※この作品はR-18です。

旅人を愛する孕神たちの純愛   作:ニコネーム、フラフラ

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メイドの休日~ご奉仕し放題~3(ノエル)

 

 洞天の屋敷は外観からは想像もつかないほどに広く、廊下を進むたびに新しい発見がある。旅人に手を引かれながら、ノエルは先ほどの大浴場での情事の余韻にまだ頬を染めつつも好奇心に満ちた瞳であちこちを見渡していた。

 

「ご主人様、このお屋敷には本当にたくさんのお部屋があるのですね」

「ああ、俺も時々迷子になりそうになるよ」

「ふふ、それでは私がしっかりご主人様をエスコートしなければなりませんね」

 

 そんな他愛のない会話を交わしながら三人は廊下の突き当たりにある大きな扉の前に立った。扉を開けた瞬間、ノエルは思わず「まあ……!」と感嘆の声を上げる。

 

「これは……! なんて素敵なキッチンとリビングなのでしょう……!」

 

 そこは数人の人手が要りそうなほど広々とした大キッチン兼リビングだった。天井は高く大きな窓からは洞天の柔らかな陽光がたっぷりと差し込んでいる。壁際には最新式の調理器具がずらりと並び、中央には大理石の大きなアイランドキッチンが鎮座していた。その奥には、ふかふかのソファと大きなダイニングテーブルが配置され家族団欒のための空間が広がっている。

 

「すごいだろ! マルが『主様が多くの伴侶と共に料理を楽しまれるように』って特注してたんだとよ!」

「まあ……! これだけの設備があれば、何人分でも一度に調理できそうです……!」

 

 ノエルはキラキラと目を輝かせながら早速キッチンの中へと足を踏み入れた。棚を開ければ調味料や乾物が所狭しと並び、食材庫には新鮮な野菜や肉がたっぷりとストックされている。

 

「ご主人様、もうすぐお昼時ですしよろしければここで昼食を用意させていただけませんか?」

「え? でもノエル、さっきまであんなに……休まなくて大丈夫なのか?」

「はい! ご主人様とパイモンさんにおいしいお昼ごはんを作ることこそ、メイド冥利に尽きるというものです。それに……」

 

 ノエルは少し恥ずかしそうに俯きながら、小さな声で付け加えた。

 

「ご主人様に……私の手料理を食べていただきたいんです」

「ノエル……」

「もっちろん! ノエルの手料理が食えるなんて最高だぜ! 楽しみにしてる!」

「お任せください!」

 

 パイモンの無邪気な言葉にノエルは嬉しそうに微笑むと早速エプロンを身につけた。その手際の良さはまさにプロフェッショナルだ。慣れた手つきで野菜を洗い、肉を切り分け複数の鍋を同時に火にかけていく。

 

「わあ……ノエル、本当に手際がいいんだな」

「ありがとうございます、パイモンさん。騎士団の厨房で毎日のようにお手伝いをしていますから」

「これだけできれば、どこのお屋敷でも引く手あまただぜ!」

「ふふ、でも私は……ご主人様お一人にだけお仕えできれば、それで十分です」

 

 てきぱきと動きながらも、時折ちらりと旅人を見てはにかむノエル。その姿があまりにも愛らしくて、旅人はソファに腰掛けながら彼女の仕事ぶりを飽きずに眺めていた。やがてキッチンからは食欲をそそる香りが漂い始める。ハーブで香りづけされたチキンのソテー、ふんわりとしたオムレツ彩り鮮やかなサラダ、そして焼きたてのパン。あっという間にテーブルの上には、まるで高級レストランのような品々が並べられた。

 

「わあ! すげえご馳走だ!」

「お口に合うかどうかわかりませんが……どうぞ召し上がってください」

「ありがとう、ノエル。でもちょっと量が多くないか?」

「はい。実は……モナさんの分もお持ちしようと思いまして」

 

 ノエルはそう言うと手軽に食べられるようラップで包んだサンドイッチと小さなスープ容器を取り出した。

 

「モナさんは今、原稿を書いていらっしゃるので机の上でも食べられるものがいいかなと思いまして……」

「そこまで気を遣ってくれたのか」

「モナさんは私にとって、もう家族も同然ですから当然です」

 

 ノエルはにっこりと微笑むと、それらをバスケットに詰めて立ち上がった。

 

「ご主人様、パイモンさん。先に召し上がっていてください。私、モナさんにこれをお届けしてすぐに戻りますので」

「え? ノエルの分は?」

「私は戻ってからいただきます。どうぞ、お気遣いなく!」

 

 そう言い残すと、ノエルは足早にリビングを出ていった。残された旅人とパイモンは顔を見合わせる。

 

「ノエルのやつ、ほんとにできた子だなあ」

「ああ……。でも、せっかく作ってくれたのに先に食べるのもなんだか悪い気がするな」

「そりゃそうだ。でもノエルが戻ってくるまで待ってたら、せっかくの料理が冷めちまうぜ」

「……なあ、パイモン」

「ん? どうした?」

 

 旅人はテーブルの上の料理を見つめながら何やら思案顔だ。そして突然、いたずらっぽい笑みを浮かべた。

 

「ちょっとした悪戯を思いついたんだが……協力してくれないか?」

「悪戯? なんだなんだ、言ってみろよ!」

 

 旅人はパイモンに耳打ちするようにして、自分の考えた「いたずら」の内容を説明した。

 

「なるほどな! つまり旅人はノエルを膝の上に座らせて、お前のアレを挿入する。でノエルは平静を装いながら旅人に料理を食べさせる。おいらはそんなノエルに気づかないフリをして、彼女の分の料理を食べさせてやるってわけだな?」

「そういうこと。ノエルがどこまで平静を装えるか……」

「いひひ! そりゃ面白そうだ! でもよ、ノエルが可哀想じゃないか?」

「大丈夫。ノエルはああ見えて負けず嫌いなところがあるから、きっと最後までやり遂げるさ。それに……」

 

 旅人は少し声を潛めて付け加えた。

 

「ノエルが俺ので妊娠しようとしている顔を、パイモンにも見てほしくて」

「お前ってやつは……! ま、いいぜ! おいらもノエルのどんな顔するか見てみたい! 協力するぜ!」

 

 こうして、二人の「いたずら」の準備は整った。

 

 

 しばらくして、ノエルが戻ってきた。

 

「ただいま戻りました! モナさん、とても喜んでくださって……」

「おかえりノエル! さあさあ、早く座って一緒に食べようぜ!」

 

 パイモンはさも当然のようにノエルを旅人の正面……つまり、旅人の膝の上へと誘導した。

 

「え? あ、あの……?」

「いいからいいから! ノエルはご主人様に甘えたいんだろ? 遠慮することないって!」

「で、ですが……」

「ノエル、こっちにおいで」

 

 旅人が両手を広げるとノエルは戸惑いながらも素直に彼の膝の上に腰を下ろした。ふわりと石鹸の良い香りがして、旅人は思わず彼女の髪に顔を埋める。

 

「ご、ご主人様……? あの……これではご飯が……」

「大丈夫。ノエルが俺に食べさせてくれればいい」

「わ、私が……ご主人様に……?」

「そう。ほら、あーんして」

 

 旅人はノエルの手を取ると、フォークに刺さったチキンを自分の口元へと導いた。ノエルは戸惑いながらも、そっとそれを旅人の口に運ぶ。

 

「ん……美味い」

「ほ、本当ですか……? よかった……」

「今度はこっちのオムレツをくれ」

「は、はい」

 

 ノエルが身を乗り出してオムレツを取ろうとした瞬間、旅人は素早く自分のズボンの前を寛げすでに硬くそそり立った自身の剛直を露わにした。そしてノエルのスカートをたくし上げ、下着をずらすと彼女の秘所にあてがう。

 

「ひっ……!?」

「しーっ、声を出しちゃだめだよノエル。パイモンに気づかれる」

 

 旅人はノエルの耳元でそっと囁いた。ノエルは驚きに目を見開きながらも、必死で声を堪える。

 

「ご、ご主人様……! こ、これは……!」

「どうしたノエル?早く次の手料理を食べさせてほしいな」

「そ、そんな……」

(でも、もし声を出したり動揺したりしたらお仕置き。そうだな、パイモンが見てるまでノエルのあそこを広げて中だしされる瞬間を見てもらおう)

 

 

 旅人はそう耳元で小声でささやくとゆっくりと腰を突き上げ、自身の先端をノエルの花弁に沈み込ませていった。

 

「んんっ……!!」

 

 ノエルは必死に口を押さえ声を殺す。しかし、先ほどまで散々愛されたそこはまだ敏感で少し挿入されただけで全身に電流のような快感が走る。

 

「ノエル、どうした? 早く旅人に次の料理を取ってやれよ」

 

 パイモンは気づいていないふりをしながら、ノエルに話しかけた。

 

「は、はい……! ご、ご主人様……つ、次は……サラダを……」

 

 ノエルは震える手でサラダの皿を取りフォークで一口大にまとめると旅人の口元へと運んだ。しかしその間にも、旅人はじわじわと腰を進めていく。

 

「ん……美味い。ノエルの作る料理は最高だな」

「あ、ありがとうございます……んっ……!」

 

 ついに最奥まで到達し、旅人の剛直がノエルの子宮口をぐりっと押し上げる。ノエルはあまりの快感に背中を仰け反らせそうになるのを必死に堪えた。

 

「ノエル、お前も食べないと! ほら口開けろ!」

 

 パイモンはノエルの分のサンドイッチを手に取ると、彼女の口元に近づけた。

 

「ひゃ……! パ、パイモンさん……! わ、私、自分で……」

「いいからいいから! ノエルは旅人に食べさせてるんだから、おいらがノエルに食べさせてやるって!」

「そ、そんな……んむっ……!」

 

 パイモンは構わずノエルの口にサンドイッチを押し込んだ。ノエルはもぐもぐと咀嚼しながらも、下半身から伝わる快感に意識が飛びそうになる。

 

(だめ……! 気持ちいい……! ご主人様のが、動いてる……! パイモンさんにバレちゃう……!)

 

 旅人はノエルが必死に平静を装っている姿に興奮を覚え、さらにゆっくりと腰を揺らし始めた。ぐちゅり……ぐちゅり……と、結合部からは淫らな水音が漏れ始める。

 

「あれ? なんか変な音しないか?」

 

 パイモンがわざとらしく首を傾げると、ノエルは慌ててフォークで皿をカチカチと鳴らした。

 

「こ、これは……その……フォークの音ですっ! は、早く次のお料理を! ご主人様、次はっ……こちらのスープをっ……」

「ああ、ありがとう」

 

 ノエルは震える手でスープスプーンを手に取り、旅人の口元へと運んだ。しかしその瞬間旅人が少し強めに腰を突き上げる。

 

「ひゃうっ……!」

 

 スプーンからスープがこぼれ、旅人のシャツに染みを作った。

 

「ノエル、大丈夫か? 手が震えてるぜ?」

「だ、大丈夫です……! す、少し疲れただけで……」

「そうか? ならいいけど。さ、次はおいらの番だ。ノエルお前もちゃんと食えよ」

 

 パイモンは再びサンドイッチをノエルの口に運んだ。ノエルは涙目になりながらも、なんとか咀嚼する。

 

(あっ……あっ……! ご主人様のが……また大きくなって……! もう……イっちゃいそう……!)

 

 旅人の抽送は徐々に激しさを増していく。しかしパイモンは全く気づいていない様子で、ひたすらノエルに料理を食べさせ続けた。

 

「ノエル、最後のデザートだ。これは絶品だぜ!」

「は、はい……んむっ……!」

「ノエル、俺にも最後の一口をくれ」

「ご、ご主人様……! こ、これで……最後……です……!」

 

 ノエルは最後の力を振り絞ってケーキの一片をフォークに刺し旅人の口に運んだ。その瞬間、旅人はノエルの腰をしっかりと掴み最奥めがけて何度も突き上げる。

 

「んんんーっ!!」

「ノエル……俺も……イく……!」

「~~~~っ!!」

 

 旅人が熱い精をノエルの子宮に放つと同時に、ノエルもまた深い絶頂を迎えた。彼女は必死に口を押さえ、声を殺しながら何度も何度も身体を震わせる。

 

「はぁ……はぁ……ごちそうさま、ノエル。全部美味かったよ」

 

 旅人は何事もなかったかのようにノエルの頭を撫でながら、穏やかな声で言った。

 

「ノエルも全部食えたか? よかったよかった!」

 

 パイモンも満足げに笑っている。ノエルはまだ絶頂の余韻に震えながらも、なんとか笑顔を作った。

 

「は、はい……! ごちそうさまでした……パイモンさん……ご主人様……」

「ノエル、顔が真っ赤だぜ? 料理作って疲れたんだろ。ちょっとソファで休もう」

 

 旅人はノエルを抱きかかえるようにして立ち上がると、そっとソファに彼女を横たえた。パイモンは「おいらはマルのところに遊びに行ってくるぜ!」と言い残し、さっさとリビングを出ていく。といきなり振り返って――

 

「ノエル!お前の旅人の子作りしてるときの表情とっても可愛かったぜ!早く可愛い赤ちゃん()んでくれよな!」

 

と言って窓から外へとパタパタと飛んでいった。

 

「~~~っ!!」

 

 ノエルは顔をクッションに埋め「し、知ってたんですね……! パイモンさん……!」と羞恥に悶えるのだった。旅人はそんな彼女を見て声を出して笑った。こうして洞天での三人の昼食は、ノエルにとって忘れられないほど刺激的なものとなったのだった。

 

 

 

 洞天での刺激的な昼食を終えた三人は食後のコーヒーを楽しみながらしばしリビングでくつろいだ。ノエルはまだ先ほどの悪戯の羞恥で時折クッションに顔を埋めていたが、旅人に優しく髪を撫でられると次第に落ち着きを取り戻していった。

 

「さてと……そろそろモナの様子を見に行かないか?」

「はい! モナさん、お仕事はかどっていらっしゃるでしょうか」

「あれだけ集中してたら、もう終わってるかもな!」

「パイモン、簡単に言うけどモナは占星術の専門家なんだぞ」

 

 三人は軽口を叩きながら大浴場や大キッチンに比べればこぢんまりとした、それでも快適なリビングを後にした。洞天の通行証を使い、あっという間にモナが待つモンド城下町の旅人の借り部屋へと戻る。

 

「モナ、戻ったよ。調子はどう?」

「あら、おかえりなさい。ちょうど今最後の一文を書き終えたところです」

 

 机に向かっていたモナは振り返り三人を優しい笑顔で迎えた。その手には万年筆、机の上には何枚もの星図とビッシリと文字の書かれた原稿が広げられている。

 

「見てください。今日のコラムは、『愛の星の巡り合わせ』についてです」

「おおっ、なんだかロマンチックだな!」

「ふふ。インスピレーションが近くにありましたから」

 

 モナはちらりと旅人を見つめほんのりと頬を染めた。その視線の意味に気づいたノエルもまた、もじもじと俯く。

 

「原稿、無事に終わってよかった。これで新聞社に持っていけるね」

「ええ。明日の朝一番で届けに行きます。ですので、今日はもう……自由です」

「それなら……モナさんもご一緒にいかがですか?」

「……というと?」

「実は今から、私の荷物を洞天に運び込もうと思っていまして」

 

 ノエルは少し恥ずかしそうに指を絡めながら説明した。

 

「今朝、一度自宅に戻った時に少しだけ持っていったのですが、本格的に洞天に住まわせていただくのであれば着替えや騎士団の道具など、きちんと運び込まなければと思いまして」

「ああ、それはいい考えだ。モナもよかったら一緒に来ないか?」

「もちろんです。ノエルさんのお部屋がどんな風になるのか、とても興味があります」

「それじゃあ決まりだな! 騎士団本部の見習い騎士団員寮に行くぜ!」

 

 パイモンはやる気満々で宙に浮かぶ。こうして四人は、モンド城の一角にある西風騎士団本部の見習い騎士団員寮へと向かった。

 

 モンド城の石畳を歩きながら、四人は街の喧騒を楽しんだ。フローラの花屋の前を通れば甘い香りが漂い、キャッツテールの前ではディオナが元気に客引きをしている。

 

「あっ、栄誉騎士様! それにノエルも!」

「ディオナ、こんにちは。今日も頑張ってるね」

「もちろんだよ! あたしがシフト入るときはいつも満席なんだから!」

 

 そんなたわいのない交流を楽しみながらやがて四人は騎士団本部の敷地内へと足を踏み入れた。本部の建物を横切り、裏手にある見習い騎士団員寮へと向かう。こぢんまりとした、しかし清潔感のある建物だ。

 

「ここが、私の自室です。少し狭いですが……」

 

 ノエルが扉を開けると、そこはまさに彼女らしい几帳面で清潔な部屋だった。壁際には小さな本棚、机の上には騎士団の規則書と手入れの行き届いた武具。窓辺には一輪のセシリアの花が飾られている。

 

「わあ……ノエルさんの部屋、とても綺麗……」

「ありがとうございます、モナさん。あまり物は多くないのですぐに荷造りできます」

「おいらたちも手伝うぜ! なにを持ってくんだ?」

 

 パイモンがやる気満々で尋ねると、ノエルはタンスを開けながら答え始めた。

 

「はい。まずは普段着とメイド服を数着……それから騎士団の訓練用の武具も一部……あとは本を何冊か……」

「この本、さっき洞天の書斎で見たのと同じですね」

「はい。これは父からもらった大切な本で、騎士道精神について書かれているんです」

 

 ノエルは旅人とモナに古びた本を見せながら微笑んだ。旅人とノエルのやり取りを微笑ましく見守っていたモナは、ふと窓辺のセシリアの花に目を留めた。

 

「このお花も持っていきますか?」

「はい。これは……ご主人様が初めて私にくださったお花ですから」

 

 ノエルの言葉に、旅人は少し驚いた顔をした。

 

「俺が? いつだっけ……」

「覚えていらっしゃらないかもしれませんが……私が騎士団の訓練で上手くいかずに落ち込んでいた時に慰めてくださってその時に摘んでくださったんです。それがどんな宝石よりも嬉しくて……それ以来、ずっとこうして飾っているんです」

 

 そう言って花を慈しむように見つめるノエルの横顔に、部屋の中の空気が優しく温かくなる。

 

「ノエル……」

「あっす、すみません! つい昔話を……! さあ、荷造りを進めましょう!」

 

 ノエルは照れ隠しのように慌てて荷造りに戻った。モナと旅人も手伝い始め、パイモンは小物をせっせと運ぶ。四人で協力すれば、ノエルの荷物はあっという間にまとめられた。

 

「こんなものでしょうか。あとは……洞天に運び込むだけです」

「それじゃあ、通行証でさっそく戻ろうぜ!」

「はい。それでは……」

 

 ノエルは最後に部屋を見渡し、少しだけ名残惜しそうに微笑んだ。

 

「長い間お世話になった部屋、ありがとうございました」

「いつでも戻ってこれるさ。でも……今は」

「はい。今はご主人様のいる場所が私の帰る場所です」

 

 ノエルの晴れやかな笑顔に、旅人は胸が熱くなるのを感じた。

 こうして四人は洞天の通行証を使い、荷物ごと洞天へと転移した。

 

 洞天に戻ると、すでにマルがノエルのための個室を準備して待っていた。

 

「お帰りなさいませ、主様、皆様。ノエル様、どうぞこちらへ」

 

 案内されたのは旅人の寝室と同じ二階にある部屋だった。扉を開けるとそこにはこぢんまりとしながらも、使い込むほどに味が出そうな落ち着いた家具類が既に一式揃った小綺麗な部屋が広がっていた。窓からは、洞天の草原と小川の景色が見渡せる。ほのかに花の香りが漂い、どこか彼女の自室を想起させる雰囲気がある。

 

「ノエル様が騎士団のお仕事で疲れて戻られた時、ゆっくりとお休みいただけるよう整えさせていただきました」

「マルさん……ありがとうございます……!」

「無論、主様と共にお休みになる際は……例の大ベッドの方で」

「~~っ!」

 

 マルの余計な一言にノエルは再び茹で上がってしまった。モナはくすくすと笑いながらノエルの手を取った。

 

「さあ、荷物を片付けましょう。ノエルさんここに本棚を置いても?」

「はい! モナさん、どうぞそちらに……」

 

 モナとノエルが仲良く荷解きを始める。旅人はその微笑ましい光景を眺めながら、そっとマルに耳打ちした。

 

「マル、モナの部屋も頼めるか?」

「無論にございます。モナ様のご趣味に合わせた観測機材や占星術の資料棚も既に手配済みです。お二人分の家具が揃うまで、今しばらくお待ちください」

「さすがだよ」

「主様のハーレム計画のため、このマル、日夜尽力しておりますゆえ」

 

 マルの軽口に、旅人は苦笑いを浮かべるのだった。

 こうして、ノエルの洞天への引っ越しはつつがなく進んでいった。彼女の荷物が部屋に収まり、私物が一つ一つ飾られていくにつれその空間は暖かい「我が家」の一部へと変わっていく。

 

「ご主人様、モナさん、パイモンさんマルさん……本当にありがとうございました」

「これからはずっと一緒だよ、ノエル」

「はい……!」

 

 窓から差し込む午後の柔らかな光が四人と一匹の笑顔を優しく照らし出していた。洞天に新たな住人が加わったこの日は、旅人たちの新たな生活の静かなしかし確かな一ページとなったのだった。

 

 

 荷解きが一段落した頃には、洞天の空もすっかり夕暮れの色に染まり始めていた。窓の外では、草原を渡る風が柔らかな草の匂いを運び小川のせせらぎが静かに響いている。旅人が「そろそろ夕飯の準備をしようか」と立ち上がった瞬間、ノエルがすっと前に出た。

 

「ご主人様、夕飯は私が作ります」

「でもノエル、今日は朝からずっと動きっぱなしだっただろ。俺も手伝うよ」

「いいえ」

 

 ノエルは珍しく頑として首を横に振った。その瞳には、穏やかでありながらも揺るぎない意志の光が宿っている。

 

「ここは、もう私の家です。ご主人様が私に与えてくださった、私の帰る場所です。だから自分の家の台所ぐらい、自分で切り盛りさせてください」

 

 その言葉に、旅人は少し驚いたように目を瞬かせた。ノエルの口から「自分の家」という言葉が自然に出てきたことが、何よりも嬉しかった。

 

「わかった。じゃあ、お言葉に甘えるよ」

「はい。モナさんもパイモンさんも、どうぞゆっくりしていてください」

 

 ノエルはエプロンの紐をきゅっと結び直すと、大キッチンへと消えていった。その背中は朝とはまるで違う。朝は「ご主人様のお役に立ちたい」という奉仕の心に満ちていたが、今は「自分の城を守る」という誇りに満ちている。たった一日で、彼女はこの洞天を自分の居場所として受け入れ、そして愛し始めているのだ。

 

 リビングに残された三人は、それぞれのんびりと過ごし始めた。モナはソファに腰掛け、持ち込んだ星図を広げて何やら書き込みをしている。パイモンはテーブルの上でうつらうつらと船を漕ぎ始めた。旅人はというと、キッチンから聞こえてくる音に耳を澄ませていた。

 

 トントントンという規則正しい包丁の音。ジュワッと何かを焼く音。コンロの火を調整するノエルの小さな掛け声。それらの音が、洞天の静けさに溶け込んでいく。まるでこの家が息をし始めたかのようだった。やがて、キッチンから漂い始めた匂いにパイモンがむっくりと起き上がった。

 

「うおっ、なんだかいい匂いがしてきたぞ!」

「ふふ、本当にいい香りですね」

「もう少しでできるぞー、ってノエルが言ってる気がする」

 

 モナも星図から顔を上げ目を細めて香りを楽しんでいる。その表情は、どこか安堵しているように見えた。旅人はそんな彼女の横顔をそっと見つめる。モナはモンドのアパートに一人で暮らしている。決して広くない部屋で、一人で食事をとることが多いのだろう。だからこそ、誰かが台所に立っているという当たり前の光景が、彼女の心を温めているのかもしれない。

 

「モナ」

「なんでしょう?」

「今日はありがとう。コラムの締め切り、大変だったろ」

「いいえ。むしろ、はかどりました」

「どうして?」

「愛しい人が、すぐそばにいましたから」

 

 モナは悪戯っぽく微笑んだ。その言葉に、旅人は返す言葉を探して少し詰まる。モナはそんな彼を見て、さらにくすくすと笑った。

 

「空は、そういうところが不器用ですよね。でもそこが好きです」

「……モナこそ、そういうことさらっと言うよな」

「だって、本当のことですから」

 

 そこへ、ノエルが両手に大皿を持って現れた。

 

「お待たせしました! お夕飯ができましたよ」

 

 テーブルの上に並べられた料理は昼食とはまた違った趣だった。温かい野菜スープに、香草で味付けされた魚のグリルふかふかのパンに、色とりどりの付け合わせ。どれもこれも素材の味を活かした丁寧な味付けで、四人分とは思えないほどの品数だ。

 

「すごい……ノエルさん、これを全部お一人で?」

「はい。でも、モナさんのために少し甘めに味付けしたものもありますよ」

「私のために……!」

「パイモンさんには、こちら。お肉を多めにしておきました」

「おおっ! さすがノエル、分かってるぜ!」

 

 ノエルは一人ひとりの好みを把握し、それぞれに合わせた料理を用意していた。その気配りに、旅人は胸が締め付けられる思いがした。彼女は、ただ料理を作ったのではない。この新しい家族の一員として、自分の役割を全うしようとしているのだ。

 

「それじゃあ……いただきます」

「「「いただきます!」」」

 

 四人の声が重なる。パイモンは早速肉に飛びつき、モナはスープを一口含んで目を細める。旅人は魚のグリルを口に運び、その絶妙な焼き加減に感嘆の息を漏らした。

 

「ノエル、これ本当に美味いよ」

「ありがとうございます、ご主人様。でも……本当に?」

「本当に。俺の作る飯なんかより、ずっと美味い」

「そんなことありません。ご主人様のお料理も、きっと素敵です」

「また作るよ。今度は俺が、ノエルに食べさせてやりたい」

「……はい。楽しみにしています」

 

 ノエルは照れくさそうに俯きながらそれでも嬉しそうに笑った。モナはそのやり取りを微笑ましげに見つめ、パイモンは口いっぱいに肉を頬張りながら「おいらも食いてえ!」と割り込む。その声に、四人の笑い声が重なった。

 

 夕食は、ゆっくりと進んだ。誰かが話せば誰かが笑い、誰かが食べれば誰かが皿を取る。特別なことは何もない。ただの、家族の食卓だ。けれど旅人にとってこの何気ない時間こそが、何よりも愛おしいものに思えた。

 

(この家に、ノエルがいる。モナがいる。パイモンがいる。そして……これから、もっと増えていくんだろうな)

 

 ふと、モナが言った予言が頭をよぎる。数多くの女性と関係を持ち、やがてその全員と恋人を経て妻とする――。それはモナなりの、旅人をこの世界に繋ぎ止めるための枷。けれど、今この瞬間だけはそんな打算や策略はどうでもよかった。ただ、目の前の温かい食卓と愛しい人たちの笑顔があれば、それでいい。

 

「ご主人様、どうされました? 箸が止まっていますよ」

「ああ、ごめん。ちょっと考え事を」

「何を考えていらしたんですか?」

「……この家は、いいなって」

「はい。私も、そう思います」

 

 ノエルはにっこりと笑うと旅人の皿に魚を一切れ乗せた。その仕草は、もう完全にこの家の主婦のものだった。モナも負けじと、旅人のカップに温かいハーブティーを注ぐ。パイモンはすっかり満腹になったのか、椅子の上でごろりと横になった。

 

「はー、食った食った。ノエルお前ほんとにいい嫁さんになるな」

「お、お嫁さん……!? パイモンさん、そんな……!」

「なんだよ、照れることないだろ。おいらは本気で言ってるんだぜ。旅人、お前もそう思うだろ?」

「ああ。ノエルは、きっといいお母さんになるよ」

「~~っ!!」

 

 ノエルは耳まで真っ赤にして、スープの皿に顔を埋めてしまった。モナはそんな彼女を見て、優しく肩を叩く。

 

「ノエルさん。私も、そう思いますよ」

「モナさんまで……」

「だって、これだけの料理を一人で作れてしかもみんなの好みを完璧に把握しているんですよ? お母さんにならないわけがないじゃないですか」

「そ、それは……まだ、その……心の準備が……」

 

 ノエルの声は次第に小さくなっていく、そしてその視線は自分のお腹へと落ちてゆく。その頬は、夕暮れの光よりも赤く染まっている。その視線の先には食事の用意をしながらうっすらと感じていた下腹部の”重み”。それは今朝から今までの行為でたっぷりと注ぎ込まれた旅人の精液であれ、きっとノエルの眼には彼の白濁液で満ち満ちた自身の子宮のイメージが浮かび上がっている事だろう。

 

(私のお腹の中で、ご主人様の赤ちゃんを……?)

 

 ついつい自分のお腹を両手でふわりと抑え、脳裏に自分のお腹が大きく膨れてその内に側に度び糸の赤ちゃんを宿した妊婦の姿が過った。

 旅人はそんな彼女を愛おしげに見つめながら、そっと自分の隣の席をぽんぽんと叩いた。

 

「ノエル、こっちにおいで」

「え……でも、片付けが」

「片付けは後でいい。今日は、お前が一番頑張ったんだから」

 

 ノエルは少し迷った後、素直に旅人の隣に座った。旅人は彼女の手を取ると、そっとその甲に口づけを落とした。

 

「ありがとう、ノエル。最高の夕飯だった」

「……はい。ご主人様」

 

 洞天の窓の外では、いつの間にか満天の星が瞬いていた。モナが星図を広げたまま、その輝きに見入っている。パイモンはいつの間にか本格的に眠ってしまい、小さな寝息を立てている。ノエルは旅人の肩にそっと頭を預け、目を閉じた。旅人はそんな三人の気配を感じながら、この静かな夜がずっと続けばいいのにと、心から思った。

 

 夕食の後片付けは、結局四人がかりで行うことになった。ノエルが「私がやります」と言い、モナが「私も手伝います」と言い、パイモンが「おいらも一応手を貸すぜ」と言い、旅人が「じゃあ俺が皿を拭くよ」と言った。そのやり取り自体が、もう楽しかった。誰かが皿を割りそうになって、誰かが笑い誰かが「危ないですよ」と注意する。その一つ一つが、この洞天に新しい記憶として刻まれていく。

 

 やがて、リビングの明かりが落とされ四人はそれぞれの部屋へと向かった。旅人は自室のベッドに腰掛け、今日という日を振り返る。朝はモナとノエルと三人で。昼はノエルと二人で。夕方はモナを交えて四人で。そして夜は――。

 

 コンコン、と扉がノックされた。返事をする前に扉がそっと開く。

 

「ご主人様、まだ起きていらっしゃいますか?」

 

 ノエルだった。寝間着代わりの薄手のワンピース姿で、少しだけ頬を赤らめている。

 

「どうした?」

「あの……その……」

 

 ノエルはもじもじと指を絡めながら、意を決したように顔を上げた。

 

「今夜も……ご一緒しても、よろしいでしょうか?」

「……もちろん」

 

 旅人が手を差し伸べるとノエルは嬉しそうに微笑んで、その手を取った。洞天の夜はまだ始まったばかりだ。

 

 その夜、旅人の寝室を訪れたノエルはモナから言われた言葉を反芻していた。

 

――「ノエルさん。今夜は、あなたが一人で空を癒してあげてください」

 

 夕食の後片付けが終わった後モナはノエルを廊下の隅に呼び出すと、少し照れくさそうにしかし真剣な眼差しでそう告げた。

 

「私もそろそろ、ちゃんと眠りたいんです。ここ数日まともに睡眠を取れていませんから」

 

 それは本心の半分だった。もう半分は――もっと深いところにある想いだった。モナは知っている。ノエルが旅人に抱く感情の深さを。尊敬から恋慕へ、恋慕から恋へと育っていくその過程を誰よりも近くで見てきた。そして今日、ノエルはこの洞天に「自分の家」を得た。ならばその記念すべき最初の夜を、彼女一人に捧げるべきだと思ったのだ。

 自分はもう、旅人と初めてを分かち合っている。だからこそ、ノエルにもその時間を誰にも邪魔されずに味わってほしい。それはモナなりの、同じ恋人であり友でもある彼女への静かな贈り物だった。

 

「それから、これ」

 

 モナはそう言うと持っていた一冊の本をノエルに手渡した。表紙には『性行為の参考書――愛し合う二人のために』と、いかにも堅苦しい活字が並んでいる。

 

「モナさん、これ……!」

「私の蔵書です。占星術の資料を探していた時に、古書店で見つけてしまって。……ええ、わかっています。変な目で見ないでください」

「み、見てませんよ!?」

「ふふ。でも、役に立つと思います。ノエルさんは真面目ですから、きっと一通りのことは知っておくべきだと。私も……初めての時に、読んでおいてよかったと思いましたから」

 

 

 そう言い残すと、モナは「それでは、おやすみなさい」と自室へと消えていった。残されたノエルは、手の中の本と閉じられたモナの扉を交互に見つめ、やがて小さくお辞儀をした。

 

――モナさん、ありがとうございます。

 

 今、その本は旅人の部屋のサイドテーブルの上に置かれている。ノエルは意を決して、旅人の前に膝をついた。

 

「ご主人様。今夜は……私が、最後までご奉仕させていただきます」

「ノエル……」

 

 旅人が何かを言いかけるのを、ノエルはそっと首を横に振って制した。その瞳は、昼間の甘えるようなそれとは違う。静かでまっすぐで、覚悟に満ちている。旅人はその瞳に気圧されるように、ベッドの縁に腰を下ろした。

 

 ノエルはまず、旅人のシャツのボタンに指をかけた。ひとつ、またひとつと外していく。露わになる逞しい胸板に、彼女はそっと手のひらを当てた。昨夜今朝と、何度も触れたはずのその身体。それなのにこうして自分の意志で触れるのは初めてだった。彼女は丁寧にシャツを脱がせ、次にズボンへと手を伸ばす。ベルトを外し布を引き下ろすと、そこには既に兆しを見せ始めている旅人のモノがあった。ノエルは息を呑む。朝、自らの口で奉仕した時と同じいや、それ以上に力強い存在感。けれど今夜のノエルは、もう怯まなかった。

 

「ご主人様。私、モナさんに参考書をいただきました。だから……今朝より、上手にできると思います」

「ノエル……そんなもの、読まなくても」

「いいえ。私、ご主人様に少しでも気持ち良くなっていただきたいんです。そのために努力するのは、ちっとも苦ではありません」

 

 そう言うとノエルは、そっと旅人の剛直に両手を添えた。まだ完全には硬くなりきっていないそれは、彼女の手のひらの中でゆっくりと熱を帯び質量を増していく。その変化を感じるたび、ノエルの胸の奥がきゅんと甘く疼いた。

 

「まずは……今朝のお詫びと、お礼を」

 

 ノエルはそう呟くと、先端にそっと口づけた。ちゅと小さな音が静かな寝室に響く。それから、本に書いてあった通りにまずは舌先で鈴口を優しく刺激する。先走りが滲み出てきたら、それをすくうように舐め取りゆっくりと喉の奥へと迎え入れていった。

 

「ん……ちゅ……れろ……」

 

 今朝はぎこちなく半分ほどで詰まっていた彼女の口が、今は驚くほど滑らかに旅人を咥え込んでいく。歯を立てないように、唇を内側に巻き込み舌を裏側の筋に沿わせる。頬をすぼめて吸い上げ、時折喉の奥で締め付ける。それらはすべて本に書かれていたことだった。けれど、ノエルがそれをここまで自然にできるのは本の知識だけではない。昨夜、今朝と旅人が自分に与えてくれた快感。その記憶を、今度は自分が返す番なのだという想いが彼女の舌を、唇を、喉を、自然と動かしていた。

 

「ノエル……それ、すごくいい……」

「ん……っ、んむ……」

 

 旅人の低い声がノエルの背筋をぞくぞくさせた。褒められた。気持ちいいと言ってもらえた。それが嬉しくて、ノエルはさらに深く咥え込む。今朝はできなかった深さまで、旅人を迎え入れる。喉の奥が圧迫されて涙が滲むが、それすらも悦びだった。

 

「ノエル……そろそろ……」

「ん……ふ…ご主人様……いっぱい……出してください……私、ぜんぶ……飲みますから……」

 

 ノエルは一度口を離すと、そう告げてまた咥え込んだ。両手で幹を扱きながら、舌で先端を転がす。そして旅人の腰がびくりと跳ねたのを合図に、彼女は喉を開いた。どくんどくんと、熱い奔流が口腔内に放たれる。量が多く一気に飲み込むのは難しかったが、ノエルは必死に喉を鳴らしてそれを嚥下していく。ごくり、ごくりと。飲みきれなかったものが口の端から零れ、彼女の白い頬を伝って落ちていく。それでも彼女は最後の一滴まで絞り出すように吸い上げた。

 

「ぷは……ご主人様……」

 

 口元を手の甲で拭いながらノエルは満足げに微笑んだ。その顔は、今日一日で一番の達成感に満ちている。旅人はそんな彼女の頭をそっと撫でた。

 

「すごいよ、ノエル。すごく……気持ち良かった」

「ありがとうございます。でも……まだ、終わりません」

 

 ノエルは立ち上がると自分のワンピースの裾に手をかけた。するりと布が床に落ち、白い下着だけになった身体が部屋の柔らかな灯りに照らされる。彼女は少し迷った後、その下着にも手をかけた。羞恥に震えながらも、モナからもらった本に書かれていた次の段階へと進むために。

 

「ご主人様。今度は……私の胸で、します」

 

 そう言うと、ノエルは旅人の前に膝立ちになった。そして、慎ましくもモナよりも大きな形の良い自分の双丘で相変わらず萎える様子も見せない旅人のモノをそっと挟み込んだ。始めは恐る恐るだった。本に書いてあった通り、両手で胸を寄せゆっくりと上下に動かす。

 

「これで……合っていますか……?」

「ああ……ノエル、柔らかくて……気持ちいいよ」

 

 旅人の息が少し乱れた。それが嬉しくてノエルは動きを速める。汗ばんだ肌が擦れるたび、ちゅ、くちゅと淫らな音が立った。先端が彼女の胸の間から顔を出すたび、彼女はそこにそっと口づけを落とす。その献身的な愛撫に、旅人の腰が再び震え始める。

 

「ノエル……それ、いい……」

「ご主人様が……気持ちいいって、言ってくださる……嬉しい……」

 

 ノエルは夢中だった。自分の身体で、奉仕で、愛する人が快感を得ている。その事実が彼女自身を更に昂らせた。気づけば彼女の秘所は既に愛液でぐっしょりと濡れていて、床に滴り、小さな水溜りを作り始めている。それでも、今は自分の快楽よりも彼に奉仕する事の悦びの方が大きい。ノエルは動きを止めず、時折、先端を舌で転がしながら旅人の限界を引き出そうとした。

 

「ノエルっ……!そろそろ……!」

「はい……! ご主人様……私の顔に……かけてください……!」

 

 その言葉に、旅人の手がノエルの頭を優しく掴む。そして、胸の間から抜き出された剛直が、彼女の目の前で脈打った。どくんどくんと、白濁が勢いよく放たれる。それはノエルの額に、頬に、唇に、そして胸元にまで飛び散った。ノエルは目を閉じ、その一つ一つを受け止める。顔に降りかかる熱い飛沫を、彼女は恍惚とした表情で味わっていた。

 

「はぁ……はぁ……ご主人様の……いっぱい……」

「ノエル……ごめん、顔に……」

「いいえ。これが……いいんです」

 

 ノエルは頬を伝う白濁を指ですくうとそれを自分の口に運んだ。苦みと塩気、そして旅人の匂いに包まれ、全てが彼女のもので全てが彼のものだった。恍惚とした表情のまま自身に降り注いだ精液を掬い、舐め取り、全てを飲み干していくそのあまりにも淫靡で魅惑的な光景に、旅人は息を呑む。

 

「ノエル、本当に……」

「ご主人様。私、今日一日で……たくさんのことを教えていただきました。尊敬すること、憧れること恋をすること、愛することそして……こうして、身も心も全部で貴方を悦ばせたいと願うこと」

 

 ノエルはしっかり余さず精液を舐め取って立ち上がると旅人の膝にそっと跨がって自分もベットに乗り上げる。旅人の顔の至近距離でまだ絶頂の余韻でとろけた表情のまま、どこまでも澄んでいる瞳で見つめる。

 

「今度は、私の中に……出してください。私の子宮とおまんこで、ご奉仕します」

 

[#ユーザー]

モナから貰った参考書で得た知識から自身の秘所のエッチな呼び方を学んで口にしながら、腰に引っかかったままのワンピースのスカートをたくし上げて、ショーツを履いて来なかった事で煽情的にアピールする。

 

 ノエルは旅人の膝の上に跨ったまま、そっと自分のワンピースの裾に指をかけた。先ほど下着だけを脱いで、ワンピースは腰のあたりに引っかかったままだった。

 

「ご主人様。私……モナさんからいただいた参考書で、いろいろなことを学びました」

 

 彼女は少し躊躇いながらも、意を決したように続ける。

 

「女の人の……その……一番大切なところの……呼び方も」

「呼び方?」

「はい。本には……いくつか載っていて」

 

 ノエルの頬はもう夕暮れの色よりもずっと赤く染まっている。それでも彼女は旅人の瞳から目を逸らさなかった。初めての夜に、初めての自分の身体を初めての言葉で愛する人に差し出そうとしている。

 

「だから……今夜は、私の言葉で言わせてください」

 

 そう言うと、ノエルはゆっくりとワンピースの裾をたくし上げた。白く滑らかな太ももが露わになり、そしてその奥には何も身に着けていない彼女の秘所があった。ショーツは履いていない。洞天に引っ越した今夜、彼女は初めからそのつもりだったのだ。

 

「ノエル……」

 

 旅人の喉が小さく鳴る。ノエルは羞恥に震える指先で裾を腰の上まで持ち上げると、自分の一番柔らかく一番熱い部分を旅人の目の前にあらわにした。ランプの灯りが、しっとりと濡れた花弁を淫らに照らし出す。すでにそこは、彼女自身がどれほど旅人を想っているかを証明するかのように、とろとろと蜜を溢れさせていた。

 

「私の……」

 

 ノエルは唇を震わせながら、本で覚えたその言葉を口にする。恥ずかしさで消え入りそうな声だったけれど、確かに届くように。

 

「私の……おまんこ、です」

 

 その言葉を発した瞬間、ノエルは自分でも驚くほど身体の芯が熱くなるのを感じた。

 言ってはいけない、けれど愛する人になら言ってもいい言葉。その背徳感と甘美さが、彼女の秘所をさらに濡らしていく。

 

「ご主人様のために……こんなに、濡れてしまいました。ショーツを履いてこなかったのは……その、すぐにご主人様を受け入れられるようにで……」

 

 そこまで言ってノエルは自分がなんて淫らな事を言っているのかと再び顔を真っ赤にした。けれど後悔はない。むしろ、旅人が自分を見る目がエッチなものに変わるのを感じて嬉しくなる。驚きと、そして抑えきれない欲の色。昼間の優しいそれとは違う、雄の目。

 

「ノエル……お前、そんなことまで」

「はい。全部……ご主人様に知ってほしかったんです。私が……ご主人様を、どれほど欲しいと思っているか」

 

 ノエルは跨ったまま、そっと腰を揺らした。何も身に着けていない柔らかな部分が、旅人の下腹部に触れる。ぬるりとした感触と、甘い匂いが二人の間に広がった。

 

「本には、もっとたくさんの呼び方が載っていました。でも私……これが一番、好きです」

「どうして?」

「だって……一番、恥ずかしいから」

 

 ノエルはそう言って、ふふっと小さく笑った。その笑顔は年相応のあどけなさを残していて、それなのに下腹部はこんなにも大人びている。そのギャップがたまらなく愛おしくて、旅人は彼女の腰にそっと手を添えた。

 

「ノエル。本当に、いいんだな?」

「はい。ご主人様……いえ、空様。今夜は私の全部を貴方に捧げます」

 

ノエルは旅人の首に両腕を回すと自らゆっくりと腰を沈めていった。先ほどまで口と胸で奉仕していた熱い剛直が、今度は彼女の一番深い場所へと届こうとしている。

 

「あ……ぁ…空様のが……私の、おまんこに……入って……きます……っ」

 

 その言葉はもう羞恥ではなく悦びだった。本で得た知識が、自分の身体を通して本物になっていく。愛する人の形が、自分の内側を少しずつ満たしていく。それは、ノエルが想像していた以上にずっと――官能的で、幸福な感覚だった。

 

「ノエル……」

「あっ……! 全部……入りました……」

 

 ようやく腰が旅人の上に完全に収まった。結合部からは、彼女の蜜と先ほどの名残が混ざり合ってとろりとした雫がこぼれ落ちる。ノエルは旅人の肩にしがみつきながら、荒い息を繰り返していた。

 

「動いて……いいですか?」

「ああ。ノエルのペースで」

 

 その言葉に甘えて、ノエルはゆっくりと腰を上下に動かし始めた。最初はぎこちなく、けれど少しずつ本で学んだリズムを思い出しながら。

 

「あっ……あっ……空様……気持ちいい……です……。私の……おまんこ、空様ので……いっぱい……」

 

 自分で腰を振りながら自分の口でそう言うたび、ノエルの身体は正直に反応する。膣の奥がきゅうきゅうと締まり、もっと深くもっと激しくとせがむように旅人を締め付ける。それでも彼女は決して乱暴にはなれなかった。ただ、ひたむきに愛おしげに、旅人の上で腰を揺らし続けた。

 

 ノエルは旅人の手が自分の腰を掴み主導権を握ろうとするのを、そっとしかしはっきりと制した。

 

「だめ……です、空様。今夜は私がご奉仕します。空様は……ただ、気持ち良くなっていてください」

 

 その言葉に旅人は少し驚いたように目を瞬かせたが、やがて観念したようにベッドのシーツを掴んだ。ノエルは満足げに微笑むと、再びゆっくりと腰を動かし始める。彼女の動きは実に丁寧だった。本で学んだ知識と、この一日で身体に刻まれた感覚。それらを総動員して、彼女はただひたすらに旅人を悦ばせることだけを考えた。

 

「空様の……ここが……一番気持ちいいんですよね……?」

 

 ノエルは膣の角度を微妙に変えながら旅人の最も敏感な部分を探り当てていく。本には膣の内側の構造や、男性が悦ぶポイントが図解付きで載っていた。それを思い出しながら、彼女は自分の中の旅人を優しく締め付けた。

 

「んっ……ノエル……それ、すごくいい……」

「本当ですか……? 嬉しい……」

 

 旅人の声が少し上ずる。ノエルはそれがたまらなく愛おしくて、もっと彼を悦ばせたいという欲求が胸の奥から湧き上がってくる。彼女は腰の動きに緩急をつけ始めた。ゆっくりと深く沈めてから、今度は小刻みに速く。時には円を描くように腰を回し、亀頭が膣壁のあらゆる場所を擦るように。そして時折、自分の子宮口に彼の先端をぐりぐりと押し付けるように腰を揺らした。

 

「あっ……空様……私の子宮……空様ので……ノックしてます……」

「ノエル……っ!」

「ふふ……本に書いてありました。これが……一番、男性が悦ぶって」

 

 ノエルは汗ばんだ前髪をかき上げながら恍惚とした表情で旅人を見下ろした。その瞳はもう初々しさだけではない。一人の女として、愛する男を悦ばせているという確かな悦びと、そして誇りに満ちていた。彼女の腰の動きはどんどん滑らかになっていく。もはや本の知識など必要ない。旅人の反応、息遣いそして自分の内側で脈打つ彼の鼓動。それらすべてが、ノエルに次の動きを教えてくれる。

 

「空様……ここ、好きですか? 私の……おまんこの奥……」

「ああ……ノエル、最高だ……」

「嬉しい……もっと、もっと……気持ち良くなってください……!」

 

 ノエルは前のめりになり、旅人の胸に手をついて体重をかけた。その体勢で今度は激しく腰を上下に振り始める。ぱちゅん、ぱちゅんと二人の結合部からは激しい水音が響き渡った。彼女の小さな身体全体を使って、旅人の剛直を根元まで咥え込みそして先端が抜けそうになるまで引き上げる。そのたびに、彼女の膣内がうねうねと旅人を締め付けた。

 

「あっ、あっ、空様……! 私……もう……」

「ノエル……俺も……そろそろ……」

「だめ……! まだ、だめです……!」

 

 ノエルは旅人の限界を感じ取るとあえてそこで動きを止めた。そして浅くゆっくりと腰を揺らし始める。旅人が息を詰まらせて腰を浮かせようとするのを、彼女はそっと手で押さえた。

 

「空様……私が、イかせてあげます。空様は……何もしなくていいんです」

 

 その言葉通り、ノエルは再び緩やかな動きから始めた。今度はさっきよりもずっとゆっくりと、そして丁寧に。まるで旅人の快感を一歩ずつ高めていくかのように。彼女は自分の中の旅人の形を確かめるように腰を回し、先端が最も敏感な部分に当たる角度を探り当てた。

 

「ここ……ですか?」

「っ……ああ……そこ……」

「ふふ……当たり、ですね」

 

 ノエルはそこを集中的に攻め始めた。深く沈めては浅く引き、そしてまた深く。一定のリズムを刻みながら、そのたびに子宮口を亀頭で優しく叩く。彼女自身もまた、その動きによって膣壁の敏感な部分を擦られ、全身に甘い痺れが広がっていく。それでも彼女は自分の絶頂よりも、旅人の快感を優先させた。額に汗を滲ませながら、髪を振り乱しながらそれでも彼女は微笑みを絶やさずに腰を動かし続ける。

 

「空様……空様……私の、大好きな……空様……」

「ノエル……!」

「もっと……もっと気持ち良くなって……そして……私の子宮に……」

 

 ノエルの限界が近づいていた。旅人の剛直がさらに硬度を増し、彼女の内側で脈打ち始めている。それに呼応するように、ノエル自身の子宮も収縮を繰り返し旅人をより深く迎え入れようとしていた。

 

「空様……もう……私も……!」

「ノエル……出すよ……!」

「はい……! ください……! 空様の……熱いの……私の子宮で……いっぱい……!」

 

 限界を迎えたノエルは今度は激しく旅人の腰に自分の腰を打ち付けた。ぱちゅんっ、ぱちゅんっと激しい音が寝室に響き渡る。彼女の豊かな胸が上下に揺れ、汗が飛び散った。旅人もまたもう我慢の限界だった。

 

「ノエルっ……!」

「ああぁっ……! 空様……! 来て……! 私の中で……いっぱい……!」

 

 どくんっ、どくんっ、どくんっと旅人の精がノエルの最奥で放たれた。熱く煮えたぎった奔流が、彼女の子宮を直接満たしていく。その圧倒的な熱と量に、ノエルは背中を仰け反らせた。

 

「ひぁあぁっ!!」

 

 膣内が激しく痙攣し、旅人の剛直をぎゅうぎゅうと締め付ける。それでも旅人の射精は止まらず、二度、三度と続けて注がれた。ノエルはそのすべてを、自らの子宮で受け止めた。彼女の下腹部が旅人の精で満たされていく感覚。その圧倒的な充足感に、ノエルの意識は真っ白に染まっていく。

 

「はぁ……はぁ……空様……」

 

 ようやく射精が収まると、ノエルはそのまま力尽きたように旅人の胸に倒れ込んだ。結合したまま、二人は荒い息を繰り返す。ノエルの膣内では、まだ旅人の剛直が脈打っていて注がれた精が少しずつ溢れ出し、二人の結合部からとろりとシーツに滴り落ちていく。

 

「ノエル……すごかったよ……」

「ふふ……ありがとうございます……空様」

 

 ノエルは旅人の胸に頬を擦り寄せながら小さく笑った。その顔は、今まで見せたどの表情よりも満ち足りていて、そして幸せそうだった。

 

「私……今日、この洞天に来て……本当に良かったです。ご主人様の……空様の、一番近くにいられて……こうして、私の全部を捧げられて……」

 

 ノエルはそう言うとそっと自分のお腹に手を当てた。そこには、たった今注がれた旅人の熱がまだ確かに残っている。もしかしたら、この中で新しい命が芽生え始めているかもしれない。その想いが、ノエルの胸を温かい幸福感でいっぱいにした。

 

「空様……」

「なに?」

「私……もっと、強くなります。騎士としても女としても、いつかは母としても。だから……これからも、ずっと……」

 

 ノエルは言葉を切ると、旅人の目を真っ直ぐに見つめた。

 

「ずっと、貴方のそばにいさせてください」

 

 旅人は何も言わずにノエルを抱きしめた。その腕の強さが、彼女への答えだった。

 それから二人は見つめ合いやがて口づけを交わす。互いの口内を味わうように舌を絡め、旅人が腰を揺らし、ノエルが腰を振るう。旅人の寝室に、淫らで艶めかしい水音と可愛らしい嬌声が響き続ける。

 それは洞天の夜に静かに溶けてゆく。窓の外では、満天の星が二人の愛を祝福するように輝き照らし続けていた。

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