※この作品はR-18です。

意外と可愛い根暗陰キャ女子   作:モッチー7

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第4話:海水浴で青姦

(なんで俺はこんなことになってるんだろう)

 

八月の炎天下。目の前に広がるのはエメラルドグリーンの海と、白い砂浜。そして無数の海水浴客。

 

その中で俺、白石誠冬は、一人の女子と向き合っていた。

 

「白石くん、これ……変じゃないですか?」

 

雪澤柊佳は不安そうに自分の水着を見下ろしている。白を基調にしたシンプルなビキニ。でもその布地は、彼女の圧倒的なボリュームを隠しきれていなかった。

 

(変どころか、めちゃくちゃエロいんだが……!)

 

俺は心の中で絶叫した。

 

ことの始まりは三日前。

 

「海?」

 

放課後の教室で、柊佳が突然そんなことを言い出した。

 

「はい。彼女として、一度は彼氏と海に行くべきかなって」

 

あの日から二か月。俺と柊佳の関係は、周囲が呆れるほどのバカップルぶりを見せていた。毎日一緒に登下校し、昼休みは手作り弁当を食べ放課後はどちらかの家で勉強(と称したイチャイチャ)をする。

 

「罰ゲームで付き合い始めたんだろ? なんでそんなラブラブなんだよ」

 

男友達にそうツッコまれることも増えた。

 

「うるせえ。今はガチだ」

 

俺がそう返すと、友達はあきれ顔で笑った。

 

でも本当に、今はガチだった。柊佳と過ごす時間が俺の中でどんどん大きな割合を占めていく。あの陰気なパーカー姿からは想像もつかなかったけど、彼女は驚くほど愛情深くて一途で、そして時々小悪魔みたいな一面も見せる。

 

「で、海ってどこの?」

「えっと……ちょっと遠いですけど、人があんまりいないところがいいかなって」

 

柊佳はスマホで検索しながら言った。

 

「人が多いと……その……恥ずかしいので」

「水着が?」

「はい。私、スタイルに自信ないし……」

 

(未だにそれ言うか)

 

あれだけ肌を重ねてもなお、柊佳の自己評価は相変わらず低かった。むしろ、付き合い始めてから余計に気にするようになった気がする。

 

「私みたいなのが彼女で、白石くん恥ずかしくないですか」

「は? むしろ自慢の彼女だわ」

「そ、そんなこと言って……」

「本当だって」

 

こんな会話を何度繰り返したかわからない。

 

とにかくそういうわけで俺たちは少しマイナーな海水浴場に来ていた。電車とバスを乗り継いで二時間。確かに人はまばらで、プライベートビーチ感がある。

 

「変じゃないですよね……?」

 

柊佳はまだもじもじしている。黒いビキニは彼女の白い肌によく映えていた。いつもパーカーで隠しているせいで真っ白な肌。でも今はその大部分が露出している。

 

【挿絵表示】

 

(くびれえっぐ……そして胸が……)

 

Jカップの破壊力は水着になっても健在だった。むしろ普段より強調されている気がする。細い肩ひもが今にも切れそうで、見ているこっちがハラハラする。

 

「変じゃない。すごく……似合ってる」

「本当ですか? でもやっぱり私には過ぎた水着かも……パーカー着てきます」

「海でパーカーは逆に目立つからやめろ」

 

俺が止めると、柊佳はしぶしぶながらもパーカーを諦めた。

 

「じゃあ、海入りましょうか」

「おう」

 

手をつないで波打ち際へ。柊佳の手は少し震えていた。

 

「冷たい!」

「気持ちいいだろ」

「はい……でもなんか、白石くんと海に来るの夢みたいです」

「大げさだな」

「大げさじゃないです。私、去年まで誰かと海に来るなんて考えたこともなかったから」

 

そう言って微笑む柊佳の顔は、あの頃とは別人のように明るい。前髪も少しだけ短くなって、目元がよく見えるようになった。

 

「高校デビューできなかったけど、彼氏デビューはできました」

「何言ってんだよ」

「えへへ」

 

しばらく泳いだり砂浜で休んだり。スイカ割りをしようとしたらスイカを忘れてきたり。砂に埋め合ったり。そんな他愛ない時間が、やけに楽しかった。

 

「あの、白石くん」

「ん?」

「そろそろお昼にしませんか。お弁当作ってきました」

「まじか。ありがとう」

 

柊佳は大きなクーラーバッグから三段重ねのお重を取り出した。

 

「ちょっと作りすぎました……」

「ちょっとどころじゃねえなこれ」

 

からあげに卵焼き、ポテトサラダにサンドイッチそしてデザートのフルーツまで。どれも手が込んでいて美味そうだ。

 

「いただきます」

「どうぞ。あ、海苔がついてます」

 

柊佳が手を伸ばして俺の口元に触れる。その指先が、やけに色っぽく感じたのは気のせいだろうか。

 

「とれた?」

「はい」

 

そう言って、柊佳はその海苔を自分の口に入れた。

 

(今の間接キスじゃね?)

 

いや、そんなことは今さらか。直接のキスもそれ以上も、もう数えきれないほどしてるし。

 

「白石くん?」

「いや、なんでもない。美味いわこれ」

「よかった。朝早く起きて作った甲斐がありました」

 

柊佳のそういうところ。俺のために朝早く起きて、何時間もかけて料理して。それを当たり前のようにやってのける。

 

(ほんと、できた彼女だよな……)

 

しみじみ思いながらからあげを頬張る。

 

昼食の後、俺たちは少し離れた岩場の方へ散歩に行った。人がほとんどいない小さな入り江で、波の音だけが響いている。

 

「ここ、秘密の場所みたい」

「だな」

 

柊佳は岩に腰掛けて海を眺めている。その横顔が、やけに絵になって見えた。

 

(こいつ、やっぱり美人だよな……)

 

付き合い始めた頃は「陰キャ」だの「地味」だの言われていた柊佳。でも今は違う。クラスメイトたちも「雪澤さん最近かわいくなったよね」と言い始めている。

 

前髪を少し切って、服も少しずつ変えて。何より表情が明るくなった。笑うことが増えて、人と話すのも前よりできるようになった。

 

「白石くんのおかげです」

「俺は別に何も」

「ううん。白石くんが私を好きになってくれたから、私も自分を少しだけ好きになれました」

 

そう言って振り返った柊佳の目が、あまりにも真っ直ぐで。

 

気がつけば、俺は彼女にキスをしていた。

 

「んっ……」

「……悪い」

「なんで謝るんですか」

「いや、なんとなく」

 

柊佳はくすっと笑って、自分からもう一度キスをしてきた。今度は深く。舌が絡む。

 

「白石くん……」

「ここ、人いないよな」

「はい……たぶん」

 

柊佳の目がとろんと潤んでいく。その表情に、俺の理性はあっさりと吹き飛んだ。

 

「柊佳……」

「私……白石くんなら、どこでもいいです」

 

それが合図だった。

 

岩場の影になった場所に移動して、俺たちはお互いの水着をずらした。柊佳の白い肌が、太陽の下でまぶしく光る。

 

「誰か来ませんかね……」

「大丈夫だろ。もし来たら隠れる」

「白石くん、そういうとこ大胆ですよね」

「お前が誘ったんだろ」

「……否定できません」

 

柊佳は恥ずかしそうに笑いながら、俺の首に腕を回した。

 

波の音と、時々聞こえる遠くの笑い声。それ以外は俺たちだけの世界だった。

 

「白石くん……好き……」

「俺も……」

 

ゆっくりと、周囲を警戒しながらも確かめるように繋がっていく。

 

(青姦とか……俺もついにここまで来たか……)

 

そんなことを考えながらも身体は正直だった。柊佳の内部はいつも通り熱くて、俺を拒むどころか積極的に求めてくる。

 

「あっ……ああっ……白石くん……」

「声、抑えろって」

「だって……気持ちよくて……んんっ!」

 

自分の手で口を押さえる柊佳。その仕草が余計に興奮を煽る。

 

(やばい……外なのに気持ちよすぎる……)

 

開放的な環境のせいか、いつもより感度が増している気がした。柊佳も同じなのか、いつもより激しく俺を求めてくる。

 

「もっと……もっと……」

「柊佳……俺、もう……」

「いい……どこに出しても……」

「でも……」

「お願い……」

 

結局、俺はまた中に出してしまった。最近、避妊するタイミングを逃すことが増えている。お互いに。

 

「……出した」

「はい……白石くんの、感じます……」

 

荒い息を整えながら、俺たちはしばらく抱き合っていた。

 

「妊娠したらどうしますか」

「責任取る」

「またそれ」

「本当だって」

 

柊佳は俺の胸に顔を埋めて、小さく笑った。

 

「白石くんって、意外と責任感強いですよね」

「意外とってなんだよ」

「罰ゲームで告白した時は、もっと軽い人かと思ってました」

「……それは返す言葉もない」

 

俺が罰ゲームで告白したことは、もう二人の間では笑い話になっている。

 

「でも、あの罰ゲームがなかったら私白石くんと付き合えてなかったです」

「まあ……そうだな」

「だから、あの時の白石くんの友達には感謝してます」

「アイツら今度奢らせるわ」

 

そんなたわいもない会話をしながら、俺たちは水着を直して岩場を出た。

 

午後はまた普通に泳いで砂浜でアイスを食べて、貝殻を拾って。そんな一日を過ごした。

 

夕方、帰りの電車の中。

 

柊佳は疲れたのか、俺の肩にもたれて眠っている。その寝顔は無防備で、長いまつげが影を落としていた。

 

(かわいいな……)

 

素直にそう思う。付き合い始めた頃は「罰ゲームだから」と自分に言い聞かせていたのに、今はもうそんな言い訳は必要なかった。

 

(俺、柊佳のこと本気で好きになってる)

 

改めて自覚すると、胸が苦しくなる。これは罰ゲームの延長なんかじゃない。本物の恋だ。

 

(でも、最初は罰ゲームだったって事実は消えないよな……)

 

柊佳はもう気にしていないと言う。でも俺の中では、ずっと引っかかっている。この関係の始まりが「罰ゲーム」だったという事実が。

 

(いつか、ちゃんとやり直したい)

 

たとえば、もう一度告白するとか。今度は本気で。

 

「……白石くん」

 

柊佳が寝言で俺の名前を呼んだ。

 

「好き……白石くん……」

 

(くっ……!)

 

俺は心臓を鷲掴みにされたような気分になった。

 

(かわいすぎるだろこの彼女……!)

 

そして同時に、自分がどれほど柊佳に救われているかも実感する。

 

柊佳と付き合う前の俺は、ただの平凡な男子高校生だった。特に目標もなく、友達とだらだら過ごして。でも今は違う。

 

(柊佳を幸せにしたい。そのために、ちゃんとした大人になろう)

 

そんなことを考え始めている自分に驚く。

 

「ん……ここどこですか」

「まだ電車。もう少しで着くよ」

「そっか……白石くんの肩、借りちゃってすみません」

「別にいいよ。お前の寝顔見てたら暇つぶしになったし」

「見てたんですか!? 恥ずかしい……」

 

柊佳は顔を真っ赤にして俯いた。

 

「そういえば白石くん」

「ん?」

「今日、本当に楽しかったです。ありがとうございました」

「こちらこそ。また行こうな」

「はい!」

 

柊佳の笑顔が、夕日に照らされてキラキラ輝いている。

 

(俺この笑顔のために生きてるまであるな)

 

そんな大げさなことを本気で思った。

 

家に帰ってから、俺はスマホのアルバムを開いた。今日撮った写真の数々。海ではしゃぐ柊佳、スイカの代わりにスイカバーでポーズを取る柊佳、貝殻を拾って嬉しそうな柊佳。

 

(保存保存っと)

 

気がつけば俺のスマホは柊佳の写真で埋め尽くされていた。付き合う前の写真はほとんどない。あの頃は、写真を撮ろうなんて思わなかったから。

 

通知音が鳴る。

 

\\\\\\\\<雪澤柊佳: 今日は本当にありがとうございました。私にとって一生の思い出です。白石くんの彼女でよかった。大好きです。おやすみなさい\\\\\\\\>

 

相変わらずのストレートなメッセージに、俺は思わずニヤける。

 

\\\\\\\\<俺も楽しかった。またどこか行こう。おやすみ\\\\\\\\>

 

返信してから、俺はベッドに仰向けに寝転がった。

 

(柊佳のこと考えると、胸が苦しいんだけどこれが恋ってやつか)

 

最初は罰ゲームだった。でも今は、この恋が俺の全てになりつつある。

 

(明日も明後日も、その先もずっと柊佳と一緒にいたい)

 

そんなことを考えながら、俺は彼女からの「おやすみ」スタンプ(最近使えるようになった)を見つめて眠りについた。

 

明日もまた、俺は柊佳に恋をするんだろう。

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