洞天の屋敷に、ある日のこと──午後の光がガラス窓越しに斜めに差し込み、廊下の板敷に格子状の影を落としていた。その光の縞模様の上を、足音も軽やかに駆けていく影が二つ。
「ねえねえ、フリーナ、ちょおっと待ってよ~」
「待たないよ。僕のスケジュールは厳格なんだから、無駄話に付き合っている暇は──」
「無駄じゃないって! 大事な話なんだから!」
胡桃が袖を引っ張るのを、フリーナは鬱陶しそうに振り払おうとして、けれど胡桃の瞳の奥に宿った悪戯っぽい光に気づいて足を止めた。往生堂の堂主にして璃月の有名な詩人──その鮮やかな緋色の瞳が、何かを企んでいる時特有の、甜い輝きを放っていたからだ。
「……なに」
「だから言ったじゃん。同盟を組みたいの、私たちで」
「同盟?」
「貧乳同盟!」
フリーナの足が、文字通り止まった。
廊下の向こうから湯気を纏って現れた煙緋が、湯上がりの頬を桜色に染めたまま、事の顛末を呆れた顔で見守っていた。濡れたサーモン色の髪から雫が落ち、白い菱形の鱗が光を弾いている。
「……おい、お前たち。また変なこと企んでるのか」
「変なことじゃないよ! 煙緋さん、貴女も思ったことあるでしょ? 空とする時、モナさんとかノエルさんとか、他の人たちがいつも先に声かけちゃうでしょ? だから…その…もっとこう、私たちだけで……みたいな?」
胡桃の声が、最後の方は少し恥ずましげに小さくなった。帽子の鍔を指で弄る仕草が、照れ隠しであることを煙緋はもう長い付き合いで知っていた。
「……僕は、別に」
フリーナの声が上擦った。慎重に言葉を選ぶように、けれどそのオッドアイの瞳が泳いでいるのを、煙緋の観察眼は見逃さなかった。
「あっ、嘘だね。フリーナ、この前も空と甘雨さんがキッチンでいちゃついてるの見て、唇噛んでたじゃん」
「噛んでない! 噛んでないよ! 僕はただ、あの時は──たまたま唇に力が入っただけで……」
「入る? 嫉妬で?」
「────」
沈黙が、肯定よりも雄弁に物語っていた。
フリーナは五百年もの間、水神としての演技を演じ続けた。その演技力は、今でも折に触れて発揮される──が、如何せん、恋人たちの前ではその仮面が剥がれ落ちるのが早すぎる。小心者の部分を隠しきれないのだ。ドラマチックな大スターを装いながら、その内面は繊細なガラス細工のように脆い。
「……で、誰を巻き込むつもり?」
「えっ、乗ってくれるの!?」
「乗るなんて言ってないよ! ……ただ、僕のスケジュールに空きがあるか確認するだけだ」
「はいはい、そういう事にしとこうね」
胡桃がにやりと笑った。この璃月の葬儀屋は、相手の本心を脆い部分から引き出すのが妙に巧い。死に際を救われた縁で旅人に恋心を抱き、以来その想いを叶えた彼女は、今ではこの洞天の空気を最も自由に呼吸している人物の一人だった。
「で、煙緋は?」
「はあ? なんで私が……」
「だって煙緋もでしょ? 私たち四人、似たようなもんだし」
「似たようなって……勘弁してくれよ。私は法律家として中立の立場を──」
「甘雨先輩は妊娠中だし、今日は璃月でお仕事でしょ? 空も今日は料理の材料集めに出かけてる。今なら四人で作戦会議できるよ」
「作戦会議って……お前、誰と戦うつもりだ」
「空の性欲に決まってるでしょ!」
胡桃が杖を廊下の板に叩きつけるように言った。その緋色の瞳が、真剣さと悪戯心を半々に宿して輝いている。
「……で、ナヒーダは?」
「もう呼んでるよ~」
胡桃が廊下の奥に向かって手を振ると、小さな影がゆっくりと歩み寄ってきた。白い肌、尖った耳、大きな緑色の目──デンドロ・グリーンの毛先を持つ白い髪が、窓から差し込む午後の日差しに透けて、まるで若葉の氷のように儚げに光る。
「…あら? 遅れてしまったかしら」
ナヒーダの声は、いつものように平坦で、それでいてどこか温かみを含んでいた。五百年を生きた知恵の神──その大きな瞳は、三人の意図を既に読み取っているようだった。
「貧乳同盟を立ち上げたいの。私たち四人で」
「……ふふっ。名前が率直すぎて、ある意味清々しいわね」
「ナヒーダまでそういう扱い……」
煙緋が肩を落とす。獬豸の血を引く法律家は、自分の体が決して豊かとは言えないことを、密かに気にしていた。露出の多い衣装を着てはいるものの、それは動きやすさが理由であって、決して見せたいわけではない──と本人は主張するが、旅人の前ではその主張が稀に崩れる瞬間があった。
「……で、具体的にどうするつもりなの?」
少し膨らみ始めたお腹を気遣うようにナヒーダが小さな椅子に腰を下ろしながら、淡い緑色の瞳で三人を見上げた。その視線は、まるで母親が子供の悪戯を静かに見守るような、慈愛と諦念が混じり合った色をしていた。
「簡単だよ。空が返ってきたらまず大浴場へ連れていく」
「なぜ大浴場?」
「言わせないでよ、煙緋さんってば。決まってるでしょ♪」
胡桃が帽子の鍔を下げ、にやりと笑った。その笑顔が、何を意味しているか──洞天に住むようになって数ヶ月、煙緋はもう十分に学習していた。
つい頬が赤くなってしまう煙緋を見て、ナヒーダが微笑んだ。
しばらく沈黙が廊下の空気を満たした。
窓枠を斜めに横切る午後の日差しが床板に落とす格子状の影が、微かに揺らぐように伸びていく。
その静寂を破ったのは、予想外にもナヒーダの冷静な声だった。
「大浴場での洗体奉仕……ノエルなら既に何度も行っているわよね。彼女の奉仕は完璧だし、空もそれを喜んでいる。今更私たちが同じことをしても、ただの模倣になってしまうわ」
的確な指摘だった。メイド騎士としての誇りと奉仕の精神に溢れるノエルが提供する入浴時のケアはまさに至れり尽くせりであり旅人が疲れを癒やす として既にルーティーンとして定着している。そこに割って入ってもインパクトに欠ける。
「う~ん……」
胡桃が帽子の鍔を抑えながら腕を組み唸った。往生堂の堂主として即座に機転を利かせる彼女が言葉に詰まるのは珍しい。緋色の瞳が天井を彷徨い思考を巡らせている。その視線の軌跡は迷走する蝶のようだった。
長い沈黙が流れた。廊下の奥から微かに聞こえる洞天の水音が時計の針の代わりのように時を刻む。煙緋が諦めたように息を吐き出そうとしたその瞬間。
「…別に…普通に寝室でやればいいんじゃないか?」
ぽつりとフリーナが零した。オッドアイの瞳が床の木目を凝視している。彼女の声はいつもの演劇的な響きを失いただ小さく震えていた。
「寝室? 五人で?」
胡桃が顔を上げる。フリーナは視線を合わせず俯いたまま続けた。
「だって……そうすれば場所の問題は解決するし……人数も問題ないし……」
消え入りそうな声。五百年もの間水神として振る舞ってきた彼女が今はただの恋に臆する少女のようだった。その頬が夕焼けに染まる桜のように鮮やかに紅潮していくのが分かる。
「でもただ寝室でっていうのは……何かこう決定打に欠けるというか」
煙緋が慎重に言葉を選ぶ。
「彼は毎晩あそこで誰かと寝ているわけだし……いつもの風景と変わらなければ、これも印象に残らない」
法律家としての冷静な指摘。しかしフリーナはそれを聞いてさらに顔を赤らめ唇を噛み締めた。まるで喉元まで出かかった言葉を必死に飲み込もうとしているかのように。彼女の白い指が袖のレースをきつく握りしめている。
「……衣装」
「えっ?」
「衣装を……変えるんだよ。……少し……エッチな……」
最後の方はもはや息を吐くような音だった。フリーナの耳まで真っ赤になっている。その様子はまるで煮え湯にかけられたトマトのようで普段の高飛車な態度からは想像もつない可憐さがあった。
「どういう衣装なのかを具体的に」
煙緋が呆れ半分興味半分で問いかける。
フリーナは一度深呼吸をして覚悟を決めたように顔を上げた。けれどその瞳はまだ潤んでいて視線は定まらない。
「……コスプレ……とか?」
その言葉が廊下に響いた瞬間煙緋の角がぴくりと反応し胡桃の目が猫のように見開かれナヒーダが小さく息を飲んだ。
午後の日差しが一瞬強さを増したかのように錯覚した。
◆◆◆
夜の帳が下りた洞天の屋敷は、墨を滴らせるような静寂に包まれていた。窓越しに差し込む月光が銀の糸を紡ぎ出し、寝室の板敷きに幾何学模様の影を落としている。その冷ややかな光の舞踏会の中にただ一人、旅人はベッドの縁に腰掛けていた。
(胡桃の方から「今晩は一人で寝室に居て欲しい」なんて、可愛いかったなぁ)
特段断る理由もなく、むしろ彼女が何を仕掛けてくるのかという期待が胸の奥で高鳴っていたので、旅人は快く頷いていた。これまで何度も恋人たちと甘い夜を重ねてきた経験が、彼の背中を無言で押している。静寂の中で耳を澄ませば、自分自身の心臓の鼓動がやけに大きく響いている気がした。それは期待と呼ぶには少し熱すぎる、粘度のある衝動だった。
──コンコン。
不意に響いたノックの音が、静寂の水面に石を投げ込んだように波紋を広げた。続いて聞こえたのは胡桃の声だ。
「空~? 入ってもいい?」
その声色には隠しきれない弾みがあった。旅人が入っていいと告げると、扉はゆっくりと──あまりにも慎重に押し開かれた。
まず最初に目に飛び込んできたのは緋色だった。だがそれがいつもの彼女の衣装ではないことに気づくまでに要した時間は、瞬き一つ分にも満たなかった。
「じゃーん! お待たせしましたー!」
胡桃が両手を広げてポーズを取る。その姿は一見すると包帯の塊のようだったが、「適当に」という言葉がこれほど扇情的な意味を持つのかと目を疑うほどに破廉恥な格好だった。
白い包帯は彼女の肌の白さを強調するかのように緩く巻かれ、大事な部分を隠すか隠さないかの瀬戸際で危なっかしく留められている。剥き出しの肩や太ももが、包帯の隙間から吸い付くように覗いていた。そのミイラのような──いや、エッチなミイラとしか言いようのない出で立ちに、彼女の悪戯っぽい笑みが花開く。
そしてその後ろから現れた影に、旅人の視線は釘付けになった。
「別に君の為にサプライズした訳じゃないぞ。胡桃がどうしてもって言うから!」
フリーナが胸を張って出てきたが、その顔は茹で上がったタコのように真っ赤だった。
彼女の身を包んでいるのは白い薄布一枚のみ。しかもその下には下着の線が一切存在しない。布の質感が彼女の肌のそれと同化しそうなほど薄く、起伏の乏しい胸元の膨らみすらも逆に強調している。頭には青いうさ耳が揺れていて、「バニーガール」という言葉が脳裏をよぎった瞬間、その無防備な色気が理性を焼き尽くさんばかりの勢いで迫ってきた。
「……あーあ、せっかく神秘性を高めて登場しようと話していたのに…」
溜息交じりに続いたのは煙緋だった。
彼女が着ているのは璃月の伝統衣装(チャイナドレス)だが、その着こなしは常軌を逸していた。一切の下着や肌着を着けていないことは明白で、身体に密着した鮮烈な赤のシルクが彼女の線を余すことなくなぞっている。脇腹の白い菱形の鱗が布越しに浮かび上がりそうでいて実は布一枚隔てただけという事実が唾液を分泌させる。合理的だとか動きやすさとか彼女らしい言い訳は通用しないほどの艶めかしさだった。
「……ふふっ。みんな気合が入ってるわね」
最後に歩み寄ってきたナヒーダはとても薄いネグリジェ一枚だった。これもほとんど裸と言っていい状態で小さな体の輪郭が透けて見える。幼い肢体を包むその布地は月光に溶け込みそうなほど儚くて神聖でそれでいてひどく淫らだった。五百年の時を生きる知恵の神が纏うにはあまりにも無防備で無垢な誘惑そのものだった。
四人の少女たちが寝室の中で立ち尽くす。その光景はまるで
旅人は大きく生唾を飲み込んだ。喉が鳴る音が寝室の静寂を乱したほどに。
これは夢ではない。目の前に広がるのは比喩でもなんでもない現実だ。四人それぞれの想いと悪戯心が織りなすこの極彩色の饗宴に旅人は言葉を失いただ見入ることしかできなかった。腹の底に重く熱い塊が沈み込み血液が沸き立つような感覚が全身を駆け巡る。理性の堤防が決壊する音が自分の中で確かに聞こえた気がした。
四人の愛らしい恋人たちの誘惑に満ちた姿が、寝室の薄暗がりの中で幻燈のように浮かび上がっていた。月光と燭火が織りなす曖昧な光の境界線上に、四人の輪郭が溶け出しては浮かび上がる。その全てが美しく、その全てが背徳的だった。
胡桃の包帯の白が、フリーナの薄布の白と重なり、そこに煙緋の赤とナヒーダの緑が混ざり合う。まるで季節外れの花が一斉に咲き乱れているかのような、非日常の香気が鼻腔を満たしていた。甘い、けれどどこか切ない匂い。それが彼女たちの体から立ち昇る温度の正体なのだと、肌で理解できるほどに近い。
旅人の視線は、四人の全身を舐めるように滑っていく。胡桃の鎖骨から肩へのライン、包帯の隙間から覗く太ももの白さ。フリーナの薄布の下に透ける起伏の淡い陰影、うなじから肩への繊細な曲線。煙緋のシルクに密着した腰のくびれ、脇腹の鱗の浮き出る様。ナヒーダのネグリジェから覗く小さな乳首、膝からふくらはぎへの細い線。
すべてが網膜に焼き付いていく。一枚一枚、傷舐めるように丁寧に。
「……あの、ね」
沈黙が重すぎた。フリーナの声が、その沈黙の表皮を薄く破った。
「……何か、感想とかないわけ?」
その声は震えていた。五百年もの間、水神として君臨した彼女の喉から搾り出された音としては、あまりにも小さく、あまりのか弱かった。オッドアイの瞳が、旅人の顔と床の板目とを落ち着かなく行き来している。耳まで朱に染まったその横顔は、フォンテーヌの大スターの仮面を完全に脱ぎ捨てていた。
「だって僕、こういうの初めてだし……似合うかどうかも分かんないし……」
言い訳が湧き水のように溢れる。それが彼女の癖なのだ。深く傷つく前に、自分で自分を責める。期待して、期待に応えられなかった時のあの鋭利な痛味を、先回りして避けようとする防衛本能。
「……変、かな」
最後の一言が、零れるように落ちた。旅人はその言葉の重みを噛み締めた。
変なわけがない。けれどそのあまりに真っ直ぐな感想を口にするには、今の彼の喉は乾きすぎていた。理性が崩れ落ちた後の口渇は、砂漠の太陽の下で一日歩いた後のような渇きだった。
「変じゃない」
掠れた声が出た。自分でも驚くほど、その声は低く、熱を帯びていた。
「──全部、綺麗だ」
その一言が、寝室の空気を一瞬で変えた。
フリーナの瞳が揺れた。胡桃が口元を抑えて吹き出した。煙緋の角が微かに震え、ナヒーダが静かに、けれど深く微笑んだ。
「全部って……そりゃあんまり具体性がない感想じゃないかな!」
フリーナが抗議の声を上げるけれど、その頬の朱色は深まるばかりで、声の裏には紛れもない喜びが滲んでいた。
「いや、具体性はある」
旅人はゆっくりと、胡桃に向かって手を伸ばした。
「胡桃」
「は、はいっ」
往生堂の堂主の声が、奇妙に上擦った。包帯の隙間から覇気は消え失せ、ただの少女の恥じらいだけが残っていた。
「……似合ってるよ、すごく。この包帯に隠れたおっぱいやアソコを今すぐ捲って眺めたい」
その言葉と共に、旅人の指先が包帯の端に触れた。胡桃の肩が跳ねる。包帯一枚隔てた肌の熱が、指先に伝染した。
「次はフリーナ」
視線が移る。フリーナはその視線を受け止めきれずに、一歩下がろうとして──けれど、壁がそこにあった。物理的にも心理的にも、もう後ろには下がれない場所まで来ていることを、彼女は自覚していた。
「……うん」
小さな、小さな声。五百年の演技を捨てた後の彼女は、こうも素っ頓狂になるのか。フォンテーヌで最も高慢だったはずのスターが、薄布一枚の下で肩を縮めている。
「その薄布一枚だけで、フリーナの綺麗な瑞々しい肌が強調されててとっても厭らしい、今すぐ抱きしめたいよ」
言いながら旅人は、フリーナのうなじの隙間に触れた。布と肌の間に指を滑らせる。すると──
「ッ──!」
フリーナの喉から、言葉にならない音が漏れた。白い薄布の下で、肌が粟立つのが見えた。
「……次は煙緋」
旅人の視線は、もう次の獲物に向けられていた。
「あ……あー、空、その……これは私の立場を考慮すると──」
「煙緋、その伝統衣装がとっても煙緋らしさが出てて好きだよ。前掛けの部分を捲って吸い付いてもいいかな」
それだけだった。それだけで煙緋の早口は止まり、ティールグリーンの瞳が揺らいだ。法律家の言葉を尽くした弁明が、旅人の一言で法廷崩壊を起こした。
「……あまり、そんなふうに見ないでくれ」
耳まで真っ赤になった煙緋の声が、掠れた。
「……感じちゃうから」
最後の一言は、もうほとんど息のようだった。
「そして──」
旅人は、最後に視線を下げた。そこには、小さな体に薄いネグリジェを纏ったナヒーダがいた。
「ナヒーダ」
その名を呼ぶだけで、五百年の知恵の神は、ただの少女に戻った。緑色の大きな瞳が、旅人を真っ直ぐに見つめ返す。
「……ふふ。もうかなりの回数抱いてきたのに、そんな顔をするのね」
その声は平坦で、それでいて温かかった。
「何度抱いても変わらないよ…ナヒーダの事だから、わざと俺の事を欲情させる為にその衣装を選んだんだね?」
旅人は膝をついた。ナヒーダと同じ目線になるために。その小さな肩に手を置くと、ネグリジェの下の体温が掌に伝わった。
ふふっと含みを孕んだ微かな笑みを浮かべるナヒーダ。部屋に入り込む夜の光が、ナヒーダの白い髪を銀糸のように輝かせた。
旅人の身体は恋人の前ではとても正直だった。服の下で熱を帯びた塊が痛みを伴うほどに硬度を増し、布地を押し上げている。指先で襟を緩めながら、旅人は静かに立ち上がった。
衣擦れの音が寝室の静寂にやけに大きく響く。一枚、また一枚と脱ぎ捨てられる布が床に落ちるたび、四人の視線がその動作を追うのが分かった。胡桃の緋色の瞳が爛々と輝き、フリーナのオッドアイが逸らされそうになってはまた引き寄せられ、煙緋のティールグリーンの瞳がまんじりともせずに瞬きを忘れ、ナヒーダの大きな緑の瞳は静かに、けれど確かに熱を帯びて旅人を見つめていた。
最後の一枚が落ちた時、寝室の空気が変わった。
露わになった旅人の身体は旅の道中で鍛え上げられたものだった。無駄のない筋肉が月光の下で滑らかな陰影を描き、その中心にそびえるものは既に限界まで膨張し、天を仰ぐように反り返っている。血管が浮き出たその表面は熱を放ち、先端は誘うようにぬらりと光っていた。
四人の喉が、ほぼ同時に鳴った。
旅人はベッドの縁にゆっくりと腰を下ろした。スプリングが軋む音が、まるで合図のように響く。そして、膝を開く。
その動作だけで、寝室の酸素が薄くなったような錯覚に陥った。晒された剛直が、無言のまま四人を誘っている。いや、誘うというよりは──これは抗い難い引力だった。逃れようとしても逃れられない、圧倒的な存在感。
「おいで」
その一言は、けれど命令ではなかった。誘いであり、許可でありそして──懇願にも似た響きがあった。
四人はふらふらと近寄った。まるで磁石に引き寄せられる鉄片のように、意志とは無関係に身体が動く。呼吸は浅く、頬は上気し瞳孔は開ききっている。
胡桃とフリーナが旅人の股の間に座り込んだ。床にぺたりと座ったその位置から、目の前に旅人の剛直がそそり立っている。二人の吐息がその表面を撫で、ぬらりとした光沢を一層際立たせた。
ナヒーダが右側のベッドの縁に腰かけ、煙緋が左側に座る。小さな知恵の神と獬豸の血を引く法律家が、まるで衛兵のように旅人を挟み込む形になった。
旅人は両腕を伸ばしナヒーダと煙緋をそれぞれ抱き寄せた。薄いネグリジェと鮮やかなシルクの伝統衣装、その布地越しに二人の体温が伝わってくる。腕の中の柔肌はどちらも熱を帯びていて、それが自分と同じ情欲から来るものなのだと分かると、背骨の奥がぞくりと震えた。
まずナヒーダの顎に手を添え、顔を上げさせる。緑の瞳がとろりと溶けて、旅人を見上げた。
「ん……」
唇が重なる。五百年の知恵を持つ神の口づけは、けれどあまりにも初々しかった。小さな舌がおずおずと旅人の舌に触れ、すぐに引っ込む。その繰り返しが、逆に旅人の加虐心を煽った。
唇を離すと、今度は煙緋の方を向く。法律家の唇は薄く、震えていた。
「煙緋」
名前を呼ぶと、彼女の角がぴくりと反応した。
「……んっ」
口づけはナヒーダの時よりも深く、長かった。煙緋の舌は最初こそ戸惑っていたが、やがて旅人の動きに合わせて絡み合うようになる。脇腹の鱗に触れると、彼女の身体がびくんと跳ねた。
交互に、繰り返す。ナヒーダの唇は甘く柔らかく、煙緋の唇は少し乾いていてけれどそのどちらもが旅人の理性を削っていく。
そして股の間では──
胡桃が最初に動いた。包帯に包まれた手が、旅人の剛直にそっと触れる。指先が表面をなぞるだけの、極めて軽い接触。けれどその繊細さが、逆にたまらなく感じられた。
「胡桃……」
旅人の声が、少し掠れた。
「んふふ。こんなに大きくして……私たちの事、そんなに見てたんだ?」
胡桃の声は、いつものおどけた調子の中に確かな悦びが混ざっていた。彼女は包帯の合間から覗く指先で、根本から先端へとゆっくりと扱き上げる。その手つきは、葬儀屋としての繊細な指の動きそのものだった。
一方、フリーナは──
「……」
無言で、けれどその瞳は旅人の剛直に釘付けになっている。五百年の演技者としての仮面は完全に剥がれ、ただの少女の好奇と欲がその顔に浮かんでいた。彼女は少し躊躇ってから、顔を近づけ──小さく舌を伸ばす。
「──ッ」
その舌先が先端に触れた。ほんの一瞬の接触。けれどその一瞬で、旅人の腰がわずかに跳ねた。
フリーナはすぐに引っ込み、自分の行いを恥じるように俯いた。けれどその唇は、確かにぬらぬらと光っていた。
「……変な味」
ぽつりと呟くその声にけれど嫌悪はなかった。むしろ──驚きと、そして微かな困惑が混ざっている。
旅人はナヒーダの肩を抱く腕に少し力を込め、反対の手で煙緋の腰を引き寄せた。唇はまだ、煙緋の口づけの余韻を追っている。二人の少女はそれぞれの方法で旅人の身体に触れ、股の間の二人は剛直に奉仕を始めていた。
胡桃が口に含みフリーナがその根本を舐める。ぎこちない、けれど真剣な──彼女たちなりの愛情表現。それが旅人の腰に、背中にそして脳髄にまで届く。
「……上手だよ、二人とも」
その囁きに、股の間の二人がほんの少しだけ動きを速めた。
月光はまだ寝室を照らし続けている。その冷たい光と、四人の身体から立ち昇る熱が複雑な対比を寝室に描き出していた。まるで静と動、光と影理性と本能──その全てが一枚の絵画のように重なり合っている。
ナヒーダが旅人の腕の中で、小さく息を漏らした。
「……ふふ。みんな、必死ね」
その声は、けれど決して嘲りではなかった。五百年の知恵の神は、この瞬間を静かにそして深く味わっている。自分もまた、その一部であることを確かに感じながら。
月光が寝室の窓辺から溢れ四人の少女たちの肌を銀色に染め上げていく。
その中で胡桃とフリーナは、床に膝をついたまま旅人の剛直を交互に口に含んでは離す、という行為を繰り返していた。ぎこちなさはもうない。互いに相手の動きを読み合い、ひとりが口に含めばもうひとりが根本を舐め上げるという分担を、まるで最初から決めていたかのように自然にこなしている。
「んぅ……ふっ……むぅ……んぁ……」
胡桃の口内が熱い。舌が裏筋をなぞるたび、彼女の鼻から抜ける声が旅人の下腹に響いた。包帯に包まれた指が睾丸を優しく握り、口は先端を咥え込む。
緋色の瞳は薄く涙を滲ませながらも、けっして目を逸らさずに旅人を見上げていた。その表情は、往生堂の堂主が死人に接する時のような真剣さと、ただの少女が初めての体温に戸惑う無防備さとが混ざり合っていた。旅人と視線が合うだけで、その瞳に快楽が浮かんでいるのを察して嬉しくそうに口角が上がり、舌使いが更に丁寧にそして大胆になっていく。
「んぅ……はぁ……ぁむ……」
対するフリーナは口に含むことをせず、舌先だけで先端を弄ったり竿をなぞる様に舐める繊細な奉仕に終始していた。オッドアイの瞳が潤み、頬は桜の花びらのように紅潮している。
ただの恋する少女として目の前の熱を恐る恐る味わっている。その落差が、逆に旅人の背筋を甘く痺れさせた。
そして──。
――クチュ…、くちゅっ
胡桃とフリーナ二人の少女の膝が、わずかに内側へと寄った。最初は無意識の動作だった。けれどその内股の隙間から伸びた指先が、己の下着の中へと滑り込んだ時、二人は互いの行為を悟った。目が合う。緋色と、オッドアイ。一瞬の沈黙のあと、どちらからともなく小さく笑みが零れた。それは羞恥を超えた共犯者の笑みだった。
胡桃の指が包帯の合間から覗く太ももを伝って下へと潛る。フリーナの指は、薄布一枚の下でくっきりと形を成した部分を優しく円を描くように擦り始めた。二人の呼吸が次第に浅く、速くなっていく。口に含むリズムが乱れ、舐める動作の合間に押し殺した吐息が混じり始めた。
「ふ……んぁ、ぁ……ッ」
「ぁ…んっ……ぁむ…」
その声が、旅人の剛直を咥えた口の中で反響する。振動となって伝わるその刺激に、旅人の腰がわずかに跳ねた。二人はそれを敏感に察知し、ますます熱を帯びて奉仕を続ける。唾液が糸を引き、月光を反射して銀色に輝いた。
その様子をナヒーダはベッドの上から静かに見つめていた。けれどその瞳は決して冷静ではなかった。五百年の知恵を持つ神の仮面の下で、彼女の呼吸もまた確かに乱れていた。隣に座る煙緋も同様だった。赤い伝統衣装に身を包んだ法律家の指が、膝の上で握られたり緩んだりを繰り返している。獬豸の血を引く彼女の角が、時折ぴくりと震えた。
旅人は、そんな二人の様子を視界の端に捉えていた。
まず、煙緋の手を取った。ひんやりとした手のひらを、けれど指先だけは熱を帯びている。旅人はその手を引いて、煙緋をベッドの上に立たせた。
「煙緋」
名前を呼ぶと、彼女の角がまた微かに反応した。
「……な、なんだ」
声は掠れていた。法律家としての饒舌はどこにもない。旅人は黙って、煙緋の伝統衣装の前掛けに指をかけた。鮮やかな赤のシルクが、布の重みに従って指の上を滑る。
「自分で捲って、大事な所を見せて」
旅人のお願いに、煙緋は震える指で前掛けをゆっくりとたくし上げた。
その下から現れたのは、手の甲や足首や胸の脇に浮かぶ白い菱形の鱗と同じ白さの肌、そして一文字に閉じた可愛らしい花弁。下着はない。すでに知っていたことだが、改めてその光景を目の当たりにすると旅人の喉が鳴った。露わになった下半身は、すでにしっとりと濡れている。太ももの内側に向かって淡く消えていく様は、まるで雪原に落ちた足跡のようだった。
旅人は煙緋の腰に手を回しそっと引き寄せた。彼女が下半身の股座を突き出す様になり、旅人の顔の前に来る。煙緋は両手で前掛けを押さえ上げたまま、腰を引こうとした。けれど旅人の腕がそれを許さない。
「あ、あの、空……流石にこの格好は…恥ずかしいというか…」
抗議の声はけれど最後まで続かなかった。旅人の舌が、未だ初々しい花弁の境界線をなぞったからだ。
「ひぁっ……!」
煙緋の腰が跳ねた。法律家として鍛え上げられた舌鋒とは裏腹に、彼女の身体はあまりにも正直だった。旅人の舌が花弁からその内の粘膜へと移り、割れ目を割り開くようにして八の字を描きながら奥へと潛り込む。その瞬間、煙緋の膝が笑った。
「や……そこ……んぁっ、だめ、それっ……!」
旅人は構わず舌を動かし続けた。煙緋のそこは確かに敏感で、舌が触れるたびに小さな痙攣が走る。その反応が面白くて、旅人は花弁と膣肉の一枚一枚を丁寧に舐め上げた。塩気のない、けれど確かな甘みが舌の上に広がる。煙緋の両手が、旅人の頭を挟むようにして震える。
その間にも、旅人の右手はナヒーダのネグリジェの中へと滑り込んでいた。
薄い布地の下、小さな体の輪郭を確かめるように手のひらを這わせ、やがて下腹へと至る。そこはすでに熱を帯び、旅人の指を待っていた。
「……ん」
ナヒーダが小さく息を呑んだ。けれど声は立てなかった。知恵の神は、快感に対しても抑制的だった。けれどその身体は、彼女の意思とは裏腹に反応を示す。旅人の指が割れ目をなぞると、小さな腰がわずかに浮いた。
「……ナヒーダ」
旅人が煙緋の鱗を舐めながら、ナヒーダの名を呼ぶ。その声は煙緋の内腿に直接響いた。同時に、指はナヒーダの最も敏感な部分を捉え、優しく捏ねるように動かし始める。
「ふ……ぅ」
ナヒーダの呼吸が変わった。小さな手が旅人の腕に絡みつく。けれどそれは拒絶ではなく、支えを求める仕草だった。旅人の指が動くたび、彼女の身体がわずかに跳ねそのたびにネグリジェの裾がずれていく。白い太ももが露わになり、月光の下で青白く輝いた。
やがてナヒーダは、旅人の肩に頬を寄せるような体勢になった。小さな唇が旅人の耳元に近づく。
「……ん、ぁ……空……」
吐息混じりの声が、直接耳に流れ込む。それは甘く、熱く、そしてどこか必死だった。五百年の知恵の神が、初めての快感に戸惑いけれどそれを手放したくないと願っている──そんな矛盾が、その声には滲んでいた。
「……そこ、優しく……あっ、でも、もっと……」
囁きは途切れ途切れでけれど確かに旅人を求めていた。その声が、旅人の理性を更に削っていく。
月光の銀糸が寝室を織りなす影の中で、四つの熱源が同期し始めていた。
胡桃の舌が旅人の剛直の裏筋をなぞるたび、フリーナの唇が先端を包み込むたび、二人の呼吸は次第に荒く速く、そして深くなっていく。胡桃の包帯の隙間から覗く指が、己の秘所を擦る速度を上げていく。湿った音が膝の間から微かに漏れ始めていた。フリーナの指もまた薄布の下で自分の花弁を執拗に円を描き、その吐息が旅人の先端にかかる熱気を濃くしていった。
「んっ…ぁむ…んぅっ、ぁ…!」
胡桃の喉から漏れる声が、口に含んだ旅人のものに振動として伝わる。その反応が旅人の腰をわずかに跳ねさせ、それがまた胡桃の興奮を煽る。循する快楽の連鎖だった。緋色の瞳が涙で潤み、けれどその視線は旅人から一刻たりとも離れない。口の端から唾液が糸を引いて零れ、頬を伝って顎の先で月光を反射した。
「ぁ…はっ…んぅ、む…ぁむっ…!」
フリーナの奉仕もまた熱を増していた。初めは躊躇いがちだった舌使いが、今は迷いなく旅人の形を追っている。オッドアイの瞳が快感で潤み、焦点が定まらなくなっている。それでも彼女の唇は離れない。五百年の演技を捨てた後の素顔は、予想以上に貪欲だった。指が自分の秘所を擦る速度に合わせて、口に含むリズムも速くなっていく。
二人の足元には、すでに滴る愛液が板敷きに滲んだ模様を描き始めていた。月光と影の境界線上に、その湿った光景が広がっていく。
その間、旅人の顔は煙緋の足の間に埋もれていた。
「やっ、そこ…そこだめっ…! ぁ、ぁぁっ…!」
煙緋の腰が揺れる。法律家として鍛え上げられた理路整然とした言葉はもうない。あるのはただ、快感に抗えない少女の悲鳴だけだった。旅人の舌が花弁を割り開き、その奥の粘膜をねっとりと舐め上げる。鹹味のない、けれど確かな甘みが舌の上に広がった。とろりとした蜜が舌を伝い、顎を伝って落ちていく。
「んぁ…っ、空…そんな…そんなに…ぁっ…!」
煙緋の太ももが震える。白い菱形の鱗が月光の下で微かに浮き上がり、その周囲の肌が粟立っているのが分かった。獬豸の血が快楽に充血し、彼女の身体全体が熱を放ち始めていた。旅人の舌が膣の入り口をなぞり、内壁の襞を一枚一枚味わうように丁寧に舐め進むたび、煙緋の腰がのけぞった。
「ぁ、ぁぁ…だめ…もう…ッ!」
煙緋の指が旅人の髪に絡みつき、けれどそれを引き剥がそうする力はもうなかった。むしろ押し付けるように腰を寄せている。法律家の理性が溶け落ち、ただの雌に戻っていく過程が手に取るように分かった。
そして旅人の右手は、ナヒーダのネグリジェの中で動いていた。
「ふ…ぅ…空…あっ…!」
旅人の指がナヒーダの最も敏感な場所を捉え、優しく、けれど確実に圧迫しながら動かしていた。小さな身体が旅人の腕にしがみつき、支えを求めている。けれどその身体は確かに快楽に反応し、旅人の指が動くたびに小さな腰が跳ねた。
「そこ…そこ…んぁ…もっと…もっと強く…!」
五百年の知恵の神が、自ら快楽を求めて懇願する。その声は耳元で直接、熱く湿った吐息と共に流れ込んできた。小さな唇から漏れる甘い喘ぎが、旅人の理性を一枚一枚剥いでいく。ナヒーダの指が旅人の肩に食い込み、その痛味が逆に旅人の興奮を高めた。
「空…空…ぁっ…ん…!」
ナヒーダの声が震えていた。知恵の神がただの少女に還っていく。その過程が旅人の背骨を痺れさせた。小さな身体の中に膨れ上がる快楽の波が、旅人の腕を伝って自分にまで流れ込んでくるような錯覚。けれどそれは錯覚ではなかった。ナヒーダの体温が上がり、肌が火照り、ネグリジェの下で小さな胸の先端が硬く尖っているのが指に当たった。
四人の熱が、一つの波形になり始めていた。
胡桃の指の動きが限界の速度に達し、口の中の旅人のものを喉の奥まで飲み込もうとする。嗚咽交じりの喘ぎが剛直に振動として伝わる。
「んむっ…ぅ…ぁぁ…んっ…!」
フリーナもまた限界に近づいていた。オッドアイの瞳が完全に潤み、視界が快楽で白濁しているのが分かった。薄布の下で動く指が激しくなり、足先が板敷きを引っ掻く。
「ぁ…ぁ…んっ…はぁ…ぁぁっ…!」
煙緋の腰の揺れが激しくなり、旅人の舌に押し付ける圧力が強くなる。蜜が溢れ、舌で受け止めきれない分が顎を伝い、首筋を濡らしていく。
「ぁっ、ぁっ、ぁぁぁ…! 空…もう…もう…ッ!」
ナヒーダの小さな身体が旅人の腕の中で痙攣し始める。五百年の時を生きた神が、快楽の波に飲まれていく。耳元の喘ぎが切迫したものに変わる。
「空…空…! ぁ…来る…来る…ッ!」
──その瞬間が、来た。
胡桃の喉がのけぞり、口から旅人のものが抜け落ちた。同時にフリーナも限界に達し、二人の身体が互いにぶつかるように震える。胡桃の秘所を擦る指が止まり、フリーナの指もまた硬直した。足元の板敷きに愛液が流れ落ち、月光の下で銀色に光る水溜まりが広がっていく。
「ぁぁぁぁっ…ッ!!」
「んっ…ぅあ…ぁぁっ…!!」
煙緋の腰が跳ね、旅人の顔に押し付けられたまま硬直する。膣壁が痙攣し、溢れる蜜が波のように押し寄せては旅人の舌の上で弾けた。法律家の身体が弓なりに反り、その口から言葉にならない叫びが漏れる。
「ひぁっ…ぁぁぁぁぁっ……!!」
ナヒーダの小さな身体が旅人の腕の中で激しく震えた。緑の瞳が見開かれ、けれど何も見ていない。五百年の知恵も、神の威厳も、ただの少女の快楽の前には何の役にも立たない。小さな唇が震え、熱い吐息が旅人の耳元で途切れた。
「出る…ッ…!!」
旅人の下腹で炸裂した衝動が、もう限界を超えていた。
胡桃とフリーナが顔を上げた瞬間、旅人の剛直が脈動した。白い熱が弧を描いて放たれ、胡桃の頬から唇へ、フリーナの額から瞼へと降りかかる。二度目の脈動が更に高く跳ね、胡桃の鼻筋を伝いフリーナの首筋に届く。三度目がフリーナの唇の端に落ち、四度目が胡桃のまつ毛を白く濡らした。
「ぁ…っ…!」
二人の少女がその温かさに目を細める。互いの顔に降りかかった白濁が月光に光り、まるで星屑を浴びたようだった。胡桃の緋色の瞳が潤んだまま、微笑んだ。フリーナのオッドアイが震え、けれどその表情には確かな満足が浮かんでいた。
足元では愛液が混ざり合い、二人の膝の間で光る水溜まりが揺らめいている。その光景に、寝室の空気はまだ熱を帯びていた。
煙緋は旅人の顔の前で腰をくの字に曲げ、痙攣する太ももを必死に閉じようとしていた。けれど閉じきれない。溢れる蜜が旅人の唇を濡らし続ける。法律家の頬には涙が伝い、その表情は快楽に崩れ落ちていた。
「あ…ぁ…空…もう…無理…だめ…」
声が掠れていた。獬豸の血が熱く脈打ち、身体の奥から波が引いては返していく。その繰り返しに煙緋の身体は為す術もなかった。
ナヒーダは旅人の腕の中で小さく丸くなっていた。小さな肩が震え、緑の瞳が虚ろに天井を見つめている。五百年の神が、ただの少女に還った瞬間だった。旅人の肩に額を押し付け、熱い呼吸が肌を濡らす。
「…ふふ」
微笑んだ。その声は震えていたけれど、確かに温かかった。
「…みんな、声が揃ってたわね」
その一言に、寝室の静寂がそっと戻った。月光だけが、変わらず四人を包み続けていた。
賢者タイムで読み切った人へ。どんな部分が癖に刺さりました?
もし、こんなシチュエーションで子作りしてる女の子の姿が見たいというのがあれば全部読んだ詳しい感想と一緒により詳しく書いてあったら、
もしかしたら参考にするかもしれない。
でも感想とかよりお気に入りにしてくれる方が嬉しいので、感想が面倒な人は、お気に入りにしてくれると嬉しいです。
3Pはよくやるけど、4P超えて5Pになるとは思わんかった……。
ん? 作者がちっぱい好きなだけではって? 良いだろちっぱい。巨乳もみもみしてチュパチュパするのもいいけど、手のひらに収まる大きさと小さな乳首を指や口で弄ぶのだって楽しいんだぞ。