※この作品はR-18です。

意外と可愛い根暗陰キャ女子   作:モッチー7

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第6話:黒雲驟雨の暴走

土曜日の校庭。秋の気配を含んだ風が吹き抜ける中、俺は信じられない光景を目の当たりにしていた。

 

「私の勝ちです」

 

柊佳がぺこりと頭を下げる。

 

「ぐぬぬぬぬぬ……!」

 

黒雲驟雨は地面に膝をつき、拳を震わせていた。

 

勝負の結果は三本勝負で柊佳の二勝一敗。第一種目の大食い対決は意外にも柊佳が勝利した。第二種目の五十メートル走は黒雲の圧勝だったが、第三種目のポーカー対決で柊佳が奇跡のロイヤルストレートフラッシュを決めたのだ。

 

「なんでポーカーなんてやったんだ俺様は……!」

 

「驟雨様が決めた種目です」

 

「うるさい! 黙れ!」

 

中学時代、ポーカーで黒雲に負けたことがあるのを俺は思い出した。柊佳に「白石くんの仇を取ります」と真面目な顔で言われた時は笑ってしまったが、まさか本当に勝つとは。

 

「覚えてろよ雪澤! 今日のところは引き下がってやる!」

 

黒雲は涙目で走り去って行った。校庭の隅の方へ。

 

「大丈夫ですかね」

 

「まあ、そのうち戻ってくるだろ」

 

俺たちがそんな会話をしていると、突然校庭の隅から叫び声が聞こえた。

 

「うわあああ! なにすんだ!」

 

「黙れ! 俺様のストレス発散に付き合え!」

 

俺と柊佳は顔を見合わせてから、慌てて声のした方へ走った。

 

体育館裏の物置の影。そこで見たものは、俺の想像を遥かに超えていた。

 

「んぐっ……んぶっ……」

 

黒雲驟雨が、見知らぬ男子生徒の股間に顔を埋めている。

 

「な、なにしてんの!?」

 

俺が叫ぶと、黒雲はちらりとこっちを見て口元をだらしなく濡らしながら言った。

 

「なにって、フェラだけど」

 

「はあ!?」

 

あまりにもあっけらかんとした返答に、俺の思考が停止する。

 

「せ、せめて手を出そうと思ったけど手使うのは負けな気がしたから口にした」

 

「意味わかんねえよ!」

 

男子生徒は完全にパニック状態だったが、下半身は正直に反応している。

 

「や、やめろって……あっ……」

 

「うるさい。いいから気持ちよくなれ」

 

黒雲は再び顔を埋めた。その動きは乱暴でとても上手いとは言えない。でも、相手の男子生徒は明らかに感じているようだった。

 

「ああっ……!」

 

「ふん、どうだ。俺様の口の気持ちよさを思い知ったか」

 

顔を上げた黒雲の口元から銀色の糸が引く。その表情は、さっきまで悔し泣きしていたのと同じ人間とは思えないほど、嗜虐的な笑みを浮かべていた。

 

「このまま最後までしてやる。感謝しろよ」

 

「ちょ、ちょっと待て驟雨! なにやってんだよ!」

 

「なにって、こいつで童貞捨てるんだよ」

 

「なんでそうなるんだ!」

 

「だって、あの乳女はもうマコトとしてるんだろ? 俺様だけが何も知らないのは不公平だ」

 

理屈がめちゃくちゃすぎる。

 

「それに、勝負に負けてイライラしてるから発散したい」

 

「お前なあ……」

 

俺が止める間もなく、黒雲は男子生徒を押し倒すとその上に馬乗りになった。

 

「あっ……ちょ、マジで……?」

 

「動くなよ。俺様が全部してやるから」

 

スカートの下の下着をずらし、黒雲は男子生徒の上にゆっくりと腰を下ろしていく。

 

「んっ……!」

 

「うわあっ……!」

 

二人分の声が重なった。黒雲の顔が痛みで歪む。

 

「ぐ……思ったより痛いな……」

 

「驟雨様……血が出てる……」

 

柊佳が心配そうに指さす。確かに、結合部から赤いものが伝っていた。

 

「うるさい。これくらい平気だ」

 

「無理すんなって……」

 

「マコトは黙って見てろ!」

 

黒雲は腰を動かし始めた。最初はぎこちなかったが、次第に動きはスムーズになっていく。

 

「あっ……ああっ……なにこれ……」

 

「くっ……!」

 

男子生徒の方ももう抵抗する気はないらしい。むしろ、積極的に腰を動かし始めている。

 

「あっあっあっ! なんだこれ気持ちいい……!」

 

「黙れ! 気持ちいいとか言うな! ああっ……!」

 

結局、二人はそのまましばらく腰を振り続け、同時に絶頂を迎えたらしい。

 

「……はあ、はあ……」

 

「ふう……」

 

黒雲はゆっくりと男子生徒から離れると、乱れたスカートを直しながら立ち上がった。

 

「どうだ見たか。俺様だってやればできるんだ」

 

「できるできないの問題じゃねえよ……」

 

俺は頭を抱えた。男子生徒の方はというと、放心状態で空を見上げている。

 

「おい、お前名前は?」

 

「た、田中です……」

 

「田中な。今日のことは忘れろ。いや、忘れなくていい。お前は今日俺様に童貞を捧げたんだ。光栄に思え」

 

「は、はい……」

 

田中と呼ばれた男子生徒は、わけがわからないまま頷いている。

 

「じゃあな」

 

黒雲はそれだけ言うとスタスタと去って行った。その後ろ姿は、相変わらず威風堂々としている。

 

「……なんだったんだ」

 

俺は大きなため息をついた。

 

「白石くん」

「ん?」

「私、なんか……すごいものを見てしまった気がします」

「俺もだよ」

 

柊佳はまだぼんやりと黒雲が去った方向を見つめている。

 

「あの人、やっぱり私と似てるかも」

「どの辺が?」

「不器用なところです」

 

柊佳はそう言って、小さく笑った。

 

「きっと黒雲さんも、誰かと繋がりたくて必死なんだと思います」

「……だとしても、やり方がめちゃくちゃすぎるだろ」

「でも、私も最初はそうでした。白石くんに話しかけるのだって、すごく勇気がいって……もしあの時、罰ゲームでもなんでもきっかけがなかったら」

 

柊佳は俺の手を握った。

 

「今こうして白石くんと一緒にいられなかったかもしれません」

「柊佳……」

「だから、ちょっとだけ黒雲さんの気持ちがわかる気がします」

 

(俺にはよくわからんが……)

 

でも、柊佳がそう言うならそうなのかもしれない。

 

「なあ柊佳」

「はい」

「お前の家、今誰かいる?」

「今日は両親とも出かけてて……」

 

柊佳の顔が、みるみる赤くなる。

 

「だから、その……」

「わ、私も白石くんとしたいです」

「お前な……」

「だって、黒雲さんがしてるの見てたら私もなんか……」

 

柊佳は恥ずかしそうに俯いた。

 

「ダメですか?」

「……ダメじゃない」

 

俺たちは手を繋いで校門を出た。後ろでは、まだ田中が放心状態で寝転がっている。

 

「あいつ、大丈夫かな」

「あとで声かけておきます」

 

そんなことを話しながら、俺たちは柊佳の家へと向かった。

 

「お邪魔します」

「どうぞ。今お茶入れますね」

「いらない。それよりこっち」

 

俺は柊佳の手を引いて、彼女の部屋へ直行した。

 

相変わらず片付いた部屋。本棚には恋愛小説が並び、机の上には参考書。そしてベッドの枕元には俺と撮った写真が飾ってある。

 

「これ、いつ撮ったんだっけ」

「夏休みの花火大会です」

「懐かしいな」

「はい。私の宝物です」

 

柊佳はそう言って、写真立てをそっと撫でた。

 

「今日は、また新しい思い出ができますね」

「そうだな」

 

俺は柊佳を抱きしめて、ベッドに倒れ込んだ。

 

パーカーを脱がせると現れるのはいつもながらの美しい肢体。白い肌に、豊かな胸。何度見ても見慣れない。

 

「綺麗だ」

「ありがとうございます。でも、白石くんにそう言われるまでは自分の体が嫌いでした」

「もったいない」

「今は……好きになれそうです。白石くんが好きだって言ってくれるから」

 

柊佳は俺の頬に手を当てて、そっとキスをした。

 

「大好きです」

「俺も好きだ」

 

ゆっくりと、確かめるように愛撫を始める。

 

「んっ……白石くん……」

「気持ちいいか」

「はい……すごく……」

 

指を動かすたびに柊佳の身体が敏感に反応する。もう何度も抱いているのに、彼女の反応は初々しいままだ。

 

「あっ……そこ……」

「ここか」

「ああっ!」

 

柊佳が大きく仰け反る。その姿が美しくて、愛しくて。

 

「入れていいか」

「はい……来てください……」

 

ゆっくりと繋がる。何度経験しても、この瞬間は格別だ。

 

「ああっ……白石くん……」

「柊佳……」

 

俺は彼女の名前を呼びながら、ゆっくりと腰を動かした。

 

「好き……好きです……」

「俺も……柊佳……」

 

互いの体温が混ざり合い、吐息が重なる。

 

「もっと……もっと奥……」

「ここか」

「ああっ! そこ……!」

 

柊佳の内部が、俺をぎゅっと締め付ける。

 

「やばい……イきそう……」

「私も……一緒に……」

「柊佳……!」

「あああっ!」

 

同時に絶頂を迎え、俺は柊佳の中に熱を放った。

 

「はあ……はあ……」

「……白石くん……」

 

荒い息を整えながら、俺たちは抱き合ったまましばらく動けなかった。

 

「今日も中に出しちゃった」

「いいんです。白石くんなら」

「本当に妊娠したらどうする」

「その時は、一緒に育てましょう」

 

柊佳は幸せそうに微笑んだ。

 

「私、白石くんとの子供なら何人でも欲しいです」

「お前なあ……高校生だぞ」

「わかってます。でも、いつかそうなれたらいいなって」

 

(この彼女、将来設計まで考えてやがる……)

 

でも、不思議と嫌な気はしなかった。

 

「そうだな。いつか、な」

 

俺がそう言うと、柊佳は嬉しそうに何度も頷いた。

 

夕方、家に帰る道すがら、スマホに通知が届いた。

 

\\\\\\<黒雲驟雨: 今日のことは忘れろ。でも、雪澤にはまだ負けたとは思ってないからな\\\\\\\\\\\\>

 

(どこで俺の連絡先知ったんだこいつ)

 

\\\\\\<白石誠冬: お前なあ……今日は色々やりすぎだろ\\\\\\\\\\\\>

 

\\\\\\<黒雲驟雨: うるさい。俺様は俺様のやり方でやる。それと、今度こそ雪澤に勝つから覚悟しとけ\\\\\\\\\\\\>

 

\\\\\\<白石誠冬: もう勝負はいいって\\\\\\\\\\\\>

 

\\\\\\<黒雲驟雨: だめだ。俺様が納得してない\\\\\\\\\\\\>

 

(面倒くさいやつだなあ……)

 

でも、不思議と嫌な気はしなかった。昔からこいつはこうだった。何かに夢中になると、周りが見えなくなる。それが行き過ぎることもしばしばだけど。

 

家に着くと、柊佳からもメッセージが届いていた。

 

\\\\\\<雪澤柊佳: 今日は本当にありがとうございました。勝負も、そのあとも……私にとって忘れられない一日になりました。白石くん、大好きです。おやすみなさい\\\\\\\\\\\\>

 

\\\\\\<白石誠冬: こちらこそ。ゆっくり休めよ。おやすみ\\\\\\\\\\\\>

 

スマホを置いて、俺は天井を見上げた。

 

黒雲驟雨という台風のような転校生が来てまた日常が騒がしくなりそうだ。でも、柊佳とならどんな波乱も乗り越えられる気がする。

 

(それにしても、黒雲は大丈夫か……)

 

処女をあんな形で捨てて、相手は名前も知らない男子生徒。後悔してないといいけど。

 

(いや、あいつは後悔しなさそうだな……)

 

むしろ、開き直って「俺様はもう大人だ」とか言い出しそうだ。

 

そう思うと、少しだけ笑えてきた。

 

(明日、学校でどんな顔して会えばいいんだろうな)

 

そんなことを考えながら、俺はゆっくりと目を閉じた。

 

明日はまた、騒がしい一日になりそうだ。

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