が波打つように揺れる。銀色の髪と若草色の髪が湯気の中で乱れ合い、汗と愛液が混ざり合って艶めかしい光を作り出していた。

 

 ノエルの子宮口を亀頭が捉える。狭く閉ざされた聖なる入口を、旅人は容赦なくノックし続けた。一度二度、三度。そのたびにノエルの全身がびくんと跳ね、翠色の瞳から涙が溢れ出る。

 

「あぁっ! ご主人様っ! そこっ! わたくしの一番奥っ! 何度もっ! 何度もっ!」

 

 ノエルはシーツを掴む指先を白くさせながら身悶えた。旅人の激しい律動には二人がかりであっても抗えない。否抗うつもりなど最初からなかった。されるがままに身体を明け渡し、全身でその愛情を受け止めることこそが今のノエルにとって至上の喜びだった。

 

 同時に旅人の左手の指がナヒーダの膣内を激しく掻き回していた。三本の指を折り曲げ、前壁を執拗に擦り上げる。子宮に注がれたばかりの精液が指の動きによって掻き出され、ナヒーダの無毛の秘所から卑猥な水音が響き渡った。

 

「ひぁっ! あぁっ! 空っ…指がっ! そんなに激しくっ! 中っ…かき混ぜられてぇっ!」

 

 ナヒーダの小さな身体がびくんびくんと跳ねる。五百年の知恵の神が、ただ一人の男の指先で理性を溶かされていく。若草色の瞳はとろんと潤み、焦点が定まらない。小さな唇が開き甘い悲鳴が絶え間なく漏れ出ていた。

 

 旅人は二人の反応を感じながらさらに腰と指の動きを速めた。ノエルの子宮口を深く突き上げ、ナヒーダの膣壁を激しく擦る。そのたびに二人の少女の嬌声が重なり合い、大浴場の湯気を震わせた。

 

「ご主人様っ! わたくしっ! もうっ! イッちゃいますっ! 何度もっ! 何度もイッてますぅっ!」

「空っ! 私もっ! またっ! また来るっ! 指だけでっ! イかされちゃうぅっ!」

 

 二人の絶頂が重なり合う。ノエルの膣内がきゅうきゅうと収縮し旅人の剛直を強く締め付ける。ナヒーダの膣内も指を搾り上げるように痙攣し、大量の愛液が旅人の手を濡らした。それでも旅人は止まらない。二人が何度目かの絶頂の波に飲み込まれている間も、腰と指の動きを緩めることはなかった。

 

 ノエルはもう声にならない悲鳴を上げ続けている。絶頂の余韻で敏感になりきった膣内を、旅人の剛直が容赦なく押し広げていく。ずちゅ、ぐちゅと濡れた音が響きノエルの全身が快楽に翻弄されていた。

 

「ノエル、もう一度一緒にイこう」

 

 旅人の低い囁きがノエルの耳元に届く。ノエルは涙で潤んだ翠色の瞳で旅人を見上げ、小さく頷いた。

 

「はいっ! ご主人様とっ! 一緒にっ!」

 

 旅人の腰が最後のひと突きのように深く沈み、剛直の先端が子宮口を押し開いた。その瞬間、ナヒーダの膣内でも指が最も深い場所を捉え、子宮口を優しく押した。

 

「「──っ!!」」

 

 二人の少女が同時に声を上げた。ノエルの全身が弓なりに反り、膣内が痙攣するように旅人の剛直を搾り上げる。ナヒーダも小さな身体を大きく震わせ、膣内が指をきゅうきゅうと締め付けた。

 

 旅人の限界が訪れる。深く繋がったまま、熱い精をノエルの子宮の奥へと注ぎ込んだ。どぷっ、どぷっとした放出の感覚が子宮内膜を直接刺激し、ノエルは絶頂の頂へと舞い上がる。

 

「あぁぁっっ!! 熱いぃぃっ! お腹の中にっ…ご主人様のがっ! いっぱいっ…いっぱい入ってくるぅぅっ!!」

 

 注がれる精の熱さと量が子宮を満たしていく。ノエルは涙を流しながら歓喜した。神の眼を持つ彼女の意志がその受精を肯定し、旅人の遺伝子を自らの卵胞へと招き入れる。

 

 同時に旅人はナヒーダの膣内に指を深く挿入したまま、子宮口を優しく押し続けた。注がれたばかりの精液と新たな愛液が混ざり合い、ナヒーダの秘所からとろりと溢れ出す。

 

「あっ……あぁっ……空の……精液が……でちゃう……」

 

 ナヒーダは小さな身体を震わせながら、旅人の指を受け入れられたまま呟いた。若草色の瞳から涙が溢れ、頬を伝って落ちていく。けれどその表情には深い満足と幸福感が宿っていた。

 

 ようやく射精が収まると旅人はゆっくりとノエルの膣内から剛直を引き抜いた。ずぶりと重たい音が響き、白濁とした精液がノエルの無毛の秘所から溢れ出しマットに新しい染みを作っていく。

 

「あっ……ご主人様のが……出ていきます……」

 

 ノエルは名残惜しそうに呟きまだ痙攣している身体をマットに預けた。銀色の髪が汗で頬に張り付き、豊かな胸が呼吸のたびに激しく起伏している。

 

 旅人は次にナヒーダの膣内から指を引き抜いた。ぬぷりとした音と共に指が離れると、透明な愛液と白濁とした精液が混ざり合ってナヒーダの秘所から溢れ出した。

 

「んっ……空…」

 

 ナヒーダは潤んだ瞳で旅人を見上げた。小さな手が旅人の手首に触れ、その指先に口づけを落とす。

 

「いっぱい……くれたわね」

 

 その声は静かでけれど確かな喜びを含んでいた。旅人はナヒーダの額に優しく口づけを落とし、ノエルの頭も撫でた。

 

「二人とも、すごく良かったよ」

 

 その言葉にノエルは翠色の瞳を潤ませ、ナヒーダは微かに微笑んだ。

 

 湯船の中ではフリーナが膝を抱えたまま三人の絡み合いを網膜に焼き付けていた。胸の奥の空洞が冷たい風を吹き込まれて広がっていく感覚。けれどその空洞に、ナヒーダの言葉がくれた微かな灯りがまだ消えずに灯っている。

 

「ぼ…僕、も……」

 

 フリーナの唇が小さく動いた。けれど声にはならなかった。五百年間演じてきた仮面はあまりにも分厚く、素顔を晒すにはまだ少し勇気が足りなかった。

 

 大浴場の湯気がゆっくりと晴れていく。洞天の夜空には星々が静かに瞬き、その光が窓から差し込んで三人の汗ばんだ肌を淡く照らしていた。

 

「空」

 

 ナヒーダが小さな声で旅人を呼んだ。

 

「フリーナも……そろそろ湯船から上がった方がいいわ。長く浸かりすぎると体調を崩してしまうから」

 

 その言葉はフリーナへの気遣いに満ちていた。けれど同時に、彼女にもう一度浴槽から出てくるよう促す静かな後押しでもあった。

 

 旅人はナヒーダの意図を理解し湯船の方へと視線を向けた。フリーナと目が合う。オッド・アイの瞳が揺れ、白い頬が湯気の中でほんのりと染まっている。

 

「フリーナ、一緒に上がろうか」

 

 旅人の声は優しかった。その手が湯船の方へと差し伸べられる。フリーナは一瞬ためらい、けれどゆっくりとその手を取った。

 

 






賢者タイムで読み切った人へ。どんな部分が癖に刺さりました?

もし、こんなシチュエーションで子作りしてる女の子の姿が見たいというのがあれば全部読んだ詳しい感想と一緒により詳しく書いてあったら、

もしかしたら参考にするかもしれない。

でも感想とかよりお気に入りにしてくれる方が嬉しいので、感想が面倒な人は、お気に入りにしてくれると嬉しいです。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。