引越しも大体終わった。
いくら綺麗にリフォームしてあるといってもドタバタと荷物を運び入れたりしていたら埃も立つし部屋も汚れる。
引越し業者が帰った後、僕は細かい荷物の整理やらちょっと気になった引き戸の溝の汚れなんかを拭き掃除をしていた。
「パパ~。二階の掃除終わったよ~」二階からサヤカがドタドタと降りてきた。
とりあえずサヤカはいつものTシャツとスカート姿だ。浴衣じゃ汚れてしまうからね。
髪形はお団子ヘアのままだけど。
「ね、パパ。そろそろ夕方だよ。もう夜店とか出てるよ」
サヤカは花火大会が楽しみで仕方が無いらしい。ずっとソワソワしている。
「そうだな。掃除はこんなもんでいいだろ。パパはもう少し一階を片付けているから、先にカオリの家に行ってていいよ」
「うん!」
サヤカが嬉しそうに頷いて、あっという間に駆けて行ってしまった。
「そんなに全速力で走らなくてもいいのにな……」と僕は呟いた。
僕は庭へ出てみた。自分の家を眺める。まぁ見た目は古いがこれは僕の家だ。自分の城だ。思えばずっとアパート暮らしだったし、実家も借家だった。
「生まれて初めての自分の家」そう思うと感慨も深い。
僕はポケットから煙草を取り出し火を点けた。すぅっと胸いっぱいに煙を吸い込む。
「うめぇ」
少し長くなった煙草の灰を庭に落とそうとしたが、ちょっと考えて小さな灰皿を持ってきて灰を落とした。
もう夕方。夏とは言え、辺りは薄暗くなっていた。
バタンと玄関のドアが開く。
「パパー。準備出来たよー」
サヤカがピンク色の浴衣で僕を迎えに来てくれた。
サヤカの隣にはセルマ。薄い水色に濃い青の朝顔模様の浴衣を着ていた。金色の髪をアップに纏めて、外国人ならではのちょっとミスマッチな感じがなかなかよろしい。そしてその後ろには紺色の生地に白い蓮をあしらった、ぐっと大人っぽい浴衣を着たカオリがいた。自分の髪をセットする時間がなかったのか、長い栗色の髪はさっきと同じくサイドに編みこまれたままだった。
僕と言えばよれよれのポロシャツにちょっと汚れた作業ズボン。うーむ。なんか僕だけみすぼらしいような。着替えてこようかな。でもな、何かあったかな。スーツとか着ていったらただの馬鹿だよな。
とりあえず僕は薄手のジャケットだけ上に羽織って行くことにした。
サヤカとセルマの二人は手を繋いで歩いている。何やら楽しそうにお互いの耳元に口を寄せてごにょごにょと話したり笑ったりしていた。
その後ろを僕とカオリが歩く。カオリはさっきの事を気にしているのか少し俯き加減だ。時々僕の方を見てはすぐに目を逸らしてまた俯く。カオリが僕を意識していることが伝わってくる。
僕の手とカオリの手が一瞬触れた。
冷たくて細いその指先を僕はそっと握ってみた。
カオリは僕の顔を見たがまたすぐに俯き、僕の手を握り返してきた。
僕たちは花火が良く見える港の近くの河口付近の土手を歩いていた。
かなり人が多い。県外からも花火目当てで人が来ているらしく、大賑わいだ。
土手にシートかなんか敷いて花火を観よう思ったのだがもう人が一杯で座る所などない。
「あれ? セルマちゃんとサヤカどこ行った?」
しまった。カオリの手の感触を楽しんでいたらあいつらとはぐれてしまったようだ。
困ったな。この人ごみじゃ探しようがないぞ。
ドーン
最初の花火が打ち上がった。
河口から伸びた火柱は天高く舞い上がり大空に大輪の華を咲かせる。
僕らは夜空の華に見入っていた。
ドドドド……ドーン
激しく花火が連発で打ち上がる。
夜空は明るく輝き、大勢の人たちはみんな空を見上げている。
ふと僕はカオリを見た。花火の光に照らされたカオリの横顔が美しかった。
カオリが僕の視線に気が付き、夜空を見ていたその視線が僕の顔に移る。
この人ごみの中で僕とカオリだけが空を見ていなかった。
その時僕の頭の中は真っ白になり、カオリが愛おしくてたまらなくなった。
僕は自然にカオリの柔らかそうな唇に自分の口を押し当てていた。
カオリの唇が少し開く。僕は舌を滑り込ませた。
カオリの柔らかな舌と絡み合う。カオリの腕は僕の首に巻きついていた。
そして花火の音がやんだ。僕は口を離す。すこし唾液が糸を引いた。
次の花火が打ち上がった時、僕はカオリの手を引いて人ごみを抜け出していた。
カオリは黙って付いてくる。だいぶ人通りも少なくなってきた道。
僕はカオリの手を引っ張り早足で歩いていた。
「アキラくん……。手……痛い」
「あ、ごめん」
つい、強く引っ張ってしまったらしい。僕は慌てて手を離した。
「ここに入るの?」
「え?」
正直何も考えてなかった。とにかくカオリと二人きりになりたかった。
そんな僕とカオリの目の前にはラブホテルのピンク色の看板があった。
シャーッ
シャワーの音がする。
僕は白いガウンを着てラブホテルの一室の大きなベッドに座っていた。
煙草を咥えそのラブホテルのロゴが書かれたマッチで火を点ける。
煙草を持つ手がカタカタと震えた。まさかカオリとこんな所に来るなんて。
カオリがバスルームから出てきた。白いバスタオルで上気した体を包んでいる。
栗色の編んだ長い髪は解かれ、髪の先が少し濡れていた。
僕の隣にバスタオルを巻いただけのカオリが座る。
バスタオル越しにカオリの乳首の形が浮かんでいるのが見えた。
僕は唾を飲み込み、まだ長い煙草を揉み消した。
カオリの顔が赤いのはシャワーを浴びたからだけではないだろう。僕の顔も見れないといった感じでモジモジとしている。僕もどうしていいのか分からなかった。
まるで初めて体を合わせる少年と少女のようだ。
ガウンを着た僕の肩とカオリの素肌が触れる。僕はカオリの方に顔を動かすとカオリもまた僕に顔を向けた。目と目とが合う。カオリの黒い瞳を覗き込むと僕の顔が映っていた。
そしてカオリは目を閉じた。中学生だったあの頃の感覚が蘇る。
僕はカオリの柔らかな唇に吸い付いた。半開きの唇に舌を這わせる。僕の右手はカオリを包むバスタオルを外し、左手はすべすべとしたカオリの背中を抱いている。少し大きめの胸を下の方から乳首に向かって手を滑らせた。
ピクンとカオリが震える。僕は舌をカオリの唇から首筋に親指で乳首を弾きながら移動させる。「あふっ」とカオリの息が聞こえた。
そのままカオリを大きなベッドの中央に静かに押し倒した。
僕はベッドに横たわるカオリの体を眺める。
「ばか……。そんなに見ないで……」
カオリは僕の視線に気付き恥ずかしそうに脚を閉じて胸を両手で隠した。
「カオリ……」
「きゃっ」
僕はカオリの両膝を両手で掴みぐいっと広げ、カオリの女の部分に顔を近づけた。少し膨らんだ部分から下の方へ舌を滑らす。
「やだ……いきなり……そんな」
中に舌を入れて掻き回した。奥からカオリの味がする液体が染み出してきた。
「ん……ん……」カオリが切ない声を上げる。
感じているカオリの顔が見たい。
僕はカオリの脚に頭を挟まれたままガウンを脱いだ。
「カオリ、顔を良く見せて」
僕はカオリの脚を自分の頭から外しカオリの隣に寝転んだ。
カオリの息が荒い。
僕はカオリの乳首を舌で転がしながらカオリの中に指を入れる。
ジュブジュブと音がした。
「入れるよ。カオリ」
「うん……」
ゆっくりとカオリの中へ。カオリはぎゅっと目を瞑り僕を受け入れた。
カオリの脚をいっぱいに広げて腰を動かす。動かす度にカオリが啼き声を漏らした。
「あ、あれ?」入れてから一分も経たないのに果ててしまった。
カオリの中に僕の白い液体がびくんびくんと注がれる。僕、相当溜まってたな……。
「ごめん。中に出しちゃったよ」
「いいの。アキラくんなら……」
何がいいのかよく分からなかったが……。まぁ怒られなくてよかった。
「あ、あぅん」カオリがまた喘ぎ声を漏らした。
あ、また立ってきた。
カオリの中に入ったまま僕のジュニアは逞しさを取り戻していた。
今度はもっと激しく動かしてみた。
さっき僕の出した白い液体がぴゅるっと飛び出た。
何度も僕とカオリは果てた。何度も何度も。
僕の中にあった白い液体は全てカオリの体の中に吸い込まれていった。
花火が終わり、ふと気付くとパパとカオリさんがいなかった。
「あれぇ? はぐれちゃったかなぁ」
あたしは串に刺したイカ焼きを頬張りながらキョロキョロと辺りを見回した。
「サヤカちゃん、お空見て」
りんご飴を持ったセルマちゃんが空を指差す。
「え?」花火は終わったのに何だろう? あたしは空を見上げた。
「わぁ、すごーい」
「ね」
綺麗な星空の中に月がぽっかりと浮かんでいた。
「すごくおっきなお月様だね。セルマちゃん」
「うさぎさんがお餅ついてるよ。サヤカちゃん」
私たちは手を繋いだまま、月の光の中を二人で家に帰った。