異世界転生、と言っていいのだろうか。
チャリで車に轢かれて死んだ。信号無視のクソ車。
もっとやりたいことやっときゃよかったと、具体的には童貞卒業したかったと後悔しながら死んだ。
目が覚めると同時に記憶が流れ込んできた。
自分がなんかエロい異世界にいること。
12歳の少年、アイクであること。
幼馴染のリーナと遊んでて、急に突き飛ばされたこと。
目の前で倒れているリーナが、どうやら落石から俺を庇って顔面が血まみれになって気を失っていること。
え、やば、血まみれじゃん。
こんな血だらけの人初めて見た。
まあ、死ぬ直前の自分を除けば、だけど。
焦りとか申し訳なさとかで吐きそうになりながら、なんとか落ち着いて考える。
合計すれば30歳分ぐらいの経験を積んでいるのだ。合計していいのかわからないけど。
まずは大人を呼ぶことにした。
家族でピクニックに来たところだから、そう遠くないところに親がいるはずだ。
「助けてお母さーん!」
叫んでから30秒もしないうちに俺の声に応えて2人のお母さんが来てくれた。はっや。目の前で止まるまで姿がぶれて見えるぐらいの速さだった。さすが冒険者をやってただけある。
黒髪で気が強そうな俺の母と茶髪でおっとりしたリーナの母。どちらも俺の育ての親だ。
「アイク大丈夫⁉︎」と、2人が俺の全身を撫で回すように確認してくるので、男子の身の安全を第一に考えるこの異世界のギャップを実感しつつ、
「俺じゃなくてリーナ!血だらけ!俺を庇って!」
と伝えるとやっとリーナの方の確認を始めてくれた。
お母さんたちがリーナの状態の確認を終えたようなので、助かるのか聞いてみる。
「大丈夫よ。このくらいの傷で死にはしないから。落ち着きなさい」
「それにね、リーナはもうポーションが効く年だから、街に戻ればすぐ治せるわ」
「傷跡、残らない?」
「うーん、街まで時間がかかっちゃうから、傷跡は残るかもだけど。アイクくんを庇った傷なら勲章だよ」
常識の違いを突きつけられた気分だった。
勲章?女の子の顔にできた傷跡が?
俯いて考える。
ああそうか、ここは異世界だ。女子より男子が圧倒的に大切にされる異世界。狂ってる。
ああそうだ、俺は死んだんだ。やりたいことをやらず、後悔しながら死んだ。
頭の中で、点と点が繋がるような感覚。すっきりする。
そうだ、やりたいことはやらなきゃ。やっていいんだ。世界が狂ってるんだから、俺がもっと狂わないと。
顔を上げる。
「ねえお母さん。街のポーションだと傷跡が残るんなら、俺が出すよ。」
記憶によるとこの世界では、どうやら精液が女の子の回復薬になる。
俺は2人の母親に、射精を宣言した。
魔物が出ない森に家族で遊びに来ただけなので、母たちはポーションを持ち合わせていませんでした。